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2010年11月30日

高野孟:仲井真知事が再選、日本政府は「県外」の意思を対米交渉へつなげ

米軍普天間飛行場の移設問題への対応が焦点となった沖縄県知事選で、現職の仲井真弘多氏の再選が決まりました。仲井真氏は選挙後の会見で、普天間基地の県外移設を求める考えをあらためて示しました。

民主党政権は県知事選の結果をどう受け止めるべきか、そして今後の米軍基地問題の行方はどうなっていくのか、高野孟が語ります!

*   *   *   *   *

高野孟(《THE JOURNAL》主宰)

「県内」と「県外」を訴える2候補が対立していれば、沖縄県民は選択の仕様があったかと思います。今回はどちらの方が現実的な道を打ち出してくれそうか、ニュアンスも見極めた苦心の投票をしたという珍しい選挙でした。

日本政府、民主党政権はこれまで普天間問題を保留にしてきました。今回の選挙は1つの区切りになり、いよいよ新しい知事を相手にしながら打開の道を具体化しなければならない、これ以上保留していられないという意味で「険しく」という新聞見出しの表現通りだと思います。仲井真氏が勝ったから険しくなったわけではないというところがポイントでしょう。

今回の選挙で2候補者とも「県外」移設を訴えていて、両方の票をあわせれば沖縄県民の意思は「県外」で、県民投票をやったに等しい結果です。

日本政府は、「県民の意思は圧倒的で、無理矢理新しい基地をつくるようなことがあれば座り込みをしている県民や支援者を蹴散らして流血の事態を起こしかねない、それでもどうしても新しい基地をつくるのか、それとも長い目で考え直そうか」と逆に開き直って対米交渉するきっかけをつかんだということです。

(つづきは映像にて...)

【関連記事】
高野論説:海兵隊の抑止力とは何かを検証せよ!(2010.1.30)
高野論説:"抑止力論の罠"に絡め取られた鳩山首相(2010.5.5)
《対談》吉元政矩×高野孟:普天間基地問題の根源を考える(2010.6.24)
沖縄県知事選をめぐる民主党の2つの顔(NewsSpiral)

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2010年11月29日

シリーズ小沢一郎論(7) ── 危急存亡の秋(とき)とオザワ現象

日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)

 岩手県ですら、いや、岩手県だからか、民主党政権に対する世間の風当たりは強い。柳田法務大臣辞任翌日の勤労感謝の日、地元支持者との集いで悲憤慷慨の風を浴びた。

 その前日、東京に行く用事があり、小沢一郎氏と面会する機会があった。小沢氏は、民主党政権が崩壊の危機であることを心配して、挙党体制の再構築の必要性を感じていた。

 この期に及んで、菅首相を支える体制強化の可能性を探るとは、なんと人がいいことか、と一瞬思ったが、このような危急存亡の秋(とき)だからこそ、国家・国民のために挙党体制を模索する、まさに王道である。小沢vs反小沢というような狭い了見にとらわれていない。私は不明を恥じた。しかし、菅首相からのSOS(=協力要請)は、その形跡が無い。

 一方、これは小沢氏との面会とは別の機会に別の信頼できる筋から得た情報だが、9月の代表選で菅氏を支持した有力者たちの間に、党代表=首相を人気のある現閣僚に替えて解散総選挙を打つ策動があるという。小沢氏が若手議員との会食の席上、解散総選挙の可能性に言及したのは、同じような状況判断をしていたようである。小沢氏が菅首相を支える体制を模索している一方で、菅首相の足元で菅降ろしの動きが出てくるという皮肉な展開になっている。

 私はこのシリーズの四回目で、菅内閣が行き詰ったら、強制起訴されていても小沢氏は臨時の民主党代表選挙に出るべきだし、民主党の国会議員は小沢氏を党代表=首相に選ぶべきだと書いていたので、そのことを小沢氏に話した。小沢氏は、黙ってうなずきながら聞いていた。否定はしなかった。検察審査会の議決による強制起訴が、小沢氏の政治活動を束縛できる筋合いのものではないと、本人も確信しているという感触を、私は得た。本人は、自分のことよりも菅首相のことを心配している。

 私が小沢事務所を訪れた時、事務所はシカゴの学校から来ていたアメリカ人生徒達の世話で慌しかった。日米草の根交流事業として、小沢氏が毎年取り組んでいるものである。シカゴの学校はオバマ大統領夫妻の地元、アフリカ系アメリカ人が多く住む地域にある。日中草の根交流の「長城計画」はマスコミに大きく取り上げられたが、日米の方も大きく取り上げて欲しいものである。

 小沢氏の秘書さんから聞いた話だが、最近、小沢氏が他の議員等と会食をする現場でテレビカメラを構えた報道陣が待ち受けていると、一般の人たちが「誰を待っているのか」と聞いてきて、「小沢さんだ」と教えると、出を待つ人が結構いるとのことである。そして小沢氏が出てくると「小沢さん、がんばって!」と声をかける由。普通の人たちが50人くらい出待ちをしていたこともあったそうで、他の政治家では起きない現象である。オザワ現象はネットの外でも急速に広がっている。

★   ★   ★

◎日本一新の会事務局からのお願い

「日本一新運動」の原点として連載している論説は、「メルマガ・日本一新」の転載であり、日本一新の会が、週一で発行しています。配信を希望される方は http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi から、仮登録してください。折り返し案内メールが届きます。

 相変わらず不着メールがあります。メールボックスの管理や、アドレスのタイプミスもあるようですから、各自で対応をお願いいたします。

2010年11月27日

金子勝:Uターンする日本 そこに未来はあるのか?─TPPと戸別所得補償

以下の文章は、慶應義塾大学経済学部教授の金子勝(かねこ・まさる)氏が自身のブログで掲載された論考を転載したものです。金子氏は政府が進める貿易自由化に対し、戸別所得補償との関係性など他国の事例を用いて留意すべき点をあげています。ぜひご一読下さい。

また本記事は10月25日に掲載されたブログのため、一部の情勢変化についてはご了承下さい。

■金子勝ブログ
http://blog.livedoor.jp/kaneko_masaru/

■金子勝Twitter
http://twitter.com/masaru_kaneko

*   *   *   *   * 

金子勝氏(慶應義塾大学経済学部教授)

「淋しかったら帰っておいでと
手紙をくれた母さん元気?
帰りたい 帰れない
帰りたい 帰れない」

加藤登紀子が歌った「帰りたい 帰れない」の一節です。

古い歌で、オヤジしか知らんでしょうが...。「母さん」を「自民党」に置き換えれば、官僚の皆さんが今歌っているのかもしれません。でも、哀しいけれど、もう戻る場所がないんですね。

後戻りするにも、今だに世界は100年に1度の経済危機にただ中にあり、世界中の先進諸国で政権が不安定化しています。イギリス、オーストラリアでは総選挙で与党が単独過半数を得られませんでした。仏独両国でも与党が地方選挙で敗北し、とくにドイツでは与党が上院(連邦参議院)で過半数を失いました。日本と同じですね。

世界金融危機に際して、日米豪などで大胆な改革を掲げて政権交代が起きましたが、日米民主党や豪労働党は政権につくと、既存政治に妥協しながら「公約」を後退させていきました。世界金融危機が続く下で失業と貧困が拡大する中、既存政党への拒否感が広がっているのです。実際、ドイツ・オランダ・スウェーデンなどの欧州諸国では移民排斥を唱える極右勢力が台頭し、米国では市場原理主義と宗教原理主義の影響力が強い茶会(ティーパーティ)運動が力を増しています。

オバマ政権は"チェンジ(変化)" を掲げたにもかかわらず、ウォール街と妥協して大手金融機関の救済措置を繰り返すうちに「大きすぎて潰せない」状態になり、グリーン・ニューディール政策も後退させ、経済停滞の中で有権者の失望をかっています。一方、日本の民主党政権も、唐突な「消費税10%発言」、普天間基地移設問題、あるいは政治とカネの問題をはじめとして、2009年総選挙マニフェストを次々と後退させて有権者の失望をかい、2010年7月の参議院選挙で敗北を喫しました。その意味で、日米両国は同じ道を歩んでいるように見えます。

菅直人政権は、ねじれ国会のもとで各野党と妥協をしながら法案を通していかなければなりません。菅政権は、国会での「熟議」に基づいて,問題ごとに野党と協力して法案を通すことを目指しています。世論調査も、こうした方向性を支持しているように見えるのは、政権が毎年のように変わるような事態を避けたいという有権者の心理が働いているのかもしれません。なんと情けない状況...。

しかし原則なき妥協は、大きな問題を引き起こします。菅政権はこれまで以上に、マニフェストをつぎつぎと修正して野党に近づいていくことになり、政策がどっちへ向かっているかが分からなくなってきています。日本版グリーン・ニューディール構想、東アジア共同体構想、あるいは年金・医療・介護などの社会保障制度改革など、マニフェストで掲げた本格的改革はますます遠のいていきます。やがて「マニフェストの原点に返れ」という声はかき消され、民主党政権も「帰りたい 帰れない」状態になっていくのかも...。

ところが、世界の状況は、「帰れない」はずの80年前の大恐慌期に似てきているのが、とっても不気味な感じです。

実際、再び景気悪化がもたらされると、各国とも実質的な為替切り下げ競争を進めています。各国とも中央銀行が量的金融緩和でマネーを垂れ流し、自国の為替レートの切り下げを図る姿は、どこかで戦前の近隣窮乏化政策を連想させます。さらに自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)による市場の囲い込みも進んでいます。これも戦前のブロック経済の変形版と考えられなくもありません。

菅政権はその対応に追われています。日銀は4年3ヶ月ぶりに実質ゼロ金利政策に戻り、政府はインドとの間で経済連携協定の締結を進め、TPP(環太平洋経済連携協定)に参加を表明しようとしています。(※注)

菅内閣になってから、ますます従来の「日米同盟」基軸の路線、つまり中国を敵国とし米国についていけば何とかなる、という古い発想に逆戻りしつつあるように見えます。そういえば、前原外相の口からは「東アジア共同体構想」という言葉を一度も聞いたことはありませんね。気づいてみれば、民主党代表選はそういう路線対立だったのかもしれません。

8月27日、首相の私的諮問機関「新安保懇」が、集団自衛権行使の禁止や武器輸出三原則を修正する方向を打ち出した報告書「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想――『平和創造国家』を目指して」を提出しました。中国の軍事力強化の分析に頁が割かれ、その脅威対抗から「米軍との共同作戦基盤」のもとで自衛隊を統合運用する方向が打ち出されました。そして「中国の海洋進出」に照応した「離島防衛の強化」を勧告しています。まさに、この報告書提出直後の9月8日に、尖閣諸島近辺での中国漁船の船長逮捕が起きました。

イラク戦争に反対した民主党はどこへ行ったのでしょうか。ここでも「帰りたい 帰れない」状態になりつつあります。

さらに、先に述べたように、菅政権は、米国が提唱するTPP(環太平洋経済連携協定)への積極参加を打ち出しましたが、今さら経済衰退するアメリカと自由貿易協定を結んでも、日本にはあまり利益があるようには思えません。輸出市場の大半はアジア諸国になっています。それどころか、小泉政権時代がそうだったように、郵貯の資金運用に米国金融機関を参入させろとか、BSEがらみで月齢30ヶ月という安全基準を止めろとか、経済連携協定の名前で米国産業に有利な条件を実現しろと対日要求を突きつけてくるでしょう。米国経済における景気後退は深刻で、住宅関連指標だけでなく、鉱工業生産指数も落ちだしています。米国の覇権が揺らいでいるのです。米国が助けてくれるという時代は、もうとっくに終わっています。

なのに、「帰れない」はずの過去に戻ろうとしています。米国政府が負担ばかり言ってくるに決まっているのに、過去の習い性からなかなか抜けられないんでしょうね。

このままいくと、食料自給率を40%から50%に引き上げるという民主党のマニフェストも「帰りたい 帰れない」になっていくのかも。農水省の試算では、日豪、日米で農産物の関税をゼロにすると、食料自給率が12%まで落ち込むようです。もっとも、「東アジア共同体」のように似たような規模の米作中心の農業であり、小麦や畜産や砂糖などの農産物で競合しない中国などが相手なら話は別ですが。

韓国は、米国やEUとのEPAを結ぶ際に、国内農業対策として10年間9兆円出しました。農業の生産規模を考えると、日本は韓国の3倍はありますから、単純計算で「韓国並み」にするには、10年間27兆円ということになります。つまり1兆円の戸別所得補償にすれば、実質3倍に引き上げないといけないということになります。菅政権はそこまでやる覚悟があるようには見えませんね。

もう一度、問題を一から考えてみましょう。

まずEPAやFTAを受け入れることは、これまでの関税中心の農業保護政策を捨てることになり、代わりに戸別所得補償などの国内対策を増額することになります。WTOでは欧米が関税を基本的にゼロにする方向で合意しており、あくまでも関税で日本の農産物を保護しようとするやり方は玉砕路線に近くなってしまいます。だとしたら、新たな農業保護のあり方として欧米が合意している直接支払い=戸別所得補償政策を正面から考えざるをえません。たしかに、そこには従来からの製造業利害と農業利害の不毛な対立を乗りこえる可能性も眠っています。

しかし実際には、農業利害も製造業利害も、まだ不毛な対立を繰り返しています。国内措置を十分検討することなく、未だに「規制改革をすれば、農業の競争力が付いて、EPAを締結しても問題がないから、やるべきだ」という根拠のない議論や、「農林漁業は日本経済の1~2%程度の割合しかないのに、EPAを反対することは残りの経済を犠牲にすることにつながる」といった主張が横行しています。とくに日本の政財界には、欧米諸国と比べて日本の農家の戸別所得補償の水準が著しく低いという認識がそもそもありません。

拙著『日本再生の国家戦略を急げ!』132頁で、その計算値を示しています。2003年の古いデータで、一定の仮定の下に機械的な計算を行ったものですが、農家所得に占める直接支払いの割合を見ると、米国は3割弱、フランス、イギリス、ドイツといった欧州諸国は8割以上も占めています(米国28.9%、フランス79.0%、ドイツ107.4%、イギリス91.5%)。これに対して、日本は、平成23年度の概算要求通りに1兆円規模になって、ようやく米国並みの3割弱になります。欧州並みを目指すなら、さらに3倍近い直接支払いが必要だということになります。

結局、これまで農林水産省がこうした国際的な潮流に乗っかれなかったのは、財源論がネックになってきたと考えられます。議論としては分かるが、財源がないまま関税撤廃だけが強行されてしまうのではないか、という危惧が強かったためです。その結果、関税で守ろうとする農業関係者と、所得補償をバラマキとする製造業関係者という不毛な対立が繰り返され,世界から取り残されてきました。

たしかに、しっかりした財源保障が不可欠です。とはいえ、過去の財政赤字のツケもあって、現下の財政事情を考えれば、おそらく1兆円の戸別所得補償を確保するのが精一杯なのかもしれません。だとすると、いきなり日豪、日米間で関税ゼロにするのは難しいでしょう。どちらにいくのか、政治の決断が必要です。

戸別所得補償に関しては、相変わらず規模の拡大による生産性の向上がないと意味がないという議論があります。でも、現実を見ているとは思えません。たとえば、欧州の平均耕作面積は 50~70ha、米国は180haもあります。オーストラリアは3200 haです。現状の日本はわずか1.4haです。これを4~10haにしても、実際に、担い手不足から請負耕作でこういう経営は増えてきていますが、「誤差」の範囲です。休耕地になっているのは中山間地で、ここでは耕作面積を拡大しても機械化のメリットが働かないのです。当たり前の現実が無視されています。

実際、この農産物価格が下落するデフレ下では、個別経営として規模を30haにしても、かえって経営を苦しくするだけです。パートや中国人研修生に依存するしかなくなります。結局、外食チェーン店などに売って行くには、一定のロットが求められ、産地形成が必要になるのです。規模を考えるうえでも、地域農業という視点が不可欠です。

ここではドグマを捨てないといけません。日本では、規模拡大とは違った国際競争力を高める方法が必要になってきます。

1つは、ヘリコプターで農薬をまくような大規模農業にはできない安心・安全の農業を追求することです。安全基準を作り上げ、トレーサビリティを強めていく戦略です。安全規制の強化は目に見えない非関税障壁となります。さらに、安心・安全のブランド作りに貢献して、EPAを契機にして日本の農林水産物を中国その他アジア諸国に輸出していくことも可能になってくるでしょう。

しかし、それだけでは高い農産物になってしまいます。そこで面としての地域農業を考え、6次産業化が必要になってくるのです。農業(1次産業)を安心・安全なものに変えるとともに、流通(3次産業)や加工製造(2次産業)を同時に展開するのです。自ら売ることで流通の中抜きを自分たちの取り分にするのです。直売所や産直などが典型です。さらにカット野菜にしたり、菓子、ジュースや缶詰、レトルト、酒などに加工したりすることで、常に価格を安定させ、付加価値をつけることです。そこで雇用も創り出せます。

私は個人的にこうした地域の動きを応援しています。

でも正直に言います。Uターンする日本に、国の自給率はますます信じられなくなりました。だったら,食料危機に備えて、自分の自給率だけは高めておかないと...。

こういう下心で仕事をしてはいけませんね。

(本記事は10/25付の金子勝ブログより、ご本人の許可を得て転載したものです。)

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【プロフィール】金子勝(かねこ・まさる)
1952年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。現在、慶應義塾大学経済学部教授。主な著書に、『日本再生の国家戦略を急げ!』(武本俊彦氏と共著、2010年)、『新・反グローバリズム――金融資本主義を超えて』(岩波現代文庫、2010年)、『金子勝の食から立て直す旅―大地発の地域再生』(岩波書店、2007年)がある。

2010年11月25日

言葉の重み

鈴木宗男氏(新党大地代表)

 北朝鮮が韓国を砲撃したことが大きなニュースになっている。

 北朝鮮軍が現場の判断で突発的に行ったとは考えられず、何がしかのメッセージ性があるのだろう。それにしても北朝鮮のこの行為は対米交渉へ向けてのものか。六カ国協議再開に向けてのものか。次期後継者の体制強化の為か。様々な憶測を呼んでいる。

 日本はどう対応しているかというと菅首相は「情報収集に全力を上げる」と記者団に語っているが、これも官僚用語である。事務的な話より「武力行使はあってはならないことだ。断固批難する」とか「韓国の立場を支持する」とか、わかりやすい話をすることが必要である。

 今回も菅首相は「テレビで知った」と述べている。メドベージェフ大統領の国後訪問の際も「テレビで知った」と言ったが、物の言い方一つで受け止め方が変わってくる。

 危機管理はどうなっているのか在外の日本公館は機能しているのかと余計な詮索(せんさく)をされるのである。

 この事を国民はどうなっているのかと心配するのである。

 責任ある地位にある方の言葉は重いということをしっかり認識しなくてはいけない。

 午後から週刊誌3誌の長時間インタビューや対談があった。

 テリー伊藤さんとの対談で大いに励まされ意を強くした。森元総理と佐藤優さんとの座談会もあったが、イルクーツク会談やあの当時の日露関係が懐かしく思い出された。

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※この記事は11月24日付「ムネオ日記」より転載しました。(タイトルは本誌編集部がつけました)

2010年11月24日

《録画放送中!!》森達也×金平茂紀トークセッション「日本のメディアはこれでいいのか」

死刑問題などで知られる作家/監督の森達也さんと、TBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さんが、本日、11月24日(水)18:30から日本のメディアのありようについてトークセッションを行います。

《THE JOURNAL》ではその模様をライブ配信する予定です。Ustreamを使った配信で、18:00を目処にこの記事内で予告映像を設置します。どうぞお楽しみに!

※配信チャンネルは「THE JOURNAL LIVE!!」より
http://www.ustream.tv/channel/politics-of-japan-today

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森達也×金平茂紀トークセッション「日本のメディアはこれでいいのか」

日時:2010年11月24日(水)開演18:30(開場18:00)
場所:ジュンク堂書店 新宿店 TEL 03-5363-1300

トークセッションはジュンク堂新宿店の8階カフェを使い、入場料は1ドリンク代込みで1,000円です。定員50名。トークの後、サイン会も行いますので、そのおり、名刺交換や挨拶をかわすことも可能です。イベントの詳細などはジュンク堂のHPをご覧下さい。http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk-shinjyuku.html#20101124shinjuku

『極私的メディア論』(森達也・著、創出版)

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2010年11月21日

[記者レク]郷原信郎:柳田法相は辞任する前にやるべきことがある!

19日におこなわれた郷原信郎(名城大学教授・弁護士)氏による定例記者レクでは、柳田法相の国会軽視と取れる発言について、その内容に含まれている問題について語りました。言葉の選び方が批判されるのは当然としても、その背景にある検察の権限行使のチェックをめぐる重要な問題とは何か。郷原氏のコメントをテキスト化しました。

【構成・文責】《THE JOURNAL》編集部

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郷原信郎
(名城大学コンプライアンス研究センター長)


今回の柳田法相の発言をもっとも詳細に報じたのは読売新聞です。


「9月17日(の内閣改造の際)新幹線の中に電話があって、『おい、やれ』と。何をやるんですかといったら、法相といって、『えーっ』ていったんですが、何で俺がと。皆さんも、『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間、実は法務関係は1回も触れたことはない。触れたことがない私が法相なので多くのみなさんから激励と心配をいただいた」

「法相とはいいですね。二つ覚えておけばいいんですから。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と。これはいい文句ですよ。これを使う。これがいいんです。分からなかったらこれを言う。これで、だいぶ切り抜けて参りましたけど、実際の問題なんですよ。しゃべれない。『法と証拠に基づいて、適切にやっております』。この二つなんですよ」


これを読めばわかるように、柳田法相の発言は「私のような人物でも務まる」と自分を卑下していて、「二つの言葉で誤魔化しておけばいい」という意味で、国会での答弁を軽視したと問題にされています。

ただ、その後にこう発言しています。


「まあ、何回使ったことか。使うたびに、野党からは責められ、政治家としての答えじゃないとさんざん怒られている。ただ、法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話。法を守って私は答弁している」


問題は、言いたいことはどっちの方向なのかということです。善意に解釈すれば「法律上は仕方ない、こういう言い方しかできない」という客観的な事実を述べただけとも言えます。

そうであれば、これまでの歴代の法務大臣も個別具体的な事件についてはほとんど同じ答弁をしてきたわけで、特別な発言ではない。ただし、このことを「ラッキーだ」と考えているのであれば、国会軽視ということになります。私としては、この問題をそういう意味で語ってほしくありません。

柳田法相が「法律上仕方がないということでやってきたが、本当にそれでいいのか。もっとちゃんと答える余地あるのでは」ということであれば、「今まではこうだったけど、今後の参議院の予算委員会で質問を受けたときは真摯に、もっと踏み込んで答える」という意味になるわけです。それだったら「今までとは違う答弁に期待しよう」ということになっていい。

ただ、残念ながら柳田法相の考えはよく見えません。言葉の使い方が悪かった部分を謝罪しただけで、今後も答弁の内容が同じだとするならば、やはり法務大臣としての資格、態度、言葉の選び方といった問題になります。そういうことであれば私は非常に残念です。

私がこの問題で重要だと思うのは「法務大臣が個別具体的事案についてどの程度発言できるのか」ということです。そして、検察についても現在は検察のデタラメが問題となって「検察のあり方検討会議」まで立ち上げて抜本改革をしようとしているわけだから、今後も一般論を述べるだけの答弁でいいのかということです。

むしろ、検察が本当に適切にやっているのかどうかについて(法務大臣が)いろんな観点からチェックして、報告を受けたときも「(今後は公表するかどうかの扱いについて)法務大臣として適切に対応していきたい」と言えばいい。今までの法務大臣は別として、昨今の状況では、「法務大臣は今まで以上の答弁をすべきだ」という認識を持つ必要があります。

そこで、個別具体的な事案に対する答弁について、法的にどう制約があるのかを考える必要があります。

法的な制約としては、一つは刑事訴訟法47条で「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない」とされています。これによって刑事事件に関する証拠は国会で要求されても一切出してこなかったし、事実関係も法務大臣が国会で答えることがなかった。その意味で、「個別具体的な答弁を差し控えます」ということを言ってきた。

もうひとつは、検察庁法14条但し書きに、法務大臣は捜査中の事件でも検事総長を通じて指揮をする権限があることが書かれています。捜査中の事件について仮に法務大臣がコメントをしたら、個々の事件についての処理について示唆することになります。なので、捜査中の事件に対して中身を示唆することは適切ではないということです。おおまかにいうと、この2つが法的な制約だと思います。

ということで、これまではそれらを十把一絡げにして「答弁を差し控えます」ということで済ましてきたわけですが、それ以上に法務大臣が何か言う余地はないのか。これが問題なのです。

法的には、刑訴法47条には、但し書きで公益上の理由がある場合は除外されています。ここが問題になります。公益上の理由があれば第一回公判前や公判後でも、具体的な事件に関する事実関係についてある程度それを公開することが許される場合もあるということです。ここは十分に検討すべき点ではないかと思います。

なので、国民が強い関心を持っていて、社会的に重要な事実について国会で公表できるのかについては、法務大臣として真剣に検討してみようという話になっておかしくない。柳田大臣についてはもともと法務問題についてはゼロからの出発だったから、就任後に勉強して、「これからはもっと踏み込んだ答弁をしていこう」ということであれば、それはそれで十分に評価できることです。

発言の仕方が自分自身を揶揄するようなそういう表現で、大臣としてもっとしっかりしてほしいという感じはしますが、客観的な見方としてそれほど問題発言をしたわけではない。それよりも、今回の発言が問題になったことで、今後は大臣としてどういう姿勢で答弁に望むのかを前向きに話すことができればいい。ただ、残念ながら、柳田法相がそういう姿勢を明確にしているとは思えません。

もう一つは、いままでこういう刑事事件について「法と証拠に基づいて適正に処理されている」というような決まり文句を繰り返したということ自体を法務省という役所全体として考え、検察の権限行使について法務省がしっかりとしたチェックシステムを考えていこうという方向に持っていかなければなりません。ヒョウタンから駒のようですが、それに対して法務大臣がリーダーシップを発揮する必要があるということを考えるいいチャンスだと思います。

柳田法相が意図して問題提起をしたとは思いませんが、結果としてこの発言が進退問題にまでなっているのなら、この問題の中身をじっくり考える契機にしなければならないと思います。

日本の検察の特徴は、一言で言えば検察が正義を事実上独占してきたところにあります。国会審議で法務省刑事局長が個別の事件に関して質問を受けたとき、「個別の答弁についての答弁を差し控える」という答弁に必ず付け加えるのは「なお一般論として申し上げるのは、すべての事件は法と証拠に基づいて適正に処理されている」です。

検察が刑事上の正義を独占していることがこの言葉に象徴されているのです。これは重要なことで、この言葉を使っていることをもっと真剣に考えて欲しいと思います。

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2010年11月17日

瀕死の状態となった日露交渉

鈴木宗男氏(新党大地代表)

 横綱白鵬の連勝が止まった。双葉山の69連勝を超えるのではという期待があったが、やはり勝負の世界何があるかわからないものである。土俵下に落ちた時の白鵬のなんとも言えない苦笑いが印象的であった。勝った稀勢の里は大相撲日本力士のホープである。稀勢の里は大横綱に勝った事を期に大きく飛躍・躍進していただきたいものだ。稀勢の里が成長する事が白鵬に対する恩返しである。

 ロシアの有力新聞「コメルサント」の15日付記事を日本の新聞各紙16日の朝刊で扱っている。

「日ソ共同宣言土台とせず」露新報道(読売新聞2面)/「2島返還に基づく交渉しない」ロシア「方針転換」と報道(朝日新聞7面)/「ロシア、領土交渉凍結か」現地紙共同宣言棚上げも(毎日新聞2面)/「2島返還も拒否」「領土交渉せぬ」露有力紙報道(産経新聞8面)/「北方領土交渉せず」ロシア政府筋 対日強硬論が台頭 地元紙報道(東京新聞3面)/「2島返還案撤回の報道」(日本経済新聞2面)

 この報道を見るとき北方領土は、またまた日本から離れていったと考えるのは私だけだろうか。前原・ラブロフ外相がワーキングランチも入れて2時間会談しているが、その中で何か具体的な話があったのか、ロシアがシグナルを出し日本の反応・出方を見るためか。何れにせよ日本は受身に立たされている。

 この記事を書いた記者は日本で言えば官邸のキャップクラスと言われ、大統領の国後訪問にも同行している。日本外務省の官僚もこの記事をきちんと受け止め官邸に外相に正しい情報をとって報告すべきである。

 北方領土問題解決の為、私なりに心血をそそいできたと自負する者として、今の日露関係を案じてやまない。

 昨日のNHKニュースウォッチ9で元外務省欧州局長の東郷和彦さんが「今、日露交渉が瀕死の状況にある」と述べていたのがわかりやすかった。

 海上保安官の尖閣ビデオ流出問題で、当の保安官は逮捕されないことになった。

 仙谷官房長官の記者会見では流出時から厳しい対応をとると「国策捜査」を示唆していたが、結果としては騒ぎ立てた方が問題ではないか。

 「仙谷官房長官と中国船長を逮捕した当時の国交相で現外相の前原が責任をとるべきだ」という声が多数事務所に寄せられる。

 仙谷官房長官・前原外相のためにも政府の判断をしっかり検証し、国民に対しての説明責任・情報開示をする事が信頼回復の一番である。

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※この記事は11月16日付「ムネオ日記」より転載しました。(タイトルは本誌編集部がつけました)

2010年11月16日

シリーズ小沢一郎論(6) ── TPP参加は小泉構造改革路線か?

日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)

 TPP(環太平洋パートナーシップ)に言及した11月9日の閣議決定を読むと、「強い経済」を実現するには国を開かなければだめだ、国を開けば「強い経済」が実現する、という趣旨のことが書いてある。菅首相も同様の発言を繰り返している。しかし、市場原理万能主義的に、規制を取っ払い、自由化しさえすれば、すべて良くなる、というようなことを言っていたのが、小泉--竹中型の構造改革路線だった。

 地方自治の現場の感覚からすると、今、日本経済を強くする基本路線は、地域資源の発掘・育成を丹念に進めることだと思う。安全で質の高い農林水産物を、それぞれの地方色豊かな食文化を生かしながら、加工品にしたり料理にしたりして付加価値を高める。食文化のみならず、豊かな自然と歴史に育まれたそれぞれの風土を魅力にして、観光も振興する。文化をベースにクリエイティブ産業が花開く。安さを競う価格競争で勝負するのではなく、ものが分かる人たちや中国富裕層などが「他では得られない本物」と認め、高くても買ってくれるような物を作り、高くても来てくれるような地域づくりをするのが、グローバル時代の必勝戦略ではないのか。流行のB級グルメは、安さの競争ではなく付加価値の競争である。

 もちろん、価格が競争力の重要な要素となるような、大量生産型の工業製品を輸出して稼ぐのも、とても大事である。誘致企業の地方経済に対する貢献度は高い。しかし、バブル絶頂期の90年の日本の輸出額41兆円に対し、リーマンショック直前の07年の日本の輸出額は80兆円であり、TPPが無い中で倍増している。この間、落ち込んで、低迷しているのは、内需=国内消費だ。日本が直面しているのは、輸出競争力の危機もさることながら、内需低迷という危機だ。

 貿易自由化に日本が遅れをとれば、輸出も危機になる、という心配は分かる。しかし、今ここにある危機は、日本の国内消費の低迷である。それは即ち地方の疲弊であり、地方が潜在的に持っている魅力ある商品やサービスが十全に開発されていないということだ。日本の輸出依存度は07年で約16%。裏を返すと、内需がGDPに占める割合が84%。日本経済を強くするためには、地方経済を強化しなければならない。

 21世紀に入り、本来強くするべき地方経済に壊滅的な打撃を与え、地方の疲弊をもたらしたのが、小泉構造改革だった。全国的に、生活破壊が進んだ。それに対して、「生活が第一」のスローガンを掲げ、セーフティネットの充実と、地方を強くする地域主権改革で、内需拡大型の成長路線を実現しようとしたのが民主党であり、それに国民が賛成した結果が政権交代だったのではなかったか。

 今、地方で注目されている魅力ある商品やサービスの、かなりの部分が、今までの農林水産業生産者達の努力と工夫や、今に残る農山漁村の文化をベースにしている。貿易自由化に対応するためそれらをガラガラポンとしてしまえば、日本はかけがえの無い地域資源を大規模に喪失してしまうだろう。

 ちなみに、小沢一郎氏は日米自由貿易協定が持論だが、それは所得補償制度で農業・農村を一定程度守ることと(自給率の目標は100%であるべきだ、とも言っている)、一括交付金化などの地方分権で地方を強くすること、そして様々なセーフティネットの充実(内需拡大の基礎である)と、セットで主張しているのである。また、小沢氏が交渉すれば、日本が不利になるような不平等条約を押し付けられることは無いだろう。

 TPP拡大の主役はアメリカなのだろうが、そこに日本がうかつに飛び込むことは、小泉構造改革が日本を丸裸にしてアメリカに差し出そうとするものだったことを思い出させる。

 繰り返すが、自動車や電機・電子等の輸出産業を守り育てることも大事である。先端産業に関連する研究開発、あるいは基礎研究に国が力を入れたり、貿易の条件整備に国が乗り出すことは必要である。また、そもそも一般論としては、自由貿易体制の発展は、世界経済を拡大し、途上国の発展を促す望ましいことである。しかしながら、それぞれの国にある貴重な地域資源を犠牲にしてはならない。それらの地域資源は、その国の人のみならず、世界中の人たちを幸福にし、人類共通の文化になる可能性を秘めているのだ。市場原理だけでは良いグローバルスタンダードにはならない、というのがリーマンショックの教訓だ。それぞれのローカルスタンダードを大事にし、その総合がグローバルスタンダードになるというのが、あるべき新世界秩序ではないか。

 日本は過去2回グローバル化の大波を受けた。戦国時代の大航海時代と、幕末の帝国主義時代である。どちらの時も、地方が強力で、グローバル化の荒波を受け止めた。中央が右往左往する間に、地方の勢力が、新しい時代を開いた。冷戦後、第三のグローバル化の波を受けた日本が低迷しているのは、地方が弱いからである。地方が強くなければ、日本はグローバル化に対応できない、という法則があると、私は思う。

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平田伊都子:アフリカ最後の植民地でインティファーダ

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アルジェリアのチンドゥーフ砂漠にある西サハラ難民キャンプ。難民生活35年、独立運動37年、国連投票を待って20年、西サハラ人の不屈の闘志には頭が下がる。

 2年前の11月8日は、世界中が夢見心地だった。あの超大国アメリカが黒人大統領を選んだのだ。アフリカは歓喜に涙し、アフリカ最後の植民地.西サハラは、翌日にでも独立を勝ち取れそうな希望に包まれていた。西サハラ難民は早々に帰国の支度を始めた。しかし、2年後の今日2010年11月8日、西サハラ情勢はチェンジしていない。35年前に祖国西サハラを銃で追われた西サハラ難民は約20万に膨れ上がり、相変わらずアルジェリア砂漠でテント生活をしている。35年前に西サハラを脱出できなかった西サハラ住民約7万も、相変わらずモロッコ占領下で2級市民生活をおくっている。モロッコが作った約2,500キロの地雷原で、西サハラ人は分断されたままだ。

◆14才の西サハラ少年をモロッコ兵が射殺

 2010年 10月25日の夕方、西サハラ砂漠にデッカイ太陽が落ちようとしていた。日没の礼拝前に、援助の水や食料や薬品などを届けようと、2台のニッサン・ピックアップが西サハラ被難民のキャンプへ急いでいた。その時、追跡してきた2台のモロッコ軍用車が銃を乱射した。助手席の少年が血を吹いて倒れた。運転していた西サハラ人活動家は銃弾の中をUターンし、モロッコ軍検問所を突破、15キロ離れた病院に向かった。

 病院に着いた時、少年は息絶えていた。
 パレスチナ・イスラエル占領地での事件ではない。ここはアフリカ西北端、西サハラ砂漠、西サハラ・モロッコ占領地である。<アフリカのパレスチナ>と例えられる西サハラ・モロッコ占領地でインティファーダ(住民蜂起)が燃え出したのだ。

 西サハラ・モロッコ占領地でのインティファーダは2010年10月13日、火が点いた。
 息を潜めてモロッコ占領の圧政下で暮らしてきた西サハラ被占領住民が居留区を脱出し、首都ラユーンから15キロ離れた砂漠で抗議のテントを張り出した。名づけて<蜂起キャンプ>。今も、西サハラ非占領民の30%、約2万人が抗議活動を続けている。彼らを指導しているのは、アルジェリアの西サハラ難民亡命政府ポリサリオだ。いよいよ、モロッコ占領地とアルジェリア難民キャンプに別れて住む西サハラ人民が一体となって、ポリサリオ指導の下で<国連西サハラ住民投票の即時実施>と<モロッコ占領反対>を世界に訴えだした。
 アルジェリアの西サハラ難民と、モロッコ占領地西サハラの住民を指導するポリサリオは、1973年に遊牧民の息子エル.ワリによって創設された。現在、国連は西サハラ紛争両当事者を<モロッコVSポリサリオ>と指定している。

◆西サハラ.モロッコ占領地、2万人の<蜂起キャンプ>

 2010年10月25日、ポリサリオ西サハラ亡命政府は、次のような抗議声明を出した。
 「10月25日、モロッコ占領軍がエルガリ・ナエム少年(14才西サハラ人)を射殺した。
 彼は西サハラ占領地の<蜂起キャンプ>で、水や食料や薬品を配給していた。彼と一緒に援助活動をしていた7人の西サハラ平和活動家たちも銃撃され、病院に運ばれた。が、その後、モロッコ軍に逮捕された。彼らの車2台は、蜂の巣になって砂漠に捨てられていた。
 彼らは平和活動家だ。彼らの即時釈放をモロッコに求める。(ポリサリオ)」

 一方、加害者のモロッコは、10月29日にやっと、モロッコ内務省の名で声明を出した。
「10月24日、モロッコ領南サハラ州都ラユーン近郊の住民キャンプで、検問に当たっていたモロッコ兵に向け2台の四輪駆動車が突然発砲してきた。モロッコ兵は応戦し、14才の少年が死亡、7人が軽傷。モロッコ国王に刃向かうテロ行為だ。ポリサリオ・シンパのテロリスト2人が指導し、そのうちの一人は、イタリア・テロリストグループに属している」
 モロッコは<蜂起キャンプ>の2万人平和抗議を、国際テロ組織に指導される反国王テロにでっち上げようとしている。

 11月2日、<蜂起キャンプ>の中に潜伏している外国人人道援助団体のダニエルが、携帯電話でBBC英国放送に悲痛な声を送ってきた。
「10月中頃、西サハラ人居留区から西サハラ被占領民の脱出が始まると、モロッコ軍が居留区に乱入し平和活動家を拘束し始めた。我々外国人援助団体にも危険が迫ってきた。我々は居留区の屋根から屋根へ飛び移り逃亡し、やっとこの<蜂起キャンプ>に辿り着いた」

◆植民地宗主国モロッコの企み

 モロッコの狙いは「西サハラ独立運動はポリサリオというテロリストが指導する分離運動」という印象を国際社会に浸透させることにある。 モロッコが言う分離運動とは、一部モロッコ人による反国王運動を指し、西サハラ人の存在を否定している。そしてモロッコは、<西サハラはモロッコ領土で、南モロッコ地方州>と位置付けている。
 しかし、モロッコの西サハラ領有権は、1975年10月14日に国際司法裁判所によって、はっきりと否決されている。国連も1960年の<国連植民地独立付与宣言>以来、西サハラは領有権未確定地域で植民地と規定している。 現在、世界でモロッコの西サハラ領有権を認めている国はない。

 何故、モロッコは国際司法裁判所の判決を無視し、国連憲章や国連安保理にたてついてまで、モロッコの西サハラ領有権を主張し続けるのか? それは、西サハラが天然資源の宝庫だからである。
 モロッコは鉱物資源に乏しく、漁業資源も乱獲が災いして枯渇してきた。 現在、外貨獲得NO.1であるリン鉱石は、ほとんどが西サハラ領土内で採掘されている。モロッコ産の表示があるタコやまぐろは、西サハラ領海内の海産物だ。国連はモロッコの西サハラ領有権を認めていないから、モロッコによる西サハラ領域内での生産活動は盗掘.盗漁になり、明らかに国際犯罪である。
 加えて、20世紀末には石油や天然ガスや希少金属などが確認された。 資源貧乏のモロッコが西サハラを手離すわけがない。

 モロッコの西サハラ略奪小史をざっと見てみる。
*1975年11月14日、マドリッド秘密協定でモロッコは、西サハラ旧宗主国のスペインから北部西サハラを闇取引で入手。
*1979年から西サハラ全土にモロッコ軍を侵攻させ、ポリサリオと熾烈な砂漠戦を展開。
*1981年から1987年にかけイスラエル軍高官の助言で<砂の壁>という約2,500キロにわたる防御壁を建造。壁の両側50メートル巾で地雷原を設置。

◆役立たずの国連だが...

 1991年に国連は<国連西サハラ住民投票>という和平案を提案した。 ポリサリオは国連和平仲介を歓迎し、砂漠消耗戦に疲労困憊したモロッコもこの案を呑んだ。この投票とは「西サハラ住民が西サハラ独立かモロッコ帰属かを選ぶ二者択一の投票」の事を言う。
 2002年には東チモールがこの国連投票で独立を勝ち取っている。
 <国連西サハラ住民投票>では、投票人の認定を、1975年のスペイン人口調査に基づいてやることにした。国連事務総長個人特使に元米国務長官ベーカーが任命される。1998年、西サハラ難民キャンプで投票人認定作業が行われ、筆者もこの模様を取材した。

 しかし、国連基準による投票人ではモロッコに勝ち目はない。そこでモロッコは、大量のモロッコ人入植者とモロッコ兵を西サハラ占領地に棲みつかせた。が、彼らが西サハラの投票人として認められないと分かると、モロッコは<国連西サハラ住民投票>を拒否しだした。2006年になるとモロッコは、「西サハラは昔も今もモロッコ王のもの、モロッコ南部の一地方州」と、主張し始める。2007年には前ブッシュ米政権や前国連事務総長個人特使ピーター・バンを巻き込んで、モロッコは西サハラ領有権を強引に押し通そうとした。が、失敗した。
 1991年に<国連西サハラ住民投票>を承認した国連安保理は、同じ年にMINURSOという投票作業派遣団を編成した。そして毎年、4月30日になると改めて、さらに一年間の派遣団延長を安保理が認める。年中行事だ。 こうして早20年、MINURSOは何一つ西サハラ住民投票に関する作業はせず、これまで約2,120億円も浪費してきた。

 2009年1月から西サハラ国連事務総長個人特使に任命された元米外交官クリストファー・ロスは、モロッコ・ポリサリオ両当事者非公式会合を2度開催した。が、「南サハラ州はモロッコ固有の領土」を固持するモロッコと「国連西サハラ住民投票早期実施」を主張するポリサリオは、全く歩み寄りを見せない。やっと本日、11月8日に非公式会合が再開される。が、先は見えてこない。

◆西サハラと国際社会

 2010年11月8日現在、ポリサリオが率いる西サハラ亡命政府を正式に認めている国は世界で約80カ国にのぼる。AUアフリカ連合は正式加盟国としている。先進国は正式承認をしていないが、各国に西サハラ支援民間団体や友好議員連盟がある。

 西サハラとEU、アメリカ、日本との関係を見てみる。
(1)EUヨーロッパ連合(アフリカ諸国の元宗主国連合)と西サハラ天然資源:
 EUはモロッコと漁業協定を結んでいる。EUはモロッコ産リン鉱石の一番のお得意さんでもある。 が、モロッコ主要漁場は西サハラ領海で、モロッコ.リン鉱石の鉱山は西サハラ領内にある。どちらも国連が領有権未確定地域に指定していて、その地域での生産活動はご法度だ。
 2010年10月末に開かれた<西サハラ支援EU連帯会議>では、モロッコの西サハラ資源盗掘と盗漁を糾弾し、EUモロッコ漁業協定とEUモロッコ通商協定の撤回を求めた。

(2)オバマとアフリカ最後の植民地:
 オバマが大統領になった時、西サハラ人民がどんなに期待したことか、、今度こそ、国連西サハラ住民投票が実現すると信じた。 オバマの指南役だった故エドワード.ケネディーが20年前に国連投票が提案された時から、ずっと国連案を支持してきたからである。
 が、ケネディーは死んだ。西サハラ人民は<アフリカ最後の植民地>というキャッチフレーズで黒人オバマの気を引こうとしているのだが、、オバマは人気挽回作戦で忙しい。

(3)日本民主党西サハラ問題を考える議員連盟:
  2010年6月末<日本民主党西サハラ問題を考える議員連盟>ができた。 何故こんな長ったらしい締まりのない名前になったかというと、<西サハラ友好議連>ができることを嗅ぎ付けたモロッコ大使が「西サハラに味方するのなら国交断絶!」と脅しをかけてきたからだそうだ。が、いずれにしろ、皇室王室の絆が固い日本で西サハラ関係の議連が誕生したことは、おめでたい。

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「日本民主党西サハラ問題を考える議員連盟」の会合。左から首藤信彦衆議院議員、アルジェリア大使、江田五月初代議連会長、生方幸夫現会長、筆者、NHK大貫康雄(敬称略)

 2010年11月3日、モロッコ内務省高官が異例の占領地西サハラ入りをした。占領当局主催の晩餐会後にこの高官は、次のような国王書簡を発表した。
「いかなる個人も団体も、国王に物申すことは不敬罪になる。11月6日までにキャンプを撤退しろ!さもなくば王令が執行され強制撤去だ!!」
  11月4日、<モロッコ軍突撃>の情報が<蜂起キャンプ>内に走った。 即、ポリサリオは全世界に向けて「西サハラ人民の正統で平和な抗議活動をモロッコが武力で押し潰そうとしている」と、SOSを発進した。このSOS、誰が受け止めてくれるのだろうか?

文:平田伊都子(ジャーナリスト)
写真:川名生十(カメラマン)

(この記事は「日刊ベリタ」から許可を得て転載しました)

P.S
「アフリカ最後の植民地.西サハラの講演」 2010年11月14日(日)午後1時から、神戸大学社会問題研究会LEAD
★誰でも歓迎!講師:平田伊都子

2010年11月15日

尖閣諸島問題は"棚上げ"が正しい! ── 前原外相の強硬一本槍が禍の元

takanoron.png 11月14日にAPEC会場で開かれたわずか22分の首脳会談で、日中関係が正常に復するきっかけが生じたのかどうかは分からないが、9月7日の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件から2カ月と1週間を経て、ともかくも菅直人首相と胡錦濤主席が会談の席に着いたことで、これ以上の事態の悪化は避けられるだろう。

 まさしくこのAPECの舞台で、米国が環太平洋経済連携協定(TPP)という形で太平洋に跨がる巨大経済圏の形成に主導権を発揮しようとしている中で、日本としては一方的にそれに呑み込まれることなく、むしろこれまで以上に中国はじめ韓国やASEANとの提携を強めて東アジア共同体づくりを進め、米国軸と拮抗する東アジア軸を立てて行かなければならない。そのための日中の戦略対話が喫緊となっている時に、尖閣如き問題をいつまでも引きずって外交の手を縛られているのは愚の骨頂と言える。

●なぜ逮捕したのか?

 そもそもから言えば、事件発生当時、海上保安庁を所管する国土交通大臣が前原誠司であったことが、不幸の始まりである。前原は、最初から強硬論で、「領土問題は(存在し)ないのだから毅然とやる」と中国人船長の逮捕を主張し、また岡田克也外相(当時)も「我が国の領海内なので、法執行しない訳にはいかない」という硬直的な態度を採った。それに対して仙谷由人官房長官は「逮捕しない方がいいんじゃないか」との意見で、そのため政府部内でモメたが、結局、前原と岡田が押し切った形になり、事故から約12時間後に海保が那覇地裁に逮捕状を請求した。この時、仙谷は、逮捕しても略式起訴で船長を早期に送り返すという次善の決着を考えていたようだ。

 ところが、途中で拘置中の船長と面接した在日中国大使館員が「君は英雄だ」とか余計なことを吹き込んだ結果とされているが、彼は愛国者ぶりっこを演じて罪状を否認し続けた。本人が否認では略式起訴に持ち込むことは出来ず、そのため19日、拘置延長をせざるを得なくなり、そうなると起訴は必至、日中関係は完全にデッドロックに乗り上げる。それを避けるために24日、地検の判断で処分保留として釈放するというムニャムニャの措置を採った。これが最善策であるかは議論になるところだが、いずれにせよ、前原が先々の展望も持たないまま逮捕方針を押し通した無謀の後始末を(しかも政府が外交的配慮によって国内法手続きを曲げたという格好をとらずに)つけるにはこういうムニャムニャしかなかったのだろう。

 『サンデー毎日』11月21日号の巻頭記事「危ない外相『前原誠司』」は、尖閣問題のこじれのみならず、メドベージェフ露大統領の国後訪問も前原の「終戦のどさくさに紛れて(旧ソ連が)不法占拠した」という挑発的な発言がきっかけとなっているとして、「元凶は、中国やロシアを敵に回す前原外相の『ええかっこしい』言動にある」と指摘、さらに要旨次のような民主党幹部らの談話を載せている。

▼船長逮捕に踏み切ったのは当時国交相だった前原の判断。だが、日中関係の悪化を恐れた米国側から「早く釈放しろ」と恫喝され、外相になった前原は今度は釈放を強く主張した。

▼前原は釈放を指示したにもかかわらず、「釈放は)検察の判断」と検察側に責任を押しつけた。突然の釈放に、世論から「なぜ逮捕したのか」などと海保も批判を浴びた。検察や海保が前原を許せないのは当然だろう。

▼船長逮捕後、「尖閣諸島は我が国固有の領土だ」とブチ上げ、"ええかっこしい"なところを見せたのに釈放の際は知らぬ存ぜぬ。今回のビデオ流出はいわば"飼い犬"に手を噛まれたわけで、予想外の事態に根が小心者の前原は茫然自失だろう......。

 後先を考えずに"ええかっこしい"を言って後始末は他人に押しつけるというのは、国交相就任直後の八ッ場ダム建設中止宣言も同じ。こんな前原が「ポスト菅の最有力候補」だなど冗談が過ぎる。

●1972年以来の暗黙の了解

 前原が、落とし所を考えない逮捕方針を打ち出すについて、1972年日中国交正常化に際しての田中角栄・周恩来両首相の会談以来、積み重ねてきた両国間の暗黙の了解を知らないでそうしたのか、意図的にブチ壊すつもりだったのかは分からない。前者であれば余りにも酷い無知、後者であれば日中関係の基礎部分への代替案なしの破壊行為であり、いずれにしても外相として許されることではない。

 72年9月に田中が訪中して行われた周との会談で、その数年前から領有権と周辺の海底石油資源の開発権をめぐって日中台で応酬が続いていた尖閣諸島について、田中が「どう思うか」と持ち出したのに対して、周は「今回は話したくない。石油が出るからこれが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない」と、事実上の"棚上げ"方針が示され、それを前提としてその2日後に日中共同声明に合意、日中国交正常化が実現した。続いて、78年10月に日中友好条約の批准書交換のため鄧小平副首相が来日した際にも、日本記者クラブでの会見の席上、次のような有名な台詞を述べて"棚上げ"を再確認した。

「尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない。というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう」

 この意味について、孫崎享=元外務省国際情報局長はビデオ・ニュースの番組で要旨次のように解説していた。

「72年の日中国交回復以来、日中両国政府は両者の言い分が食い違う尖閣諸島の領有権問題は『棚上げ』にすることを申し合わせてきた。これは尖閣を実効支配する日本にとって、支配が継続することを意味する有利な取り決めであり、事実上、中国が日本の実効支配を認める取り決めだった。その『棚上げ』合意に基づき、日本は尖閣を自国の領土と主張しつつも、周辺海域で国内法を適用することはしなかったし、同じく中国側も表向きは領有権を主張しつつも、政府として目立った行動は取ってこなかった。そのような微妙なバランスの上に実質的には日本が実効支配したまま、両国ともにこれを大きな外交問題としない範囲で慎重に扱ってきたのが、これまでの尖閣問題だった」

 その通りで、これは棚上げと言っても足して二で割っただけの単なる妥協策ではない。

 まず第1に、タテマエの次元では、日中共に領有権を主張していて、当たり前の話だが、双方が領有権を主張しているということは尖閣諸島をめぐって「領土問題は存在する」。それを「存在しない」と言うのは、それぞれの主観的な立場の表明であって、双方がそう言っている状態を客観的に見れば領土問題をめぐる見解の相違が明白に存在するということである(余計なことだが、蓮舫は正しい)。

 第2に、その主張の相違をそのまま野放しにしておけば、ドンパチ戦争するしかなくなってしまうが、尖閣如き問題で争えば日中共にその何百万倍かの利益が失われる。だからホンネの次元では、こんな面倒な問題はなかったかのように、お互いに言動を抑制して表だった外交問題としては封印してしまいたい。

 ところが第3に、現実の政治と外交が作動するのは、このタテマエとホンネの中間の領域であって、そこでは双方は......

(1)中国は、日本が尖閣諸島を実効支配している----ということは(実体的には)海上保安庁の巡視船が同諸島を常時警戒している----という現実を暗に認めつつ、

(2)しかし、中国側では、軍、江沢民系反日派、民族主義的過激派などが尖閣をめぐる譲歩に反対して挑発的な言動を撒き散らそうとするので、これを出来るだけ抑制する。

(3)日本も、露骨に領有権を主張するような言動を避け、中国の人士・船舶の侵入に際しても、いきなり日本の国内法を適用して攻撃、逮捕など事を荒立てるのでなく、警告、退去勧告、強制退去などソフトに対応して収める。

 ----といった、一種の闇のルールが成り立っていて、孫崎が言うように、日本の実効支配を事実上認めるという意味では、やや日本に有利に傾いた暗黙合意だった。これを破棄しようというのであれば、トウ小平が言うように「もっと知恵」を出して「皆が受け入れられるいい解決方法」を提起するのでなければならないし、その際にもっと日本に有利に傾くようなアヤを織り込まなければならないが、前原にはそんな知恵もアヤも何もなく、「俺は民主党にはいるけれども社会党系のような安保音痴とは違うんだ」ということだけアピールしたいだけの、その場限りの"ええかっこしい"に終始している。

●「ビデオ流出の何が問題なのか?

 海上保安官による現場ビデオのユーチューブへの投稿が、この問題にさらに色を添えることになったが、これは外交とは直接関係のない、検察官による証拠改変や警察官による窃盗や教員による痴漢といった公務員の倫理的退廃と同次元の問題にすぎない。ネット右翼や反中国派がこれを「義挙」と呼ぶのは馬鹿げている。

 この流出が国家公務員法の「守秘義務違反」に当たるのかどうかをめぐっては、西山太吉「沖縄密約事件」では(1)「一般に知られていない事実」で(2)「実質的に秘密として保護に値するもの」に限定されるという判例があって今回のケースがそれにあてはまるのかどうかという議論があるが、それはともかく、ビデオを公開しないで対中国の交渉カードの1つとするというのは、政府としての1つの判断であり、一個の公務員がそれに賛成でなかったとして「職務上知り得た情報」を一方的にネットに流してその政府判断を覆そうとするという行為が正当化されるなら、破滅的なことになる。佐藤優が12日付朝日で「(戦前の)5・15事件で『方法はともかく動機は分かる』と刑の減免を求める運動が起こり、軽い処分で収束したことが、後の2・26事件を誘発した」「鳩山前首相が『クーデター』と評したのは本質を突いている」と述べたのは正しい。自民党の平沢勝栄も「政権を揺さぶる目的の"武器を使わないクーデター"ですよ」と言っている。▲

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《インタビュー》金平茂紀:変わろうとするアメリカ、変われない日本

『NY発 それでもオバマは歴史を変える』(かもがわ出版)
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 金平茂紀さんが《THE JOURNAL》で2008年10月から2009年9月まで連載した人気ブログ「NY発・チェンジング・アメリカ」が、かもがわ出版から『NY発 それでもオバマは歴史を変える』(かもがわ出版)となって出版されました。日本でもオバマ旋風を巻き起こした2008年の米大統領選のレポート(毎日更新!)にはじまり、アフガニスタン、イラク戦争、米中関係、そしてアメリカから見た日本の姿など、「変わろうとするアメリカ」の本当の姿がわかる一冊となっています。

 編集部では、発行にあわせ、9月に帰国した金平さんにインタビューを行いました。アメリカで何を感じ、そしてそこからわかった日本の課題とは──

※編集部からのお知らせ
インタビューの最後でも触れていますが、金平さんは近日中に《THE JOURNAL》に新ブログを開設して、連載を再開する予定となっています。お楽しみに!!

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Q:前回の赴任地はワシントン、今回はニューヨークでした。二つの街の印象は違いましたか?

ワシントンを永田町・霞ヶ関だとすると、ニューヨークは新宿・渋谷・銀座などが全部集まったようなところで、盛り場の集合体であり文化の発信地。だから、エネルギーがワシントンとは比較にならないほど大きかったですね。

政治の中心はワシントンですが、ニューヨークというのは、そういうものを受け止めて「アメリカがどう動くのか」という本音の部分が見えます。ウォールストリートもあるので、景気が悪くなると一番がっかりするのもニューヨーク。「人間がいる」という印象でした。

もう一つは、アメリカは多民族国家とよく言われるけど、ニューヨークに住むとそれがよくわかる。ワシントンにいるときは「自分は外国人」ということを強く意識したけど、ニューヨークで自分が外国人だと意識したことは一度もなかった。バスに乗ってもいろんな人種がいて、むしろアメリカ人がいない。「アメリカ人の定義って何?」と思うぐらいだけど、みんなアメリカ人。あらためてアメリカはすごい国だなと思いました。9月に帰国したけど、本当のところ、ニューヨークが少し懐かしくなっています。

Q:本には「外からの方が日本の本当の姿がよく見えることがある」と書いていますね

「ナショナルキャラクター」という言い方は好きではないのですが、日本人は全体に合わせ、個人は全体の中にあるものだという意識があって、過剰に同調を強いられる社会。日本では「こんなことやっているのはお前だけだ」という批判があるけど、それはアメリカでは評価される。180度違う社会なんです。

もちろん、日本は悪い社会という意味ではなくて、阪神大震災のように大きな災害があるとボランティアがたくさん現地に駆けつけたりして、良い面がたくさんある。だけど、いまの日本に元気がないのは、みんながみんなの顔色を見すぎて、はみだすのを怖れているからじゃないかなと思う。

Q:アメリカにいて「日本のここが変だ」と思ったことは何ですか?

一番びっくりしたのは、豚インフルエンザのときに日本人がみんなマスクをしていたこと。アメリカはマスクの習慣がないし、医学的な研究でもマスクに伝染を防ぐ効果がないことはわかっている。なのに日本人だけがマスクをしている。僕はニューヨークタイムズに掲載されている写真のセンスが好きでよく見ていたけど、そういう新聞に掲載された日本人の写真を見てアメリカ人は笑ってるんですよ。「あ、日本人ね」って。過剰に同調性を強いられる社会って不便ですよね。その結果、活力も衰え、内向き社会になってしまっていると思います。

Q:金平さんがアメリカにいる間に、メディアを取り巻く状況も大きく変わりました。特に、日本のメディアが内向きになっているのではないでしょうか

メディアを取り巻く状況はどんどん悪くなっています。ただ、メインストリートにいるメディアがダメになっているのはアメリカも日本も同じ。だけど、「どうやって生き残るか」というところで違いがある。アメリカは「どうやって自分たちを開いていくか」ということを常に考えています。反対に、日本の場合は「どうやって自分たちを閉じていくか」という方向に動いていて、「既得権益をどう守るか」というところにもつながっている。そこで何をやるかというと、「合従連衡」「コングロマリット化」・・ これはレーガン時代のアメリカがやったことに通じますが、そんなことをやってどうするんだと思う。

時代が変わって情報発信の仕方が根本から変わってきているのに、日本では新聞もテレビも雑誌もこれまで通りのやり方で発信しようとしています。外国からから見ていると、これはとても変な姿です。もちろん、媒体によって独自のやり方があると思うけど、いろんな情報発信を試みながら他流試合をやって、「自分たちの基盤はどこにあるのか」ということを考えるべきです。ある問題を訴えるときに、本を出すのか、テレビでドキュメンタリーを制作するのか、それともネットで発信した方がいいのかを考えて発信していけばいい。本来であればジャーナリズムや報道にたずさわる人間はそういうことに最も柔軟でなければならないのに、カチカチに考えてしまっているのが日本のメディアです。

Q:アメリカのメディアを見ていて驚いたことは?

ハフィントンポストですね。リンクのはり方、良質な記事を集める編集能力。すでに「ハフィントンポストにリンクをはられていない記事は一流ではない」という雰囲気になっていて、記事を作るよりもリンクをはる方が優位に立つ時代になったと思います。志を貫いていると感じたのはデモクラシーナウ。質の高い情報発信をインディペンデントのメディアがやっていることに驚きました。

あと、大きなメディアで比較すると、日本にはCNNのような本格的な24時間ニュースチャンネルがないということですね。これは日本の報道機関に世界へのニュース発信力がないということです。イギリスではBBCワールド、フランスにもフランス24、アメリカはMSNBC、CNBC、FOX、CNNなどがしのぎを削ってニュース発信をしています。

Q:日本でも新しい形の「ニュース文化」は形成されるのでしょうか?

日本とアメリカのどこが違うかというと、ハフィントンポストはアリアナ・ハフィントンという女性が自己の資金を元に社会的に意義のあることを始めたら、自然にメディアとして活動できるようになった。一方、デモクラシーナウは市民からの寄付で成り立っている。「粋に感じたものにはカネを出す」というアメリカの寄付文化のすごいところです。

ただ、日本は世界で見ればまだまだ相対的に豊かな国だし、「応援したいから500円払うよ」と思わせるほど質の高いメディアが出てくれば、可能性はあります。そういうメディアを日本で旗を立てる人が出てきてロールモデルができれば、雪崩をうったように新しいメディアが生まれてくると思います。

Q:金平さんは1995年からインターネットをつかって情報発信をしてきました。テレビとインターネットの違いはどこにありますか?

僕はやっぱりテレビの人間ですので、ニュースの特集でもドキュメンタリーでもいいものができたときは「やってよかった」と思います。ナイーブかもしれないけど、放送後にいろんな人から感想を聞いたり、一人暮らしのおばあさんから封筒に入った手紙が届いて「涙が出ました」とか言われると、本当に嬉しい。

ただ、僕はこれまでもインターネットで情報発信をしてきたのですが、なぜ書き続けてきたかというと、大メディア・大マスコミでは、本当に自分が言いたいことはできないことがあって、それをどこかでバランスをとっていたのだと思います。井上ひさしさんと対談したときにこの話をしたのですが、「気持ちがよくわかります」と言われました。自分自身の考えていることと「報道メディア」という錦の御旗のようなものを背負って大上段に構えて語ることには、どうしても折り合いがつかないものがある。そこを埋めていたのだと思います。

Q:テレビ報道への批判もこの数年で大きくなっています。厳しい状況の中で、今後はどのような報道をしたいと考えていますか?

テレビ報道でいえば、最近では、秋葉原事件の現場にあった被害者の祭壇からお供え物を盗んだホームレスをレポーターが追いかけて「謝れ」と言ったり、高齢者の万引きシーンを隠し撮りして警備員が問い詰める風景を延々と流した番組がありましたが、何のためにそんなことをやっているのかと思う。報道がやることは「なぜ、高齢者が万引きをしたのか」について、その背景を追いかけることです。ところが、いまのテレビはそうではないレベルで番組がつくられている。僕自身としても、そういう番組をつくる後輩を育ててしまって情けない。だけど、自分にも責任があるから「情けない」で終わってはいけない。

アメリカから帰ってきて、今の日本には「本当にそうなの?」というところがたくさんあるんです。たとえば「検察審査会」って何なの? これについてはいま関わっている番組でも、センスのいいディレクターがいて、検察審査会経験者を呼び、専門家へも取材して、何とか放送してみました。その他にも、死刑制度、裁判員裁判、検察のあり方、日本のメディアのあり方、外交のあり方、北朝鮮報道などなど、扱いたいテーマは山ほどあります。それらを時間がかかっても一つ一つ取り上げていきたい。悪いヤツを捕まえて、その人を晒し者にするような番組はあんまりつくりたくはないですね(笑)

Q:最後に、近々《THE JOURNAL》でもブログを再開していただけるとのことですが、ぜひ、その意気込みをお聞かせください

これまではアメリカからの発信でしたが、今度は日本から見た「@トーキョー」「@ニッポン」「@アジア」「@沖縄」「@北海道」など、いろんな視点で発信していきたいと思っています。いまの日本をちゃんと見るには、日本にどっぷりとつかるのではなく、醒めた眼でみた方がいいと思う。とても残念ですが、日本は世界から見て存在感がなくなりつつあって、危機的状況です。だからこそ、そこを「一致団結して」ではなく、はみ出してもいいし、少数派になってもいいから、「変なことは変だ」と筋を通していきたい。もちろんテレビでもやっていきますが、ブログであったり、本であったり、いろんな方法で発信していきたいと考えています。

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2010年11月12日

沖縄県知事選をめぐる民主党の2つの顔

第11回県知事選が(28日投開票)11日告示され、現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏(71)=無所属、自民県連、公明推薦=と新人2名の合わせて3人が立候補を届け出た。

現職に前宜野湾市長の伊波洋一(いは・よういち)氏(58)=無所属、社民、共産、社大推薦=が挑む、事実上一騎打ちとなる見通しだ。

今回の沖縄県知事選挙において民主党内部の相反する2つの動きが見えてくる。鳩山政権時代から「県外・国外」移設を一貫して訴える党議員と、県内移設の「日米合意」を進める党執行部の動きだ。

11月8日、民主党・川内博史(かわうち・ひろし)議員は岡田幹事長に呼び出された。川内氏は自身のツイッターにその時の様子をつぶやいた。

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11月8日の川内議員のツイッター

「沖縄県知事選挙、親友の伊波洋一さんの総決起集会に参加した。参加したと言っても、ただ黙って親友の晴れ姿を見ていただけ。でも、今日岡田幹事長に呼ばれ、警告を受けた。東京から念力を送るしかないのだろうか?」

呼び出しの前日、立候補予定の伊波洋一前宜野湾市長の総決起大会があり川内氏は参加者として出席していた。川内氏は鳩山政権時代から国会議員を束ねて署名集めをするなど、党内でも普天間基地の国外移設を積極的に訴えてきた人物だ。

県知事選に関して民主党執行部は川内氏のような政府案に対する党内議員の動きに目を光らせており、11月1日には党の基本方針を発表、「沖縄県連に所属しない議員は特定候補の応援禁止」「同県連所属議員には『節度ある慎重な行動』を求める」ことを決めた。

取り決めをする背景には当然今年5月の「日米合意」がある。仲井真・伊波両候補は普天間基地の移設先を名護市辺野古とする「日米合意」を受け入れない方向性を表明しているため、民主党執行部としてはどちらにも肩入れできない。特に伊波氏は宜野湾市長時代から普天間基地のグアム移転を目指しており、知事になれば基地問題を一から練り直す必要性が出てくる。「特定候補の応援」にあたる川内氏の行動は、執行部にとって無視できない動きだったのだろう。

一方で政府は現職の仲井真氏には少なからず期待を抱いている。仲井真氏は「県外移設を政府に求める」と表明したものの「県内反対」は明言しておらず、政府との対話は続ける姿勢を示している。仲井真氏は自公政権時代には辺野古移設を容認しており、当選後に県内移設やむなしとなることは十分考えられる。政府にとっては断固反対の伊波氏よりも仲井真氏に勝ってほしいことは明らかだ。

「日米合意」を粛々と進めたい政府は、県知事選で何も口出しせずに乗り切る構えのようだ。参院選に引き続き、県知事選でも静観する民主党政権の沖縄ビジョンは一体どこにあるのだろうか。

【関連記事】
■【インタビュー】玉城デニー:菅政権に普天間問題は1%も期待していない
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/09/post_653.html

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2010年11月 8日

シリーズ小沢一郎論(5)── 「小沢政治」待望の盛り上がり

日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)

 今まで日本一新の会に寄せた拙文には個別のタイトルをつけていたが、今回から「シリーズ小沢一郎論」の共通タイトルをかぶせる。今までが1〜4であり、今回が5になる。

 文化の日、産経新聞の1面、東谷暁氏の「『小沢政治』は葬るべし」という見出しのコラムが目に留まった。スゴイ見出しだなー、と思って読んでみると、こう書いてある--「検察制度そのものに対する批判とともに、小沢氏の『政治とカネ』も、『でっちあげ』に過ぎないとの見方が有力になり、小沢氏への同情と期待が膨らんでいるのだ。」

 これを読んで、私は感慨を抱いた。引用で指摘されているような内容は、かねてから我々が主張してきたことだが、マスコミが形成する「世論」では市民権を得られない、声無き声ではないかと思っていた。しかし、いつの間にか、産経新聞がこういうコラムで対抗すべきと考えるほど脅威に感じるくらいに、「小沢政治」待望の「輿論」は国民の間に広がっていたのである。

 これは、世論に迎合しない言論活動を展開するジャーナリストや有識者の皆さん、その意見や情報をブログやツイッターで自分で確かめ、自分で考え、自分で発言する大勢の人たちのおかげである。11月3日にはインターネットのニコニコ動画に小沢氏が生出演し、視聴数が14万とも15万ともいうくらいに上り、多くのコメントやツイートが寄せられ、代表選時をしのぐ盛り上がりとなった。「オザワ現象」である。
(日本一新の会編集部註=メルマガ配信時では21万に届きそう)

 さて、東谷氏のコラムはその後、「小沢氏の問題は『政治とカネ』にとどまるものではない」として、対中姿勢(去年12月15日の天皇陛下と習近平氏の会見の話と、600人超の訪中団の件)と幹事長時代の党運営に対する批判を展開する。

 習近平氏については、例の一ヶ月ルールが破られた、けしからん、という話だが、私は、なぜそもそも一ヶ月ルールに抵触することになったのかが不思議であった。というのは、習近平氏がその頃に訪日することは、年初には決まっていた由である。そして、習近平氏の夫人が歌手として11月に日本公演しているが、それが10月中に日本で報じられた際、習近平氏本人が年内訪日予定である旨も報じられている。私もテレビでそう聞いた記憶がある。習近平氏訪日は、10月中には日本全体の知るところとなっていたのである。

 だから私は、12月に入ってから一ヶ月ルールの話が出てきた時、なんで事務方がそれ以前に日程を調整できなかったのか不思議に思った。訪日直前に小沢氏が介入したという話が本当かどうか私は知らないが、もしそうだとしたら、事務方(日中双方にそれなりの非があるだろうが)が日程調整し損ねたのを政権与党幹事長が泥を被って納めた格好になっているのではないかと推測する。同じ時期の大訪中団は、昔(自民党時代)からやっていた日中交流事業「長城計画」の第16回目が、参加者がうんと増えて行われたということに過ぎない。騒ぐなら、小沢氏の所属政党が変わっても、16回も同交流事業を継続してきたことに感心して騒いで欲しい。

 幹事長時代の党運営に対する批判については、そもそも、与党幹事長が政策に関与してはならぬ、という体制の異常さを問題にして欲しい。「小沢はずし」こそ問題の核心であり、小沢氏が真に実力をふるう体制であれば、あんな体たらくにはなっていない。ある意味、この部分だけ変に引用されても困るが、「小沢独裁」になっていればもっとましだったのだ。もっとも、小沢氏が閣僚人事とか政策形成なども仕切れる立場にいれば、むしろ適切に役割分担して、独裁にはならないであろう。実は小沢氏は、多くの仲間と一緒に仕事をしたい、というのが基本スタンスだ。

 それにしても、産経新聞は純情だ。素直である。そのへんは好ましい。あとは、よく勉強して欲しい。愛国心は、悪くない。悪いのは、排他主義なのだ。

★   ★   ★

◎日本一新の会事務局からのお願い

「日本一新運動」の原点として連載している論説は、「メルマガ・日本一新」の転載であり、日本一新の会が、週一で発行しています。配信を希望される方は http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi から、仮登録してください。折り返し案内メールが届きます。

 相変わらず不着メールがあります。メールボックスの管理や、アドレスのタイプミスもあるようですから、各自で対応をお願いいたします。

2010年11月 6日

検察を糾弾するデモに1200人が参加!


↑ デモの様子を撮影した映像。映像後半には二見伸明氏と主催者の矢野健一郎氏のインタビューも収録


 5日夜、都内で10月24日に続く2回目の「検審を糾弾するデモ」が行われ、1200人(主催者発表)が参加した。

 デモ隊は明治公園をスタートに、「マスコミは偏向報道をするな」「取調べを可視化せよ」「小沢一郎に仕事をさせよ」などとシュプレヒコールをあげながら、明治通り、表参道、青山通りを歩いた。デモは今後も継続して行われる予定で、東京以外での計画も進行中だという。

 デモ終了後に本誌の取材に応じた二見伸明氏は「全国で小さくてもいいから(活動を)やってもらいたい。デモはできなくてもいい。小さな集会でもいい。あるいは手作りのチラシを作って知人に渡してもいい。そういう小さな動きがこれから必要なのではないか」と語った。なお、二見氏は当日の模様について近日中にレポートする予定。

 現在、「検察のあり方」や「日本の民主主義」について考える市民団体が同時多発的に発生している。今回のデモもそういった動きの中のひとつだ。

 その他の団体の動きでは、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」が、証拠隠滅罪で起訴された元大阪地検検事の前田恒彦氏に特別公務員職権濫用罪を適用するよう、最高検に刑事告発を行っている。告発状はすでに受理されており、今後の展開が注目される。また、同会はホームページのトップにドイツの神学者マルティン・ニーメラーの以下の言葉を掲げ、市民ひとりひとりが声をあげることを呼びかけている。


彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、私は共産主義者ではなかったから。

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、私は社会民主主義ではなかったから。

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、私は労働組合員ではなかったから。

彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった、私はユダヤ人などではなかったから。

そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった


 以下はデモの模様を撮影した写真。

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↑ 開始前から多くの人が集まる

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↑ 年齢層も様々。女性の参加者も多かった

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↑ マスコミを批判するプラカードが目立つ

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↑ 明治通り

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↑ 表参道(1)

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↑ 表参道(2)

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↑ 新聞止めますか、それとも、人間やめますか

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↑ 法治主義を守ろうとしないマスコミを批判する声がたくさん聞こえた

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2010年11月 5日

外務省のロシア担当人事を一新せよ!

鈴木宗男氏(新党大地代表)

 メドベージェフ ロシア大統領が国後島を訪問し大きなニュースになり、更に輪をかけて日本は、河野駐モスクワ日本大使を一時帰国させた。

 日露関係がどう動いて行くのか、よくよくアンテナを高く張っていかなければならない。

 何時も言う事だが外交には相手がある。一方的に自国の主張が通る外交はよいとは言えない。

 それにしても菅首相・仙谷官房長官・前原外相はこれまでの日露関係の経緯、冷戦時代・共産主義ソ連との関係、自由と民主のロシアになってからの日本の対応、政策転換等をよく頭に入れて対露外交をやっているのだろうか。

 外務官僚からの間違った情報をもとに記者会見をしていたのでは話にならない。ロシア担当の外務官僚が裂帛の気合で菅首相・仙谷官房長官・前原外相にお使えしているだろうか。

 9月2日の対日戦勝記念日(第2次大戦終結の日)が制定されてから、ロシア側から北方四島に大統領が行くという話しは流されていた。

 この2ヶ月どんな報告・情報がモスクワの日本大使館から、外務省小寺欧州局長から官邸に入っていたのか、菅首相はしっかり検証すべきである。

 インテリジェンス能力が問われ、遅れをとっていたのでは論外である。

 ユジノサハリンスクの総領事館も大統領が国後島を訪問する2日前にロシアの国章をつけた飛行機が来ている。館員を張りつけてでも情報収集にあたるべきでなかったか。

 河野大使の一時帰国と合せてユジノサハリンスクの総領事も呼んで経過を聞くべきである。

 10月26日の「ロシアの声」(元のモスクワ放送)からはシグナルが出されている。それにもかかわらず28日、河野大使は記者団に「噂としては聞いているが、具体的な事は聞いていない」と、暢気な事を言っていた。

 こうした認識のズレが、情報の無さが菅首相・前原外相にとって大きな読み違いとなったにではないか。

 大使は天皇陛下の認証官であり、日本国民の代表としてその身分は重い。

 その大使が、外務省のロシア担当局長である小寺欧州局長が正しくない情報を官邸と外務大臣にあげていたとするなら、国益を棄損することである。

 今回の出来事を教訓に菅首相・前原外相・仙谷官房長官は積極的に外務省のロシア担当関係者から事情聴取し、信賞必罰をすべきである。

 今必要なのは緊張感である。そして菅首相を守り抜くと言う気合が大事である。今後の日露関係を考える時、思いきった政治主導で、外務省ロシア担当者の人事を一新して新体制をとることが国益につながるものである。

 新しい対露関係の構築をしてほしいものである。

 ちなみに北方領土問題の基礎的・基本的な頭作りをする為に「ムネオの闘い」(K&Kプレス出版4月28日)の第一章を読んで頂けたら幸である。

 わかりやすく正確に書いてあるので、特に国会議員・マスコミ関係者にお勧めしたい。領土問題について参考にして頂ければ幸いである。

 アメリカの中間選挙でオバマ民主党は大敗した。

 雇用・経済政策で「ノー」を突きつけられたと言われている。その言葉はそっくり日本に当てはまるのではないかと思う。

 上院はかろうじて過半数を維持したが下院は惨敗でこれまた日本と同じく、ねじれ国会になる。

 ただ日本と違うのは、選挙に負ける事がはっきりした段階でオバマ大統領は下院で次期議長に目される共和党のベイナー下院院内総務らに電話をし、協力を呼びかけている。

 7月の参議院選挙で惨敗し、参議院でねじれになるとはっきりした時、菅首相は野党第一党の自民党に協力の声をかけただろうか。

 この点がアメリカと日本の民主主義の違いである。

 改めてアメリカの指導者のしたたかさを見た思いである。

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※この記事は11月4日付「ムネオ日記」より転載しました。(タイトルは本誌編集部がつけました)

尖閣漁船衝突ビデオ動画がYouTubeに流出!? 


↑衝突時の映像と思われる4本目のビデオ

 尖閣諸島周辺でおきた中国漁船による衝突事件で、問題となっている衝突時の映像とおもわれるビデオがYouTubeに流出していることがわかった。流出した映像は全6本。国会に提出されたビデオ以外のシーンも含まれている模様だ。報道によると、海上保安庁も映像の真偽を確認中だという。

■流出映像と思われるビデオ一覧(全6本)
http://www.youtube.com/user/badcombad

 1本目の映像では、海上保安庁が中国語で「こちらは海上保安庁。現在あなたたちは日本国の海域に入っています」といった主旨で警告を発している。

 衝突時の映像がはっきりしているのは4本目(2分すぎ)と5本目。音声が不明瞭なためはっきりしないが、4本目ではこの時も海上保安庁は中国語で「私たちの船はすぐ左側にいる。逃げるな、おい!」と停船を命じている。5本目では、「今すぐ離れろ、離れろ」と警告を発しているにもかかわらず、その後に衝突している。

■流出ビデオ1本目
http://www.youtube.com/watch?v=bZfKjLlxolE

■流出ビデオ4本目
http://www.youtube.com/watch?v=_VuKOF4EPuk

■流出ビデオ5本目
http://www.youtube.com/watch?v=6fNOvKnb4Sk

2010年11月 4日

中国人ジャーナリストが語る最新中国ネット言論事情(3) ── 中国で広がる「野次馬的な参加する民主」

■たりない日本の中国語情報発信力

 外交の手段としてもツイッターは使われています。

 たとえば、在中国のアメリカ大使館は、ツイッターのほかに、国内の人たちが普通に閲覧できる専門のブログページをつくり、自分たちが中国人に何を考えているか、何をやろうとしているかを呼びかけています。そうすることで、彼らは他のメディアに頼らずに自分たちの言いたいことを直接インターネットユーザーに届けています。

 僕としても、日本の外交関係者が直接ツイッターで中国語で情報を発信してほしいと思います。中国メディアに頼って情報発信をした場合、情報が変えられる恐れがあります。ですが、日本の外交関係者が中国語を使って直接ツイッターでつぶやけば、それに手を加えられることはありません。

■欧米は中国のインターネット・オピニオンリーダーと頻繁に交流会を開いている

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 在中国のアメリカ大使館では、毎月中国の有名ブロガー、または有名インターネットオピニオンリーダーを招いて会合を開いています。これがそのときの1回目の記念写真ですが、手前の2人が中国大使のご夫婦です。

 後ろから2人目(上から2列目真ん中)が僕です。この写真の僕の左側にいる彼が饒謹(ラオ・ジン)という有名なインターネットユーザーです。彼は、アンチCNNドットコムというサイトを運営していて、つまり、CNNの報道などをけなすことをやっています。その人もアメリカ大使との交歓会に参加しています。

 大使のすぐ後ろにいるのは孔慶東(コウ・ケイトウ)さんで、北朝鮮政府の支援者です。そういう方たちもアメリカ大使とのミーティングのゲストとして呼ばれています。

 こういうのを見ると、アメリカというのはパブリック・ディプロマシー(公共外交)で非常に賢い手法をとっているなと思います。

※「公共外交(public diplomacy)」とは、外交官を中心とする政府と政府の間で行われる「エリート外交」ではなく、外国の一般人を対象とする対市民外交のこと。

■魯迅が租界を利用したように、私たちはVPNを利用する

 魯迅は日本でもよく知られていると思います。彼は上海の租界に住んでいました。彼は中国の疎開について批判していたのですが、彼自身は(租界にいれば許される)発言の自由を活用していました。

 中国では色々な形でインターネットへのアクセスがブロックをされているわけですが、それを乗り換えて海外につながるため、VPNなどの技術を使って発言しています。僕はこのことを魯迅の例をもじって「VPN租界」とよんでいます。つまり、僕たちが100%の自由を利用してツイッターでつぶやいたものが、国内のマイクロブログ「新浪微博」でコピーされて人々に伝わる。そしてさらに次の人に伝わっていくのです。

■インターネットは中国に民主化をもたらすか?

 では、将来的にインターネットは中国に民主化をもたらすのでしょうか。

 現時点では、インターネットユーザーは4億人います。あと数年すれば中国の若者すべてがインターネットユーザーになると思います。

 そのとき、将来の中国のインターネットユーザーは次の3つを信用するようになると主います。

 1つめは、発言の自由はアメリカにあるものではなく、僕らが生まれた時から持っている自由だということです。発言の自由は(民主主義者ではない)民族主義者にも与えられているということです。

 2つめは情報も財産だということです。今年はじめにグーグルが中国から撤退する事件がありました。そのとき、僕らは民族主義者の立場ではなく、グーグルの側に立ちました。それはなぜかというと、「情報も財産である」という意識からです。たとえば、僕らが使っているGmail、あるいはGoogle Talkといったサービスによって僕らの情報は守られているという意識があります。なので、グーグルの立場に立ちました。

 そのほか、自分が語ろうとした言葉を削られることなく流す権利、つまり、自分がしゃべりたいことを誰かに勝手にくっつけられたり、短くされたり、ごまかされることなく自分が言いたいことを言いたいだけ発表する自由も含まれます。

 3つめは「参加する民主」が大事だということです。たとえば、現在ではフェースブック民主やツイッター民主ということが言われます。つまり、ツイッターやフェースブックを通じて自分が正しいと思ったものに一票を投じる(リツイートや賛意を表すボタンを押すことの意)。そういう参加の仕方で自分の意思を表し、そして民主に変えていくというやり方が現在語られています。

 これまでにアメリカや日本には伝統的な民主の形があったと思いますが、こういった「フェースブック民主」や「ツイッター民主」という形が、伝統的な民主のやり方も変えつつあるのではと思います。一方、中国の場合はいわゆる「伝統的な民主」はありませんでした。その中国に突然「参加する民主」、つまりフェースブックやツイッターで自分の意思や同意を表現する方法が現れてきています。

■ツイッターが変えるのは政治体制ではなく人の思考方法

 ただ、インターネットが変えられるのは政治体制ではなく、人の思考方法を変えるわけです。つまり、インターネットが人の思考を変えることにより、参加していくという形です。それが日本であれば議会民主主義につながりますが、中国はそこに至っていません。

 なので、インターネットによる民主化が政治的な民主化、または政治的な大きな改革に直接つながるという見方は単純にはできないと思います。

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↑ 草泥馬(ツァオニーマー)

 日本には「野次馬」という言葉がありますが、中国でも「草泥馬(ツァオニーマー)」といわれるインターネット上の言葉があります。これは発音を変えると、中国では人をののしる言葉なんですが、それをあるインターネットユーザーが、漢字を変え、アルパカ(=草泥馬)の写真を付けて広げました。これにより、インターネットで草泥馬というのはインターネット民主のアイコンになったわけです。

 インターネット民主というのは野次馬精神、つまり直接参与してデモをするわけではなくとも、デモに興味を持ち、デモに注目して自分たちの注目がそこに集まっているんだと表現することによって、それをパワーに変えていく。彼らの参与というのはデモを歩くことではなく、デモを見つめてデモに関心を持つという形での参与の仕方で自分たちの意見を発表する。そういう形がいまの中国のインターネット民主の参与の仕方です。

■ツイッターは中国にはじめて100%自由な発言空間をもたらした

 アメリカの雑誌「The Newyorker」にマルコム・グラッドウェルという方がいらっしゃいます。その方が「NYTimes.com」で「ツイッターは非民主国家に民主をもたらすか」という疑問を投げかけました。その中で僕も発言しています。

 僕自身はそれは不可能だろうという意見で、マルコムさんの視点に同意しています。ツイッターが100%非民主国家を変えることはできないだろうということです。

 ただ、僕が最後に付け加えたのは、中国を例にとれば、ツイッターは中国にはじめて100%自由な発言空間をもたらした。そこで自分の意見を発表し、今まで耳にすることのできなかった情報を手にすることができ、自分の意見を全国に伝えることのできる場所を持ったわけです。そこで、「ツイッター自体は革命ではないかも知れないが、ツイッターは革命的な効果をもたらすであろう」と僕は書き足しました。

 なので、最後の一言としてまとめたいのは、草泥馬は僕たちの代表議員ではありませんが、僕らの市民社会の行動のための希望のアイコンになっているのです。(了)

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日ロ首脳会談拒否はロシアにとって痛くも痒くもない

鈴木宗男氏(新党大地代表)

 新聞・テレビ・メディアは、昨日のロシア メドベージェフ大統領の国後島訪問の話題、ニュースで持ちきりである。

 不思議でならないのは、日本のモスクワ大使館・ユジノサハリンスク総領事館はどんな情報を外務本省にあげていたのか。

 『10月28日、在モスクワ日本大使館で記者会見した河野雅治駐露大使に記者団から「メドベージェフ大統領が11月早々に北方領土を訪問するとの情報がある」との質問が集中した。

 大使は「噂はあるが、具体的な計画があるとは承知していない。準備している話はない」と語った。大統領が国後島を訪問する4日前のことである。(産経新聞2日3面)』

 佐藤優さんも

 『日本外務省は「メドベージェフ大統領の北方領土訪問はない」と分析を誤った』

 と、同じく産経新聞で述べている。

 外務官僚の不作為が大きく国益を損ねている事は事実である。

 情報戦に初めから負けていたのでは話にならない。

 メドベージェフ大統領の国後島訪問をうけ、面白い事に菅首相はじめ野党のコメントも「遺憾だ」と言う表現で一致している事だ。

 「菅首相は1日午前の衆院予算委員会集中審議で「(北方領土は)我が国の領土であるという立場をずっと一貫して取っているので、その地域に大統領が来られたというのは大変遺憾なことだ」と、述べた。

 外相も「日本の原則的立場と全く相いれず我が国、国民の感情を傷つけるもので極めて遺憾だ」と強調した。(読売新聞1日夕刊1面)

 『自民党の石破政調会長は1日「極めて遺憾だ。今後の日露関係にいい影響を与えない」と記者団に語った。

 公明党の山口代表は国会内で記者団に対し「極めて遺憾で政府として厳重に抗議すべきだ」と求めた。

 社民党の福島党首は「極めて遺憾だ。政府は北方四島の返還が進捗(しんちょく)するよう努力してほしい」と述べた』(読売新聞1日夕刊2面)

 遺憾という言葉が与野党これほど使われた事はめずらしい。合せて臨場感・切迫感のない他人事(ひとごと)・評論家的いい方ではないか。

 北方領土問題解決に向けてどうしたらよいのか。小泉政権以後の不作為はなかったか。この空白の10年はどうしてか。大統領の訪問をきに、どうしたら解決につながるのか、前向きな話が出てこない。

 唯一、福島党首が「政府は北方四島の返還が進捗(しんちょく)するよう努力してほしい」と話している事が救いである。

 こうした時、強硬論を言うのは簡単だがそれで問題解決、先につながるのか。よくよく冷静に考えて頂きたい。

 外交の場合、責任ある政治は運動をしているのではなく、交渉し結果を出さなくてはいけないのだ。日本の主張だけをして通るのはよい外交ではない。

 外交には相手がある。お互いの名誉と尊厳がかかっている。この上で戦略・戦術をよくよく考えて進めていくしかないのである。

 無責任に対抗措置をとるとか、経済面を含めた厳しい対応をすべきとか、横浜APEC(アジア太平洋経済協力首脳会議)で日ロ首脳会談をするべきでないとか、さもさもの様に強く出る事が愛国者で、日本の声を代表するかのごとく振舞う人がいるが、それで何か成果があるのかとお尋ねしたい。

 ロシアは日本の経済力を今や期待していない。日本の応用技術には大きな関心と協力は期待している。首脳会談を拒否してもロシアは何も痛くも痒くもない。逆に話し合いの機会を無くすことは日本にとって不利益になる。現実を直視しなければいけない。空想的解決を何億回言っても、島は1ミリも近づいてこない。離れていくだけである。現実的解決に向け今、何をしなければいけないのか。菅首相はよく考えるべきであり、言葉の遊びをしている余裕はない。

 日本として2012年のロシア ウラジオストックAPECに最大限の努力はします。経済の近代化イノベーション化に世界一の日本の応用技術を活かす用意があります。ロシアと日本の協力が世界に貢献するのです。両国最高首脳が確認している未解決の係争地域である北方領土をメドベージェフ大統領と私で歴史の1ページを作りたい。その為には日ロ関係に造詣の深い鳩山前首相を私の代理として派遣します。鳩山前首相の発言は私の発言です。是非とも大統領ここは現実的解決に向けてお互い腹を割って話し合いましょうと、日本がカードを切って行くべきである。

 北方領土ビジネスの第一人者と言われる、袴田茂樹青山学院大学教授は

「アジア太平洋経済協力会議(APEC)で首脳会談を拒否するくらい、強い姿勢を示さなければ日本は北方領土問題をあきらめたと思われかねない」(読売新聞1日夕刊2面)

とコメントしているが、「首脳会談を拒否して困るのは日本ではないのか。ここでも身勝手な自分の生き残りしか考えない不届き者がいる」と正論を言ってくる人がいる。

 世の中きちんと見る人は見ていると感じた次第である。

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※この記事は11月2日付「ムネオ日記」より転載しました。(タイトルは本誌編集部がつけました)

2010年11月 1日

中国人ジャーナリストが語る最新中国ネット言論事情(2)── なぜツイッターが中国を変えることができるのか

 なぜツイッターが中国を変えることができるのかについて説明しましょう。

 まず、中国の報道メディアについてお話しします。中国の体制では、情報がメディアに流れて人々の手元に届くまでに政府が手を入れ、(体制側が)自分が語りたいように情報を変える習慣があります。

 ですので、ツイッターが出現するまでは、伝統メディアの仕事は1週間に5日、宣伝部と呼ばれる政府の機関が電話をしてきて、内容をコントロールするという形がとられていました。もちろん宣伝部の人も人間ですのでお休みが必要で、週末は必ず休みます。だから週休2日で5日間。電話でコントロールされるメディアです。

 なので、中国国内で我々が見たくても見れないような情報、たとえば劉暁波さんに関する情報も、基本的にニューヨークタイムズやワシントンポストなどの英語メディアを経て、状況を理解します。

■中国の記者にネット出身者が多い理由

 次に、中国と日本のメディアの違いについて少し時間をとってお話ししたいと思います。

 中国でインターネットカフェや家庭内にインターネットに引き込まれたのは1998年ごろのことです。そして、2000年にメディアの市場化という大きな変化があり、各地に大きなメディアグループが形成されました。

 問題は、そこに働いてくれる記者が見つからなかった。中国にも(メディアに関する)いろんな学校がありますが、急速にメディアが大きくなったため、そのぶんの記者を生み出すのは不可能でした。しかも、学校で教えられている教材も、それまでの新華社系の政府系の教育が行われていたわけで、突然商業化されたメディアの要求にこたえられなかったのです。

 そのときにメディアが目を付けたのが、すでにインターネットを使って情報発信をしているネットユーザーでした。

 たとえば僕も2000年以前はプログラマーでした。僕が大学で学んだのはコンピューターだったので、プログラマーをやっていました。その僕が2001年に北京の華夏時報のトップコメンテーターとして採用されました。

 その後、広州に本社を持つ新聞社の北京首席記者になり、同時にイラクのバグダッドに戦争取材に出ました。03年にイラクから帰ってきて、そのままニューヨークタイムズの北京オフィスに入り、4年間仕事をしました。その後、ケンブリッジ大学とハーバード大学で勉強しました。つまり、ただの1人のネットユーザーでプログラマーだった人間が、メディアの需要の拡大に伴ってこれだけ大きく可能性が広がったということです。

 さっき申し上げました2000年のメディアの拡大から現在まででちょうど10年がたちました。この10年間にあらわれた「メディアの拡大」の中で含まれてきた記者たちの約60%の人たちが、ネットユーザーというバックグラウンドを持つ人だったということです。

■ネットメディア出身記者による情報発信力の拡大

 なので、中国でブログやインターネットサイトが注目されるのは、こういうところに発端があります。

 つまり、彼らは記者になる前にすでにブロガーであり、情報を発信する人だったのです。おそらく他の国ではあり得ないことで、日本でもまったく逆の状況ではないでしょうか。なので、中国のメディア状況を理解するためには、こういった「伝統メディア」と「インターネットメディア」の関係をよく理解していただきたいと思います。

 メディアで働いている記者たちは、昼間は出社して自分たちのメディアに「書くべきことを書き、書いてはならないものは書かない」という仕事をしています。しかし、家に戻るとインターネットを通じて自分の取材内容、自分が知っていること、昼間に書けなかったことをブログや他のサイトで発表しています。

 なので、ブログや現在ではマイクロブログといわれるツールがありますが、これらが勃興することによって、中国人の情報発信力が非常に拡大されたのです。

■中国人はツイッターの登場ではじめて言論の自由を手にした

 2004年ぐらいからブログが勃興してきましたが、当局はブログが爆発的に増えるとどこに何が書かれているかをチェックできなくなり、自分たちの力だけでは管理できなくなりました。そのとき、当局は各ブログサイトに管理者をつくり、その彼らに不必要な発言をするブログを削除させることをしているわけです。ブログにマズイ情報が出たときは、だいたい半日以内にブログ管理者が見て、半日に1回ブログが削除されるという状態で管理が行われていました。

 それがツイッターでは一瞬のうちで言葉が出て行きますから、それをすべてチェックするとなると、莫大な人出と費用が必要になるわけです。そのため、マイクロブログ、あるいはツイッターは基本的に管理ができない状態になってしまったわけです。

 過去2000年にわたりまして、中国人はセルフコントロールで生きてきました。しかし、ツイッターが出現したことで、中国人は2000年来はじめて100%自由な発言空間を手にしたわけです。

■ツイッターが政治犯を救った

 その100%の自由な発言空間を手に入れた中国人はそこで一体何をしたかという話をしましょう。

 2009年7月5日、ウイグル自治区のウルムチで争乱が起こりました。中国では国内ニュースで最も早いのは新華社の英語サイトです。しかし、この事件では新華社の英語サイトが情報を流す30分前に、北京在住のアメリカ華僑であるカイザークオ(@kaiserkuo)さんがツイッターでウイグルで争乱が発生したという情報を流しました。

 7月16日には郭宝峰(@amoiist)さんというツイッターユーザーが、携帯を使って「i have been arrested by Mawei police,SOS(警察に捕まった。SOS)」というツイートを流しました。それが爆発的に広がり、これを読んだ海外のニューヨークタイムズなどのメディアがこの事件を報道しました。

※郭宝峰さんは汚職を訴えるビデオをネットに流して逮捕された

 その結果、中国だけでなく全世界のツイッターユーザーたちが、郭宝峰さんにハガキを送ろうということになった。そこで、ハガキの上に「郭宝峰、お母さんがご飯に帰って来いって言ってるよ」と書いて送るという運動がはじまり、収監されている獄にハガキが集中しました。中国全国だけでなく全世界からハガキが集中し、当局に圧力をかけたのです。その結果、郭宝峰さんは2週間後に釈放されました。これは、ツイッターを使って政治犯を救った最初の事件です。

 2010年2月22日には芸術家の艾未未が6人の芸術家を率いて、中国のメインストリートである長安街で横断幕を持ってデモ行進をしました。これは、(天安門事件以降の)20年来はじめて長安街にデモが発生した事件となりました。このとき、艾未未は自分の携帯電話を使って写真を撮り、ツイッターで即時に流し、デモがおこっていることを伝えました。

 また、ツイッターはエコロジーに関する活動にも利用されています。2009年11月23日に中国の南方都市の広州で起こった(ゴミ発電施設反対)デモでは、呼びかけもツイッターで、中継もツイッターでという形で全国に流れました。その結果、中国国内メディアでもきちんと報道されました。

 また、人権弁護士の許志永(@xuzhiyong)さんのNGO団体が当局によって脱税の疑いをかけられ、拘束された事件がありました。その脱税額は日本円で1700万円でしたが、2週間のうちにその情報を知ったツイッターユーザーがそのお金を集め、そしてそのお金を届けて許志永さんは2週間後に解放されました。僕は500元(約8000円)を出しました。そういうふうに一人一人が出せる小さなお金を出しあって参加したという事件でした。

■ダライ・ラマもツイッタでー中国人と交流

 ダライ・ラマ(@DalaiLamaCN)も中国語のツイッター用のアカウントをとり、日頃から中国人ユーザーと交流する場として利用しています。中国国内では当然ダライ・ラマと直接対話することはできません。中国語の一般ユーザーはダライラマに対していろんな考え方や反対意見を含む意見を持っています。それに対してはダライ・ラマは直接答えるという形で、両者の交流を促したこともありました。(続く)

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習近平体制で中国の政治改革は進むか? ── 次の次の「第6世代」に注目

takanoron.png 10月に開かれた中国共産党の第5回中央委員会総会(5中全会)で、習近平=国家副主席が中央軍事委員会の副主席に選ばれたことから、2012 年の次期党大会で彼が同国の最高指導者になることがほぼ確定した。ほぼ、というのは、この人事の裏側では、《太子党》の代表格である習を間に挟んで、今なお《上海閥》に君臨する江沢民=前国家主席と《共青閥》を率いる胡錦濤=現国家主席とが激しい駆け引きを繰り広げていて、今後2年の間に思わぬ展開がないとは言い切れないからである。

 胡錦濤の本心は、江沢民が推している習ではなく、同じ《共青閥》の後輩である李克強=副首相に後を継がせたいのだが、李は今ひとつ実績が上がらず人望も薄い。昨年秋に習を軍事委副主席にして最高指導者への道を確実にしようという機運が高まった時には、胡はそれを抑えつけて時間稼ぎを謀ったが、それに江は激怒して巻き返しに出た。今回の人事は、胡がとうとう李による後継を諦めて江の軍門に下ったことを意味するのか、それとも、すでに84歳の江が昨夏以降、重篤状態で入院中であると言われることから、江が亡くなれば「《太子党》プラス《上海閥》連合」から《太子党》を引き剥がすことが可能だと見て一時妥協したのか、専門家の間でも見方が分かれている。

●世代と派閥

 中国指導部の動静を占うには、世代と派閥の両面から見なければならない。世代論で言えば、胡錦濤主席と温家宝首相は67歳、68歳で第4世代、習近平と李克強は57歳と55歳で第5世代である。

 第1世代:毛沢東、周恩来
 第2世代:鄧小平、胡耀邦
 第3世代:江沢民、朱鎔基
 第4世代:胡錦濤、温家宝

 ----とほぼ10年サイクルで推移してきて、これからトップの座が第4世代から第5世代へと受け渡され、それに伴って「人材の宝庫」と言われる第6世代、すなわち現在40歳代半ばから50歳過ぎくらいの幹部がどっと中央・地方の重要ポストに進出してくることになる。

 共産党の中枢は中央政治局常務委員会で、07年10月の第17回大会で選出された現在の顔ぶれは次の9人である(序列順)。

 胡錦濤(党総書記、中央軍事委員会主席、国家主席/67歳)
 呉邦国(全国人民代表大会常務委員長[国会議長]/69歳)
 温家宝(首相/68歳)
 賈慶林(政治協商会議主席/70歳)
 李長春(党精神文明建設指導委員会主任/66歳)
 習近平(党書記処第1書記、中央軍事委員会副主席、国家副主席/57歳)
 李克強(副首相/55歳)
 賀国強(党中央紀律検査委員会書記/66歳)
 周永康(党中央政法委員会書記/67歳)

 習と李克強だけが50歳代後半の第5世代で、後は60歳代後半から70歳の第4世代である。呉、賈、李長春、賀、周の5人は《上海閥》もしくは江沢民派。習も、中央入りする直前に短期間ながら上海市トップの党委書記を務めており、その意味では半ば《上海閥》と言うか、それと《太子党》の接点に位置すると考えてよい。

 《上海閥》は、天安門事件後の江沢民の大出世に伴って急速に形成されたもので、江自身を筆頭に一族郎党で利権漁りに励む汚職体質が濃厚で、それが祟って06年には江がポスト胡錦濤の総書記にしたいと考えていた陳良宇=党委書記はじめ上海市幹部が根こそぎ逮捕される不正事件があり、江の影響力は著しく弱まった。このままでは胡錦濤派によって《上海閥》を壊滅させられると危機感を抱いた江らは、呉、賈、李長春のような「引退」と言われていた閥の重鎮を敢えて政治局常務委員に残すと共に、胡が李克強を常務委員入りさせて権力移譲への布石としようとしたのに対して機敏に習を送り込んで序列で1つ上に据えることに成功した。そしてさらに、翌08年の全人代で閥の代貸し的存在だった曾慶紅=国家副主席の後釜に習を置き、李克強が次期トップになる道を閉ざそうとしたのである。しかし逆に言えば、《上海閥》にはもはや送り込むべき人材がおらず、《太子党》に頼って生き延びるしかないという現れでもある。

 《太子党》は、第1世代、第2世代の大幹部の子女で、言わば親の七光りで党・政府の高位や企業トップの座に就いている人たちを、やっかみ混じりでマスコミが呼ぶもので、そういう党があるわけではない。総じて特権利用や利権漁りが大好きで、だから《上海閥》が共通の利害があると見て接近を図ってきたのだろうが、皮肉なことに習は、親の名を出して威張り散らしたり、おいしい思いをしようとしたりすることとは無縁の、珍しいほどの清廉潔白派であり、また大衆の声に耳を傾け彼らのために奉仕しようとする古き良き時代の古典的な共産党員タイプでもあって、彼を特権擁護の防波堤にしようという江沢民らの思惑は砕け散るかもしれない。常務委員の中には《太子党》はいないが、その下の政治局委員16人まで広げると、姚依林=副首相の娘婿の王岐山(副首相、62 歳)、薄一波=副首相の息子の薄熙来(重慶市党委書記)と、習と同じ"副首相の息子"仲間が2人いる。また、軍の古参幹部=劉瑞龍の娘の劉延東(前党中央統一戦線部長、現副首相級国務委員/64歳)、上海副市長=李幹成の息子の李源潮(党中央組織部長/59歳)もいる。彼らは《太子党》であるが同時に《共青閥》で、胡との結びつきのほうが強い。

 《上海閥》は、特権や利権を脅かすような急激な改革、特に政治改革=民主化には断固反対で、その意味で保守派の中心勢力。また日本との関わりでは、江沢民の個人的志向もあって反日的である。《太子党》はまとまった性格があるわけではないが、習に限っていえば穏健改革派で親日的と言える。

●《共青閥》の広がり

 これに対して《共青閥》は、共産党予備軍である「共産主義青年団」の活動から叩き上げて中央幹部に上がってきた人々である。共青には、共産党本隊に匹敵する7500万人が加盟していて、若くしてそれだけの全国組織の運営経験を積んだ彼らには、指導力・組織力、そして全国に張り巡らされた人脈ネットワークが備わっている。共青自体は1920年創設に始まる長い歴史があるが、何と言ってもその中興の祖は8代目の第1書記を1953年から1978年まで25年間も務めた胡耀邦で、登小平に引き立てられて81年に党主席(後に制度変更により総書記)になり、経済のみならず政治の改革を強く志向した。87 年に胡耀邦が保守派の総攻撃を浴びて解任された時の理由の1つに、彼が独断で中曽根康弘首相と約束して「日中友好21世紀委員会」を設立し、また「日中青年3000人交流」を推進した(私もその3000人の1人として訪中した!)ことが"罪状"とされたことが示すように、親日的である。

 《共青閥》は、政治局常務委員会の中では、トップの胡錦濤とその子飼いの李克強の2人しかいないが、温家宝は共青出身ではないものの、胡耀邦を「師と仰いでいる」と公言していているし、ここ数カ月は「経済改革だけでなく政治改革を」とあちこちで発言していて、その意味では《共青閥》の外戚といってよい。

 政治局委員まで広げると、共青の第10代第1書記(次の第11代が胡錦濤、1つ置いて第13代が李克強)の王兆国(全人代常務副委員長/69 歳)、王楽泉(新疆ウイグル自治区党委書記/65歳)、劉雲山(党中央宣伝部長/63歳)、汪洋(広東省党委書記/55歳)、上述の劉延東、李源潮がおり、また書記には令計劃(党中央弁公庁主任/54歳)がいて、実はすでに最大勢力であることが分かる。

 習近平がトップの座に就くとしても、中央政界に《太子党》という結束力のある勢力があるわけではなく、また彼を押し上げてきた《上海閥》も衰えが目立つ中で、結局は、首相として補佐するであろう李克強をはじめ《共青閥》に取り囲まれるようにして執政することになるのではないか。

●第6世代の台頭

 トップの座が習や李の第5世代に移ることで、さらにその次の第6世代が地方のみならず中央のポストにもどっと進出し、やがて2020年代には彼らがトップを奪うことになるが、この世代となるとますます《共青閥》の花盛りとなる。

 中でも注目株は、胡春華(内モンゴル自治区党委書記/47歳)で、早くも「次々期総書記間違いなし」とまで言われている。83年に北京大学卒業後、20年以上にわたりチベット自治区で共青団の活動に携わり、その間、同自治区党委書記として赴任した胡錦濤と密接な関係を築き、やがて06年、第15 代の共青団第1書記に抜擢される。その後、河北省長代理、省長を経て、成長著しい内モンゴルのトップに就いた。

 彼の前の第14代共青団第1書記だった周強は、司法畑を歩んだ後、共青の書記、第1書記を経験し、06年、当時最年少で湖南省長代理となり、やがて省長から党委書記に上り詰めた。50歳。

 共青団出身ではないが、2人と並ぶこの世代のホープと見なされているのが孫政才、47歳。農学博士で、農林科学院の研究員を経て北京市で農政や党務を担当、06年に国務院の農業部長に就き、さらに09年には吉林省党委書記に抜擢された。

 陸昊は北京大学の経済学修士で、紡績会社の副社長から03年、35歳の若さで北京市副市長、08年に第16代の共青団第1書記となって現在もその職にある。43歳。

 この世代は、文化大革命の混乱、とりわけ10年余りに及んだ学校教育体系の崩壊による被害を受けていない最初の世代で、まともな教育を受け、修士・博士、海外留学も当たり前。海外事情にも明るく、しかも共青団出身者の場合は胡耀邦の政治改革思想の影響下にある。習近平時代とは、習自身がどうだというよりも、彼を取り囲む第6世代が実権を握って「経済改革だけでなく政治改革を」(温家宝首相の米誌インタビュー)という方向が大きく動き出す10年間となるのではないか。中国の1人当たりGDPが1万ドルになるのは2014年前後と予測されており、それもまた政治改革を促す客観条件となるだろう。

 ノーベル平和賞を受賞した劉暁波も54歳で、第6世代の一番上もしくは第5世代との境目。彼が起草した「08宣言」は、決して過激ではなく、むしろ穏健と言っていいほどのもので、第6世代の民主主義感覚を代表していると見て差し支えない。「08宣言」のタイトルは聞いたことがあるが読んだことはないという向きも少なくないと思うので、以下に資料として掲げておく。▲

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《08宣言》

一、まえがき

 今年は中国立憲百年、「世界人権宣言」公布60周年、「民主の壁」誕生30周年であり、また中国政府が「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に署名して10周年である。長い間の人権災害と困難かつ曲折に満ちた闘いの歴史の後に、目覚めた中国国民は、自由・平等・人権が人類共同の普遍的価値であり、民主・共和・憲政が現代政治の基本的制度枠組みであることを日増しにはっきりと認識しつつある。こうした普遍的価値と基本的政治制度枠組みを取り除いた「現代化」は、人の権利をはく奪し、人間性を腐らせ、人の尊厳を踏みにじる災難である。21世紀の中国がどこに向かうのか。この種の権威主義的統治下の「現代化」か? それとも普遍的価値を認め、主流文明に溶け込み、民主政体を樹立するのか? それは避けることのできない選択である。

 19世紀中葉の歴史の激変は、中国の伝統的専制制度の腐敗を暴露し、中華大地の「数千年間なかった大変動」の序幕を開いた。洋務運動(1860 年代初頭から約30年続いた)はうつわの表面の改良(中体西用)を追求し、甲午戦争(日清戦争1894年)の敗戦で再び体制の時代遅れを暴露した。戊戌変法(1898年)は制度面での革新に触れたために、守旧派の残酷な鎮圧にあって失敗した。辛亥革命(1911年)は表面的には2000年余り続いた皇帝制度を埋葬し、アジアで最初の共和国を建国した。しかし、当時の内憂外患の歴史的条件に阻害され、共和政体はごく短命に終わり、専制主義が捲土重来した。うつわの模倣と制度更新の失敗は、先人に文化的病根に対する反省を促し、ついに「科学と民主」を旗印とする「五四」新文化運動が おこったが、内戦の頻発と外敵の侵入により、中国政治の民主化過程は中断された。抗日戦争勝利後の中国は再び憲政をスタートさせたが、国共内戦の結果は中国を現代版全体主義の深淵に陥れた。1949年に建国した「新中国」は、名義上は「人民共和国」だが、実際は「党の天下」であった。政権党はすべての政治・経済・社会資源を独占し、反右派闘争、大躍進、文革、六四、民間宗教および人権擁護活動弾圧など一連の人権災害を引き起こし、数千万人の命を奪い、国民と国家は甚だしい代価を支払わされた。

 20世紀後期の「改革開放」で、中国は毛沢東時代の普遍的貧困と絶対的全体主義から抜け出し、民間の富と民衆の生活水準は大幅に向上し、個人の経済的自由と社会的権利は部分的に回復し、市民社会が育ち始め、民間の人権と政治的自由への要求は日増しに高まっている。統治者も市場化と私有化の経済改革を進めると同時に、人権の拒絶から徐々に人権を認める方向に変わっている。中国政府は、1997年、1998年にそれぞれ二つの重要な国際人権規約に署名し、全国人民代表大会は2004年の憲法改正で「人権の尊重と保障」を憲法に書き込んだ。今年はまた「国家人権行動計画」を制定し、実行することを約束した。しかし、 こうした政治的進歩はいままでのところほとんど紙の上にとどまっている。法律があっても法治がなく、憲法があっても憲政がなく、依然として誰もが知っている政治的現実がある。統治集団は引き続き権威主義統治を維持し、政治改革を拒絶している。そのため官僚は腐敗し、法治は実現せず、人権は色あせ、道徳は滅び、社会は二極分化し、経済は奇形的発展をし、自然環境と人文環境は二重に破壊され、国民の自由・財産・幸福追求の権利は制度的保障を得られず、各種の社会矛盾が蓄積し続け、不満は高まり続けている。とりわけ官民対立の激化と、騒乱事件の激増はまさに破滅的な制御不能に向かっており、現行体制の時代遅れは直ちに改めざるをえない状態に立ち至っている。

二、我々の基本理念

 中国の将来の運命を決めるこの歴史の岐路に立って、百年来の近代化の歴史を顧みたとき、下記の基本理念を再び述べる必要がある。

自由:自由は普遍的価値の核心である。言論・出版・信仰・集会・結社・移動・ストライキ・デモ行進などの権利は自由の具体的表現である。自由が盛んでなければ、現代文明とはいえない。

人権:人権は国家が賜与するものではなく、すべての人が生まれながらに有する権利である。人権保障は、政府の主な目標であり、公権力の合法性の基礎であり、また「人をもって本とす」(最近の中共のスローガン「以人為本」)の内在的要求である。中国のこれまでの毎回の政治災害はいずれも統治当局が人権を無視したことと密接に関係する。人は国家の主体であり、国家は人民に奉仕し、政府は人民のために存在するのである。

平等:ひとりひとりの人は、社会的地位・職業・性別・経済状況・人種・肌の色・宗教・政治的信条にかかわらず、その人格・尊厳・自由はみな平等である。法の下でのすべての人の平等の原則は必ず実現されなければならず、国民の社会的・経済的・文化的・政治的権利の平等の原則が実現されなければならない。

共和:共和とはすなわち「皆がともに治め、平和的に共存する」ことである。それは権力分立によるチェック・アンド・バランスと利益均衡であり、多くの利益要素・さまざまな社会集団・多元的な文化と信条を追求する集団が、平等な参加・公平な競争・共同の政治対話の基礎の上に、平和的方法で公共の事務を処理することである。

民主:もっとも基本的な意味は主権在民と民選政府である。民主には以下の基本的特徴がある。(1)政府の合法性は人民に由来し、政治権力の源は人民である。(2)政治的統治は人民の選択を経てなされる。(3)国民は真正の選挙権を享有し、各級政府の主要政務官吏は必ず定期的な選挙によって選ばれなければならない。(4)多数者の決定を尊重し、同時に少数者の基本的人権を尊重する。一言でいえば、民主は政府を「民有、民治、民享」の現代的公器にする。

憲政:憲政は法律と法に基づく統治により憲法が定めた国民の基本的自由と権利を保障する原則である。それは、政府の権力と行為の限界を線引きし、あわせて対応する制度的措置を提供する。

 中国では、帝国皇帝の権力の時代はすでに過去のものとなった。世界的にも、権威主義体制はすでに黄昏が近い。国民は本当の国家の主人になるべきである。「明君」、「清官」に依存する臣民意識を払いのけ、権利を基本とし参加を責任とする市民意識を広め、自由を実践し、民主を自ら行い、法の支配を順守することこそが中国の根本的な活路である。

三、我々の基本的主張

 そのために、我々は責任をもって、また建設的な市民的精神によって国家政治制度と市民的権利および社会発展の諸問題について以下の具体的な主張をする。

1、憲法改正:前述の価値理念に基づいて憲法を改正し、現行憲法の中の主権在民原則にそぐわない条文を削除し、憲法を本当に人権の保証書および公権力への許可証にし、いかなる個人・団体・党派も違反してはならない実施可能な最高法規とし、中国の民主化の法的な基礎を固める。

2、権力分立:権力分立の現代的政府を作り、立法・司法・行政三権分立を保証する。法に基づく行政と責任政府の原則を確立し、行政権力の過剰な拡張を防止する。政府は納税者に対して責任を持たなければならない。中央と地方の間に権力分立とチェック・アンド・バランスの制度を確立し、中央権力は必ず憲法で授権の範囲を定められなければならず、地方は充分な自治を実施する。

3、立法民主:各級立法機関は直接選挙により選出され、立法は公平正義の原則を堅持し、立法民主を行う。

4、司法の独立:司法は党派を超越し、いかなる干渉も受けず、司法の独立を行い、司法の公正を保障する。憲法裁判所を設立し、違憲審査制度をつくり、憲法の権威を守る。可及的速やかに国の法治を深刻に脅かす共産党の各級政法委員会を解散させ、公器の私用を防ぐ。

5、公器公用:軍隊の国家化を実現する。軍人は憲法に忠誠を誓い、国家に忠誠を誓わなければならない。政党組織は軍隊から退出しなければならない。軍隊の職業化レベルを高める。警察を含むすべての公務員は政治的中立を守らなければならない。公務員任用における党派差別を撤廃し、党派にかかわらず平等に任用する。

6、人権保障:人権を確実に保障し、人間の尊厳を守る。最高民意機関(国会に当たる機関)に対し責任を負う人権委員会を設立し、政府が公権力を乱用して人権を侵害することを防ぐ。とりわけ国民の人身の自由は保障されねばならず、何人も不法な逮捕・拘禁・召喚・尋問・処罰を受けない。労働教養制度(行政罰としての懲役)を廃止する。

7、公職選挙:全面的に民主選挙制度を実施し、一人一票の平等選挙を実現する。各級行政首長の直接選挙は制度化され段階的に実施されなければならない。定期的な自由競争選挙と法定の公職への国民の選挙参加は奪うことのできない基本的人権である。

8、都市と農村の平等:現行の都市と農村二元戸籍制度を廃止し、国民一律平等の憲法上の権利を実現し、国民の移動の自由の権利を保障する。

9、結社の自由:国民の結社の自由権を保障し、現行の社団登記許可制を届出制に改める。結党の禁止を撤廃し、憲法と法律により政党の行為を定め、一党独占の統治特権を廃止し、政党活動の自由と公平競争の原則を確立し、政党政治の正常化と法制化を実現する。

10、集会の自由:平和的集会・デモ・示威行動など表現の自由は、憲法の定める国民の基本的自由であり、政権党と政府は不法な干渉や違憲の制限を加えてはならない。

11、言論の自由:言論の自由・出版の自由・学術研究の自由を実現し、国民の知る権利と監督権を保障する。「新聞法」と「出版法」を制定し、報道の規制を撤廃し、現行「刑法」中の「国家政権転覆扇動罪」条項を廃止し、言論の処罰を根絶する。

12、宗教の自由:宗教の自由と信仰の自由を保障する。政教分離を実施し、宗教活動が政府の干渉を受けないようにする。国民の宗教的自由を制限する行政法規・行政規則・地方法規を審査し撤廃する。行政が立法により宗教活動を管理することを禁止する。宗教団体〔宗教活動場所を含む〕は登記されて初めて合法的地位を獲得するという事前許可制を撤廃し、これに代えていかなる審査も必要としない届出制とする。

13、国民教育:一党統治への奉仕やイデオロギー的色彩の濃厚な政治教育と政治試験を廃止し、普遍的価値と市民的権利を基本とする国民教育を推進し、国民意識を確立し、社会に奉仕する国民の美徳を提唱する。

14、財産の保護:私有財産権を確立し保護する。自由で開かれた市場経済制度を行い、創業の自由を保障し、行政による独占を排除する。最高民意機関に対し責任を負う国有資産管理委員会を設立し、合法的に秩序立って財産権改革を進め、財産権の帰属と責任者を明確にする。新土地運動を展開し、土地の私有化を推進し、国民とりわけ農民の土地所有権を確実に保障する。

15、財税改革:財政民主主義を確立し納税者の権利を保障する。権限と責任の明確な公共財政制度の枠組みと運営メカニズムを構築し、各級政府の合理的な財政分権体系を構築する。税制の大改革を行い、税率を低減し、税制を簡素化し、税負担を公平化する。公共選択(住民投票)や民意機関(議会)の決議を経ずに、行政部門は増税・新規課税を行ってはならない。財産権改革を通じて、多元的市場主体と競争メカニズムを導入し、金融参入の敷居を下げ、民間金融の発展に条件を提供し、金融システムの活力を充分に発揮させる。

16、社会保障:全国民をカバーする社会保障制度を構築し、国民の教育・医療・養老・就職などの面でだれもが最も基本的な保障を得られるようにする。

17、環境保護:生態環境を保護し、持続可能な開発を提唱し、子孫と全人類に責任を果たす。国家と各級官吏は必ずそのために相応の責任を負わなければならないことを明確にする。民間組織の環境保護における参加と監督作用を発揮させる。

18、連邦共和:平等・公正の態度で(中国周辺)地域の平和と発展の維持に参加し、責任ある大国のイメージを作る。香港・マカオの自由制度を維持する。自由民主の前提のもとに、平等な協議と相互協力により海峡両岸の和解案を追求する。大きな知恵で各民族の共同の繁栄が可能な道と制度設計を探求し、立憲民主制の枠組みの下で中華連邦共和国を樹立する。

19、正義の転換:これまでの度重なる政治運動で政治的迫害を受けた人々とその家族の名誉を回復し、国家賠償を行う。すべての政治犯と良心の囚人を釈放する。すべての信仰により罪に問われた人々を釈放する。真相調査委員会を設立し歴史的事件の真相を解明し、責任を明らかにし、正義を鼓舞する。それを基礎として社会の和解を追求する。

四、結語

 中国は世界の大国として、国連安全保障理事会の5つの常任理事国の一つとして、また人権理事会のメンバーとして、人類の平和事業と人権の進歩のために貢献すべきである。しかし遺憾なことに、今日の世界のすべての大国の中で、ただ中国だけがいまだに権威主義の政治の中にいる。またそのために絶え間なく人権災害と社会危機が発生しており、中華民族の発展を縛り、人類文明の進歩を制約している。このような局面は絶対に改めねばならない! 政治の民主改革はもう後には延ばせない。

 そこで、我々は実行の勇気という市民的精神に基づき、「08憲章」を発表する。我々はすべての危機感・責任感・使命感を共有する中国国民が、朝野の別なく、身分にかかわらず、小異を残して大同につき、積極的に市民運動に参加し、共に中国社会の偉大な変革を推進し、できるだけ早く自由・民主・憲政の国家を作 り上げ、先人が百年以上の間根気よく追求し続けてきた夢を共に実現することを希望する。

★(括弧)内は訳注。

★邦訳原文:http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e597ba5ce0aa3d216cfc15f464f68cfd2


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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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