Calendar

2010年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

Recent Entries

« 習近平体制で中国の政治改革は進むか? ── 次の次の「第6世代」に注目
メイン
日ロ首脳会談拒否はロシアにとって痛くも痒くもない »

中国人ジャーナリストが語る最新中国ネット言論事情(2)── なぜツイッターが中国を変えることができるのか

 なぜツイッターが中国を変えることができるのかについて説明しましょう。

 まず、中国の報道メディアについてお話しします。中国の体制では、情報がメディアに流れて人々の手元に届くまでに政府が手を入れ、(体制側が)自分が語りたいように情報を変える習慣があります。

 ですので、ツイッターが出現するまでは、伝統メディアの仕事は1週間に5日、宣伝部と呼ばれる政府の機関が電話をしてきて、内容をコントロールするという形がとられていました。もちろん宣伝部の人も人間ですのでお休みが必要で、週末は必ず休みます。だから週休2日で5日間。電話でコントロールされるメディアです。

 なので、中国国内で我々が見たくても見れないような情報、たとえば劉暁波さんに関する情報も、基本的にニューヨークタイムズやワシントンポストなどの英語メディアを経て、状況を理解します。

■中国の記者にネット出身者が多い理由

 次に、中国と日本のメディアの違いについて少し時間をとってお話ししたいと思います。

 中国でインターネットカフェや家庭内にインターネットに引き込まれたのは1998年ごろのことです。そして、2000年にメディアの市場化という大きな変化があり、各地に大きなメディアグループが形成されました。

 問題は、そこに働いてくれる記者が見つからなかった。中国にも(メディアに関する)いろんな学校がありますが、急速にメディアが大きくなったため、そのぶんの記者を生み出すのは不可能でした。しかも、学校で教えられている教材も、それまでの新華社系の政府系の教育が行われていたわけで、突然商業化されたメディアの要求にこたえられなかったのです。

 そのときにメディアが目を付けたのが、すでにインターネットを使って情報発信をしているネットユーザーでした。

 たとえば僕も2000年以前はプログラマーでした。僕が大学で学んだのはコンピューターだったので、プログラマーをやっていました。その僕が2001年に北京の華夏時報のトップコメンテーターとして採用されました。

 その後、広州に本社を持つ新聞社の北京首席記者になり、同時にイラクのバグダッドに戦争取材に出ました。03年にイラクから帰ってきて、そのままニューヨークタイムズの北京オフィスに入り、4年間仕事をしました。その後、ケンブリッジ大学とハーバード大学で勉強しました。つまり、ただの1人のネットユーザーでプログラマーだった人間が、メディアの需要の拡大に伴ってこれだけ大きく可能性が広がったということです。

 さっき申し上げました2000年のメディアの拡大から現在まででちょうど10年がたちました。この10年間にあらわれた「メディアの拡大」の中で含まれてきた記者たちの約60%の人たちが、ネットユーザーというバックグラウンドを持つ人だったということです。

■ネットメディア出身記者による情報発信力の拡大

 なので、中国でブログやインターネットサイトが注目されるのは、こういうところに発端があります。

 つまり、彼らは記者になる前にすでにブロガーであり、情報を発信する人だったのです。おそらく他の国ではあり得ないことで、日本でもまったく逆の状況ではないでしょうか。なので、中国のメディア状況を理解するためには、こういった「伝統メディア」と「インターネットメディア」の関係をよく理解していただきたいと思います。

 メディアで働いている記者たちは、昼間は出社して自分たちのメディアに「書くべきことを書き、書いてはならないものは書かない」という仕事をしています。しかし、家に戻るとインターネットを通じて自分の取材内容、自分が知っていること、昼間に書けなかったことをブログや他のサイトで発表しています。

 なので、ブログや現在ではマイクロブログといわれるツールがありますが、これらが勃興することによって、中国人の情報発信力が非常に拡大されたのです。

■中国人はツイッターの登場ではじめて言論の自由を手にした

 2004年ぐらいからブログが勃興してきましたが、当局はブログが爆発的に増えるとどこに何が書かれているかをチェックできなくなり、自分たちの力だけでは管理できなくなりました。そのとき、当局は各ブログサイトに管理者をつくり、その彼らに不必要な発言をするブログを削除させることをしているわけです。ブログにマズイ情報が出たときは、だいたい半日以内にブログ管理者が見て、半日に1回ブログが削除されるという状態で管理が行われていました。

 それがツイッターでは一瞬のうちで言葉が出て行きますから、それをすべてチェックするとなると、莫大な人出と費用が必要になるわけです。そのため、マイクロブログ、あるいはツイッターは基本的に管理ができない状態になってしまったわけです。

 過去2000年にわたりまして、中国人はセルフコントロールで生きてきました。しかし、ツイッターが出現したことで、中国人は2000年来はじめて100%自由な発言空間を手にしたわけです。

■ツイッターが政治犯を救った

 その100%の自由な発言空間を手に入れた中国人はそこで一体何をしたかという話をしましょう。

 2009年7月5日、ウイグル自治区のウルムチで争乱が起こりました。中国では国内ニュースで最も早いのは新華社の英語サイトです。しかし、この事件では新華社の英語サイトが情報を流す30分前に、北京在住のアメリカ華僑であるカイザークオ(@kaiserkuo)さんがツイッターでウイグルで争乱が発生したという情報を流しました。

 7月16日には郭宝峰(@amoiist)さんというツイッターユーザーが、携帯を使って「i have been arrested by Mawei police,SOS(警察に捕まった。SOS)」というツイートを流しました。それが爆発的に広がり、これを読んだ海外のニューヨークタイムズなどのメディアがこの事件を報道しました。

※郭宝峰さんは汚職を訴えるビデオをネットに流して逮捕された

 その結果、中国だけでなく全世界のツイッターユーザーたちが、郭宝峰さんにハガキを送ろうということになった。そこで、ハガキの上に「郭宝峰、お母さんがご飯に帰って来いって言ってるよ」と書いて送るという運動がはじまり、収監されている獄にハガキが集中しました。中国全国だけでなく全世界からハガキが集中し、当局に圧力をかけたのです。その結果、郭宝峰さんは2週間後に釈放されました。これは、ツイッターを使って政治犯を救った最初の事件です。

 2010年2月22日には芸術家の艾未未が6人の芸術家を率いて、中国のメインストリートである長安街で横断幕を持ってデモ行進をしました。これは、(天安門事件以降の)20年来はじめて長安街にデモが発生した事件となりました。このとき、艾未未は自分の携帯電話を使って写真を撮り、ツイッターで即時に流し、デモがおこっていることを伝えました。

 また、ツイッターはエコロジーに関する活動にも利用されています。2009年11月23日に中国の南方都市の広州で起こった(ゴミ発電施設反対)デモでは、呼びかけもツイッターで、中継もツイッターでという形で全国に流れました。その結果、中国国内メディアでもきちんと報道されました。

 また、人権弁護士の許志永(@xuzhiyong)さんのNGO団体が当局によって脱税の疑いをかけられ、拘束された事件がありました。その脱税額は日本円で1700万円でしたが、2週間のうちにその情報を知ったツイッターユーザーがそのお金を集め、そしてそのお金を届けて許志永さんは2週間後に解放されました。僕は500元(約8000円)を出しました。そういうふうに一人一人が出せる小さなお金を出しあって参加したという事件でした。

■ダライ・ラマもツイッタでー中国人と交流

 ダライ・ラマ(@DalaiLamaCN)も中国語のツイッター用のアカウントをとり、日頃から中国人ユーザーと交流する場として利用しています。中国国内では当然ダライ・ラマと直接対話することはできません。中国語の一般ユーザーはダライラマに対していろんな考え方や反対意見を含む意見を持っています。それに対してはダライ・ラマは直接答えるという形で、両者の交流を促したこともありました。(続く)

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/7488

コメント (1)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

日々起こる出来事に専門家や有識者がコメントを発信!新しいWebニュースの提案です。

BookMarks




『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

→ブック・こもんず←




当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.