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2010年5月31日

【録画放送中】川村昌代×横田由美子×喜納昌吉:沖縄基地移設問題と官邸の裏側


《トークライブ(再生時間:9分39秒)》

 5月26日東京・六本木で『週刊朝日』編集記者・川村昌代氏とルポライターの横田由美子氏が喜納昌吉ライブにトークゲストとして登場しました。

 話題は一連の基地移設問題から、メディアと検察問題、名護市長選から見えた官邸の裏側など多岐にわたりました。喜納昌吉トークライブ第3弾をどうぞお楽しみ下さい!

※撮影環境の問題により、番組中に雑音が入っている箇所がございます。限られた環境の中で撮影していることをご理解下さいますようお願いします。

普天間問題が「元に戻った」というのは本当か? ── これから始まる本質的な議論

takanoron.png 普天間移設問題は、「辺野古周辺」とする5月28日の日米共同声明で取り敢えず"決着"したが、これは何ら決着でなく、地元合意も社民党=福島瑞穂党首の同意もないままの"暫定"合意にすぎず、これから対米、対地元、(そしてもし社民党が連立に残留していれば)対与党内の本質的な議論が始まる。

 実際にはどうなるかと言えば、

(1)8月末までに辺野古周辺とは言ってもどこにどういう施設を作るかを詰め「工法」を決定し、それから環境評価調査が始まる。場所と工法によっては環境評価はイチからやり直しになり、またこの施設に新規配備される主力機である垂直昇降輸送機V-22オスプレーの騒音調査はこれまでの環境評価には含まれていないので、かなり時間がかかるし、その結果がGOであるかどうかは確定的なことではない。

(2)場所と工法がどうであれ、名護市長と名護市議会は当然、移設を拒絶する。

(3)官邸としては9月下旬の名護市議会選挙に向けて、現在は26人中10人強に止まっている移設賛成派の議員を増やして、「市長は反対だが市議会は賛成」という二元状況を作って市長を孤立させようと姑息な裏工作を進めているが、たぶん成功せず、結局、地元の賛成は得られない。

(4)他方、宜野湾の伊波洋一市長は国が普天間基地の危険性を放置しているとして、今秋には国の不作為を問う訴訟に踏み切る公算が大きく(同市はすでに今年度予算にそのための法的措置の調査費120万円を計上済み)、政府はさらに追い込まれる。

(5)その伊波宜野湾市長はよく知られているように「グアム全面移転」の主唱者で、彼が11月の沖縄県知事選に出馬して当選すれば、ますます地元の反対は固まる。

(6)そこで鳩山はオバマに、「大変申し訳ないが、どうしても地元の了解を得られないので、海兵隊をグアムやテニアンに全面移転して、なおかつ日本及びアジアの平和と安全を確保する方策は考えられないか」と言う。

(7)オバマは、2015〜25年を通じての「米軍再編」ヴァージョン2で、在アジア米軍兵力の削減と効率化、在日米軍基地の大幅縮小・撤去、グアムの軍事拠点化を考慮中なので、鳩山の話に耳を傾ける。

(8)そこで両首脳は、今更辺野古に新施設を建設することを避けて、グアム移転までの時限を明示して、日本本土に暫定移駐するか、もしくは普天間に我慢を求めるかするという新たな日米合意に達する。

 ......ということになる可能性がある。

●「見直し」に踏み出したのは間違いだったのか?

 この"決着"をめぐる鳩山政権に対する非難囂々は当然だし、私自身もほとんど腰が抜けそうな失望感に囚われている。が、だからと言って、鳩山が普天間移設の06年日米合意の「見直し」に踏み込んだこと自体が間違いだったのかどうか。

 5月22日付『中日新聞』の1面下のコラム「中日春秋」は、要旨こう書いている。

▼自民政権時代の日米合意に待ったをかけて始まった話なのに、結局、たどり着いた政府案というのが、それと煮たか焼いたかの内容なのだから反発は当然である。首相の手腕への失望が極まったとしても不思議ではない。

▼ただ、さはさりながら、こうも考える。では、かつての合意のまま米国に素直にハイと言っている方がよかったのだろうか...。

 世論の流れに逆らうようで申し訳ないが......と言わんばかりの遠慮がちの筆致ではあるけれども、まさにそこが核心で、鳩山政権は06年の現行合意をそのまま黙って引き継いで粛々として建設開始の手続きを始めることも出来たのに、敢えて火中の栗を拾って「見直し」を表明した。06年案を地元は受け入れていたのに余計なことをしたと自民党などは主張するが、その受け入れ合意は、「日米安保が壊れてもいいのか」という恫喝のムチと700億円に及ぶ地元振興費による買収のアメで住民を真っ二つに引き裂いて無理矢理押しつけたもので、政権交代を機に一旦白紙に戻して見直そうというのはまったく適切な判断で、"英断"とさえ言えた。

 しかし結果的に元の案を「煮たか焼いたかの内容」に戻ってきたのだからこの8カ月は無駄だったと言う人が少なくないが、そうではない。23日付毎日に載った宜野湾市の自営業(42歳)の「普天間問題で鳩山政権を評価」という投書はこう述べている。

●単に元の案に戻っただけなのか?

▼多くのメディアは「先延ばししただけで結局現行案に戻った」と報じているが、私は普天間問題が国民的関心事になった点で単に元に戻ったとは考えない。前政権だったら、国民は沖縄で起きていることを知らなかったはずだ。今回は大きな変化を伴って回帰したと思う。

▼これまでは「多くの米軍基地があり、いくつか事件が起きている」程度の認識しかなかったが、今回の動きを新聞、テレビが報道した結果、沖縄の現状が国民に伝わった。

▼5月末と期限を切ったため議論が尽くされていないが、日米地位協定の実情、日米安保の抑止力、日米同盟の本質などを国民が議論し、民意形成のスタート地点に立ったと考えたい。その意味で政権交代と鳩山首相誕生を評価したい...。

 『サンデー毎日』6月6日号も「安保を飲み屋の話題にした鳩山の偉大なる"功績"」と題した巻頭特集を組み、次のような識者コメントを集めている。

▼鳩山首相の国外・県外移設宣言で基地問題がクローズアップされたのは確か。結果、図らずも「安保」「日米同盟」がお茶の間や飲み屋での話題になりました。日本の安全保障にここまで関心が高まったのは珍しいことですよ。自民政権では考えられません。鳩山首相の大きな「功績」と言えると思います(浅川博忠=評論家)。

▼国民に「国外・県外」を約束したのは軽率だったかもしれません。でも、問題を国民の議論の俎上に載せたことは評価していい(岩下明裕=北海道大学教授)。

▼基地の過重負担状況が変わらない中、鳩山首相の「最低でも県外」の言葉は「初めて差別問題に気づいた総理」として沖縄では評価されました。このため、移転問題が難航しても、退陣要求論は沖縄では大きくならない。「途中で投げ出さず、最後までやってくれ」という思いからです。その点、米国は(地元の共感や支持がなければ抑止力たり得ないという)「人間の抑止力」の重要性をわかっていて、地元が反発する敵地のような場所に基地は置かない。県内移設を強行すれば、沖縄戦を経験した高齢者も座り込みに加わるでしょう。反対行動は各地の米軍基地に飛び火し、それこそ米国が最も望まない状況に陥る可能性が高いように見えます(佐藤優=元外務省主任分析官)。

●基地拒否はすでに不可逆

 さらにもう1人引用しよう。鹿野政直=早稲田大学教授(日本近現代思想史)は24日付朝日の文化欄に「沖縄の呻吟、本土が呼応を/米国に正対する時」と題して寄稿し、要旨次のように述べている。

▼現行案に限りなく近い反面、事態がわずかに動く兆しもみてとれる。昨年の政権交代は、沖縄の人びとを宿命論との訣別へとはずませ、否応なく問題を"全国区"化してきた。前世紀末の辺野古での座り込みに端を発する基地拒否の運動は、すでに不可逆の質を湛えている。

▼少なくとも2つの大きな問いが、わたくしたちに投げかけられているのをみることができる。1つは、沖縄の人びとの主張の核心が、基地の「移転」「移設」でなく、その「撤去」「閉鎖」であるということだ。それは政治思想としては、米海兵隊の駐留を不必要とする判断、移設に名を借りた基地の強化を許さないという見解、さらに、もはや「苦渋の選択」や「次善の策」は取らないという決意として発現している。

▼いま1つは、「基地の島65年」という歴史意識が、圧倒的に共有されつつあることだ。......基地の拒否は......本土に突きつけられた問いをなすとともに、では本土は有事を意識してきたのかとの、別の問いにも直面させずには措かず、安保の上に眠る惰性を痛撃する。沖縄の運動は、日米安保はこのままでいいのだろうかという問いを突き出した。安保解消は遠い目標としても、少なくとも地位協定の改定、いわゆる「思いやり予算」の廃止、普天間基地の閉鎖という3項目をパッケージで提起すべきではないだろうか...。

 宜野湾市の投書者や『サンデー毎日』が半分は皮肉で言うように、06年合意をそのまま実行していれば本土のほとんどの人びとは普天間や辺野古のことなど気にかけることもなかっただろうに、鳩山のお陰でこの問題は"全国区"化して「お茶の間や飲み屋での話題」となり、さらには日米安保のあり方や「抑止力って何だ?」ということまで議論の対象に上ってきたのであって、まさにそれは彼の「偉大なる功績」なのである。そればかりではない。名護をはじめ沖縄の人びともまたこれを通じて「基地があるのは仕方がないのか」という宿命論的な諦めの心情から訣別して、断固として辺野古移設を拒絶する決意を固めたのであって、鳩山が日米合意だからと言ってこれを強行しようとすれば、佐藤優が言うように、座り込みの阻止闘争が全県・全国の支援を受けて高揚し、流血の事態も覚悟しなければならなくなるかもしれない。そうなれば、いくら米国でも「約束なんだから蹴散らしてでも基地を作れ」とは言えなくなる。

 つまり、単に元の案に戻ったのではなく、現地・県民の覚悟と本土の意識と、その両方に劇的かつ不可逆の変化を引き起こしながら、真上から見れば確かにほとんど同じ地点のように映るけれども、横から見れば実は螺旋状に新しい次元に移動しながら戻ったのであり、宜野湾の投書者が言うようにこれが「日米地位協定の実情、日米安保の抑止力、日米同盟の本質などを国民が議論し、民意形成のスタート地点」となるのである。

●グアムに押しつければそれで済むのか?

 06年合意でグアム撤退が決まっていた第3海兵遠征軍の司令部機能を含む本隊8000人及びその家族9000人だけでなく、その合意では残留することになっていたヘリ部隊を含む第31海兵遠征隊5000人とヘリ部隊、佐世保の海兵艦隊、岩国の海兵飛行隊をも全部一まとめにしてグアムに移すことは、政治的には難しいことではない。元々いわゆる「米軍再編計画」は、最西端の米領土であるグアムに在沖海兵隊の本隊のみならず陸軍の防空部隊や海軍の沿岸戦闘艦なども移駐させ、さらにアンダーセン空軍基地も拡張して駐機能力を増やし海兵隊航空部隊も受け入れられるようにし、全体としてグアムを西太平洋最大最強の軍事ハブに仕立て上げることを目標としている。

 それは、普天間代替施設をどうするかとは直接に関係のない米軍の戦略的方向性であって、例えば2006年7月の米太平洋軍司令部「グアム統合軍事開発計画」では、あちこちに分散している海兵隊の陸上及び航空戦力をグアムに集中移転することをはじめ、海軍の沿岸戦闘艦などの配備、空軍の諜報・監視・偵察機能の強化、太平洋軍全体への補給ハブ機能の充実などが謳われていた。そこでは、グアムから東京まで1560マイル、台北まで1700マイル、マニラまで1600マイルと、ほとんど同距離であることの戦略的優位性を示す地図が掲げられていた。また2007年8月に開かれたグアム産業フォーラムに提出された「グアム軍事建設計画」という文書では、「グアムの戦略的位置は、米軍事力のフレキシビリティ、行動の自由、地球的行動への即応、地域的関与や危機対応を強化するもので、この地域全体に対する米軍の抑止力を維持するための配置を向上させる」と述べていた。ここでは、グアムからソウルまで4時間、ハノイまで3時間、ジャカルタまで5時間というグアムの地理的優位性を示す地図が用いられている。

 その意味では----朝鮮半島での第2次朝鮮戦争タイプの大規模陸上戦闘がほとんどあり得なくなった今では特に----米国が沖縄と日本からの海兵隊全面撤退に応じない理由はない。

 しかし、すでに島面積の3分の1を米軍に占領されているグアム現地(自治政府と住民)の側から見れば、06年合意による兵員8000人プラス家族9000人の受け入れさえも大変な負担である上、そのための道路や上下水道などインフラ整備の建設費用の調達方法は未だ明示されていない。本論説でも何度か触れてきたように、米海軍が行ったグアム及び北マリアナ群島の軍事ハブ化についての「環境影響調査ドラフト」は、在日海兵隊のほぼ全部をグアムに移すことを前提にしたもので、昨年11月に公表され閲覧に供された。
※環境影響評価ドラフト:http://www.guambuildupeis.us/documents

 同ドラフトに対する意見聴取は今年2月で締め切られたが、応募した意見の数は約9000通にも及んでおり、それには相当数の反対意見が含まれていると見られる。カマチョ=グアム知事も意見を公表しており、その中で、もちろん総額2兆円に及ぶと見られる基地増強計画に大いに賛成しながらも、それについての米政府の予算措置は不充分かつ非現実的で、2014年とされている海兵隊移駐期限には到底間に合わないと訴えている。06年合意分でさえ受け入れるのがやっとという状況で、それにさらに上乗せしてを全ての在沖・在日海兵隊を移転させることにはグアム側に強い抵抗があろう。加えて、グアムの原住民であるチャモロ族には、現在の基地負担ですら怒りの対象であって、06年合意分はもちろん、それを超える海兵隊の移駐などとんでもない話である。とすると、沖縄県民と日本国民は、グアムに押しつければ済むのではなく、むしろグアム住民と連帯して海兵隊をハワイか米本土に押し込めるのが本筋ということになる。

●テニアンという可能性はあるのか?

 そこで浮上する1つの可能性はテニアンである。グアムから北に160マイル、北マリアナ連邦のサイパンの隣にあるテニアンは、現在も海兵隊の訓練基地に使用されていて、「グアム統合軍事開発計画」でも引き続き使用することが明記されているが、現地は「それでは海兵隊が不定期にお客さんとして来るだけで金が落ちない」という理由で大いに不満で、沖縄・本土に残留することになっている部隊を丸ごと引き受けたいと申し出ている。

 面白いことに、米軍機関紙『星条旗』はこのテニアン移駐の可能性について何度か採り上げていて、今年2月13日付では「テニアンは沖縄海兵隊にとって代替案となるかも」という記事で「海兵隊の皆さん!もし沖縄のヘリコプターの新しい基地を探しているならテニアンに電話しなさい。この太平洋の小さな島はあなたの電話を待っている」と書いている。同紙は4月21日付でも「沖縄にも日本本土にも普天間航空基地の移転先が見付からない中で、北マリアナ連邦上院が4月17日、テニアンに普天間部隊を受け入れることを満場一致決議した」と伝えている。
http://www.stripes.com/news/tinian-may-be-alternative-for-marines-on-okinawa-1.98919
http://www.stripes.com/news/tinian-island-makes-a-push-to-host-futenma-operations-1.101031

 国民新党の下地幹郎や民主党の川内博史などはこのテニアン移駐の可能性に強い関心を抱いていて、川内は党内181人の署名を集めてこれを検討するよう鳩山と官邸に申し入れまでしているが、なぜか鳩山は相手にしていない。しかし、いよいよ辺野古移転が不可能となれば、この案も浮上することになろう。▲

2010年5月30日

三谷哲央:議会改革の前提は情報公開

 5月17日、18日、都内で開催されたシンポジウム「日本の再生・地方自治の創造」(主催:日本自治創造学会)が開催され、約300人の地方議員が全国から集った。学者を始め壇上に上った有識者たちは、地方自治体が抱える問題を提起し、地方が自立するための提案をした。

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 シンポジウムの中で、唯一国会議員として登壇したのは地域主権担当首相補佐官の逢坂誠二(おおさか・せいじ)氏だった。逢坂氏はニセコ町長を経て、地域の自治を柱に掲げてきた。また「『情報の公開と管理』の仕組みを早急に構築する必要がある」「情報公開は民主主義の基礎的装置」(『日本を元気にする地域主権』(PHP出版))と情報公開の重要性を訴えてきた。

 「地方議会の情報公開はまだまだ進んでいません」

 18日に地方議会の現状を語ったのは三谷哲央(みたに・てつお)三重県議会議長だ。三重県では1995年に北川正恭(きたがわ・まさやす)県知事(当時)が誕生し、画期的な行政改革を打ち出す北川氏に反応し、議会側が積極的な改革を進めた。

 「議会改革の前提は情報公開です。根回しで物事を進め、最後の投票は単なるセレモニーになっているような議会がいまだに少なくありません。議会が情報公開を進めると"常識的"なことしかできなくなり、結果的にスムーズな議会運営につながります」

 情報公開は昨年の総選挙で争点の一つになり、国政の場では徐々に進みつつある。しかし地方自治体では「真剣な議論の邪魔になるなどの理由でカメラを入れようとしない」(三谷三重県議長)という議会がいまだにあるのが現状だ。

 今月24日、逢坂氏がメンバーに名を連ねる政府の地域主権戦略会議は「地域主権戦略大綱(仮)」の骨子を決めた。地域主権改革を、国民が自らの地域を自らの責任で作っていく「責任の改革」と位置づけ、「自立と創造」への転換をうたった。「首長と議会を選ぶ住民の判断と責任は重大」と指摘、地方自治への有権者の責任も盛り込んだ。

 情報公開が保障されない地域で「住民の判断と責任」は成り立ち難い。三重県のように首長と議会が刺激しあって議会改革を進めるようなケースは珍しいのではないか。

 参院選挙が近づくにつれ「地味」で時間のかかる改革は影を潜め、メディアや立候補者は選挙の争点探しに躍起になっている。政府や地方自治体は広報だけにとどまらず、住民が判断をする材料(=情報)を今後どこまで積極的に公開していけるだろうか。

【関連記事】
■地域主権戦略会議:地域主権、具体性欠く 「有権者責任」盛る--戦略大綱骨子(毎日新聞)

2010年5月29日

高野孟も出演! 今放送中の「朝まで生テレビ!」について語るスレッド

本日1時25分(東京)から放送の「朝まで生テレビ!」。今回のテーマは「激論!土壇場?!鳩山政権の行方」です。いまや崖っぷちに立たされている(自ら立った?)鳩山政権の行方を論じます。

本日沖縄から東京に戻ってきたばかりの本誌主宰の高野孟も出演します。

前回に引き続き、是非、みなさんのご意見・ご感想をリアルタイムでお聞きしたいと思います。

くどいようですが、テレ朝とは全く関係ありませんので、誤解のないようお願いいたします。

オフィシャルサイトには、リアルタイムに書き込めるスペースがないようですので、勝手にやっています。

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司会:田原 総一朗
進行:長野智子・渡辺宜嗣(テレビ朝日アナウンサー)

パネリスト:
大塚耕平(内閣府副大臣、民主党・参議院議員)
川内博史(民主党・衆議院議員)
茂木敏充(自民党・衆議院議員)
小池百合子(自民党・衆議院議員)
糸数慶子(無所属・参議院議員)

上杉 隆(ジャーナリスト)
香山リカ(精神科医、立教大学教授)
勝間和代(経済評論家)
高野 孟(ジャーナリスト)
高橋洋一(嘉悦大学教授、元財務官僚)
森本 敏(拓殖大学海外事情研究所所長)
山際澄夫(ジャーナリスト)
吉崎達彦(双日総研主任エコノミスト)

2010年5月28日

上昌広:パーソナルゲノム解析は社会を変えるか?

■医療と成長戦略

 参議院選挙を控え、マニフェストをめぐる議論が活発だ。民主党は、昨年の総選挙で弱点とされた成長戦略を強化することに余念がない。

 高齢化が進む我が国では、医療・介護は成長が期待できる数少ない分野である。現政権でも、国家戦略室が中心となって、様々な施策をうちだしている。例えば、「メディカル・ツーリズム」や「混合診療の部分的解禁」など、その例だろう。しかしながら、両者とも医療界は強く反発している。果たして、医療は本当に成長分野になるだろうか?

>>続きは「Infoseekニュース 内憂外患」で

2010年5月27日

《第20回》竹中ナミの郵便不正事件公判傍聴記:厚子さんの誠実、弘中弁護士の辣腕、そして横田裁判長の公平な眼差し

5月26日(水)厚子さん公判第20回の今日は「証拠整理」の2回目。前回の「証拠整理」は、東京出張から大阪地裁に駆けつけると「僅か7分間で終わった」とのことで、法廷の扉がピッタリ閉じられてて悲しかったけど、今日はどうかな・・・と、少し不安を胸に大阪地裁201号法廷に入る。

江川紹子さんが、なんと番組収録をTV局の皆さんの協力で2時間も繰り上げて、今日も東京から駆けつけて下さっている。厚子さん支援の輪が確実に広がりつつあることを実感し、嬉しい!

13:30、厚子さんが薄いグレーの、初夏らしい爽やかなスーツで入廷し、2回目の「証拠整理」が始まる。

結論から言うと、今日の公判でほぼ「厚子さんの無罪が確定した」と言っても過言ではない画期的な内容だった。

横田裁判長は、検察から提出された重要証人の取り調べ供述調書の特信性を、ほぼ全否定。約二時間にわたり、判決文と見紛うばかり丁寧に「証拠整理の結果」を読み上げたが、とりわけ重要やったのは、上村元係長の供述調書15通すべてを、採用しないと決めたこと。

横田裁判長いわく「検察官の取り調べに問題があったと言わざるをえず、捜査段階の調書は法廷の証言に比べて信用できない」とキッパリ。公判での上村氏の証言と被疑者ノートの内容のほうに、信ぴょう性があると結論づけた。

「裁判の途中で、いくら裁判官が被告に心を寄せてるように見えても、最後は検面調書が最重用視され、有罪判決となる。」というのが「日本の裁判の常識」と言われてきたことを思うと、あまりにも「画期的な」判断が下されたことに、大げさではなく「裁判が変わった!!」と実感させられた。

弘中弁護士も、閉廷後の記者会見で「これで無罪を確信した。裁判長を高く評価する。」と横田裁判長への賛辞を惜しまなかった。

「もしかしたら、今日も数分で終わるんちゃうか・・・」という不安が完全に覆され、それどころか「希望」という言葉が胸の中いっぱいに広がった今日の公判。法廷を出る厚子さんの笑顔を見ながら、思わず「横田裁判長に、座布団10枚!!」と叫んでしまった。(^^)/~

今日の結果には、3つの重要なポイントがあると思う。
それは、厚子さんの誠実な人柄と公務員としての矜持、弘中弁護士(と弁護団)の周到な準備と辣腕、そして何より横田裁判長の公平なまなざし。
三位一体という言葉があるけど、まさにこの3つが揃った裁判やったことが、今回の稀有な結果を産んだと言っても過言やないと思う。

加えて実感したのは「ツイッターのチカラ」やね。

「厚子さんの親友」を公言するナミねぇの傍聴記だけでは、多くの人が一般メディアの報道に重きを置いたかもしれへんけど、硬骨のジャーナリストである江川紹子さんが、同じ公判を傍聴し、ナミねぇと同時にリアルタイムでツイッター速報して下さった。
そして「二人のツイッターの内容に齟齬がなかった」という事実が、圧倒的な信ぴょう性に繋がったと思う。

大手メディアの記者の一人が「公判内容を聞き逃した時、お二人のツイッターを読みました」と、照れくさそうに「告白」してくれたことさえあった。

そして、ジャーナリストでも、書くことを本職にするのでもないナミねぇが、親友の名誉を回復せねば!と、「火事場の馬鹿力」で綴った「ツイッター速報と傍聴記詳報」に期待を寄せ、エールを送って下さった支援者の皆さんに、改めて心からお礼を申し上げます。

今後の公判予定は、
6月22日 (火)午後 第21回公判「論告・求刑」
6月29日 (火)午後 第22回公判「最終弁論」。
そして 9月10日 (金)午後 第23回公判「判決(予定)」へと続く。

まだまだ厚子さんの完全な名誉回復への道のりは長いけれど、今日の喜びをバネにしながらも、浮かれたり、はしゃいだりすることなく、気を引き締めて公判を傍聴し、記録を綴り、厚子さんの冤罪が本当に晴れる日まで、寄り添って行けたらと思う。

最後に検察官の皆さんへ。
皆さんの全てが「自らが創ったストーリーに基づいて取調べを行う」人たちではないと信じたいけれど、今回の裁判で私は、あまりにも酷い現実を見てしまった。
「検察に自浄作用は無い!」と言い切る人が多数存在するという、悲しくも恐ろしい現実に、どうか心からの危機感を抱き、自浄作用を取り戻して欲しい。

すべての検察官が、真摯に今日の結果を受け止めて下さることを、国民の一人として切に願うナミねぇです。

<文責:ナミねぇ>


【関連記事リンク】
◆過去の公判傍聴記(村木厚子さんを支援する会)
http://www.airinkai.or.jp/muraki_sien/index.html

◆なみねえのtwitter(公判速報はコチラから)
http://twitter.com/nami_takenaka

◆「村木厚子さんの完全な名誉回復を願う」(プロップ・ステーション)
http://www.prop.or.jp/news/topics/2009/20090727_01.html

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【プロフィール】 竹中ナミ(たけなか・なみ)
1948年兵庫県神戸市生まれ。神戸市立本山中学校卒。重症心身障害の長女を授かったことから、独学で障害児医療・福祉・教育を学ぶ。1991年、草の根のグループとしてプロップ・ステーションを発足、98年厚生大臣認可の社会福祉法人格を取得、理事長に。著書に「プロップ・ステーションの挑戦」(筑摩書房)、「ラッキーウーマン〜マイナスこそプラスの種」(飛鳥新社)。

2010年5月26日

【録画放送中】沖縄基地問題トークライブ 田中良紹×宮崎学×喜納昌吉


《トークライブその1 (再生時間:9分52秒)》

 5月25日東京都内で「喜納昌吉 LIVE TOUR 2010 in TOKYO〜すべての武器を楽器に。〜」が開催され、トークライブには田中良紹氏(ジャーナリスト)と宮崎学氏(作家)がゲスト出演しました。《THE JOURNAL》では当日の模様をさっそく録画放送します。どうぞお楽しみ下さい!

※撮影環境の問題により、番組中に雑音が入っている箇所がございます。限られた環境の中で撮影していることをご理解下さいますようお願いします。

*  *  *  *  *

《トークライブその2 (再生時間:9分44秒)》

《トークライブその3 (再生時間:9分43秒)》

《トークライブその4 (再生時間:4分56秒)》

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【日時】
5月25日(火) 18:00開場 19:00開演

【出演者】
宮崎 学(評論家・小説家)
田中良紹(ジャーナリスト)
喜納 昌吉(民主党・参議院議員)

【会場】
東京・吉祥寺スターパインズカフェ

2010年5月24日

郷原信郎:小沢幹事長再度の不起訴処分について

5月21日に開催された、コンプライアンス研究センター長定例記者レクで、郷原信郎(ごうはら・のぶお)氏は「小沢幹事長再度の不起訴処分」について、以下のように発言されています。

その内容を全文掲載いたします。

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gohara100524_1.jpg
写真は2010年2月9日の記者レク

 今日、小沢氏の再度先ほどネットのニュースで不起訴処分が出たということが報じられていました。

 今回の検察審査会の起訴相当議決を受けて、検察が再捜査をした末にどういう処分を行なうかに関して、再度の不起訴処分になることは確実だと思っていました。同じ不起訴でも起訴猶予の場合と嫌疑不十分の場合とは全然意味が違うわけです。犯罪事実は認められるが、情状を考慮して起訴を猶予すべきだという検察の判断について検察審査会がそれは不当だと、起訴すべきだと言った場合には、そういう意見を受け入れて、処分を見直す余地は十分にあるわけですが、嫌疑不十分ということで不起訴にしたということは、検察としては起訴するに足る証拠がないと判断したわけで、それと基本的に同じ証拠関係のままであれば、起訴するという判断は同じ検察の判断としてはあり得ないわけです。ですから、関係者の再度の事情聴取を行なって、基本的に証拠関係は変わらないということで不起訴になった。当然の結果だと思います。

 問題は、依然としてあまり新聞、テレビなどでは報じられてないのですが、検察審査会の議決で起訴相当とされた被疑事実というのが、当初の検察の捜査で焦点になっていた収入の問題、小沢氏個人から4億円の現金が陸山会に入った、その4億円について収支報告書に記載されていないという問題ではなく、不動産の取得時期と代金の支払の時期について、実際とは2カ月半ずれた記載が行なわれているという期ズレの問題を起訴相当としたにすぎないということです。

 今後、検察の不起訴処分を受けて、検察審査会がまた再度審査を行なうことになるわけですが、そこでは1回目の検察審査会の議決で起訴相当とされた事実が期ズレ問題に過ぎないということがまさにポイントになるんじゃないかと思います。ここをきちんと報じていただかないと、今回の再度の検察審査会の審査において何が焦点になるのか、何が重要なのかというところが世の中に理解されないのではないかと思います。

 今後、検察審査会で2回目の審査が行なわれますが、その審査の対象は当然この期ズレの問題です。検察審査会がほかの事実について、検察が石川議員を起訴した収入面の問題とか、そういったことについて審議するのは、それは勝手ですけれども、それは1回目で起訴相当とされてないので、仮にそれについて起訴相当だと言ったとしても、2回の起訴相当議決が出たということになりません。強制起訴になりません。ですから、この件についていろいろ新聞、テレビなどで騒がれている2回の起訴相当で強制起訴になるとすれば、1回目と同じように、この期ズレの問題......不動産の取得時期と代金の支払の時期が2カ月余りずれていたという問題について、もう1回検察審査会が起訴相当の議決をする、ということしかあり得ないわけです。

 そうなると、検察審査会のそういう判断の前提として、政治資金規正法というのはどういう目的の法律で、政治資金規正法で裁かれる、処罰されるべき行為はどういうことなのかということをしっかり理解した上で審査員の人たちが起訴すべきかどうことを判断してもらう必要があります。第1回目の審査では明らかにその点の理解が不十分だったわけです。ですから、この次の検察審査会の審査の中ではそこの点についてしっかりとした説明が補助弁護士から、そして検察官の側からきちんと行なわれるかどうかというところが重要です。

 当然のことなんですが、政治資金規正法が目的としている政治資金の収支の公開というのは、そこで公開すべきものは何なのか、何が一番重要なことなのかと言えば、それはその政治家や政党の政治資金がいったい誰の資金によってあるいはどういう企業の資金の提供によって賄われているのかということ。そして、その資金がどのように使われているのか。それは政治資金規正法上、収支の公開の対象になるべきもっとも重要な事実です。ですから、それらの点について公開すべき事実を隠しているとか、ウソを書いているということであれば、あえて罰則を適用してまで厳しい処罰をするべき事件ということが言えるわけです。

 私がこの件について以前からずっと指摘してきたように、そもそもこの4億円の収入の不記載ということ自体も、これがほんとに不記載なのかどうかということも問題ですが、仮にそれが不記載であったとしても、身内のお金がぐるぐるっと陸山会との間で回った、あるいは出たり入ったりしたというだけのことであって、どこかの企業とか、どこかの個人から政治資金の提供を受けていたことを隠したということじゃないかぎり、それ自体悪質な政治資金規正法違反で罰則の適用の対象とは言えないわけです。

 ましてや、不動産を取得したことも、代金を支払ったということも収支報告書に書いているのに、その時期がたった2カ月余りずれたということだけであれば、これに対して罰則を適用すべきだという判断は常識ではあり得ません。その辺がきちんと検察審査会の審査員に理解してもらえるような説明を補助弁護士も検察官も行なわないといけないと思います。検察官は当然、今回はしっかりとした説明を行なうと思います。前回は少しその説明が不十分だった可能性がありますが、今回は改めてきちんと基本的なところから説明すると思いますが、どうもこの前の議決のときの補助弁護士さんは、あまりそのところが理解されてなかったんじゃないかと思えるような議決の内容でした。今回はもっとしっかり政治資金規正法を理解されている弁護士が補助弁護士として関わる必要があるんじゃないかと思います。

 今回の検察の不起訴処分でどういう事実が対象とされたのか。そこがほとんど報道されていないのですが、一回目の検察審査会の議決で起訴相当としたのが期ズレ問題だけですから、期ズレの点についてだけしか今回の不起訴処分の対象になっていないはずです。検審で起訴相当とされた被疑事実について再捜査すればいいわけですから。そうだとすると、2回目の検察審査会は、検察が再度不起訴にしたことに対する再度の審査だから、今度は期ズレの問題についてだけ審理することになります。その期ズレが起訴相当だと言うんであれば、それは起訴強制になるでしょう。しかし、それは常識では考えられない。それだけの問題だと思います。

 そういう、今後の検察審査会の審査のポイントがなぜきちんと報じられないのか。まったくわかりません。報じるのが当然のことを報じないというのは、これまで、企業不祥事などで、マスコミが企業の追及にさんざん使ってきた「消極的な隠蔽」そのものじゃないですか。重要な事実を、真実を、報道する、伝える義務があるのに、それを何らかの意図で、敢えて報じないとすると、それは隠蔽そのものでしょう。

 この問題に関連して、小沢氏側が検察審査会に対して上申書を提出することを検討しているということが報じられていますが、法律上は、上申書の提出というのは定められてないと思いますが、上申書が提出されれば、それを検察審査会の審査員の人たちに読んでもらい、被疑者側の言い分も十分に理解した上で、議決をしてもらうということ。これはある意味では必要なことだし、そういうふうに上申書が取扱われることを否定する理由はまったくないと思います。

 以前のように、検察審査会の議決に法的拘束力がないという、そういう時代であれば、検察審査会の議決というのはあくまで検察官の処分が適切であったかどうか、正当であったかどうかということを判断するだけですから、その審査の中で被疑者側が「ああしてくれ」「こうしてくれ」ということを口に出す余地は本来ないという考え方も十分あり得たと思います。しかし、検察審査会法の改正で今は検察審査会の2回の議決で強制起訴になるということで、まったくその法的効果が違ったものになっているわけですから、そういうような効果を本当に生じさせてもいいのかどうかということについて、被疑者側の言い分が上申書という形で出ているのであれば、それを審査員の方々にもちゃんと読んでもらうというのは必要なことじゃないかと思います。

 1つの考え方としては、あくまで推定無罪なんだし、裁判にかけられたって有罪かどうかは最後は裁判で決まるんだから、そのときに裁判所で言えばいいじゃないか、上申書なんて、そんな早い段階で検審に出す必要ないじゃないか、という考え方もあり得ると思います。しかし、日本では少なくともこれまで公訴権、起訴の権限を検察官が独占していることが前提でしたが、起訴をされるということが非常に大きな意味を持って、それ自体で政治的、社会的にも被疑者、被告人が大きなダメージを受けるということが今まで刑事司法においてずっと続いてきたわけです。それが今回ももし起訴強制となったときには、これは検察官の起訴じゃないから、検審の議決による起訴だから、そんなものは結論はまだまだ先に出るんだと。裁判が続いている間はあんまりそういう先走ったものの見方はしないようにしよう、というふうに世の中が受け止めるかといったら、おそらくそうじゃないと思うんです。

 今の状況からすると、起訴強制ということになった段階で、そのこと自体で結論が出たような扱いをする、ほとんど推定無罪......無罪の推定が働かないような、そんな世の中の論調にならないともかぎらないし、その可能性が強い。そうだとすれば、この検察審査会の審査の場で被疑者側の言い分、主張も十分に踏まえた判断をしてもらうというのは、ある意味ではバランス上重要なことではないかと思います。

 そういった検察審査会での補助弁護士などの説明や検察官の説明、そして一方で被疑者側の上申書などが出されたりしたとすると、そういったものを踏まえて最終的に検察審査会の審査がもう一回行なわれて、その結果、起訴相当の議決が出るのか、それとも今回は不起訴が相当ということで収まるのか、ということが今後最大のポイントになってくるわけです。

 その点に関しては一つ、ちょっと問題があるんじゃないかなと思えるのが、今回の検察審査会の第1回目の議決が11対0だったということが、議決が出た日に早々と報道されているということです。私はこれは非常に問題なんじゃないかと思います。裁判員制度で言えば、3人の裁判官と6人の裁判員がいったいどういう評決をしたのか、有罪の評決したか、無罪の評決をしたか、死刑が相当だと言ったか、無期でいいと言ったかという、そういう評決の中身は絶対に表に出ないこととされて、厳重な守秘義務が課されているわけですが、それは検察審査会も同様です。

 それが今回のように11対0だということが、こんな早々と表に出てしまうと、この検察審査会の審査員が今回、この11人のうちの6人は交代して5人が残ったということになるとこの次、検察審査会の新たな11人による審査が行なわれるときに、元からのメンバーの5人は、これは全員起訴相当意見だということが全部わかってしまいます。これは改めて白紙から11人みんなで対等の立場で議論をしようとする場合には、非常に大きな支障になるんじゃないかと思います。そういう意味で、この検察審査会の審査の中身、その意見の内訳についての秘密というのはしっかり守られる必要があるのであって、こんなものが議決の当日に出てしまうというのは、とんでもないことだと思います。

高野孟:鳩山首相の辺野古移設表明にモノ申す! 今こそ「抑止力」を議論せよ!

 鳩山由紀夫首相は23日、米軍普天間飛行場の移設先について、現行案に近い辺野古近辺にすることを表明しました。このニュースについて、高野孟が語ります。お見逃しなく!

【編集部からの追記】
 動画本編の後半部分でも触れていますが、今週から来週にかけて《THE JOURNAL》では沖縄問題を徹底分析・・・ というか、本誌同人の方々に自由闊達に沖縄問題を論じてもらいます。こちらもお楽しみに!
 

2010年5月22日

海江田万里:5ヶ月ぶりの訪中、最新の中国経済事情

民主党衆議院議員の海江田万里(かいえだ・ばんり、選挙対策委員長代理)氏が、ご自身のメディア、【海江田万里の政経ダイアリー】2010.5.20号で、

最新の中国経済事情

について書かれていますので、全文転載いたします。

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★ 順調に回復する中国経済。中国国民の自信の源に ★

上海万博で注目されている中国ですが、5月の連休に5ヶ月ぶりに訪中してきましたので、最新の中国経済事情について報告します。

中国経済は2008年にはリーマンショックの直撃を受け、輸出に急激なブレーキがかかり、その結果、倒産する国内企業が続出するなど深刻な状態でしたが、現在ではその傷跡もほとんどなく、順調な回復を見せています。むしろ、リーマンショック後の世界経済の立ち直りに中国経済が大きな役割を果たしているとの自信が、そこかしこで感じられます。

2009年の名目GDPは日本の5兆1260億ドルに対して中国は4兆9090億ドル(総理府試算)と、わずかばかり日本に遅れをとりましたが、2010年のGDPが日本を抜いて世界第3位になるのはほぼ確実視されています。

輸出総額は、すでに2009年には1・2兆ドルでドイツを抜いて世界第1位になっており、貿易総額も2・2兆ドルに達して、アメリカについで世界第2位です。また、貿易を通じて蓄えられた外貨準備額は2009年12月で2兆3992億ドルとなり、世界第1位です。これらの数字が背景にあり、中国国民に自信を与えているのでしょう。

中国経済は、リーマンショック以前の2007年秋に上海の株価も最高値を付けいわゆるバブル経済に陥っていました。そこで政府も2007年後半からは金融を引き締め、経済過熱防止、インフレの抑制に努めていたところのリーマンショックによる企業倒産、失業者の大量発生ですから、政府はこれまでの経済政策を180度転換して経済拡大策を講じることとなりました。政府が定めた経済政策は2年間で4兆元(約57兆円)の財政支出、金融緩和策などで、2009年には成長率8%維持、失業率4・6%以内を目標にしました。

日本は景気の急激な悪化に対する個人消費拡大策としてエコポイントが効果をあげましたが、中国では自動車や家電製品を、特に農村部の住民が購入する場合に、大幅な割引支援が行われました。また、失業防止策ということでは相変わらず多くの従業員を抱えている国営企業に対する補助金を支給するなどの施策も講じています。

いずれにしろ、政府のこうした政策の効果で、2009年の第1四半期のGDP成長率は6・2%だったのが、第4四半期には10・7%を記録しました。その結果2009年通年では8・7%の成長で、8%の目標を達成することができました。2009年の中国経済は、他に類を見ないいわゆる「V字回復」が行われたのです。

輸出は2009年を通じて、前年比マイナス15・9%と大幅な減少になっていますが、2010年に入って、世界経済の立ち直りとともに、回復の傾向にあります。

★ 持続的な発展のために解決すべき事項も山積 ★

こうした動きを前に、中国政府は2010年も「積極的な財政政策」と「適度に緩和された金融政策」の方針で進むことを先の全国人民代表大会で決議しています。世界経済はまだリーマンショックから完全に立ち直ってはいないとの判断で、引き続き政府主導の投資を行っていくことを明らかにしています。金融政策でも引き締めを実施して「出口」を考えるのは時期尚早との立場を公にしています。先日発表になった2010年の第1四半期のGDPは前年同期比11・9%の増加となっています。

しかし、中国経済の持続的な発展には、公共投資中心の政府主導から、民間消費拡大などによる民需主導へ成長戦略を転換する必要があります。同時に、現在の中国では沿海部VS内陸部、都市部VS農村部の経済格差が大きくなっています。また相変わらず零細経営でインフラ未整備の農業の立ち遅れや農村の社会保障制度の欠如など、人口の8割を占める農村部の問題を解決しなければ中国全体の発展はないことは明らかです。

環境破壊の対策も待ったなしです。私が北京にいた3日間はスモッグがひどく、青空はほとんど望めませんでした。現在、北京市では出勤時間に時差を設けたり、クルマのナンバープレートによる進入制限を行っていますが、それでも出勤、退勤時の自動車ラッシュはものすごく、排気ガスによる大気汚染も深刻です。

もうひとつ早急に解決しなければならない問題が、公務員の汚職や幹部の腐敗です。2008年に汚職事件で裁判にかけられ被告人となった公務員の数は約3万4000人で、民衆の不満は、地方での集団抗議事件となり、その件数の把握は困難ですが、放置しておくと、いつ大きな暴動になるか分かりません。

★ リーマンショック以降は「日本に学ぼう」という姿勢 ★

こうした不安定要素をはらんだ経済発展ですが、大きな市場を国内に持つ中国の潜在的な成長力は日本経済の成長にとっても無視できません。

リーマンショック以前の中国はアメリカに学ぼうとの姿勢が濃厚でしたが、リーマンショック以降は、アメリカ型の市場万能経済ではだめだという声が広がり、再び、日本に対する注目が高まっています。特に、環境・省エネ技術や、アメリカ型とは異なる日本の金融システム、全国民に行きわたっている社会保障制度などについて、「日本に学ぼう」との姿勢が明らかになっています。これらの分野での協力関係を通じて両国の経済発展を図ることが大切です。少子高齢化で活力をなくしているわが国にとって、成長力を秘めた中国の発展は不可欠なものになっています。

2010年5月20日

「事業仕分け第2弾後半戦」が始まる! 生中継はこちらから<会場A>

■会場A ライブ
Live video chat by Ustream

────────────────────────
【関連URL】
■会場B ライブページ
www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/10/3b.html
■事業仕分け詳細(ラテ欄と結果速報含む)
www.shiwake.go.jp/
────────────────────────

 民主党政権の目玉政策である「事業仕分け」第2弾後半日程が、5月20日から土日を除く4日間の日程で実施される。対象は67の公益法人、3つの特別民間法人が行っている82事業で、作業は民主党国会議員や民間有識者らで構成される評価者が2つのワーキンググループが事業目的を達成するために正しく予算が使われているかを査定する。

 昨年11月の事業仕分けが予想以上に大きな反響と論議を呼んだことから、今回も国民の関心が高まっている。一方、大手メディアははやくも「大幅な予算削減は期待できない」「選挙前のパフォーマンス」などといったピンぼけ批判が出ている。だが、昨年の事業仕分けでわかったように、この作業の意義は「税金の使い道がすべてが公開される」という一点にのみある。国民は、評価者の議論に問題点が甘ければ厳しく指摘し、作業過程そのものに改善の余地があるならば直接提言すればいい。それには多くの国民の参加が不可欠である。

 そこで、事業仕分けを正しく見るために、チェックポイントを以下にまとめた。

(1)事業仕分けは、事業の目的を議論する場所ではない
事業仕分けは、事業の目的そのものを議論するものではない。たとえば「研究者育成」「原発の是非」「こども手当て」といった議論は、国民に選ばれた政治家が国会で行うべきであり、事業仕分けにはふさわしくない。事業仕分けは、事業の目的のために投入された税金が「目的達成のために正しく、効率的に使われているか」を査定する作業である。

(2)事業仕分けは"虫の目"で予算をチェックする作業である
事業仕分け批判のひとつに、「政治家が個々の予算にまで目を通すのは効率が悪い。予算に『一律2割削減』などのシーリング(上限)をかけたほうが効率がいい」という意見がある。だが、シーリングは"鳥の目"で予算を削減することであり、国会が行う仕事。事業仕分けにはふさわしくない。事業仕分けは個々の予算執行過程に着目し、"虫の目"でムダを見つけることに意味がある。

(3)事業仕分けの結果はあくまで参考意見であり、最終決定ではない
事業仕分けの結果がどう反映されるかは、最終的には政府の判断となる。ただ、後々に事業仕分けで指摘された結論を覆すのであれば、国民に対して納得のいく説明をする必要がある。

(4)事業仕分け第2弾で削減のターゲットとなる予算
事業仕分け第2弾では、作業結果を独立行政法人改革につなげたいという思惑がある。そこで削減のターゲットとなることが予想されるものは下記の通り。

▼過剰な天下りと高すぎる人件費
▼過去の計画を見直すことなく継続し、時代遅れの事業となっている
▼他の団体と事業目的が重複している
▼中抜き、ピンハネが多すぎる事業
▼過大で不必要なな基金や資産


 事業仕分けの模様は、インターネットでも動画生中継される。このページでは〈会場A〉の模様を中継する。国民参加型の予算査定に、みなさんもぜひご参加を。

「事業仕分け第2弾後半戦」が始まる! 生中継はこちらから<会場B>

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【関連URL】
■会場A ライブページ
www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/10/3a.html
■事業仕分け詳細(ラテ欄と結果速報含む)
www.shiwake.go.jp/
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 民主党政権の目玉政策である「事業仕分け」第2弾後半日程が、5月20日から土日を除く4日間の日程で実施される。対象は67の公益法人、3つの特別民間法人が行っている82事業で、作業は民主党国会議員や民間有識者らで構成される評価者が2つのワーキンググループが事業目的を達成するために正しく予算が使われているかを査定する。

 昨年11月の事業仕分けが予想以上に大きな反響と論議を呼んだことから、今回も国民の関心が高まっている。一方、大手メディアははやくも「大幅な予算削減は期待できない」「選挙前のパフォーマンス」などといったピンぼけ批判が出ている。だが、昨年の事業仕分けでわかったように、この作業の意義は「税金の使い道がすべてが公開される」という一点にのみある。国民は、評価者の議論に問題点が甘ければ厳しく指摘し、作業過程そのものに改善の余地があるならば直接提言すればいい。それには多くの国民の参加が不可欠である。

 そこで、事業仕分けを正しく見るために、チェックポイントを以下にまとめた。

(1)事業仕分けは、事業の目的を議論する場所ではない
事業仕分けは、事業の目的そのものを議論するものではない。たとえば「研究者育成」「原発の是非」「こども手当て」といった議論は、国民に選ばれた政治家が国会で行うべきであり、事業仕分けにはふさわしくない。事業仕分けは、事業の目的のために投入された税金が「目的達成のために正しく、効率的に使われているか」を査定する作業である。

(2)事業仕分けは"虫の目"で予算をチェックする作業である
事業仕分け批判のひとつに、「政治家が個々の予算にまで目を通すのは効率が悪い。予算に『一律2割削減』などのシーリング(上限)をかけたほうが効率がいい」という意見がある。だが、シーリングは"鳥の目"で予算を削減することであり、国会が行う仕事。事業仕分けにはふさわしくない。事業仕分けは個々の予算執行過程に着目し、"虫の目"でムダを見つけることに意味がある。

(3)事業仕分けの結果はあくまで参考意見であり、最終決定ではない
事業仕分けの結果がどう反映されるかは、最終的には政府の判断となる。ただ、後々に事業仕分けで指摘された結論を覆すのであれば、国民に対して納得のいく説明をする必要がある。

(4)事業仕分け第2弾で削減のターゲットとなる予算
事業仕分け第2弾では、作業結果を独立行政法人改革につなげたいという思惑がある。そこで削減のターゲットとなることが予想されるものは下記の通り。

▼過剰な天下りと高すぎる人件費
▼過去の計画を見直すことなく継続し、時代遅れの事業となっている
▼他の団体と事業目的が重複している
▼中抜き、ピンハネが多すぎる事業
▼過大で不必要なな基金や資産


 事業仕分けの模様は、インターネットでも動画生中継される。このページでは〈会場B〉の模様を配信する。国民参加型の予算査定に、みなさんもぜひご参加を。

2010年5月19日

記者会見の開放に賛成? 会見開放を求める会が前代未聞の"社"論調査を発表

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 本誌主宰・高野孟も呼びかけ人の一人に名を連ねている「記者会見・記者室の完全開放を求める会(以下、会見開放を求める会 代表世話人:野中章弘)」は18日、都内で記者会見を開き、報道機関各社に対して実施した記者会見開放に関するアンケートの集計結果を公開した。

 アンケートは全国の新聞社、テレビ局、通信社、計231社に対し、「記者会見と記者室について報道目的・情報発信目的を持つ団体・個人に広く開放すること」に賛同するかどうかを聞いた。

 会見に参加した日隅一雄弁護士は「記者会見・記者室を開放しないということは、産地偽装と一緒です。情報が出てくる部分を隠して報じるメディアを信じていいのか、お金を払っていいのか。今回の結果がメディアを評価する新しい指標になる」とコメントした。

◇   ◇   ◇   ◇

申し入れ先:231社
回答社数:合計55社(回答率 23.8%)
内容
(1)「記者会見への参加、会見での自由な質疑について、報道目的・情報発信目的を持つ団体・個人に広く開放する」ことに、貴社の賛同をいただくこと。
(2)「記者室の自由な利用について、報道目的・情報発信目的を持つ団体・個人に広く開放する」ことに、貴社の賛同をいただくこと。
(3)「取材資料の提供、種々のレクや懇談、裁判取材における記者席確保など、『記者クラブ』加盟社・者が享受している種々の取材機会について、報道目的を持つ団体・個人に同等の機会を保障する」ことに、貴社の賛同をいただくこと。
(4)各記者クラブに所属する貴社の社員に対し、上記(1)(2)(3)の趣旨・意義を周知し、その実現を図るため適切な指示を出していただくこと。
(5)上記の(1)(2)(3)に貴社が賛同したことについて、貴社の媒体にその旨を掲載するなどの方法で、広く読者・市民に周知していただくこと。

全社回答リスト:拡大は「+」マーク、全ページ表示は右端のボタンをクリック

回答リスト(pdfダウンロード用リンク)
http://www.craftbox-jp.com/data/100518kekka.pdf

 会見開放を求める会は今後すべての申し入れ先企業に回答を配布する。いまだに提出していない企業には引き続き回答の催促をする予定だ。

【参考サイト】
・会見開放を求める会ブログ
http://kaikennow.blog110.fc2.com/blog-entry-16.html

・会見発表資料(pdf)
http://www.craftbox-jp.com/data/100518shiryo.pdf

・申し入れ書(pdf 4/19配布済み)
http://www.craftbox-jp.com/data/100518mousi.pdf

2010年5月15日

郷原信郎:裁判所が検察の訴因変更請求を認めないのはなぜか

5月12日に開催された、コンプライアンス研究センター長定例記者レクで、郷原信郎(ごうはら・のぶお)氏は「小沢氏秘書大久保隆規氏の政治資金規正法違反事件の公判」について、以下のように発言されています。

その内容を全文掲載いたします。

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写真は2010年1月18日のシンポジウム

これは非常にややこしい、理解しにくい話なのでここはぜひ司法クラブの方々に聞きにきて頂きたいということでわざわざファクスまで送ったんですが、あまり来て頂けなかったので非常に残念ですが、これが、大久保氏は石川氏と同時に起訴ではなく「訴因変更請求」をされたわけですが、その後2カ月以上、その請求を裁判所が許可しないまま立ち往生した状態にあるということが報じられています。その新聞記事をお配りしましたが、恐らく、これを見ても何のことかよく分からない人が大部分ではないかと思います。「訴因変更」が認められていないのは弁護側が「公判前整理」を盾に異議を言っている、弁護側が公判前整理をたてに取って審理をストップさせて、無駄な抵抗をやっているというふうに受け取った人も多いと思いますが、それは違います。

大久保被告は、去年、西松建設事件で政治資金規正法違反で起訴されました。この罪名は、平成16年の陸山会の収支報告書の虚偽記入です。この虚偽記入の内容は西松建設の関連団体からの寄付を、実際には西松建設からの寄付なのに、その政治団体の寄付と書いたのが虚偽だと言って、検察はそれを虚偽記入で起訴したわけです。そして、それから半年余りたって......半年以上ですね、今年の1月に大久保氏はまた逮捕されたわけです。政治資金規正法違反で。この事実がまた同じ2004年、平成16年の政治資金収支報告書の虚偽記入です。

そうすると、同じ収支報告書の虚偽記入ですから、1人の人間が会計責任者としてAという部分に対して虚偽記載をした行為と、Bという部分に対して虚偽記載した行為は、一罪です。罪数の問題として、犯罪の数が1つということになります。犯罪の数が1つであれば、原則として1つの刑事訴訟手続、刑事手続において行うことになります。刑事裁判としては、基本的に1回で終わらせるという話です。本当だったら、原則は、一罪であれば2回逮捕拘留することは本当はおかしいですが、それは、検察が勢いでやってしまうと、裁判所は、同じ事実で既に起訴されていることはわかりませんから逮捕を認め、勾留も認めたわけです。しかし、その事実を起訴しようとすると、Aという事実とBという事実が同じ収支報告書の1人の人間がやった虚偽記載の問題であれば、一罪であり、犯罪の数は1つにしかなりませんから、A事実とB事実を併せても一つの犯罪にしかならない。そうなると、すでに起訴されていたAの事実の追起訴、つまり、新たに別の事実での起訴、ということではなく、Aという事実の収支報告書の虚偽記入の訴因を、そのBも含む訴因に変更する手続によらざるを得ないわけです。

ちょうど石川議員が起訴されたのと同じ日に、大久保氏も起訴されると思ったら起訴という手続ではなく、訴因変更という手続を取らざるを得なかったのはそういう理由によります。ところが、訴因変更というのは、裁判所が許可しないとできないです。というのは、もし、全然別の事実を持ってきて、Aという事実で起訴していたのに、それが無罪になりそうになったから、まったく関係ないBという事実に変更してくれというようなことが可能だったら、次々にとっかえひっかえ訴因変更していれば、いつまでたっても公判は終わらないし、無罪判決が出ないことになるのでもともと起訴した事実と同一性のある範囲内でないと許されないし、訴因変更請求を認めることに問題があると裁判所が判断したときは、裁判所の権限で訴因変更請求を却下することができるのです。

そして、その訴因変更という手続きには今、裁判員制度と、それに関連する公判前整理手続との関係で重要な制約があります。それは、公判前整理手続では争点が明確にされ、何が争点なのかということが最初から明らかにされて、それに関する証拠も開示されて、こういう争点に関して、こういう証拠を出して、こういう証拠について争っていくという審理の予定が全部決まる、そのために、公判前整理手続があるわけですがそれを、せっかくそういうふうに争点を整理して、審理の予定を決めてやっているのに、最後のころになって、いや、全然違った争点が実はあったんだと後から持ち出されたら何のために公判前整理手続をやっているか分からない、ということになるので、争点は後から持ち出すことはできない。ましてや、起訴状自体を変えてしまって新たな争点を作ることは、公判前整理手続の趣旨から許されないということで、公判前整理手続で争点が整理されている以上、その後の訴因変更は認められないという東京高裁も決定が出ているわけです。それを援用して弁護側は、そもそも今回の訴因変更は違法な訴因変更請求であって認めるべきではないと言っているわけです。

ただ、その検察側の訴因変更請求が通る余地がないのかどうか。これはまだ若干問題があります。というのは、同じ訴因変更請求でも、ちょっと訴因変更には性格の違うものがあるのです。例えば、常習累犯窃盗なんかがそうです。常習累犯に当たらない窃盗罪だったら一つ一つの窃盗の事実がそれぞれ一罪ですが、一定の要件に当たり、常習として多数の窃盗を犯したということで常習累犯窃盗で起訴された場合は、全体が包括して一罪です。常習累犯窃盗に当たらないときには、1件1件追起訴でやるべきところが、常習累犯窃盗であれば、訴因変更という手続になります。常習累犯窃盗という包括的な犯罪のとらえ方をした場合は、複数の窃盗の事実が一罪になりますから、追起訴じゃなくて訴因変更の手続きをとることになりますが、実質は追起訴に近いのです。実質的には別の窃盗を起訴したのと同じことなので、こういう場合であれば、恐らく、当初起訴した事実について公判前整理手続を経ているものであっても訴因変更請求は認められると思います。ですから、今回の訴因変更請求が認められるかどうかは、そういう常習累犯型の訴因変更なのか、それとも、本来1つの犯罪として、全体を1つで考えるべきものを修正するという一般的な訴因変更なのか。そのどちらと考えるかによって結論が違ってくると思います。

検察は、両方とも同じ収支報告書の記載だが、西松建設に関連する話と陸山会の不動産取得の話とは背景事実が全然違うから、常習累犯型のように公判前整理手続を経ていても訴因変更が認められるということが言いたいんだと思います。しかし、果たしてそうなのかどうか、が問題です。

私は、もともとの西松建設の事件も非常に問題があるということを去年の3月から言い続けてきた通りですが、その後の陸山会の不動産取得に関連する政治資金問題も、政治資金規正法違反上ほとんど起訴価値がない。こんなものはおよそ刑事罰の対象にすらならないと思います。ですから、新たに明らかに処罰する必要がある別の犯罪を訴因に加える常習累犯窃盗型などでは決してないと思います。言ってみれば、付け加えるべきものの処罰価値があまりに低いから、そんなのがもしギリギリ政治資金規正法違反になるとしても、それによって、被告人の犯罪全体の評価にほとんど影響がないので、訴因変更を認めるべきではないと思います。裁判所は訴因変更請求を却下すべきということになります。私はそうなる可能性が強いと思います。この問題はそういうことです。

そしてもう1つややこしいのが、昨日出ていた共同通信の記事で、「起訴状変更で表現修正」と書いてあります。これだけ見ても恐らく、100人のうち99人は何のことか分からないと思いますが、たぶんこういうことだと思います。大久保氏の訴因変更請求書には、尐なくとも陸山会の不動産取得に関連する虚偽記入の事実については、石川氏の起訴状の方で大久保、池田と共謀と書いてあるわけですから、「石川氏と池田氏との共謀の上」と書かざるを得ないわけですが、問題は、もともと起訴されていた西松建設関連の虚偽記入の事実は大久保氏単独犯だということです。ですから、そこのところを、訴因変更請求書で、全部「石川、池田と共謀の上」に変更するというと西松建設事件も全部石川氏、池田氏が共謀している話しになってしまう。そういう共謀の事実はないわけですから。それはおかしいという指摘を受けて、検察が、訴因変更請求書を修正したということだと思います。

しかしそれを考えるとますますおかしいですね。同じ収支報告書の虚偽記入の1つの犯罪のうちの一部は単独犯で、一部は3人の共謀だと言うのですが、その1つの犯罪のうちの一部だけが共謀というのは刑法理論上は一体どう考えるのかさっぱり訳が分からな。起訴状の書きようがない、犯罪事実が支離滅裂になってしまう事件というのは通常無罪です。起訴状の記載と、訴因変更請求だけで収拾がつかない事態になっているということは、刑事事件の公判維持、立証という面で、ほとんど破綻しかかっていると言っていいのではないかという気がします。

郷原信郎 on Twitter
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2010年5月14日

斉藤弘×高野孟:日本創新党の"志"を語ります

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 TOKYO FM・JFN系で大好評オンエア中の『高野孟のラジオ万華鏡』。

 今月のゲストコーナーには日本創新党政策委員長の斉藤弘(さいとう・ひろし)さんをお迎えし、日本創新党を結党した"志"について語っていただきました。

 雨後のタケノコのように誕生した新党ラッシュのなかで、日本創新党は他党と何が違うのか!?

 ぜひお聴き下さい!

◇   ◇   ◇   ◇

■斉藤弘×高野孟「日本創新党の"志"を語ります」(mp3)
http://pod.jfn.co.jp/people/scope/dl/takano_51.mp3
※音声が視聴できない場合は「右クリック→ファイルを保存」を選択してください

■高野孟のラジオ万華鏡 ホームページ
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/

2010年5月13日

鳩山首相は「常時駐留なき安保」論を解禁せよ! ── 何事も正面突破で行かないと

takanoron.png 各紙の報道によると、小沢一郎=民主党幹事長は、検察審査会の「起訴相当」議決を受けた東京地検特捜部の3度目の事情聴取要請に応じると同時に、衆議院政治倫理審査会の場で嫌疑について説明せよとの野党などの要求にも応じる意向であるという。

 検察による再々聴取は大したことはない。検察としても、何もしないで「やっぱり不起訴です」と言うわけにもいかないので形を作っているだけのことで、新しい証拠や材料があるはずもない。すでに2度目の再聴取の際に、小沢は「だから、それについて何か新しい証拠があるんなら言いなさいよ」という調子で対応して検察側を困らせたが、今回も同じことが繰り返されるだけだろう。

●記者会見で説明すればよかったのに

 政倫審のほうは、朝日新聞によると「ここまできたら本人が説明するしかない」(小沢側近)、「参院選まで2カ月となり世論対策が必要だ」(周辺)といった判断からのようだが、これは上策とは言えない。本論説は3月19日付で、検察=マスコミ連合の「小沢は怪しい、早く辞めろ」の煽動に対して受け身に立っていては、結局は1年前の代表辞任劇の再現で、暴走する(させられた)大衆感情に迎合的に屈服する恰好で幹事長辞任に追い込まれることになりかねないから、自ら積極的に両事件の真相について国民に向かって説明して納得させる「正面突破作戦」を採るべきだと提言した。その際、私は、国会証人喚問や政倫審などのような「半ば罪人扱いの屈辱に甘んじる」のでなく、「完全オープンの記者会見を開く」ほうがいいとも述べていた。要点を再録する。

▼本論説の立場は一貫していて、昨年の大久保事件も今年の石川事件も、検察=マスコミ連合軍による不当極まりない人権蹂躙・政治介入の悪辣な試みであって、少なくともこれら2つの事件に関して小沢が屈服しなければならない理由は、論理的にも法律的にも、何もないのだから、昨年の場合は代表を辞める必要はなかったし、今年の場合も幹事長を辞める必要はない、というものである。しかしそこでたちまち矛盾が生じるのは、選挙というものは、大筋のところ新聞やテレビの討論番組やワイドショーによって形成される情動的な大衆感情をいかに引きつけるかを争うのであって、論理的・法律的に正しいからと言って勝てるはずのものではない。この矛盾を打開する道筋は、正面突破策か大衆迎合[つまり辞任]策の2つのうちどちらかである。

▼第1は正面突破作戦で、(1)小沢が両事件の真相について誰もが納得するよう説明し、(2)まずは党内を「小沢擁護」で結束させ、(3)また党・官邸とも特別の広報体制をとって硬軟両様の綿密なマスコミ対策を講じて検察=マスコミ連合軍を切り崩し、(4)大衆感情レベルで政権発足当時の小沢及び民主党への求心力を回復することである。

▼これには何よりもまず、(1)小沢が説明責任を果たすことが前提となる。「説明責任」などという言葉を使うと小沢熱烈信者からは怒られそうだが、私が言うのは、自民党が言う国会証人喚問、あるいは渡部恒三=元衆院副議長や又市征治=社民党副党首が言う「せめて政治倫理審査会に出て事態収拾を図るべきだ」といった半ば罪人扱いの屈辱に甘んじよということではない。完全オープンの記者会見を開いて自ら国民に向かって正々堂々、自らの潔白を疑問の余地なく主張すると同時に、特に(2)党内、とりわけ経験の浅い参院選候補者たちに対しては、彼らが支持者に胸を張って「うちの幹事長は正しい。間違っているのは検察とマスコミだ」と演説し、マスコミに毒された人びとが素朴な疑問をぶつけてきてもいくらでも反論し説得できるように、十分すぎるほどの資料と想定問答集を与えて懇切丁寧に指導すべきだった、ということである。

▼ところが小沢は2月14日、検察の不起訴処分を受けての会見で、「検察の捜査に勝るものはない。捜査で全て調べて頂いて不正をしていないことが明らかになった」と言い放って、それっきりダンマリを決め込んだ。もちろんその言い方は、この1年来の検察=マスコミ連合軍のバカ騒ぎへの痛烈な皮肉であり、そう言いたい気持も分からないではないが、郷原信郎弁護士が指摘するとおり、「ならば大久保、石川らの起訴は公正だったと言うのか」という問い返しに答えることができず、従って民主党全体を検察の暴虐に立ち向かわせるよう導くことはできなくなる。つまり、問題を「検察vs小沢個人」の図式に封じ込めてしまった。これでは、選挙を控えて切羽詰まっている候補者たちに不安と動揺が広がるのは避けられない......。

 今頃になって政倫審に出るくらいなら、2カ月前に自らの主導で記者会見を開いて、何時間でも記者の質問を受けて、説明し抜いてしまえば余程よかっただろうに。記者会見を上策とすれば、黙っているのは下策で、政倫審は中策というところだが、まあ下策より手遅れ気味の中策のほうがまだマシということである。

●「抑止力論争」を仕掛ければよかったのに

 さて本論説は昨秋以来繰り返し、鳩山政権が米国に対して「在沖縄海兵隊の抑止力とは何なのか」という論争を真正面から仕掛けつつ「なぜ一部でなく全部がグアムに撤退できないのか」を一貫して執拗に問いかけるべきだと主張してきた。

 それを国民の眼前で展開してきていれば、たとえ「5月末」でそれに結着がつかなかった場合でも、鳩山は「今後も引き続きグアム全面移転を目標として粘り強く交渉を続けていく」ことを宣言して、米国にも渋々ながらもその交渉には応じることで同意させ、それを前提に、「しかし"世界で一番危険な基地"である普天間は一刻も早く撤去しなければならないので、あくまで暫定措置ということで移転先を県内外に引き受けて頂く」という説得の仕方もあったかもしれない。ところが鳩山も岡田も、岡本行夫あたりにすっかり騙されて、早々と「海兵隊の抑止力は必要」などと口走ってしまったために、自らの首を絞める結果となった。

 とはいえ、本論説が「抑止力とは何か?」と叫び続けてきたことがまったく無駄ではなかったかもしれないと思うのは、朝日や毎日などが時折、この問題を大きく紙面で採り上げたり、NHKの日曜討論でも先頃は岡本行夫や孫崎享らで是非の議論をしたり、遅まきながらこの問題の本質が抑止力論にあることが認められ出していることである。朝日の「声」欄でも最近、「米軍抑止力論再考こそ必要」「米軍の駐留を容認する安保条約を根本から見直し、時代にあった新しい条約を結べ」といった読者の意見が見受けられる。

 この状況を考えると、鳩山が首相になって早い段階で、かつての持論であり96年旧民主党の政策的な柱だった「常時駐留なき安保」論を"封印"したことが間違いの始まりだったことが分かる。もちろんこの論は、98年に同党が再結成された時に公式の路線として継承されることはなかったし、また彼個人がその後もそれを胸に抱いていたとしても政府の方針となっているわけではないから、"封印"と言ったのも分からないではないが、少なくとも自分がどういう思いで普天間問題に取り組むのかを示す意味で、今からでも遅くはないので、その封印を解くべきではないのか。

 以下に、鳩山が旧民主党結成直後の『文芸春秋』96年11月号に書いた「民主党/私の政権構想」と題した論文の該当部分を全文引用する。これは、同党結成直前まで熱心に続けられた政策議論をよく反映した好論文で、その議論に参加していた私自身の考えや言葉遣いもいくつか採り入れられていて、私にとっても思いで深い文書である。なお、ここで「2010年までに」などと言っているのは、当時の同党の心づもりとしては、結成から数年で政権を取って、21世紀の最初の10年を通じて積み上げていくことを想定しているからで、政権を取るのが2009年まで遅れた今となっては「2020年までに」と読み替えるべきだろう。それにしても、引用部分の前半の米軍基地問題の記述は、過去の鳩山による現在の鳩山への批判とも読めて興味深い。まさに「未来からの発想」を欠落させたまま目先の移転先探しに没入したことがこの事態を生んでいる。平野官房長官など、この論文を読んだこともないに違いない。

 蛇足ながら、よくある安保についての小学生並みの質問に、「米軍が引き上げてしまったら、そのぶん日本の防衛力を増強しなければならなくなるのでは?」というのがある。この中で鳩山が言うように、米軍基地の削減と撤退は日本自衛隊の増強に応じて実現可能になるのでなく、東アジアの地域的安保対話システムの形成進度に応じて実現可能になるのである。そのことを理解する鍵が、抑止力論である。

 もう1つ蛇足。小沢は昨年2月に「在日米軍は第7艦隊だけでいい」と言ったが、これも一種の「常時駐留なき安保」論である。また旧民主党結成後に私が小沢に、この論文末尾の「自衛隊3分割」論を説明した時、彼はすぐに「賛成だ」と言った。そうなら鳩山と小沢はじっくり話し合って、この「常時駐留なき安保」論を民主党の党是としたらどうなのか。

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《沖縄米軍基地問題》

 我々は沖縄の米軍基地問題を含めて外交・安全保障政策についても、未来からの発想を採用すべきだという議論を、夏前から始めていた。その頃自民党サイドでは、来年5月に更改期限を迎える米軍用地の地主が、いわゆる反戦地主を含めて約3000人もいるということを思うと、これは国が直接に土地を強制使用できるようにする特別立法を行う以外に手がないという議論が出ていた。来年に差し迫った問題から入っていくと、そういう貧しい発想しか出てこない。ここで再び国が沖縄で強権を発動すれば、沖縄の人々の本土不信は取り返しのつかないほど深まるに違いない。

 そうではなくて、沖縄県が打ち出している「2015年までに全ての米軍基地の返還を実現する」という基地返還アクション・プログラムと、その跡地利用を中心として沖縄を再び東アジアの交易・交通拠点として蘇らせようという国際都市形成構想とを、十分に実現可能な沖縄の将来像としてイメージするところから考え始める。そうすると、沖縄の米軍基地が返ってくる(ということは、その3分の1しかない日本本土の基地も当然返ってくる)ことを可能にするようなアジアの紛争防止・信頼醸成の多国間安保対話のシステムをどう作り上げていくか、また本質的に冷戦の遺物である日米安保条約を21世紀のより対等で生き生きとした日米関係にふさわしいものにどう発展させていくか、といったことが、外交・安保政策の長期的な中心課題として浮上する。

 そのような方向を設定した上で、現実にまだ朝鮮半島に危機が潜在している今の段階で、日米安保協力の強化という課題にどう対処するかを判断しなければならないし、あるいは又、原稿の日米安保の下でも少しでも沖縄をはじめ米軍基地の被害をどう食い止めるかの具体策を打ち出さなければならない。

 こうして、20年後には基地のない沖縄、その前にせめて米軍の常時駐留のない沖縄を実現していきたいとする彼らの夢を、私たち本土の人間もまた共有して、そこから現在の問題への対処を考えていくというように発想すれば、来年の困難な問題にも自ずと解決の道が開けてくるのではないか。

 橋本総理、梶山官房長官もさすがに特別立法で県民を押さえつけることの愚に気づいて、フリーゾーンの設定はじめ沖縄の経済自立への構想を積極的に支援する方向を打ち出し、それが大田昌秀知事の態度軟化を引き出すことに成功した。それは結構なことではあるけれども、自民党や外務省は、しょせんは日米安保は永遠なりとでもいうような守旧的な認識を変えようとせず、その延長線上で基地のあり方を部分的に改善することしか考えつかない。県民に「基地との共存」を強要した上で、金で済むことならいくらでも出しましょうということでは、沖縄の人々の夢は決して現実のものとはならない。

《常時駐留なき安保》

 さてそのような方向に進もうとすれば、当然にも外交・安全保障政策全般についても旧来の延長ではない発想の転換が必要になる。

 日米関係は今後とも日本の外交の基軸であるけれども、そのことは冷戦時代そのままの過剰な対米依存をそのまま続けて行くこととは別問題である。

 まず1つには、我々は、活力にあふれ、ますます緊密に結びつきつつあるアジア・太平洋の全体を、日本が生きていく基本的な生活空間と捉えて、国連、APEC、東アジア、ASEANおよび北東アジアすなわち環日本海という重層的な多国間地域外交をこれまで以上に重視し、その中で日米、日中はじめ2国間関係を発展させ成熟させていく必要がある。そのような観点からすると、ASEAN地域フォーラム(ARF)に積極的に参加するだけでなく、北東アジアでもそれと同様の多国間の信頼醸成と紛争予防、そして非核地帯化のための地域的安保対話システムを作り上げ、並行して北朝鮮やロシア極東部を含む多角的な経済協力を推進していきたい。

 そのような努力を通じて、まずいわゆる「極東有事」が発生しない北東アジア情勢を作り出していく。それが、沖縄はじめ本土も含めた米軍基地を縮小し、なくしていくための環境づくりとなる。私はそのような条件は次第に生まれつつあると考えている。すでに米韓両国からは、朝鮮半島の休戦協定を恒久的な和平協定に置き換えるための南北と米中の4者会談が呼びかけられている。かつての戦争当事者同士によるその会談が成功を収めた後に、さらにそれをロシアと日本を含めた「6者協議」の枠組みへと発展させ、米中露日が見守る中で南北が相互理解と経済交流の促進と将来の統一をめざして対話を継続するよう促すのが現実的である。そしてその6者とは実は、日本海を囲む北東アジアの関係国すべてであり、朝鮮半島の問題だけでなくこの地域の紛争問題や資源の共同管理、多角的な経済交流などを話し合っていく場ともなりうるだろう。

 そういう国際環境を日本が自ら先頭に立って作り出し、成熟させていくことができれば、その進度に応じて、沖縄・本土の米軍基地の整理・縮小・撤去と「常時駐留なき安保」への転換を図ることができる。私は、2010年を目途として、日米安保条約を抜本的に見直して、日米自由貿易協定と日米安保協定とを締結して、日米関係を新しい次元に引き上げつつ、対等なパートナーシップとして進化させていくことを提唱したい。

 それまでの間、現行の日米安保条約はもちろん堅持するが、一部に議論が出ているような「集団的自衛権」のなし崩し的な拡大解釈によって自衛隊を域外での作戦行動に従事させることは、冷戦時代への逆行であり、認めることはできない。仮に上述のような「極東有事」を発生させないような外交努力が実らず、米軍が日本を基地として第三国に対して作戦を行う事態が生じた際には、あくまで現行条約第6条に沿って、まず事前協議の対象とした上で、その基地提供義務とそれに伴う物資役務提供の取り決めに従って協力する。

《自衛隊のあり方》

 こうした方向をとる中で、自衛隊のあり方も大いに見直す必要があろう。私は、2010年の段階では、自衛隊は、海空兵力を中心とした精強な国土防衛隊と、それとは区別して主に陸上兵力によって編成され訓練された国際平和協力部隊、および機動力を持った災害救援部隊とに再編されるべきだろうと考えている。国際平和協力部隊は、日本の国益とは無関係な立場で、国連のPKOや将来創設されるかもしれない東アジアの共同警察軍などの活動に積極的に参加する。

 いずれにしても、外交・安全保障の中心目標は、「紛争解決の手段として武力を用いない」という日本国憲法および国連憲章の精神がますます広く行き渡るような世界をつくりだすために、先頭に立って行動し、そのことによってアジアはじめ世界から信頼される国になることである。国連に関しては、21世紀の地球的な課題に適合できる"第3の国連"を創設する意気込みで、大国エゴがまかりとおっているとの批判がある安保理のあり方を含めて大胆な改革案を提示することが肝要で、日本が現在のままの安保常任理事国に入ることはメリットもないわけではないがデメリットのほうが大きいのではないか。

ネット選挙解禁に民主党がブレーキ! ツイッターはNG

 インターネット選挙を今夏の参院選から解禁するために設けられている与野党の実務者協議会は12日、候補者と政党のホームページとブログの選挙期間中の更新を認めることで合意した。一方、ツイッターやメルマガについては民主党内で慎重論が強く、今回の公職選挙法改正では見送られる可能性が高まった。ツイッターとメルマガが解禁を見送られたことの背景には、「なりすまし」や「誹謗中傷」に対する懸念があると言われている。

 これに対し、ネット上では民主党に対する批判が集中。堀江貴文氏は自身のブログで「twitterには認証アカウント制度もある。疑問があれば直接本人に尋ねることができる」「そもそもブログとtwitterを差別することが間違っている」「技術的なことを何も知らない人たちに決められたくはない。専門家が入ってもっと現実的な案にすべき」と指摘し、ツイッターを使用中の藤末健三議員は相次ぐ批判について「民主党が消極的との憶測が飛び交っていますが、ここは必ず、民主党が主導権を持って、ネット解禁に道を拓くべし」と対応している。

 さらに疑問視されているのが、法案でツイッターの禁止をどのような文言で書き込むかだ。現実的には、ツイッターは「ミニブログ」と表現されるほどブログと似た性能を持っており、一私企業が提供しているサービスであるツイッターを公選法で法的に定義づけ、禁止することは不可能に近い。

 また、仮に定義づけることができたとしても、大手ブログサイトのアメブロやSNSサイトのmixiなどはすでにツイッターと同じ機能を多数搭載しており、ツイッターが禁止されることで一部のネット企業にも政治コンテンツの参加に制限がかかり、営業的な損害を受けかねない。

 今回の合意でホームページとブログの更新が認められたことで、ネット選挙が前進したのはたしかである。しかし、これから公選法の改正案がどのような文言で提出されるのかは明らかになっていないため、このまま「ブログはOK、ツイッターはNG」という方針で法案を提出すれば、特定の企業を狙い打ちした公平性なき悪法になる危険性もある。

【関連記事】
■ネット選挙について(堀江貴文氏ブログ)
■なぜツイッターはダメなのか? ネット選挙運動解禁でツイッター除外に批判の声(産経)

2010年5月11日

《インタビュー》清水信次:いまこそ"Thank You Very Much, Good-Bye America"を

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「『アメリカさん、ありがとう。お世話になりました。65年間受けたご恩は忘れません』と機嫌良く帰ってもらったらいいのです。いまこそ"Thank you very much , Good-bye America"と言う時です」

 ライフコーポレーション会長で戦後の流通業界を牽引してきた清水信次(しみず・のぶつぐ)氏は11日《THE JOURNAL》のインタビューで沖縄の基地問題について語り、日米安保の見直しとアメリカ駐留軍の撤退を訴えた。

 清水氏はGHQによる占領時代の闇市やその後起業した経験をもとに、「朝まで生テレビ」などのメディアに出演し経済界・政界に対して発言してきた。

 在日米軍については自身の著書「惜別 さらばアメリカ (RYU SELECTION)」(経済界 2009/07)で、

「日本が駐留米軍の庇護の下で安全保障を維持していくうちに、国民が次第に自主独立の精神を失っていくことのほうが、よほど重大な問題」
「今後も他国の軍隊のもと、独立国家としての尊厳を放棄し続けるのか。あるいは日本固有の国防軍を整備して、独立国家として自立を取り戻すのか。私たちは、すぐにでも国民による議論を始めなければならないときを迎えている」

 と主張し、日本が「いかなる理由があっても国外出動しない国防軍」を持ち「永世局外中立国(非同盟国家)」となるべきとの自論を展開してきた。

 清水氏は次期参院選(全国比例区)に民主党からの出馬を予定しており、仮に当選すれば戦争を体験した"84歳の新人議員"となる。

 参院選まであと2ヶ月。候補者や現職議員はこの時期、票離れをおそれて自論を封印し政治的発言を避ける傾向がある。「選挙は相当厳しいだろう」(清水氏)と自身の選挙事情を語る一方、それでも政治的発言を避けない清水氏のような候補者はどれほどあらわれるのだろうか。

2010年5月11日、《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

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【プロフィール】清水信次(しみず・のぶつぐ) 1926年、三重県津市生まれ。 ライフコーポレーション代表取締役会長兼CEO。旧制大阪貿易語学校卒。陸軍に入隊、太平洋戦争従軍。45年復員後、清水商店を設立、56年清水實業(現・ライフコーポレーション)設立、社長に就任。現在全国200店舗以上のスーパーマーケットを展開している。 2001年、第19回参議院議員通常選挙比例代表区に自由党(党首:小沢一郎)から立候補し次点で落選(当選者4名。得票43027。第5位)。 日本スーパーマーケット協会名誉会長、日韓協力委員会副会長

2010年5月 6日

映画「ザ・コーブ」を観た

森達也氏(映画監督・ドキュメンタリー作家)

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 いま何かと話題のドキュメンタリー映画「ザ・コーブ」を観た。「何かと話題の」と慣用句を冒頭から使ってしまったが、話題のポイントは大きくは二つに分けられる。

(1)イルカやクジラを食べるべきではないとするテーマ(主張)に正当性はあるのか。
(2)作品としては優れているのか。

 (1)はかなりややこしい。だからまず(2)についての僕の意見を述べる。

 「ザ・コーブ」はドキュメンタリー作品としては、圧倒的な傑作だ。

>>続きは「Infoseekニュース 内憂外患」で

2010年5月 5日

"抑止力論の罠"に絡め取られた鳩山首相 ── これでは普天間問題は解決しない!

takanoron.png 5月4日、就任後初めて沖縄を訪問した鳩山由紀夫首相は、仲井真弘多県知事との会談で、「私は、海兵隊が必ずしも抑止力として沖縄に存在しなければならない理由はないと思っていたが、学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体の中で海兵隊は抑止力を維持できるという思いに至った。(認識が)甘かったと言われればその通りかもしれない」と述べた。それを言っちゃあおしまいよとはこのことで、もし言うなら次のようなことでなければならなかった。

《私はかつて、多くの国民の皆さんと同様、在沖海兵隊は抑止力維持に不可欠という米国の主張をほとんど鵜呑みにしていて、にもかかわらず沖縄県民の過大な基地負担と、とりわけ"世界一危険な基地"と言われる普天間基地を一刻も早く撤去しなければならない緊急性を顧みれば、何としても「最低でも県外移設」を実現する道筋を見いださなければならないとの痛切な思いを抱き、昨年総選挙前にそれを表明した。しかし、学ぶにつけ、海兵隊を含む在日米軍のいわゆる"抑止力"は、前政権下では、まるで水戸黄門の御印籠のように扱われてきて、米国側から「抑止力だ!」と言われると、それだけで「ハハーッ」とひれ伏してしまっていて、在日米軍の各部隊と自衛隊との共用も含めれば全国120カ所もある米軍施設のそれぞれが、具体的にはどこからのどういう危険をどのように抑止するために駐留しているのかという具体的な検証は、一度たりとも日米間で真剣に議論したことがなかったという、独立国としてはあるまじき驚くべき現実が明らかになってきた。そこで私としては、「在日米軍が果たしている"抑止力"とは何か」を米国と正面切って議論しつつ、その中で、普天間はじめ海兵隊についても、最終的にはグアム・テニアン、もしくハワイや米本土に撤収し緊急時にのみ日本に展開するという「常時駐留なき安保」実現への最初の試金石となることを目指して、交渉を続けていくつもりである。しかしこれは、米軍全体の世界戦略との関係もあって、何もかも「5月末」までに結着することにはならない。5月末には、日本としてのそのような姿勢を明確にしつつ、この日米の戦略協議に応じることを米側に約束させ、出来れば年限を区切って誠実な交渉を続けて行くことについて日米間の合意を達成する。その上で、しかし、普天間の危険の除去は一刻を争うことであるので、この交渉が成るまでのあくまで暫定措置として、シュワブ修正・縮小、嘉手納空軍基地、嘉手納弾薬庫、ホワイトビーチ、徳之島などあらゆる移転・分散の可能性を探究して、繰り返すがあくまで年限を定めた暫定措置として各地元に負担受け入れをお願いすることになる。》

●鳩山"抑止力"発言

 改めて鳩山の今回の"抑止力"についての発言を引用する。

▼(昨年「最低でも県外」と発言した際)私は、海兵隊が必ずしも抑止力として沖縄に存在しなければならない理由にはならないと思っていた。ただ、学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体の中で海兵隊は抑止力が維持できるという思いに至った。(認識が)浅かったと言われればその通りかもしれない。(仲井真知事に対して)

▼海外(移設)の話もなかったわけではないが、現実に日米同盟関係、近隣諸国との関係を考えた時、抑止力の観点から難しいという思いになった。すべてを県外に移すのは現実問題として難しい。(県知事、県議会議長に対して)

▼将来的には、グアム、テニアンへの移設ということもあり得る話と思っているが、現在の北朝鮮をはじめとする北東アジア、アジア情勢をかんがみた時に、日米同盟を維持していく中で抑止力の観点から、沖縄、周辺の皆さんに引き続いて負担をお願いせざるをえない」(稲嶺進名護市長に対して)

 それならそれで鳩山は、在沖海兵隊の"抑止力"がいかに必要不可欠であるかについて、沖縄県民はじめ日本国民に堂々と説明して、「そうか、それなら海兵隊は是非とも沖縄に居て貰おうじゃないか」という国民的合意を形成しなければならない。その限りでは、5日付日本経済新聞の社説が「まず米国との同盟や在日米軍がなぜ必要なのかを、わかりやすく、きちんと国民に語るべきだ。......何のために沖縄に米軍がいるのかについては、詳しい説明を聞いた記憶がない」と言っているのは正しい。

 しかし、その後に続けて日経社説が述べている、鳩山が国民に説明すべき中身は全く陳腐である。曰く、在日米軍は日本を守る義務を負っているだけでなく、さらに台湾海峡や朝鮮半島など近隣の火種に対応する役割もあり、だからこそこれらと距離的に近い在沖米軍基地を一気に減らすことはできない事情がある、云々。

 つまり、"抑止力"を巡っては、(1)素朴かつ感情的な米軍基地不要論、(2)自民党政権や日経はじめマスコミのこれまでの日米間の"常識"に経った基地必要論、(3)"日米対等外交"という新しい発想に立った米軍基地"仕分け"論----という3つのレベルがあって、鳩山はこの1年近くをかけて(1)から(2)へと到達したことを今回表明したのだったが、これでは「そんなことも知らなかったのか」(名護市での対話集会に出席した住民、朝日5日付)と言われるだけである。

 本論説では何度も書いてきたので、今更繰り返すのも気が重いが、例えば、北朝鮮の"脅威"に対する海兵隊の役割として、米太平洋軍海兵隊のスタルダー司令官が3月末に来日して「南北の衝突より金正日体制の崩壊の可能性の方が高く、その時、北朝鮮の核を速やかに除去することが最重要任務だ」と語ったことについて、鳩山政権は米国と議論したのかどうか。北の対日直接侵攻、核攻撃、南北衝突、北の内部崩壊など、同じ「朝鮮半島の火種」と言っても規模も性質も異なるいろいろな危機シナリオがあるのはもちろんんことだが、そのうち現実的な問題として日米が対処しなければならないのはどれとどれで、その優先順位はどうで、さらにそのうちで海兵隊が関係があるのはどれなのか。もし司令官が言うのが本当だとして、それなら海兵隊は韓国に駐留したほうがいいはずで、なぜ沖縄なのか。しかも、現行の06年合意では1万2000人の現有在沖海兵隊のうち8000人をグアムに引いて5000人を残すことになっているが、それは司令官の言うシナリオとどう関係するのか、等々。

 「中国の海軍力増強」というが、それは主として米第7艦隊の問題で、海兵隊はほとんど関係ないのではないか。中国が台湾に上陸侵攻した際に海兵隊が地上戦闘に加わるというシナリオはあるのかどうか(多分、ない)。台北の米人救出? そのために沖縄に待機しなければならないというものでもないでしょう。「海兵隊が沖縄から出て行ったら尖閣諸島はどうなると思う。次の日から尖閣諸島に中国の旗が立つだろう」と米政府高官が言っていると、朝日新聞5日付の船橋洋一主筆が書いているが、これこそ典型的な"抑止力"を御印籠とした対日恫喝で、彼も言うように「尖閣列島を守るのはまずは日本の自衛隊と海上保安庁が果たすべき役割」であるし、大体、仮に中国が尖閣を支配しようとしても米国が中国との軍事紛争突入を賭けてその防衛のために出動する予定があるのかどうかも定かでない。

 こういう議論を米国ととことん交わした上で、なおかつ鳩山が、上記のレベルのうち第3レベルで「抑止力はやっぱり必要」と言うのであれば、説得力が湧かないでもなかったろう。第2レベルの自民党的常識に立って"抑止力"を口にしたのでは、それ以上詳しい説明など出来るわけがなく、従って県民はじめ国民を納得させて負担を求めるなど出来るはずもない。今からでも遅くはない、「5月末」までにさらに「学んで」米国と論戦を交わし、第3レベルで物を言って貰いたい。▲

2010年5月 4日

憲法記念日社説読み比べ 沖縄タイムスが取り上げた「知る権利」

 毎年5月3日の憲法記念日は、新聞各社が憲法をどう考えるかについての社説をかかげる日だ。今年は改憲の読売・護憲の朝日のようにスタンスの違いを出していくつかの問題点を列挙しながらも、「幅広い国民的議論」の重要性を訴える点で共通していた。

 「憲法と日米安保について、事実に即した率直な議論をしてこなかったことのツケは大きい」
 かねてから憲法を論じる「論憲」をうたってきた毎日新聞は、GHQによる占領期からの歴史をふりかえり、歴代政権が国民に対していかに日米安保を語ってこなかったか、密約問題を例示して指摘した。

【主要紙の社説タイトルとリンク】
読売:改正論議を危機打開の一助に
朝日:失われた民意を求めて
毎日:「安保」の将来含め論憲を
中日(東京):初心をいまに生かす
産経:中国の脅威増大に対処を 集団的自衛権で同盟立て直せ

*   *   *

 テーマを1点に絞って問題提起をしたのは、日米問題の中心地である沖縄のメディアだ。沖縄タイムスは社説「公文書はだれのものか」で、4月に判決が出た沖縄返還に関する密約文書開示請求訴訟を取り上げ、国民の「知る権利」に注目した。「公文書は国民のものだ。政治家や官僚が独占したり、まして廃棄したりするようなことがあってはならない」と旧政権下の情報隠蔽体質を批判した。

沖縄タイムス:公文書はだれものものか

 政権交代から7ヶ月経ち、14府省庁で閣僚会見がフリー記者にも開放されるなど自民党政権に比べると「国民の知る権利」「情報へのアクセス」が向かう方向には明るい兆しが見えつつある。

 しかし取り組むべき問題は山積している。たとえば中央省庁で行われる有識者会議は中央省庁等改革基本法によって公開することを原則に定められているが、実際は各省庁任せで透明性は確保されているとはいえない。現に沖縄返還にともなう日米密約問題を調査した外務省「有識者委員会」(座長・北岡伸一)は非公開で、議事録も作られていない状況だった。(詳細は「知る権利、集まる注目(毎日新聞)」)

 施行から63年が経過する日本国憲法は、今年節目を迎える。憲法改正手続きを定めた国民投票法が今月18日から施行され、改正の手続きがとれる環境になる。国民が的確な判断を下すためにも、「知る権利」はますます重要性を増すことになる。

【関連記事】
密約文書開示請求訴訟 原告勝訴「密約」の存在認定(琉球朝日放送)
金平茂紀:誰が核密約文書の破棄を命じたのか?
特集:きょう憲法記念日 知る権利、集まる注目(毎日新聞)

2010年5月 3日

郷原信郎:検察が危ない

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検察が危ない (ベスト新書)

名城大学教授で弁護士の郷原信郎氏が4月にベスト新書から『検察が危ない』を上梓した。元検事でありながら、検察のあり方について繰り返し問題提起をしてきた郷原氏が、この本の執筆にあたって伝えたかったことは何なのか。本誌編集部がインタビューを行った。

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写真は2010年1月18日のシンポジウム

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── 4月に発売された「検察が危ない(ベスト新書)」が話題になっています。どのようなきっかけでこの本を書かれたのでしょうか

本のタイトルである「検察が危ない」には2つの意味があります。ひとつは、このところ質の劣化した捜査で暴走を繰り返す特捜検察が、社会にとって"危ない"存在になっているということ。もう一つは、そういった存在になってしまった検察組織そのものも"危ない"状態にあるということです。

そこで、前著である『検察の正義 (ちくま新書)』でも書かなかった特捜部の内実にも触れ、世の中には無条件で認められる「絶対的正義」など存在せず、検察が起訴すればそれだけで被疑者を「悪」と思いこむ日本の現状がいかに危ないかということを知ってもらうため、この本を書きました。

──本を読んで驚いたのが、これまで知られていなかった特捜部の内実が具体的に明らかにされていることです

一般的には、特捜部とはエリート検事たちがハイレベルの捜査をやっている組織だと思われているでしょう。しかし、実際には特捜部ほど人間性をスポイルする組織はありません。軍隊そのもので、人間の個性や感受性のすべてを失わせてしまう。そういう組織が特捜部なんです。

たとえば、今年の1月末に行われた民主党の小沢幹事長の2度目の事情聴取では、副部長すらその事実を知らなかったそうです。秘密が漏れてはいけないという配慮だったのでしょうが、副部長も事件や捜査の流れの全体がつかめていないとなると、チーム捜査もできない。「自分たちは何を目指して捜査しているのか」ということが組織全体で共有できてはじめて、それが組織のパワーにつながるわけで、共通の目標を持たず、個々が一生懸命ボートを漕いでも、組織としてのコラボレーションは生まれません。むしろ、方向を間違えればとんでもない方に向かってしまいます。

そうではなく、みんなが目標と自分のやるべきことを共有してはじめてチーム捜査の良い効果が生まれ、特捜検察は社会の要請に応えるハイレベルな仕事ができるはずです。

──最近では、検察の捜査能力の低下はいたるところで指摘されるようになりました。元検事としてどのように感じていますか?

ここまでレベルが下がったということは、悪質重大な事件はすでに摘発できない状態で、どこにでもあるような違法行為しか摘発できなくなっているのではないでしょうか。ところが、それでもマスコミは特捜部を賞賛するので、その程度の摘発でも容認されてしまう。その結果、際限なく捜査の範囲が広がっている状態になっています。そこが危ない。

誤解しないでいただきたいのは、私が検察批判をしているのは、「検察をよくしたい」と思っているからなんです。このままの検察ではどうなってしまうのかわからないという危機意識から、かつて検察に属した人間の責務だと思って、検察批判をしているのです。検察批判を他に誰かやってくれるのなら、やってもらいたい(笑)。

──明らかな失敗捜査でも大手マスコミのほとんどが批判しないため、過ちが繰り返されているようです

2000年以降、特捜部が指揮した事件でまともな捜査はほとんどないのではないでしょうか。にもかかわらず、こんな状況にあってもマスコミは検察の発表をそのまま大本営発表のように垂れ流している。これはもはや太平洋戦争末期と一緒。よく目を開いて見てほしい。非難する対象をみつけては「鬼畜米英」と叫び、その一方で帝国陸海軍(=特捜検察)は不敗だという不滅神話にこだわっている。いまは戦時中そのものです。

──本の中でも、政治家が検察の捜査をチェックしようとすると、それ自体を検察捜査に対する不当な介入だと言って非難するのを戦前の統帥権干犯のような状態になっていると指摘しています

特捜部のとんでもない方向の権限行使に対しては、何らかの民主的なコントロールが必要であることは言うまでもありません。

公権力の権限行使については、3つの現代的権力のバランスが必要です。3つの現代的権力とは「政治」「検察」「メディア」。この3つのバランスがとれていなければなりません。

検察の権力については、他人を逮捕・起訴をするという権限行使そのものですので、それ自体が社会的に大きな影響力を持っています。だから、検察は説明責任を負わなければならない。検察は公判で説明責任を果たすと言いますが、実態と離れたとんでもない空理空論です。

ここで正しく理解していただきたいのは、検察の「伝統的機能」と「社会的機能」の違いです。検察のもともとの役割は、殺人や窃盗など、典型的な犯罪行為に対して然るべき処罰を求めることです。こういった伝統的な犯罪であれば、証拠があれば起訴するのが当然で、検察に説明責任は必要ありません。

しかし、私が批判している経済事犯や政治資金規正法による捜査や起訴は、そもそも価値判断があって定められている法律です。また、その中でもある行為を特別に選んで処罰するのが本当に正しいのかということについては、「なぜ権限行使をしたのか」という説明が検察側に必要なのです。この検察の「伝統的機能」と「社会的機能」を一緒にせず、区別する必要があります。

もともと検察が「絶対的な正義」と言えるのは伝統的機能においてのみであって、社会の中心部にいろんな法令を武器にして権限行使をおこなうという社会的機能に関しては、当然説明責任があるべきなのです。説明責任を負うということは、説明できないような権限行使はできないということです。ところが、検察が説明責任は果たすことがないから、どんな権限行使でも許されてしまっているのです。


──今回も政治資金規正法をどう解釈するかということで議論がありました

政治資金規正法は、軽微なものも含めれば違法行為がそこら中に存在しています。しかし、政治資金規正法には目的があってルール化されているわけで、その目的に照らして何が刑事罰の対象とされる犯罪なのかということを、きちんと考える必要があります。検察だけではなく、政治家もそのルールのあり方について考えなければいけません。

そして、そうして確立されたルールに基づいて、犯罪の摘発が行われているのならまだいい。しかし、実際には軽微なものも含めて違法行為がたくさんあるなかで、どれをつまんで処罰するかは検察の勝手で、どんな政治家でも検察は摘発できるということになってしまいます。その結果、検察の権力と政治の権力のバランスが崩れてしまっている。

──なかなか大手メディアはこういった視点について取り上げることはないと思いますが、ネット上ではさまざまな形でこの本が紹介されているようです。発売後の反響はどうでしょうか?

こういう本を大手の新聞・テレビが紹介することはまずないと思いますが、4月に1度広告を出しただけのわりには反響を呼んでいるそうです。ツイッターやブログでのクチコミを中心に広まっているようですね。

1月におこった小沢幹事長の政治資金をめぐる事件でも、Twitterで広まった検察批判の力は大きかったように感じています。もっと多くの人にTwitterを通じて情報に接してもらい、つぶやきがどんどん広がれば、世の中が変わり、検察も変わっていくのではないでしょうか。ブログの世界とはまた異なる情報発信の世界が広がることを期待しています。

2010年5月 1日

GW企画、今放送中の「朝まで生テレビ!」について語るスレッド

たった今、朝まで生テレビ!が始まりました。

さすがに今回は、急きょテーマ変更か!?...と思っていましたが、番組HPの予告どおり「激論!い出よ!平成の龍馬〜平成鎖国・日本を打破するのは誰か〜」と題した景気のいい内容となっております。

先日、取材&ラジオに出ていただいた斎藤弘(さいとう・ひろし、日本創新党政策委員長、前山形県知事)氏も出演されています。

前回に引き続き、是非、みなさんのご意見・ご感想をリアルタイムでお聞きしたいと思います。

くどいようですが、テレ朝とは全く関係ありませんので、誤解のないようお願いいたします。

オフィシャルサイトには、リアルタイムに書き込めるスペースがないようですので、勝手にやっています。

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司会:田原総一朗
進行:長野智子・渡辺宜嗣(テレビ朝日アナウンサー)

パネリスト:
藤末健三(民主党・参議院議員)
今井雅人(民主党・衆議院議員)
山本一太(自民党・参議院議員)
浅尾慶一郎(みんなの党・衆議院議員)
斎藤 弘(日本創新党政策委員長、前山形県知事)

荒パスカル(通訳・翻訳家)
猪子寿之(チームラボ(株)代表取締役社長)
勝間和代(経済評論家)
高橋洋一(元財務官僚)
歳川隆雄(ジャーナリスト)
堀江貴文(元(株)ライブドア社長)
渡部恒雄(東京財団上席研究員)

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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