Calendar

2010年8月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

Recent Entries

« 東祥三:小沢一郎の時代は本当に終わったのか?
メイン
鈴木宗男:我が国の民主主義が根底から崩されている! ── 在職25年表彰演説全文 »

田中利幸:核兵器廃絶へ「市民による平和宣言2010」

 本日5日に「8.6ヒロシマ平和のつどい2010」が広島市内で開催され、「市民による平和宣言2010」が採択される予定だ。

 この宣言は毎年広島市長が読み上げる「平和宣言」とは別に、8月6日に市民が発表している「市民の平和宣言」だ。オバマ政権の核に関する矛盾点をあげ、日本政府の姿勢についても厳しい指摘をしている。

 平和宣言の起草者で広島市立大学広島平和研究所教授の田中利幸氏(8.6ヒロシマ平和へのつどい2010実行委員会代表)に許可を頂き、以下に草案全文を掲載する。


----- 【市民による平和宣言2010】(案)-----

 1945年7月16日午前5時半、米国アラモゴードでプルトニウム爆弾が炸裂し、この核実験で人類は恐るべきパンドラの箱を開けました。8月6日にウラン爆弾が広島に、9日にはプルトニウム爆弾が長崎に投下され、両市で一瞬のうちに数万人の市民が殺害され、年末までに20万人以上が死亡しました。あれから65年、今年5月に開かれたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議の最終報告書で、核兵器禁止条約の必要性が初めて唱われました。いかなる理由・目的にせよ、核兵器の使用は「人道に対する罪」であり、核抑止政策はそのような重大な罪を犯す計画を立て準備をしているという意味で、明らかに「平和に対する罪」という犯罪行為であるという認識が広島の平和運動の原点であり、被爆者のメッセージの中に常に込められている思いです。8月6日の平和記念式典には、初めて米国政府代表としてルース駐日大使が出席しますが、米国政府が犯した重大な犯罪に対する真摯な謝罪を私たちは要求します。

 オバマ米国大統領は、核軍縮を提唱しながらも、この「核抑止力」をあくまでも維持することを表明。備蓄核弾頭の「寿命延長計画」を中心とする核兵器関連予算に今年度は約5,700億円、来年度は6,300億円をあてています。国防予算も、ブッシュ前政権時代をはるかに上回る63兆円が来年度要求額で、ノーベル平和賞を授与された大統領の下で、米国の軍事予算は史上最大額となっています。その上、アフガン戦争はパキスタンにまで拡大し、米兵の数は10万人を超えて戦況は泥沼化し、多くの市民が米軍無人爆撃機の無差別爆撃で殺傷されています。さらにオバマ大統領は、イスラエルの核保有・パレスチナ人とその支援者の殺害を黙認し、インドへの核技術輸出政策を一方でとりながら、イランへの強圧的外交で中東危機を煽っています。東アジアにおいても、核抑止が相変わらず米政府の基本戦略であり、これが北朝鮮問題を中心とするこの地域の政治不安定の根本原因の1つであることは明らかです。

 そのような米国に、沖縄・岩国をはじめ多くの市民の「基地はいらない」という強い声を、日本政府は、はっきりと伝えることができません。「予算仕分け」では、毎年約2,000億円近い米軍への「思いやり予算」や防衛費(今年度約5兆円)については全く手を触れようともせず、日米安保体制という日本・アジア支配政策で市民に犠牲を強いるこれまでの政治経済構造を維持し続けようとしています。政・官・業の腐敗した長年にわたる癒着が原因である財政危機を口実に、菅政権は、消費税引上げという、一般市民、とりわけ高齢者、母子家庭、非正規雇用者、障がい者などの経済的弱者をさらに窮乏化するような愚策しか打ち出していません。私たちにとって今最も必要なのは、この閉塞した日本社会を根本的に変革する政策であり、そのための基本的指針は憲法、特に前文、憲法第9条「戦争放棄・平和主義」と第25条「健康で文化的な生活を営む権利」に明確に表現されています。誇るべきこの憲法の尊重と、憲法精神に基づいた真の政策変革を、私たちは政治家と官僚に強く要求していきましょう。

 さらに、核兵器製造につながる危険性をもつ原子力の利用、とりわけ六ケ所再処理工場の稼働、もんじゅ運転、プルサーマル導入によるプルトニウム利用の即時停止を私たちは求めます。また、美しい瀬戸内海の環境を破壊する中国電力による上関原発建設を中止させ、自然エネルギー源を利用する運動の力強いうねりを被爆地・広島からつくり出しましょう。同時に、経済利益を優先させるためには核兵器保有国でありNPT非加盟国であるインドへの原子力技術輸出も促進するという菅政権の態度に対して、私たちは強く抗議します。

 今年は「韓国併合」という日本による朝鮮植民地化の開始から100年目にあたります。しかし朝鮮に対する日本の圧迫は実際には1875年江華島への軍事攻撃から始まっており、その後長く(朝鮮人被爆者を含む)朝鮮民族への差別・搾取が行われ、様々な不義不正行為を日本人は行いました。今こそ、私たち日本市民と政府が、侵略と植民地支配の歴史を根本的に反省し、償い、新しい平和関係を構築する機会にしたいと願います。

 核兵器廃絶を達成するために最も必要なものは、非人道的行為を徹底的に否定する強い意志と、差別や暴力行為の被害者の痛みに対する深い倫理的想像力です。被爆者の体験から私たちが学んだことは、どんな状況下においても人間性を深く追求し続けることの大切さです。私たちは、「想像力を活かした人間性追求」を根本理念とする反戦・反核平和運動をこれからも続けていきましょう。

-------------------------------------------------------------------------------------
【プロフィール】
田中利幸(たなか・としゆき)
広島市立大学広島平和研究所教授。西オーストラリア大学にて博士号取得。オーストラリアの大学で教員を長く務めた後、敬和学園大学教授を経て現職。第2次大戦期における戦争犯罪の比較分析を研究テーマとしている。著書に『空の戦争史』(講談社現代新書)、『戦争犯罪の構造―日本軍はなぜ民間人を殺したのか』(大月書店)などがある。

* * <告知> * *

<8.6ヒロシマ平和のつどい2010>
tudoi2010.jpg

<開催日時>
8月5日(木)18:00〜20:30

<会場>
広島市まちづくり市民交流プラザ 北棟研修室ABC(広島市中区袋町6-36)

<参加費>
1,000円

<連絡先>
8.6ヒロシマ平和へのつどい2010実行委員会(代表・田中利幸)
住所:広島市西区天満町13-1-709
FAX:082-297-7145 
Eメール:kunonaruaki@hotmail.com

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/7233

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 田中利幸:核兵器廃絶へ「市民による平和宣言2010」:

» 核兵器マニアによる核兵器 送信元 核兵器
先日のことです。私の友人が教えてくれたんですけど核兵器についてたくさんの資料を・・・【国際】日中の尖閣諸島衝突問題が平和的に解決されることを望む ...... [詳しくはこちら]

» 発見!核兵器 送信元 核兵器
今日のブログ10選!毎日その日の更新ブログを調査しています。核兵器についての最新情報を得るにはこの手が一番!田中利幸:核兵器廃絶へ「市民による平和宣言2... [詳しくはこちら]

» もうどうでもいい・・・核兵器 送信元 核兵器
やっぱり奥が深いよな核兵器知りたいことが沢山ありますね。田中利幸:核兵器廃絶へ「市民による平和宣言2010」 (News Spiral)1945年7月1... [詳しくはこちら]

コメント (3)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容をご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

本当に目指すべきは、武器無き世界であって、核兵器廃絶は本質的な意味が無い。ただの兵器の経済的合理化に過ぎない。

読ませていただきました。
たいへんすばらしい「市民の平和宣言」草案ですね。読んでいて感動しました。

「想像力を活かした人間性追求」を根本理念とする反戦・反核平和運動に私も一市民として行っていきたいと思います。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

日々起こる出来事に専門家や有識者がコメントを発信!新しいWebニュースの提案です。

BookMarks




『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

→ブック・こもんず←




当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.