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菅政権に仕事をさせるかさせないかという選択 ── 参院選に問われていること »

《対談》普天間基地問題の根源を考える(後編)〜吉元政矩(元沖縄県副知事)×高野孟

《普天間問題の節目 9月名護市議会選挙と民主党代表選》

吉元:普天間問題をめぐり、沖縄担当大臣が水面下で前市長を呼んで汚い工作をしました。いわゆる誘致賛成派に対してです。沖縄の人はオープンですから、前市長は「会いました」と言っていました。

高野:みんなわかってしまうわけですか。つまり9月に名護市議会選挙があります。今まで26人の市会議員のうち積極的な賛成派は4、5名で、その数を増やそうというわけですね。

吉元:10~12名まで増えていると言われています。

高野:きわどいところですね。市長は反対と言っているけれど、賛成派の議員を増やすことで突破しようとしているわけですね。

吉元:誘致するかどうか決められないという構図ができます。そうなれば決めるのは沖縄県知事です。

高野:11月の沖縄県知事選はどうなりますか。

吉元:まだ公表されていませんし、本人も立候補表明をしていませんが、次の知事候補は現宜野湾市長の伊波洋一氏を推す声が高まっています。 6月の宜野湾市議会選挙で市長が何を表現するかが注目です。地元側から県内移設反対をうったえれば、普天間基地は固定すると外務大臣がはっきり言いました。

高野:一種の脅しですね。

吉元:防衛大臣も、平野官邸サイドもそれらしい言い方をしています。

 宜野湾市長は4月からの新年度予算で日米政府を裁判で訴えますと表明しました。現在の普天間空港は安全基準に違反しています。日本の航空法さえクリアしておらず、日本が黙認していることも問題です。沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落する事故が起こりましたし、日常的には爆音で人権問題になっています。

 6月の議会で訴えることを表明した後、伊波市長が知事選に立候補すれば8月ごろ市長の補欠選挙があります。普天間問題の実務者協議の結果が8月末に出て、9月に臨時国会、名護市議会選挙、そして民主党代表選挙と続きます。この時期が普天間問題の節目になります。

《米軍再編の本音と普天間問題失敗の原因》

吉元:2010年5月に「2プラス2」の共同声明が発表されました。普天間基地が辺野古へ移設されるにあたって、米海兵隊だけでなく自衛隊も入ると書かれていました。やっと日本政府から本音が出ました。近々航空自衛隊は嘉手納基地に入り、嘉手納基地の菅理運営まで任されます。

 これからは米軍基地、自衛隊基地どちらかではなく、共同で菅理運営するようになります。常駐するかは別として、有事の際にはいつでも統合された基地を使える状態をつくっておくことが米軍再編の本音だと思います。

高野:名目上は自衛隊基地になるわけですね。自衛隊が日常菅理して、有事の際には米国も使えるということですか。

吉元:統合されていけば、日本が米軍基地に支払う土地代がいらなくなります。思いやり予算で払われている米軍基地の労働者賃金も払わなくてよくなるのです。今回普天間問題をめぐる混乱は、思いやり予算の整理などを通した日米軍事同盟の将来像を描ききれなかったところに原因があったと思います。

高野:旧ソ連の上陸侵攻に備えていた陸上自衛隊は、目標がなくなった後行き場所がなくなって、南西諸島の島嶼防衛を新たな任務にしようとしているという話を防衛省筋から聞きました。島嶼防衛はまずは海上保安庁の役割であり、それで間に合わなければ海上自衛隊が出て行くことで、陸上自衛隊の話ではないでしょう。

《東アジア安保構想と在日米軍ゼロ計画》

吉元:米国を中心に世界を見てみると、米国は大西洋をはさんで右手でイギリスとかたく手を結び、左手では太平洋をはさんで少しフラフラした日本と手をとっています。2者と手をつないでいる限り、ユーラシア大陸に対する影響力を発揮できるというのが地政学的な米国の発想です。米国と距離を持ちたいのが独自通貨までつくったEUです。イギリスはその間で中途半端になり、イラク戦争にもつながりました。

 日米関係については、日本側に主体的に論議する力が小さかったと言えます。在日米軍が引こうとすると、北朝鮮が危ない、中国が危ないと言います。つい先月、ヒラリー・クリントン米国国務長官は約200名の官僚を連れて中国に行き、戦略経済対話をしました。その中国を危険だと騒ぎ立てている日本はおかしいでしょう。「日米が安定していないと困る」と中国のシンクタンクからも私に情報がきています。

 政権交代したのですから、基礎を整理し直して、安全保障の問題、とりわけ過重な負担をしている沖縄の問題に取り組んでほしいです。沖縄の海兵隊が必要かどうなるかどうかといった矮小化された議論に引きずり込まれた結果、鳩山氏の「海兵隊の存在に学べば学ぶにつけ、米軍全体の中での役割と抑止力に思い至った」との発言に至ったのだと思います。

 2012年に中国の国家主席がかわります。ロシアと韓国は大統領選挙をむかえ、台湾では総統選挙があります。そして同じ年に米国の大統領選挙です。解散がなければその翌年に日本では総選挙が予定されています。民主党は2国間だけでなく、東アジア全体の集団的安全保障をつくりあげられるか、東アジアにおける日本の役割を描けるかが問われています。マニフェストの中にきちっと明記し、国民に問うべきだと思います。

 2014年には沖縄から海兵隊が8,000名が移り、嘉手納以南の中南部の基地はすべて解放されます。2015年はASEANが共同体へと移行し、経済の共同体ができます。日本と中国と韓国、いわゆる「ASEANプラス3」を引き込んで東アジア経済をつくるところまで具体化できていますから、それを頭に置いて、在日米軍をどうするかを考えれば日本の将来像はきれいに描けます。在日米軍を計画的にゼロにし、東アジアにおける安全保障ができれば国民は安心できるでしょう。

《東アジアの"結び目"としての再スタート》


《対談(再生時間:9分29秒)》

高野:菅首相は日米合意を受け継ぐとだけ言いました。これからは米国を背にして沖縄県民に向かうのか、沖縄を背にして米国と再交渉するのかが決定的に問われます。厳しい選択だと思います。

吉元:沖縄をこのままにしてはダメで、放っておけばもっと厳しい情勢になることを知っているはずです。単に鳩山氏の流れを受け継ぐのでなく、菅首相自身がスタンスを明確にしてほしいです。そして菅首相本人でなくても、官房長官などの周辺が沖縄と接触する機会を増やし、米国を背中にして沖縄県民に向かうのでなく、沖縄を背にして米国と再交渉してほしいです。

高野:次の総選挙で外交政策の問題は「東アジア共同体」であり、冷戦の遺物としての日米同盟だけに頼るのでないという方向性を示せるか。そして国内問題は「地域主権国家への転換」です。この2点で総選挙に臨まなくてはいけないと思います。総選挙の争点に、沖縄の特別州構想がスポッとはまらないといけません。

吉元:菅政権では地域主権国家は先行すると思っています。関係省庁だけでなく、党側に出して議論してもらいたいです。沖縄に関する問題は普天間問題で矮小化されてしまいました。地域主権構想が始まっているのだから普天間の問題を早く解決してくれという視点で進めたいです。

高野:沖縄の将来構想と結びついて、東アジアの協力関係の拠点は沖縄であるとなれば、沖縄が日本を変えるというイメージがわきます。

吉元:1995、6年ごろに一国二制度や国際都市構想の説明をしていた頃、官僚に「沖縄の北に日本がある」と言ったことがあります。日本はアジアの中で北部に位置しています。日本は世界からアジアの中心とはみられていません。沖縄の西、鹿児島と同じ距離には人口約13億人の国、南には10カ国の途上国、東には米国があります。沖縄は日本の南ではなく、東アジアの中心、"結び目"だという見方をしてくれれば、冷戦の終焉と将来を見通す基本になります。沖縄は遅れているのではありません。

高野:一番わかっていないのが東京ですよ。地域主権なんて言ってますけど、自分の地域のことを自分で考えられるのは沖縄ぐらいしかないです。

吉元:東京は米国ばかりみて情報を集めています。東京は遅れています。菅政権が鳩山政権から学ぶべきことは、情報の集め方でなく、使い方です。

 沖縄が地域主権を進めるためには、まず中央から権限を下ろすことから始めなければいけません。中央政府の「許容の範囲」ではなく、財務省が菅理する金融、国有財産以外は沖縄に全部渡してほしいと思います。

 そして40年もの間、国の計画としてつくられた沖縄振興計画が適用されてきましたが、2011年に期限を迎えます。2012年には新しい特別法に移ります。自主外交をできるようにして、地方政府をつくっていきます。約40年前の琉球政府時代にやっていたことを、地域主権として再現していきたいと思います。

2010年6月9日、《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

【関連記事】
《対談》普天間基地問題の根源を考える(前編) 吉元政矩×高野孟(6/24)

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

「東アジア共同体」と「地域主権国家への転換」を二本柱として、取り組んでもらいたいです。

【東アジアの"結び目"】としての沖縄が日本を変えていく。沖縄がこの二本柱にした新たな政治がはじまる。沖縄が先陣を切り、これを主導していく。

ここに目指すべき夢と希望がありますね!

地球市民はここから生まれるのだろうと思います。

 前編のコメントで鳩山氏は日米合意を反故にしたまま辞職すればよかったと書いたが。
 後編の最初に沖縄担当大臣(前原)は普天間基地の辺野古沖移転賛成派の前市長を呼んで汚い工作をしたとあります。
 そうです前鳩山内閣で沖縄問題担当の4大臣が行った裏切り行為がここでも証明されています。平野は名護市長選挙で前市長を応援し、官房機密費を使ったという噂があります。岡田、北沢は最初から辺野古沖ありきで米側と交渉した様子は欠片もありません。鳩山首相の意向を踏みにじる獅子身中の虫ばかりでした。
 日米合意をまとめ社民党を連立から外す。昨年末前原が宗主国アメリカの日本利権屋に示したプランどうりです。そして合意後の鳩山退陣と、
 ここで将来設計をいろいろ述べているが所詮画餅にすぎない空論であり、今の菅政権ではできない。
 条約でも合意でも国益に反すれば破棄するのは当然で、アメリカなどは平然と行っている。
 少なくとも現内閣はもうこれ以上のことはできないことははっきりしている。
 内閣の交代による日米合意の破棄。そして再交渉による普天間基地撤去こそ最も望まれる。
 韓国の天安の北朝鮮説も日米合意直前ということを顧慮すればなんとなく怪しいのではと思う。船体の亀裂等の損傷部分が全く映像にでないのも大いに機に係る事項である。イラクの大量殺傷兵器保有と同じパターンか。

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