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<インタビュー>岸裕司:「新しい公共」を問う─学校を365日開放してスクール・コミュニティを目指そう!

【「新しい公共」と日本の将来ビジョン 】

「新しい公共」がつくり出す社会は「支え合いと活気がある社会」である。すべての人に居場所と出番があり、みなが人に役立つ歓びを大切にする社会であるとともに、その中から、さまざまな新しいサービス市場が興り、活発な経済活動が展開され、その果実が社会に適正に戻ってくる事で、人々の生活が潤うという、よい循環の中で発展する社会である...

─(「新しい公共」宣言(H22.6.4)より引用)─

 鳩山内閣総辞職の直前にまとめられた「新しい公共」宣言は鳩山氏肝いりの政策テーマで、菅政権にも引き継がれた。「理念的で現実がともなっていない」と批判され続けた鳩山元首相のもとで、新しい公共の形づくりは進んでいたのか。

 千葉県で唯一のコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)指定校である習志野市秋津小学校を拠点に、住民だれでもが参画できる生涯学習のまちづくりを実践してきた秋津コミュニティ顧問・岸裕司(きし・ゆうじ)氏に「新しい公共」に関わる地域や学校の課題を聞いた。

 *   *   *   *   * 

岸裕司氏(秋津コミュニティ顧問)
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──岸さんが運営している秋津コミュニティは「新しい公共」の先駆けとなる現場だと思います。学校の授業や施設を地域住民に開放し、そこを拠点に子どもから年配の方までが活動しています。学校が「居場所」であり、生涯学習の場になっていますね。

 僕らの取り組みは、いつでもどこでもだれでも学べる生涯学習の学校づくりです。

 改定教育基本法の第3条には「生涯学習の理念」が謳われ、その後に学校教育や社会教育が続いています。つまり教育目標の第1に生涯学習社会の実現が位置づけられたのです。

 2009年11月鳩山政権当時、政府に呼ばれて意見を出しに行きました。すでに秋津コミュニティに「生涯学習の理念」の実践例があることを話しました。既存の学校の授業と施設を開放すれば、身近な学校で十分生涯学習の推進効果があるということを説明しました。

──昨年政権が自民党から民主党へ変わりました。変化は感じられましたか?

 11月の説明で印象的だったのは横に座っている官僚たちです。2時間発言せずに座っていました。意見を求められないわけですから当然ですけどね。

──大臣の前に官僚が資料やデータをさっと出すような仕草もなかったのですか

 川端達夫文科大臣や鈴木寛文科副大臣は自信満々で、官僚の方を見向きもしませんでした。報道で聞いているのとは違い、政治主導の決意を目の当たりにした瞬間でした。

──「脱官僚主導」「脱中央集権」は進んでいるということですか

 その一方で地方自治体は変わっていません。

 国会で法律がつくられると、法律の所轄の中央省庁におりてきます。2004年に法制化されたコミュニティ・スクールの場合、文科省におりてくると理念が薄まり、さらに地方自治体までおりると文科省の顔色を伺うようになります。つまり地域に近づくにつれて理念が矮小化される傾向があります。

──地域に近い地方自治体の進むスピードが遅いのですね。

 例えば地方自治体がコミュニティ・スクールの規則をつくる際に、地域に合わせて独自につくればいいのに文科省の例示を真似てしまいます。自分たちの独自性を出すことに躊躇してしまうようです。

「指導行政」という言葉があります。それは文科省が都道府県を指導し、都道府県が市区町村の教育委員会を指導し、市区町村の教育委員会が学校現場の教員を指導するという明治時代からの一貫した上意下達の「指導」のあり方です。

 コミュニティ・スクールは生徒や保護者・地域住民が委員になれます。その委員に対して教育委員会が「指導・助言」という文言でコントロールするように規則で縛るケースが多いのです。

 なぜ保護者や地域住民が教育委員会に指導されなければいけないのでしょうか。指導されたくないですし、逆に法制化の理念を教えてあげたいぐらいです。

──今後のキーワードは

 コミュニティ・スクールが法律になったのは、まさに地域主権と民主主義を築くためです。

 約140年まったくタッチできなかった学校の人事にもようやく関与できるようになりました。納税者市民が教員の人事に意見できるようになったのは画期的で、実際に秋津小学校では教員を1人増やしてもらいました。

 今後のキーワードは「子どもとともに」です。「子どものために」「学校のために」「教育のために」と言っていると、いつまでたっても地域は学校や教員の下請け役から脱却できません。学校を365日開放し地域住民による自主運営型の生涯学習学校に変えれば、大人にもメリットが出てくるのです。

 こういうあり方の秋津モデルを、スクール・コミュニティと呼び、学校運営改革を意図するコミュニティ・スクールの上位と感じています。

【参考資料】
■「新しい公共」宣言(内閣府)
http://issuu.com/j_the_journal/docs/100604_newkokyo

■全国コミュニティ・スクール一覧(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/1283399.htm

【告知】
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 岸裕司氏をはじめ、《THE JOURNAL》主宰・高野孟も呼びかけ人になっているPTAに関するフォーラムが8月に開催されます。

 政府の「新しい公共」宣言では、「PTAの活性化によるコミュニティ・スクール(「学校運営協議会」制度)への道」が提唱されました。

 「寺脇研氏(京都造形芸術大学教授)や川端裕人氏(作家)と『新しい公共』とPTAをテーマにフォーラムを開こうということになりました。秋津コミュニティの実践例を紹介する予定ですので、ぜひ参加していただければと思います」(岸裕司)

<日時>
2010(平成22)年8月7日(土曜日)9:30受付、10時開始-16時終了

<会場>
福武ラーニングシアター(東京大学本郷キャンパス内)赤門入って左20mの建物地下1階

<参加費>
500円(予定・資料代)

<連絡先>
〒113-0033 東京都文京区本郷1-30-16-402
(株)パンゲア・岸裕司
TEL:03-5689-5711
FAX:03-5689-5710
E-mail:pangea@pb3.so-net.ne.jp

<フォーラム詳細>
http://pta-forum.seesaa.net/

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【プロフィール】岸裕司(きし・ゆうじ)
1952年東京生まれ。中央大学法学部通信教育課程中退。1980年東京湾の埋め立て地・習志野市秋津にまち誕生と同時に家族と転居。1986年から秋津小学校PTA会長を含む役員経験7年。以後小学校区の生涯学習の充実に努め現在に至る。著書に『学校を基地に「お父さんの」まちづくり―元気コミュニティ!秋津』『「地域暮らし」宣言―学校はコミュニティ・アート!』『学校開放でまち育て―サスティナブルタウンをめざして』『中高年パワーが学校とまちをつくる』がある。

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http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

岸様
はじめまして。学校を地域住民の「居場所」にという考えに大賛成です。地域の誰もが関わりのある学校という場所がいつの間にか閉鎖的な場所になっていることを憂慮していました。20年ほど子供が地元の公立小学校に通っていたのですが放課後固く門を閉じ、遊び場のない子供たちを尻目に教員が校庭でテニスに興じている姿を見て何ともやるせない気持ちになったものです。安全上、放課後は学校に入れないというのが公立の学校の言い分なのでしょうが、「公共」とか「共生」とは程遠い姿だったと思います。岸さんの仰るように学校が誰でも参加できるコミュニティとしての役割を果たしてくれたら社会の空気が明るく変わるような気がします。ご活躍を期待しています。

20年ほど⇒20年ほど前

のあやまりです。失礼しました。

hirokoさんへ
ユーくんと孫娘や「地域の孫たち」に呼ばれて喜んでいる岸裕司です。
応援歌をいただきまして、誠にありがたき幸せ!ははぁ(頭を垂れている様子)!
で、8月7日のPTAフォーラムに可能であればぜひご参加を。
では、アディオス! アミーゴ!

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