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【来日インタビュー】映画『小屋丸 冬と春』監督:都市で失われた「博愛」と「連帯」

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映画『小屋丸 冬と春』がユーロスペースで公開された。

この映画は新潟県十日町市の合計4軒13人が暮らす小さな集落「小屋丸(こやまる)」を舞台に撮影された。フランスの現代美術作家として知られるジャン・ミッシェル・アルベローラ監督が2007年から2年間、計10回にわたってパリから通い、カメラを回し続けた。

今回はフランス人監督・アルベローラ氏をインタビューし、小屋丸を映画の舞台にした動機、都市と農村の関係などについて答えていただいた。

 *   *   *   *   * 

ジャン・ミッシェル・アルベローラ氏(『小屋丸』監督)
都市で失われた「博愛」と「連帯」
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撮影:《THE JOURNAL》 2010年7月7日撮影

─日本で撮影された外国映画は数多くあります。その大半は東京など都市部を舞台とした作品です。なぜ撮影場所を日本に、また小さな集落を選んだのでしょうか

東京だけが日本ではありません。

必ず「周辺」という存在があることをこの映画で表現しました。小屋丸という集落は日本の"空気"のような存在です。

─農村に住む人々はこの映画をどうとらえるでしょうか

農村で見せようが都市で見せようが変わらないと思います。

この映画は私が西洋人の視点で撮りました。日本の農民だけでなく、フランスの農民、世界中の農民が直面している普遍的な問題を提示していると思います。

─住民だけでなく、マイクを抱えた音声スタッフなどの制作側が登場している狙いはどこにありますか

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この映画は小屋丸の人々の生活についてのドキュメンタリーであり、同時に撮影するという行為自体のドキュメンタリーでもあります。小屋丸の住民にとって、この映画はひとつの経験であり、同じように制作側にとっても映画的経験をしました。

映画は彗星のように小屋丸に降ってきたわけでなく、すべての人にとって生活の一部となっていました。

─日本では「限界集落」という言葉があります。小さな集落は将来なくなる運命にあるようにメディアは書きたてます。それに対して、小さな集落ほど持続する力を持っている、都市で学べないものが農村にあるという文脈で発行されている雑誌・「季刊地域」が日本にはあります。映画『小屋丸』にも共通する意識があるように感じます

季刊地域」の問題意識を『小屋丸』も共有しています。

私が映画で撮影したのは、都市の考え方から疎外された、都市とは違う考え方を持った人々でした。彼らは都市には住めない、住みたくないと思っている人々でした。

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差し出した季刊「地域」はインタビュー中に何度も眺め、最終的に"お持ち帰り"されました

彼らは食べものについての考えや、自分達がどう食べていくかということに対して非常に自然な考え方を持っており、私は本物の生き方を考えている人たちだと思いました。都市の人たちとは異なる時間や空間の認識と意識を持った人々です。

都市住民が小さな集落の生活を見ることは、別の視点をもつために必要だと思います。都市は非常に速いスピードで生活が流れています。そこにいる人々は普通ではありません。

─取材をする時に、取材対象に受け入れられることは難しいと思います。『小屋丸』では住民との距離感が近いように感じました

実際に小屋丸の人々は「博愛」をもって受け入れてくれました。私にとって博愛という経験を小屋丸でしました。自分達の人生をきたんなく博愛をもって語ってくれました。

─現在の社会、特に都市に不足しているものがこの映画で表現されているのですね

都市で失われたものはその「博愛」と「連帯」です。

「自由」というものを求める風潮もありますが、北朝鮮などの専制国家でない限り自由は大した問題ではないと思います。それより今は重要なのが「平等」「博愛」であり、格差や男女といった問題です。

小屋丸は連帯について描かれた映画で、ひょっとすると共産主義的映画かもしれません。本当に都市の人々が小屋丸の映画を理解したならば、連帯というものが始まるのではないかと思います。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部)

 *   *  <映画情報>  *   * 


映画『小屋丸 冬と春』予告編(再生時間:2分06秒)

<公開情報>
〜2010年10月29日、渋谷ユーロスペースにてロードショー

監督:ジャン=ミッシェル・アルベローラ
出演:小屋丸の住民の皆さん、柳昇、ボイコ・ストイアノフ、ジフカ・アンドレーヴァ・ストイコヴァ
フランス・日本/2009年/モノクロ/日本語・フランス語/デジタル/88分
配給=NPO法人越後妻有里山協働機構
後援:在日フランス大使館、十日町市
助成:アントワーヌ・ド・ガルベール財団、カルチャーフランス、フランス基金
宣伝:スリーピン
配給:NPO法人越後妻有里山協働機構

<入場料金>
一般1700円/大学・専門学校生1400円/会員・シニア1200円/高校生800円/中学生以下500円

■映画『小屋丸』公式サイト
http://www.echigo-tsumari.jp/artevent/koyamaru.html

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時間と空間が、自分と遊離せず、身近に意識できる世界、それが小屋丸という一つの部落なのでしょう。
確かに現代人、特に都市部に住み、核家族化した人にとっては、異質な空間かもしれませんが、私のように、昔の田舎で、のびのびと子供時代を過ごした人間にとっては、極めて懐かしい思い出が広がってきます。
映画、是非観に行きたいと思います。情報、ありがとうございました。

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