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パスカル・バレジカ:フランスとロマ──ロマの強制送還を考える

8月27日の報告によると、ジュネーブに本部を持つCERD(人種差別撤廃委員会)はロマに対するフランスの政策を非難した。9月末には、ブリュッセルの欧州委員会が、フランスは欧州連合内における自由な人の移動を尊重していない、とフランス政府を強く非難した。さらにローマ教皇やキューバのカストロ元議長もフランスをとがめた。

サルコジ大統領のフランスはレイシストになったのか?そもそもロマとは何なのか?

「ロマ」という言葉はロマの言語であるロマニ語で「人間」を意味する。だがロマは欧州各国で様々な呼び方をされている。ジプシー、ジタン、ツィガーヌなどである。ロマは欧州における最後の放浪の民だ。しかし、今やその半数以上が定住している。ロマは欧州のすべての国に住んでいる。全部あわせたら700万人から1000万人ぐらいだろう。

ロマの起源はインドにあるが、中世の間に欧州にやってきた。時にはよく迎えられ、社会の辺境で生きた。ルーマニアでは、ロマは長い間、奴隷にされていた。歴史を振り返ると、欧州のいくつかの国ではロマを追放したり、抹殺したりしようとした。

たとえばフランスのルイ14世はすべての「ボヘミアン」(フランスにおいてはしばしばロマをこう表現する)の男をガレー船に送って使役し、その子供は救済院に送るようにと命じた。第2次大戦中は5万人から22万人のロマがナチの絶滅収容所に送られて殺された。

今フランスで起きている問題は2007年1月にブルガリアとルーマニアが欧州連合に加盟したことに起因する。この2つの貧しい国が欧州連合に加盟し、国境が開放されたことで、両国の地方に在住していたロマがどっと欧州の他の国々に入ってきた。

ブルガリアとルーマニアから来たロマは今フランスに15,000人近くいる。問題は複雑だ。まず、ロマたちは出国してきた国々でもあまりよく思われていなかった。彼らはしばしば隔離さえされていた。さらにブルガリアとルーマニアから来たロマたちは、両国から出て来た一般市民と同様、フランスで職を見つけるのが難しかった。移行期間に設定された7年間に開放された職業は150種に限定されている。さらに雇用する側は特別な税を納めなくてはならない。これも彼らの雇用を一層難しくしている。

フランス政府はフランス国内の労働市場を厳しく締めることで右派の有権者に取り入ろうとした。ブルガリアとルーマニアからやってきた多くのロマをフランス国内から強制退去させたのだ。今年に入ってすでに8,000人が強制送還されている。1969年に人種に基づく追放を禁止する条約を結んだにも関わらずだ。

「優先的にロマが住んでいる不法キャンプは徹底的に解体せよ」と明記された通達がフランス政府によって作成された。フランス政府は国際協定を踏みにじったのである。さらに困ったことに、フランスはロマに関してこれまでも好意的ではなかった。

第2次大戦中、ドイツ軍の占領下においてではあったが、フランス当局は1940年4月に「国家の安全のために」ロマたちを強制収容所に監禁することに決めたのである。そのため6,000人から6,500人のロマが、その90%はフランス国籍だったが、各地の強制収容所に送られた。しかも、最後の収容所が閉鎖されたのは第2次大戦終結から1年近くたった1946年6月1日だった...

現在のフランス政府がいかに否定しようと、フランスはルイ14世の時代からロマを敬遠してきたのである。

寄稿 : パスカル・バレジカ(Pascal Varejka)
翻訳 : 村上良太

(この記事は「日刊ベリタ」から許可を得て転載しました)

【参考文書】
1969年の条約=「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination)

【関連記事】
■ロマってどんな人たちなの?(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20101014ddm003070123000c.html

■仏の少数民族ロマ送還は違法 欧州委、法的措置検討(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092901001178.html

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ロマのベリーダンサーDedem

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Didem Turkish bellydancer


ロマである父親は、ユーゴスラビア生まれ。
ロマである母親はトルコ北部出身DIDEMは13のときからレストランやクラブや結婚式で踊っていた。


THE JOURNAL編集部様

祖国を持たない欧州最大の少数民族と呼ばれるロマの人々。
長年の移動生活の習慣からなのか、大半の子供は、学校へ行かず、親に強制されて物乞いやぬすみを働いているそうです。
ロマの人々に対する差別偏見は根深く、それが、問題をより難しいものにしているようです。

フランスの送還の措置に対し、ルーマニア政府は、フランス政府が不法滞在の少数民族ロマの人々を出身国のルーマニアに送還したことについて「経済危機を背景にした大衆迎合主義、排外主義の台頭を心配する」と表明した。
といいますが、
そもそもルーマニアでも、満足な生活ができにないうえ、差別されていたわけですから、送還されてもルーマニア国内に留められるのかは分からないと思います。

しかし、もし、
仮にこれが、日本でのことと捉えた場合、欧州で起きている様々な問題を知ると、人道的立場での行動、発言、共生の精神の堅持に私自身悩まないとは言い切れません。

踊りや歌に優れた文化を持つロマの人々が、教育やお金儲けに長けていたらなどと、変な感慨を持ってしまいました。
対岸に居る私は、このような記事を通して、ロマの人に限らず、紛争の根底には、必ず、貧困と教育の問題が有るのだと云う事を知ることができます。
今を知ることは大切だと、又、思いました。

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