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2010年4月30日

平野貞夫:新党結成ブームについて語る

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写真は2010年2月27日の取材

《THE JOURNAL》ブロガーでもお馴染みの平野貞夫(ひらの・さだお)氏が、ご自身のメディア「平野貞夫の国づくり人づくり政治講座[第61号]」上で、「みんなの党」「立ちあがれ日本」「日本創新党」「新党改革」の共通点、また、その違いについて発言されています。

以下、全文になります。

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昨年8月30日の衆院総選挙は、自民党の歴史的敗北で、日本歴史上初の無血革命による、国民の意思による政治権力の確立であった。その結果、2つのことが起こった。1つは自民党が再生できず崩壊過程に入り、自民党という孟宗竹の古株から、雨後でなく総選挙のタケノコのように、新党が生まれた。

もう1つは、得意のファジー(あいまいで、ぼやけ)さで、308議席を得て政権交代した民主党が1年間も立たないうちに、政権担当能力がないことを露呈したことである。その結果、日本の政治の劣化を内外から批判されるようになり、政治不信情況になっている。

まず、自民党発の新党結成ブームについてだが、「みんなの党」「立ちあがれ日本」「日本創新党」「新党改革」とも共通していることがある。それは、自己が中心となって政権を獲得するという主体性がないことだ。いずれも、民主党政権の劣化が進むことを前提に、政界再編の際の補完勢力として政治家が生きのびるための方策の発想で、新党を結成したことだ。

この発想は明治23年に、日本で議会政治が始まって以来からの日本人の政党観なのだ。実は政党というものは、国民の利害や権利・義務を調整するため、共通の理念と政策をもって選挙によって権力を得る組織であると定義されている。実際は、議会政治が多数決という集団行為であるため、政治家が政党という名分を利用して、自分の利権ポジションを向上させる道具であった。

自民党を敗北に至らせた原因は、民主党の立派?なマニュフェストにあったのではない。直接的には麻生首相の検察警察権力を利用した弾圧政治だ。背景には情報化社会という文明の移行という歴史観の欠如である。八・三〇無血革命を起こしたのは、旧体制の自民党それ自身にあることを知るべきだ。その反省、これまで自民党を権力政党として活動させてきたさまざまな要因が、自民党を崩壊させているという、歴史のパラドックスを理解すべきである。

「立ちあがれ日本」と「新党改革」は、権力という甘い汁にどうやって近づいて生きていくか、これが本音であろう。これまでの自分たちの政治活動を反省するだけでなく、創造的に否定することから始めるべきか。

「みんなの党」と「日本創新党」は、前の2党とは違っている新しさがある。大いに期待したいところだが、どうして一緒になれないか不思議である。両党に口から先に生まれたような人が多いが、おそらく政治家としての世界観や歴史観・人間観が未熟か未完成かが原因で、自己本位から抜け出せないだろう。自己犠牲心がなくては、国を動かせない。

ところで、民主党政権だが、総選挙で圧勝できたのは、麻生自民党政権の失政と民主党という政党のファジーさによるものだ。ファジーとはあいまいさいいかげんさである。これは、ある情況で国民からみて何か新しいことをやれる、という期待感につながる。

何しろ「革マル派から自民談合政治を続ける派」まで幅広い人たちの集団だ。共通の理念とか基本政策が共有できる集団である。これが幅広い有権者の支持を得たのである。しかし、政権を獲った以上、ファジーさで政権を運営できるはずはない。権力で国を動かすためには秩序とルールが必要である。

民主党が政権に就いて、まず、断行すべきことは「ファジー」さの否定である。政党としての「創造的自己否定」だ。政治家や政党にとって、もっとも大事なことは、大きな変化にあたって「創造的自己否定」ができるかどうかにある。自民党の崩壊、それに代わる民主党政権の劣化・挫折の原因はここにある。

郷原信郎:検察審査会の「起訴相当」議決について...とんでもない議決、あぜんとした

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写真は2010年2月9日の記者レク

4月28日に開催された、コンプライアンス研究センター長定例記者レクで、郷原信郎(ごうはら・のぶお、名城大学コンプライアンス研究センター長)氏は小沢幹事長の政治資金規正法違反事件についての検審「起訴相当」議決について、以下のように発言されています。

その内容を全文掲載いたします。

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昨日、陸山会の不動産取得に関連する政治資金規正法違反についての、小沢一郎氏に対する不起訴処分について、東京第5検察審査会で起訴相当という議決が出ました。よく議決書を読んでみると、とんでもない議決です。驚いたというか、あぜんとしたというのが正直なところです。

まず、驚いたのが被疑事実ですが、平成16年の陸山会の収支報告書に、小沢一郎氏から現金で4億円借入をしたのに、それが記載されていなかったということが、今まであれだけ問題にされてきた。この年の収入がその分過少だったということが、石川氏の起訴事実になっているはずですが、それが今回、起訴相当とされた被疑事実に入っていないのです。

何が起訴相当な事実とされているかというと、要するに1つは、16年分の収支報告書に土地代金の支払いを支出として記載しなかった。平成16年10月に3億4260万、土地代金として支払ったのを、この年の政治資金収支報告書に記載していなかったという支出の虚偽記入。それと、そこで不動産を取得したことを、この年の収支報告書に記載しなければいけなかったのに、それを記載していない。それから、翌年の収支報告書に、支出をしていないのに、土地を取得した事実はないのに土地を取得したということと、その土地代金を事務所費として支出したということを記載した。これもウソだということ。これが検察審査会が起訴相当とした事実です。

要するに、いろいろ書いてあるけれども、土地の取得の時期が2カ月ずれていた。土地の代金の支払いの時期が2カ月ズレていた。それだけです。それはまったく私も、予想だにしなかったことです。確かに、石川氏の起訴事実の中に、虚偽記入として支出がズレていたということも含まれていたと思います。しかし、まさか、支出の時期が、土地代金の取得時期がズレたのに伴って、代金の支払いの事実が2カ月ほどずれていた、たまたまそれが年度をまたいだということが、虚偽記入でとらえられるとはまったく思っていなかったし、それが、国会議員を起訴に値する事実だとは私には到底思えません。

これは、恐らく、私ならずとも、検察の側も、捜査を進める中で、これだけの事実で起訴するなどということはまったく考えてもいなかったと思います。検察の方も、最初は、4億円の収入の不記載も、それだけだったら身内のお金がぐるぐる回っていたというだけ、単に立替金というだけで、政治資金規制法違反と言っても本当に起訴価値が、処罰価値がないから、そこに水谷建設からの裏金5000万円が原資として含まれているということがあって、初めて4億円の収入の不記載、収入の過尐記載も起訴できる事実に当たる、ということを前提に捜査を進めていたと思います。

ところが、実際には水谷建設からの5000万円の裏献金のことは全然証拠が固まらなかったということで、私はちょっと、それは無茶ではないかと思いましたが、石川議員を4億円の不記載、収入の過尐記載で逮捕し、そして、それについて小沢氏が起訴できるのか、共謀が認められるかどうかということが問題になったけども、結局検察は小沢氏の共謀は認められないという判断だったわけです。もっぱら4億円の収入の不記載ないし過尐記入というところに焦点が当たっていたはずです、検察の処分では。

ところが今回はそれについては全然触れていないで、客観的には確かに時期がズレているから虚偽と言えば言えるだろうという支出の時期のズレ、不動産の取得の時期のズレ、ここだけを起訴すべきだという議決です。これは、いくら何でも政治資金規制法の趣旨目的から考えて、これだけの事実で起訴すべきだと言われても、到底起訴はできないと思いますし、検察の不起訴の結論は変わらないと思います。

再捜査をしたところで新たな証拠が見つかる可能性はほとんどないわけです。ほとんど現時点と同じような証拠を前提にして、再度検察が判断しなければいけないわけですが。既に、検察が組織として証拠が不十分で起訴できないということを決定しているわけです。それを、今回の一回の検審の議決で覆すということはあり得ないと思います。
しかも、起訴相当の議決で被疑事実とされたのは、単なる期ズレの問題です。時期がズレただけの問題です。これで起訴するということはあり得ないと思います。それじゃあ、4億円の収入の不記載、あるいは収入の過少記入という点を併せて起訴することができるかというと、できないと思います。すでに検察がいったん不起訴にして、今回の検察審査会の議決でも起訴相当とされた事実じゃないわけですから、検察がその点も含めて、改めて起訴すべきだと判断する理由はまったくありません。

となると、今回の起訴相当の議決はあっても、再捜査の結果、再び不起訴になる可能性が極めて強い。そうすると、今度もう一回検察審査会に行くわけです、今度は、検察官の説明で、ずれの問題だけではとても起訴なんかすることは考えられないんです、ということをよく検察が検察審査会に説明しなければいけないと思いますが、それでも検察審査会の素人的な判断はまた起訴だという判断になる可能性も相当程度あります。そうなると、今度は起訴強制ということで、指定代理人が選任されて、指定代理人が起訴の手続を取ることになります。これは私の立場から言うのもなんですが、検察にとって大変な事態です。とりわけ特捜部という組織にとっては非常にやっかいな事態、困り果てる事態になると思います。

同じ起訴強制でも明石の歩道橋事故とか、JR西日本の福知山線の脱線事故とはまったく意味が違います。今回は特捜検察の問題、特捜部の問題です。もし起訴強制ということになれば、恐らく関連する証拠は全部指定代理人に提供しなければいけないということになると思います。関連する証拠ということになると、去年の3月の西松建設事件のときの押収した資料から何から全てということになります。いろいろな取り調べの結果、得られた供述調書とか、そういったものも、公判に提出する必要がないと考えられるものも全部、指定代理人に渡さなければいけない。これは当然です。検察官がえり好みするわけにはいかない。

中には、およそ立証には使えないという証拠も、私が推測するに相当あるのではないか。取り調べのやり方に問題があるとか、あるいは前提事実を取り違えているとか、客観的な事実と合っていないとか、膨大な手間暇をかけて捜査してきたことの中にはいろいろなものが含まれているのではないかと思います。その中から指定代理人が公判に提出する証拠を選別していくとすると、従来の検察の常識では考えられないような証拠が出てくる可能性があります。検察にとっては特捜部の事件の強制起訴というのは本当に本来であれば絶対に避けたい事態だと思います。しかし、とは言っても、今回の起訴相当の議決に従って起訴することは、まず不可能だと思います。それをやってしまうと、検察の存在意義自体が問われる事態になってしまうのではないかと思います。

結局、こういう事態に至った経過を全体として振り返ってみると、何と言っても検察の捜査に無理があったということだと思います。その捜査の無理が、こういう形で跳ね返ってきたということだと思います。大がかりな捜査を展開して、捜査をどんどん前に進めようとマスコミが煽ってきたために、世の中に、小沢氏が起訴されないとおかしいという、素人的な、庶民的な不満を生じさせた。そういう状態で事件を検察審査会に持っていけば、市民感覚では、起訴すべきだと、何でこれで不起訴なんだという意見になってしまうということです。しかし、処分するのは検察です。検察が果たしてそんな素人的な感覚だけでまともな処分ができるのだろうか。2回の起訴相当議決で強制起訴ということになれば、検察の処分の問題ではありませんから、別の問題になりますが、今回の起訴相当とされた被疑事実を起訴することは、尐なくとも、検察が行う刑事処分としてはまったく無理だと思います。

それからもう1つ、今回の検察審査会の議決書を見て問題だと思うのは、審査申し立て人が甲となっていて、匿名だということです。なぜ審査申し立て人の名前を記載しないのか。これはまったく理解できないです。これだけの大きな影響が生じる事件の審査を申し立てている人間ですから、自分の名前ぐらい出すのは当たり前だと思います。申立人本人が匿名を仮に希望したとしても、そんな希望は絶対受け入れるべきではないし、最初からそれ前提の審査申立であれば、そんなものは受け付けるべきではなかったと思います。 今日、昼に議員会館で開かれた「司法のあり方を検証する議員連盟」の際にも紹介しましたが、最新号の『アエラ』に「検察幹部批判に逆ギレ」という記事が出ていて、この中に検察幹部の非常に率直なコメントが出ています。非常に興味深く読みました。特に興味深かったのは、今の事件で小沢氏を不起訴にした経過です。4億円の小沢氏から入ったとされるお金の中に、ゼネコンからの裏献金が入っているという新たな証拠を得ることが起訴の条件にしたこと、それがなければ、「単なる形式犯」との弁明が成り立つからだと書いてあります。結局、その条件が充たされなかったから、最初の条件どおり小沢氏は「嫌疑不十分」で不起訴という結論になったと書いてありますが。

しかし、それでは石川議員は単なる記載ミスで形式犯でも逮捕して起訴していいのでしょうか。同じ国会議員。石川議員だって北海道11区で、11万人を越える有権者の支持を得て当選して、初の通常国会に臨みで議員として活動する予定だった現職の国会議員です。なぜ、ゼネコンからの裏金が含まれていることが小沢氏の起訴の条件にはなっているのに、石川議員の逮捕の条件や起訴の条件にこれがならないのか。非常に不思議です。

要するに、こういう考え方で、自分たちが小沢というターゲットに焦点を当てて捜査を進めていくことしか頭にない、そのための手段であれば、現職の国会議員を逮捕するというのはどういう意味なんだとか、それにふさわしいだけの事実、証拠はあるのかなどほとんど考えないで前のめりに、前のめりに捜査してきたことが、結果的には世の中にいろいろな誤った印象を与えてしまって、これが検察審査会の起訴強制という制度の下で、一気に今度、検察の方にそのとがめが跳ね返ってきてしまった。それが今回の問題だと思います。

ある意味では、JR西日本の山崎前社長の起訴、あの判断は私は絶対に間違いだったと思いますが、あの事件を無理をして8年前の山崎前社長が鉄道本部長だったときにカーブを急にする際にATSを付けなかったと。そのことによってああいう脱線事故、死亡事故が起きることを予見すべきだったという、ちょっとむちゃくちゃな判断をして起訴したことが、結局、この前も、歴代3社長も起訴すべきだという起訴相当の2回の議決が行われることにつながってしまって、検察にとっては非常にやっかいな事態になってしまったわけですが、これとまったく同じ構図だと思います。一連の事件の被疑者の1人について無理な判断をしてしまって、そこのところで何とか決着付けようと思っても、今の制度はそれだけでは済まないわけです。それだけ検察にとって、今の検察審査会制度の下では選択の幅が非常に限られてきているということを改めて認識しないといけないのではないかと思います。

小沢氏を不起訴にした段階で、なぜ不起訴にしたのかということをしっかり説明していれば、それが報道されて、起訴できないことの正しい理由が分かっていたはずです。ところが、検察は、それまでの捜査を正当化するために、負け惜しみ的な説明をした。どっちに転ぶか分からないぐらい微妙な判断で、ぎりぎり不起訴になったんだというような説明をしました。私に言わせれば、現職の国会議員の石川氏の逮捕・起訴に重大な問題があるのであって、小沢氏の方は箸にも棒にもかからないです。そこをはっきり言わないから、結局、検審の審査員にも誤った認識を与えてしまう。なぜ言えないかというと、それは捜査が最初から無茶苦茶だからです。起訴を目指して捜査すること自体が暴走なのに、それをそうだったとは言えないので、世の中に誤解を与える。それが今回のように検察のところに戻ってくるわけです。

ずっと時計の針を戻していくと、西松建設のところまで戻るわけです。そもそもあそこであんな事件に手を付けたから、後に引けなくなってどんどん暴走に次ぐ暴走を重ねていったということも全部反省しなくちゃいけなくなるから、処分の段階で誤った説明をせざるを得ない。結局は、元を正せば西松建設事件で大久保秘書を逮捕したところにすべての原因があるわけです。

そう考えたときに、検察はそもそもなぜこんな制度が導入されてしまったのかということにもう一回思いをいたすべきではないかと思います。なぜかここのところ、その点についてまったく報道されていません。ほとんどの人がそこを認識していません。でも、この検察審査会の起訴強制の制度の導入のきっかけになったのは、2001年に起きた福岡地検の次席検事による捜査情報の漏洩問題です。

この問題についての調査結果の中で総括として、これは法務省の調査結果ですが、こう書かれています。「公訴権の行使や検察運営に関し、民意を反映させることは、検察が独善に陥ることを防ぐとともに、検察に対する国民の信頼と理解を得る上で大きな意義があり、具体的には検察審査会の一定の議決に法的拘束力を与えることにくわえて」、この中でそういう方針を打ち出しているわけです。要するにあの事件は、大地検の次席検事という検察にとって、要職にある検事にとってあるまじき行為です。捜査情報を被疑者側の裁判官の側に漏洩して、それでうまく事件を不起訴にしてまとめてやろうとした。こんな問題が起きたということで検察に対する社会の信頼を決定的に損なわれたそのために検察の権限が一部制約されることになった。その経過を改めて認識し直さないといけないと思います。

ところが、今回は、検察が、特捜部が、がんがん無理な捜査をしていって、それがさすがにもうそれ以上は進めないというところまで行って力尽きた。それを「市民感覚」を追い風にもう一回暴走させる方向に向けて検察審査会の起訴強制という制度が使われようとしているわけです。それは、起訴強制という制度の本来の趣旨にまったく反するものだと思います。

また、起訴、不起訴の判断に関して、検察の場合は黒という確証があったときに起訴するが、検審の判断は白か黒かを公開の法廷で明らかにすべきということで良いのではないかという考え方もあり得ます。刑事司法全体がそういうシステムに変わり、世の中もそれを前提にして動いていくのであれば、それはそれで悪いことじゃないと思います。そうなると、検察という組織がこれまで刑事司法で果たしてきた役割の大部分は失われます。今までの日本の刑事司法はそうじゃなかった。やはり検察が起訴ということに対して一定の責任を持っていたわけです。ですから、検察の判断というのが基本的に正しいという前提で刑事司法のシステムはできているんです。だから、検面調書というのは、その内容が法廷供述と相反したら情況的な保障だけで検面調書証拠能力がある。それは、検察官の面前では本当のことを話すけど法廷では嘘をつく、偽証をするということを刑事訴訟法の規定自体が前提にしているわけです。しかも、検事が立証しようとしていることをずっと否認し続ければいつまでも身柄が拘束できるという、国際的にもほとんど例のないような「人質司法」のシステム。これはみんな検察官のところで適正な捜査が行われ、検察官が適切な事実認定をするという前提で組み立てられているわけです。だから、この間も石川議員が起訴されたと言ったら、当然議員をやめるべきだ、議員辞職勧告決議ということになります。なぜそうなるかというと、これは裁判所の判断ではなく、検察が起訴したということが大きいのだということが前提となっているからです。

ただ、もし検審の起訴相当2回で、検察審査会の議決の強制力で裁判にということであれば、これは検察の問題じゃないから、まだ捜査が裁判で続いているという考え方もできるかもしれないし、そういう方向に持っていくならそれはそれでいいかもしれないです。ただ、私はそうはあってほしくない。やはり、検察の役割をもっと日本の社会は重視すべきだと思っているし、やはり、検察が本当に適正な判断ができる捜査機関であれば、こんなことにはなっていないわけで。だから、改めてこれを何でこんなことになったのかというのを遡って考えてみると、非常に残念なわけです。福岡地検の次席検事が検事にあるまじきこんなことをやった。そして、最近の特捜検察の暴走、それらすべてのとがめが跳ね返ってきているわけです。本当にこんなことをやっていたら検察はおしまいじゃないかと。すごく私は心配しています。世の中全体としては、いろいろな選択肢はあり得ると思います。でも、日本の国で今までやってきたように、検察が刑事司法に責任を持つ方向でまだまだ努力をしようよと、私は言いたいのです。

2010年4月29日

上杉隆:検察の失敗隠しに使われた「起訴相当」報道

 「小沢氏起訴相当」「民主内消えぬ辞任論」
 4月28日、新聞各社は小沢幹事長に対する検察審査会の議決をいっせいに報じた。前日には鳩山首相の偽装献金事件に関する議決がニュースになり、連日検察審議会の動きが紙面をにぎわせている。

 28日に《THE JOURNAL》で放送された「緊急トークライブ!高野孟×喜納昌吉×上杉隆」にゲスト出演したジャーナリストの上杉隆氏は、検察審議会の議決から報道までのタイムラグを指摘し、連日のニュースに隠された「検察の大失敗」を指摘した。

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上杉隆氏(ジャーナリスト)
検察の失敗隠しに使われた「起訴相当」報道

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 検察審査会の「起訴相当」は想定内のことです。注目すべきは、ニュースが出たタイミングです。小沢幹事長の「起訴相当」の報道が出る前日に、鳩山首相が同じように検察審査会から「不起訴相当」の議決をうけた報道がありました。鳩山首相の議決が出たのは21日のことです。

 なぜ2つの情報が日程をずらして、しかも2日連続で報道されたのでしょうか。

 厚生労働省幹部ら4人が起訴された郵便不正事件が関係しています。27日に大阪地裁は起訴された「凜の会」元会長・倉沢邦夫被告に一部無罪判決を言い渡しました。検察の大失敗として記録されてもいい判決です。このニュースがまったくと言っていいほど報道されませんでした。

 検察の失敗隠しに、2つの検察審査会のニュースが使われたのではないかと思います。

>>つづきは「緊急トークライブ!高野孟×喜納昌吉×上杉隆」で放送中。

【関連記事】
■無罪、崩れた検察側構図 厚労省元局長公判も苦境に(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100427/trl1004271403011-n1.htm

2010年4月28日

三井環:バブル化したリーク情報が「起訴相当」の議決を招いた

――起訴相当の議決が出ましたが、ひと言お願いします。

 いま話を聞いてびっくりしている。2月26日に開催された「緊急シンポ!『小沢VS検察』にみる検察と報道のあり方」で、安田好弘弁護士も話していたが、起訴相当となればすぐにでも検察は起訴するだろう。

 現場の勢いはいやおうにも高くなる。水谷建設側から証言を引き出すなど、何だってやってくるだろう。

 おそらく、遅くとも5月中に検察は最終的な判断を下すはずだ。

>>続きは「Infoseekニュース 内憂外患」で

2010年4月27日

《速報》小沢一郎氏「起訴相当」 検察審査会が議決

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、東京第5検察審査会は、政治資金規正法違反容疑で告発され不起訴処分になった小沢氏について「起訴相当」とする議決を公表した。

 東京地検特捜部は議決を受け再捜査を行い、改めて処分を決める。

【関連記事】
■小沢一郎氏「起訴相当」と議決 陸山会事件で検察審査会(朝日新聞)
■小沢氏は「起訴相当」 検審が議決 土地購入事件(産経新聞)
■小沢氏は「起訴相当」 東京地検再捜査へ、進退再燃必至(47ニュース)

2010年4月26日

【録画再生中】緊急トークライブ!高野孟×喜納昌吉×上杉隆

 4月28日「喜納昌吉LIVE TOUR 2010 in TOKYO ─すべての武器を楽器に─」が開催される。

 当日は喜納昌吉氏のライブ演奏に加えてトークイベントが用意されており、ゲストには高野孟(《THE JOURNAL》主宰)と上杉隆(ジャーナリスト)氏が出演を予定している。

 今夏予定されている参院選に向け、沖縄普天間基地問題は鳩山政権の試金石の1つとなっている。沖縄県読谷村で開催された「4.25県民大会」には喜納氏も参加し、約9万人の市民とともに普天間基地の県内移設反対を訴えた。

 沖縄基地問題の進展は、日米関係の方向性はいったいどこへ向かうのか?

 《THE JOURNAL》では3者のトークの模様を特別にUstreamライブ中継でお届けする。開始時間は19時20分の予定、こうご期待!(ライブ中継は19時20分からのトークのみ)

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■シンポジウム詳細

【出演者】
上杉 隆(ジャーナリスト)
高野 孟(《THE JOURNAL》主宰)
喜納昌吉(民主党・参議院議員)

【日時】
4月28日(水)19時20分〜20時(Ustream中継)
※演奏含めたライブイベントは19時〜21時
※場合によっては配信時間が前後する場合があります。あらかじめご了承ください。

◆当日コンサートご希望の方は以下のアドレスまで(チケットは残りわずかです)
http://www.champloose.co.jp/2010sche.html

上昌広:独立行政法人の事業仕分け ── 医薬品医療機器総合機構(PMDA)と国立病院機構

 4月23日、独立行政法人(独法)に対する行政刷新会議の事業仕分けが始まった。また、それに先立ち、厚労省内でも独自の事業仕分けが行われた。この仕分け、支持率が急落している鳩山政権の人気とりではなく、真に国民のためになるだろうか。今回は、私が注目する二つの組織を取り上げ、独法の事業仕分けの論点について考えてみたい。

■医薬品医療機器総合機構(PMDA)

 PMDAとは医薬品や医療機器の審査・副作用情報収集・被害者救済などを業務とする独法だ。元来、厚労省内の組織だったが、小泉政権の行政改革の一環、および繰り返す薬害事件の反省から、2004年に独法化した。

 ドラッグ・ラグや薬害問題は、多くの先進国で政権支持率に直結する重要課題だ。我が国の薬害肝炎事件、米国のバイオックス訴訟、ヘパリン汚染事件が、社会にどのような影響を与えたか、ご存じの方も多いだろう。

>>続きは「Infoseekニュース 内憂外患」で

2010年4月25日

《来日インタビュー》映画『ビルマVJ 消された革命』脚本家:政府がメディアをコントロールする危険性

<映画『ビルマVJ 消された革命』ダイジェスト版>

 2007年9月、ビルマ(ミャンマー)で起こった反政府デモの様子が世界で報じられた。報道制限されているビルマの様子を外国メディアに送っていたのは、現地で活動していたVJ(ビデオジャーナリスト)たちだった。


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(c) 2008 Magic Hour Films

 VJを題材にした映画『ビルマVJ』が5月に日本で公開される。5月の一般公開を前に来日したデンマーク出身の脚本家・ヤン・クログスガード氏をインタビューし、映画製作の動機、報道の自由、また日本のメディアが抱える問題について答えていただいた。

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ヤン・クログスガード氏(『ビルマVJ』原案・脚本)
「メディアと政治勢力が結託することは危険」

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写真:2010年4月19日、シアター・イメージフォーラムにて

─ビルマを舞台にしようと思ったきっかけは

 2003年私が初めてビルマを訪問した時、世界にビルマのことを伝えるべきだと思いました。

 ビルマでは外国人と会話している姿が軍政に見つかると、すぐ軍の情報局に尋問されます。それをおそれるビルマ人は撮影に応じてくれません。国民が何十年も軍政に痛められ続けていたことを感じました。それ以降ビルマの問題を取り扱うべきだという気持ちが強くなりました。

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(c) 2008 Magic Hour Films

─『ビルマVJ』にはハンディカメラで撮った「粗い」映像がたくさん登場します。映像を提供してくれたVJは何人いるのでしょうか

 実際に映像を提供してくれたのは7,8人です。お金がなく食べ物に事欠くVJや、バス代が払えず現場まで歩くVJもいました。
 撮影者以外に、映像を分割したりファイルを送付する役割を含めると、現地では約30人が携わっています。

 今回彼らが使った撮影機材は貧弱で、カメラはすぐ壊れるし、テープの本数は限られるため貴重な映像を上書きして撮影していたようです。

─画質や撮影技術にもまさる価値が感じられたのでしょうか

 重要なのは中身であり、撮影技術は関係ありません。ビルマ国内のVJたちが安い機材で撮影する一方で、大手報道メディアは高級機材を抱えながらも(厳しい入国制限のために)ミャンマー国内では撮影できませんでした。どんな高級な機材をもって、優れた撮影技術を持っていても、中身がつくれなければ意味がありません。

─報道各社は自社記者を派遣するほどリスクを背負えません。その時に活躍するのがフリージャーナリストです。日本のフリージャーナリスト・長井健司氏が射殺された映像が映画に取り入れた理由は

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(c) 2008 Magic Hour Films

 軍政は誰でも殺すことができるということが伝わる事件だったからです。前世紀の遺物のようなビルマの軍政は、支配を維持するために何百万人もの人間を搾取しています。やりたいようにやっている軍政を放っておくことは恥じるべき事です。

─長井氏が射殺された写真や映像は日本でも頻繁に報道されました

 日本国民は海外から映像を届けようとしている記者たちの存在にもっと目を向けるべきだと思います。

 この作品は、人間が尊厳を保つために何をすべきかが全体のテーマになっています。自分たちの尊厳を保つために支配を続けるビルマ軍政がいる一方で、長井氏をはじめ映画に登場するVJたちのように自分の命をかけて映像を送り続けている人たちがいます。

─毎年国境なき記者団がまとめている「世界報道自由ランキング」2009年版によると、ビルマが175カ国中171位で、日本は17位です。「記者クラブ制度」による閉鎖性が指摘されてきましたが、日本には報道の自由があると思いますか

 日本は一般的には報道の自由がある国だと思われています。

 記者クラブについては教育を受けたジャーナリストなら誰でも記者会見場に入れるべきだと思います。メディアと政治勢力が結託することは危険で、いかなる場所でも批判する空間は必要です。政府がメディアをコントロールするとどうなるか、ビルマがその悪い例です。どの国でも共通して注意すべきことと思います。

─最後に、作品の見所を教えてください

 いままでビルマ人がビルマ人を撮影し、ビルマのことを検閲なく伝える映像は見られませんでした。貴重な映像を見て、VJたちの心境を感じてもらえればと思います。 

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(c) 2008 Magic Hour Films

<公開情報>
5月15日、渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー、他全国順次公開

■映画『ビルマVJ』公式サイト
http://burmavj.jp/

2010年4月24日

袴田巌死刑囚を救援する議員連盟が発足 ── 死刑執行の停止などを訴える

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 1966年に静岡県の旧清水市(現静岡市清水区)で味噌製造会社の専務一家4人が殺害・放火された「袴田事件」で、無罪を主張する袴田巌さん(74)を支援するため、超党派の衆参両院議員57名が「袴田巌死刑囚救援議員連盟」(会長:牧野聖修衆院議員、事務局長:鈴木宗男衆院議員)を22日に発足、同日に国会内で設立総会を開いた。

 議員連盟では、強い拘禁反応によって心身喪失状態にある袴田さんについて、刑事訴訟法で認められている法務大臣による死刑執行の停止を早急に求め、再審の開始も支援していく。

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松山千春さんからのメッセージ
(鈴木宗男議員 代読)

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松山千春さんからメッセージが届いておりますので、読ませていただきます。

お集まりのみなさん、松山千春です。国会議員のみなさんが袴田巌救援議員連盟を立ち上げると聞き、私からもメッセージを送らせていただきます。

最近、足利事件、布川事件、免田事件などの冤罪事件が明らかになりました。袴田さんの事件をみても、強圧的な取り調べ、しかも暴行して強制的に自白をとったといわれています。検察、警察の権力は恐ろしいものです。いま、あらためて真の公平・公正とは何か、国会議員の先生方には考えていただきたいと思います。

袴田さんを支援されているみなさまの中には、多くの人が自分が昭和54年に出した「窓」という歌をうたってくれていると聞きました。


"小さな窓から見える この世界が僕の全て
空の青さはわかるけど 空の広さがわからない
いつか山の向こうから 君が手を振りかけてきても
君の姿 見えるけど 僕の心は届かない
この窓をひらいて 自由になりたい
このうでで思いきり 抱きしめてはなさない

君だけは 誰にも わたしたくない
誰にも負けはしない この愛だけは"

(作詞/作曲 松山千春)

袴田さんを支援しているみなさんの思いを、心ある国会議員のみなさんの手でさらに大きな声として届けてください。心からお願いをいたします。

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牧野聖修 衆院議員

刑事訴訟法479条に「死刑執行の停止」という項目があります。それは、「死刑を言い渡されたものが心神喪失にあるときは、法務大臣に命令によって執行を停止することができる」という項目で、法務大臣には、これに基づいて死刑の停止を職務権限として出していただき、速やかに適切な治療を受けられる状態にしてもらいたい。そして、再審の道を開く。こういうことを議員連盟として法務大臣や法務当局に迫っていこうではないかと考えています。

司法の独立を認めながらも、最近では、足利事件のように(司法の)すべてが正しかったとは言える状況ではないということがはっきりしてきています。われわれ国会議員でも責任ある行動をとった方がいいということで、議員連盟が立ち上がってきました。みんなで団結して頑張って参ります。

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袴田ひで子さん(袴田巌さんの姉)

本日は、国会議員の先生方が巌を救うために集まっていただいてありがとうございます。私は巌とは3つ違いの姉になります。

私が巌の不安を心から理解したのは、最高裁で棄却され、巌の死刑が確定した昭和57年頃でしょうか。東京拘置所に面会に行った時、面会室にあたふたと入ってきて私の顔を見るや、

「昨日、処刑があった」
「隣の部屋の人だった」
「お元気で、と言っていた。みんながっかりしている」と、面会室のガラスに顔を押しつけてふるえるような声をして私に訴えました。その時、私はなんと言っていいのか分からなくて、「ふーん」と言ったきりでした。

正直言って、私も巌も、死刑判決が、何を意味しているのか本当にわかっていなかったものと思います。しかし、身に覚えのない罪で閉じこめられた巌にとっては、自分の力ではどうしようもないことを、隣の部屋の人のようになるかもしれない、不安な日を過ごさなければならないことと、理解したのだと思います。それからでしょうか、面会の度に言うことがおかしくなっていきました。

「この中に電気を出す奴がいる」と言われた時は、私もびっくりして「電気風呂もあるぐらいだから、体に良いから・・・」と返事をしてしまいました。「かゆみの電波」とか、「痛みの電波」とかも言っていました。そして、会話も成りたたないようになり、毎日のように書いて送ってきた手紙も来なくなり、面会も拒否されるようになりました。

ここ数年、皆様方のお力もあり、巌との面会が出来るようになりました。感謝しております。でも、お互いの顔を合わすことは出来ても、相変わらず巌との会話はとんちんかんのままです。先月10日、巌は満74歳になりました。巌も私も歳を取りました。もう残されている時間はあまり多くないと思います。せめて、死刑執行への不安な毎日を過ごすことからだけでも変えていただけたら、と思います。

国会活動で、お忙しい毎日だと思いますが、今回の集まりを持っていただき感謝いたします。今後とも、よろしくお願いいたします。

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弁護団より現況の説明

再審請求は2008年に最高裁で特別抗告が棄却され、いま、第二次再審請求を行っている段階です。袴田巌さんご自身がコミュニケーションのとれない心神喪失状態にあるのではないかということで、ひで子さんが請求人となって続けています。

現在の攻防の争点は証拠開示をめぐって行われています。弁護団としては、袴田さんの無罪を示す証拠は検察側がたくさん持っているのではないかということで、あるのであれば見せてくださいという証拠開示要請を出しています。

検察は、証拠開示の要請については、刑事訴訟法上、再審の証拠開示の法的根拠が認められないという理由で検察側では拒否しています。そのほか、犯行時の着衣が捏造証拠ではないかという主張をしていて、証明するための実験を行っています。

現在、再審とは別に、袴田さんの状況は死刑が確定してから30年近く経過しており、このこと自体が拷問禁止条例などの国際法規にてらして問題があるのではないかということで、日弁連には人権救済の申し立てをしていて、死刑執行の停止、身体拘束からの解放を求めています。

今後も再審の壁を破るべく弁護団も努力していきますので、国会議員の先生方にもご支援、ご協力をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

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【関連サイト】
■袴田事件(Wikipedia)
■袴田事件(事件史探求)
■袴田巌さんの再審を開き、無罪を勝ち取る全国ネットワーク

2010年4月23日

いよいよ「事業仕分け第2弾」が始まる! 生中継はこちらから<会場A>

■会場A ライブ
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◆「証券化支援業務」資料◆

2010年4月21日

舛添要一氏が離党へ

 産経新聞(ネット版)は21日午後、自民党の舛添要一前厚労相が新党結成のため、離党の準備をすすめていると報じた。すでに政党要件を満たす5人の議員を集めており、党内の議員のほか、改革クラブし、10人前後で結党する見通し。


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100421/stt1004211533004-n1.htm

2010年4月20日

《会見抄録つき》記者会見の開放に向けてアピール フリージャーナリストら70人が呼びかけ人に

 フリージャーナリスト、大学教授ら70人が呼びかけ人となった「記者会見・記者室の完全開放を求める会」が19日、都内のプレスセンタービルで記者会見を開き、記者会見への参加と記者クラブが占有している記者室の開放を求めるアピールを行った。呼びかけ人には本誌主幹の高野孟ほか、田原総一朗氏、山口一臣氏、神保哲生氏ら《THE JOURNAL》同人も多数参加している。

 会見の模様については、《THE JOURNAL》では19日にTwitterでテキスト中継を行っており、加筆・修正をした上で下記にまとめた。関連リンクと詳細は下記の通り。

【関連リンク】
■記者会見・記者室の完全開放を求める会
■呼びかけ人一覧
■フリー記者ら 記者会見「完全開放」求めアピール(J-CAST)
■記者会見の完全開放求めアピール フリージャーナリストら(47news)

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記者会見抄録
【Twitter中継開始 2010/4/19 15:10】
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@j_the_journal「記者会見・記者室の完全開放を求めるアピール」に参加するため、日本プレスセンター(日本記者クラブ)到着。一階の本屋に行ったら、なんと新聞批判の本がズラリ。 上杉隆さんの「記者クラブ崩壊」はレジ横に15冊ぐらい平積みされてた。シュールだ newsspiral100420.jpg
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@j_the_journal「記者会見・記者室の完全開放を求めるアピール」開始。
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高田昌幸(北海道新聞 東京編集局国際部次長)
「事務的なことをまず説明します。記者会見開放については、もう議論はつきた。次は活動に移すべき。そこで、昨年12月から有志が集まって議論をスタートした」
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高田「呼びかけ人には記者クラブについて一定の評価をしている方から、諸悪の根源と考える人もいる。しかし、それらを超えて、最低限一致できるところで、すなわち、当面は記者会見および記者室の開放で一致してスタートしようということになった」
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高田「記者会見・記者室の開放については、日本新聞協会が2002年に策定した記者クラブに関する見解(その後2006年に改訂)で、基本的に記者会見と記者室は広く開放するよううたっている。私どもの第一の要望はそれを実現してくださいということ」
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豊秀一(新聞労連委員長)
「新聞労連も3月4日に記者会見の全面開放宣言を出した。2009年に民主党政権が誕生したことで、政権主導の形で記者会見の開放がすすんできた。本来であればメディアが自律的に実現すべきところを、本来は監視の対象である権力の側にやられてしまった。これはきわめて残念なこと。この状況を少しでも変えなければと思った」
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「情報手段が発達する中で、フリーやネットの記者などを記者会見に入れないことで多様な情報を伝えることを阻害している。日本の民主主義にとってよくない。多様な言論や価値観が流通してはじめて、世の中が民主的になっていく」
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「記者クラブの閉鎖性ゆえに、既存メディア vs それ以外のジャーナリストという、あたかも対立するような形になっていることも、社会にとって不幸。ジャーナリストは組織であろうが、フリーであろうが、一人一人が権力と対峙しなければならない。それぞれが切磋琢磨していい報道しながら、民主主義が健全になっていくべき」
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岩上安身(ジャーナリスト)
「政権交代後、記者会見の一部開放について取材している者として、お話しさせていただく。開放に先行したのは外務省と金融庁。開放が進んだのは、大臣のイニシアティブと他の省庁にない特殊性があった。」
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岩上「外務省は歴史的・伝統的に会見の主導権を省が持っていた。そこで岡田大臣がクラブに開放を申し入れたが回答がなかったため、開放に踏み切った。金融庁は記者クラブが主催権を持っている。これに亀井大臣がフリーランス等を入れるよう申し入れたが、記者クラブが拒否」
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岩上「そこでクラブ側の定例記者会見とは別に大臣室でフリーランスやネットメディアに対して週2回、定例会見のあとに会見が開かれることになった。この異様な状態をNYtimesも報じた」
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岩上「現在、この2つのクラブを統合する案が出ている。一つは大臣の負担を軽減するため。もう一つは大臣の交代後、オープン会見が閉ざされてしまうのではないかという懸念。そこで、事務方と記者クラブで真の意味でオープン化した方がいいのではという話し合いがあった」
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岩上「亀井大臣自身は1回でも2回でもいいが、フリーの人たちの意見を聞くようにと指示した。そこで13日にヒアリングが行われた。しかし、示された統合案は私たちのほとんどが不服だった。というのは、主催権はクラブが握り、運営にタッチできない。対話することもできない。結局、オブザーバーとして参加・質問する権利があるだけだった」
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岩上「そこで、有志を10人ほど集めて、クラブ側と対話・交渉する場をつくろうと考えている。新しく会見参加の申請をしてきた人がいたとき、その人の立場に立って意見を言うことは必要ではないか」
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岩上「一方、私たちの第2記者クラブも利権になるのではという懸念もある。その意見ももっともだと思う。しかし、私は一記者として参加できればいいのであって、利権をつくりたいわけではない。そこで、私たちは権力化、利権化しないように、つねにオープンにしていきたいと思っている」
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岩上「市民の代弁者たるジャーナリストとして、会見の主催権を共催のような形で開催できるところまでこの活動を持って行きたい」
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北村肇(週刊金曜日編集長)
「要点を3つ。(1)なぜ既存の記者が反発するのか。ようするに既得権を守りたい。情報を独占することで、ジャーナリズムとは何かということを考えない記者が増えてしまった。特権の裏には義務があり、その義務を果たしていればここまで記者クラブ批判はなかった」
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北村「(2)開放は当然。当たり前。ジャーナリズムは言論の自由を守り、民主主義を守ること。クラブがこれに反対することはバカげている。すべてのメディアに開放し、その後、実務的にどうするべきかを考えればいい」
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北村「しかし、私は記者クラブ廃止論者ではない。省庁の中に記者がいることで、権力の監視にもなる。制度をちゃんと整備すればいい」
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北村「(3)開放するにはどうすればいいか。既存の企業ジャーナリストだけでなく、フリーや市民メディアの記者も参加できる、何らかの集団がパワーを持ち、会見を開放させていくということが必要」
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神保哲生(ジャーナリスト)
「ここは新聞協会が入っているビル。そもそも、この施設自体が日本記者クラブのビル。その中で記者クラブをぶっとばせという会見を行うセンスに、まずはみなさん反応してもらえればと思います(会場笑)」
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神保「これだけの人に集まってもらってありがたい。私は、1989年にAP記者として日本に特派員として来た。しかし、湾岸戦争で日本が世界に向けて支援策を発表する記者会見に出ることができなかった」
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神保「天皇陛下の崩御も、「NHKによると」というクレジット付きだった。国家元首が亡くなったとき、国営放送のクレジットが付くのはおそらく北朝鮮と日本だけ」
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神保「民主党政権がイニシアティブをとって開放したことで、こういう大きな動きとなったことは歓迎している。しかし、基本的に抑えておかなければならないのは、メディアにおける不公正は他の業界の不公正と次元がちがう。なぜなら、メディアの不公正の最たるものは「何が知らされていないのか」が一般市民にはわからない。ここがメディア問題の本質で、だから記者クラブ問題が温存されてきた」
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神保「一般の人は記者クラブ問題について知ることがなかった。鳩山首相のオープン会見もほとんど報じられていない。政権を取る前のマニフェスト会見からも、記者会見開放については会見録から消されていた」
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神保「もう一つの問題。取材に行くと、「クラブに行け」と言われる。クラブは、自分たちの私的な集まりに大臣に来てもらってるだけだという。だから自分たちで会見を開けばいいと言われる。しかし、私たちは記者クラブに入りたいのではなく、記者会見に出たいだけ。最終的には主催問題になる。ようするに、誰が会見に参加できるかを決定できるのが主催者」
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神保「ここで考えてほしいのは、行政がイニシアティブを持ってオープンにして、主催権も持っていいのですか、ということ。民主党は今はいい意味で開放しようとしてるかもしれないけど、次の政権が公明正大に記者会見するとは限らない。ところが、記者クラブが近視眼的に自分たちのことだけを考えて開放に反対するので、権力が主催権を取ってしまっている」
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神保「しかも、メディアが主催権を持つより、行政が主催権を持った方がいいという意見も多い。そこまでメディアは信用されていない。記者クラブには100年の計でこの問題を考えてくれることを望む」
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寺澤有(ジャーナリスト)
「中井国家公安委員長の記者会見に参加するために申し入れしたが、記者クラブは認めたが、警察庁が認めなかった。警察庁記者クラブは主催権を持っているにもかかわらず、セキュリティなどを理由に警視庁が会見場まで入れてくれなかった」
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寺澤「会見に参加できるようにするため、仮処分命令で東京地裁に申し入れたが、東京地裁は表現・取材の自由よりも、警察庁の通せんぼを正当だという驚くべき判決を出した。私は東京高裁に抗告した。勝つまでやる」
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寺澤「そこで、記者クラブも最後まで闘ってくれたらよかったんだけど、クラブはそこまでしない。穿った見方をすると、自分たちじゃ排除できないから、警察庁に排除させたのではという人も出てくる始末」
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寺澤「ところが、東京高裁でこちらが勝てば、警察庁は記者会見自体をやめる可能性がある。現在の警察庁長官は群馬県警本部長時代に暴力団と癒着し、拳銃を出させたことが発覚した。このことは週刊文春に書きましたが、そのときの質問を僕がすれば嫌がるはず。となると、記者会見自体をやめ、記者室も閉鎖するかもしれない」
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青木理(ジャーナリスト)
「僕もかつては大手の通信社に所属していた。偉そうなことをいえる立場じゃないが、既存メディアや通信社の記者もこのままでいいと思っていない。あえて言えば、メディアが危機にあるなかで、こんなことで批判を浴びてていいのかといういら立ちが僕にも記者の間にもある。だから、クラブの記者もこの問題について仲間で議論をして、この呼びかけに呼応して欲しい」
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牧野義司(経済ジャーナリスト)
「私も毎日で20年、ロイターで15年、その後はフリーで活動していた。民主党政権になってはじめてこの問題が動き出すのは残念なこと。僕はかなり前からこの問題に取り組んできたが、政治主導でなければこの問題が動かないという、裏返せばメディアの現場が記者クラブの開放問題を自主規制しているところに、メディアが問われていると思う」
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牧野「論点は出尽くしたのであえて問題提起をすると、記者会見がブラックジャーナリズム(スキャンダルなどをネタに金銭を要求する記者)などに利用されるリスクがある。外務省のように、原則開放で実績をもっているジャーナリストを登録制にするなど、そういう歯止めをかけながらもしっかりした報道をやっていく必要があると思う」
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【質疑応答】
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質問1(レイバーネット)
「取材資料の提供というなかには、裁判での頭取りなどの資料も含まれているのか」
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高田「どれが含まれてどこが含まれていないかということは、正直、議論を整理していないのが実情。しかし、記者クラブが受けている取材の機会については、制約をかけることなく、記者クラブ加盟・非加盟にかかわらず、できるだけオープンにしていきましょうというのがこのアピールの主旨」
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質問2(JANJAN)
「JANJANの田中龍作です。新聞・テレビしかない昔であれば記者クラブ問題は闇に葬られていたが、いまはネットがあってそうはいかなくなった。そこで、クラブ側が私たちに甘いささやきを入れてきた。総務省なんかはオープンにしたものの、主催権は彼らにあるので、あれをやるな、これをやるなと注文をつけてくる。主催権をとらなければ意味ないので、奪ってください。これは要望です」
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質問3(朝日新聞)
「会見のオープン化を求めることとは別に、私がみなさんの活動を拝見していて思うのは、記者クラブを根城にしている既存メディアのだらしなさを問題にしているように感じていた。一方、今回のアピールは会見の開放や記者室の開放ということで、これまでのイメージとあわないが、どういうことか説明していただけますか」
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高田「失礼ですが、イメージはあくまでもイメージだと思います。機会の均等が大事で、冒頭に申し上げたように、会見の参加と自由な質問、記者室の開放。それについては2002年に新聞協会がすでに「記者クラブ問題に関する見解」(その後2006年に改訂)を出していて、クラブは原則自由にすべきということになっている。それをきちんと実行してくださいということ」
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高田「何かが諸悪の根源であるとが、誰が敵でということでは毛頭ない。みんなが平等な立場で自由に取材できることが日本の報道の自由、知る権利の実現、社会にとっていいことだということは、呼びかけ人全員が一致している」
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神保「記者クラブ問題を理解するために、現状では特定の会社が優先的なアクセス権を持っていることを理解してほしい。記者会見に出ることが特権になっているため、記者会見で何を聞いてもいいという状態になっていない。基本的に談合体質の中にいる。だから会見の後で懇談や夜討ち朝駆けしなければならない」
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神保「そこで、会見がオープンになれば夜討ち朝駆けでしか聞けないことを僕が聞く。そして、記者会見が誰でも出ることのできる権利となったときに、イヤな質問をしても排除されることがなくなる。ここが記者クラブ問題の本質で、クラブメディアの堕落は、ここにある」
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神保「よく、「記者会見なんてたいしたことやってない」と言う人がいるが、そこが問題。会見がオープンになれば、会見が真剣勝負の場になる。もっと言えば、会見以外で公務員が記者に個別でしゃべっていることは、本来は公務員法違反。毎日新聞の西山さんはそれで有罪となった。会見の場で真剣になるのが常識で、それが先進国の常識。それをボトムラインとして理解しなければならない」
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岩上「私がここにいる人と会うのはほとんどはじめて。そちらが先入観を持って、取材や記事を書かれることはおかしいのではないか。質問自体に問題がある」
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岩上「記者クラブが特権化しているものを特権化しないことにつきるわけで、個人的な見解では、私は記者室は公共の図書館のように、一定のルールで誰でも使えるスペースにすること。記者クラブ室の中の映像は見たことない。北朝鮮の潜入映像より貴重。まずは記者室を開放するところから議論がはじまる」
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質問4(韓国メディア)
「この70人のアピールはどこまで求めるのか。記者会見・記者室の開放が実現した後はどうするのか。また、呼びかけ人に現役の記者は参加していながどうなっているのか」
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司会・森広泰平(アジア記者クラブ事務局長)
「現役記者は賛同しているが、会社の名前が出せないという人が多いのが事実です」
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質問つづき(韓国メディア)
「具体的な活動は?」
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森広「呼びかけ人にもいろいろな立場の方がいる。そのなかで、いま一番先に実現すべきこと、できることをアピール文を作成している。もちろん、これは最終的なものではないが、フリージャーナリストやNGO・NPOがまずは記者室を確保したい。これから海外の記者室の例などを学びながら、パブリックアクセスについて考えたい。また、幹事業務や負担金はどうするのかということも議論したい」
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森広「そのほか、記者クラブ自体が置かれていない入管などには、記者室をつくってくださいという要求を役所に出したい。新聞社でも協力するという方もいる。入管は記者クラブがないためにいろいろな問題が指摘されている。こういったところも、国民の知る権利の確保や権力の監視を行っていきたい」
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高田「補足します。現役記者が個人で参加したいと思っていても、表向き賛同人になれないのが記者クラブの問題。一人のジャーナリストが個人の判断で物事を決定し、行動できるように日本の新聞・テレビ・通信社がなっていない。だから、各社への申入書は各社の報道責任者に対して賛同するかどうかを出している。
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高田「その上で、Yesと回答したのなら、行動するように業務命令・指示を出してもらうよう、前向きに転がしたい。最初からいろんな意見を出すのではなく、どういう形が可能かを話していくのが主旨です。そうでないと、この問題が現実的に進まないというところもある」
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神保「記者クラブは現在すべてが独立していて、たとえは悪いがアルカイダのセルのような状態。命令系統がなくて、個々で続いているのが現状。だから、毎回会見参加の許可をとらなければいけない」
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神保「だから、高田さんがさっき言ったように、上からちゃんと指示するようにしないといけない。いまは個々のクラブが勝手にやっている。新聞協会が元々は根っこになっていたが、あるときから自分たちは「開放してもいい」とだけ言っただけにとどまっていることも問題」
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神保「そこで、首相官邸があけば全部があくだろうという期待が高まって、行政主導の開放になっている」
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質問5「主催権はどうするのか?主催権に我々も入れろというところに持って行くのか。それとも、主催権が行政にあるのかメディアにあるのかはっきりさせろというところにあるのか」
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高田「私は主催権は記者側・取材者側が持つべきだと考えている。その上で、自治体などにどういう形で何を求めるのかということを煮詰めたほうがいいのでは」
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神保「早くしないと、行政主導の形でオープンします、という形になっていく。これはメディア内部の話ですが、総務省では原口大臣が強行的にオープンにするに至って、記者クラブがしぶしぶオープンにすることになった。鳩山首相の会見もそうだが、行政がオープンにすると言って、クラブがしぶしぶオープンにするというのが最近の傾向」
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岩上「現実に会見のオープン化を実現するにはちょっとした戦略や戦術も必要。横の連携はこれまで難しかったが、こういった機会をきっかけに、連携して活動していきたい」
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質問6(北方ジャーナル)
「スピーカーから会見に参加できるメディアについて「多様なメディア」「すべてのメディア」「選別されたメディア」という話があったが、どこまでがメディアと考えるべきなのでしょうか」
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岩上「私が考えているのは、メディアだけでなく、一般国民や市民も入ると考えています。任意の集団が大臣や政治家を読んで質問をしたいというとき、会見を主催してもいい。私もそういう試みを考えている。メディアは最終的には国民へのつなぎ手。国民と権力側が直接結びつくことの手助けになれればいいのではと考えている」
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質問7「Ustreamなどで誰でも会見を中継できる状態になっているが、こういった状態をどのように思っているか」
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岩上「首相官邸にはなかなか入れないとは思うが、多くの会見が可能な限り開かれた場であり、誰でも取材したり放送することはいいことだと思っている」
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神保「この問題は誰が国民の知る権利にこたえるのか、というところに最終的に帰結する。権力側である行政がいいのか、メディア側がいいのか。場所と時間には制限がある。大臣も忙しい。市民集会とは別に、記者会見はどういう形で運営することが国民の知る権利に応えることになるのかということを、メディア側の人間が考えなければならない」
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神保「たとえば、みんながUst中継しても、同じ映像ならあまり意味がない。カメラが多すぎて記者席が少なくなるなら、代表取材もあるだろう。どういう形で開くことが最も国民の知る権利に応えるのかという観点から決めるべき。意見はあると思うが、それは法律や行政が指示して決めるのではなく、メディアが決めるべきだと僕は思う。欧米も、メディアが決めている」
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岩上「いま、記者会見に行っても質問する人は数人。会見場が狭いと言うけど、タイプする人だけで席が埋まっている。質問する人以外は別室でUst中継を見ながらタイプしてほしい」
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神保「スペースの問題を記者クラブが言うなら、まずは会見に参加する記者を1社1人にすること。いまみたいに5〜10人もでて、同じ会社に質問が当たる。スペースの問題を言うなら、まずは1社1人にしてから」
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《終了》
構成・文責:《THE JOURNAL》編集部

2010年4月18日

《第18回》竹中ナミの郵便不正事件公判傍聴記:厚子さんにみる公務員の矜持と、それを失った検察官たち

4月15日(水)厚子さん第18回公判。
小雨の中、予定通り10時開廷。
昨日に続き、厚子さんが証言台に。

弘中弁護士が、昨日の尋問の続きを開始する。

「遠藤検事が、明日から取調官が代わると言って、実際に代わったのか?」

「はい、國井検事に代わりました。國井検事から事件の詳細な説明を受けました。倉沢氏→石井議員→塩田部長→私→北村係長→上村係長・・・といったストーリを克明に語られました。」と、厚子さんが答える。

「質問ではなく、ストーリーを語った?」

「はい、よく覚えてないんですが・・・物語風に説明されました。そして國井検事は、色々な人の話を聞いてるようで、あなたの話と他の人で温度差があるね、と」

「その日、調書は?」と弘中弁護士が聞く。

「とってません。翌日は(他の人を調べた)調書を持ち込み、指さしながらまた詳細に話しました。遠藤検事とは対照的に、私が何を言っても全くメモを取らずに話を続け、口述筆記しながらパソコンに入力するよう事務官に指示しました。そして(打ち終わった調書に)サインしますかと聞かれました。」と、厚子さん。

「内容は?」

「私は上村さんに大変申し訳なく思っている。私の指示がきっかけでこのような事になってしまった。上村さんは真面目な人で、一人でこのようなことはしない。私は責任を感じているという内容でした。」

「サインしたのですか?」と弘中弁護士。

「していません」キッパリ答える厚子さん。

「私は、どのようにでも読み取れる、このような、いやらしさを感じる文章にはサインできません。」

「あなたが言ってないことを調書にしたということですか?」と弘中弁護士。
「はい。」

「そのやりとりで國井検事を、どう思いましたか?」

「信頼関係が結べないと思いました。思い込みが非常に激しく、私は罠にはめられると感じました。」

「國井検事の言葉で、記憶に強く残っていることがありますか?」と弘中弁護士。

「あなたが嘘をついてるか、他の全ての人がついてるかだ、と。」

「私は國井検事がいう『石井議員の案件なので全員が私の指示に従って不正をした』という状況が起こりうる場面を考えてみました。3つの可能性があると思いました。

▼部下が全員、議員案件は、何が何でもやるものと思い込んでいる場合 
▼気づかない間に私が恨みをかっていて、皆が(私を)罪に陥れようとしている場合
▼私が重篤な二重人格という疾患で、悪い人格で行った時の記憶が無い場合

の三つです。しかし冷静に考えてみると、どれもあり得ないと思いました。まさか検察官が嘘を言っているとは思わず、このようなことを言う理由は何なのだろうと考えたのです。」

「國井検事は、キャリアとノンキャリについても『ノンキャリは汚い仕事ばかりさせられ、仕事がイヤで嫌でたまらない』とも言いました。全く違う、それはノンキャリに対する侮辱であり、大変失礼だと感じました。でも私がどのように説明しても『いや違う!こうだ』 と、考えを押し付けるので、この人は、なぜこんな思い違いをしてるのかと思いました。
それから國井検事は、ほぼ毎日来るようになり、なぜかと聞くと、『あなたのことが心配だから来る。このままだと重大なことになる、それが心配だ、というような話ばかりされました。』そして『今回の件はたいした罪ではないんだよ』などと言うので私が『それではたいした罪とはどんなものですか』と聞くと『殺人や傷害です』と応えたので、「私は(公務員として)このような罪に問われるくらいなら、殺人犯と言われるほうがましです、と答えました。」

「上村さんのことは、他に何か言いましたか?」と、弘中弁護士。

「はい。上村さんは私が逮捕された時泣いたそうで、ああいう人が嘘を言うはずがない。彼は孤独でゴキブリが出ないのさえ寂しいと言う、そんな人だ。あなたには責任があると。私は自分の職場で起きた事件には、自分にも責任があると思っているけれど、上村さんについては、なぜそんなことをしたのかと叱りつけたい気持ちですと、応えました。」

「あなたは弁護士である私に、手紙をくれたことがありましたね。」と弘中弁護士が問いかける。

「はい。『記憶がないがありえる』ということと『絶対やっていない』ということを
いくら頼んでも書き分けてくれないので、不安になって手紙を書きました。

▼倉沢さんに会ったかどうかについては、毎日たくさんの人が来られたり、会ったりするので、記憶に無いがありえること
▼上司からの指示を受け、自分が部下に指示をする、という状況はよく有るが、虚偽と知りつつ行うことは絶対にないこと
▼倉沢氏に、証明書を手渡していないこと

このよう『記憶がないがありえる』ということと『絶対やっていない』ことを、キチンと区別して調書にして欲しいと言いましたが、聞いてもらえませんでした。
その時の遠藤検事の説明は『調書はあなたから見た真実。客観的事実とは違う』ということでした。つまり、『あるかもしれない=ない』と書けばいいんだと言われサインしてしまったのですが、だんだん不安が募りました。これは私を『うそつき』という罠にはめようとしてるのじゃないかと恐ろしくなり、お手紙を書いたのです。」

大阪地検に出頭し、いきなり逮捕された時の衝撃と、自分の言葉を全く聞き届けてもらえない理不尽さを思い出しながら、それでも落ち着いた声で話し続ける厚子さん。

尋問が、弘中弁護士から白井検事に代わる。

「取調べにおいて、暴行、脅迫などはありましたか?」と、白井検事。

「(私が)知らないと言った時『知らないはずはない!』と、大声で言われました。また國井検事は、このままでは重い罪になると言い続けましたが、これは脅迫だと思います。」と、厚子さん。

その後、白井検事は、昨日の尋問で「時期的な整合性が無いことが明らかになった、障害者自立支援法との関連」についての質問などを、再び繰り返した後「あなたは保釈された日に、ご主人同席で記者会見を開きましたね。保釈の条件に事件関係者との接触禁止があったのではないですか? テレビカメラは、まずいと思いませんでしたか?」と、唐突に聞く。

「逮捕、拘留中に、全く事実と違う報道をされ続け、身の危険さえ感じていました。
(私が家に帰ることで)マスコミが家に押しかけたり、心ない人がルールを無視した行動をとって、子どもたちが恐い思いをすることなどが無いよう、また真相解明に繋がって欲しいとも考え、弁護士に相談したところ『問題なし』とのことでしたので、会見を行いました。」と厚子さんが答える。

弘中弁護士からは「記者会見は、こちらから呼びかけたものではありません。一度保釈が取り消されたこともあり、マスコミから記者会見の要望が非常に強かったので、それに応えたものです。」との説明がなされた。

最後に、裁判官たちから、厚子さんの多忙なスケジュールや配席図の確認などがあり、裁判長からは「凜の会の倉沢氏に、厚子さんが公的証明書を手渡した」という検察ストーリーについての質問が投げかけられたが、「絶対にありません。もしあったとすれば非常にイレギュラーなことなので記憶に残っています!」と、厚子さんがきっぱり否定し、今日の公判が終了した。

私は厚子さんの公務員としての矜持、理不尽な出来事に屈しない強さ、母親としての温かさを噛みしめながら、残る公判で検察側がどのような反撃を企てたとしても、きっときっと厚子さんの名誉を回復しなければならないと、改めて心に誓って大阪地裁を後にした。

寒の戻りの小雨の中を、肩を寄せ合って歩く厚子さんと二人のお嬢さんの、後ろ姿を見送りながら・・・

PS.
4月の公判はこれで終了し、証拠整理、論告、弁論などを経て、9月1日に判決が言い渡される予定となった。検察に控訴されない(出来ない)無罪判決が出て、厚子さんの無罪が確定することを、切に願うナミねぇです。


<文責:ナミねぇ>


【関連記事リンク】
◆過去の公判傍聴記(村木厚子さんを支援する会)
http://www.airinkai.or.jp/muraki_sien/index.html

◆なみねえのtwitter(公判速報はコチラから)
http://twitter.com/nami_takenaka

◆「村木厚子さんの完全な名誉回復を願う」(プロップ・ステーション)
http://www.prop.or.jp/news/topics/2009/20090727_01.html

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【プロフィール】 竹中ナミ(たけなか・なみ)
1948年兵庫県神戸市生まれ。神戸市立本山中学校卒。重症心身障害の長女を授かったことから、独学で障害児医療・福祉・教育を学ぶ。1991年、草の根のグループとしてプロップ・ステーションを発足、98年厚生大臣認可の社会福祉法人格を取得、理事長に。著書に「プロップ・ステーションの挑戦」(筑摩書房)、「ラッキーウーマン〜マイナスこそプラスの種」(飛鳥新社)。

2010年4月17日

岩上安身×高野孟:日本を破滅に導く検察とマスコミ

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 TOKYO FM・JFN系で大好評オンエア中の『ON THE WAY ジャーナル〜高野孟のラジオ万華鏡〜』。

 今回のゲストコーナーにはジャーナリストの岩上安身さんをお迎えし、戦前の"いつか来た道"を再び歩みつつある日本の検察とマスコミについて語っていただきました。

 鳩山首相記者会見開放までの舞台裏、強引な捜査で次々と冤罪事件を生み出す検察、そして検察と一体化して無理筋捜査を擁護し続けるマスコミの実態を明らかにします。

 ぜひお聴き下さい!

◇   ◇   ◇   ◇

■岩上安身×高野孟「日本を破滅に導く検察とマスコミ」(mp3)
http://pod.jfn.co.jp/people/scope/dl/takano_49.mp3
※音声が視聴できない場合は「右クリック→ファイルを保存」を選択してください

■高野孟のラジオ万華鏡 ホームページ
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/

2010年4月16日

喜納昌吉:ニライカナイの海から見えたこと

 民主党沖縄県連は4月11日、普天間基地移設候補先として取りざたされている勝連半島沖を船で視察し、地元住民との意見交換会を開催した。今から37年前、勝連半島はCTS(石油備蓄基地)建設反対運動で燃えていた。CTS誘致派の中心人物は、現在勝連沖移設案を平野官房長官に持ち込んだと言われている太田範雄氏(沖縄商工会議所名誉会頭)である。私は、反対派「金武湾を守る会」の安里清信氏からの「住民運動を頑張ってるおじいちゃんやおばあちゃんを歌で勇気づけてほしい」との依頼に応え、演奏に行った。これが私の住民運動参加へのスタートとなり、政治への関心を高めるきっかけとなった出来事だった。

 そもそも勝連沖移設は、私が3月10日に官邸を訪れ、平野官房長官から聞き出した案だ。長官は3月21日、うるま市議会議員4人を官邸に呼び、この案の受け入れを他の市議に説得するよう依頼したという。その経費は官邸側が持ち、ここでも官房機密費が使われた疑惑が生じている。官房長官も会見で、事務所費用や官房機密費などから拠出した可能性について問われると「そういう事実はどういうとこから導いてこられるのかわかりませんから、コメントは控えたい」と述べるにとどまり、否定しなかった。うるま市議会は3月19日に、「与勝会場沖への普天間飛行場の移設に反対する意見書(案)」を全会一致で可決している。その後の21日に平野氏と面談していることが事実とすれば議会軽視も甚だしいと、地元うるま市では、官房長官への批判の声があがっている。また、官房長官の選挙区である大阪のマリコン業者が、勝連沖の水域を調査に入ったという噂も流れている。民主党政権は、国民への情報の開示を掲げているのだから、長官は官房機密費の使途公開についても、普天間基地移設交渉についても、国民に開かれた形で堂々と行うべきではなかろうか。

 長官は勝連沖案の有効性について、「勝連沖のサンゴは死滅している。漁協も賛成だ」と言っていた。だが視察してみると、船の上からでも群生するサンゴがはっきりと確認できた。地元住民との意見交換会では、「大漁と島の発展を願う行事『サングヮチャー』の時に、祈りをささげるナンザ岩まで平安座島から歩いて渡れなくなる。埋め立てされる海域は、太陽が昇ってくる場所だ。沖縄には、東の海の彼方から五穀豊穣がもたらされるというニライカナイ信仰がある。我々に昇る太陽の代わりに、ヘリ基地から昇るヘリを拝めというのか」、「やっと若い漁民も増えてきた。東海岸は観光資源として活用すべきだ」、など様々な意見が出た。

 かつてCTS闘争当時誘致派だった人が、私に近づいてきてこう語りかけた。「CTS当時は、『島ちゃび(離島苦)』を抜け出すための海中道路建設という悲願があり、これを錦の御旗と受け止め賛成した。当時は、賛成反対に島が二分され、多くの島民が苦悩を味わった。しかし、今は経済効果という誘惑では錦の御旗は立たない。平野官房長官が現場を視察すれば、こんなきれいな海を埋め立てることはできないと思うだろう。私は、鳩山総理を信頼している。総理がこの埋め立てに反対してくれることを願っている」。

 鳩山総理にも島民の訴えを届けて、英断を下してもらえるよう、私も努力を続ける。

《第17回》竹中ナミの郵便不正事件公判傍聴記:自立支援法を通すため、という検察ストーリーの嘘

4月14日(水)寒の戻り、というにはあまりに寒い朝。地方によっては「寒波襲来」とか。つい先日、真夏日さえあったのに、今年の天候はホンマに異常やっ!と呟きながら大阪地裁に到着。

厚子さん第17回公判。今日の午後はいよいよ厚子さん自身が証言台に立たれることもあり、厚子さんのお嬢さん2人や、厚子さんを尊敬する厚労省時代の後輩たち数名も傍聴に来られている。今日の厚子さんは、くっきりした縦ストライプのブラウスにダブルのスーツ姿。襟元に着けたオレンジ色のスカーフが濃いグレーのスーツに生えて、表情が明るく見える。とても落ち着いた雰囲気で入廷して来られたので、傍聴席に穏やかな雰囲気が広がった。

10時開廷。午前中は検察側証人として、取調べを担当した高橋副検事と牧野副検事が出廷したが、二人とも、検事側からの尋問に対しては終始前を見つめて淡々と答える。

結論から言えば、二人の取調官は、常に前田主任検事の指示を仰ぎながら取調べを行った、というか前田主任検事が想定した結論に沿って取調べを進めたことがよく分かる証言だった。

印象的やったのは、高橋副検事が信岡弁護士に「前田主任検事からの指示は・・」と聞かれた時にチラッと検事側席の方を向いたので、すかさず信岡弁護士から「主任検事が居るとプレッシャーを感じますか?」と突っ込まれ「い、いえ・・・」と俯いたこと。

そして二人目の証言者である牧野副検事は、検事側尋問では一度も検事席を見ることなく証言し、反対に弁護側尋問になると身体を弁護側に向けて、身振り手振りを交えて答えるその様子から、証言者交代の僅かな時間にも上司からの指示が飛んでいたことが伺われた。

高橋検事は、取調べに対して「記憶がない」と一貫して否認し続ける田村元補佐と(厚労省職員)K氏の否認調書を一通も作成して居ないのだが、このことについて弁護側から問われると「本当は記憶に残っているのに(わざと)隠しているのだから、思い出すまで調書を作成する必要は無い」「否認調書を作成すると、嘘をついても良いのだと思わせることになる」と答える。「証言の変遷を記録することを必要とは思わないのか」と河津弁護士が聞くと「思わない。前田主任に報告したら、不要だ、思い出した部分だけ調書にしといてくれ、と言われた」と答え、取調べ検察官たちは前田主任検事の方針に粛々と従って取調べを行ったことが、傍聴席にストレート伝わった。

「6月7-8日に作成された調書で、多くの証人から一斉に『自立支援法を成立させるため』という文言が出てくるが、これも主任の指示か?」と弘中弁護士が聞くと「指示はなかった。証人が自発的に喋った。」と言いながら「主任の指示で調書にした」と答える高橋検事。

公判終了後の記者会見で弘中弁護士が明らかにしたのだが、田村補佐、北村補佐が6月7日、塩田元部長、江波戸室長、村松係長、N氏が8日に、「自立支援法を通すために」という調書を、まさに一斉にとられているのだ。

「主任の指示というのは会議などで出されるのか、一対一か?」と弘中弁護士が聞く。
「一対一です。」と答える高橋検事。 「指示はどのように受けるのか?」「取調べが終わってからだけでなく、休憩時間などにも受ける。自分は東京、主任は大阪地検に居るので電話で指示を受ける。」と、忠実に職務に励んでいることを強調する高橋検事。

う~む、検察という組織は、取調べ内容などを組織全体で共有し、確認や評価、批判をしあいながら捜査を進めるのかと思ってたけど、違うんやな!! 主任検事がストーリを創ったら 部下たちは疑うこと無く(疑うことを許されず!?)ストーリに沿って捜査を進めるんや、ということを痛感した。

また取調べでは、すでに取られた別の被疑者の供述調書(否認供述は一切書かれていない)を手元に置いて「誰それはこう言ってるぞ」と迫るのだが、その理由を高橋検事は「他の取調官以上の調書を取るよう、主任から指示されてのこと」と証言。取調官どうしを競わせる手法が使われていると分かる。

「田村補佐の取調べ前に見た資料は何か?」と弘中弁護士が聞く。「それまでの供述調書や捜査報告書などだが、それが資料の全てかどうか分からない。しかし・・・主任から回って来たものは全て見る」と応える高橋検事。高橋検事が、証人席でただ一度だけ前田主任検事のほうをチラ見したのは、プレッシャーからなのか、忠誠心を認めてもらいたいためなのか・・・いずれにしても「主任検事の判断が、絶対遵守すべき捜査基準なんや!」と、強烈に伝わってくる。

裁判官から「取調べメモ」の破棄について糺された時は、高橋検事も(今日の二人目の証人である)牧野検事も、すでに出廷した取調べ検察官たちと同じく「不要だから」と言い切った。高橋検事は「調書は、どの部分を書き込むか主任からの指示を受けたものだが、メモは自分の走り書きなので役立たない」と"補足"までしてみせる。そして「誰それから、こういう供述を得ているよ、というのは圧力ではないのか?」と裁判官に聞かれると「ちょっと・・・意味が分かりません。」と、本当に戸惑った様子を見せるのだった。

牧野検事は、記者会見で弘中弁護士から「便利屋」と評されたほど、主任検事の指示によって日替わりで何人もの取調べに当たってるのだが、弁護側の尋問に対しても、裁判官からの尋問にも答えが常にしどろもどろで、時には検察官席に目で助けを求める様子を見せ、裁判官から注意を受ける一幕も。その検察官側には、前田主任検事が奥まった席からガンを飛ばしているというシチュエーション。尋問を終えた牧野検事は退席するドアを間違え、係官に背中を押されながら退廷して行った。

二人の副検事の尋問終了後、検察側が突然「河野、倉沢、塩田、木村の4氏と飯島元秘書官」の証人出廷を要請。4氏については、検察官調書と食い違う証言をした重要証人だからという理由だが、「自分に都合の良いところだけを調書にしておきながら、今になって覆した証人を証拠請求するのはおかしい!」と弘中弁護士が激しく抗議して、裁判長は保留の判断を。しかし調書そのものについては「証拠物として採用する」という。これにも弘中弁護士は抗議したが、却下されてしまった。調書がえぇかげんで一方的なものやということは、すでに明確になっているけど、裁判が長引くのが心配やな。

◇  ◇  ◇  ◇

昼休み終了後、なぜかいきなり法廷入り口でボディチェックが始まった。理由の説明は無し。江川紹子さんはじめ傍聴者がすべてチェックを受けたそうやけど、チェックに気付かないで「うっす!」などと言いながら、キャリーバックを引っ張って傍聴席に走り込んだ私は、なぜかチェックを受けずじまい。江川さんに呆れられてしまった。

そしていよいよ、厚子さんが証言台へ。
弘中弁護士から「公務員としての思い」を問われ、「大学の時の恩師から、公務員は国民の願いを法律や制度にして行く翻訳者だ、と言われた言葉を最も大切にしている。」と、少し緊張が感じられるものの、いつもの穏やかな表情を浮かべ、明瞭な声で尋問に応える厚子さん。

「女性、高齢者など、日本において遅れている分野の仕事にはやりがいがある。この分野は民間の人も大変努力されているので、信頼に応えたいと思いながら仕事を続けて来た。平成9年に旧労働省で障害者雇用対策課長として、初めて障害問題に取り組んだ。『働くこと』は、障害の有無にかかわりなく人間の尊厳にとって、とても大切な問題であり、障害があっても働けることが当たり前の社会にしなければならないと思った。女性も障害者も、能力が高くても社会的偏見などで働けない場合が多く、よく似た問題だと思っていた。労働省で障害者に関わる課は一つしかないので、ここだけか・・・と思っていたら、厚労省になって改めて福祉分野で(障害者問題に)携わることができた。」
厚子さんの声が静かに法廷内に広がる。

そう・・・プロップ・ステーションは、厚子さんが障害者雇用対策課長に就任された年に、草の根のボランティアグループから厚生大臣認可の社会福祉法人となり、それからずっと「障害者(チャレンジド)が、当たり前に働ける日本」を目指して、厚子さんと私は二人三脚で歩んで来たのだ。拙著「プロップ・ステーションの挑戦~チャレンジドが社会を変える~(筑摩書房)」を厚子さんに手渡し「これ読んでくれへん」と言うと、一日で読み終え「ナミねぇ、これで私は上司と闘えるわ」とニッコリ微笑みながら言われたのを、昨日のことのように思い出す。「女問題も、障害者が働きにくいのも根っこはおんなじ、日本システムの課題だからね。それを変えなくっちゃ!」と、朗らかに言った厚子さんに「わぁ、官僚にもこんな人が居てはるんや。私ら同士になれるかも!」と強く感じた、あの日。

その厚子さんが、検察の創作ストーリという罠にはまって5ヶ月間も勾留され、公務員の仕事を奪われ、今、裁判を戦っている。こんな理不尽なことが有ってえぇもんか!!
いやいや、怒ってる場合ちゃう。厚子さんが冷静に証言してはるのに、私が血ぃのぼってどないすんねん。どぅどぅどぅ・・・と傍聴席で自分を諌める。

「それが、今回の福祉企画課長ですね。」弘中弁護士の問い掛けが続く。
「はい、もう一度やれる!と嬉しかったです。」と厚子さん。
「でも、支援費で予算が不足し、障害者団体が厚労省を取り巻く状況の中で、自分にやれるかな、やらねばならない、という思いでいっぱいでした。」

支援費制度の導入で、行政が障害者の施設やサービスを規定する制度から、障害者自身がきちんと契約してサービスを得る制度に転換したものの、財政面が脆弱で「補助金の枠」を超えると地方自治体が持ち出すか、サービスを止めるかという状況に陥ってしまい、年度当初は予算を無理に圧縮したり(高齢施策などから)流用したりしたが限界が来たことから、制度の見直しが必要になった・・・という経緯を厚子さんが簡潔に説明する。

そこで、高齢者の介護保険制度の年齢制限をなくし、保険料を支払うことで若い人も障害を負ったら使えるという方向で行けないかということを介護保険の審議会にかけたが、なかなか進展せず、16年8月ごろから新たな制度設計をしようということになり、10月にグランドデザインをまとめた。
サービスの選択、大型(収容型)施設ではなく街の中で暮らす、働くことを当たり前にして行く、国民全体で支える、など支援費の良いところも取り入れ、11月頃に「介護保険を使わずにやる」ということで財務省も説得できた時、自立支援法の骨格が固まった。そして
17年1月に始まる国会に法案提出する、という経過をたどりました。

厚子さんの説明を聞いて弘中弁護士が「すると自立支援法は、16年の夏から暮れにまとまった訳ですね」と質問する。「そうです」と厚子さん。
「(この事件は、自立支援法を通すため、石井議員からの要請を断り切れなくて起きたというのが検察のストーリーだが)それなら16年6月に、自立支援法が理由でということは・・・」「あり得ません」厚子さんがキッパリ答える。
「インターネットなどで審議会関連を調べると、経緯がすべて確認できます。」

その後、同僚から「メモ魔」と言われる厚子さんの手帳や、日々細かく綴ったノートの(手書きの)内容をパソコンに移した資料などを元に、弘中弁護士が16年6月1日から10日間の、厚子さんのスケジュールを法廷内のディスプレイに映し出して確認する。
まさに分刻みで会議、打合せ、委員会、与野党議員への説明、関係団体回り、などなどなどがビッシリ続いており、「アポなしで倉澤氏が訪れて、厚子さんから手渡しで偽造証明書を受け取ること」など「やれるもんならやってみなはれ状態」やったことが明らかにされた。

また厚子さんが上村係長に直接指示したという点については「直属の上司の頭越しに、私が係長に指示するような失礼なことは、あり得ない。また交付や通達は通常郵送される。石井議員についてはお名前とお顔は存じ上げていたが、話をしたことは一度も無かったし、石井議員と厚労省との関わり自体も無かった。」と述べた。

逮捕の状況については「遠藤検事から大阪地検に前日出頭要請があった。倉澤氏からの依頼や、上司から指示を受けて部下に自分が指示しただろうと、何度も何度も聞かれたが、記憶にも無いし、覚えてもいないので話が噛み合わなかった。」弘中弁護士が「逮捕は遠藤弁護士から告げられたのか?」と聞く。「知らないことを、知りませんと言って逮捕されるなんて、なんか非常事態のような気持ちで・・・手続き説明では、10日間の勾留が1回更新されて20日間。それから起訴するかどうか決まるが、あなたは起訴されます、と言われました。決まってるなら20日間は何なんだ、と思いました。」と、初めて厚子さんの声が悔しそうに震える。

「真相解明が検察の役割のはずなのに、検察がそんな方針ならどうすれば良いんだろうと、思いました。」

「調書を拒否したことは?」「ありました。長い調書を持ってこられたけど、塩田氏や上村氏への悪口などがいっぱい書かれていて、これは自分の人格と違う!と拒否しました。」
「その調書は面前口授ではなく(遠藤検事が)出来上がったもの持ち込んで来たんですか?」と弘中弁護士。「はい。立派な否認調書ですよ、どこが気に入らないのか言いなさい、と言われて、全く別人格の内容なので一部だけ直せるものではない、と答えました。すると検事が『これは検事の作文です。書きなおします』と言って、作り直されました。でも納得できない部分があったので、明日弁護士に相談させて下さい、と言うと、自分は今日だけで、明日は検事が変わる、と言われたので、徹底的に直してもらって(否認調書に)サインしました。」と、厚子さんが話す。

遠藤検事の直した調書にサインしたことについて「明日は人が代わると言われたことと、逮捕前に女性事務官たちの雑談から、失礼な言い方だけど、割とましな人と思ったので・・・」と厚子さんが言うと、傍聴席からクスクス笑いが起きる。「でも、二人でかなりやり取りして調書を書き直し(私が)サインします、というと『決済を取る』と言って出ていかれたので、もし上司がダメと言ったらどうするの・・・と、すごく失望しました。」

「罰則などについては何か聞きましたか」と弘中弁護士。
「執行猶予がつくだろう、たいした罪ではない、と言われ、非常に腹が立ちました。私にとっては・・・・」厚子さんの声に涙がまじり、嗚咽となる。
「公務員としてやってきた30年間の信頼を、全て失うのです・・・・」
厚子さんの小柄で細い背中が震え続ける。隣の席で傍聴している二人のお嬢さんも目を真っ赤にしている。
「今日はこれで。」裁判長が、閉廷を告げた。

厚子さんの証言は、明日も続く。


<文責:ナミねぇ>


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【プロフィール】 竹中ナミ(たけなか・なみ)
1948年兵庫県神戸市生まれ。神戸市立本山中学校卒。重症心身障害の長女を授かったことから、独学で障害児医療・福祉・教育を学ぶ。1991年、草の根のグループとしてプロップ・ステーションを発足、98年厚生大臣認可の社会福祉法人格を取得、理事長に。著書に「プロップ・ステーションの挑戦」(筑摩書房)、「ラッキーウーマン〜マイナスこそプラスの種」(飛鳥新社)。

2010年4月14日

《録画放送中》蓮舫:情報公開が日本を変える! ── 事業仕分け第2弾 序論


※ただいま録画放送が視聴しづらい状況となっています。回線が混み合っている可能性もありますので、動画が止まってしまう場合は、後ほど再度ご視聴下さいm(__)m

 民主党の蓮舫参院議員が14日午後に行われた日本外国人特派員協会での記者会見を、16時から録画LIVEします! 23日から始まる事業仕分け第2弾は昨年11月に行われた事業仕分けとはどう違うのか、仕分けの結果をどのように行政改革につなげるのかなど、今回も仕分け人として参加する蓮舫氏が語ります。

 ハッシュタグは「 #shiwakemae 」です!

※放送はiPhoneからも視聴可能です。USTREAM viewer から「THE JOURNAL LIVE!!」で検索して下さい。

2010年4月13日

ネットメディアが初めてピューリッツァー賞を受賞 問われる日本メディアのビジネスモデル

 受賞したのは米国非営利報道サイトのプロパブリカで、記事を発信し始めてわずか2年足らずでの受賞となった。

 今回プロパブリカが受賞したのは"Investigative journalism(調査報道)"部門で、ハリケーン・カトリーナ被災後のニューオーリンズの病院を舞台に安楽死問題を取り扱ってきた。プロパブリカはこの問題を米ニューヨーク・タイムズ・マガジン(NYTM)編集部と協力して取材してきた。

■ハリケーン・カトリーナ特集記事(プロパブリカ)
http://www.propublica.org/series/deadly-choices

 調査報道は予算と時間がかかり、ビジネスモデルが崩れつつある報道機関において、その存在が「危機的な状況にさらされている」(プロパブリカ「About us」より)。プロパブリカは財団からの資金と寄付で運営が成り立っており、HPには「DONATE(寄付)」の大きな窓が設置されている。

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プロパブリカのHPには寄付窓口が常設されている

 今回この部門をネットメディアが受賞したことは画期的で、調査報道の可能性と、新たなビジネスモデルを予想させるものだ。

 日本の報道各社は、収益の減少から支出を減らす方向に舵をきっている。新聞各社は早期退職者を募集し、新入社員数を大幅に減らす経営効率化を急いでいる。(「新聞各社の最近採用事情」FACTA4月号)
 ネットメディアはJANJANニュースが先月経営破綻したばかりで、いまだにビジネスモデルが確立されていない。

【関連記事】
■ピューリッツァー賞をネットメディアが初めて受賞(ITmedia)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/13/news024.html

《録画放送中!》片岡晴彦×仙波敏郎×高橋玄:ウソつきは警察のはじまり!? ── 警察の裏金と捏造された高知白バイ事件は権力犯罪だ!

■PART1

■PART2

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 高知白バイ事件で冤罪を訴える片岡晴彦さん、警察の裏金問題を内部告発した元警察官の仙波敏郎さん、映画「ポチの告白」監督の高橋玄さんは13日、都内の外国特派員協会で記者会見を開きました。会見では当事者しか知ることのできない生々しい話が続々と登場し、日本の警察・司法・メディアの異常な実態が次々と明らかにされました。

 《THE JOURNAL》では会見の模様を本日18時より録画ライブ(英訳つき・約90分)します。ハッシュタグは「 #usotuki 」です。ぜひご覧下さい!

※放送はiPhoneからも視聴可能です。USTREAM viewer から「THE JOURNAL LIVE!!」で検索して下さい。

■高橋玄監督作品
ポチの告白 [DVD]

■仙波敏郎 著
現職警官「裏金」内部告発

■高知白バイ事件
あの時、バスは止まっていた 高知「白バイ衝突死」の闇

米海兵隊は「北朝鮮核」の奪取が使命? ── 馬鹿馬鹿しいにもほどがある

takanoron.png 4月1日付毎日1面トップの「なぜ沖縄に/米軍高官の本音/海兵隊の狙い、北朝鮮核/崩壊時確保」という記事には笑った。言うに事欠いてとはこのことで、結局、沖縄に海兵隊を駐留させなければならない理由など何もないことを、米高官自身が認めたに等しい。同記事のリードはこうである。

「オキナワになぜ米海兵隊が必要なのか----米軍高官が『抑止力』以上の『主たる理由』を日本側に伝えてきていることが関係者らの証言で明らかになった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の迷走は結果として米軍の『本音』を引き出し、鳩山政権の掲げる『対等な日米関係』を築く一歩になるのだろうか」

 この記事によると、2月17日に、来日中の米太平洋海兵隊司令部(ハワイ)のキース・スタルダー司令官の呼びかけで防衛省幹部らとの非公式会合が開かれ、席上、同司令官は現行計画が望ましいとの「公式見解」を1時間にわたって述べたが、苛立った日本側出席者が「そんな話は私たち安保専門家はわかっています。そういう説明ばかりだから、海兵隊は沖縄に必要ないと言われるのです」と反論した。

 すると司令官はこう言った。「実は沖縄の海兵隊の対象は北朝鮮だ。もはや南北の衝突より金正日体制の崩壊の可能性の方が高い。その時、北朝鮮の核兵器を速やかに除去するのが最重要任務だ」

●迷走しているのは米国だ

 日本のマスコミでは、普天間移設問題をめぐって鳩山政権が「迷走」していて「5月末結着は難し」く、そうなれば鳩山由紀夫首相は「辞任必至」だとの論調が盛んだが、実は沖縄に海兵隊を存続させる正当な理由を見つけられないで迷走しているのは米国側である。

 本論説が繰り返し述べてきたように、これまで、「何のための海兵隊か」と問われれば、答えは一言で「抑止力」。「何に対する抑止力か」と踏み込めば、「北朝鮮の脅威」と「中国の軍拡」。しかし、北朝鮮の脅威とは具体的には何なのか、中国の軍拡が日本にとってどういう危険要因なのかについては、一度たりとも日米間で真面目に議論されたことがなかった。

 日本にとっての「北朝鮮の(潜在的)脅威」とは、理論的には、第1に対日核攻撃、第2に対日直接侵攻、第3に第2次朝鮮戦争=大規模陸上戦闘に伴う北の核を含む対在日米軍基地攻撃、第4に北の内部崩壊に伴う武装勢力を含む難民の押し寄せなどが挙げ得るだろう。

 第1の或る日突然の対日核攻撃は、外交的・政治的・経済的に合理的な理由はなく、金正日が気でも狂わない限り100%ありえない。逆に、北が仮に日本を核攻撃しようとすれば、別に核弾頭を開発する必要はなく、敦賀あたりの原発に通常弾頭のミサイルを雨霰と降らせれば十分で、実戦配備に足る核弾頭を持っていない現在でもやろうと思えばいつでも出来るが、これまでのところそのような挙に出る兆しは見られない。

 第2の対日直接侵攻は、そうする合理的理由がないだけでなく、そもそも北には大規模な陸軍を渡洋上陸侵攻させる海上輸送手段がないので、不可能である。

 第3の対南大規模侵攻は全くないとは言えないけれども、そうする合理的な理由は何もなく、また仮に起こったとしても、米韓両軍の圧倒的な航空優勢による制空権確保の下では、38度線を踏み越えて殺到する北の100万歩兵の大部分は無駄死にすることになろう。それは本質的には朝鮮半島内部の「内戦」であり、直接的には日本の安全保障とは関係がないが、しかし在沖海兵隊が第一線の在韓米陸軍第8軍をバックアップする第2線を形成するために出撃し、また在日米海空戦力が佐世保や横須賀や三沢が発って出撃すれば、北とすればそれら後背基地を叩こうとするに違いない。

 第4の北の内部崩壊による混乱は、直接には日本への脅威ではない。それに伴って武装勢力を含む大量の難民が西日本に押し寄せるという想定は、昔から防衛省などが口にしているが、北で難民が発生すれば、まずは北方へ、すなわち鴨緑江・豆満江を歩いて渡って朝鮮族100万が住む中国東北方面へ逃げるのであって、わざわざ舟を探して"敵性国家"である日本に大量に押し寄せてくることはあり得ない。

 さてそこで海兵隊だが、第1の核・非核のミサイル攻撃に対する抑止にはなり得ないし、第2の対日大規模侵攻はそもそもありえないので抑止の必要がない。このいずれも海兵隊が沖縄に駐留を続けなければならない理由とはならない。第3の第2次朝鮮戦争の場合に海兵隊が向かうことは予定されているけれども、これは韓国防衛のためであって、日本防衛とは直接関係がない。それにそもそも、スタルダー司令官が言うように「もはや南北の衝突よりも金正日体制の崩壊の可能性の方が高い」というのが米軍部の判断であり、それに従って第1線を担う在韓米陸軍が漸次縮小に向かいつつある中では、第2線となる海兵隊をどうしても沖縄に維持しなければならない理由は薄れつつある。

 そうなると、海兵隊の存在意義は別のところに求めなければならず、それで苦し紛れに出てきたのが、北が体制崩壊で混乱状態に陥った時に、恐らくは韓国軍と共同で直ちに乗り込んで核弾頭や核物質が行方不明になったりテロリストの手に渡ったりしないようにこれを確保して持ち帰るというシナリオである。もちろん軍事は、ありとあらゆる可能性を想定してそれに備えるもので、米韓両軍が数多くの可能性の1つとしてそのような作戦を検討対象とするのは理解できないでもないが、これはどちらかと言うと、より練度の高い米陸海軍の特殊部隊の仕事で、海兵隊の役割があるとすれば、突入と脱出に当たって陸上戦闘が避けられない場合にそれを担って特殊部隊を補佐することくらいではないのか。いずれにせよ、それが「最重要任務」と言うなら海兵隊は韓国に駐留すべきであって、沖縄にいなければならない理由とはならない。司令官の発言は、むしろ海兵隊の沖縄駐留にまともな理由など存在しないことを裏付けたものと言える。

●中国の脅威?

 在沖海兵隊が軍拡を続ける中国に対する抑止力として欠かせないという説もある。しかし中国は日本に対し、或る日突然核ミサイル攻撃をかけるとか、大規模陸軍師団で渡洋上陸・占領を試みるとかいったシナリオは持っていない。そうする合理的な理由がないからである。

 台湾が「独立」を宣言した場合には、中国は「武力解放」シナリオを発動せざるを得ず、まずは雨霰とミサイルを降らせて制空権を確保した上で、陸軍師団が大挙して台湾海峡を渡って上陸侵攻することになるが、この場合、米第7艦隊の空母機動部隊は直ちに出撃して海空から台湾軍を支援するだろう。それに対抗できるだけの近代的海軍力を育てるのが中国軍拡の主要な目的である(そうでないと「いざという時には武力解放」という国是が絵空事になるので)。しかしその場合も、海兵隊が飛んでいって陸上戦闘に加わるということはあり得ず、せいぜいが台北からの米人救出くらいが役目だろう。これも海兵隊の沖縄駐留の理由付けとしては貧しい。それにそもそも、ごく一部の過激派を除いて、台湾の与野党には「台湾は今がすでに事実上、独立している状態であって、何もわざわざ独立を宣言して中国の武力発動を挑発する必要は全くない」という一種の国民的合意が成り立っているので、台湾海峡危機はほとんど起こり得ない。

 毎日4月1日付によると、今年1月15〜16両日、ワシントンで在米日本大使館などの主催で開かれた第16回日米安保セミナーで、日本側出席者の1人である田中均元外務審議官は「沖縄の海兵隊の役割は何か。はっきりした説明がほしい」と米側に迫った。また出席者の1人は毎日に対し「日米の政府以外の人の多くは『沖縄の海兵隊の意義』を『抑止力』という言葉で片づけず、より明確にしなければ、もう日米同盟は持たないと考えている」と語っている。

 また毎日4月3日付で森本敏拓殖大学教授と対談した防衛省出身の柳沢協二元内閣官房副長官補は、こう述べている。

▼(沖縄に駐留を続けることになっている)1個大隊規模の海兵隊が、この地域の抑止力としてどれだけ不可欠なのか非常に疑問だ。

▼海兵隊は、地域の軍事バランスを維持するというよりは、むしろ緊急派遣部隊だ。初動対応するためどこかになければならないが、なぜそれが沖縄かということをそれだけでは説明できない。

▼私がこだわっているのは、今までずっと『抑止力のために』と言い続けてきたことだ。抑止力の中身を具体的に説明していないし、同盟協力の文脈、つまりグローバルな意味での米の国際秩序維持について、どう日本が評価して関わっていくか。その議論がなければ、たぶんなかなかこの話は難しい。

 その通りで、米国が海兵隊の沖縄駐留を単に既得権益として守ろうとしてしがみつき、北の核奪取が「最重要任務」だなどと戯言のようなことまで言い出していることが、実は日米同盟を危うくしているのである。鳩山政権はそこを正面から切り込むべきで、有力な外務・防衛官僚OBでさえこのように言っているのに、鳩山や岡田が安易に「抑止力」というオマジナイに屈しているかの発言を繰り返しているのではどうしようもない。▲

2010年4月12日

上昌広:日本医師会会長選挙を振り返る

■日本医師会長

 4月1日、日本医師会会長選挙が行われ、茨城県医師会長の原中勝征氏が、第18代会長に選出された。森洋一氏(京都府医師会長)、唐澤祥人氏(前日医会長)を僅差で破っての当選だ。

 多くのメディアは、このことをトップで扱った。確かに、日医は自公政権を支えた代表的な業界団体で、政権交代後の対応に多くの国民が関心を持っていた。また、自公政権を支持してきた唐澤氏、政治とは距離を置くと言いながらも、前原大臣などの京都出身の有力議員と親しい森氏、さらに昨年の総選挙での民主党大勝利に貢献した原中氏の争いは、与野党の代理戦争の様相を呈した。マスメディアが関心を持つのも当然だ。今回は、日医会長選について解説したい。

>>続きは「Infoseekニュース 内憂外患」で

2010年4月11日

《映像インタビュー》メディア初登場!注目のくら替え候補者・河上みつえが参院選に向けた心境を語る

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 今夏の参院選京都選挙区(改選数2)の「2人目候補者」として出馬が決まった現職衆院議員の河上みつえ(かわかみ・みつえ)氏が、《THE JOURNAL》のカメラの前で現在の心境を語った。

 宇治市出身の河上氏は国際線客室乗務員などを経て、小沢氏が主宰する政治塾で学び、昨年の衆院選では比例近畿で初当選した。河上氏は参院選に立候補することで、公職選挙法の規定により衆院議員を失職する。

 民主党の比例近畿の名簿登載者は全員当選しており、繰り上げはない。当選確定後は他政党に議席が回ることもなく、衆院は欠員1となる。

 京都選挙区には民主党現職の福山哲郎(ふくやま・てつろう)氏、自民党現職の二之湯智(にのゆ・さとし)氏、共産党新人の成宮真理子(なるみや・まりこ)氏が立候補を表明しており、激戦が予想されている。

 小沢幹事長は政権基盤を強化するためにも、複数候補の擁立が重要であることをかねてから訴えてきた。小沢氏の動きに対し、党内では批判の声もあがっている。

 地元京都の前原国土交通相は、衆院議員に欠員を生む覚悟で参院にくら替え出馬させることに「国民の理解が得られるのか疑問だ」と反発した。河上氏と同じ京都選挙区で今年改選を迎える福山哲郎外務副大臣は1日テレビ番組の収録で、幹事長の考えは理解できると述べる一方で、「支持率がこれだけ低迷しているし、民主党は少しおごっているのではないかと言う向きもある」と不満をもらしている。

 3年以上の衆院任期を残し、選挙に臨むことになった河上氏本人はいったいどんな心境にいるのだろうか。

■映像配信中

2010年4月10日、《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

2010年4月10日

《インタビュー第2弾》石井一二:参院選予想!「小沢が辞めれば票が増える」の罠

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 新党の動きに引き続き、今夏に予定されている次期参議院選挙について政治評論家の石井一二(いしい・いちじ)氏にインタビューした。

─民主党が2人区に2人の候補者を擁立しますが、勝算はあるのでしょうか

 私は民主党が2議席を独占することは難しいと思います。あるとしても愛知選挙区だけでしょう。

 2人区に2人の候補者を擁立することは、新たな票の掘り起こし効果があると思います。投票率が上がり、緊迫感も出て活気のある選挙になることが期待できます。

─2人区に2人擁立する動きに対して、民主党内で異論も出ているようです

 2人区について党内で起こっているゴタゴタは、現職議員が文句をかき立てているところから発生しています。言うなれば現職議員のエゴ。現職議員は6年間国会議員を務め、高い給料と政党交付金を頂いています。新たな時期を迎え、初心に帰って懸命にたたかえばいい。

 実際に現職大臣らが党幹部に会い、「1人に絞って欲しい」と直接頼みに来たという話も聞いています。将来党首になろうとしている者が、目先の小さなことを考えるようでいいのでしょうか。結局自分が得することしか考えていません。

 寝ていても通るような選挙をさせないという意味で、小沢さんは選挙の天才です。今度の選挙は全員が緊迫感を持ってやるでしょう。現職議員は選挙のありがたみ、国民の支持のありがたみがわかるから、非常にいいことだと思います。

─小沢氏の選挙戦略に連合が反発しているようですが

 連合なんて、図体だけ大きくて、票なんて持っていませんよ。連合は自分たちが推薦する候補者が落選する可能性があるから、反発している可能性はあります。小沢さんは組織票じゃなく、一般の浮動票を取りに行くと言っているんだからそれはそれでいいんじゃないでしょうか。

─注目の選挙区は?

 東京(定数5)は注目しています。「たちあがれ日本」は負け、共産党の小池晃(こいけ・あきら)氏とみんなの党の戦いになります。私は、みんなの党が1議席を取ると予想しています。
 冒頭で民主党が2人区で2議席とることはないと触れましたが、可能性が高かった北海道選挙区は北海道教職組合の事件が大きく影響してくる思います。自民党・長谷川岳(はせがわ・がく)氏には地元での活動の同情票が集まると予想されますので、2議席独占は難しいと予想しています。

─1人区で注目されている選挙区は?

 栃木のみんなの党がどこまで健闘するか。党首のお膝元ですから地元としての同情票が集まるでしょう。大物議員では山梨選挙区の輿石東(こしいし・あずま)氏は落選すると見ています。島根の青木幹雄(あおき・みきお)氏は勝つでしょう。田舎はまだまだ保守地盤が強く、都会のような浮動票は少ないからです。
 沖縄選挙区も注目です。与党はたたかれるでしょうから、自民党の現職が残るだろうと思います。

─今後選挙結果を左右するような政府や政党の動きは考えられますか

 問題は普天間基地がらみで鳩山首相が辞めるかどうか。小沢幹事長がお金の問題で辞めるかどうか。私は辞めないと見ています。世間は小沢幹事長が辞めれば民主の票が増えるようなことを言っていますが、早い段階で小沢さんが辞めれば公認取り消しなどバカげたことも考えられます。そうすれば党内がゴタゴタして、また支持率下げるという悪循環に陥るでしょう。

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石井一二:新党結党「あの党はひどい、みじめな結果になるでしょう」

石井一二(いしい・いちじ)プロフィール
政治評論家。元自民党副幹事長、参議院議員18年、兵庫県議12年、徳田虎雄と自由連合を設立。現在は徳州会理事長代理。兄は民主党参議院議員:石井一(いしい・はじめ)

【第9回】政治家に訊く:石井一二
http://www.the-journal.jp/contents/politician/2009/10/9.html

2010年4月8日、石井一二事務所:《THE JOURNAL》編集部取材&撮影(写真は2009年10月15日)

海江田万里:マニフェスト立案のためのタウンミーティングを全国で一斉に開催

民主党衆議院議員の海江田万里(かいえだ・ばんり、選挙対策委員長代理)氏が、ご自身のメディア、【海江田万里の政経ダイアリー】2010.4.6号で、

参議院選挙に向けたのマニフェスト作成のための「マニフェスト企画委員会」の立ち上げと、国民の声を取り入れるためのタウンミーティングを、全国で開催する

ということについて説明されていますので、全文転載いたします。

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政府と民主党は参議院選挙のマニフェスト作成のため、マニフェスト企画委員会を立ち上げ、私は、そのメンバーに選ばれました。

このマニフェスト企画委員会は、政権公約会議の議長である鳩山由紀夫総理から指名され、(1)国民生活研究会(社会保障・雇用・子育て・教育・消費者問題など)、(2)成長・地域戦略研究会(経済産業・国土交通・農林水産・環境など)、(3)分権・規制改革研究会(地方主権改革・規制改革・行政改革など)の三つの研究会からなっており、ここを舞台に現場感覚と21世紀の日本を構想しながら、マニフェストを作っていく作業が始まります。

私は、このマニフェスト企画委員会の席上、「『国民の生活が第一』という観点で、全国会議員参加でマニフェストを策定するのは当たり前だが、もう一歩踏み込んで、自治体議員と地域の皆さんを巻きこんで、国民の声をダイレクトに取り入れたものにするべきだ。もう一度マニフェストを国民と共に作り直すべきだ。」と提案しました。

これを受けて、民主党は『あなたの声をマニフェストに』にという企画を立ち上げました。

この企画は、「全国各地の有権者の声をマニフェストに反映させるため、総支部単位でマニフェスト立案のためのタウンミーティングを、全国で一斉に開催する。」というものです。

民主党らしさというのは、一にも政策。二にも政策。そして、その政策は、国民の皆さんと大激論をし、議論の経過をはっきりさせて、道筋をつけていくものです。そうして出来上がった政策を、しっかりと実行していくことが私たち民主党の使命と心得ています。そのためにまず、国民との契約書であるマニフェストづくりに最大限の努力をしていきたいと思っています。

民主党『あなたの声をマニフェストに』のタウンミーティングに是非ご参加いただいて、マニフェストづくりにお力をお貸し下さい。

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タウンミーティングを2回開催します。
ご都合のよろしい会場で参加ください。
ここで皆さんからいただいた意見を集約し、これを基にマニフェストづくりを行います。
昨年夏の総選挙で約束したマニフェストに対するご意見や新たに盛り込んでほしい内容など、ぜひ、あなたの声をお聞かせ下さい。
参加ご希望の方は、会場・お名前・住所等連絡先を事務局までお知らせください。

日時:4月25日(日)15:00~16:00
場所:花園神社社務所2階
(新宿区新宿5-7-3、Tel.03-3209-5265)
*最寄駅は、丸の内線・都営新宿線「新宿3丁目」

日時:4月28日(水)18:00~19:00
場所:芝大神宮社務所
(港区芝大門1-12-7 Tel.03-3431-4802)
*最寄駅は、都営浅草線・大江戸線「大門」

海江田万里事務所/民主党(東京1区)
〒160-0004 東京都新宿区四谷3-11 山一ビル6F
Tel.03-5363-6015 office@kaiedabanri.jp
Fax.03-3352-2710 http://kaiedabanri.jp/

2010年4月 9日

米軍による民間人殺害映像が流出!


※映像には衝撃的なシーンが含まれていますので、視聴するときはご注意ください!

 2007年にイラクの首都バクダッドでロイター関係者を含む民間人が米軍に殺害された事件で、機密扱いとなっていた攻撃時の映像が、内部告発を専門とするサイト『Wikileaks』で公開された。

 映像は上空のヘリコプターから撮影されたもので、路上で話をしている民間人を突然銃撃し、救助しようとした2人の子どもにも重症を負わせている。また、銃撃時に米軍兵士がゲームを楽しむかのような会話をしているところも収録されている。

 映像を見る限り、通行人のうち2人が武器のようなものを持っているように見えるが、ほとんど丸腰に近い。

 ロイターによると、匿名の米国防総省の関係者はこのビデオが本物であることを認めたという。

【関連記事】
■Wikiliaks(英語)
■2 Iraqi Journalists Killed as U.S. Forces Clash With Militias(NYtimes)※2007年の事件時の記事
■「ヘリによる民間人殺害」秘密映像:精密な照準技術(WIRED JAPAN)
■イラクでのロイター記者銃撃、米軍の機密映像がネットで公開(ロイター)
■3年前の米軍ヘリによるイラク市民銃撃映像、告発ネットが公開(AFP)

喜納昌吉:官房機密費の怪

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 今年1月に行われた名護市長選で、辺野古移設容認派の陣営に官房機密費が使われたという噂を聞き、3月23日の予算委員会で真偽を質問した。平野官房長官の代わりに答弁に立った岡田外務大臣は事実を否定し、鳩山総理大臣は、官房機密費の公開を約束した。このように、機密費投入の噂は後を絶たない。

 名護市長選直後に、平野官房長官の肝いりで内閣官房沖縄連絡室が設置された。消息筋によると、その理由は、名護市長選の情勢分析に当たった、外務省沖縄事務所と沖縄防衛局が、官邸に「島袋候補優勢」という報告をあげ、その予測が見事にはずれたからだという。同筋によると、平野官房長官は、市長選直後、島袋氏を官邸に呼び出し叱責し、外務省、防衛省の情勢分析があてにならないから、官邸直属の機関を沖縄に置くことを即決した、という。実際、官邸のスタッフに名護市長選の情勢を尋ねられた記者は、「『うち』は優勢なのかのという質問の『うち』とは、島袋候補を指していた」と語っている。「名護市長選の結果は斟酌(しんしゃく)しない」という発言は、こうした背景があって出たものかと勘繰りたくなる。

 民主党は、小沢幹事長の指揮の下、陳情要請の県連一元化を実施しているが、沖縄だけは県連を通さず内閣官房沖縄連絡室を通した陳情がまかりとおっている。それも県連からの問い合わせに対して、1件しか陳情を受け付けていないと回答した沖縄連絡室だが、調査してみると140件以上の陳情を受け付けていたことが判明した。この件を我が県連が小沢幹事長に報告すると、幹事長も「それは県連が怒るのも無理はない」と理解を示した。平野官房長官は、沖縄連絡室を動かし、11月の知事選も県内移設容認派が勝利するよう画策していると言われている。沖縄の民意を無視したこうした動きには、必ず強烈なしっぺ返しがくるだろう。

上昌広:医療での成長戦略を考える ── オーダーメード医療とスーパーコンピューター

■ゲノムシークエンス技術の急速な進歩が医療界のパラダイムを転換する

 私は、2005年に国立がんセンター中央病院から東大医科学研究所に異動し、中村祐輔教授、宮野悟教授と出会った。中村祐輔教授は外科医で、ゲノム医療の専門家。宮野悟教授は数学科の卒業で、スパコンを使いゲノム情報の解析をする異色の研究者だ。いずれも、世界的に有名な人物だ。

 これまで、がん患者の治療に従事してきた私にとって、彼らがもたらす情報は刺激的だった。このような交流を通じ、医学・医療が急速に変わりつつあることを学んだが、数年の間に、医療分野で「革命的なパラダイム転換」が生じると確信するに至った。

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2010年4月 8日

《インタビュー》石井一二:新党結党「あの党はひどい、みじめな結果になるでしょう」

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「鳩山邦夫の自民党離党や、与謝野馨元財務大臣の執行部批判は愚行」
 リベラルタイム5月号の誌面で、内部批判をする与謝野氏を名指し批判していた政治評論家:石井一二(いしい・いちじ)氏に、今回の新党立ち上げに至った一連の動きについてインタビューした。

*   *   *   *   *

 あの党はひどい、みじめな結果になるでしょう。ただそれぞれの先生が地元票を持ってますから、一議席はとるのではないでしょうか。

 もし与謝野氏を始め、彼らが本当に民主党の過半数阻止を考えていたのならば自民党議員としてたたかえばよかっただけの話です。
 それができなかったのは、彼らがひいきもされず、マスコミには万年野党化する自民党として取り上げられることに耐えられなかったからでしょう。

 マスコミの動きに左右されているという意味で、今回の大馬鹿者は舛添要一(ますぞえ・よういち)氏です。みんなに騒がれてうぬぼれて党首になろうとしているようですが、党内で評価している人なんてほとんどいません。自分が何様かもわかっていません。当選1回でしょう?しかも参議院。ちょっと時が経てば、誰も相手にしなくなるんじゃないでしょうか。

石原慎太郎(いしはら・しんたろう)東京都知事が応援団として動いていました

 新党立ち上げの動きに加わって、いらないことを発言する必要性はありません。民主が第1党となっている都議会の運営がますます難しくなります。今回の動きは彼の政治センスのなさを表しています。あんな所に出て行くべきではないと思います。

─今後の自民党はどうなりますか?

 年寄り連中が出たことによって、自民党はまとまりがよくなります。党内で与謝野氏のように足を引っ張る発言をする連中がいなくなります。党内議員はみんな危機感を持ってますし、雪崩を打って新党に入るような動きはありません。ちょうどいい大掃除ができたのではないかと思っています。

石井一二(いしい・いちじ)プロフィール
政治評論家。元自民党副幹事長、参議院議員18年、兵庫県議12年、徳田虎雄と自由連合を設立。現在は徳州会理事長代理。兄は民主党参議院議員:石井一(いしい・はじめ)

【第9回】政治家に訊く:石井一二
http://www.the-journal.jp/contents/politician/2009/10/9.html

2010年4月8日、石井一二事務所:《THE JOURNAL》編集部取材&撮影(写真は2009年10月15日)

2010年4月 7日

喜納昌吉:普天間問題は鳩山政権の試金石だ

 3月11日に《THE JOURNAL》のインタビューに登場し、沖縄県連代表として「(政府は)僕たちとしっかり話し合ってもいいのではないでしょうか」と訴えた喜納昌吉氏。その後政府へ直接意見し、また党内では小沢幹事長と直接会談にのぞみ、一貫して米軍基地の県外・国外移設を訴えてきた。

 普天間基地の移設はどうあるべきか。沖縄県連代表・喜納昌吉参院議員があらためて《THE JOURNAL》で提言する。

*   *   *   *   *

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 第1に、基地の存在そのものが21世紀にふさわしくないでしょう。人類が3000年の間に5,000回も戦争をして来たと言われているが、そんなことが出来たのは地球は無限だという無意識の観念があってのこと。しかし、もう地球も水も空気も有限だということがわかっている。基地は、人類のグローバル・ビジョンから見ても必要がない。美しい辺野古の海を埋めて自然を破壊することは、オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策にも核廃絶の訴えにも反するだろう。鳩山首相の二酸化炭素を1990年比で25%削減するというビジョンにも東アジア共同体という考えにも反している。つまり、オバマ大統領や鳩山首相のビジョンが本物かどうか、沖縄の基地問題がリトマス試験紙になっている。

 しかし、地元沖縄の人々は脇に置かれて議論されている。日本の政治では基本的に沖縄は異民族であるという潜在的な意識を露骨に示している。歴史的政権交代といわれるが、この「歴史」の中に「沖縄の歴史」が含まれているのか問わなければならない。もっとハッキリいうならば、「沖縄民族は日本人なのか」、このことの総括は復帰以降文化人や政治家たちが怠ってきた命題なのだ。2009年は薩摩藩による琉球侵攻から400年の節目にあたった、これを契機に、タブーとされてきた歴史を総括していかなければならない。

 そもそも普天間の基地は危険だから移設すると誇張しすぎるきらいがある。真実の視点に立てばどこに移設しようが危険であることに変わりはなく、この論理は破綻している。普天間が危険だというのは、橋本政権時代にいきなり言われ出した。普天間は大田昌秀(おおた・まさひで)県知事(当時)の基地返還計画に最初は入ってなかったのに、時の政権が押し込んだ節がある。そしてメガフロートの話になっていった。

 1996年4月に橋本首相が大田知事に電話して、普天間基地を県内移設する承諾を得たといわれている。当時、鉄鋼不況だったため、新基地建設案に日本の利権集団が飛びつき、大田知事と橋本政権に押し込んだのであり、米軍の戦略を持ち込むには格好の材料であったのだろう。しかし、辺野古移設が条件とされることに住民の反対運動が燃え上がり、大田知事は住民側に舵をきらざるを得なくなった。その事は橋本首相の歴史的手柄を奪うことにもなり、その後の大田県政への政府の冷たい対応は、橋本首相の直接の怒りを買ったのであろう。浮体工法案の浮上は、実は私も関係していた。1994年ごろ、李玖(い・ぐ)殿下と交流があったことから始まる。李殿下は日本から受けた李王朝の悲劇を話してくれて、琉球王朝と同じ運命を感じ、交流を深めなくてはいけないと思っていた。李殿下が浮体工法の研究家でその技術を持っていることを知り、すぐに新石垣空港問題が頭に浮かんだ。当時、アオサンゴのある白保の海を埋立てる計画が大反対運動を巻き起こしていた。しかし、埋立てない浮体工法なら問題が解決できるのではないかと思い、「沖縄で使いませんか」と言うと喜んで承諾してくれた。早速、大濱石垣市長に繋ごうとしたが、友人が仲介したクリスティンソン米国総領事(当時)とのセッティングが先になってしまった。そこで浮体工法の話がでて、総領事が強く関心を示し米側に繋がっていったという事実がある。

 その後、李殿下のパートナーから「殿下の技術が辺野古の基地建設に採用され、県道104号線越えの演習も本土に分散されることになりました」という連絡が入った。私は困惑し「その技術は平和のために使ってほしいのであって、軍事のために使うのはやめてほしい」と伝えたが、その後なぜか連絡は途絶えてしまう。

 1995年には少女暴行という県民が驚愕する事件(※1)が起こる。この悲劇の事件は、当初少女の人権を考え記事にされなかったものが、数日経ってから大きく報道され始めた。連日の報道の過熱で、県民の怒りは増幅されていき、県民の叫びに応えるようにSACO(沖縄に関する特別行動委員会)は立ち上がっていくのである。2004年には沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した事故直後に、感情を逆なでするかのように辺野古にボーリング調査が入り大々的に報道されて、沖縄の基地問題は全国に広がる。その時から沖縄の過重負担を分担しようという同情論に国民世論が形成されていく。時を同じくして米軍再編というモンスターが姿を現し、日本の安全保障政策にも大変革が起こってくるのである。

 かつて、在沖米軍4軍調整官スタックポールが「キャンプ・キンザーは補給基地だから、もし返還するときがあればそれは海兵隊も引き上げるときである」といった内容を当時大田知事に語ったと言う。スタックポールは「沖縄の米軍は日本の軍国主義を抑える『瓶の蓋』だ」とも言っている。一連の米軍再編の流れを推察していくと、米国は安倍政権でこの「瓶の蓋」を開けようとしたのではないだろうか。強引に国民投票法を成立させた意味もそこにあるのではないか。しかし民主党に政権交代し当初の計画は頓挫したのであろう。米国が日本国憲法作成に関与し、3分の2条項という高いハードルを設定しながらも手続きの国民投票法が今までなかったのは、「憲法の不作為」ではなく「米国の作為」と見たほうが納得がいく。では今になって、「瓶の蓋」を開ける意図はどこにあるのか、我々は深く洞察しなければならない。それは日本の陸海空自衛隊が米軍のコントロール下に入ったということではないか。スタックポールの話は、決して平和のメッセージではなく、東アジアがより危険になるということを示唆している。

 中国の飛躍的発展は日本をはさんで米中をより接近させ、G2と呼ばれるまでになり、アジアの未来は明るく映っている。しかしまだ東北アジアの不安定要素として台湾と北朝鮮は存在し、リーマンショックに始まった世界的金融危機は、アフガンとイラクで泥沼化した米国に打撃を与え、ドルを基軸通貨とする支配体制に翳りを落とさせている。米国債を多く抱える日中と米が景気の二番底を迎えたり米国がデフォルトに陥った時、あるいはホルムズ海峡が封鎖された時、東アジアの安定を保つことができるのかが問われているのである。

 QDR(米国防総省の中長期的戦略文書)には、「予測不可能な状況がどこで発生しても柔軟で迅速な対応を可能にする場所に基地設置を目指し、同時に海外の基地を削減する」とある。ゲーツ国防長官は上院で「沖縄の海兵隊のグアム移転は、中国の軍拡の脅威からの逃避が目的だ」との考えを示した。それらが物語るのは何だろうか。かつてのアフガン戦線の北部同盟のように、対中国の前方展開に韓国軍や台湾軍や日本の自衛隊を出し、米国は一歩下がって司令塔だけでコントロールしようとする戦略がそこから見えてくる。沖縄から海兵隊を一番帰したいのは、沖縄県民よりも実のところ米国だと思わざるを得ない。米海兵隊の家族は本国に引き上げ、司令部がグアムに残り後方支援に廻ることが本音であろう。それをあたかも反対派の熱望に応えるように見せるところに米戦略のマジックがある。

 米国は、グアム移転費を日本にもっと出させたいということでしょう。米国は政権交代を予測して、辺野古問題をグアム協定を結ぶことによって閣議決定から2国間協定に引き上げた。日米地位協定では、外国への移転に日本の負担義務はない。負担する積算根拠を与えるためには、県民が徹底して反対運動をし、それに国民が同情し、お金で解決しようという精神構造を作り上げることが必要なのだ。もうすでに、実体をともなわないパッケージ論に嵌められ5,000億円の供出を強いられている。

 また、中国包囲網を見据えているならば、那覇以南の宮古や八重山等の南西諸島の空洞地帯を埋めることによって安全保障が完成する。下地島空港には頻繁に米軍機が飛来している。南大東島の港も整備され、北大東島港も伊良部大橋も新石垣空港も建設中で、与那国島には米軍艦も寄港し、陸自配備案も浮上した。那覇港の大型バースは完成し、那覇空港には並行滑走路が計画中で、空港と那覇港を結ぶ海底トンネルも開通した。辺野古は潜水艦も入れる地下トンネル建設の噂も絶えないし、隠された軍港建設計画の方が問題だ。嘉手納より南の基地返還の意図は、県民から見えにくくするために北部にコンパクトに基地を集約することだと指摘する識者もいる。めまぐるしく展開されていく様々なインフラ整備は、費用対効果も考えて本当に民間使用のみなのか疑問が湧いてくる。

 1966年の米海軍マスタープランでは、辺野古は嘉手納基地が破壊されたときの代替基地のはずだったが、現行の有事法制下で那覇空港の新設並行滑走路が出来上がることで補足されることになる。出来るだけ基地候補地を造っておけば、「有事の際の施設使用」でいかようにも展開できるところに、マジックの本質がある。 

 私が危惧するのは、強制集団死に関する教科書検定問題でも露わになった旧日本軍の総括されていない精神構造をそのまま持ち込むことになり、鳩山首相の「駐留なき安保」と民主党右派の唱える「国防の自立こそが真の独立である」ことが利用され、沖縄民族に新たな不幸を課し、沖縄と日本の間に新たな分断の歴史が生まれることである。

 今後民主党政権が注意しなければならないのは、日米軍産複合体によって描かれた図面に取り込まれないことである。日米同盟権益者が与党にも野党にも潜り込み、両方がハンドリングできるように布石を打ってくるはずだ。今は55年体制の自民党・社会党時代に見られた古い体質のアメリカが作ったダブルハンドルを国民の手に取り戻せるかどうか、その攻防なのである。日本の未来のためには同じ民主党議員であっても問い質していかなければならない。こういった米国のネオコン系の目論見を一番気付いてるのは小沢幹事長ではないだろうか。強引な小沢幹事長への検察の圧力も根はそこにある。まさに日本の真の独立が問われているのである。

 EUではリスボン条約が締結され憲法条約が発効されることになり、2010年から事実上のEU合衆国が誕生し、EU大統領と外相が生まれる。NATO軍はEU軍に変容し、国際連帯税も導入され、国連を媒体に世界政府が台頭してくる兆しも見え始めている。オバマ大統領が米国のゴルバチョフにならぬよう、中国が急激な発展の反動に潰されぬよう、日本の民主党政権が、内部の不協和音を取り除き、オバマ大統領を支持した米国と目覚めた中国が力を合わすよう取り持つくらいのリーダーシップを発揮することだ。

 今日本に必要なことは、グローバルな世界の大変革に対し、科学、文化、政治、宗教等あらゆるベクトルが、戦争に従事している戦争文明から、病み疲れた地球を再生する方向へとシフトし、「地球が最初」であるという人類の未来ビジョンを掲げることだ。(喜納事務所より 「世界」3月号を加筆・修正)

※補注1 1995年少女暴行事件:1995年9月、沖縄本島北部で小学生の少女が米海兵隊員らに車で拉致され、暴行された事件。容疑者は米軍基地で拘束されたが、米軍の権限などを定めた日米地位協定により、日本側が起訴するまで、身柄は基地内に置かれた。沖縄の基地反対運動の声が一気に高まった事件。

平沼・与謝野新党の名称は「たちあがれ日本」 石原都知事が命名

 NHKによると、平沼元経済産業大臣(70)と与謝野元財務・金融担当大臣(71)が10日に結成予定の新党の名称が「たちあがれ日本」で調整中であることがわかった。

 平沼氏が記者団に明らかにしたところによると、この名称は石原慎太郎東京都知事(77)が考えたという。

【関連記事】
■平沼新党、名称は「たちあがれ日本」 石原都知事が命名(朝日)
http://www.asahi.com/politics/update/0407/TKY201004070145.html

2010年4月 6日

大島九州男:高校無償化法案 議員が失ってはいけない地方視点

 大島九州男(おおしま・くすお)参院議員は3月31日に成立した高校無償化法案について触れ、教育における都市と地方の認識のズレを指摘し、地方の視点の重要性を訴えた。

 民主党は高校生の教育にかかる経済的負担の軽減を最大の目的に法案化を進めてきた。大島氏が関わった2007年時点で民主党内では、私立高校に通う子どもは自らの選択であえて国公立よりも学費の高い学校に進んでいるため無償化の対象にすべきでないと考えられていた。

 大島氏は当時から「月謝は高いけど仕方なしに私立に入学する状況がある」地方の現状を訴え続けてきた。この法案はマニフェストの目玉の一つであり評価の声がある一方で、一部のメディアでは公立・私立の「格差」を始め、法案の穴が指摘されている。

 高校無償化法案の効果はどこまであるだろうか。全国各地の有権者の評価やいかに。

【関連記事】
高校無償化、受験シーズン突入の私立に不安・不満(産経新聞)
私立高校にも学費支援 先進自治体「真の無償化」目指す(朝日新聞)

東京新聞が社説で東京地検特捜部を批判!

 本日からはじまる新聞週間を前に、東京新聞が4日付の社説で、東京地検特捜部による陸山会事件の捜査に疑問を呈したことが話題となっている。

 社説では、ことし1月に政治資金規正法違反の疑いで石川知裕議員が逮捕されたことについて「現職衆院議員を逮捕して罰するほどの悪質性があるかどうかは疑問」と述べ、一連の報道に対する読者からの批判についても「憲法が報道機関に期待する権力監視の重大な役割を検察に対しても果たしているかの問いかけであり、不信でもありました」と自省をこめて語っている。新聞社の社説がここまで踏み込んだ特捜部批判をすることは異例。

 とは言うものの、本誌読者はすでにご存知の通り、東京新聞は紙面上で過去に何度も特捜部を批判する記事を掲載しており、その経緯からすると今回の社説の内容は至極当然と言える。その一方、新聞週間を前にしてあえてこの社説を出したということは、特捜部の意向にそのまま乗り、検察を応援するかのような報道を続けた主要全国紙に対する批判・問題提起を行ったともとれる。

 なお、社説では参院選後に開かれる石川議員の公判について「メディアに公判を検証する義務が残りました」と述べている。同紙は、捜査の疑問点については公判報道によって明らかにするつもりのようだ。

【参考記事】
■週のはじめに考える 権力監視と未来の提言(東京新聞4月4日社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010040402000072.html

2010年4月 5日

田原総一朗×高野孟:サンデープロジェクトの21年を振り返る

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↑ 眼帯の理由は本編で・・・

 3月で21年の歴史に幕を閉じたテレビ朝日系列の「サンデープロジェクト」。つねにジャーナリズムの最前線を突っ走り、それゆえに番組内容への賛否両論も多かった直球一本の報道番組でした。

 3月放送の「高野孟のラジオ万華鏡」ではサンプロのメインキャスターである田原総一朗さんをゲストに迎え、宮沢喜一首相の辞任騒動をはじめ、番組がきっかけとなった数々の歴史的シーンについて語りました。ぜひ、お聞き下さい!

※番組は3月2日に収録したものです

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■田原総一朗×高野孟:サンプロの21年を振り返る(mp3)
http://pod.jfn.co.jp/people/scope/dl/takano_47.mp3

■テキスト版
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/n_oa.html

■番組ホームページ
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/index.html

■高野孟:サンプロが終わって何が残るのか?
http://www.the-journal.jp/contents/takano/2009/12/post_190.html

2010年4月 3日

《編集長インタビュー》『季刊 地域』が創刊!「これからの地域は複業化の時代」

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 『増刊現代農業』が改題リニューアルされ、4月1日に『季刊 地域』が創刊された。今回は創刊記念インタビューとして、甲斐良治編集長に話を聞いた。

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甲斐良治氏(『季刊 地域』編集長)
「これからは複業化の時代」

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─『増刊現代農業』に引き続き、全国各地のたくさんの仕事が紹介されています

 『増刊現代農業』から誌面を一新して写真を多く使ったレイアウトになりました。コンセプトは引き継ぎ、これからも地域で起こっている活動を発信していきたいと思います。

 今回の特集のテーマは"適正価格"と"複業"です。複業は慶応大学教授の米田雅子(よねだ・まさこ)氏が使っている言葉で、主を支える「副業」と違い、たくさん仕事があるという意味です。今まで農家は専業と兼業に区別され、兼業はどうしても専業の下にあるイメージでした。そのイメージを取り払う言葉です。

 この特集では、"自分達の地域で何が問題になっているのか"という暮らしの視点をもった地域の仕事を取り上げています。地方では暮らしの中の悩みや課題に向かい合うことで、小さな仕事が生まれ、その仕事の重なりによって地域がよくなっていきます。

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町の面積の97%は山間地(小国町・樽口峠より)

 協同組合や研究会が関わり合って、入り組んでいる山形県小国町(おぐにまち)の活動は顕著な例です。あれもこれもやって経済的に自立しようとする複業化が進んでいます。

─今回の見どころは

 エコノミストの浜矩子(はま・のりこ)氏とのインタビューは見どころの一つです。浜氏がどこの雑誌でも語っていない話題があると思います。

 インタビュー開始1時間前になって、浜さんの土俵に立った質問の方針を180度転換しました。自分が約30年間まわっている全国各地で起こっている活動をぶつけて、浜さんの反応を聞いたほうが面白いのではないかという発想に切り替えました。
 地域の活動を話す私に対して、市場原理主義から転換しつつあるノーベル経済学賞受賞者の話題や、ベーシックインカムの発想についてピシッと話すところはさすがだなと思いました。

─政治家からは舟山康江氏が登場しています。《THE JOURNAL》の「政治家に訊く」でも出演していただいています

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舟山康江氏(「政治家に訊く」のインタビューにて)

 現在与野党を通してみても、地方の暮らしに密着した意見を言える人はほとんどいません。残念ながらそれを発掘するメディアもありません。実は《THE JOURNAL》の情報だけを頼りに取材したんですよ。

─舟山氏とのインタビューで印象的だったのは、100万円を手にしたときに男女間で反応に差があるという話です。「100万円じゃ何も出来ない」という男性に比べ、女性は「100万円もくれるんですか」といって既成概念にとらわれず新しいことに果敢に挑戦すると言っていました

 これからの地域の再生のために必要なのは経済重視の「大きな仕事」「単業」の男の視点ではなく、暮らし重視の「小さな仕事」「複業」の女性の視点ではないでしょうか。

 行き詰まっている経済は、大きく専門的なものをよしとする「男の経済」です。専門化して効率や生産性が上がるというのは、マーケットが大きくなる時の経済学です。人口が減りマーケットが縮小する地方では、近代経済学とは逆の現象が起こっていますよ。

─暮らしを重視する視点はサブタイトルの「ゆるがぬ暮らし」によく現れています

 以前、農業に関心がある若者約50人にそれぞれの仕事観をたずねたことがあります。彼らが共通してもっていたのは暮らしの視点です。

 彼らの祖父母の世代は暮らしをつくることが仕事でした。親の世代は仕事は金を稼ぐ手段で、その金で暮らしをまかなっていました。その結果サラリーマンは地域活動にも参加せず、仕事と暮らしは切り離されていきました。

 それを見ていた若者世代が、今度は自分たちが双方を近づけることにチャレンジしたいと言っています。若者たちが暮らしの視点を取り戻そうとしています。

─いよいよ発売する『季刊 地域』は今後どういった方向に進んでいく予定ですか

 今はとにかく色んな意見を聞くことが第一です。誌面の印象も相当変わったかと思いますので、クレームを含めて集まった意見を次回からの誌面づくりに活かしたいと思います。

*   *   *   *   *

【関連サイト】
■農文協:『季刊 地域』サイト
http://kikanchiiki.net/

■甲斐良治ブログ「食と農の底力!」
http://www.the-journal.jp/contents/kai/

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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