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2010年2月27日

またやってみる、今放送中の「朝まで生テレビ!」について語るスレッド

先ほど生放送した、「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」には、たくさんのアクセスをいただき、ありがとうございます!m(_ _)m

帰宅して間もなく、朝まで生テレビ!が始まりました。

今回も検察問題かと思っていましたが、「凋落日本と若手起業家の"成長戦略"」と題して、具体的な成長戦略の見えない中、若手起業家の考えを聞いてみよう!という設定です。

前回に引き続き、是非、みなさんのご意見・ご感想をリアルタイムでお聞きしたいと思います。

くどいようですが、テレ朝とは全く関係ありませんので、誤解のないようお願いいたします。

オフィシャルサイトには、リアルタイムに書き込めるスペースがないようですので、勝手にやっています。

司会:田原総一朗
進行:長野智子・渡辺宜嗣(テレビ朝日アナウンサー)

パネリスト:
大塚耕平(内閣府副大臣、民主党・参議院議員、50)
齋藤 健(自民党・衆議院議員、50)
東 浩紀(東京工業大学特任教授、批評家、38)
姜 尚中(東京大学大学院教授、59)
水野和夫(三菱UFJ証券チーフエコノミスト、56)
井戸 実((株)エムグラントフードサービス代表取締役、32)
猪子寿之(チームラボ(株)代表取締役社長、32)
加藤優次(アットナビベトナム(有)代表取締役副社長兼CEO、31)
川崎貴子((株)ジョヤンテ代表取締役社長、37)
堀江貴文(元(株)ライブドア社長、37)
松谷卓也((株)プロジェクトニッポン代表取締役社長、42)
横田響子((株)コラボラボ代表取締役、33)

2010年2月25日

《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:三井 環

 今月2月26日(金)に開催される「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」にむけて、出演者の連続インタビューを行っている。

 第五回は、元大阪高検公安部長で現在は警察・検察評論家の三井環(みつい・たまき)氏に語っていただきました。

───────────────

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─ 2002年4月22日、三井さんは検察の裏金づくりの実態を告発しようとした直前に逮捕されました。一転して捜査する側から容疑者となってしまったわけですが、そのときにはどのようなことを感じましたか?

 私は「検事」と「被疑者」という2つの経験をしました。リークする捜査側も経験したし、リーク報道をされる被疑者の立場も経験した。檻に入れる方もやったし、檻の中にも入った(笑)。

 だから、両方の考え方がわかります。特に、逮捕される立場になってからは検察とメディアにいろいろな問題点があることがわかりました。

─ 事件がおきると、被疑者の情報が一斉に報じられます。今回の事件でも検察しか知り得ない情報が報道されていました。なぜ、検察は捜査情報をリークするのでしょうか?

 捜査に世論の追い風を吹かせるためです。追い風が吹けば、事件がやりやすくなる。被疑者以外の参考人の事情聴取でも、追い風が吹いていると調書がとりやすい。

 具体的に言うと、私が高松地検で次席検事していたときは、私が取材の窓口でしたので、昼間に1時間ほどとって取材を受け、順番に記者と面会していました。そのときに捜査情報をリークすれば、その情報に憶測が加わったプラスアルファのものが報道されます。記者によって異なりますが、事実でないことを書く記者もいます。

─ その場合、検察側は注意や抗議をしないのですか?

 検察側に不利となる報道でない限り、反応することはありません。そもそも記者クラブの記者が検察に不利になるような記事を書くことはありませんけどね。

 仮に検察にとって不利になるような記事が出た場合は出入り禁止です。だから記者クラブは捜査批判ができません。

─ 陸山会の政治資金問題では記者クラブ批判が巻き起こりました。一方、大手メディアの記者は、検察と記者の間には緊張関係にあり、リークは存在しないと反論しています。

 検事と記者に緊張関係などありません。ブン屋さん(新聞記者)には厳しいスクープ競争がありますので、できるだけ早く書かないといけない。だから記者クラブの記者は裏付けも取らず、こちらの言ったとおりに書く。

 また、鈴木宗男議員が検察のリーク問題を問いただす質問趣意書を政府に提出しましたが、政府はその事実を否定する答弁書を出しました。政府がリークを認めてしまえば国家公務員法の守秘義務違反となってしまいますので、法務省の官僚に問いただしたところで返事は「リークはない」と言うに決まっています。

 しかし、実際には検事はリークをしています。さきほど捜査をスムーズに進めるために「風を吹かす」と言いましたが、逆に言えば、風が吹かないと捜査が進まない場合もあるからです。徐々に情報を出していくなどして、私も風を吹かすことをやってきました。

─ 具体的にはどのような情報をリークするのですか?

 私個人の経験では、捜査側の考えが被疑者の供述と異なる場合にリークをしていました。たとえば、被疑者が容疑を否認しているときは「あいまいな供述をしている」という情報を流す。「否認している」とは言いません。

 なぜかというと、否認していることが報道されてしまうと、被疑者以外の事件関係者もつられて否認に転じる場合があるからです。ですので、新聞で「容疑者はあいまいな供述をしている」と書かれている場合は、被疑者が否認していると考えた方がいい。

─ こういった「リークの技術」は上司や先輩から教育されるものなのですか?

 それはありません。検事によってリークの方法は違うと思う。ようするに、マスコミに風を吹かす方法は自分で考える。記者からの取材も、受けるか受けないかは自分で判断するわけで、上司の指示でやるわけではありません。

─ 記者が持っている情報を得るために、捜査情報をリークすることもあるのでしょうか?

 検事としては、記者が独自取材によって得た情報が欲しい場合もあります。一つの情報が事件につながる場合もありますから。だから検事は記者との付き合いも大事にしています。

 私自身も過去にある新聞記者からもらった情報を元に強制捜査をしたものの、何も出てこなくて失敗したこともあります。とは言っても、実際には記者から情報をもらうということはほとんどありません。だいたいがこちら側からの情報提供です。

─ メディアのあり方もふくめ検察改革が実現する可能性はあるのでしょうか?

 私の目的は、検察に裏金問題を認めさせ、国民に向かって謝罪してもらうことです。それには国民の声が盛り上がる必要がある。国民の声が盛り上がれば、方向が変わる可能性があります。裏を返せば、国民が盛り上がらない限り、いくら政権が変わっても裏金問題の解決はできない。取り調べの可視化も同じです。

 相手は法務官僚や検察という巨大権力です。鈴木宗男さんのような政治家が一人で頑張っても、残念ながらどうしようもない。ましてや私一人ではどうしようもない。だから、みんなが鈴木議員のような人をバックアップしなければならない。日本全体に検察問題追及の風が吹けば、検察の問題がもっと表に出て、状況が変わるかもしれません。

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http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/vs_8.html

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■シンポジウム詳細

【出演者】
三井 環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
上杉 隆(ジャーナリスト)
青木 理(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
安田好弘(弁護士)他

【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)

【日時】
2010年2月26日(金)18時~21時[開場17時45分]

【会場参加申し込みURL】
http://www.tsukuru.co.jp/

※生中継は「Infoseek 内憂外患」で放送します!
http://opinion.infoseek.co.jp/

「新しい公共」づくりをめざした市民と民主党の政策形成プロジェクト

■13時半より生中継!(15:00まで)
Live TV : Ustream

2010年2月24日

《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:上杉 隆

 今月2月26日(金)に開催される「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」にむけて、出演者の連続インタビューを行っている。

 第四回は、ジャーナリストの上杉隆(うえすぎ・たかし)氏に語っていただきました。

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 そもそも僕は、「検察の捜査がおかしい」とか「その部分を正そう」ということについてはシニカルに考えています。元々権力の世界にも秘書として5年間身をおきましたし、捜査権を伴った「起訴」という武器を持った行政の一機関がどういうことをやるかというのは、あらかじめ想定できるワケです。

 古今東西、世界各国を見わたしても、そういう権力が横暴を繰り返してきたというのは、残念ながら人類の歴史上当然です。また、私自身はそこに健全を求めるというアプローチはあまりせず、むしろ、それをチェックする機関であるジャーナリズムがきちんと機能するかどうか......というところにポイントをおいてこれまでやってきました。

 今回まさにそこが機能不全に陥ってる、ということと同時に、石川議員の女性秘書に対しての違法捜査が目の前でおこなわれているにもかかわらず、一切報じないというメディアの現状を少しでも多くの人に知ってもらいたい、という意味で今回のシンポジウムに出席するつもりです。篠田博之さんが僕を呼んだ意図がそこにあるのかな、と考えています。

─ そのようなことが起こらないために「取調べの可視化」というのが1つのポイントだと思いますが、どうですか?

 取り調べというより、「情報公開含めた全体の可視化」ですよね。一部を可視化しても、前後で圧力をかけられてしまう可能性がありますので、全体を可視化することによって健全なジャーナリズムが機能すればある程度はくい止められる。

 例えば、記者会見を開かせて、捜査に着手する検察官に名前と顔を出してきちんと説明をさせる。アメリカ・ヨーロッパでも普通におこなわれているワケですからね。

 起訴を伴う捜査権を持った行政に対して、「匿名」の権力を与えてしまっているのは、G8というかOECD(経済協力開発機構)先進国の中では日本とロシア(加盟申請国)くらいじゃないでしょうか。

 最悪なのは、記者クラブが国家権力である検察に対しなんら追求をしない、まだロシアの方がジャーナリズムが機能している。

─ 報道に関しては?

 よく、新聞・テレビの記者に「私と一緒にされたくない、インチキ取材をしていない」と言われるのですが、彼らの取材というのは記者クラブに行くことであって、それは、こちらは入れないんですから、取材をしていないと言われてもあたりまえですよね。

 そういう意味では、むしろ「一緒じゃない」と言われるのはよかったな......と思います。戦前の国家権力の暴走を防ぐことができなかったメディア、大本営発表にまんまと乗ってしまっている現状があるワケですから、そこを自ら検証して本来のジャーナリズムの意義を100のうちの1でもいいから発揮してもらいたいと思います。

 僕は「1秒でも1文字でもいいから載せてください」と言い続けているのですが、まだそれもないですし......その部分はシンポジウムで言おうかな、と考えています。

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■シンポジウム詳細

【出演者】
三井 環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
上杉 隆(ジャーナリスト)
青木 理(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
安田好弘(弁護士)他

【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)

【日時】
2010年2月26日(金)18時~21時[開場17時45分]

【会場参加申し込みURL】
http://www.tsukuru.co.jp/

※生中継は「Infoseek 内憂外患」で放送します!
http://opinion.infoseek.co.jp/

2010年2月23日

《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:鈴木宗男

 今月2月26日(金)に開催される「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」にむけて、出演者の連続インタビューを行っている。

 第三回は、鈴木宗男(すずき・むねお)新党大地代表に語っていただきました。

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 三井環さん問題を取り上げたこのシンポジウム、楽しみに出席する予定です。

 いま、冤罪は大きな社会問題として取り上げられていると思います。三井環さんも、検察権力の被害者だと私は考えています。このシンポジウムを通じて、検察の強圧的で、「狙ったらなんでもあり」というフェアでない捜査について、みなさんに聞いていただきたいと思っています。

 また、今回の取り組みが「取調べ可視化」の実現に向けた一歩になってほしいと考えています。たとえば、総務省などでの記者会見について、フリーランスの出入りはOKになりました。官邸もそれに続こうとしています。そんななか、検察だけが記者会見を公開していない、という問題をぜひ指摘したいです。

 加えて、三井さんは元検察の立場から、リーク=(捜査に)風を吹かせる、ということがあったと述べています。この真意についても、みなさんに分かっていただけるように水を向けるつもりです。

インタビュー映像[Infoseek 内憂外患]
↓ ↓ ↓
「小沢VS検察」その報道は何だったか「取調べ可視化」の実現に向けて
http://opinion.infoseek.co.jp/article/769

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■シンポジウム詳細

【出演者】
三井 環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
上杉 隆(ジャーナリスト)
青木 理(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
安田好弘(弁護士)他

【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)

【日時】
2010年2月26日(金)18時~21時[開場17時45分]

【会場参加申し込みURL】
http://www.tsukuru.co.jp/

※生中継は「Infoseek 内憂外患」で放送します!
http://opinion.infoseek.co.jp/

小沢民主党幹事長、長崎県知事選について述べた定例会見全文

昨日22日、民主党本部でおこなわれた定例会見で小沢民主党幹事長は、長崎県知事選で民主党(与党3党)が推薦した候補が敗れたことについて記者からの質問に答えた。

以下は、記者会見の全文になります。

※小沢幹事長の返答はほぼそのままですが、記者の質問に関しては一部要約しています。

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[進行役]

みなさんたいへんお待たせをいたしました。ただいまから小沢幹事長の記者会見を始めます。まず、小沢幹事長の方から。

[小沢幹事長]

僕はいいです。

[進行役]

幹事長の方からはございませんので、みなさんがたのご質問を受けます。

<質疑応答>

─ 菅財務大臣が3月にも消費税についての議論を始めるという考え方を示されましたけれども、参院選に向けてこらから党内でマニフェストを作成していくうえで、こうした消費税の引き上げについては、どのように議論を続けていくべきだと考えていらっしゃいますでしょうか?

直接うかがったワケじゃないので、発言についての論評はできませんけれども、政策論議は原則として政府内閣でやるということでございますので、もちろん、その消費税の問題だけじゃなくて、高島筆頭が中心になって、政策会議についての本来の機能をはたしてないじゃないかという議論が党内であって、それがその政調うんぬんという話にすりかわっているのだと思いますので、政策会議を実際に、いわゆる、次の内閣の野党の時はシャドーキャビネットが政策政務調査会、と、名前が違うけど同じことだったワケですが、それが現実の内閣になって、じゃあ政策会議というものを、みんなの意見の吐露する場と、政府に対していろいろ要請したり議論したりする場にしようということでスタートしたワケで、そのことをもっと機能を強化して本来のみんなの要望にこたえ、本来の目的に沿うようにやろうということで、明日、政府側と、今後どういう風な運営・運用をしていくかということについて話し合うことになっていると聞いておりますので、具体的には高島筆頭はじめ、明日の会議以降でいい知恵が出ればいいと思っております。

─ 国会ですけれども、自民党が小沢幹事長の国会招致を求めて今審議拒否をしておりますけれども、小沢さんご自身が国会の場に自ら出て説明するお考えがあるかということと、こうした国会の状況について、どのようにお考えになりますでしょうか?

基本的には国対(国会対策委員会)を中心にして、与野党で話し合いを進めながら国会運営をやっていることと思いますので、その話し合いにお任せしていきたいと思っております。それから、自民党だけが審議拒否という形をとっておるようでございますけれども、それについても、なんとか、そのようなことをしないで、実質的な議論をやっていこうという努力をしておるようでございますので、できるだけ早期にそういう状況が解決されることを望んでおります。

─ 昨日投開票の長崎県知事選挙で、民主党推薦の候補が敗れました。今日の総理の発言の中でも「政治とカネ」が影響したのではないかという見方をされていますが、幹事長ご自身は敗因はどこにあったとお考えでしょうか?

長崎県知事選挙につきましては、かなりの大差で負けてしまいましたことは、たいへん残念に思っております。わたくし自身の不徳の致すところで、いろいろみなさまにご迷惑をかけたことについてはたいへん申し訳なく思っておりますし、それがけっしてプラスの要因に働いたハズはないので、どのような状況でも自民党に勝つようになるには、それなりの個々の議員も全て足腰の強いものに、いわゆる有権者との信頼関係をよりいっそう強めていかないと、地方議員の数を見てもお分かりのように、圧倒的にまだまだ自民党が多いワケですから、そういう意味での草の根の日常活動をもっと続けていって、地方の選挙でも、また、どのような状況下にあっても有権者の支持を得られるような、そういう政権党になってゆかなければならないと思っております。

─ 陸山会の政治資金問題についてお尋ねしたいんですけれども、小沢幹事長は以前、事務所の不動産問題があった2007年2月ごろの会見以降、事務所費等含め中身に関しては全て公表するのが重要で、そのうえ、あとは国民が判断するものだとおっしゃっていたと思いますが、今回の問題に関しては、小沢幹事長が虚偽記載に関与しているか関与していないかというのは別にしても、おっしゃっていたこととは全く違う状況になっていると思います。この問題に関して「形式的なミスだ」というおっしゃり方を一貫してされていますが、実際ミスといういうのはあたりまえですが、過失の話であって、今回の件で言うと21億円あまりという巨額な虚偽がおこなわれていたワケであって、幹事長がおっしゃるミスというのは、問題の事実を矮小化(わいしょうか)して、ある意味"開き直って"いるようでおかしいと思われるのですが、その点に関してどうでしょうか?

読売新聞の判断は判断としてけっこうでございますが、わたくしは別に開き直ってもいませんし、隠そうともしておりません。しかも、検察の捜査の対象になりまして、結果として、そのような不正な事実はないということが明らかになったワケでありますので、わたくしとしては、今、君が言うような形でわたくし自身が、なんか、意図的に、あるいは、おかしな考え方を持っているという風には思っておりません。

─ 鳩山総理が18日に、小沢幹事長に電話をして、お互いにもっと政治とカネの問題で国民に説明をしようじゃないかと呼びかけられたと表明されました。今後、こういった総理の言葉を受けて、どういった場で国民に説明をしていかれるご予定でしょうか?

わたくしは全部、報告書に記載して公開になっておりますし、今もお話し申し上げましたとおり、全ての資料・情報も捜査の対象になって調べた結果が今出ておるワケでございますので、何も隠すことはありません。全国これからもまわっていきたいと思っておりますので、その機会で疑問があれば答えていくということだろうと思います。

─ 参院選のマニフェストについておうかがいしたいのですが、今月中には全国で公認を決めたいということなんですけれども、参院選を戦うマニフェストはいつごろまでにまとめるのかということと、前回までの衆院選マニフェストの継承・修正、どういった形でのぞむのかという方針を現時点でお聞きできますでしょうか?

マニフェストは政党と国民との約束ですから、その意味では選挙戦を通じての責任は民主党政党にマニフェストについてはあるワケですけれども、現実に政権になっておる政党でございますので、政府与党共十分な打ち合わせをしたうえで作り上げていくということが実態としては必要だろうと思っております。ただ、時期についていつかどうかというのは、今後それに関する検討の場がもうけられる予定になっておりますので、そこで議論され選挙に向けてマニフェストの作成をしていくことになるかと思いますが、基本的な考えは衆院選のマニフェストと大きく変わるハズがないので、それを前提としながらの、たぶん、作業になるんだろうと思いますけれども、常識的に言って、選挙の公約ですので、常識的な時期に打ち出すということだろうと思います。

─ この間、民主党系の会派が参議院で過半数を確保するという状況になっておりますが、今後の社民党との関係についておうかがいしたいのですが、選挙協力等、まだ社民党の協力がなければ民主党の勝利が難しいというところもあるかと思いますが、今後の関係についてはどのようにお考えでしょうか?

この問題もいつも申し上げておりますように、政党である以上、ましてや政権政党である以上、常に選挙戦では過半数を目指して戦うというのが当然のことだろうと思っております。しかしながら、社民党・国民新党・新党日本各党が協力して衆参戦ってきたワケですし、今連立も組んでおります。したがって、過半数を目指すということとその連立うんぬんというのは、別な問題でございまして、現実に7月におこなわれるであろう参院選については、社民党・国民新党共、十分協力関係を密にしながら、候補者の選定やら選挙に向けての活動を続けていきたいと思っております。

関連記事
長崎知事選は自民系中村法道氏が当選
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2010年2月22日

海江田万里:64年ぶり借金が税収を上回る予算

民主党衆議院議員の海江田万里(かいえだ・ばんり、選挙対策委員長代理)氏が、ご自身のメディア、【海江田万里の政経ダイアリー】2010.2.22号の「海江田万里の経済熱線」で、

日本の今の財政事情を述べたうえで、「借金も多いが金融資産や固定資産も多いわが国」「借金返済に充てるために資産の有効活用が必要」

という提言をされていますので、全文転載いたします。

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2010年度の予算では、92兆円の歳出規模に対して、税収は37兆3960億円で、いわゆる埋蔵金を10兆6000億円取り崩しても、残りの44兆3000億円余りを国債の新規発行に頼らざるを得ない状況です。これによって2010年度末の国債の残高は約637兆円になり、GDP比で134%になります。

国の借金を表すには国債の他のいわゆる長期債務残高があります。このケースでは地方の債務残高も結局は国が面倒をみなければならないために、合計して国と地方の長期債務残高という形で表しますが、これは2010年度末で、862兆円に膨れ上がって、GDP比181%にもなります。

わが国の国債の発行額が急激に増えたのは1998年の橋本内閣の時代からです。ちょうどアジアの経済危機があった直後で、この頃から毎年の国債発行額30兆円超過が当たり前の事態になりました(安部内閣の時期に一時的に30兆円以下に抑えることができたことがあります)。

2010年度の予算では、国債が税収を上回っており、最初からこうした借金過多の予算は日本が太平洋戦争に敗れた翌年以来、実に64年ぶりのことです。

その意味では、わが国の財政事情はまさに破たん寸前で、財務省は機会あるごとに日本の財政状況が危機的であることを強調し、消費税の増税を示唆しています。

★ 粗債務残高と純債務残高の違い ★

もちろん、私も現在の日本の財政状況が決して健全なものであるとは思いませんが、果たして財務省の主張をそのまま鵜呑みにしていいものかどうか考えています。

というのは、前述の国と地方の長期債務残高の862兆円というのは、正確に表現すると「粗債務残高」と呼ばれるものです。債務残高には、この他に「粗債務残高」から政府が所有している金融資産を差し引いた「純債務残高」があります。国の財政状況をストックで考える場合は、この「純債務残高」を利用したほうが正確と言えます。

国の「純債務残高」がいくらかといえば、財務省が公表している『国の財務書類・一般会計・特別会計』によると、2007年度末(2008年3月31日)の時点で、現金・預金、有価証券の合計は136兆6000億円ありますから、当時の国と地方の長期債務残高765兆円から、これを引くと「純債務残高」は628兆4000億円となってGDP比111%程度になります。

★ 国には250兆円の金融資産あり ★

国のバランスシートつまり『国の財務書類(2007年度末)』の資産の部を見て気がつくのは、現金・預金や有価証券の他に貸付金や出資金がそれぞれ190兆2000億円、57兆9000億円と大きいことです。

また、有形固定資産も180兆2000億円と巨額です。この中には道路や河川など売却できない資産も入っています。しかし、それを除いても、有効活用されていない国有地や国有財産がいくらもあります。

そうした国有財産の売却や定期借地での貸し出しなども考えられていいはずです。特に、貸付金や出資金は、特殊法人や独立行政法人などへの貸付や出資がほとんどですから、そうした法人の改革を行うことによって、かなりの金額を国の借金の返済に充てることができるようになります。

★ 金融資産や固定資産の有効活用を ★

負債の部の「公債」は675兆円に上っていますが、ここには建設国債と特例国債の残高520兆8000億円の他に財政投融資債の139兆9000億円が含まれています。

また負債の部には公的年金預かり金の140兆4000億円が計上されています。これは年金加入者が支払った年金保険料のうち積み立て分に回った金額で、資産の部に計上された預金や有価証券の原資になっています。

2007年度末で、資産から負債を引いた差額は282兆9000億円です。この数字を2010年度末の国と地方の長期債務残高862兆円と比べると借金が半分以下になっています。

それにしても国のバランスシートのデータが2007年度末と古いのが気になりますが、2010年2月現在で最新のものがこれです。国の予算の一般会計分の財務処理は2008年度末のものができていますが、一般会計と特別会計分を合わせた国全体の財政状況を見るデータが完成するのはもう少し時間がかかります。

こうした国のバランスシートを見て、解るのは、確かにわが国は借金も大きいが、金融資産や固定資産もたくさんあるから、それらの資産を有効活用する視点も必要だということです。

長崎知事選は自民系中村法道氏が当選

今年初めての知事選となる任期満了に伴う長崎県知事選が昨日21日投開票され、自民・公明党の推薦を受けた中村法道(なかむら・ほうどう)氏が初当選した。

与野党が対決する形となり、参院選の前哨戦的要素を含んでいた今回の結果を国民はどうとらえるだろうか。

ちなみに、昨年の衆院選は4選挙区全てで民主党公認候補が当選している。

報道のほとんどは、「鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の政治資金問題が影響」としている。

各候補者の得票数は以下のとおり...

有権者数:117万4280人、投票率:60.08%

中村法道(59、元副知事)316,603票
橋本 剛(40、元農林水産省改革推進室長)222,565票
大仁田厚(52、元参院議員)98,200票
押渕礼子(71、元県議)30,902票
深町孝郎(67、元共産党県委員長)21,291票
山田正彦(44、会社役員)6,634票
松下満幸(62、元会社員)2,889票

2010年2月21日

上杉隆氏が東京地検宛に送った「厳重抗議書」はその後どうなったのか?

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先日2月18日、「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」の出演者インタビュー企画で、ジャーナリストの上杉隆(うえすぎ・たかし)氏にお会いしました。

その際、前々から気になっていた「東京地検宛に送った「厳重抗議書」のその後」について聞いてみました。

以下、ほぼ発言されたままのテキストです。

-------------------------------------------

謝罪と訂正を要求しましたが、返ってきてないですよ、まだ。

[この件について何も起こらないのは]メディアが報じないからでしょう。

送りつけられたことは報じても、こちらから抗議文を送りつけたことは一切報じてない。

こちらとしては、今、向こうに投げたワケですから、「早く出してください」ということですね。

すぐ来ることはないですよ。

「一ヶ月経ちました...一年経ちましたけど、どうでしょうか?」という形で"武器"として持っておけばいいですよ。

こちら側にあるのならまだしも、現在相手側にボールがあるのですから、今動いてもあまり意味はないですね。

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上杉隆氏が東京地検宛に「厳重抗議書」を逆送付!
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/post_488.html

インタビュー:2010年2月18日(木)ANAインターコンチネンタルホテル東京

2010年2月20日

《出所後初講演》三井環:自浄能力のない検察

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 昨日19日、三井環(みつい・たまき)氏の出所後初講演が都内で行われた。会場には合計220名の参加者が足を運び、講演開始10分前には用意された席が埋めつくされた。

 「これを話さないと前に進まない」三井氏は講演の冒頭から検察の裏金問題と解決への道筋を語った。

 《THE JOURNAL》では度々取り上げているが、三井氏は2002年4月、検察の裏金問題をテレビで内部告発しようとしたところ逮捕された(詳細はNews Spiral「元大阪高検公安部長が18日、満期出所。さっそく検察批判を。」)。

 三井氏は検察が本来の使命を果たす組織になるためには「検察が裏金問題を謝罪し、使った金を返し、身体を清くすることから始めなくてはならなりません」として、

・千葉法務大臣が検事総長及び事務次官に対して行政上の指揮権を発動すること
・樋渡検事総長が裏金作りの有無を法務委員会の証人喚問で明らかにすること

でしか「自浄能力がない」検察は変わらないと2つの具体的な解決策を提起した。

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会場は臨時に設置された席も埋まり立ち見が続出した

 三井氏が「自浄能力がない」としているのは約8年間検察が裏金作りを隠蔽しているからだ。
「原田検事総長から歴代の総長及び法務省幹部は、平成13年11月からすでに約8年が経つのに検察の裏金づくりを隠し通している。警察の捜査費、地方公共団体の食料費の裏金づくりは公表された限度ではこれを認め、国民に謝罪し、使った金を国民に返還して処分者も出したのに...。検察のみがただただひた隠しにするのだ」(魚の目「三井環さんからの手紙」より)

 また講演の後半には小沢幹事長に関する元秘書の逮捕と2度にわたる本人への事情徴収について触れ、「あまりにも暴走しています」「なんらかの物証を握ってから初めて逮捕するものです」と強引な検察の動きを批判した。

 三井氏は2月26日の『シンポジウム「小沢vs検察」にみる検察と報道のあり方』に出演を予定している。当日共演する鈴木宗男新党大地代表が提案する樋渡検事総長との参考人招致について「今後の見所になる」と語った。

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 今回の講演会については主催者である「アジア記者クラブ」(※1)が毎月発行している会報『アジア記者クラブ通信』で全編を公開する予定。また、映像についてもDVDで販売を予定しているとのこと。なお『アジア記者クラブ通信』はメールにて入手が可能(問い合わせはアジア記者クラブHP:http://apc.cup.com/まで)。

※補注1 アジア記者クラブ:日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱えてフリーランサーや市民が集い17年前に結成した団体。会員数は、2009年5月1日現在で208名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月1回、勉強と議論の場を持ち現在までに200回以上開催している。

取材:《THE JOURNAL》編集部・写真:鈴木貫太郎

《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:元木昌彦

 今月2月26日(金)におこなわれる「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」を《THE JOURNAL》とInfoseek 内憂外患で生放送することになりました。

 編集部では、このシンポジウムの前哨戦として、個々の想いや意義を伝えていただこうと出演者に連続インタビューを実施します。

 第二回は、元『週刊現代』編集長:元木昌彦(もとき・まさひこ)氏に語っていただきました。

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 私はこれまで、篠田博之(しのだ・ひろゆき)氏と組んで、警察・検察・裁判所に関して「司法批判」をしてきた。今回もその一環になると思う。小沢と検察の問題については、安田弁護士らとは違った立場になると思うので、そこについて当日語りたい。

 「小沢VS検察」の最終戦争は、検察側の敗北という見方もあるし、強引な見込み捜査については、特捜部の暴走といわれる。しかし、やっぱり、最年少の幹事長として小沢氏を取り上げて以来ウォッチしてきた私としては、旧田中派の金脈や、ゼネコン裏金の構図の疑惑は間違いなく疑惑としてあると感じている。

 結果として起訴までたどり着かなかったけど、いまだに幹事長辞任を求められるのは、政治とカネの問題があるからだ。結果的に逃がした、で終わるのではなく、検察側が今回の一件で萎縮して、「巨悪を眠らせる」ようなことがないようにしてもらいたい。

 これまでは「巨悪が眠る」時代だったが、ようやくここにきて、(一連の小沢一郎氏の「政治とカネ」の騒動から)自民党・旧田中派の悪習を止められる機会だった。にも関わらず、「不起訴」によって検察の失敗と処理してしまうのはどうなのか......。

 検察批判は検察批判であるべきだが、どちらが勝った負けたということだけでなく司法不信の根本を変えなければならないところにきている。

 民主党はマニフェストに「取調べ可視化法案」をうたっている。そのうえ、昨年から開始した裁判員制度について、この法案が「成功か失敗か」を分ける重要な要素になると思う。

 冤罪の人は、検察の取調べの中で自白させられてしまうという。そうなると、調書を取られた段階で99%有罪なのに、それを裁判で覆すことは難しい。

 裁判員は法曹について、なんの勉強もしていないにも関わらず判決を下す。そうなると、裁判員が重大な判断をするとき、どのような取調べがされてきたか、という情報は公平な判決を出す上での貴重な資料になる。

 例えば、2月16日、大阪・西成で2007年5月に起きた放火事件の裁判で無罪判決がでた。捜査段階の自白の信憑性が疑われ、取調べの様子を録画したDVDなどが判決を出す上での重要な材料として利用された。これは裁判員裁判ではなけれど、裁判のあり方における大きな"事件"だ。

 検察の威信は地に落ちている。民主党はマニフェストで可視化法案を出しているのだから、早急に国会に提出すべきだし、これは小沢問題の報復というようなものではない。裁判員制度をより良い制度として運用するためには、可視化は不可欠だ。

 検察については、司法不信で彼らを追い込むことで、暴走しかねないのが怖いと思っている。検察エリートはやっぱり「自分が法律でありエリートだ」という認識が強い。挫折して、それを取り戻そうとする心が暴走を招く可能性は大いにある。今回の件も、政治的な話ではなく、そういう意識だと思う。

 世論は可視化に対して支持すると思う。たとえば、石川議員はどういう尋問をうけたのか、これについて公にできることは意味がある。

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 確かに検察もマスコミも堕落したかもしれないが、これは情報の戦争だ。検察からすれば、こういうときのために記者を記者クラブで優遇し、"飼っている"わけだ。昔からリークもあるんだし、「あなただけに教える」と言われて手に入れた重要情報を書かないような記者はひとりもいない。新聞はもともと権力の官報という"原罪"があるのだから、指摘されているようなリーク報道はある意味では仕方がない。

 一方で多様な言論があったのは、出版社系の雑誌だと思う。親会社である新聞に影響を受けなかったことが大きかったのだろう。新聞社を親会社にもつ雑誌の中でも、反検察の意見を押した「週刊朝日」はすごい。週刊誌の編集長というものは事件の推移を読み、「これ」と決めたものを追っているものだ。

 いずれにしても、今回の流れを「小沢と司法が対決して今回は小沢が勝った。それで終わり」という端的な構図にしてはならない。検察の不信を解決するためにも、聴取のなかで、こういう調べをして、こういう発言をもらい、この点を解明できなかった、という風にしなければならない。そうするための可視化が必要なのだ。これで検察不信も多少リカバリーできるかもしれない。

 可視化によって、真実を解き明かすのにネックになる、という意見もある。けれど、メリットとデメリットのどちらが大きいか、ということを考えないといけない。取調べの様子を撮って、いつでもみられるようにしておくだけでもいいだろう。公判で必要に応じて引き出せればいいわけだ。これが裁判員制度の成功の最上の方法だ。

 調書至上主義ともいえる現在、一部だけの可視化なんて意味がない。

 いまの司法はおかしいことがたくさんある。でもそれを少しずつ変えないといけない。裁判員制度がこのまま続けばちょっと怖いと私は感じている。死刑判決を出さざるを得ないものだってあるし、被告人本人が容疑を否認していることもある。

 こういう事件はプロの裁判官でも判断しづらいのに素人には相当難しい問題だろう。多数決で死刑判決を出したとしても、少数の死刑に反対している人も同じく「死刑判決を出した人」となる。これは相当の負担だ。疑わしきは罰せず、でいいはずなのに、いまの司法ではそうなっていない。

 公判前手続きで、検察のストーリーが提示され、裁判員にどう納得させるか、という話になっている。無罪を主張していて、無罪になるか......そういうことの解決のきっかけにしてほしい。

 小沢の無罪が決まったとは思わないけど、立証できなければ無罪なのだから。

関連記事
《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:篠田博之
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/vs_5.html
《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:鈴木宗男
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/vs_7.html

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■シンポジウム詳細

【出演者】
三井 環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
上杉 隆(ジャーナリスト)
青木 理(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
安田好弘(弁護士)他

【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)

【日時】
2010年2月26日(金)18時~21時[開場17時45分]

【会場参加申し込みURL】
http://www.tsukuru.co.jp/

※生中継は「Infoseek 内憂外患」で放送します!
http://opinion.infoseek.co.jp/

2010年2月18日

郷原信郎が原口総務相の検察の裏金調査発言について語る!

Live TV : Ustream

 元検事で名城大学教授の郷原信郎氏が、17日に行われた「第1回行政評価機能強化検討会」について、本日17時よりコメントを発表します。検討会では原口総務相が「検察の裏金」の調査を指示したことで話題となっています。そのほか、陸山会の政治資金問題の後半の見通しについても語る予定です。《THE JOURNAL》でもこのページで生中継をしますので、ぜひご覧下さい!(会見は終了しました)

※中継は現場の状況などにより急遽中止となる場合があります。あらかじめご了承のほどお願いいたします。

<テーマ>(予定)
◎第1回行政評価機能強化検討会について
 2月17日、総務省で開催された上記会合での郷原センター長(総務省顧問)の発言につ
いてコメントします。
 ○エレベーターに対する規制が国土交通省住宅局建築指導課の所管であることの不合
理性
 ○行政組織としての検察庁に対する行政評価
  ※行政指導、行政処分との連続性、整合性を有する行政法規の罰則適用の在り方、
システムの整備
 ○全省庁の記者会見の公開性、説明責任の履行の程度の調査

◎年金業務監視委員会(2月25日第1回会合開催予定)
 郷原センター長が2月16日の大臣会見の際に公表された年金業務監視委員会の座長に
就任することになりました。
 この委員会の目的、今後の活動の方向性等についてコメントします。

◎陸山会政治資金問題
 ○2月4日の検察の不起訴の決定を受けての小沢氏の「公正公平な捜査の結果と受け止
めている」との発言について
 ○石川議員の離党と公判の見通し
 ※公認会計士細野祐二氏の「小沢氏からの4億円は『仮受金』であり政治資金収支
報告書不記載の事実はない」との見解について

2010年2月17日

特別企画:この国の正体(10)

 《THE JOURNAL》の過去記事をピックアップし、日本の権力構造をあぶりだす特別企画「この国の正体」。第10回は09年5月5日に掲載された高野孟編集主幹の「雑誌『選択』が示す「小沢続投論」への異常な反感 ── 名指し批判には答えない訳にはいかない」です。

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高野孟氏(THE JOURNAL編集主幹)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/05/post_253.html
「小沢続投論」への異常な反感 ── 名指し批判には答えない訳にはいかない」 2009年5月5日掲載

 会員制月刊誌『選択』5月号の連載コラム「政界スキャン」は、「『小沢続投』支持論に異議あり」と題して、民主党機関紙『プレス民主』4月17日号で田中康夫=新党日本代表と高野が並んで「小沢一郎代表続投」論を書いたことに対し、手厳しい批判を展開している。このコラムの筆者「地雷53」は大手新聞の政治記者の大御所であることが知られているから、新聞マスコミのあり方の問題として反批判させて頂く。

●マスコミは何故「ゼネコン献金」を総ざらいしないのか?

 コラムは、「田中の主張は...極端な小沢礼賛に終始しており、論争の材料にはなりにくい」と片づけた上で、「高野論文は一応は筋が通っている」として(有り難うございます、「一応は」と留保が付いているものの「筋が通っている」というのは書き手にとって最良の褒め言葉です)、次のように述べている。

「第1は検察ファシズム批判で、公権力の乱用に屈せず民主党全体で闘うべきだ、と[高野は]訴えている。検察批判はわからないではなく、今回も検察の悪い癖がでた面があるかもしれない。だが、検察が捜査している秘書の政治資金規正法違反事件と別に、いま問われているのは小沢による巨額の企業献金・蓄財に対する疑惑だ。それは、『何のために政治をやっているのか』という根源的な不信につながっている」

「検察批判はわからないではなく、今回も検察の悪い癖がでた」というなら、これは民主主義の根本に関わることなので、マスコミはまず検察批判を徹底すべきではないのか。ところがコラムはその「面があるかもしれない」と逃げた上で、そのようにちょっと問題がある検察が取り上げている小沢「秘書の政治資金規正法違反事件」と、「小沢による巨額の企業献金・蓄財に対する疑惑」は別のものだと規定し、前者よりも後者のほうが「根源的な不信」につながる重大問題だと言っている。その後者のほうを重視しない高野は間違っているという訳だ。

 マスコミが検察批判をしていないとは言わない。小沢秘書起訴の翌25日付毎日が社会部長名で「検察は説明責任果たせ」という解説を載せたのは画期的なことだった。が、目立ったのはそれ1つくらいで、マスコミが全体としてこの検察の横暴に立ち向かうという姿勢は見たことがない。

 検察が事件化した問題は言わば瑣末なことで、それと小沢が巨額な企業献金を受けて蓄財していた問題とは別だと?

 別扱いするのは構わないが、それだったらマスコミは、民主党だけでなく自民党などを含めて、「巨額な企業献金」を未だに受けている議員のランキング、その中で特に「ゼネコン」から、そして「西松建設」から、献金を受けている議員のランキングを示して、その個々に何か問題がないか総点検して貰いたい。その中で、小沢が企業献金、ゼネコン献金、西松献金それぞれについてランキング何位なのか、またその中身について疑惑の度合いはどれほどなのか、私も知りたいと思う。私は本当はそういうことを自分でシコシコ調べたいがそれだけのゆとりもない。マスコミは何千人も記者を抱えているのだから、普段からそういうことをやって、検察が何を(恣意的に)取り上げるかとは無関係に、警世するのが仕事なのではないのか。それをサボッていて、検察がたまたま小沢秘書の問題を取り上げたとたんに弾かれたように、巨額の企業献金を貰ってけしからんなどと言い募れば、小沢だけがゼネコンを含む企業から怪しい金を持っているかの印象を振りまくことになるのであり、そういう風だから検察の都合に合わせて誰かを(恣意的に)攻撃ターゲットにして捜査に協力する岡っ引き的な癒着体質を指摘されることになるのではないか。

 付け加えると、コラムが「企業献金・蓄財」と言っている、「蓄財」とはどういうことだろうか。言葉のニュアンスは「個人的蓄財」と受け取られる。私は小沢は個人的な蓄財には関心がないと思う。悪名高き小沢の師匠=田中角栄もさんざん「金権」と叩かれたが、彼も個人的な蓄財には関心がなかったと思う。恐らくこれは、小沢が政治資金として集めた金を使ってマンションを購入し、事務所や秘書の住宅として使っていたということを指すのだと思うが、そのマンションを貸したり転売したりして個人として利殖していたというならともかく、広義での政治目的のためにマンションを買って、それを政治資金団体の名義には出来ないから代表者である小沢の名前で登記することがあったとしても、それを「蓄財」と言うことは出来ない。コラムが「蓄財」と言うのは何を指してのことなのか。

●マスコミの「小沢辞めろ」の大合唱

「高野は『辞任せよ』の大合唱が続いている、と世間の付和雷同性に反発しているふうだが、合唱なんかしていない。この場面での小沢の挙動を世間はじっと凝視しているだけだ」とコラムは書いている。

 これは私の筆が足りなかった。「『辞任せよ』のマスコミの大合唱」と書くべきであった。確かに、世間は(後述のようにネット上は別にして)合唱なんかしておらず、むしろ醒めているが、独りマスコミだけは狂ったように反小沢の合唱を歌い続けている。それが問題なのだ。例えば、小沢秘書の起訴後、3月25日付各紙の社説の見出しはこうだ。

朝日:小沢代表は身を引くべきだ
毎日:説得力のない会見だった/検察は与野党問わず捜査を
読売:小沢代表続投後のイバラの道
産経:小沢氏続投は通らない
日経:小沢氏続投は有権者の理解得られるか

 毎日だけ取り出せば、同紙はさらに6日後の31日付社説「千葉・民主大敗/早く不信をぬぐい去れ」で、千葉県知事選の結果を「政治資金規正法違反事件と、小沢氏の続投表明など、その後の対応が影響したとみて間違いなかろう」と一方的に断定した上で、「やはり、ここは小沢氏が身を引き、早急に新体制を作ることではないか」と辞任を勧告している。4月5日付「社説ウォッチング」では「千葉県知事選などを受け、各紙は改めて社説で民主党を取り上げた。立場は異なるが総じて民主党への目は厳しく、小沢氏の続投を容認している社説は一つもない」と分析しつつ、「小沢氏は早くけじめをつけた方がいいというのが、毎日の基本的な立場だ」と強調した。

 社説以外でも、毎週月曜日掲載の山田孝男=専門編集委員のコラム「風知草」は4月に入って3週間続けて、「よほど恨みがあるのか...と冷やかされることがあるが」と自分でも断りながら小沢批判を繰り返している。20日付の松田喬和=専門編集委員の「政治の"いろは"」 も「『政治家小粒論』に拍車」と題して「小沢の続投は政権交代の好機を逸しかねない」と書いた。岩見隆夫は『サンデー毎日』4月19日号のコラムで「再びぶざまな姿見せるな、小沢さん」と呼びかけた。

 こういうのを大合唱と言うのではないのか。大合唱しているのはマスコミであって、そのことをマスコミ自身が「変だ」と自覚していないことが危機的である。

●ネットでは「小沢辞めるな」の声が圧倒

 世間は反小沢の合唱なんかしておらず、ネットで見る限り、反小沢どころか親小沢の合唱が起きている。しかもそれは「親小沢」という単純なものではなく、小沢の限界を百も承知の上で、それでも小沢を押し立てて政権交代を実現すべきであるという、極めて質の高い意見の集積で、世論の健全さはむしろネットに表れていると言える。

 それはTHE JOURNALの高野、田中、山口などの記事に対して書き込まれた読者コメントを見れば一目瞭然だが、他にも例えば「小沢一郎ウェブサイト」の中の「掲示板・投稿」→「ご意見・投稿」には、「小沢さんを支持している国民は本気で、というより必死で、応援していると思います。絶対にあきらめないで下さい」(茨城、自営業、40歳代)といった熱い支持が2万通以上も集中している。

※小沢一郎ウェブサイト:https://www.ozawa-ichiro.jp/

 他方、政治に関心ある比較的若い層が集まる「Yahooみんなの政治」でも、小沢頑張れ論は主流で、4月30日に始まった「主な民主党議員の中で、これからの同党のリーダーとして最もふさわしいと思うのは?」というアンケートには5月5日現在2805人が投票し、57%が「小沢一郎」と答えている。

※Yahooみんなの政治:http://seiji.yahoo.co.jp/

 このように言うと、ネットで書き込みをするのは若い層が中心で、しかもマニアックな連中が多いんだろうと言った偏見に満ちた声が聞こえてきそうだが、小沢サイトに投稿している人々の年齢層を見ると、50〜60歳代が中心で70歳以上も少なくない反面、40歳代はそう多くなく30歳代は稀である。小沢支持者に高年齢層が多いことが分かるが、それにしても、60歳代や70歳以上の人たちまでがネットを通じて「小沢負けるな」の意見を競い合うように表明している様子は新鮮に映る。

 またこれは、THE JOURNALなどへの投稿にも共通することだが、この事件が起きるまで「特に政治に関心がなかった」り、「小沢はむしろ好きではなかった」りした人たちの投稿も少なくない。小沢サイトへの投稿の中に「小沢さんは分かっていると思いますが、今となっては、インターネットでの書きこみは無党派層の人たちも参加しています。マスコミの小さい範囲での世論調査などより民意が読み取れるのです」と書いた人がいるが(北海道、会社役員、40歳代)、そのように、必ずしも前々からの小沢ファンでも民主党支持者でもなく、無党派ないし政治的無関心層までもがが、検察の横暴とマスコミの堕落に危機感を持ってネット世論の形成に参加してきていることが窺える。

●世論の"量"と"質"

 上の投稿者が「ネットでの書き込みは...マスコミの小さな範囲での世論調査などより民意が読み取れるのです」と書いているが、ここが1つのポイントである。

 マスコミの世論調査は、それなりに学問的に裏付けられた(と思われている)方法によって行われるけれども、そのサンプル数は数千程度にすぎない場合が多い上に回収率が低く、また別に答えたい訳でもなくその準備もない人にいきなり質問を浴びせて無理にでも答えさせるのであって、そこで採集できるのは言わば「受動的な世論」である。しかも、前稿でも述べたように、設問の表現や配列、質問前の説明の仕方、念押し・重ね聞きなどによる無理矢理の括り方等々によってマスコミにとって都合のいいようにバイアスをかけられやすい。そういうことが仮になかったとしても、しょせん世論調査が示すのは「賛成?%、反対?%」という"量"であって、例えば「小沢続投賛成」と言っても、それぞれの思いや微妙なニュアンスは一切反映されない。

 それに対してネットの掲示板では、投稿者は自分から意見表明に相応しいサイトを探してアクセスし、単なる賛成・反対でなく自分なりの論理を立てて思いを込めて書き込むのであって、それは「能動的な世論」であると言える。しかもサンプル数は、サイト管理者が制限でもかけない限り、事実上、無限である。またネットの書き込みの1つの特徴として、例えば「小沢辞めるな」という論調がひとたびサイトの一角に出来るとそれに賛同する似たような意見が殺到して、それに対する反論が出て大討論になることは滅多にない。誰もが自分の思いを書き込むのに相応しく、また話が通じやすいレベルのたくさんの人たちに読んで貰えそうな場所を探し求めているし、反対論の人はそこで口を挟んで袋叩きに遭うようも、別の自分と似たような意見が多い場所に行って発言した方が盛り上がるから、見ただけで黙って去っていくので、そういうことが起こりやすい。それはそれで問題で、もっと普通にネットの各所で生産的な議論が湧き起こるようにならないものかとは思うけれども、それはともかく、その特徴のためにネットでは世論は"量"として%で把握されにくい反面、"質"を汲み取ることが出来る。

 こうして、マスコミ世論調査では「小沢辞めろ」が60〜70%に達するのに、ネット世論ではむしろ正反対の意識の流れが表現されることになる。サンプル数が少なく限定された中から汲み出された受動的な世論を"量"として掴むのと、サンプル数が事実上無限である書き込みの中から能動的な世論を"質"として捉えるのと、どちらが正しいかと言い切ることはまだ出来ないが、少なくともネット世論の"質"を無視すると致命的に状況判断を間違えかねない時代が到来しつつあるのは事実である。検察もマスコミの大勢も民主党内の反小沢派もみなそこで判断が狂ってしまった。

 余談ながら、このマスコミ的世論とネット世論のギャップに、さすがの新聞も「このままではまずい」と思い始めたのかと思わせる兆候が、朝日の投書欄に現れている。4月27日付に出た「西松献金巡る4つの疑問」という東京都八王子市、61歳の投書は、朝日の21日付の小沢辞任を促した社説に「反対である」として、(1)検察の強引な捜査、(2)マスコミの権力批判を忘れた「大本営発表」的な報道、(3)それをうのみにした国民が「ワルの小沢」と思ったこと、(4)ゼネコン献金というが自民党は企業や業界から民主党の10倍も貰っている、の4点を疑問として提出、「私は28%の小沢続投の意見に賛同する」と結んでいる。5月4日付には「新聞の軸足は市民に置いて」と題した岩手県陸前高田市、68歳の投書が載り、上述の投書に同感しながら、この問題で朝日新聞は独自の調査で本質をえぐるような記事を見受けなかったと批判、「それに比べて、親子関係にある週刊朝日は当初から検察の強引な捜査に疑問を呈する論陣を張った。...権力に迎合しない編集姿勢は市民の側に軸足を置いているからだ」と週刊朝日に拍手を送った。いずれも、ネットでは当たり前の議論だが、それを新聞が投書欄とはいえ載せるようになったのは、1つの進歩かも知れない。

●何のための「改革」なのか?

 『選択』に戻って、コラムは次に、高野が「検察が粗暴な行動に出た背景には、『明治以来100年間の官僚支配を打破する革命的改革』を呼号する小沢代表への恐怖心があるに違いない」と書いていることについて、次のように言う。

「確かに官僚機構は政権交代に不安感を抱いているだろうが、小沢続投に反対する世間は官僚とほとんど無縁だ。小沢は改革者の資格があるか、と世間は疑っている」

 うーん、ここはちょっと論理が混濁していてよく理解できない。いま政権交代を通じて行われるべき革命的改革とは、明治以来100年余の、官僚が実質的な権力を握ってこの国を動かし政治家はただそれに随伴しておこぼれ頂戴のような無様な態度を演じてきた、発展途上国丸出しの支配体制を爆砕することである。世間の大勢は、そのような革命的改革の端緒を切り開くのは、資金面でクリーンかも知れないが屁理屈ばかり言っているようなヤワな指導者では到底無理で、仮にその面でクリーンかどうかは疑わしくとも官僚体制の表も裏も知り尽くして一流の剛腕を用いてダイナマイトを連発で仕掛けてくれるはずの小沢こそ「改革者の資格」があると思っている。

 ところがこのコラムは、まず「世間は小沢続投に反対している」と誤解している。その原因はたぶん、上に述べたような意味での世論の"質"が読めていないからだろう。その上で、世間が反小沢なのは、別に官僚に頼まれたり吹き込まれたりしてそうなっているのではなくて、何よりも資金面でクリーンでないと改革者は務まらないという基準で純粋にそして正しく判断しているからだと言いたいらしい。繰り返すが、世間は反小沢ではなく、官僚体制を爆砕して貰いたいと思っている人ほど親小沢であって、その際クリーンかどうかなどと言う判断基準を少なくとも最優先する人はいないのではないか。

 コラムはさらに、高野が「そもそも小沢一郎という政治家を清廉潔自のクリーンな人だと思っている人は、失礼ながら、誰もいない。田中金権政治の直系の秘蔵っ子という過去については誰知らぬ者もない。しかし、過去の政治を知り尽くしているがゆえにそれを最もラディカルに否定できるというのが小沢という政治家の面白さであり、そこにこそ彼の破壊的なエネルギーの源泉があるのであって、そのことを民主党の皆さんはもちろん国民の多くも百も承知で、彼に政権交代への道を切り開く役目を託してきたのではなかったのか」と述べている部分を引用して、次のように言う。

「小沢の『面白さ』について異論がある。過去を知り尽くしているがゆえに、と言うが、知り尽くすことと過去の体質を引きずっていることとは根本的に違う。引きずりながら破壊的なエネルギーを発揮できるとは到底思えない。過去を知っているのは結構だが、過去と訣別するけじめと勇気がなければ、次のステップは程度が知れている。今回の衝撃は、小沢の引きずり方が並みでないのを初めて知ったことだった。高野はそこを軽視している」

●小沢における弁証法

 確かに、過去の体制を知り尽くすことと過去の体質を引きずっていることとは違う。私も、出来れば小沢がここへ来るまでにその引きずりを清算しておいてくれれば(マスコミがブレて世間を惑わすようなことも起きずに)どんなによかったかとは思う。しかし、革命的改革のための政権交代が実現するかどうかの瀬戸際という今の戦略局面において、そのことは「根本的」でも何でもない。むしろ、過去を知るが故に何ほどか過去を引きずっているであろうことは多くの人々にとって想定内であって、コラムがその「引きずり方が並みでないのを初めて知った」とウブなようなことを言っているのは分からない。誰が「並み」で小沢の何が「並みでない」と言うのだろうか。

 これが93年で、自民党一党支配が金権腐敗の汚濁の中で自壊し、次に金権腐敗を打破して政治改革を推進する政権を作らなければならないという戦略局面であれば、そのことは「根本的」で、小沢のようなその点で疑いの残る人物を総理にする訳にはいかなかったし、小沢もそれを知っているからクリーンそうで爽やかムードの細川護煕を担いで自分は裏に回った。今はそれを争点とした政権交代をしようという場面ではないから、そのことは、出来ればそんな紛れの要素は予め除去しておいて貰いたかったけれども、しかし「根本的」ではない。「そこを軽視している」と言われればその通りで、私は重視しているポイントが違う。戦略局面の認識が狂うと、根本的なこととそうでないことの見分けが付かなくなって、このコラムのような判断軸の大きなブレが生じるのである。

「過去を引きずりながら破壊的なエネルギーを発揮するとは思えない」と言うが、それはやってみなければ分からない。現に既に小沢は、過去を引きずってきたことの非を悟ったためだろう、ゼネコンからの献金禁止という民主党の過去の及び腰のテーゼを一挙に乗り越えて「企業・団体献金の禁止」を選挙公約に盛り込むよう党に指示した。自民党政権では全く起こりえないこのような決断は「けじめと勇気」ではないのだろうか。過去の引きずりが重いだけにそのフックが外れた時に前へ飛んで行く弾け方もまた大きい、というふうに、弁証法的ダイナミズムにおいて小沢を捉えることは出来ないのだろうか。そのように見れば、政治はもっと「面白く」なると思うのだが。▲

特別企画:この国の正体(9)

 《THE JOURNAL》の過去記事をピックアップし、日本の権力構造をあぶりだす特別企画「この国の正体」。第9回は09年5月7日に掲載された山口一臣氏の「民主党に民主主義を守る気はあるのか」です。

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山口一臣氏(週刊朝日編集長)
「民主党に民主主義を守る気はあるのか」 09年5月7日掲載
http://www.the-journal.jp/contents/yamaguchi/2009/05/post_65.html

 新聞の解説記事などによく出ている話ですが、ホンネを言えば、民主党の国会議員で小沢一郎代表の続投を支持しているのは2割ほどで、残り8割は辞任が妥当だと考えているそうです。腐った政党だと思いました。そんなに自らの保身が大切なのか。

「辞任すべき」の理由は、「小沢が代表のままでは選挙に勝てない」ということのようです。それはついこの間まで自民党議員が言っていた「麻生おろし」の論理とまったく同じではないでしょうか。自民党政治を否定して、政権交代を目指そうという政党の言うこととは思えません。

 もっと重要なのは、小沢代表の辞任は民主主義の否定につながりかねないということです。

 民主主義とは、私がこんなところで講釈するようなことではありませんが、人民主権による政治体制のことですよね。主権者たる有権者の自由意思による投票によってのみ、政権選択が行われる社会をいうのではないですか。しかるに今回の事態は、邪悪な動機に基づく恣意的な国家権力の行使によって有権者の意思がゆがめられ、それまでとは違った世論形成がなされるという、とんでもないことなのです。これを放置するということは、すなわち人民主権を否定して、検察主権、国家主権を容認するということにつながります。民主党は党として、これを是認するというのでしょうか。

 いやしくも党名に「民主」を掲げている政党の議員がこんな簡単なことがなぜ、わからないのか。いや、わかっていならがあえて目をつぶっているのかもしれません。

 民主党が選挙に勝つかどうかは、現職議員や候補者にとっての最大関心事かもしれませんが、それはあくまでも民主党の「私」のこと。これに対して民主主義が否定されるかどうかは「公」のこと。民主党議員が「公」である民主主義の危機よりも、「私」である自らの当落を優先しようとしているだけのことかもしれません。政権交代ができるかどうかは、「公」の問題かもしれませんが、こんな単純な民主主義の危機にさえ立ち向かおうとしない政党に政権交代してもらっても、まったく意味がないと思います。

 民主党は民主主義を守る気があるのかないのか、選挙までにはっきりさせてもらいたいと思います。

 また、民主党の党内には「検察批判=小沢擁護」との認識があるようですが、誤認です。そんな小さな話ではありません。私個人についていえば、インタビューなどで小沢代表に会ったことはありますが、取材対象として以上の好悪の感情はありません。小沢一郎という政治家個人の政治生命や権力のあり様などには、まったく興味がありません。それは小沢代表にとっての「私」のことだからです。それに対して、小沢秘書の不当逮捕に見られる捜査権の濫用は明らかに「公」ごとです。検察の不当捜査がなければ、小沢代表が続投しようが辞めようが、そんなことは知ったこっちゃぁありません。それは民主党の「私」ごとで、私にとってはどうでもいい話だからです。ただ、繰り返しになりますが、しつこくこの問題にこだわっているのは、これは民主党や小沢個人の問題ではなく民主主義に対する重大な脅威だと感じるからです。

 しかるに民主党内には、「小沢代表が検察と戦うのは勝手だが、党を巻き込まないでほしい」という声があります。まったく理解できません。民主党の国会議員(民主党に限らずですが......)は民主主義の危機に対してあまりにも鈍感です。外野から見る限り、民主主義の危機という「公」の論点よりも、小沢代表への好悪という「私」的感情を優先させているように感じます。

 はたして、そんな政党に政権をまかせてよいものでしょうか? もし民主党が感情を優先させ理を外すような人たちの集まりだとしたら、危険です。

 次いで、民主党の政権担当能力というか政党力について考察します。

 政党の存在意義は、単に政策を立案することだけでなく、その政策に民意を糾合させて実現していくことにあると私は考えます。自らが真に必要であると信ずる政策なら、たとえ選挙に不利でも訴え、納得してもらわなければならないこともあります。そのために必要なのが、説得力のある言葉です。この説得力のある言葉を紡ぎだす能力、説明能力の差が、結局は政党力の差、政権担当能力の差になるのではないかと思います。

 今回の一件で、民主党はその能力が著しく劣っていることが露呈しました。なぜなら、小沢代表の秘書逮捕からかれこれ2カ月以上経っているにもかかわらず、世論調査の「小沢辞任すべき」の数字が減らないからです。小沢代表がなぜ辞めてはいけないか、検察の捜査がいかに不当なのものかを説明するのは、極めて単純なロジックでできます。とくに検察の捜査の失敗は明白なので、まじめに支持者を説得しようと思ったらできないはずがないはずです(実際に政権を取ったら、もっと複雑で面倒くさいことを国民に説明し、納得してもらわなければなりません)。

 それができていないのは、能力がないか、やる気がないかのどちらかです。やる気がないならまだマシですが、能力がないのなら、政党としておしまいです。ジャーナリストの上杉隆氏が週刊朝日(5月8日号)で書いていますが、「ど~なる!?小沢民主党」をテーマにした「朝まで生テレビ」(テレビ朝日=3月27日)では、放送終了後、番組独自に行ったアンケートで(小沢代表は)「辞めるべき」が3割を切り、「辞めるべきではない」という意見が6割超と、番組冒頭で紹介された世論調査とまったく逆の結果が出る現象が起きました。原因は、出演した上杉氏と元検事の郷原信郎氏の「説得力のある言葉」でした。

 郷原氏は、今回の事件での政治資金規正法の適用は極めて恣意的で、そもそも政治団体からの寄付行為は違法には当たらないという見解を示し続けました。上杉氏は、かつての取材経験から、小沢事務所の政治資金はむしろ透明性が高く、政治団体を迂回先に使っている自民党議員の方が悪質である点や、新聞報道の不公平さなどを指摘しました。番組には与党である自公議員も出演していて、両氏の主張に疑問の声をはさんだりもしていましたが、結局、視聴者の軍配は両氏の側に上がりました。

 何が言いたいのかといえば、今回の一件は、多勢に無勢の中、わずか3時間の説明でいとも簡単に「世論」を逆転できるほどわかりやすい話だということです。ならば、200人以上の国会議員を擁する民主党が一丸となって説明すれば、簡単に理解されるはずなのです。最近は議員がメルマガやブログを使って情報発信する時代です。こんな簡単な説明をなぜやらない、できないのか。能力とやる気がないとしかいいようがありません。

 もうひとつ不思議なのは、党内に「代表の説明責任うんぬん」という話がいまだに存在していることです。これは、説明能力の前に、理解能力が欠如していることの証だと思います。ものごとを正しく理解できなければ、それを説得力のある言葉で説明することもできません。私は現場にいたわけではないので、あくまで新聞などで読む限りですが、小沢代表の説明は秘書の逮捕直後から一貫していてブレがなく、十分だとの印象があります。民主党が小沢代表の「説得力のある言葉」を理解できないほど、非論理的人間の集まりだとしたら、政権担当以前の問題ではないでしょうか。

 以下、週刊朝日(5月15日号)に掲載した「サルでもわかる『小沢が辞めてはいけない』理由」を引用します。

(1)検察の法解釈が間違っている:すでに多くの識者が指摘しているように、小沢代表の公設秘書は政治資金規正法の趣旨にのっとった形で政治資金の処理をしていたにもかかわらず、検察は突如、何の説明もなく法の解釈を変えて強制捜査に踏み切った。純粋な法律論で言えば秘書は無罪になる可能性が高い。

(2)小沢代表の主張の正しさが証明された:秘書の逮捕直後から、事件は小沢代表を容疑者とした贈収賄などの大疑獄事件に発展するかのような報道が続いた。小沢代表は当初から「そのような事実があれば、どのような処罰も受け入れる。しかし、私はない」と主張していた。日本最強の捜査機関が全国から応援検事を集めて徹底的に調べ上げたが、結局「そのような事実」は出てこなかった。

(3)民主主義の根幹にかかわる問題だから:世間には「小沢vs.検察」の闘いに民主党を巻き込むべきでないとの意見があるが、これは「小沢vs.検察」ではなく、「民主主義を守る」か「検察の恣意的捜査を許す」かの闘いである。

 小沢氏が党内ですでに「説得力のある言葉」で説明し終えている以上、あとは所属議員が世論を説得に回るのが筋ではないでしょうか。

 あるいは、民主党議員の中には検察に睨まれたくない、何か特殊な事情があるのでしょうか。それとも、実はまだ表ざたになっていない、我々のまったく知らない小沢代表の大悪事があることを、民主党議員らだけが知っているのかもしれません(そんなことあるなら、早く表に出して辞めてもらった方がいいと思いますけど......)。

 もちろん、最終的な選挙戦術として、代表を代えるという選択がないわけではないと思います。ただ現段階で、民主主義を否定しかねない不当捜査を放置したまま「選挙に勝ちたい」一心での「小沢辞任論」が消えないようでは、政治改革などできないでしょう。

 考えてみれば、一昨年の参院選圧勝以降、民主党は浮かれ過ぎの政権亡者に陥っていたのかもしれません。目の前の「政権獲り」を優先するあまり、民主主義の根幹に関わる大事な問題をないがしろにしているとしたら最低ですね。まあしかし、民主党のそういう愚劣な一面が暴露されただけでも、今回の検察の恣意的捜査も少しは国民の役に立ったのかもしれません。まったく皮肉な話ですが......。

2010年2月16日

「小沢は悪い」と言うなら"何"が悪いかはっきりしろ

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 「小沢幹事長の"何"が問題なのでしょうか。主語がはっきりしない中でゴチャゴチャと報道しあっています。お金の出所が問題なのか、お金をたくさんもらっていることが問題なのか、『小沢は悪い』というなら"何"が悪いかをはっきりさせないと問題点がさっぱりわかりません」

 経済産業委員長をつとめる民主党・東祥三(あずま・しょうぞう)氏が、「政治家に訊く」の取材で小沢氏に関する一連の報道ついて疑問を投げかけた。

 東氏は90年に公明党から出馬・当選、94年の公明分党からは新進党の結成に参加し、その当時からの仲である小沢氏とは「言いたいことはわかる」間柄だ。インタビューでは「新進党時代には、社会が変わるためには一人一人の市民が頑張らないといけないという話を小沢さんとよく語った」と野党時代の思い出話を交えながら、現民主党政権の課題を話した。

 小沢氏の資金管理団体をめぐる事件の発生以降、小沢氏に関して口を閉ざす議員が民主党内に多かった。小沢氏の不起訴が決定した今、一連の報道や検察への批判の声が党内からも上がってくるだろうか。

映像をアップしました!
↓ ↓ ↓
【第25回】政治家に訊く:東 祥三
http://www.the-journal.jp/contents/politician/2010/02/25.html

【関連記事】
■小沢・民主幹事長:首相と会談、幹事長続投を確認 「説明責任果たした」

2010年2月15日

公認会計士の目から見た陸山会政治資金事件

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『公認会計士vs特捜検察』
日経BP社、細野祐二(著)

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細野祐二氏(公認会計士)

※新月島経済レポート2010年3月号 「政治資金収支報告書」より転載(無断転載自由)

【目次】
1.部分的単式簿記
2.仮受金の決済
3.政治資金収支報告書
4.邪推に基づく妄想
5.鳩山総理の偽装献金

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【1】部分的単式簿記

年明け以降一月間余りのメディアを席巻した小沢一郎民主党幹事長の政治資金規正法違反疑惑に、検察側からの回答が2月4日に出された。嫌疑不十分による不起訴処分である。事件の容疑で既に逮捕されていた小沢氏の元秘書で衆議院議員の石川知裕容疑者(36)、公設第一秘書の大久保隆規容疑者(48)、元私設秘書の池田光智容疑者(32)の三名は、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で起訴されたが、翌5日には全員が保釈保証金を積んで保釈された。

この大騒動は小沢一郎対地検特捜部の因縁対決と位置づけられ、
・ 小沢氏の出した4億円にゼネコンからの裏金が入っていたのではないか、

とか、

・ 特捜検察が捜査情報をマスコミにリークして世論誘導を行っているのではないか、

などといった風評が新聞紙上に乱れ飛ぶ事態となった。

新聞だけを見ていると、たちの悪いゼネコンからの贈収賄事件かと見紛うばかりであるが、ここでよくよく冷静に起訴事実を見てみれば、容疑は政治資金規正法違反(虚偽記入)となっている。事件では、単に政治資金収支報告書に対する虚偽記載が問題とされているに過ぎないのである。

ところで、政治資金収支報告書とは政治団体の収支に関する会計報告なのであるから、本来であれば、政治団体の収支の事実に基づく会計処理こそがここで問題とされなくてはならない。ところが、これだけ膨大なマスコミ論評の中で、会計処理の是非を論じたものなどただの一つも見たことがない。会計を論じることなく、よってたかってその会計報告書の是非だけを騒ぎ立てているのである。見るに見かねて已む無く、小沢一郎民主党幹事長の政治資金規正法違反疑惑の会計的分析を行なう。

新聞報道によると、石川議員は、大久保秘書らと共謀し、小沢一郎氏の政治団体である陸山会の2004年の政治資金収支報告書に、小沢氏からの借入金4億円、土地購入代金の支出約3億5200万円などを記載せず、収支総額に虚偽の記入をしたとされ、これが起訴事実となっている。そこで、起訴事実をめぐる資金移動を時系列に即して要約すると次の通りとなる。念のために言っておくと、現時点において証拠上明らかに認定できる事実は、これ以上でも以下でもない。

(1)石川議員は、2004年10月上旬、土地購入のため小沢氏から現金4億円を受領した。この中から、土地の手付金1千万円を支払い、残りは同月中旬以降、陸山会の複数の銀行口座に入金した後、一つの口座に集約した。

(2)陸山会は2004年10月29日午前、東京都世田谷区の宅地を3億5千万円で購入した。

(3)2004年10月29日の土地代金支払の数時間後、石川議員は、他の小沢氏関連の政治団体から陸山会に合計1億8千万円を移し、残っていた資金と合わせて陸山会名義で4億円の定期預金を組んだ。

(4)小沢氏は、この定期預金を担保に個人名義で銀行から4億円の融資を受け、同額を陸山会に貸し付けた。

(5)2007年に、陸山会は定期預金を解約し、4億円は小沢氏に返済された。

政治資金収支報告書の虚偽記載というのであるから、本来であれば、この資金移動の事実をどのように政治資金収支報告書に記載しなければならないかという会計上の正解がなくてはならないが、実はこれがない。信じがたいかもしれないが、検察官も正解を持っていない。なぜなら、現行の政治資金収支報告書では、単式簿記を前提とした部分的な会計報告書の作成が義務付けられているに過ぎないからである。

部分単式簿記においては、その記載範囲は自立的に決定できない。完全複式簿記であればここでの資金移動に対する会計処理は単一となるが、部分単式簿記では複数の会計処理が可能なのである。現行の政治資金規正法は部分単式簿記による複数会計処理の並存を認め、報告書における作成者の裁量余地を大きく残している。基準上裁量権の認められた会計処理に対して虚偽記載を主張するのは、一方の見解を強要することにより裁量権を否定するに等しく、これを無理して立件するのを国策捜査という。

そこで政治資金収支報告書の作成基準たる政治資金規正法を見てみると、その第12条において求められる政治資金収支報告書の記載事項は、政治団体の「収支とその他の事項」とされている。ここで「その他の事項」としては、不動産、取得価額100万円超の動産、預貯金、金銭信託、有価証券、出資金、貸付金、支払金額100万円超の敷金、取得価額100万円超の施設利用権、並びに、100万円超の借入金が限定列挙されている。すなわち、政治資金収支報告書で作成が義務付けられているのは、複式簿記を前提とした損益計算書や貸借対照表ではなく、単式簿記を前提とした収支と「特定の資産並びに借入金の明細書」だけなのである。

このような部分的な単式簿記では、例えば、預り金や仮受金などの「100万円超の借入金」以外の負債は記載する必要がない。また、資産についても、立替金や仮払金は記載しなくて良いと言うのであるから、これらの収支もまた記載義務がない。この事件では小沢氏の出した4億円の不記載が問題とされているが、仮にそれが借入ではないということであれば、現行の政治資金規正法上それを記載しないのはむしろ当たり前で、そもそもこれを政治資金規正法違反に問う事はできないという事になってしまう。

【2】仮受金の決済

政治資金収支報告書の作成基準を理解した上で、敢えて、本件の資金移動に対して完全複式簿記による会計仕訳を行うと次の通りとなる。

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一連の資金移動で最大の鍵を握るのは、2004年10月上旬に行われたとされる小沢氏から石川議員に対する4億円の現金の受渡しの会計処理にある。小沢氏の説明によれば、この金は、陸山会が東京都世田谷区の土地を購入するに際して当座の資金がなかったので、自分が一時用立てたものとのことである。事実としてこの現金授受には金銭消費貸借契約書も作成されていなければ、返済期間や金利の定めも一切なされていない。会計上、資金移動の最終形態が定まらないまま行われた資金移動は仮払金・仮受金として会計処理される。ならばこの4億円についての陸山会側の会計処理は仮受金でなくてはならない。ここで、政治資金規正法上、仮受金は政治資金収支報告書上の記載項目ではないので、陸山会の会計責任者としての石川議員は、この現金受領の会計処理を行なう必要がない。

さて、陸山会は2004年10月29日午前、東京都世田谷区の宅地を3億5千万円で購入し、その土地代金支払の数時間後、石川議員は、他の小沢氏関連の政治団体から陸山会に合計1億8千万円を移し、残っていた資金と合わせて陸山会名義で4億円の定期預金を組んだ。そして、小沢氏は、この定期預金を担保に個人名義で銀行から4億円の融資を受け、同額を陸山会に貸し付けたという。

小沢氏は4億円を陸山会に貸付けたと言うのであるから、そのときの4億円は小沢氏の金だったはずで、だから定期預金を担保にしてその4億円を銀行から借りたのも小沢氏である。そうすると、小沢氏が担保にした定期預金は一体誰ものかということになるが、ここで小沢氏は政治団体名義の定期預金をさも自分のもののようにして銀行担保に差し出し、借りた金はしっかりと自分の金にして政治団体に貸付けている。このことから、小沢氏がこの定期預金が実質的には自分のものだと思っていたことが分かる。そして石川議員もまた、この小沢氏の言動に何の疑問も抱いていないのであるから、政治団体側も、定期預金は実質的には小沢氏のものだと認識していたことになる。ならば、陸山会は、あの10月初旬に小沢氏から用立ててもらった4億円の仮受金を、この定期預金で決済(返済)したことになるではないか。

もとより仮受金は最終形態が未確定な資金移動を暫定的に処理する管理会計上の会計科目なのであるから、当然に短期間に決済されることが期待されている。この取引は、小沢氏の定期預金担保による銀行借入れに際して、陸山会の定期預金による仮受金の決済取引が行われたと解釈するのが相当であり、そのとおりに会計処理がなされなくてはならない。
ところで、石川議員は、4億円の定期預金による仮受金の決済取引を会計処理していない。仮受金そのものに政治資金収支報告書上の記載義務がないのであるから、その決済取引もまた記載する必要がないからである。そこで石川議員は、小沢氏が、定期預金担保融資後に改めて貸付けた4億円を、ここで初めて借入金として政治資金収支報告書に計上することになる。100万円超の借入金には政治資金報告書上の記載義務があるからである。石川議員の会計処理は現行の政治資金規正法の定めにまことに忠実で、部分単式簿記上、これを非難する事はできない。一連の資金移動について石川議員の行った会計処理を、これまた敢えて複式簿記で整理すると次の通りとなる。

(百万円)
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【3】政治資金収支報告書

平成16年から平成19年にかけての4年間の陸山会の政治資金収支報告書は次の通りであり、起訴事実はこのうち平成16年の報告書を問題としている。

資金収支
(千円)
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【4】邪推に基づく妄想

この報告書を見ると、小沢氏からの借入金4億円は平成16年の資金収支報告書の収入の部に見事に計上され、また、同年の特定資産・借入明細書には「借入金-小沢一郎」として記載されている。一方、世田谷区の宅地は、平成17年の特定資産・借入明細書に342百万円として記載されるとともに、同年の資金収支報告書中の事務所費415百万円の一部を構成している。

ここで不思議なことがある。例の小沢氏からの4億円の仮受金は陸山会の組んだ同額の定期預金で決済されたことになるにもかかわらず、そのあるはずのない定期預金が陸山会の特定資産・借入金明細書に計上されてしまっているのである。陸山会の平成16年の特定資産・借入金明細には、この年度の定期預金残高として4億7150万円が計上されている。

これが複式簿記を知らない(中途半端に)まじめな人の悲しいところで、石川議員は例の小沢氏からの仮受金をせっかく定期預金で返済して簿外化したにもかかわらず、年が代わって平成16年の政治資金収支報告書を作成する段になり、定期預金が陸山会のままで名義変更されていないことにハタと気がつき、これはマズイとばかりに、政治資金収支報告書に定期預金を計上してしまったのである。

小沢氏の個人資産を政治団体の資産として計上するというのであるから、当然のことながら政治団体の資産は4億円分だけ過大計上されて貸借が合わない。そこで、たまたま問題の世田谷の宅地の登記が12月末に間に合わなかったことを思い出し、ならばこちらも4億円近いので、定期預金をこの年度に計上する代わりに不動産を翌年回しにしておけばちょうど辻褄が合うと考えたのではないか?見よ。石川議員の経理処理は翌平成17年以降に見事に辻褄が合い、平成17年に4億円の事務所費が計上されるや、平成17年と平成18年にかけて4億円の定期預金は消滅している。

ここで石川議員に会計上の正解をお教えしておくと、小沢氏からの仮受金4億円が陸山会の定期預金により決済されているのであれば、定期預金の名義にかかわらず、この定期預金は実質的に小沢氏のものなのであり、実質的他人所有の資産は政治資金収支報告書に記載する必要はない。4億円の仮受金が簿外となった以上、この定期預金も簿外にしておけばよかったのである。そうしておけば、定期預金が満期になる都度、銀行が自動的に借入金と相殺してくれるので、石川議員もややこしい事務所費との遣り繰りなどしなくて済んだ。何よりも、こんなどうでもいいことを問い詰められ、その答えに窮するあまりまさか逮捕されることもなかった。

さて、石川議員の政治資金収支報告書作成をめぐる舞台裏が理解できたが、このことから我々は、二つの決定的な事実を知ることができる。石川議員は会計の基礎理解が決定的に欠けており、従って、石川議員に政治資金収支報告書虚偽記載の犯意を認定する事はできない。刑法上、罪を犯す意思がない行為はこれを罰することができない。(刑法第38条第1項)

ところでこの政治資金収支報告書における不動産は342百万円の取得価額として計上されており、これは実際の購入対価352百万円と10百万円合わない。10月初旬に10百万円の手付金を4億円の現金の中から支払ったためで、ここで4億円の仮受金が政治資金収支報告書上簿外となる以上、そこから支払われた手付金もまた簿外とならざるを得ないからである。簿外の仮受金から支払われた前渡金は、政治資金規正法による単式簿記では、固定資産の取得原価を構成しないことになってしまう。また、借入が平成16年で、宅地取得年度の平成17年とずれているのは、購入した不動産の登記が遅れたためとのことであり、こんな事は実務上よくあることで、だからと言ってこれが部分単式簿記上の問題となることはない。

さて、ここで起訴事実は、
「陸山会の2004年の政治資金収支報告書に、小沢氏からの借入金4億円、土地購入代金の支出約3億5200万円などを記載せず」
となっているのであるから、検察官の主張は次の2点に集約される。

・ 平成16年の資金収支報告書においては、小沢氏からの仮受金4億円を借入金として計上すべきであった

・ 平成17年の資金収支報告書に計上された世田谷の宅地の取得は、平成16年の資金収支報告書に計上されるべきであった

平成16年の資金収支報告書には、小沢氏からの4億円が借入金としてしっかり計上されているのだから、検察官は、この4億円とは別の、例の4億円の仮受金を問題としている。仮受金ではなく借入金だと言うのである。そんなことをすれば、この年の小沢氏からの借入金は8億円になってしまう。あの時は、同じ4億円が陸山会の周りをグルグル回っていたに過ぎないのであり、金が回転したからといって4億円の借入金が8億円に化けることなどあり得ない。既に論証したごとく、10月上旬の小沢氏からの4億円の現金受領は会計上の仮受金であり、仮受金は、現行の政治資金収支報告書上簿外とせざるをえない。これが法律上認められた部分単式簿記の限界なのであり、なく子も黙る東京地検特捜部といえども、ここに完全複式簿記の正義を押し付ける事はできない。

そこで検察官は、"4億円の現金があって不動産の購入資金が賄えるのに、なぜ利息を払ってまでわざわざ4億円の銀行借入をするのか"と疑問を呈する。

「それは、この現金が人には言えないいかがわしいものだからに違いなく、きっとそこにはゼネコンからの裏献金が含まれているに違いない。宅地の登記を遅らせたのも、4億円の裏金が表に出せないからで、平成16年の4億円の入金が表に出せない以上、同じ年の3億5千万円の出金も表に出せるはずがない。」

これを邪推に基づく妄想という。検察庁特捜部の妄想は、5千万円の裏献金という供述を水谷建設から引き出したが、裏づけとなる客観証拠がついてこず、これでは公判維持可能な証拠にはならない。仮釈放に足摺りする服役中の水谷建設幹部をシバキ上げてとった苦心の供述なのであろうが、特捜検察も、莫大な国費を使って無意味なことはやめたほうがいい。

もとより、不動産の購入資金があったからといって、それを使ってしまえば運転資金が枯渇するのであれば、どんな人でも借入れをしたいと思う。ここで支払われる利息など運転資金枯渇の恐怖に比べればものの数には入らない。運転資金確保のために利息を払っても借入をするというのは、きわめてまともな事業の常識なのであり、小沢氏は事業家としての常識をもって政治活動を行なっていたに過ぎない。そんな常識的借入に対して、「利息を損してまで借入をするのはおかしい」などと言いがかりをつけているのは、手厚い身分保障に生きる検察官には運転資金枯渇の恐怖が理解できないからで、ただそれだけのことであろう。

この事件の資金移動を会計的に分析する限り、石川議員以下の3名の被告人は証拠構造上圧倒的に有利であり、それどころか、政治資金規正法が部分単式簿記を前提としている以上、ここには犯罪事実そのものが存在しない。検察庁特捜部は、
「この手の事件では捜査はどうしても供述中心にならざるを得ない。」
などと意味不明の訳の分からないことを言っては、現職国会議員を国会会期直前に逮捕した。外部との接触を一切遮断した密室に21日間も監禁して朝から晩まで攻め立てれば、事実にかかわらず人は自白調書に署名する。足利事件で明らかとなったように、日本の捜査機関による取調べ技術をもってすれば、人を殺してなくとも、
「殺したのは実は私です」
などと、立派な自白調書が出来上がるのである。

当然のことのように石川議員以下3名は政治資金収支報告書の虚偽記載を認め、本件は自白事件として処理されることになった。石川議員たちが犯罪事実の存在しない自白調書に署名したのは、そうしなければ何時までたっても保釈が認められないからで、従って、公判が始まれば自白を翻すに決まっている。

ただし、残念ながら、今後の石川議員の裁判において無罪判決が出る可能性は悲しいほど少ないと考えなくてはならない。部分単式簿記による会計数値という客観証拠と矛盾していても、現行司法では検察官面前調書による自白には、なぜかほぼ絶対的な信用力を認められることになっているからである。石川議員はあの密室で取られた自白調書の嘘を自ら公判で立証するという、まさに前人未到とも言うべき難行に挑まなくてはならない。

【5】鳩山総理の偽装献金

事のついでに、ここで小沢幹事長の政治資金疑惑に先行して起きた鳩山総理の偽装献金問題についても言及すると、単に証拠構造だけを取り上げるのであれば、鳩山総理の偽装献金問題のほうがよほどたちが悪い。新聞報道によれば、鳩山総理の元公設秘書は、平成16年から平成20年にかけての5年間にわたり鳩山氏の実母から9億円の資金提供を受け、このうちの約1億円余りと、鳩山氏本人から得た2億5千万円の合計約3億6千万円を、偽装献金の原資に充当し、これを個人献金やパーティー券収入として政治団体(友愛政経懇話会)の政治資金収支報告書に記載していた。

この資金提供について、実母は、
「詳しい経緯は覚えていないが、元秘書に毎月1500万円を渡していたのは事実。息子を応援するためだった。」
「利息もないし、返済もないので、贈与と言われてもしようがない。」
などと記述した上申書を検察庁特捜部に提出したという。

一方、張本人の鳩山総理は、偽装献金問題に関して、
「全ての政治団体の活動にかかるものに加え、個人としての政治活動、プライベートの経費についても勝場が処理を一手に引き受けていた。長年にわたる信頼から、全て安心して任せていた。」
などと述べは、全ては秘書任せで知らなかったと言い張り、また、実母からの巨額の資金提供についても、
「知っていただろうと疑問に思うのは当然だが、私は全く知らなかった。」
と釈明した。

結局こちらの偽装献金問題では、政治資金規正法違反の罪で元公設第一秘書が在宅起訴、元政策秘書が略式起訴、鳩山総理自身は嫌疑不十分による不起訴処分となった。嫌疑不十分による不起訴処分ということでは、鳩山総理は小沢幹事長と全く同じなのである。東京地検特捜部によるこの処分を受けて、鳩山総理は実母から提供された12億6千万円を贈与と認め、修正申告を行った上で、約6億円の贈与税を支払っている。

鳩山総理の政治資金規正法違反は、実母から贈与された3億6千万円を個人献金やパーティー券収入による寄付金として政治資金収支報告書に記載したのであるから、これが政治資金収支報告書における重要な虚偽記載である事は紛れもない。これに対して小沢幹事長の場合は、貸付けられた4億円は政治資金収支報告書に借入金として計上されているのであり、問題は、貸付となる以前にやり取りされた4億円の仮受け現金の記載の是非に過ぎない。鳩山総理の政治資金規正法違反が真っ黒なのに対して、小沢幹事長は限りなく真っ白に近い。

このような事件の犯罪構造の比較検討の結果にかかわらず、鳩山総理の事件では結局ただの一人の逮捕者も出なかった。小沢氏の場合は、現職の国会議員を含めて3名の逮捕者が出ている。推定無罪の原則が有効に機能しない日本社会では、被疑者は逮捕されただけで社会的制裁を受けてしまう。日本では逮捕がすべてなのであり、検察庁特捜部はそのことを誰よりも知っている。検察庁特捜部は、一切の政治的配慮を行うことなく淡々と証拠に基づき立件するだけと常々主張しているが、この不均衡は結果として実に重大な政治的影響力を及ぼしたのであり、どこをどうとっても、これを淡々とした結果と言い張る事はできない。

結局、小沢一郎対特捜検察の宿命の対決は、両者痛み分けとなった。小沢氏は起訴を免れたものの、子飼いの秘書3名が逮捕され自白調書を取られたのだから、そんな中では誰も推定無罪の原則を言い出せず、推定無罪ならば問題になることもなかった政治的責任とか道義的責任だけが鬱勃として問題にされてしまう。しかも、小沢氏の莫大な政治資金の出し入れは何としても不可解この上なく、そのことがマスコミのリーク報道を通じて国民にしっかりばれてしまった。

現行の政治資金規正法は部分単式簿記であり、部分単式簿記など何らの会計理論に裏付けられないザル法で、そんなものはそもそも会計の名にも値しない。小沢氏も部分単式簿記だからこそ不起訴となったのであり、完全複式簿記であれば4億円の仮受金もまた当然に会計処理されなくてはならない。政治資金規正法が複式簿記であれば、鳩山総理も「知らなかった」などと言い張ることさえできなかった。民主党は、可視化法案の提出も良いが、それと同時に、ここで政治資金規正法の複式簿記化法案を国会に提出しておくべきであろう。

一方の検察庁特捜部の傷も深い。これだけ大騒ぎをして時の最高権力者に捜査の手を伸ばしながら、大山鳴動して秘書3人ではお話にもならない。しかも小沢氏を1年近く追い回した挙句の不起訴の過程で、検察庁特捜部の「ストーリーを書いてはその筋書きに沿って関係者の自白を強要する」という本当の姿が、マスコミのリーク報道を通じて国民にしっかりとばれてしまった。検察庁特捜部は、その存在意義とあり方の基本構造が、歴史の審判を受けつつあると考えるべきである。小沢一郎対特捜検察の宿命の対決は、政治不信と検察不信だけをもたらして、まことに後味の悪いその第一幕を閉じたことになる。

2010年2月14日 
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2010年2月14日

《リポート》GPCシンポジウム「検察とメディア、そして市民社会」

昨日、2月13日、上杉隆(うえすぎ・たかし、ジャーナリスト)氏を中心に「検察とメディア、そして市民社会」と題したシンポジウムがおこなわれました。

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パネリストは、写真左から...

星川 淳(グリーン・ピースジャパン事務局長)
白石 草(NPO法人OurPlanet-TV代表理事)
上杉 隆(ジャーナリスト)
森 摂(オルタナ編集長)

50人限定のこじんまりしたシンポジウムでしたが、距離感が近い分、熱い討論が交わされていました。

この模様は主催者がUSTREAM生中継されていましたので、下記をご覧ください。
↓ ↓ ↓
http://www.ustream.tv/channel/シンポジウム-検察とメディア-そして市民社会

以下、シンポジウム冒頭の上杉氏の[趣旨にあたる]コメントをテキスト化しました。

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まず申し上げたいのは、これまで検察の批判というのは実は私はあまりやっていなくて、というのも、世界各国いろんな国のジャーナリストに会って、共通認識は、"権力"は当然ながら維持あるいは強化のために、あらゆる手段を用いて自らの存在そして役割を果たそうとする。それが違法か合法かは別にして、必ずそういう方向に行くワケです。法律は国・歴史によって違うので何が違法かという事より、そういう方向に向かうという前提で話せば、検察がいろいろやってますが、私自身は「あたりまえだな」という印象があります。

ただ問題は、どこの国でも、国家権力の横暴に関して"歯止め"をかける役割として、少なくとも先進国ではジャーナリズムが機能している。ジャーナリストが命をかけて横暴を食い止めようと日々努力をしているにもかかわらず、日本だけは「記者クラブ制度」というのがあって、現状として、検察に対する監視機能が果たせずに...それどころか、寄り添ってしまい、検察の権力を強化する役割を果たしている。例えば、小沢一郎さんの報道...小沢一郎さんも権力ならば検察も権力であるという認識から、検察の批判もするべきなんですが、過去50年くらいにわたって、新聞・テレビでは検察批判がおこなわれていない、という現状があります。

─「検察とメディア、そして市民社会」という中で一番問題があるのは?

メディア、「記者クラブメディア」ですね。記者クラブの問題はメディアの問題と受け取られがちなんですが、実際は「霞が関」、共生、お互い守ることによって権力を維持する装置として働いてしまっていることから、メディアの問題ではなくて、日本の統治機構そのものの問題であるという認識です。ですから、記者クラブ問題というのは、日本のあらゆる社会そして政治に「不正が起こっても止められない」ということです。

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会場からの「どうやって市民レベルで今の体制に影響を与えることができますか?」という質問に、上杉氏が「とにかく[Twitterで]つぶやきまくることです」と答えていたのが印象的でした。

今月26日の「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」にも出演される上杉氏、生放送での発言に注目です!

2010年2月13日

《特集》「小沢vs.特捜検察」最終決戦 この国の主導権を握るのは誰か!?

 「小沢vs.検察」の戦いがついに最終ラウンドを迎えている。

 昨年3月に西松献金事件が発覚して以降、《THE JOURNAL》ではこの事件をたんなる疑獄事件ではなく、この国の主導権をめぐる凄絶なる戦いとして報じてきた。いったい、検察の狙いは何なのか。そもそもメディアで報じられている疑惑は事実なのか。2010年に入って急展開を見せた永田町の動きを『最終決戦「小沢vs.特捜検察」この国の主導権を握るのは誰か!?』としてまとめ、徹底分析する!

*   *   *   *   *

■特別動画「『新撰組』化する警察&検察&官僚がニッポンを滅ぼす!」
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↓    ↓    ↓

http://opinion.infoseek.co.jp/article/721

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■二見伸明:「良貨」で「悪貨」を駆逐せよ ── この国のかたちを考える(その1)(2/13)
■《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:篠田博之(2/12)
■石川知裕衆院議員が11日離党会見(2/11)
■田中良紹:政治家の面の皮(2/11)
■石川議員が民主党を離党へ(2/10)
■郷原信郎×高野孟:検察の正義を疑え!(2/9)
■佐藤栄佐久:国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(2)(2/9)
■武藤功:「検察政治」と「小沢政治」煉獄に耐えた小沢氏はその志を貫け(2/8)
■佐藤栄佐久:国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(1)(2/8)
■坂上遼:「特捜検察」幻想の終焉(2/7)
■二木啓孝:まだ終わっていない小沢問題(2/7)
■篠田博之:緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方徹底検証(2/6)
■週刊朝日の山口一臣編集長が東京地検に反論! ホームページで事実関係を説明(2/6)
■田中良紹:国民の敵(2/5)
■《速報》石川知裕議員ら3人の保釈が認められる(2/5)
■上杉隆氏が東京地検宛に「厳重抗議書」を逆送付!(2/5)
■小沢問題についての検察会見を"リーク"する ── 郷原信郎(2/4)
■野党が石川議員の辞職勧告決議案提出へ(2/4)
■郷原信郎さんのコラムに《THE JOURNAL》のコメントが引用された!(2/3)
■週刊朝日が東京地検から抗議を受ける!(2/3)
■高野孟:暴発か挫折か?瀬戸際の検察 ── 小沢政治資金問題の結着間近(2/3)
■暴走する検察が子どもを人質に石川議員の女性秘書を約10時間拘束!(2/2)
■二木啓孝:小沢捜査 4つの結末(2/2)
■堀江貴文:検察の目的は民主党政権の司法制度改革を阻止すること(2/1)
■小沢幹事長が記者会見で進退に言及(2/1)
■今放送中の「朝まで生テレビ!」について語るスレッド(1/30)
■高田昌幸:事件報道自体の量的抑制が必要だ(1/26)
■金平茂紀:政治資金規制をめぐる日米の逆解釈(1/26)
■小沢問題より予算の審議を:日経ビジネス世論調査(1/25)
■河野太郎:エサをもらうための検察報道(動画、1/24)
■23日、小沢一郎幹事長の事情聴取後会見内容(1/24)
■神保哲生:検察の捜査について、これだけは言っておきたい(堀江貴文氏出演、1/23)
■"鼠一匹"も出ない? 小沢事情聴取ーー追い詰められているのは検察である(1/23)
■宮崎学:実に心許ない話だが(1/23)
■鈴木宗男:リークする検察官は処分しろ(1/22)
■宮崎学:緊急告知(1/22)
■郷原信郎:「小沢VS検察」ではなく「石川議員逮捕」こそが最大の問題(転載、1/21)
■郷原信郎:検察主義の国会議員逮捕(転載、1/21)
■郷原信郎:石川議員の釈放要求を国会で決議せよ ── 民主党政権VS検察・マスコミ連合軍の最終対決(転載、1/21)
■篠田博之:三井環・元大阪高検公安部長が18日、満期出所。さっそく検察批判を。(1/20)
■高野孟:小沢政治資金をめぐる革命と反革命 ── 鳩山政権は検察権力の横暴と対決せよ!(1/19)
■二見伸明:キバをむいた検察の反革命クーデター(1/19)
■田中良紹:成熟政治と未熟政治(1/19)
■須田慎一郎:小沢逮捕までにはハードルが高すぎる(1/18)
■小沢幹事長「全面的に闘う」(鳩山総理・鈴木新党大地代表も)(1/16)
■二木啓孝:検察の狙いはズバリ "小沢の脱税逮捕"(1/16)
■《速報》東京地検が石川知裕議員を逮捕へ(1/15)
■神保哲生:不可解な特捜の強制捜査 郷原信郎氏インタビュー(1/15)
■石川知裕氏はメディアに何も語っていなかった!「検察がリークしたとしか思えない」と鈴木宗男氏に語る(1/13)
■田原総一朗:すでにはじまっている小沢vs東京地検特捜部の駆け引き(1/8)
■田中良紹:検察の「正義」(1/6)
■佐藤優×高野孟:この国の主導権を握るのは誰か ── 官僚 vs. 政治家の仁義なき戦い(1/4)

2010年2月12日

《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:篠田博之

 今月2月26日(金)におこなわれる「緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方」を《THE JOURNAL》とInfoseek 内憂外患で生放送することになりました。

 編集部では、このシンポジウムの前哨戦として、個々の想いや意義を伝えていただこうと出演者に連続インタビューを実施します。

 初回は、現在のマスコミ報道の問題点に端を発したこのシンポジウムの主催:篠田博之(しのだ・ひろゆき、月刊『創』編集長)氏に語っていただきました。

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 もともと、このシンポジウムの発案者は、三井環(みつい・たまき)さん(※1)です。彼が出所して初めてお会いしたとき、「検察批判を鈴木宗男新党大地代表とやっていきたい」と言っていたので、今回のシンポジウムが決まりました。「小沢VS検察」がちょうど盛り上がっていたので、「どうせやるなら」と、関係しそうなジャーナリストに声をかけたのが経緯です。

 今回のシンポジウムのテーマは、「検察のあり方の問題」と「報道のあり方」がテーマです。

 これだけ検察報道を巡って、世論が盛り上がっているのは珍しいことですが、とてもいいことです。インターネットなどの普及によって、テレビや新聞以外から情報を得る機会が増えました。これによって、新聞テレビの報道でも"疑う"というメディアリテラシーが高まりつつあるのだと感じています。

 こうした場面で、このような議論を盛り上げていくことはとてもいいことだと思います。この高まりに対して、ジャーナリズムやメディアに関わる者は、なにかすべき時だと言えるでしょう。

 本来であれば、新聞労連(※2)などに声をかけ、検察リーク報道批判と批判される当事者に議論を戦わせたかったと思っています。いまのリーク批判に対しては、ちょっと乱暴だ、という意見も実際にメディア側にはありますからね。

 ただ、新聞社の看板を背負ってそうした発言をすることは難しいですし、個人の立場でそういったことを発言することはまた違います。議論にはなりづらいですが、現場の記者たちがいまのマスコミ批判のことについて接することは大事なことです。

 政治権力に依拠した取材方法というのは、これまでのマスコミのシステムとしてはある程度許されるものでした。しかし、今回の検察リークの問題については、それに疑問が投げかけられているわけです。

 この機会に、こうした記者クラブ問題を議論することはとてもいいことです。いまは批判する方が一方的で、新聞も自分の意見を一方的に言うだけになっています。なので、本当は議論を交えないといけないのです。

 私は、司法記者クラブの現場にいる人が、こうした場で議論することで解決への突破口がひらけると思っています。新聞労連はこの問題について、どう考えているのか......、大手マスメディアにとって、凄く大事な局面だと思います。

関連記事
《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:元木昌彦
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/vs_6.html
《出演者インタビュー》緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方:鈴木宗男
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/vs_7.html

※補注1 三井環:元大阪高検公安部長。2002年4月、検察の裏金問題を現役の検察幹部として内部告発しようとした。その動きについて、テレビ番組によるインタビューが予定されていたが、その朝に逮捕。起訴後、最高裁まで争った末に敗訴した。2008年に1年8カ月の実刑が確定し、服役。2010年1月18日満期出所している。

※補注2 新聞労連:日本の新聞産業で唯一の産別労働組合。新聞を作るものの立場から、新聞の社会的責任を果たすべく活動している。

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■シンポジウム詳細

【出演者】
三井 環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
上杉 隆(ジャーナリスト)
青木 理(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
安田好弘(弁護士)他

【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)

【日時】
2010年2月26日(金)18時~21時[開場17時45分]

【会場参加申し込みURL】
http://www.tsukuru.co.jp/kensatsu.html

※生中継は「Infoseek 内憂外患」で放送します!
http://opinion.infoseek.co.jp/

2010年2月11日

石川知裕衆院議員が11日離党会見

明日12日に離党届を提出すると報道されていた石川知裕(いしかわ・ともひろ)衆院議員が、本日11日北海道帯広市で記者会見をおこない、すでに離党届を提出したことと共に現在の気持ちを語った。

http://www.youtube.com/watch?v=EOE4Oecqigo

本日午後、私、石川知裕は、民主党に離党届を提出いたしました。

私が書いた離党届を同僚議員に託し、民主党北海道連合会の三井[辨雄(わきお)]代表に渡してもらいました。

保釈後、十勝に戻った際に、民主党第11区総支部、ならびに石川知裕連合後援会のみなさまから、「離党も辞職もせずに頑張れ」と励ましていただき、涙が出る思いでした。

31才で、「故郷や日本のために働きたい」との思いで、りっきしてから全力で活動してまいりました。

今後も地域の総支部の皆さんの熱い思いを受け、引き続き民主党で活動したいと考えておりましたが、現在、国会では予算案審議の最中であり、熟慮の末に、民主党に対してこれ以上の迷惑をかけてはいけないと考え、本日午前に離党を決断した次第でございます。

しかし、議員としては地域や国のために尽くしたいという私の初心、そして、この十勝で私を信じて応援してくださる地元の方々の思いを受け止めて、職責を全うしたいと思います。

平成22年2月11日、衆議院議員、石川知裕。

以上でございます。

(拍手)

石川議員の離党届は15日以降の党常任幹事会で了承される。

2010年2月10日

石川議員が民主党を離党へ

 小沢一郎民主党幹事長の政治資金管理団体の記載をめぐる事件で起訴された石川知裕(いしかわ・ともひろ)衆院議員が10日、党幹部に離党の意向を伝えた。党もこの意向を認める方向で、12日にも離党するものと思われる。

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【第6回】政治家に訊く:石川知裕
http://www.the-journal.jp/contents/politician/2009/10/post_1.html

【海外レポート】中東和平問題「他国間協議は"死に体"」

「和平交渉が難航し進んでいない現状では、多国間協議は"死に体"になっている」

 イスラエル・パレスチナの和平交渉の将来的な道筋についての、パレスチナ駐在・山本英昭外務参事官の言葉だ。

 山本氏と会った日付は偶然にも、日本でパレスチナ自治政府・アッバス議長と鳩山首相が会談した8日と同日。日本での会談で鳩山首相は「中東和平実現に貢献していく」と表明し、メディアからは「イスラエルの入植凍結で一致」との報道が流れていた。

 和平交渉の実質的な仲介役となっているのは米国だ。2009年5月に米国のオバマ大統領が「入植のstop(停止)が見たい。いくつかの停止ではなく、アウトポストも「自然増加」の例外もない停止だ」という意見を表明して以降、度々米国側が中東を訪問し、事態の好転が期待された。

 しかし9月には国連で(入植地建設を)「restrain(抑える)」するべきだという文言を使用し、米国外交は「敗北宣言」をしているのが現状だ。

 中東の首脳会談で毎回構想にあがる「平和と繁栄の回廊」プロジェクトは、2006年の当時の小泉元首相が中東4カ国訪問の際に相手国への"手土産"として立ち上げたものの、「イスラエルとの話し合いがない限り物事が進まない」と4年間の成果が見えていない。

 同プロジェクトの現地コーディネーターを務めるアブデル・ナセル・マッキー氏(JICAジェリコオフィス)は「日本政府はイニシアチブ(指導力)を発揮し、方向性を示して欲しい」と言う。しかしこのまま和平交渉が進まない状態が続けば、日本政府はイニシアチブどころか、見通しの悪いトンネルから抜けることはできないだろう。

【関連記事】
首相、中東和平へ対話路線支持 アッバス議長に表明(共同通信)
パレスチナ:自立へのたたかい(NewsSpiral)

2010年2月 9日

郷原信郎×高野孟:検察の正義を疑え!

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 TOKYO FM・JFN系全国33局ネットで大好評オンエア中の『ON THE WAY ジャーナル〜高野孟のラジオ万華鏡〜』。

 今回のゲストコーナーには、特捜OBで現在は名城大学教授の郷原信郎さんをお迎えして、「検察の正義とは何か」ついて語っていただきました。

 収録は1月28日に行われたものですが、特捜検察の根本的なあり方について問題提起しています。お聞き逃しなく!

*   *   *   *   *

■ダウンロード(mp3)
http://pod.jfn.co.jp/people/scope/dl/takano_45.mp3

■PEOPLE 高野孟のラジオ万華鏡 ホームページ
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/

国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(2)

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『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』

■以下、佐藤栄佐久公式サイトより転載
http://eisaku-sato.jp/blg/2010/02/000034.html

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佐藤栄佐久氏(元福島県知事)

国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(2)

【承前】

今回はネットを中心として、いつになく検察への批判が強いようで、それに対する反論としてなのか、テレビなどには盛んに検察のOBの方々が出演し、検察擁護の論陣を張っています。

論陣といっても多くはワイドショーなどでイメージアップを図る体の、軽いものがほとんどですが、その中に検察の体質をあらわすものとして看過できない発言がありました。

元東京地検特捜部長の熊崎勝彦氏の言葉です。

「白を黒ということがあってはいけないが、
 黒を決して逃すことがあってはいけない」

これは、大変大きな発言です。
「黒を決して逃すことがあってはいけない」という悪人を探す「意志」はともすれば正義感の表れのようにも聞こえますが、とても危険な考え方です。

熊崎氏は「治安の維持のため」と理由を述べていましたが、まさに人々の不安と不満に起因する象徴、はけ口としての「犯人探し」への欲求が強い場合、さらには私の事件の際に一部報じられたような検察官僚としての出世欲と結びついた場合、なんとしても犯人を挙げなければならないという「意志」は、罪無き人を無理やり犯人に仕立て上げることになります。

また長銀事件や私の事件のように犯罪自体が無い空っぽの場所に無理やり犯罪を作り上げ、本来平穏に暮らしているはずの無辜の人々に罪人というレッテルをはり、社会から抹殺することになります。

人間は無謬ではありえないので、熊崎氏の言葉の前半と後半は、現実的には相容れない考え方です。黒を須く捕らえようと思えば、その中に白が入ってしまうことは不可避だからです。

「黒を決して逃すことがあってはいけない」は近代司法の考え方を否定する言葉といえます。

「百人の罪人を放免するとも一人の無辜の民を刑するなかれ」
これは熊崎氏の言葉と真っ向から対立する重要な概念です。

推定無罪の原則は、フランス革命までさかのぼり、西欧が数々の流血の歴史を経て確立しました。

なぜ血を流してまで守らなければならないのか、この言葉がどれほど大切かを噛みしめるのには、無実の菅家さんが失った人生の大切な年月を思えば容易なことと思われます。
また菅家さんに決して謝罪をしなかった元検察官はその「正義」の無責任さを体現しているのではないでしょうか。

罪のない人がなぜ自白するのか。そこで武器として使われるのが、相手の人格を否定し、周りの者を生活を脅かすことをほのめかす、マフィアまがいの精神的拷問です。

熊崎勝彦氏の言に見え隠れしている、黒を逃がさないために、正義のためには何をしても許されるという、誤った信念。拷問と国民の負託を受けた国会議員の逮捕と失脚を狙った印象操作、そこにあるのは、人権と民主主義の否定です。

私はある取材に、検察官が列を成してあらかじめ準備されたカメラの前を示威的に通るプロパガンダを、ナチの青年将校になぞらえてお話しました。

ナチにも自分たちなりの正義はあった。
私は自分の身に起こったこと、全くない事実をあらゆる手段を使って組み立てていく、「正義の暴走」が今回もまた起こっているのではないか、という強い危機感をもってあえて言及しました。

小沢氏が、石川氏が、またその秘書が何をしたか、していないのか、それはわかりません。しかし子供や家族、自分の会社や仲間への思いを人質にとりながら、供述を促すという精神的拷問は決して許されるべきではない。

何の罪もない者が、事情聴取を受けた後、倒れ、あるいは少なからず自殺を選ぶ現状は異常という他はありません。断じて許すことのできない、人権への罪と言っても過言ではないでしょう。

「●●は死体3個だから特捜部長に、××は3個の死体に植物人間を1個つけたから最高検検事に大出世というわけだ」
という落首めいた書き込みをネットで見かけました。

ここで数えられている人には私の極親しい知り合いも含まれています。何気なく読み、思わず目をそむけました。
因果関係はさておき、何が起こったか経験したものには理解できる話です。

「我々は金も人も時間もたっぷりあるんだ」これも検事の言葉です。

列をなす検事、事務官、深夜までの取り調べ、そして数百もの段ボール箱とその運搬。
ほぼ白しかないとわかっている中に黒を探す、「黒がいないことは許されない」ことだから、延々と探し続ける、考えるまでもなく、これを賄うのは全て税金です。

人権への脅威とともに、正義の名の下、何物にも監視されず、湯水のごとく、国民の税金を使う。

「○○VS××」、「△△逮捕、起訴」といった、図式、報道に惑わされず、「正義」の名の下に何が行われているのか、それを冷静に、客観的に見たときに、事の異常性に気付かない人はいないのではないでしょうか。

ただ、私が危機感をもっているのは検察に対してだけではありません。

小沢氏は自らの信念を実現すべく十数年の雄伏し、権力を目指してきました。

60年続いた自民党や自らの生活の「痛み」に不満を持つ国民の気持ちに潜むところにアピールし民主党は政権を手に入れました。

小沢氏の存在がなければ民主党の大勝はなかったでしょう。

ようやく手に入れた数の力を頼み、反対意見を封殺しながら、もはや自分たちに投票した国民などいなかったかのように約束を反故にする、政権をとってからの何かに取り憑かれたような行動は、折角「自分たちの手で政権を作ったのだ、作ることができるのだ」という国民の政治に対する希望、政治参加に対する自覚を打ち壊す異常なものだと感じていました。

あるいは官僚・検察を一体に、打ち砕く対象としたがゆえの拙速な行動なのかもしれません。

私は今、所詮政治家は金に汚いものだ、というステレオタイプ、国民に政治に対する虚無感を固定させないためにも、今自分の疑いを晴らすべく戦っています。

現在の民主党=小沢氏の手法は、やはり政治家は約束を守らないものだ、というもうひとつのステレオタイプを固定化することでせっかく取り戻しかけた政治への希望が無に帰することになるでしょう。

検察の手法、民主党=小沢氏の手法、そして二つの権力の対立の結果、国会でも危急に解決すべき問題がまともに論じられない。
国民は一体どこにいるのか。現在の状況は日本全体にとって不幸なことです。

人権と民主主義を軽視するのは歴史を俯瞰すれば全体主義の萌芽といえます。

私は逮捕される3ヶ月前、ストラスブールの欧州地方自治体会議の総会に出席し講演しました。ストラスブールは百余年の間に仏・独・仏・独・仏と5回も国が変わった悲劇の町です。今でも地方自治体が民主主義と人権を守るために血を流す覚悟で闘っている現場に立ち会ってきて、それを知事会で報告しました。

日本は血を流して民主主義・人権を勝ち取ったことがありません。
他者に対する人権への脅威がそのまま自分の人権への脅威に直結していることに気付かない人も多いように感じます。大手マスコミを通じて流される偽装された大勢の意見に疑問をもち、その中から真実を拾っていくことが大切です。

全体主義の対立概念として、民主主義の観点から事件の真相、背景を見極め、その上で日本の真の民主主義・人権の確立のために私自身が血を流す覚悟で闘っていくことこそ重要と考えています。

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■佐藤栄佐久氏のプロフィール
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■佐藤栄佐久 公式サイト
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2010年2月 8日

畑村洋太郎×永井正夫×郷原信郎:緊急!トヨタ「プリウス」をめぐる問題について

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郷原信郎氏(名城大学教授・弁護士)

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畑村洋太郎氏(工学院大学教授)

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永井正夫氏(東京農工大学大学院教授・工学博士)

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会場で配られた資料(畑村氏のリコールに関する活動実績)

2月9日(火)「失敗学のすすめ」の著者、失敗学・危険学の創始者の畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)工学院大学教授・永井正夫(ながい・まさお)東京農工大学大学院教授・郷原信郎(ごうはら・のぶお)氏の三人で、トヨタ「プリウス」をめぐる問題についての緊急!記者レクがおこなわれた。

畑村氏は2008年7月~2009年3月に開催された国土交通省リコール検討会の座長を務めた機械工学の専門家で、郷原氏も企業コンプライアンスの専門家の立場でこのリコール検討会に委員として参加。

当日は、「プリウス」をめぐる問題に関して、リコール制度と自動車の安全確保という観点から議論された。

テキスト全文[Infoseek 内憂外患]
↓ ↓ ↓
トヨタの激震~「リコール」の発想転換をしなければ国益を害する
http://opinion.infoseek.co.jp/article/761

映像[ビデオニュース・ドットコム]
↓ ↓ ↓
郷原信郎氏、畑村洋太郎氏、永井正夫氏 記者会見
http://www.videonews.com/press-club/0804/001358.php

写真:2010年2月9日、《THE JOURNAL》編集部撮影

「検察政治」と「小沢政治」煉獄に耐えた小沢氏はその志を貫け

武藤 功(文学と思想誌「葦牙」編集長)

 小沢幹事長が不起訴となった。おそらく、きわどいなかでの最終判断だったのだろう。特捜部の「暴走」を検察首脳部が抑えたという見方もあるが、さもありなんとも思える。昭和10年代の青年将校たちの野望を抑えきれなかった当時の軍部首脳と比べると、現在の検察首脳はいくらか民主主義の風を経験していたということになるのだろう。法治国家という視点から見る「検察と政党」という関係でいえば、この小沢氏に対する検察の自己抑制は当然のこととはいえ、政治の正常化に役立つことである。

「検察政治」という問題

 この「政治の正常化」というのは、検察が政治を両断してしまう異常事態が防がれたという意味である。おそらく、東京地検特捜部の検事たちのなかにはその両断を目指す勢力もいたのであろう。法の正義も世論も、わが方にあると考えても不思議ではない現象がメディアによって連日伝えられていたからである。それは一種の「検察政治」と名付けてもいいほどの実体を持ち始めていた。このなかで、小沢氏はカネで政治を動かす「金権政治家」というイメージを増幅され、その幹事長のもとにある民主党への不信もまた増幅されつつあった。党内の不協和音も出始めていた。つまり、万が一の場合に政権与党が使える可能性のある法務大臣による指揮権発動についても、外堀も内堀も埋められてしまった状況にあった。これは、かたちはどうであれ、特捜部による「起訴」という検察行為が小沢氏の政治生命を制する一撃ともなりうる事態が生まれていた状況といえた。青年将校的な検事がいたとするなら、張り切るのも当然であったろう。

 その危ういタイミングの2月4日、小沢氏の不起訴は決定された。特捜部の「暴走」が抑えられたという意味では、この決定はよかったといえるが、石川知裕議員ら3人を起訴するに至った一連の検察行為については改めて検証が必要である。問題の核心は、政治に対して検察の力があまりにも強大になり得るという不均衡な法的関係が政治資金規正法にはあることである。かつての青年将校が「武力」として持っていたものを、いまの青年将校的な検事は「法」として持つことができる。一般的に見ると、その「武力」は不穏当に見えるが、「法」は正義の表現のように見える。ここに、「検察政治」が作られてしまう危険の根源がある。

 なぜ、危険かといえば、第一には国民にはその検察の「正義」が見えないからである。その「見えない正義」が政治を制してしまう。それが怖いのである。第二には、その法が特定の政治家を狙い撃ちすることが可能だからである。つまり、検察の任意によって運用されやすい。しかも多くの国民はそうした検事を正義の味方と錯覚してしまう。

 この意味において、これら一連の今回の「小沢事件」との関連でいえば、検察にその法の権限を与えている政治資金規正法が問題となる。どんな法律でもそうであるが、その違反摘発などの法の執行のためには制度が必要になる。政治資金規正法の場合、その制度運用は通常は検察機関が行う。「検察政治」が生み出されるという問題は、その法律そのものというよりも、この制度の運用によってなのである。国民の目には、この運用の実態は見えない。その典型的な例が、検察による情報リークである。これはメディアが加担することによって、一層見えにくくなっている。

 たとえば、石川議員が管理していた預金通帳に住宅をあらわす「住」の字が記載されていたなどということは、家宅捜索によってその通帳を押収し、それを見た検察関係者しか分からない。メディア各社がそれを報道できるのは、それについての検察のリークがあるからである。検察はこのような情報リークによって情報操作を行い、メディアを使って小沢氏と秘書たちを黒く黒く描き出して世論を形成していくのである。民主党の議員有志がこの種の情報リークを問題視して「捜査情報の漏えい問題対策チーム」を作ったとき、マスコミ各社がそれをメディア規制だとして大騒ぎした。検察の違法行為を追及されると困るからである。「小沢氏不起訴」を伝えた2月5日の各紙も、その情報リークについては「これは誤解である」(読売)などと弁解につとめた。

 この点では、国家公務員法には守秘義務の規定があるものの、検察の業務マニュアルというべき肝腎な刑事訴訟法に、その検察情報についての管理条項がないのは早急に是正されなければならない。しかも、同法は被告人や弁護士については証拠情報などの目的外使用については罰則(懲役1年、罰金50万円)を設けていながら、検察官については「捜査関係者に対する訓示規定」として「被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない」(196条)とある程度なのである。

 この条項ですら、検察情報がそのリークの対象となる「被疑者その他の者の名誉」をいかに損なっているかについては、単なる「訓示規定」であるため検察官らはまったく考慮しようともしないのである。この検察に甘い規定がかれらの情報リークなど「検察政治」への暴走の要因となっている事実は、立法府において厳しく見直すことが必要である。

 考えてもみるがいい。政治的に何らの実績も責任もない一介の検事が、それなりの政治的実績を積み、国民からも支持されて国会議員となった者を、公訴権を持つゆえにその胸三寸によって翻弄してしまうというのは、どう考えても民主的で公正な権力バランスとはいえない。石川知裕議員の例はその典型である。もちろん、検察が法によって犯罪を追及するのは正当である。ところが、この正当以前の問題として、検察はその被疑者にたいして正当な法定手続き(デュー・プロセス・オブ・ロー)をしっかり守って対応するということがまったくできていないのである。

 たとえば、刑訴法は捜査について「その目的を達するため必要な取調をすることができる」(197条)としているが、検察はその「目的」を拡大し、「逮捕の要件」規定(同法199条)をこえて、取り調べそのものまでも目的として拡張して実行しているのが現実である。石川議員は検察の出頭の求めに応じていたのであるから、逮捕の必要などまったくなかったのである。しかし、検察がかれを逮捕したことによって、かれは事実上の犯罪者とされるに等しい扱いを受けた。メディアがそれを増幅させる報道を繰り返し、その犯人像(虚偽記載者)が裁判前に作りあげられてしまったのである。

 つまり、検察もメディアも、憲法(37条)の保障する「刑事被告人の権利」について、その基本となる人権を尊重していくという態度にまったく欠けているのである。この人権無視による犯罪者容疑者報道は、とくに政治家の場合には大きな痛手となる。政治生命が断たれることにもなるからだ。一般的にも、被疑者や逮捕者にたいして、長時間にわたる拷問的な尋問や長期勾留などの不当行為が合法の名のもとに公然と行っている例もある。

 今回の小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」にかかわる事件で逮捕された石川議員の女性秘書に対する扱いに、その種の検察の横暴の一端が見られる。鈴木宗男衆院議員のブログ「ムネオ日記」によると、その女性秘書は検察庁に呼び出されて10時間にもわたる「拷問的取り調べ」を受けたという。これは憲法(38条)が禁じている「不利益な供述の強要」のための取り調べの典型的な例である。石川議員の秘書にすら、それだけのことをやるのであるから、当の石川氏についてはどれほどの「強要」的な取り調べが行われていたか想像がつこうというものである。

 こうした意味では、小沢氏関連の政治資金捜査についてのさまざまな論評のなかで最も正鵠を射た批判は、鈴木宗男氏の「検察が正義だなどと思ったらとんでもない」とう批判である。これは鈴木氏自身がかつてターゲットとされて国策捜査の苦い味を体験した立場から真実を吐露しているだけでなく、「検察政治」の本質を衝いている批判といえる。

 つまり、国民にとっては、鈴木氏の言う意味での「検察の実態」を知ることがきわめて重要なのだ。なぜなら、検察はよく言われるような「正義の味方」でも「法の体現者」でもなく、官僚機構に一角を占める公務員にすぎず、間違いも数々侵しているという実態の認識が大切だからだ。国民的にその実態を知ることが、かれら官僚としての「検察政治」の暴走に歯止めをかけるもっとも確実な保障となるからである。

 司法という聖域にあるがごとく、国民のコントロールから自由であるように見える検察の権力には、常に国民「全体の奉仕者」という立憲主義の制約を加えておかなければならない。本来なら、検察の捜査段階でのさまざまな歪みについても、検察庁法の規定にしたがって、国民の代表者たる政府(法務大臣)が一般的な「指揮監督権」を発動して是正していくべきなのであるが、かつての自民党・佐藤栄作幹事長の悪例のために、それを「政治介入」とするイメージがつくりだされてしまったため、宝(法)の持ちくされとなってしまった。司法権も統治権の一環をなすものであり、その源泉は主権者たる国民に発するものであることを再認識し、鳩山政権はこの法務大臣による指揮権発動についても、その法的権限が生かされるように再考すべきである。

小沢氏側の問題

 今回の「検察政治」の発生源が小沢氏の政治資金をめぐる問題にあったことは事実である。この事実にそって見れば、小沢氏自身にも責任の一端がある。私は小沢氏の幹事長の続投を支持するが、「政治とカネ」の問題については、再び検察につけこまれるような事態を招かないための抜本的な自己検証を求めたい。そもそも一国の政治を率いようとする政治家が自己の足元の政治資金で足を掬われるような無様なことがあってはならない。これは国内の企業献金の類の話だけではない。

 かつて、自民党にCIA資金の提供があり、革新政党にソ連資金の疑惑が取り沙汰されたことがあったが、この謀略の時代、どこからの「カネ」であれ、政治にかかわって疑惑の影を足元に落としてはならない。現在、アメリカでもさる1月に連邦最高裁判所が企業・団体の選挙資金提供にたいする制限を違憲とする判決を出したことに対して、オバマ政権が猛反対をするという「言論の自由」論議が起っている。「カネ」は国境を越えて外国の政治をも動かす手段ともなる事態を日本でも考えておかなければならないのである。わが国では、そうした事態が起こらないために国民が政党助成金によって基本的な政治資金を負担しているのであるから、この際、99年の改正で政治資金規正法に抜け穴を作る結果となった企業・団体献金を全面的に禁止すべきだ。

 その法改正ができれば、現在やられているような小沢氏の資金団体「陸山会」のなかの資金のやりくりの話(それも自主財源という4億円の原資についてであり、それは2月5日に神奈川県警で明らかにされた6年間にわたる13億円の不正経理とくらべても、あるいはその前日の4日に公表された千葉県警の同じ期間の5億7000万円の不正経理とくらべてもはるかに小さな額である。犯罪ということで言うなら、これら県警の不正経理は公金そのものの不正使用という犯罪そのものである)については、その種の疑惑の払拭にも役立つだろう。

 そのなかで、小沢氏は半ば達成しつつある「ニュー小沢」(自民党的な派閥領袖型の資金調達をテコにした政治手法を取っていた「古い小沢」から、政治資金を政党に一元化した近代的合議システムによる党運営を志向する「新しい小沢」への脱皮過程にある)を完熟させ、今後に取り組むべき「21世紀ビジョン」実現の政治体制を確立してほしい。圧倒的に多数のメディアと立花隆氏らが親検察の立場から試みられた小沢バッシング(立花のそれは『週刊現代』2月6日号「小沢逮捕へ私はこう考える」など)の煉獄に耐えた今こそ、その取り組みのチャンスである。

小沢政治への期待

 環境問題、憲法問題などさまざま市民運動に取り組んでいる無党派グループのなかには、「小沢政治」に期待する声が意外と多い。これは単純に小沢氏の革新性に幻想をもって期待するというのではない。むしろ、小沢氏の保守的立場からの「剛腕」への期待といった方が正確である。この背景には戦後60年余に及ぶアメリカへの国家的追随ということがある。日本の戦後政治は常にアメリカの「大きな政治」に追随するかたちで「小さな政治」に甘んじてきた。この「小さな政治」の別な名称は「安保国家の政治」ということである。

 いわば、日本は戦後の「45年体制」として米国の傘の下の「安保国家」を選択したことによって、必然的に米国政治への追随を余儀なくされてきた。現在でも、この枠組みのなかから脱却できないでいる姿は、沖縄の普天間基地移設問題一つとっても明らかである。新旧の「安保条約」と「地位協定」によっても合法的に撤去要請ができるのに、その主権国家の意思がまるで働かないのである。この意味では米国は戦前の天皇制と同じ作用を及ぼしている。現状の変革になるような意見は「畏れ多くて」口にすることもできないという風情である。とくに安保にかかわる問題となると、主権国家の意思が麻痺してしまうかの如くである。

 この国家的な政治現象は、世界的にも稀に見るものであろう。これだけの自立的な経済大国であり、かつ自主防衛という看板をかかげて5兆円もの防衛予算をつぎ込みながら、その10分の1にも満たない軍事予算の北朝鮮に脅えて日米安保にすがりつくという塩梅だからである。この意味では、対米的な国家主権ということからいえば、北朝鮮よりもイラクのマリク政権やアフガニスタンのカルザイ政権よりも臆病であり、主体性がない。これは、経済的には完全に中国の傘の下にありながら、決して従属的ではない北朝鮮とくらべてみても際立っている。その内容はどうであれ、北朝鮮は六者協議への対応にも明らかように、国家主権を歪めるような卑屈な態度は中国に対して取っていない。ところが日本は、普天間基地という一基地の「小さな問題(在日米軍基地の20分の1)でも、相手がアメリカだということになると哀れなほどのビビリようである。足元がふらついてまともな思考ができないかの如くである。

 もう、いい加減にしろ、というのが国民の声なき声であるが、自公政権を倒した鳩山政権でも、この声をしっかりと受け止められずにいる。普天間基地問題が鳩山政権の命取りにもなりかねない現実がつくられつつあるのは、その対米姿勢に主権国家の意思を提示することができず、「アメリカの理解」という制約を自ら作り出しているからである。もうその種の主人の意見を聞いて動く「番頭型政治」は脱却すべきだ。

 小沢氏の「剛腕」への期待が生まれるのは、こうした背景においてである。現在の政界を見渡して、「安保国家」のしがらみを排して「普通の国」へと舵を切れる能力をもつ政治家は小沢氏しかいそうもないということがその期待の第一である。しかとは確認できたわけではないが、小沢氏には米国にたいする「独立意識が感じられるということが根本的な期待要因である。そして、それは小沢氏の言葉では「普通の国」への脱皮ということになるが、実はこれは幕末の黒船対策や不平等条約撤廃と同じくらいの大事業である。敗戦後65年を要してもまだ達成できない「独立国家」形成の課題だからである。

 小沢氏への期待の第二には、それを安定的な政治によって達成するためには多数派第一党のリーダーであることが不可欠であるということがある。第三には国論の統一のもとに国民国家とその主権にもとづく国際秩序に合致するかたちで米国の従属的安保体制から脱却するためには、保守の立場に足場を置きながら現状の変革を試みるという坂本竜馬型の人物がふさわしいからである。

 なぜなら、この課題はブルジョア市民的な課題であり、社会変革的な次元の話ではないからである。竜馬が土佐藩からは脱藩しながら、幕府という保守的な基盤からは遊離しなかったことによって薩長同盟を成功させ、国民国家への脱皮の基礎を築くことができたと同じように、現状の政治状況においては保守派のリーダーにふさわしい課題だからである。おそらく、この三つの要件にかなう政治家は、現状では小沢氏だけであろう。

 そしてこの「安保国家」という「45年体制」からの脱却は、単に安全保障の問題にとどまらず、日本の自主的な「大きな政治」への道を開く画期ともなるということが肝腎なのである。国民的な希望を常に自主的に描けるようになるというのが主権国家の原則である。この原則に「アメリカ」という禁制をもたらしている「安保国家」は、最早その20年前の冷戦の終焉とともに歴史的使命が終わっている。

 このことを認識できずにきたのが自民党中心の「55年体制」であったが、その政治の枠組みを突破する政治戦略を描いてきた小沢氏には、もう一つその外枠となった「安保国家」という「45年体制」を突破できる可能性が生まれている。そしてまた、戦争をやりながらノーベル平和賞を受け取るというオバマ型の「剛腕」に対峙して「安保国家」の制約を打破するためには小沢氏の「剛腕」が不可欠である。2月7日の主要各紙は一斉に内閣支持率の下落と、小沢氏の幹事長辞任回答の高率の世論調査を発表しているが、それはまだ国民の多数が「検察政治」の実体をよく認識できない段階での数字である。今後に問題となるはずの検察審査会なども、こうした一時の世論動向に惑わされることなく、政治の真実を見出す立場から慎重な審査を行ってほしい。

 この独立国家としての自主的な「大きな政治」への可能性を持つ小沢氏が、幕府の岡っ引き同様の「検察政治」に潰されなかったことを喜ぶのは以上に述べた通りの理由からであるが、この新しい可能性が今後の検察審査会によっても損なわれないことを望みたい。

国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(1)

 以下の文章は、福島県汚職事件で「賄賂額0円」にもかかわらず有罪判決を受けた元福島県知事の佐藤栄佐久氏が公式サイトに発表した文章を、許可を得て転載したものです。いかに検察が事件をつくりあげるのか、検察が欲しい供述を得るためにどのような手段を駆使するのかがよくわかる文章となっていますので、ぜひご覧下さい。福島県汚職事件について深く知りたい方は、『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』をご一読ください。(《THE JOURNAL》編集部)

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『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』

■以下、佐藤栄佐久公式サイトより転載
http://eisaku-sato.jp/blg/2010/02/000033.html

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佐藤栄佐久氏(元福島県知事)

■国民はどこにいるのか。国民は誰が護るのか。(1)

小沢氏の秘書、石川代議士の逮捕を受けて、私の事件に関しても多くのメディアで言及され、また直接取材も多数受けました。

もとより私は、金丸──経世会体制には楯突き、真っ向から対立する形で知事になりましたので、その申し子たる小沢氏と特に親しくしていたわけでもありません。ましてや事件の背景に実際は何があるか、もしくはないのかは私は知る由もありません。

ただ、今回の事件で報じられている、(もしくは大手マスコミではあまり報じられないが、各所ブログなどで取り上げられていることから見え隠れする)のは、検察の手法は私が受けた経験と重なる部分が非常に多いということです。

私が逮捕された時の幹部検事が立場は変われど、また今回の逮捕劇に関係しているとのことで、文字通りひと事ではありません。

石川議員は1月16日に聴取に応じる約束していたにもかかわらず15日に突然逮捕されたとのことです。

私の場合は、自分は一切、疑惑として取りざたされていたことは行っていないので、まさか逮捕などされるとは思っていなかったということもありますが、ほとんど弁護士と相談する暇もなく突然呼び出され、逮捕されました。

毎日新聞に「今日逮捕へ」との予測記事が載った日の午後、家に検察から電話があり、地元のホテルの駐車場に呼び出されました。

それまでは一切、聴取なども受けていなかったので、参考人聴取だと思ってホテルに宿泊する準備をし、弁護士に「これから行ってきます」と電話で連絡したのですが、東京にそのまま自動車で移送され有無を言わさず逮捕されたのです。

「人質司法」という言葉があります。
逮捕・拘留は、逃亡、証拠隠滅の恐れがあるため、身柄を拘束することが許されるのですが、実際は弁護士という専門家の助言と情報を制限し、あらゆる手段を駆使して自分たちが組み立てた通りの供述をとるために利用されます。

突然の逮捕は、供述をコントロールするための第一歩なのでしょう。

真実を貫こうとしても、検察官の意に沿う供述をするまでは、決して保釈されません。弁護士との接見は平日に30分ほどあるのみで、検察官は拘置中、土日なく、早朝から夜半まで取調べを行います。検事が思う通りの供述が得られないと、娘が高校生になるまでここから出さない、県議、支持者を皆逮捕する、等と恫喝し、怒鳴り、机をたたき、背広を床にたたきつけたことを、弟は法廷で証言しました。

「これでは誰でも犯罪者にされてしまう」と。

その法廷で検事が証人の証言中に突然、派手に机を叩き、傍聴人も裁判官もその場にいた全ての人が肝を冷やしたことは先述のとおりですが、法廷内ですら相手を威圧する行動をとるのだから、これが密室だったらどれほどか、想像に難くありません。

私との接見の際、弁護士が「弟さんは判断能力が失われてきている」と伝えられたのを覚えています。連日、長時間の取り調べはそれ自体、精神と肉体を痛めつける物ですが、洗脳に近い効果があることを私自身も感じました。

任意の事情聴取も、密室で長時間拘束し、脅迫的、高圧的に供述を促す点では同じです。

「週刊朝日」で二週に渡り掲載されている記事によれば、石川議員に対しては、小さい子供がいる女性秘書は深夜まで事情聴取に呼ばれたら困るんじゃないか、と脅しながら供述を促したそうです。

そして、実際に「押収したものを返却する」名目で問題の事件の際にはまだいなかった女性秘書を呼び出して、突然被疑者として事情聴取をはじめ、子供保育園に迎えに行かなくてはならないと何度も訴えても、何時間も外部との連絡さえ許さず、深夜まで解放しなかったのだそうです。

時代劇の中にしか存在しないような卑劣な悪役のやり口です。
この記事が本当なら、まさに、「だまし討ち」であり、「監禁」であり、無辜の国民の生活と安全を脅かす不正義と言わざるを得ません。

私の事件でも、13時から参考人聴取が開始され、19時頃、突然「被疑者になった」旨伝えられて被疑者として調書をとられた方がいます。
これは違法だそうです。
弁護団が公判で指摘する予定だったところ、検察が証人を取り下げてきて、もめたことを覚えています。

他にも私の事件に関わる事情聴取のエピソードを幾つか挙げてみます。

ある会社社長はこう言われました。
「お前らが東京地検に喧嘩を売るなら、こちらも考えがある。
お前らみたいのはどうにでもなるんだぞ。お前には7年くらい入ってもらう。
出てきた頃は会社もなくなっているし家族もばらばらになり浦島太郎のようになるぞ。
そうならないためにも真実を話せ。」

知らない、というと
「お前の立場だったら知らないはずは無い。知らないのなら想像して言ってみろ」
そして想像して言ったとしたら、どうなっていたのでしょうか。

私を支持してくれていた会社の経営者たちは、多数「会社をつぶすぞ、すぐにでもつぶせるのだ」という検事の言葉を聞いています。

経営をした方ならわかると思いますが、「お前の会社をつぶす」と言われたら、社員たちが路頭に迷わないように、何でも言うがままにならざるを得ないでしょう。国家権力であるだけに、暴力団より強力な脅しになるはずです。

また、ある後援会関係者は以下のようなやり取りをしたそうです。
「あなたが来ない場合は200人よびますがどうですか」
と電話で呼び出され

「いろんな事分かってるだろう、金のこと」
―― 一切知らない
「20年間支えてたんだから。わかってるんだろう 佐藤栄佐久はうそつきで...(罵詈雑言)...」
―― 栄佐久はすばらしいから20年間も支持してきたのだ
「とぼけるな。ふざけるなよ。 一つでもいいから(具体的に)悪いことをいえ」
―― しらない
「栄佐久の 悪いことを知ってるような人を一人くらい言え。しらないことでもいえ
「知らないこと知ってると言ってもこの部屋の中だけで外には出ない」
―― もし栄佐久がそういう人間であるなら県民を裏切ることになる
『もし』だけ削除して調書作成していいか

最後のやり取りは、いかにして検察官が供述を曲げて調書を作成するか明確に表しています。
この後援会の方はやり取りを詳細にメモに残していました。

最後に、
「あなたは私を人間としてみていない。
野良猫か野良犬としかあつかっていない。
人間として扱ったのか、野良猫として扱ったかったのかはっきり言ってくれ」
と言って最終電車で帰ってきたそうです。

「嘘でもいいから言え」「作ってでも言え」「想像でもいいから言え」「想像できないなら教えてやる」

検事から全く同じようなこの類の言葉を言われたということは、2,3人に留まらず身内含め私の事件で聴取を受けた多くの人から聞きました。日常的にこのような手法で供述を積み上げていくのでしょう。

妹は取り調べ中に倒れ、一時意識不明になりました。検察庁までタクシーで迎えをよび、病院の「救急救命センター」に入りました。

命の危険がありました。
通常ならその場で救急車を呼ぶ必要がある状況で、検察官は決してそれをしなかった。

私は被告人尋問で、その後妹から聞いた話を「人権を守るべき最後の砦の検察が人命までおろそかにしている」と申し上げました。

苦痛を与えて、強制的に自白させる拷問は古くから犯人探しの手段として用いられました。
近代では拷問は否定され、先進国では明確に法律で禁じられています。

何故かといえば、拷問、苦痛から逃れたいという一心から絞り出した供述は虚偽である可能性が高く、真実を追求するに当たっては、邪魔にしかならないからです。

中世の魔女狩りを見て分かるとおり、とでも書くことができればいいのですが現実は前近代的な、相手の人格を破壊することによって、望む供述を得ようとする精神的拷問は前述の通り今、起こっています。

一段落して取り調べを受けた皆さんの声を聞くにつけ、早く火を消してよかった、と本当に思います。

そのような人権を無視した取調べの結果、私の場合、一度も会ったことがないゼネコン幹部による、私が彼のことを「門さん、門さん」と呼んでいた、などという、「真に迫った」虚偽の話が生まれるのです。

そのゼネコン幹部とは法廷で「初めて」会うことを楽しみにしていたのですが、検察側は証人申請を何故か突然取り下げてしまいました。

※長くなりましたので続きを次回に書かせていただきます。

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■佐藤栄佐久氏のプロフィール
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■佐藤栄佐久 公式サイト
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《海外映像レポート》パレスチナ:自立へのたたかい

 パレスチナに出発する直前の1月30日にDAYS JAPAN編集長の広河隆一(ひろかわ・りゅういち)氏が監督する映画「NAKBA(ナクバ)」の上映会(主催:明治学院大学 国際平和研究所 PRIME)に参加した。1948年5月14日、イスラエルの誕生と時期を同じくしてパレスチナ難民が発生した事件をパレスチナ人は「NAKBA(大惨事)」と呼び、この作品は事件以降の被害の歴史を広河氏自身が撮り続けた記録映像と共に伝える作品だ。

 上映会の後、話す機会を頂いた広河隆一氏の口から出た「細かいことよりもパレスチナのことがなるべく多くの人に伝わってほしい」の言葉が印象深かった。難民はいまどうしているのだろうか。

 頭の片隅にその疑問が引っかかっていたものの、今回の旅では難民キャンプに行く予定もなく難民の方々に会う機会はまずないと思っていた。それが農村訪問の中で偶然にも会うことができた。

 「クスクス」と呼ばれる家庭料理用の食材工場で働く女性はすべてが難民キャンプ出身者だった。農業のつながりの中で仕事が発生し、現金収入を手にする機会ができる。今回は、厳しい環境下で人々がつながりを持ちながら、自立できる経済圏作りあげている農村現場を訪問した。

【関連記事】
パレスチナ1948─ナクバ─
《海外映像レポート》壁に囲まれたパレスチナの農村をめぐる
大野和興:村に生き、農業を続けることが抵抗なのです

2010年2月 7日

坂上遼:「特捜検察」幻想の終焉

 不思議な思いで眺めた2月5日の朝刊各紙だった。すでに「小沢氏不起訴」を報じた毎日新聞は「朝青龍が引退」、産経も同様の生地がトップニュースになっている。こうしてマスメディアから次第に「小沢疑惑」は雲散霧消していくのだろうか。

 その5日の午後、著名な政治ジャーナリストが、会うなりこう尋ねた。

 「小沢一郎不起訴を朝日、毎日、共同に流したのは、樋渡だって、ホント?」

>>続きは「Infoseekニュース」で

2010年2月 6日

週刊朝日の山口一臣編集長が東京地検に反論! ホームページで事実関係を説明

 山口一臣週刊朝日編集長は6日、同誌ホームページ『談』に「お騒がせして申し訳ありません」というタイトルの文書を発表した。文書では、東京地検から「出頭要請」を受けた経緯、3週連続で検察批判特集を組んだ理由、東京地検から抗議を受けた2月12日号の記事の内容に絶対の自信を持っていることなどを説明している。また、文書の最後には東京地検の谷川恒太次席検事名で送られてきた抗議文も掲載されていて、それに対しては同誌来週号で上杉隆氏自らが反論を掲載するという。山口氏が発表した文書は下記URLから読むことができる。

http://www.wa-dan.com/yamaguchi/

■週刊朝日 談[DAN]
http://www.wa-dan.com/

2010年2月 5日

《速報》石川知裕議員ら3人の保釈が認められる

 時事通信によると、東京地裁は石川知裕議員ら3人の保釈を認めることを決定した。

【インタビュー記事】
政治家に訊く:石川知裕(09年10月6日掲載)

【速報記事】
■石川議員ら3人の保釈決定 東京地裁(日経)
■陸山会事件:石川被告ら3人の保釈認める 東京地裁(毎日)
■石川議員ら3人保釈決定=陸山会事件-東京地裁(時事)

上杉隆氏が東京地検宛に「厳重抗議書」を逆送付!

 週刊朝日2月12日号に掲載された記事の内容について東京地検から抗議書を送付されていたジャーナリストの上杉隆氏は、送付された文書の内容には虚偽があり、ジャーナリストとしての名誉を害するものだとして、近日中に東京地検宛に「厳重抗議書」を逆送付することが明らかとなった。上杉隆氏が、その内容の一部をホームページで公開している。公開された文書は下記のリンクから読むことができる。

http://www.uesugitakashi.com/archives/51794154.html

《海外映像レポート》壁に囲まれたパレスチナの農村をめぐる

 2月3日から12日まで《THE JOURNAL》ブロガーでもお馴染みの大野和興(日刊ベリタ編集長)氏と《THE JOURNAL》上垣はパレスチナ自治区で取材しており、現地からの状況を随時アップする。

 パレスチナから日本へ伝わる情報は、イスラエルとの争いや難民キャンプ、トンネル密輸など限られた視点に固まっている。

 《THE JOURNAL》では村を分断している「壁」に象徴されるように政治的にも経済的にも厳しい条件に置かれた住民が、どのように暮らし、課題や問題にどう立ち向かっているかを伝えていく。

 第1回目の今回は「なぜパレスチナの村を歩くのか」を大野和興氏が現地からレポートする。

 現地には大野氏の他、農民作家の山下惣一(やました・そういち)氏、ジャーナリストの西沢江美子(にしざわ・えみこ)氏なども参加しており、インタビューも掲載を予定している。

 (現地の通信状況が不安定で大容量アップロードが難しく、画質を落として放送しております。帰国後差し替えますのでどうぞご了承下さい)

2010年2月4日撮影・制作

【緊急告知】本日、郷原信郎氏に独占インタビュー

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2010年2月4日:《THE JOURNAL》編集部撮影

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【更新】インタビュー記事をアップしました

↓   ↓   ↓   ↓ 

http://opinion.infoseek.co.jp/article/750

*   *   *   *   *

本日、2月4日、政治資金規正法違反の容疑で逮捕された、石川知裕(いしかわ・ともひろ)民主党衆院議員(36)の勾留期限が切れる。

東京地検特捜部は、同日16:00より、一連の捜査についての見解を発表することになっている。

これには我々は出席することができない。

しかし、これを受けて、同日18:00より郷原信郎(ごうはら・のぶお)氏が記者会見を行うことになっている。

Infoseek 内憂外患編集部と《THE JOURNAL》編集部は合同で、この1時間前の17:15ごろより、郷原氏に独占インタビューします。

2010年2月 4日

野党が石川議員の辞職勧告決議案提出へ

 自民、公明、みんなの党の3党は、東京地検特捜部が民主党の石川知裕議員を政治資金規正法違反で起訴した場合、衆議院に辞職勧告決議案を提出する方針を固めた。ただ、民主党は決議案を本会議の採決に持ち込まない姿勢をみせており、決議案が可決されることはないと思われる。また、共同通信は、政府筋の発言として石川議員が近く民主党を離党する見通しであると報じた。

■辞職勧告決議(Wikipedia)
■自公、石川議員の辞職勧告決議案を提出へ(朝日)
■石川議員が民主離党へ 虚偽記入事件で(共同)

2010年2月 3日

郷原信郎さんのコラムに《THE JOURNAL》のコメントが引用された!

 元検察官で弁護士の郷原信郎氏が3日に日経ビジネスオンラインに寄稿したコラム「検察の『暴発』はあるのか(下)」の結びに、《THE JOURNAL》に寄せられたコメントが引用されている。

 引用されたのは、山口七郎さんが1月17日に投稿した以下のコメント。
 http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/01/181900.html#comment-39199

─────────────────────

戦時中、軍国少年だった私です。

太平洋戦線が始まった頃、学校の担任教師が『2・26事件』を論評し、政府要人を殺害した青年将校の所業について≪彼らの行為は自分の生命を犠牲にして、腐敗と悪臭に満ちた重臣たちを征伐した≫と、小学生の私たちに教えました。

戦後になって、その教師たちも、自分たちの誤りに気づいてことと思いますが、戦時中は、大多数の日本国民が、『2・26事件』の犯人(青年将校)を、そのように評価していたのは事実です。
これは戦時中に書かれた数々の書物に残っていますが、中には事件の犯人たちを≪幕末の勤皇の志士≫と同じとまでなぞらえ、称賛していた作家もいたのです。

だからこそ、事件を起こした青年将校たちは≪自分たちの政府要人たちの殺害は、昭和維新を実行する【正義の鉄槌】と信じ込み≫新聞・世論も、それを安易に容認していたのです。
その結果、あの悲惨な太平洋戦争へ傾斜していったのです。

今回の東京地検特捜部の独走は、戦前の『2・26事件』ほか、数々の≪自分たちだけが、正義である≫の誤った独断で、日本を破滅に導いた悪夢の再来としか思えません。

【自分たちたけが正しい】。こうした考え方を、凶器同然の【国家権力の逮捕権】を持っている人々が思いこんだとき、民主主義は破滅いたします。

─────────────────────

 郷原氏のコラムは小沢氏にさらなる説明を求めながらも、検察の暴走に警鐘を鳴らしている。本文は下記のリンクから読むことができる。
 
■郷原信郎:検察の「暴発」はあるのか(上)
■郷原信郎:検察の「暴発」はあるのか(下)

週刊朝日が東京地検から抗議を受ける!

 週刊朝日2月12日号で掲載されたジャーナリストの上杉隆氏による「子ども人質に女性秘書『恫喝』10時間」の内容について3日、東京地検が同誌編集長の山口一臣氏宛に抗議をしていたことがわかった。抗議に対する山口氏のコメントは以下の通り。なお、Twitter上では「山口編集長が出頭要請を受けた」という情報が駆けめぐったが、同誌編集部によると「ただいま山口編集長は不在ですが、出頭中ではなく"出張中"(東京都外)」だという。

 

ちなみに、今回の騒動に関する速報として、

週刊朝日公式HP「談」(HP下部のニュース)では、

「10/02/03 【速報】ご迷惑をおかけしております・・・」

というタイトルで後日、改めてメッセージを発信するとしている。

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山口一臣氏(週刊朝日編集長)
「記事には自信を持っている」

 2月12日号「子ども人質に女性秘書『恫喝』10時間」の記事に対し3日、谷川恒太・東京地検次席名の「抗議書」を受け取りました。記事は丁寧な取材を重ねたものであり、自信を持っております。

暴発か挫折か?瀬戸際の検察 ── 小沢政治資金問題の結着間近

takanoron.png 今週発売の『サンデー毎日』2月14日号の特集タイトルは「焦る"特捜"vs"小沢"高笑い」である。小沢が高笑いしているかどうかは別として、検察が焦りまくっているのは事実で、石川知裕衆議院議員ら3人の元小沢秘書の拘置期限切れとなる4日を前にして、その3人を政治資金規正法の「不記載」ないし「虚偽記載」で起訴するのは不可能ではないけれども、本命の小沢一郎幹事長をその「共犯」で起訴に追い込めるかどうかはまことに疑問で、ギリギリの判断を迫られている。

●小沢は不起訴か?

 TBSのニュースサイトは昨夜、「東京地検、小沢氏不起訴で最終検討」という観測記事を出した。検察リークには、こういう情報を1社にだけ流して被疑者側の反応を計ったり、油断させて裏を掻いたりするケースもあるから、素直に信じる訳にはいかないが、検察が少なくともこの段階で小沢を正面切って逮捕・起訴することは断念し、政治資金規正法違反の共犯で在宅起訴するのが精一杯、それも諦めて不起訴とするかどうかの苦衷の選択に追い込まれているのは確かだろう。

 TBS記事は次の通り。

▼民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部は、小沢幹事長を不起訴処分とする方向で最終的な検討を行っていることがわかりました。

▼この事件をめぐっては、収支報告書に嘘の記載をしたとして石川知裕容疑者ら3人が逮捕されています。3人は調べに対し、いずれも小沢幹事長の直接的な関与を否定しているもようです。

▼特捜部は最高検などと協議を行っていますが、現状では小沢幹事長の関与を立証するのは困難として、小沢幹事長について不起訴処分とする方向で最終的に検討してるということです。

▼小沢幹事長を不起訴処分とすることについては、検察内部で一部、異論も出ているということで、特捜部では3人が拘置期限を迎える4日をめどに最終的な判断をする見通しです......。

 繰り返しになるが、そもそもこの件は、「帳簿の付け間違い」という程度のことで、修正すれば済むことである。それを、現職国会議員を逮捕してまで無理矢理犯罪に仕立て上げようというのが無茶な話だし、ましてや帳簿付けのいちいちにまで関与しているはずがない小沢を共犯で引っかけるなどというのは、郷原信郎の表現を借りれば検察の「暴発」で、こんなことがまかり通るなら、検察が自分らの勝手な基準(というか好み)でどんな政治家でも罪に陥れることが出来る「検察テロ国家」になってしまう。

●「水谷裏献金」の無理

 それが無茶であることは検察としても百も承知なので、そこで、同時期の水谷建設からの5000万円の裏献金が不動産購入の原資の一部となったというお伽噺をデッチ上げて、単なる形式犯でない重大かつ悪質な犯罪であるかのような粉飾をこらそうと謀った。その唯一の手掛かりは、水谷建設の元会長が石川に5000万円を渡したと供述していることだが、この供述の信用性は極めて薄く、しかも石川は一貫して受け取ったことを否認しているようだ。考えられるのは、

(1)元会長が検察に脅されてありもしないことを言った(よくあることだし、元会長には虚言の前歴がある)、
(2)水谷側が元請けの鹿島建設に対し「小沢事務所への挨拶料がかかった」と言ってその分を下請代金に上乗せして受領した(よくあることだ)が、実際には小沢側に支払わずにネコババしてしまった(これもよくあることだ)ので、鹿島の手前、「渡した」と言わざるを得ない、
(3)石川は本当に受け取ったけれども自分でネコババしてしまった(これまたよくあることだ)ので、小沢の手前、「受け取っていない」と言わざるを得ない、

 などである。どちらにしても石川は、検察の思い通りの供述をすることはないだろうし、水谷の元会長の供述も公判段階で覆る可能性があるので、これは無理筋である。

 さらに、仮に石川が受領を認めたとしても、それが不動産購入資金となったことを証明するのはますます難しい。石川が、「不動産購入の資金が足りないので金を出せ」と水谷側に働きかけたとか、水谷からの5000万円が封も切らずに置いてあって石川が小沢に「ここに水谷からの5000万円があるのでこれも購入資金に使いましょう」と言い、小沢が「おうそうか」と答えたとかいう経緯が明らかにならなければ、このプロットは成り立たない。

 そうしてみると、3人の元秘書を起訴すること自体、常識外れのことであり、ましてや小沢を引っかけることなど出来るはずもないのだが、検察としてはここまでマスコミを使って煽っておいて、今さら後に引けない。何としても3人は起訴し、出来れば小沢も在宅起訴、それが難しければ、ここでは不起訴としておいて、二木啓孝が本サイトで言っているように、今回の押収資料から別の脱税など別件を見つけ出して、通常国会終了後、参院選前に小沢を逮捕するということだろう。しかし、その間にも「可視化法案」など民主党政権による検察改革が着手される。例え小沢が不起訴となっても、小沢vs検察の戦いはまだまだ続くことになろう。▲

特別企画:この国の正体(8)

《THE JOURNAL》の過去記事をピックアップし、日本の権力構造をあぶりだす特別企画「この国の正体」。第8回は09年4月4日に掲載された田原総一朗氏の「検察の言いなりになるメディア」です。

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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「検察の言いなりになるメディア」 09年4月4日掲載
http://www.the-journal.jp/contents/tahara/2009/04/post_115.html

 今回の小沢問題で、はからずもメディアはその欠陥を露呈した。

 たとえば、3月3日に小沢さんの公設秘書である大久保隆規氏が逮捕されたが、その日の夕刊から大久保氏に関する情報がどんどん流れた。そのほとんどは検察のリーク情報であり、事件発覚当初から、新聞やテレビは検察からのリーク情報にのせられて報道していた。

 ところが、ある時期から検察が情報の出し方にブレーキをかけるようになった。しかも、メディアに「書くな」という圧力をかけ、メディアもそれに従うようになった。

 なかでも典型的なのは、民主党の小沢代表の元秘書である石川知裕衆院議員(民主)が事情聴取を受けたときだ。新聞は、石川氏が事情聴取を受ける前から彼を犯人扱いしていた。ところが、その次に同じく小沢氏の元秘書である高橋嘉信元衆院議員(現在は小沢氏と仲違いし、岩手4区で自民候補として出馬予定)が事情聴取を受けたとき、メディアは何も報じなかった。事情聴取を受けた後、少し書いただけだ。石川氏と高橋氏は元秘書という同じ立場にあるにもかかわらず、である。

 では、なぜ新聞やメディアは報じなかったのか。私は、そのことについて報道関係者に「なぜ書かないのか」と問うた。すると、「圧力がかかったからだ」と言う。私が重ねて「そんなことで検察の言うことをきくのか」とたずねると、「きく」という。なぜなら、検察の言うことをきかなければ、記者は一切情報がもらえない。だから書かない。つまり、新聞やテレビは検察に「書け」と言われれば書き、「書くな」と言われれば書かないのだ。

 少し前までなら、検察のリーク情報でも自ら裏取り取材をしてから報じていたと思う。ところが、現在では裏取りのない情報がそのまま新聞やテレビで報じられている。今回の事件では検察の劣化が指摘されたが、メディアの劣化もすすんでいることは間違いない。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部)

2010年2月 2日

暴走する検察が子どもを人質に石川議員の女性秘書を約10時間拘束!

 『週刊朝日』2月12日号に掲載されたジャーナリストの上杉隆氏による「暴走検察 子ども"人質"に女性秘書『恫喝』10時間」が話題を集めている。

 記事によると、1月26日に石川事務所の押収品の返却について検察から呼び出しを受けた石川議員の女性秘書が、検察庁に到着して「民野健治」という担当者と話すと、そのまま携帯電話を切るよう命じられ、その後約10時間にわたって取調べを受けたという。だが、女性秘書は約3年前に石川議員の秘書として働きはじめたばかりで、いま問題となっている2004年の陸山会の収支報告書については何の知識も持っていない。しかも、女性秘書には3才と5才の子どもが保育園に通っているにもかかわらず、保育園の閉園時間である午後7時になっても夫や知人に電話することすら許さなかったという。そのほか「権力はここまでやるのか」と思わせる事実が詳述されている。

 これは余談だが、親会社と違って先々週号から特捜検察という巨大権力に敢然と立ち向かっている週刊朝日は、売れ行きも好調なようだ。それに影響されたのか、『週刊ポスト』や『サンデー毎日』も検察批判の姿勢を打ち出しはじめた。ネット上ではすでに検察批判が盛り上がりを見せているが、週刊誌も独自取材によって次々と新事実を報じている。

2010年2月 1日

堀江貴文:検察の目的は民主党政権の司法制度改革を阻止すること

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東京地検特捜部と政権与党民主党の小沢幹事長との戦いがいよいよ佳境に入ってきた。既に民主党が政権を取る前に大久保元秘書を逮捕起訴していたが、この時は同様の政治資金規正法での記載ミスが自民党の複数議員にもあったのに摘発されないとして非常に不公平感が漂ったものの、小沢幹事長は当時民主党代表を辞任することになる。その後民意は民主党政権を選んだ。しかし、小沢幹事長周辺の捜査は続いていたのだ。国会会期のスタート3日前に元秘書だった民主党の石川議員らを逮捕した。容疑は政治資金規正法違反。石川議員は少なくとも記載ミスは認めていた模様で、いわゆる罪証隠滅の恐れもなく現職の国会議員が逃亡するはずもないから逮捕は明らかに行きすぎであり、本丸の小沢氏の立件に向けた別件逮捕と言わざるを得ないだろう。

筆者も体験したことがあるが、東京拘置所の独房での身柄拘束の辛さといったらない。接見禁止措置で捜査中は弁護士と1日30分程度面会できるだけで、あとは取調か独房で孤独な日々を送るだけである。そんな異常な精神状態の下、ボスを立件するためにプレッシャーを掛けつづけられる。ボスである小沢幹事長の関与を少しでもいいから認めないと独房にずっと閉じ込めておくというくらいの精神的拷問を食らうのである。特捜部の目標は小沢氏の立件だ。最低でも在宅起訴に持ち込み民主党からの離党と出来れば議員辞職を獲得したいところだろう。しかし本来あり得るべきでない検察からのリークと思われる大手マスコミ報道を見る限りなかなか厳しそうである。彼らは政治家の汚職を摘発し正義を貫く事が正しいと思い込んでいるが、実際は民主党政権による司法制度改革で検察の権益が縮小することを恐れているはずだ。当然表立ってそれを認めることはなかろうが、客観的に見れば司法制度改革を阻止することが彼らの主目的であり、小沢氏は徹底抗戦してその検察と全面対決してほしいところである。大丈夫それくらいで自民党を利することはなかろう。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ。株式会社ライブドア元代表取締役社長CEO。著書に、『徹底抗戦』(集英社)『なんかヘンだよね・・・』(集英社)『人生論』(ロングセラーズ)『「希望」論』(サンガ)などがある。

六本木で働いていた元社長のアメブロ
http://ameblo.jp/takapon-jp/

小沢幹事長が記者会見で進退に言及

 民主党の小沢一郎幹事長は1日、党本部で行われた定例記者会見で、東京地検が小沢氏を起訴した場合には何らかの形で政治的責任をとる考えがあることを示唆した。

 会見で小沢氏は進退問題について問うた記者に対し、「私は一切ヤミ献金や裏金などの不正なカネを受け取っていませんので、その意味で刑事責任を問われるということは想定していません」と疑惑を否定しながらも、「もし、そういうことが仮にあるとすれば、責任は重い」と答えた。

【記者会見動画 URL】
http://www.dpj.or.jp/news/?num=17638

特別企画:この国の正体(7)

《THE JOURNAL》の過去記事をピックアップし、日本の権力構造をあぶりだす特別企画「この国の正体」。第7回は09年3月28日に掲載された田中良紹氏の「ガセネタ溢れる日本」です。

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田中良紹氏(ジャーナリスト)
「ガセネタ溢れる日本」 09年3月28日掲載

http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2009/03/post_152.html

 私が「報道特集」のディレクターをしていた頃、プロデューサーから「売り込みネタがあるから話を聞いて番組にしろ」と言われた。某地方局からの「売り込み」で、「広島と長崎の両方で被爆をした珍しい人物がいる。その人物を取材してドキュメンタリー番組を作ったら、ローカル局の大会で優秀賞を取った。出来ればこの話を全国ネットで放送して欲しい」と言う「売り込み」だった。

 その人物は被爆者団体の幹部を務めていた。住まいは関西だが「反核運動」などで時々は上京する。たまたま「反核運動」の全国大会が東京であり、上京した本人と面会した私は、珍しい被爆体験の話を聞いた。本人によれば、戦時中陸軍の航空隊に所属し、偵察飛行を任務としていた。8月6日に偵察のため調布飛行場を飛び立って太平洋を南下すると、眼下に日本に向かう米空軍爆撃機の機体を見つけた。後を追尾すると爆撃機は広島方面に向かい、その後白い閃光に目がくらんだ。キノコ雲が立ち上る広島の上空を飛行し、水を求めて川に向かう被爆者の姿を上空から見た。その時飛行機の風防ガラスを開けたために空中被爆した。

 調布飛行場に帰還してその事を上司に報告したが、真剣に聞いてくれなかった。翌日、戦局ますます多難のため部隊に鹿児島移動の命令が出た。8月9日、沖縄の米軍偵察のために飛び立つと長崎方面に再びキノコ雲を発見し、この時も原爆投下直後の長崎市を風防ガラスを開けて低空飛行で見た。そのため二度にわたって空中被爆した。本人はそう語った。

 地方局が番組にしたとはいえ、私はにわかに信じがたく、ウラをとるため所属部隊名や上官、同僚の名前などを本人から聞き出した。旧陸軍の名簿を探し出し、上官の居所を突き止めるのに1週間ほどかかった。上官は群馬県に住んでいた。訪ねていくと快く会ってくれたが、被爆者団体幹部が言う話は記憶になかった。しかし彼が部隊に所属していた記憶は甦ってきた。その男はパイロットではなく整備士だった。従って偵察機には搭乗出来ない。部隊に所属していたことが事実なら彼は被爆する筈がなかった。話は作り話と思われた。

 ところが彼は被爆手帳を持っている。なぜ手帳が入手出来たのか。しかも今では被爆者団体の幹部である。この事実を暴く方が報道の使命ではないかと思った。私は男の関西の自宅を訪れた。近くに田圃が広がる郊外に質素な住まいがあった。貧しい暮らしである事は一目瞭然。上官に確認し、彼の話が嘘であることを突き止めた事は言わずに、被爆手帳を入手した経緯だけを取材した。話を聞きながら私には、戦後の混乱期を生き抜くためにどんな嘘でも突き通さざるを得なかった日本人の姿が浮かんできた。被爆者を装う以外に生きる術はなかったのかもしれない。

 本来ならば社会を欺いてきたこの男を糾弾することが報道の使命と思いながら、私はこの取材を終わりにし、知り得た事は胸にしまい込もうと考えた。私の判断が正しかったかどうかは今でも分からない。しかしそれよりもなぜ地方局はウラも取らずに番組を作ったのかとその事だけが悔やまれた。20数年前の話である。

 この話を思い出したのは、日本テレビが「真相報道バンキシャ!」で虚偽報道を行い、また西松建設の事件を巡って新聞・テレビが数々の虚偽報道を続けているからである。「真相報道バンキシャ!」は、番組が「たれ込み」を求め、「たれ込み」をしてきた話のウラも取らずに「真相」として報道した。画面に顔を映さず、声も音声を変えた「おどろおどろしい」演出で、いかにも秘密を知る人物が「真相」を語っていると視聴者に思わせるやり方である。それが全くの嘘だった。

 西松建設の事件でも民主党の小沢代表が「続投表明」の記者会見をした直後に、NHKは「秘書は容疑を認めて自供した事が関係者を取材した結果分かりました」と報道した。それを聞いて私は不思議な報道だと首をひねった。NHKは誰に取材したのか。「自供した」事が分かるのは取り調べた検事か、自白した本人に聞くしかない。おそらく検察に取材した結果だろう。ではウラは取ったのか。ウラは本人に聞くしかない。NHKが「分かった」と言うのは本人にウラを取っていなければ言えない話だ。どのようにして拘留中の本人に聞いたのだろう。

 これがまともな報道機関なら、「検察が自供したと発表した」と報道し、一方の主張だけでウラは取っていないことを明示する。よりしっかりしたメディアなら「検察は自供したと発表したが、被疑者に取材をしていないので確認は取れていない」と報道する。ところがNHKは「分かった」と断定した。これは秘書が否定すればNHKが意図的に「誤報」を流した事になる。

 私の想像では、検察は「検察が発表した」と言われると困る。なぜならそれは嘘だから。だから「検察」と明示しないようにNHKに要請し、NHKはその要請を受けて嘘だと知りながら「関係者への取材で分かった」と自らの判断という体裁を取った。権力をかばったことになる。おそらくはその報道でどこからも指弾されないと甘い見通しの下にやったのではないか。

 「真相報道バンキシャ!」の誤報問題で日本テレビの社長は辞任したが、私は社長が辞任した程度で済む話ではないと思っている。少なくも欧米でこの様な問題が起こればその程度では済まない。なぜなら民主主義の根幹を揺るがす大問題だからだ。社会主義国家や独裁国家と違って民主主義国家は極めて繊細に出来ている。何事を決めるにも時間が掛かるし、手間も掛かる。何せ民主主義は「愚かな」国民に判断をさせ、それが「愚か」な結果を生まないようにしなければならないから、それだけ大変である。

 民主主義を「最悪の政治体制」と言ったのはチャーチルである。なぜなら国民は判断を間違えることが多いから。しかしチャーチルは「それでも他の政治体制よりはましだ」と言った。国民が自分で判断を間違えて苦しむのは自業自得だが、独裁者や官僚の判断の間違いで苦しまされてはたまらない。だから民主主義の方が「まだまし」なのである。従って民主主義にとって最も重要な事は、国民の判断を左右する「情報」である。

 民主主義社会の新聞やテレビは「社会の公器」と呼ばれ、他の企業より税制でも何でもとにかく優遇されている。それがウラも取らずに嘘を流したというのであれば社長辞任程度ではないだろう。潰されて当たり前だ。テレビ局は「国民の電波をお借り」して営業させて貰っているのだから、国民が「電波を返せ」と言えば返さなければならない。国民は電波をもっとまともな人たちに与えるよう総務省に命令すれば良い。

 それを総務省がやらないなら、国民が「不買運動」を起こす事だ。日本テレビを「視聴しない運動」やNHKの「受信料不払い運動」を起こせば二つとも簡単に潰れる。それより運動が起これば両社は慌ててまともになるよう努力するだろう。消費者が自らを守る方法は、消費者庁を作って官僚に守って貰う事ではない。「不買運動」をして悪徳企業を潰す方が効果的である。このところ嫌と言うほど味わったメディアの情報被害から国民を守るためには「見ない」、「読まない」運動を起こすことだ。新聞とテレビがなくともこの国は潰れない。そしてそうなれば傲慢なメディアも初めて自らを省みる事になる。

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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