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2009年10月31日

たばこ税引き上げ、厚生労働省が税制改正要望

30日、厚生労働省は政府税制調査会に提出する平成22年度税制改正要望で、たばこ税に関して、29日の段階でかたまっていた「1本当たり10円の引き上げ」との金額明示を見送り、引き上げだけの記載にとどめた。

仮に、1箱20本入り300円のたばこの場合、一気に500円に跳ね上がる。

これは、社会保障費の財源確保がおもな目的なのだが...

JTウェブサイトを見ると、

増税しても思惑通りの税収は得られません。
平成10年から平成18年にかけて三度の増税が実施されましたが、販売数量の減少により税収は増えていません。

と書いてある。

値上げにより見込まれる税収と購買(喫煙者)の減少とのバランスは、なかなか思うようにいかないのが現状。

この辺りの話は、業界きって?のヘビースモーカー:高野孟のINSIDER記事(下記)を参照ください。

記事中にもありますが、喫煙家の「(値段が上がって)吸い続けるか止めるか」という判断は、微妙な価格帯で揺れ動く。

その辺りを念頭に置きながら読んでいただくと、よりおもしろいです。

INSIDER No.446《TASPO》タスポ・カードの怪──喫煙は悪なのか善なのか?
http://www.the-journal.jp/contents/insider/2008/06/insider_no446taspo.html

INSIDER No.447《TASPO》タスポ・カードの怪(続)──タスポ・カードの普及率は22%
http://www.the-journal.jp/contents/insider/2008/07/insider_no447taspo22.html

関連記事
菅副総理 たばこ税は「欧米並みに」[MSN産経ニュース](10/20)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091020/fnc0910201259016-n1.htm

たばこ税
たばこの価格には「国たばこ税」「地方たばこ税」「たばこ特別税」「消費税」の4つが含まれています。税率が6割を超える最も税負担の大きな商品の1つです。1箱300円のたばこの場合、国たばこ税 ─ 71.04円、地方たばこ税 ─ 87.44円、たばこ特別税 ─ 16.40円、消費税 ─ 14.28円、となり、189.16円も税金がかかっています。

2009年10月30日

ビデオニュースドットコムがコールイン番組を無料生放送中!(30日20:00〜)

 神保哲生さんが主宰するビデオニュースドットコムで、民主党議員をスタジオに招いたコールイン番組を生放送中です。現在、視聴者からの電話質問も受け付けています。みなさんぜひご覧ください!

http://www.videonews.com/on-demand/441450/001268.php

【各議員の出演予定時刻】
福山哲郎 外務副大臣    20:00~
大塚耕平 内閣府副大臣   21:10~
細野豪志 民主党副幹事長  22:40~

2009年10月29日

鈴木宗男×高野孟、対談決定!沖縄核密約・北方領土・日米同盟

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写真:2009年10月30日編集部撮影

10月18日の《THE JOURNAL》記事、

前原国土交通相「北方領土は不法占拠だ!」
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_395.html

で、ふれておりましたように、鈴木宗男(すずき・むねお)[新党大地代表、衆議院外務委員長]×高野孟(たかの・はじめ)[《THE JOURNAL》主幹]の対談が決まりました。

テーマは...「外務省を改革せよ〜沖縄核密約・北方領土変換・日米同盟の今後」です。

収録後の放送となりますが、放送日が決まりましたら、お知らせいたします。

関連記事
前原国土交通相「不法占拠だ!」発言にロシア「遺憾だ」
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_397.html

北方領土問題
太平洋戦争直後、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦、現ロシア)が北方領土(国後島・択捉島・色丹島・歯舞群島)に上陸し占領、以来現在に至るまで実効支配されており、日本は固有の領土としてその返還を求めている。

中川秀直元幹事長が町村派を退会

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写真:2009年10月14日編集部撮影

自民党の中川秀直(なかがわ・ひでなお)元幹事長は29日、所属する町村派を退会したことを自身のブログで発表した。

中川秀直公式ブログ「トゥデイズアイ」より抜粋

───────【抜粋記事】───────

【脱派閥・脱官僚の新しい政治の確立に向けて】

本日、清和政策研究会を退会いたしましたので、ご報告いたします。

清和政策研究会には多くの思い出がありますが、とりわけ、小泉構造改革を同志とともに支えることができたのは私の誇りとするところです。

しかし、先の総選挙での厳しい審判を受け、今や、派閥政治からの脱却を図るべきときと考えます。

今後とも、自らの信条に従い、脱派閥・脱官僚の新しい政治の確立に向けて、同志議員とともに力を尽くしてまいります。ご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

10月29日
中川秀直

────────────────────

なお先日《THE JOURNAL》取材班のインタビューではでは「新しい政治の確立」について、

「新しいエネルギーがまた生まれてくるかもしれないね。それがいつか、どういった格好で生まれてくるか」と新党結成をほのめかす発言をしていた。

■【News Spiral】中川秀直:自民党は消滅する!?(10/16)

2009年10月28日

続・行政刷新会議、小沢幹事長「新人外せ」

先日25日の《THE JOURNAL》「行政刷新会議、小沢幹事長「新人外せ」」の記事において、「掲載するにあたっての裏取りが不十分ではないか?」など、ご指摘をいただきましたので、補足という形で[続編]を掲載させていただきます。実名を出せない箇所もありますがご了承ください。

前回の記事
↓ ↓ ↓
行政刷新会議、小沢幹事長「新人外せ」
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_406.html

26日、ゲストが仙谷由人(せんごく・よしと)行政刷新相だということもあり、二木啓孝(ふたつき・ひろたか)氏のはからいで『INsideOUT』(BS11、22:00~)におじゃましました。

番組内で、この件について説明されていますので、テキスト化しました。

以下、仙谷行政刷新相(青字)--------------------

(仙谷さんを中心に行政刷新してゆく中、ちょっと我々が「おやっ?」と思ったのは、10月22日に行政刷新会議の第1回目があって、いよいよ始動するという中で、具体的にはワーキンググループ、鳩山さんはテレビドラマになぞらえて「必殺仕分け人」という言い方をしたのですが、枝野さんがワーキンググループを作って、3つに分けた中で、今度当選した人の14人を入れた、と、どうもこれに対して党の方から、「新人はそういう役につけてはいけないんだ」というようなことで、途中でワーキンググループがストップしてしまったと、一般論で言うと、党をたばねている小沢さんサイドが引き戻したんじゃないかと)

(実は今日、小沢幹事長の会見があって)

あ、そうですか!

(そこのついてふれた部分がありますので)

はい、はい、はい。

(ちょっとVTR見てみましょう)

<ここから小沢幹事長記者会見>

ベテランの人でもなかなか難しい問題で、単なる議員がいっぱい参加したということだけじゃなくて、実質的にやっぱりきちんとむだを省くなら省く、そのためには何が必要かというと、やっぱり大きなビジョンと、そして官僚をきちんと説得できる見識と、考え方を示さないと、ちょっとプロセスも、全く党が知らない間に進んでたし、ちょっと何をするのかなという内容の点についてもよく分からないので、改めて説明を聞いて相談したいと思っています。

<小沢幹事長記者会見ここまで>

(つまり、こういう仕事は大きなビジョンと、官僚を説得できないといけない、と、逆に言うと新人はできないじゃないかという風な聞こえ方もするのですが、ただ私はこの14人の新人ていうのは、仕事をしながら政治をおぼえていくような、ましてこの中に5人くらい官僚出身の人がいるとすれば、省庁の「ヘソ」みたいなことはよく分かった人たちなので、即戦力になるんじゃないかな、という気もしてたのですが、この、人の入れ替えはどうかな、担当大臣としては、この流れはどういう風にご覧になりますか?)

う〜ん、まあ、あの、それは、どうなるか、ここから一両日に決めなければならないと思っているんですけれども、まあ、小沢さんは小沢さんなりのですね、1年生の14人だけがそういうところにピックアップされるとですね、その人たちがむしろ、いろんな、メディアポリティクスというか、テレビが殺到してですね、余分にスポットライトがあたるとですね、その人たちにとっても今後にとってもよくないんじゃないかというような、あの、ある種の親心というか配慮が、今のテレビ[小沢幹事長記者会見VTR]を拝見すると、そういうのがあったのかなと。

たからその、1年生でそういうビジョンと見識、あるいは鑑識力があるかないかというのは、これは人にもよりますよね、そういう人もいればそういうことができない人もいると、いうことなんだけど、やっぱり1年生の場合には、まあ、統一してというか、特に出だしのところですから、あんまり、引き抜かれてですね、抜擢されたとかなんとかみたいな感覚ですね、私はそういうところに呼ばれなかったみたいな感覚も一方に出てくるでしょうし、それがやっぱり、これからの、小泉チルドレン化を避けることにとってはわりと必要なのではないかという判断をされてるのかな、という風に今見ましたけどね。

(政権交代をしても、メディア側が古い価値基準で見てるのではないかと、小沢さんがなにかやれば全部、二重権力とか裏支配というような形でどうしても見がちなところがあるんですが、どうもこういうのが、さあいくぞ行政刷新会議という時に、こう、「かくっ」とけつまずかれるみたいな)

(仙谷さん、そういう意味では、我々外野の声みたいなのがあるわけなんですが、このへんはどうですかね、気にはなります?)

気にしてもしょうがないですねどね。

いずれにしても、ある種の、その人の見方、憶測、なんとかの勘ぐりみたいな話というのはですね、必ず出てきますよね。

それは、あの、まあ、そうは言っても、やっぱり、売るための紙面作りもがんばっていただくとして。

----------------------------------------

= 松田喬和(毎日新聞論説委員)氏のコメント =

これは、政務は鳩山さん、党務は小沢幹事長に任せます、という、分担行政になってるわけですね、そこのところの、我々も危惧してた「分担」というのは、はたして成立するのだろうか。

政党内閣ですから、代表は鳩山さんで幹事長が小沢さんなので、それを党務と政務に分担して成り立つのか、という風な危惧をしていたのですが、今度の問題はまさにそこの矛盾点というか、つまり、本来でいけば政府与党一体なのに、「政府と与党とはちがいまっせ」という分け方になったわけですね。

これが分担で終わるのか、それとも、二重権力みたいな形になってしまうのか、このケジメはきちっとつけてゆかないと、これから、あらゆるところで問題がおきてきてですね、手続き論だけじゃなくてですね、なんとなく分担というのが二重権力みたいに思われてしまうと、せっかくの民主党のフレッシュ感が失われてしまうのではないか、と、また同じようなことをやるのか、と、いう風になってしまうとですね、自民党時代、党の横槍を批判したわけですから、そこのところがはたして、うまく回転してゆくのかどうかと、この処理具合は、注目してゆきたいと思いますし、注目しなければならないと思いますね。

----------------------------------------

ここからは「編集部が永田町関係者より聴取」した記事になります。

予算の無駄を洗い出すための事業仕分けをするワーキンググループは、枝野幸男(えだの・ゆきお)元政調会長を統括とし32人(3チーム)で構成されるが、今回の件は、23日に2チーム分の作業が終わったところで、党側から「32人中14人を占める新人議員の参加に23日午後ストップがかかった」というもの。

小沢一郎(おざわ・いちろう)幹事長を筆頭に、現在、民主党新人議員143名は10班に振り分けられ、日々研修を受けているのだが、ワーキンググループに参加する新人議員は、とうぜん、研修を休むことになる。

このような状態の中...

この班にはおのおの班長なる先輩議員がいて、その班長の1人、松木謙公(まつき・けんこう)氏が、同班の新人議員に、「研修に参加しないことに対し小沢幹事長が怒っている(というニュアンス)」ともらし、それを受けた新人議員から枝野元政調会長に伝わった。

仙谷由人(せんごく・よしと)行政刷新相は枝野幸男元政調会長に人選を任せていたため、その内容の全ては知らなかっただろう。

また、平野博文(ひらの・ひろふみ)官房長官も事業仕分けグループの人選を知らなかったのか?については、「知らなかったとは思うが、知っていたとしても、平野氏は鳩山命だから小沢幹事長とのもめ事は得策ではないと思い、伝えなかっただろう」とのこと。
(26日午後の記者会見で平野官房長官は連携不足を認め、小沢幹事長に陳謝したことを明らかにしている)

関係者からは、さらに、「今回の件で小沢幹事長の意向で動いた人間は少なくとも5人はいる」と聞いている。

どう経由して伝達がなされたかは不明だが、26日の小沢幹事長の記者会見からも、本人が不満に思ったのは明らかであるし、それ以外の人間が仕切り直しをするとは考えられない。

2009年10月27日

仙谷行政刷新相、ワーキンググループの活動はインターネット中継で

2009年10月22日の《THE JOURNAL》記事、

文部科学省も会見開放へ
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_400.html

の中で、

本欄とは直接関係ないのですが、テレビで盛んに報じられている「行政刷新会議」は、公開とのことですが、PCで見るにはどうすればいいのか、ご存知でしたら教えてください。
投稿者: おちあい | 2009年10月22日 12:15

という投稿がありましたが、昨日26日、二木啓孝(ふたつき・ひろたか)氏のはからいで、『INsideOUT』(BS11、22:00~)におじゃまし、番組内で、ゲストの仙谷由人(せんごく・よしと)行政刷新相がこの件についての説明をされており、「生」で聞いてまいりましたので、「現状のお答え」という意味でテキスト化させていただきました。

PCで視聴できるようなものを基本に検討されているようです。

欲を言えば、「動画の埋め込みタグ」も公開していただき、とこにでも貼り付けられるくらいのサービスをしていただきたいものです。

以下、仙谷行政刷新相(青字)------------------

(今回のワーキンググループのやることをオープンに)

少なくとも「インターネット中継」だけはやろうと。[思ってる]

テレビカメラをどのように入れていただくのかっていうのは、ちょっとね、あまりにも役所の方に失礼だと言うか、その人のお子さんとか奥さんとか、ご家族がそこにね、あまりにも厳しい反応が出てくるような、可能性もあるから。[←例えば、つるし上げにあった人の子供が学校に行っていろいろ言われるということ]

必ずしもそのことで、国民の共感をよぶということではなく、やっぱりその、事業そのもの、それから、そのことに対する官僚の方々の対応というものは、公開をさせていただいた方がいいだろうと思っていますが、ちょっとまだ今のところ、テレビカメラをどのようにお願いするのかということはですね、やっぱり、顔の表情までアップでいくとなかなかキツいなというのもあるみたいですからね。

(ただ、どうしてこういう予算立てをしたのかというのは、当事者に聞いてみないと分からないから、それはやっぱり公開してもらうとして、プライバシーを守るとするならば、例えば、その事を答弁する担当の役人は「磨りガラス」の裏に入れて)

う〜ん、なお犯人あつかいみたいになっちゃう。

(そうすると、顔は映さないっていう、なんか)

クローズアップしないということでしょうね。

固定カメラでやってもらうみたいな話。

(遠くからみたいな話になりますかね)

この頃のカメラ、性能いいからね。

(透明な議論をすることによって、また、情報をオープンにすることによって、けっこう実はマズいということが当事者達にも分かるのかな...と思うんですけどね)

ということだと思いますね、はい。

「新しい公共」への価値転換の呼びかけ ── 理念重視の鳩山所信表明演説

takanoron.png 鳩山由紀夫首相の初めての所信表明演説に対する明日のマスコミの論評は、読まなくても判っていて、「抽象的なことばかりで具体性に乏しい」という基調に立って、あれが足りない、これも甘いと、ないものねだりを並べ立てるに決まっている。しかし、この混沌の時代にあってはとりわけ、政治家の第一の仕事は、たとえ「夢みたいなことを言って」と腐されようとも、自らの信念に従って愚直に大理念を語ることであって、その意味ではこれは、旧政権時代には慣例となっていた官僚的な文脈と用語を一切排除して、国と社会の進むべき道筋を自分の言葉で国民に語りかけた画期的な演説だったと言えるのではないか。以下、注目すべきキーワードを拾う。

●無血の平成維新

「日本は、140年前、明治維新という一大変革を成し遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、いわば、『無血の平成維新』です。今日の維新は、官僚依存から国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への、国のかたちの変革の試みです」

 小沢一郎も鳩山も、「明治以来100年余の官僚主導体制を打破する革命的改革」こそが政権交代の意義であることを繰り返し語ってきたが、それがここでは「無血の平成維新」という表現を与えられている。このように捉えることが、一個の歴史観の提示であり、それに基づく自分らの政権の歴史上での位置づけの宣言である。

 その維新は、当面、「これまでの官僚依存の仕組みを廃し、政治主導・国民主導の新しい政治へと180度転換させよう」とする一連の体制づくりの下での「戦後行政の大掃除」として始まった。その大掃除は2つの面があり、「1つめは組織や事業の大掃除」である。行政刷新会議を中心に「政府はすべての予算や事務・事業、さらには規制のあり方を見直し......税金の無駄遣いを徹底して排除するとともに、行政内部の密約や省庁間の覚え書きも世の中に明らかにしてまいります」

「もう1つの大掃除は、税金の使い途と予算の編成のあり方を徹底的に見直すこと」で、国家戦略室を中心に「縦割り行政の垣根を排し、戦略的に税財政の骨格や経済運営の基本方針を立案していかなければなりません」

●人間のための経済

 その「経済運営の基本方針」はこれから立案するのだろうが、骨格となる考え方はすでにここに示されている。

「私は、『人間のための経済』への転換を提唱したいと思います。それは、経済合理性や経済成長率に偏った評価軸で経済を捉えるのをやめようということです。経済面での自由な競争は促しつつも、雇用や人材育成といった面でのセーフティネットを整備し、食品の安全や治安の確保、消費者の視点を重視するといった、国民の暮らしの豊かさに力点を置いた経済、そして社会へ転換させなければなりません」

 これは、米国流やその小泉亜流の行きすぎた市場主義への批判を含むと同時に、それだけでなく、それこそ過去100年余りの官僚主導による「追いつき追い越せ」の成長至上主義への批判をも含んでいるように見える。別のところで鳩山は「大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない」と言い、さらに別のところでは「国民生活の現場においては、実は政府の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するうような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません」とも言っている。

 そこですぐに聞こえてきそうな批評は、「大きい政府なのか小さい政府なのか、どっちなんだ」というものだが、欧州ではとっくに、そしてオバマ政権になってからの米国でもすでに、そのような「政府の介入か市場の自由か」という二者択一的な問題設定は過去のものとなっており、その両者の最適ミックスを求める"第3の道"の探究こそが政治の役割となっている。それが日本でも始まったということではないか。

●地域主権改革

「『人間のための経済』を実現するために、私は、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための『地域主権』改革を断行します」

 官僚主導体制とのせめぎ合いは、当面、国家戦略室を司令塔とし行政刷新会議を前線部隊として始まっていく。が、本論説や私と斎藤精一郎教授との対談で触れてきたように、それはしょせんは過去の中央集権国家の下での空中戦であり、出来ることもあれば出来ないこともある。政権の最初の4年間に、その成果と限界を国民の眼前に晒しながら、4年後の次期総選挙もしくはダブル選挙では、民主党は、「だから、これ以上の改革を進めるには中央集権国家の廃絶と地域主権国家の創設が必然なのだ」と言い放って、その具体的プログラムを示して国民合意を求めることになるだろう。

 今は、国会=政治家と官僚体制との空中戦的せめぎ合いとして始まった変革が、それでは完結せずに、地域主権国家への転換という形で地上戦に持ち込まれなければならず、ということはどういうことかと言えば、国民が自ら本当の意味の主権者としてこの国を治める意思を形成できるのかどうかがこの政権の消長を決めるということである。

「いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのかは、本来、地域の住民自身が考え、決めることです」

「こうした改革の土台には、地域に住む住民の皆さんに、自らの暮らす町や村の未来に対する責任を持っていただくという、住民主体の新しい発想があります」

 大変なことを鳩山は国民に求めている。「大きな政府か小さな政府か」というのは、政府はどれだけのことを国民にしてくれるのかという旧来型の発想の下での程度問題にすぎない。そうではなくて、地域住民である国民が自分の地域と国とアジアと世界をどうしたいのかがまずあって、中央と地方の政治家が出来ることはそれを政策立案や制度設計や立法技術のプロとして幇助することしか出来ませんよ、ということを言っているのである。

 こんな大変なことを、4年間でこの国民が学び取れるのかどうか、私はかなり悲観的で、民主党政権が倒れるとすれば、「そんなしんどいことを求められるより、政府が何をしてくれるかを待つほうがマシだ」と思って自民党政権への待望が広がった時である。

●新しい公共

「私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う『新しい公共』の概念です。『新しい公共』とは、人を支えるという役割を、『官』おいわれる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です」

 この後に、先に引用した「実は政治の役割はそれほど大きくないのかも」という文章が続く。

 官と民、公と私を縦横座標軸にとると、これまで100年余りの時代には、「公」は無条件に「官」の専有物であって、「民」はしょうもない「私」的利益を追求するだけの存在だった。それが「官にお任せ」のイデオロギーを蔓延らせた錯覚の大元だった。「公」の担い手を「官」に委ねることは、発展途上国=日本としては必要悪のようなことではあったけれども、この国が1980年に前後して、経済実態としては成熟先進国の仲間入りをして、本当はそこで発想転換をして、「公」は「官」の専有物ではなくむしろ「民」が「公」を担う時代になったことを自覚し、日本型の市民社会の創出に励むのでなければならなかったのだが、それがうまく成し遂げられない間に、「官」は天下りに象徴される「私」的利益だけを死守する退嬰へと堕落していった。

「新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが『自立と共生』の理念をはぐくみ発展させてこそ、社会の『絆』を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです」

「私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが『居場所と出番』を見いだすことのできる『支え合って生きていく日本』を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります」

 繰り返すが、鳩山は大変なことを我々に求めている。お前らが平成維新という革命の主体なんだ、と。この4年間にそれを悟って、お前らが自ら世直しのために行動し始めなければ、この政権は潰れて、再び長い暗黒が訪れるのだ、と。▲

2009年10月26日

神戸市長選、民主単独推薦の矢田立郎氏が「約8000票」差で当選

10月6日の《THE JOURNAL》藤原和博氏の投稿(下記URL)でも話題となった任期満了に伴う神戸市長選が25日投開票され、民主単独推薦で臨んだ現職の矢田立郎(やだ・たつお)氏が当選した。

各候補者の得票数は下記のとおり。(投票率31.5%)

矢田立郎(69)=164,030
樫野孝人(46)=156,178
松田隆彦(50)=61,765

藤原和博氏が投稿の中で、

「官僚支配を崩す」と宣言している政党が、その官僚支配の権化である「現職の市長(副市長から2期8年)」を推薦する暴挙に出た。

と述べているように、過去2回の選挙(今回で3選)では自民、公明からの推薦を受けている。

しかし、今回の得票差「約8000票」というのは、前回の選挙と比べると矢田氏はそうとうの苦戦、目に見えて減った得票数は矢田氏への不満票なのだろうか。(前回は198,661、2位とは9万以上の差、投票率:30.23%)

藤原和博:神戸市長選で「官僚支配の権化」を推薦した民主党の不可思議!
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_384.html

参院補選、神奈川・静岡いずれも民主勝利

25日、参院神奈川選挙区の補欠選挙(投開票)がおこなわれ、民主党新人の金子洋一(かねこ・よういち)氏[47、元内閣府職員]の当選が決まった。

この選挙は、民主党参院議員だった浅尾慶一郎(あさお・けいいちろう)氏[みんなの党]の辞職に伴う補選で、任期は2010年7月25日までとなる。

得票数は以下のとおり。(得票順)

金子洋一[47、民主党]=1,010,175
角田宏子[42、自民党]=792,634
岡田政彦[43、共産党]=230,143
加藤文康[47、諸派]=24,793

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同日、参院静岡補選も投開票され、土田博和(つちだ・ひろかず)氏[59、民主党]が当選した。

得票数は以下のとおり。(得票順)

土田博和[59、民主党]=567,374
岩井茂樹[41、自民党]=404,763
平賀高成[55、共産党]=97,631
矢内筆勝[48、諸派]=12,106

この選挙は、静岡知事選(7月5日投開票)に坂本由紀子(さかもと・ゆきこ)氏[60、自民党参院議員、知事選は落選]が出馬したことにより行われたもの。

2009年10月25日

行政刷新会議、小沢幹事長「新人外せ」

23日、民主党の小沢幹事長が、行政刷新会議で予算の無駄を洗い出す「事業仕分けチーム」の人選にクレームをつけた。

内容は、先の衆院選で当選した新人議員14人を外せというもの。

事業仕分けは出だしからつまずいた形だが、これは、新人議員が研修に参加できなくなったり、地元に戻らず都内で事業仕分の仕事をするとなると、選挙区での活動がおろそかになるという理由。

鳩山首相から「必殺事業仕分け人」と激励されたチームであったが、平野長官を中心に仕分けチームメンバーの再検討することになった。

仙谷行政刷新担当相と仕分け作業を統括する枝野元政調会長が小沢氏の了承を得ていなかったのではないか...との見方もある。

行政刷新会議ホームページ
http://www.cao.go.jp/sasshin/

行政刷新会議(ぎょうせいさっしんかいぎ)
2009年9月18日の閣議決定により、内閣府に設置された機関。担当大臣は、仙谷由人内。国民的な観点から、国の予算、制度その他国の行政全般のあり方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割のあり方の見直しを行うことを目的としている。現在、国会議員32人と民間10数人で3班のワーキンググループを設置し、民主党の枝野幸男元政調会長を統括役として11月末までに約240の事業を精査し、当面、95兆円に膨れあがった来年度予算の概算要求の削り込みに取り組む方針。

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二木啓孝(ふたつき・ひろたか)氏コメント

小沢幹事長の采配の真相について今は分からないけれども、「新人は二回当選して初めて政治家」という解釈には違和感がある。

1人の国会議員について、歳費や公設秘書代など全てひっくるめて年間約5,000万円かかる。

このお金はもちろん税金。

外された「14人×約5,000万円」のお金の使い道ははたしてそこ(研修優先)なのか?

また、その14人のうち5人は官僚上がりなので、それぞれの省庁のウィークポイントを知っていて、いたらいたで使い道はあるはず。

明日10月26日(月)22:00~BS11『INsideOUT』に、仙谷由人(行政刷新担当大臣)をお招きしているので、この件について聞く。

2009年10月26日:電話取材

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番組終了後、編集部は、この件についての番組内容と仙谷氏の発言、また二木氏の見解を取材することになっています。

この記事の補足に関しては、このような形で行いますので、ぜひまたアクセスください。

普天間移設問題、鳩山首相の真意は?

普天間基地の移設問題について、米側はオバマ大統領の来日(11月12日)前の決着を求めているが、鳩山首相の真意は未だ見えないままだ。

今までの概要...

10月20日
ゲーツ米国防長官が来日、岡田外相と会談し、普天間基地の移設問題について、キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部へ移す現行案を「唯一、実現可能」と指摘。一方、岡田外相は「現行案に至った経緯を検証中だ」と述べ、結論を出すまでに時間がかかることに理解を求めた。

10月21日
鳩山首相・北沢防衛相が来日中のゲーツ米国防長官と会談。北沢防衛相は「時間をかけることは建設的ではない」と、早期決着を目指す意志を表明。

10月22日
平野官房長官は、移設問題について「オバマ米大統領が11月に来られるが、そこで政治的判断をすることは、鳩山由紀夫首相の発言を踏まえると難しいのではないか」と述べた。

10月23日
来日中のマレン米統合参謀本部議長は、移設問題について「日米合意案に基づいて速やかに前進することを期待する」と述べ、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を早期に政治決断するよう、日本政府に促した。

岡田克也外相が米軍嘉手納基地との統合案の検討を表明。両基地の統合が実現すれば海兵隊と空軍が同居することになるが米側は難色を示した。

訪米中の福山外務副大臣は、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)と会談し、キャンベル次官補は日米間の最大の懸案である普天間基地移設問題について「オバマ大統領の訪日までに方向性を見いだしたい」と言明。鳩山政権に早期決断を促した。

10月24日
鳩山首相は24日、移設問題について「オバマ米大統領が来るからそれまでに急がなければならないとは思っていない。選択肢を新たに調査している段階だ。それには当然、それなりの時間がかかる」と述べ、オバマ大統領の来日までに結論を出す必要は無いとの認識を示した。

以上、本文は[NIKKEI NET(日経ネット)]より一部転載

県外移設を主張して沖縄県4選挙区すべての議席を占めたにもかかわらず、県内移設へかじをきった場合、民意を裏切ったとの批判が間違いなく出てくる。

2009年10月24日

鳩山首相、事務所の賃料未記載

鳩山由紀夫首相が東京・永田町に借りている個人事務所の賃料を、資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に記載していなかっことが分かった。

個人的に借りている事務所を「政治活動」に使用する場合、その賃料は資金管理団体への「無償提供」とみなされ「寄付」として収支報告書に記載しなければならず、また、個人が資金管理団体へ寄付できるのは「年間1,000万円まで」となっているため、事務所の家賃の額によっては「政治資金規正法」に触れる可能性がある。

ただ、金額に関してだけ言えば、「2部屋借りている」「永田町の家賃相場」で年間1,000万円は優に超えるだろう。

26日から始まる臨時国会...また1つ増えた献金問題により、野党の追及が長期化することが予想される。

事務所には、虚偽記載問題で解雇された元公設秘書が常駐していた。

「威一郎氏の代から」虚偽献金 鳩山首相元秘書
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091018/crm0910180140003-n1.htm

2009年10月23日

淡々と行われる「地デジ説明会」って?

週刊新潮(10月29日号)に、2011年7月に(たぶん?)全面移行する地デジ放送説明会(ほとんどの意味は地デジ対応TV購入促進活動)についての記事があり、見出しは、

「地デジ説明会」年間58億円・7万回の「閑古鳥」

というものだった。

今年度の説明会は全国で年間「7万回」が予定されており、これに限っても「58億円」の費用がかかるということ、しかも人が入っていない。

この「地デジ説明会」を開催するために、「社団法人デジタル放送推進協会」が設立され、全国52箇所に「テレビ受信者支援センター(通称デジサポ)」が設置されている。

つまりこれは、総務省の下請けとして「地デジ説明会」を開催するためにのみ設立されたもの。

デジサポWebサイトを見ると、現在も淡々と進行中の説明会スケジュールが出てくる。

今のところ、総務省の地デジ対策には何ら変わりはないが、ネット上には実際に説明会に参加した方の意見も含め、「地デジ説明会」の予算削減含め改善、「デジタル放送推進協会」などという団体を整理すべきとの声もあり、編集部でも「政治家に訊く」の中でリサーチしたいと考えている。

千葉県浦安市にあるパソコン教室で行われた「地デジ説明会」(2009年5月22日)
http://www.youtube.com/watch?v=CC9tiR2SbXw

地上デジタルテレビ放送のご案内[総務省]
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/index.html

地デジ、BSデジタルのことなら![Dpa] 社団法人 デジタル放送推進協会
http://www.dpa.or.jp/

デジサポ 総務省テレビ受信者支援センター
http://digisuppo.jp/

みんなの党は代表質問なし、に渡辺喜美代表「暴挙だ」

今月26日召集の臨時国会での鳩山首相の所信表明演説に対する代表質問の時間が「みんなの党」には割り振られなかった。

渡辺喜美(わたなべ・よしみ)代表は22日に記者会見し、「民主党の嫌がらせだ」と批判し、また、日本郵政新社長人事に対しては、「渡りそのもの」と指摘している。

代表質問の時間配分は、衆議院の「議院運営委員会」で決められる。

衆議院比例区の得票数を見ると、社民党とみんなの党は同等と言ってもいい僅差。

社会民主党:3,006,160票 質問時間=15分
みんなの党:3,005,199票 質問時間=0分

わずか961票の差でその機会は与えられなかった。

ネット上には、今回の代表質問・郵政人事に関しては、「渡辺喜美に餌をやるようなもんだ」という強烈な意見もある。

2009年10月22日

アフガン戦争で苦境に陥るオバマ政権(その2) ── 増派か戦略修正か撤退か・・・・・・

takanoron.png ムハマッド・カシム・ファヒムは北部のカザフ人部族を基盤とした最有力の軍閥の主で、01年の米英軍の空爆開始と同時に「北部同盟」を率いて首都カブールに進撃を開始、タリバン政権を打倒する上で中心的な役割を果たした。この作戦を企画し資金を提供したのは米CIAであり、米国の傀儡=カルザイが暫定政府議長に就くと同時にファヒムが国防相に任ぜられたのは自然の成り行きだった。02年1月にはカルザイとファヒムはホワイトハウスに招かれ、ブッシュ大統領から賞賛の言葉と共に、「アフガン軍」の創設と訓練のための莫大な援助金を贈呈された。

 ファヒムがアフガン開戦前から有力な麻薬財閥の1つであることは知る人ぞ知る事実だったが、彼は米国から流れてくる資金を流用して、ロシア製の貨物機を購入してロシア経由でのヘロイン輸出ルートを開拓するなどビジネスを拡大し、一気に文字通りの麻薬王へとのし上がった。困ったのはCIAで、この事実が露見すれば麻薬取引者に対する直接援助を禁じた対外援助法違反で告発されることにもなりかねない。かと言って、ファヒムへの資金提供を止めれば、彼を支柱とするカルザイ政権は崩壊するかもしれない。ブッシュ政権トップの秘密会議が何度も開かれたがいい知恵はなく、結局、ラムズフェルド国防長官らが「とにかくタリバンを叩き潰すのが先決だ」と押し切って援助は継続されることになった。ただし、援助はファヒム個人にでも国防相にでもなく彼の部下に手渡すことにして、対外援助法違反を回避することにした。

 しかし、この決定はアフガン戦争の戦略的な失敗の大きな原因の1つとなった。ファヒムが米国のバックアップで麻薬王にのし上がり、カルザイ政権の支柱になっていることはアフガニスタンでは誰でも知っていることであり、民衆の米国=カルザイ=ファヒムへの不信はますます増大した。他の軍閥指導者も「麻薬で儲ければ出世できるのか」とばかりそれぞれに麻薬で荒稼ぎしてます世は乱れ、その間隙を縫ってタリバンが大復活を遂げた。ところがカルザイは、今年8月の第2回大統領選挙でも、当初はファヒムを副大統領候補にしようとし、米国の強い反対で断念したものの、そのようなカルザイ政権の腐敗は民衆から見抜かれていて、それを押して当選を確保するには大規模な選挙不正に頼るしかなかった。

 米国とカルザイは、当初、不正選挙について、おざなりのサンプル調査だけに止めて隠蔽しようとしたが、国内からの相次ぐ告発と日欧などの国際監視団の指摘で、800カ所の架空投票所で数十万票のカルザイ票があったかに装うなど、不正が大規模のものだったことが判明して、隠し果せなくなった。そのため11月7日に2位のアブドラ前外相との決選投票が行われることになったものの、早ければ今月末から降り始める雪の影響に加えて、「どうせまた不正が行われるに決まっている」という民衆のウンザリ気分、タリバンによる投票所などへの攻撃の危険、約6000カ所の投票所のほんの一部しかカバーできない監視団の制約などからして、これによってカルザイ政権が正統性を得られるかどうかは疑問である。

 このように、肝心のカルザイ政権が半壊状態に陥ってしまっては、なおさら米国は進むことも退くことも出来ない。

●米政権内部の亀裂

 事態をますます混迷させているの第3の要因は、オバマ政権内部に生じている亀裂である。9月中旬以降、正副大統領、安保担当補佐官、国務・国防両長官らを中心にすでに数回開かれてきたアフガン戦略会議では、特にバイデン副大統領が兵員増派に反対し、戦略目標を「アフガニスタン国内でのタリバンの反乱鎮圧」から「パキスタン国内でのアル・カイーダの壊滅」へとシフトするよう主張している。各種報道を総合すると、バイデンの言い分は次の通り。

▼アフガニスタン国内の米軍は増派するのでなくむしろ削減すべきだ。
▼今は米軍の主任務はタリバンの反乱からアフガン国民を防護することに置かれているが、それよりもむしろ、主としてパキスタン北部の村々に潜むアル・カイーダを無人偵察機によるミサイル攻撃と特殊部隊の突入によって壊滅させることに集中すべきだ。
▼米国の安全保障上の利益はパキスタンにかかっているというのに、米国はパキスタンに注ぐ戦費の30倍もの戦費をアフガニスタンで使っている......。

 ジョーンズ安保担当補佐官も次第にバイデンの考えに近づいていると言われるが、クリントン国務長官は、タリバンを完全にやっつけて2度とアフガニスタンで権力を握ることがないようにしなければ、同国は再びアル・カイーダの巣窟になるとして、これに反対している。オバマ自身はもちろん増派を公約しており、アフガニスタンを半ば放棄するに等しいバイデン案を簡単に呑めるはずがないが、しかし彼も、8月大統領選挙の惨憺たる結末には落胆しており、アフガニスタンに信頼するに足る正統性を持った政府が存在しないまま増派に踏み切ることには強いためらいを感じている。増派は、それが2万であろうと4万であろうと、「ブッシュの戦争」が「オバマの戦争」に転化することを意味しており、それでタリバン掃討の成果を上げられなければ彼の内外での評価は失墜する。

 この議論を睨みつつ、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は「アフガニスタンの厳しい選択肢」と題したNYタイムズへの寄稿で、要旨次のように述べて整理を図っている(インタナショナル・ヘラルド・トリビューン10月5日付)。

▼現在のアフガニスタン戦略は、古典的な反乱鎮圧方式に基礎を置いている。すなわち、中央政府を作り、その政府が国民生活改善に取り組めるよう関与し、さらにその政府自身の軍隊が我々の訓練計画によってその任務を取って代われるようになるまでの間、我々の軍隊がその国民を防護する、ということである。
▼ところが現地司令官のマクリスタル将軍は現在の兵力ではその使命を果たすには不十分であると言っている。となると、選択肢は3つである。
▼第1に、今の兵力水準を増やさないことである。これは、マクリスタル将軍が提唱している戦略を止めるということであり、米国がアフガンから撤退する第一歩と受け止められるだろう。
▼第2の選択は、現在の兵力水準を維持するが、反乱鎮圧よりもテロ撲滅に焦点を絞った新戦略に移行することである。この考え方によれば、タリバンはグローバルではなくローカルな存在であって、主要な打倒目標ではないので、彼らと交渉してアル・カイーダを孤立させるというのだが、これはアフガンからの全面撤退の別の形となる。私のようないわゆるリアリストでも、タリバンと協力するという考えには吐き気を覚える。
▼第3は、兵力を増派して、内乱を鎮圧して国民を防護するという戦略を続けることである。安易な戦略転換は不信と混乱の元になるのでそれが望ましい。が、今まで通りにやっていけばいいというのはなく、政治的な環境整備に重点を移す必要がある。ゲリラとの戦いでは、国土の100%を時間的に75%支配することよりも、75%の地域を100%支配することが重要で、それには地域の部族や民兵とも手を組んで地域を抑えることに最大の努力を注ぐべきだ。
▼また、国際テロに脅威を感じている近隣諸国との協力は不可欠である。パキスタンはアル・カイーダに、インドはジハド主義や特定のテロ集団に、中国は新疆のシーア派原理主義のジハド主義に、ロシアは不安定な南部イスラム地帯に、イランでさえもスンニ派タリバンの原理主義者に、それぞれ脅威を感じている。これらの国々がNATO諸国も加えて一堂に会して、アフガニスタンの難問解決のため協力する態勢をとるべきである......。

 米外交政策マフィアのドンといえども名案はなく、公約通りに兵員を増派するけれども、もっと地域部族との連携を巧くやれないか、という程度の話である。

●軍事的解決はない

 しかし、タリバンが国土の約半分を実効支配するまでに復活してきた最大の要因は、それが掲げる「全外国軍隊の撤退」という目標が民衆ばかりでなく部族首長や軍閥指導者の間で説得力を持っているからである。タリバンの原理主義的な統治には反感はあるものの、少なくとも米軍が入ってくる以前には、これほどまでに国が乱れて生活に困窮することはなかったし、村人がミサイルやロケットで無差別に爆殺されることもなかった。米軍は民衆を防護すると言うが、米軍が無差別殺人を行い、それに対する報復として自爆テロをはじめゲリラ攻撃が起きているのであって、米軍がいなければそのどちらも起こらない。この状況では、米国は4万どころか10万を増派しても、キッシンジャーの言う「75%の地域を100%支配する」ことは出来ないだろう。

 それに比べれば、パキスタン北部でアル・カイーダ退治に専念するというバイデンの案は、多少とも合理的と言えるが、すでにアル・カイーダはそれを想定して、パキスタン中部から南部にまで分散して、ローカルな過激派と連携してイスラマバードを脅かしている。つまり、軍事力による解決はないということである。

 この苦悩の選択に直面して、そもそも軍事的には何の意味もないインド洋での日本自衛隊の給油活動を続けるかどうかなど、オバマ政権にとってはどうでもいい枝葉末節であって、「止めたいなら勝手に止めてくれ」というのが本音である。▲

文部科学省も会見開放へ

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大臣会見参加の都度申請用紙

21日、文部科学省が記者会に対し、文科相と副大臣の記者会見を記者会所属の報道機関以外のメディアにも開放するよう打診していた。

これは、他省庁の記者会見への対応に合わせてのことだと思われるが、

(1)従来通り記者会が主催し幹事社が進行する
(2)参加者は記者会が文科省と相談して作成する一定の基準に沿う記者
(3)記者会の幹事社に申し込み後に参加

の3点を挙げ、28日までに回答するよう求めた。

記者会見解放に関しては、9月の岡田克也外相を発端に、原口一博総務相、金融庁も同様の提案をしている。(以下、該当記事)

岡田克也外相がフリーランスにも記者会見を開放[THE JOURNAL]
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/09/post_368.html
原口総務大臣閣議後記者会見の概要[総務省]
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/02koho01_000055.html
金融庁が大臣会見をフリー記者に開放[PJニュース]
http://news.livedoor.com/article/detail/4387428/

酒井法子被告の初公判傍聴整理券を日比谷公園で配布

東京地裁は、10月26日(午後1時半から)に予定されている酒井法子被告(本名:高相[たかそう]法子、38才)の初公判の一般傍聴席抽選整理券交付を、傍聴希望者が殺到することを予想し、日比谷公園(東京都千代田区)で行うと発表した。

一般傍聴者約20人は、26日午前9〜11時にリストバンド型整理券を配り、11時半〜正午に公園内3カ所に当選番号を掲示し決定される。

日比谷公園での整理券交付は麻原彰晃死刑囚の判決公判以来。(当時約122倍の競争率)

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傍聴席整理券獲得に関して下記のような求人がネット上に見られます。

お仕事内容<裁判傍聴席の整理券獲得のお仕事です>

裁判の傍聴席の整理番号を獲得してください。
お仕事内容は【並んで、番号をもらうだけ】です。
獲得した傍聴席は報道番組の制作のためにご提供いただきます。

番号の配布には年齢の上限下限はなく、誰でもOKなので家族や友だち同士で参加しても大丈夫です。

記録的な最高視聴率30.4%をマークした事件の裁判なので、報道史に残る場面の雰囲気を味わいたい人におすすめです。

裁判が行われる日は10/21(水)・23(金)・26(月)で、いずれも別の裁判です。
1日のみでも参加いただけます。

◆給与:1勤務(60〜90分予定)1500円
※傍聴券獲得(当選)の方へは5000円の報奨金プラスで支給いたします!
◆支払い方法:月1回
◆交通費:なし
◆勤務地:東京都千代田区 日比谷・有楽町・銀座
◆アクセス:日比谷線「霞ケ関駅」徒歩1分

2009年10月21日

海江田万里、民主党の経済政策を分かりやすく解説

70%を超える高い支持率を保持する鳩山政権ですが、雑誌などの民主党政権に対する記事には、「民主党政権の死角は経済政策だ」といった記述をよく見かけ、中には、民主党も傾聴すべき内容のものもありますが、「民主党の政策を十分に理解していないことからくる見当はずれものもある」ということで、民主党衆議院議員の海江田万里(かいえだ・ばんり)氏がご自身のメルマガで、民主党の経済政策を分かりやすく解説されていますので、全文掲載します。

以下、本文 ------------------------------------------

★ 可処分所得の増加が目的 ★

先ず、マクロ経済政策では、民主党はこれまでの過度の外需依存から内需の拡大に向けて大きく舵を切ります。先の選挙のマニフェストでは、「子ども手当て」や、「農業の戸別所得補償制度」の創設を主張していますが、これらは、子育て世代や農家の可処分所得を増やすことに目的があります。

小泉改革以降、この10年、わが国の世帯所得は、年々落ち込んでいます。この背景には、もちろん、昨年来の急激な景気後退が挙げられますが、それ以前からのいわゆる「雇用の多様化」政策で、非正規雇用者が大量に発生し、正規雇用の人も含めて所得の減少が顕著になったことが考えられます。

民主党はマニフェストの中で、最低賃金を時給1000円にすることも謳っています。しかし、現在の経済情勢では、とても、時給1000円を最低賃金として定めることはできません。

そこで、民主党は「子ども手当て」の他に「高校は実質無償化」、「大学生には奨学金制度を大幅拡充」を約束しています。子育て中の世帯の家計は苦しく、ぎりぎりの生活をしていますから、所得の増えた分が貯蓄に回る可能性は低く、所得が増えた分がそっくり消費に回ると予測されます。

さらに民主党は、年金や医療制度の抜本的な改革案を提示します。年金については、すでに民主党内で取りまとめた改革案がありますが、医療保険制度についてはこれから議論を進めます。

こうした社会保障の制度を充実させることは、本格的な内需拡大のための社会的なインフラです。社会保障制度が切り裂かれ、将来不安が募るままでは、いくら「個人消費を」と叫んでも、人々は財布の紐を固くしてしまいます。社会保障制度の充実は遠回りに見えても必ず、内需拡大につながります。

★ 温室効果ガス削減こそが成長戦略 ★

民主党の経済政策については「成長戦略がない」との指摘があります。この点について、私は、「温室効果ガスの90年比25%削減」の目標こそが、最大の成長戦略だと考えています。

2020年までに25%削減の目標を達成するためには、家庭の協力ももちろん必要ですが、それだけではなく、環境・新エネルギー関連で日本の産業が大きな飛躍を遂げなければなりません。現在、日本の企業は、政治がインセンテイブを与えれば、十分に飛躍できるだけの技術を持っています。

たとえば、太陽光発電の技術では日本はかつて世界一の先進国でした。それが、2004年度をピークに政府が支援の手を緩めた結果、今では後発のドイツやスペインに大きく水をあけられてしまいました。

また風力発電、バイオマス、リチウムイオン電池、LED照明、パワー半導体、炭素繊維などの新技術についても日本の企業は、世界の最先端を行くレベルに達しています。これらの技術を持った企業に対し減税するなど、政治が後押しすることによって、日本企業が世界の市場を席巻することにつながります。

中小企業を後押しする政策では、最近、亀井金融担当大臣が提案した、モラトリアム策が目立っています。経営難に陥った中小企業や、住宅ローンの返済に困った個人に対して、3年間元金(場合によっては利子も)返済を免除しようというものです。

【海江田万里の政経ダイアリー】2009.10.20号より

前原国土交通相「不法占拠だ!」発言にロシア「遺憾だ」

17日、前原誠司(まえはら・せいじ)国土交通相(沖縄及び北方対策・防災)が北方領土を洋上視察した際に「北方領土はロシア(旧ソ連)の不法占拠だ!」と発言したことし対し、19日、ロシア外務省が「遺憾だ」とする声明を発表した。

声明の内容は、

「新政権がロシアとの関係発展に前向きな意向を示し、9月のニューヨークでの日ロ首脳会談が建設的に行われた背景の中、受け入れがたく不適当で法的根拠のない発言が再びなされた」[asahi.com]

「対決的な気分を残している」[asahi.com]

というもの。

北方領土問題については、麻生太郎(あそう・たろう)氏も首相時代に、

「北方四島は一度として外国の領土となったことがないわが国固有の領土だ。ロシアの不法占拠が続いているのは極めて遺憾だ」[MSN産経ニュース]

「帰属の問題を解決し平和条約を締結するという基本方針のもとで北方四島の返還の実現に向けて強い意志を持って、ねばり強く交渉を続けていかなければならない」[MSN産経ニュース]

と発言し、その時もロシア側は強く反発している。

鈴木宗男(すずき・むねお)衆議院外務委員長(新党大地代表)は今回の前原国土交通相の発言に関し、

「不法占拠という表現は失敗だった。(ロシア側は)係争地域であると認めている。日露首脳会談(11月)の前に言うと、間違って受け止められる」[MSN産経ニュース]

「過激なことを言えば受けると思ったら大間違いだ。外交は静かにやるものだ」[MSN産経ニュース]

と批判している。

ロシア 国交相発言に反発[YouTube]
http://www.youtube.com/watch?v=UnCHbTCRV24

前回の《THE JOURNAL》記事
前原国土交通相「北方領土は不法占拠だ!」
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_395.html

2009年10月19日

鳩山内閣支持率、高水準維持

鳩山内閣支持率が依然として高水準を維持している。

日本経済新聞社とテレビ東京が10月16~18日に実施した世論調査によると、

支 持:73%(政権発足直後調査から2ポイント低下)
不支持:21%(4ポイント上昇)

となっている。

鳩山内閣は「脱官僚」をかかげスタートをきり、この1ヶ月間で...外交デビューで温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する目標設定の呼びかけ(鳩山首相)、八ッ場ダムの開発中止方針表明(前原国交相)、天下りの元である早期勧奨退職の慣行の禁止表明(平野官房長官)、定例記者会見を記者クラブ仕切りからすべてのメディアに開放(岡田外相)、など、メディア露出の多い活発な動きを見せている。

今後の支持率変動は、この走り出した数々の懸案を「いかに取りまとめてゆくか」にかかってくるが、来月来日する「オバマ大統領との2度目の首脳会談」も大きなターニングポイントになるだろう。

2009年10月18日

前原国土交通相「北方領土は不法占拠だ!」

17日、前原誠司(まえはら・せいじ)国土交通相(沖縄及び北方対策・防災)は、海上保安庁の巡視船で北方領土を洋上視察し、北方領土啓発施設で概要や歴史についての説明を受けた。

前原氏は視察後、

「歴史的にみても北方四島は日本固有の領土。(ロシアによる)不法占拠という言葉はその通りだし、言い続けなければならない」[共同通信]

「不法占拠だ。そのことは言い続けていかなければならない。4島の返還を求めていく」[読売新聞]

「歴史的にも北方四島は日本固有の領土であり、終戦のどさくさに紛れて(旧ソ連が)まさに不法占拠した。そのことは言い続けなくてはいけないし、四島の返還を求めていかねばならない」[イザ!]

「歴史的に見ても国際法的に見ても(北方領土は)日本固有の領土。終戦間際のどさくさにまぎれて不法占拠されたもの。やはり四島の返還を求めていかなければならない」[毎日.jp]

と、強い意志を示した。

前原氏は、来春以降に北方領土を訪問する意向を示している。

また、鈴木宗男(すずき・むねお)衆議院外務委員長は同日の講演で、「鳩山首相は『日ロ関係をなんとかしたい。領土問題の解決に半年以内でめどをつけたい』と言っている」と述べていて、《THE JOURNAL》編集部では、さっそく鈴木氏にオファーし、月内に北方領土問題対談企画を予定している。(放送が決まり次第お知らせします)

北方領土問題対策協会ホームページ
http://www.hoppou.go.jp/

北方領土問題
太平洋戦争直後、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦、現ロシア)が北方領土(国後島・択捉島・色丹島・歯舞群島)に上陸し占領、以来現在に至るまで実効支配されており、日本は固有の領土としてその返還を求めている。

2009年10月17日

米人記者が語る:民主党の「新アジア主義」への米国のいわれなき畏れ

takanoron.png ダニエル・スナイダーとリチャ−ド・カッツは私の30年以上にわたる記者仲間であり家族ぐるみの付き合いをしてきた友人である。特にスナイダーは、小沢一郎の「親友」で、『週刊現代』10月24日号には「小沢一郎という男」と題した彼のインタビューが載っている。彼と、彼のパートナーで経済ジャーナリストのカッツが米国の権威ある外交評論誌『フォリン・ポリシー』最新号に論文を寄せ、NYタイムズに代表される米メディアやオバマ政権内の鳩山および民主党政権に対する誤解と偏見に反論していてなかなか面白いので、著者たちの了解を得て(『フォリン・ポリシー』の了解は得ず、私の拙ない翻訳で)紹介する。[高野]

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 日本の民主党が8月総選挙で勝利を収めて以来、米国の日本ウォッチャーたちは新政権が現状を覆して米国離れをしようとするのではないかと心配してきた。確かに民主党は新しいパラダイムを生み出そうとしている。が、それは人々が思っているようなパラダイムではない。

 民主党が政権を獲る以前から、敗北を喫した自民党とその米国の同盟者は、新政権が「反資本主義」であり「反米」であるかに描き上げるメディア・キャンペーンを両国で展開し始めていた。

 鳩山由紀夫首相が[『VOICE』9月号の]論文の中で、「米国主導の市場原理主義」を批判し、また中国が覇権国家たらんと企図する一方で米国が支配を維持しようと奮闘している世界の現状に言及していることについて、評論家たちがいろいろ言い立てている。半世紀に及ぶ自民党支配が失墜したことを歎くあまり、これらの悲観論者たちは、鳩山が自由市場経済を投げ捨てようとしているとか、国際経済社会における日本の重心を西側からアジアにシフトしようとしているとか、安保上のスタンスを米中「等距離」にしようとしているとか、あげつらっている。

●民主党への誤解

 このような言い方は、バラク・オバマ大統領を社会主義者だとレッテル貼りするのと同工異曲である。鳩山は、この経済危機の原因が行きすぎた規制緩和にあると非難しているが、それは多くの人が言っていることである。米国離れをしようとしていると言う人がいるけれども、民主党は日米自由貿易協定の推進を支持してきた。こんなことは自民党は一度も言ったことはなかった。さらに、民主党の指導者たちは、米国を見捨てて上り坂の中国の庇護の下に走ろうというような単純な主張をしているのではない。むしろ、民主党が望んでいるのは、米国とはより対等なパートナー関係を築きながら中国・韓国はじめアジアとの関係をより重視しようという、日本の外交政策におけるパラダイム・シフトである。

 これを「新アジア主義」と呼ぼう。この考え方は、今週末に北京で開かれた日韓中首脳会談ではっきりと示された。この3者サミットが開かれたのはまだ2回目に過ぎないが、前回と比べると遙かに実質的な中身のある会議で、北朝鮮への対応や経済刺激政策からEUをモデルとした「東アジア共同体」の形成にむかって一歩を踏み出すことまでが広く議題となった。

 新アジア主義は、日本の日米同盟最優先の路線を揺り戻そうというものではあるが、かと言ってそれを全面的に拒否しようというものではない。これまでの自民党政権は、ワシントンの政策が間違っていると分かっている場合でも同調しなければならいないと思うのが常だった。例えば、小泉純一郎元首相は、イラクに部隊を派遣し、あるいはインド洋での給油活動に艦船を派遣したが、それは米国の政策を支持したからではなくて、中国や北朝鮮との緊張が高まった際に米国が日本を助けてくれるという約束を確かなものにするためだった。

 勃興する中国を封じ込めるべきだという東京・ワシントン双方のネオコンの主張に対して、民主党は、そのような試みは失敗するに決まっているとして、はっきりと否定する。米国と中国がますます経済相互依存を深め、戦略的利益を共有しつつあることを思えば、ワシントンが反北京戦線を構築しようとすることはあり得ないと民主党ブレーンの1人は見る。また東京は、米日安保同盟にのみ頼っていたのでは中国の地域覇権の企てに対抗することは出来ないと考えている。反対に、東京がもっと恐れていることは、米国が日本を見放して米中による"G2"を形成して、日本をこの地域における二流国に降格させることである。民主党の見方では、そうさせないために日本は中国をより広い範囲で地域的問題に関与させるよう仕向ける必要がある。

●パラダイム転換の3要素

 鳩山や他の民主党幹部が日本のメディアや本論の著者たちとのインタビューで明確に述べているこのパラダイム・シフトは、大きく3つの要素からなる。

 第1に、9月に鳩山がオバマに語ったように、米日同盟は日本の外交政策の"要石"である。東京が、安全保障や経済の領域でワシントンと距離を置くなどというのは、まったくナンセンスで、もしそのような幻覚じみたことを言っている者がいるとすれば、それは日本人の中でもごく少数のオタクっぽい連中だけである。

 実際、日本と米国はお互いに手を携えることで中国と拮抗し、貿易、環境その他の問題で中国が責任ある大国となるよう促す必要がある。加えて、日本は米国(および中国)との強力な同盟なしには北朝鮮の核に対処することが出来ない。いくつかの難しい2国間の安保上の問題は残っていて、例えば積年の沖縄米軍基地の問題がそうである。しかし、自民党よりよほど手強い交渉相手である民主党指導部は、この問題を含めてオバマの11月訪日以前に妥協策を見いだそうとしている。

 この現実主義には深いルーツがある。例えば、鳩山やその他の民主党指導者たちは、彼らがまだ自民党所属だった時代から、米国との強い同盟の枠内で日本の安保役割を拡大することを主張していた。1992年には彼らは日本の海外PKO参加に道を開く先頭に立った。2001年には9・11攻撃に対応してインド洋に海上自衛隊を派遣することを支持した。そして今週、岡田克也外相はアフガニスタンとパキスタンを訪れ、東京がこの前線で支援を提供し続ける(ただし軍事援助ではなく経済援助を通じて)つもりであることを表明した。

 経済の分野で、もし民主党治下の日本がアジア・ブロックに加入したとしても、それは米国との経済的絆が終わるとか弱まるとかいうことを意味しないだろう。ずばり言って、アジアの成長は米国の繁栄と密接に結びついている。今日の日本は米国よりも中国に多くを輸出しているが、翻って中国の繁栄は米国向けの輸出に頼っている。米国の不況とそれが中国にもたらした余震とがどれほど日本に打撃を与えたかを見れば、この依存関係の現実に疑いの余地はない。

●東アジア共同体の可能性

 民主党の外交政策におけるパラダイム・シフトの第2の要素は、東アジアの地域的リーダーとしての役割を果たしたいという熱望である。この熱望の帰結が、EUの初期段階をモデルとした「東アジア共同体」である。

 先月の国連での演説で、鳩山は、共同体が遠い将来には共通通貨ユーロのアジア版を作ることになるだろうという、いささかロマンティックな願望を口にした。彼が明言したところでは、これは長期の課題であり、「自由貿易協定、金融、通貨、エネルギー、環境、災害救助その他、協力できる分野からスタート」して、しかる後に共通通貨問題に進んでいくことになる。また彼は、アジア通貨の創設はドルや米国との強い経済的絆を傷つけることにはならないと強調している。むしろ鳩山は「開かれた地域主義の原則に基づいてお互いの経済的ダイナミズムを共有する」ことを求めている。この「開かれた」という言葉は、米国の東アジア共同体への非公式な参加への暗号である。

 日本政府関係者は、東アジア共同体を構成するのはASEANの10カ国プラス中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、それにインドとなるだろうと言う。この顔ぶれは、日本の提案と米国の奨励により2005年に初めて会合した。末尾3カ国は、中国がこの会合を主導しようとするのを牽制するために、後から付け加えられた[訳者注]。

 民主党ブレーンたちはこの東アジア共同体の追求が唯一最優先の地域政策だと主張するが、別の考え方もあって、それは、北朝鮮の核をめぐる6カ国協議を発展させる形で地域的安保を構想すべきだというものである。彼らはまた、日本・米国・中国の戦略的対話というアイデアも温めているが、これはワシントンと東京が手を組むことで北京を抑えることが出来るという民主党ブレーンたちの考えに基づいている。ヒラリー・クリントン国務長官とジェフリー・ベイダー国家安保会議アジア部長も日米中対話を支持している。ベイダーはブルッキングス研究所にいた当時にこの3カ国協議を主張していた。

 カート・キャンベル東アジア太平洋担当国務次官補はじめオバマ政権高官は、日本が中国やアジア諸国と関係改善を図ろうとすることについて、公に歓迎の意を表明してきた。それにもかかわらず、オバマ政権高官の中には、鳩山が東アジア共同体について語る真意について個人的に不安を漏らす者がいる。彼らは、それが排他的な地域統合に行き着くのではないかと心配している。その恐れは全くないとは言えないが、これが民主党内にあってもまだ不定型なアイデアであることを理解することが重要である。

 だから、オバマ政権はこの問題について民主党に関与すべきである。そのためには、同政権は、オバマが出席予定の11月のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議までに、東アジアの地域主義についての同政権自身の政策を描き上げなければならない。そうすれば、ワシントンはEUのアジア版について何を問題にすべきか、例えばAPECなどの機構と東アジア共同体の重なり具合に対してどう対処するかがはっきりする。そうすれば、米国は日本がリーダーシップを発揮しようとするのを支援することが出来るだろう。それは米国が長く待ち望んできたことなのだから。

●歴史問題への新視点

 民主党の外交政策におけるパラダイム・シフトの第3の要因は、歴史問題、すなわち1930〜40年代の日本のアジア侵略を巡る近隣諸国との間で長く続いてきた緊張を解決することへの、新しい視点である。1995年に自社さ政権の村山富市首相は、戦時日本のアジアに対する侵略について謝罪した。自民党は口先ではこの謝罪を支持してきたものの、同党幹部は度々それを否定し、ソウルや北京を苛立たせてきた。

 しかし鳩山は、アジア諸国の首脳とのどの会談でもこの問題を採り上げて、彼の政府が95年の謝罪を遵守することを再確約してきた。民主党は戦死者を祀った靖国神社からA級戦犯を除去するつもりであると言明してきた。また外相は、欧州諸国が第2次大戦とホロコストについてそうしてきたように、日韓中が共同で歴史教科書を作るよう提唱してきた。このような厄介な過去の遺産と向き合う作業は、中国や韓国との連携を改善するためだけではなく、将来後戻りが起きる可能性の芽を摘むためである。

 このようなドラマティックな外交政策の変化、つまり新アジア主義を携えて、民主党は日本を導こうとしている。同党は、東アジアにおいてリーダーの役割を果たす用意があり、その意思があり、その能力がある。日本がより広範な地域的枠組みを通じて強力な中国との歴史的な対立関係をうまく処理していくことは、日米両国の利益である。ワシントンにとっては、今までより従順でない民主党日本というパートナーに慣れるには時間が要るだろうし、民主党が統治の現実を学ぶのにも時間が要るだろう。しかし、ワシントンも民主党も、冷戦時代の思考にしがみつくのでなく、これを今日的な新しい現実に合わせて日米同盟を再構築する好機とすべきである。▲

[訳者注]小泉内閣が提起した「東アジア首脳会議」は、当初、ASEANの東南アジア10カ国プラス東北アジアの日韓中のごく自然な枠組みとして考えられていたが、米国はこれが中国の地域覇権の道具となることを懸念して、豪、ニュージーランド、インドの"民主主義"3カ国を加えるよう日本に圧力をかけ、日本を含めた4カ国で中国を包囲する形を採らせた。それら3カ国が「東アジア」であるはずがなく、鳩山が構想する東アジア共同体では元のASEANプラス3に立ち戻り、3カ国および米国はせいぜいがオブザーバーの地位になるのではないか。また東アジア共同体が日本およびアジアの"米国離れ"を意味するのではないかという米国の被害妄想は根深いので、それと並行して日中米の世界ビッグ3による「戦略的対話」の枠組みを形成することが必要になろう。

《著者について》
ダニエル・スナイダー:米スタンフォード大学ショーレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長、元クリスチャン・サイエンス・モニター東京特派員、サン・ノゼ・マーキュリー外交記者。
リチャ−ド・カッツ:ジャーナリスト、オリエンタル・エコノミスト編集者。

2009年10月16日

ケータイ版《THE JOURNAL》スタート!

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《THE JOURNAL》のケータイ版ができました!

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しばらくテストランを兼ねて運営し、使い勝手やサーバー負荷を見ながら今後のコンテンツ内容を考えてゆきたいと思っています。

コンパクトになった《THE JOURNAL》を、よろしくお願いします!

【直撃インタビュー】中川秀直:自民党は消滅する!?

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 自民党の中川秀直(なかがわ・ひでなお)元幹事長は14日、《THE JOURNAL》の新企画『政治家に訊く』に出演し、政界再編の可能性について言及した。

 中川氏は、「長年のツケみたいなものが自民党だけじゃなくて日本の政治全体にあった」と指摘した上で、民主党も自民党と同じく支持団体の圧力に引っ張られて国民の支持を失うことがあれば、「(自民党も)民主党もなくなる。両方もう一回作り変えろっていう話になってくる可能性はある」と与野党を含めた政界再編の可能性があるとの認識を示した。

(以下、中川氏のコメントをそのまま掲載)

─「自民党をぶっこわす」といった小泉首相(当時)や竹中氏に期待した人も多かったと思います。しかしどうも自民党内部には官僚と一緒に動いている人がいるということで、一度しがらみを断ち切ってもらおうと民主党に票を入れたという人がいると思います。このしがらみを自民党は断ち切れますか、またそれに何年かかると思いますか?

そうねえ、案外早く断ち切れるかもしれないし、これで来年の参議院でも、また望むような結果がでなければもっと考え方あるんだということに多くの人が、自民党の人たちも気づくでしょうし、一方または逆に同じようなしがらみは民主党の中にいっぱい入ってますから、「ああ、民主党もできねえんだな」となってくるとまた新しい政治の流れというか、そういうものを求める人も出てくるかもしれないし。まあ今はなんともいえませんけどね。

ただもう長年のつけが自民党だけじゃないですよ。日本の政界に...だって55年体制っていうのは、古い自民党と古い社会党が談合していた政治じゃないですか。それが今、戦後の政治の中で一番長かったわけ。こっちは公務員の労働組合とか、こっちは高級官僚と一体だからね。まあ、そういうようなことに対して、考えてみると日本の政治全体がね、そういう意味では、しがらみみたいになっていたんで、それがまた民主党になって政権交代してみても基本的にやっぱそうなんじゃないのかなと思ったら、また新しい政治が求められるでしょうね。

いつそれがどういう形で現れてくるかわかりませんが、そういう長年のつけみたいなものが自民党だけじゃなくて日本の政治全体にあった。今回は民主党に期待しましたけど。

さあ、それに応えなければ...えない可能性のほうが強いと思うけども。やっぱり今回は政権のだらしなさに嫌気がさしたのでしょうか。日本の政治全体に嫌気がさして、そこから新しいエネルギーがまた生まれてくるかもしれないね。それがいつか、どういった格好で生まれてくるか。

─自民党がなくなるということですか?

いやいや、民主党もなくなるでしょ。両方もう一回作り変えろっていう話になってくる可能性はあるね。

まあ、それがいつどういう形でくるかはわからないけど。

2009年10月15日

鈴木亘:無料低額宿泊所問題をどう考えるべきか

■無料低額宿泊所問題とは何か
 このところ、無料低額宿泊所に関するマスコミ報道が過熱化しており、さながら「宿泊所バッシング」とでも言うべき様相を呈している。各新聞や週刊誌が競うように行なっているキャンペーン的報道、あるいは、それを追いかけてテレビ局が次々と流す映像によって、もはや「無料低額宿泊所といえば貧困ビジネス」というイメージが出来上がりつつあるといっても良いほどである。しかしながら、「たまゆら」で有名になった無届老人施設の問題と同様、これは善か悪かといった単純な二元論で割り切れる問題ではなく、その背景には様々な制度的矛盾・問題が存在している。また、「無料低額宿泊所を無くせ!」という「宿泊所排除論・退場論」も盛んであるが、無くして問題が解決するほど現実は単純ではない。むしろ、こうした単純な発想に基づく政策は、問題を悪化してしまいかねないので注意が必要である。

>>続きは「THE JOURNAL×Infoseekニュース」で

2009年10月14日

アフガン戦争で苦境に陥るオバマ政権(その1) ── 増派か戦略修正か撤退か......

takanoron.png イラクからは早期に撤退するが、アフガニスタンには兵員を増強してでも必ず勝利を達成するというのがオバマ大統領の選挙公約だが、その公約を取り下げざるを得ないのかどうか、同大統領は苦悩に満ちた選択に直面している。就任当初は圧倒的だった支持率は、10カ月後の今は50%前後で低迷していて、その少なくとも半分は、アフガン戦争の泥沼化を目の当たりにして米国民の間に厭戦気分が広がりつつあることが原因と見られている。それを押して公約通り増派に踏み切るのか、逆にアフガン内戦への関与を事実上放棄してパキスタン北部での対アル・カイーダ掃討に目標を限定するのか、それともその中間の折衷案を採るのか----それ次第で政権の浮沈が左右されかねない重大局面を迎えている。オバマの決断の期限は今月末である。

●深まる泥沼化

 10月7日で米英軍のアフガンニスタン空爆開始から丸8年を迎えた現地の状況はますます芳しくなく、泥沼化はむしろ深まっている。AP通信などによると、米兵の戦死者数は7月44人、8月45人と過去最悪を更新し続けており、また民間団体の集計によると、NATO軍などを含めた全外国人兵士の今年の死者は8月末で301人で、昨年1年間の294人をすでに上回った。10月3日には東部ヌリスタン州で、国際治安支援部隊(ISAF)の基地をタリバン・ゲリラ約300人が攻撃して激しい交戦となり、米兵8人とアフガン特殊部隊員2人、警察官1人の計11人が死亡した。一度に米兵8人が死亡したのは過去1年間で最悪。また別の米兵1人も3日、東部で起きた爆弾の爆発で死亡した。さらに国連アフガニスタン支援団によると、民間人の死者も昨年は2000人を突破、今年前半で1013人に達した。

 ペンタゴン首脳でさえ「極めて深刻」と認めているこの事態をもたらしている第1の要因は、タリバン勢力の全土における目覚ましいまでの復活である。

 そもそも、テロを撲滅するのにアフガニスタンを相手に国家間戦争を仕掛けるというブッシュ前大統領とネオコンの戦略設定そのものが根本的に間違っていたことは、今は措こう(それについては高野著『滅びゆくアメリカ帝国』を参照)。

 それにしても、戦争を仕掛けるについて、紀元前6世紀から始まるこの地域の宗教や歴史、それに基づく社会構造への米国の無知は覆いがたいものがあって、タリバンのような反民主的な宗教独裁は人々から恨まれているに相違なく、軍事的に一撃を加えればひとたまりもなく引っ繰り返って、タリバンに保護されたアル・カイーダもたちまち掃討できると錯覚した。ところが実際には、数千年の歴史を持つ部族社会がこの国の基本構造であり、その上に「軍閥」による地方分割支配が成り立っていて、タリバンというのはその軍閥と部族社会にある種の統合原理を提供したのであって、それに対してたかだか230年の歴史しか持たない米国が物理的軍事力に物言わせて挑むのは無謀なことだった。

 加えて、その部族社会の中心勢力でありタリバンもまたそれに基礎を置くパシュトゥン人は、170年間に4度にわたって白人超大国と戦って1度も負けなかったことに自信と誇りを持っている。英国は1838〜42年の第1次アフガン戦争では1万6000の東インド会社軍を全滅させられ、1878〜81年の第2次アフガン戦争では戦況膠着のまま面子だけ守って撤退を余儀なくさせられ、1919年の第3次アフガン戦争でもアフガン軍のインド越境攻撃に手を焼いて、結局アフガニスタンに完全独立を認めざるを得なくなった。また旧ソ連はアフガンの傀儡政権に対するイスラム武装勢力の反乱を鎮めようと1979年に10万を超える陸軍師団を投入したが、10年間の悪戦苦闘の末に惨めな撤退を強いられた。19世紀の超大国が3度戦って1度も勝てず、20世紀の2つの超大国の1つが10年間も戦って勝てなかったのは何故かを顧みることもせずに、残されたもう1つの(そして最後の)超大国が同じ轍を踏んでいるのは、悲劇を通り越して喜劇に近い。

 タリバンの軍資金は豊富で、その源は、一般に信じられているように、年間7000万ドルと推計される阿片密輸収入だけではない。米誌『タイム』9月7日号が報じたところでは、世界各国から復興支援のために寄せられた莫大な援助金は、国連や各国援助機関を通じて現地の建設会社などに流れるが、脅迫、身代金目当ての誘拐、事業の安全を保証する代わりに取り立てるみかじめ料もしくはショバ代などの形で上前を撥ねているのがタリバンである。そう言うと聞こえは悪いが、タリバン側から見れば、国土の半分以上を実効支配している地方権力として秩序維持のために徴収している"税金"という位置づけである。その金が、例えば自爆テロ1件につき報酬750ドル(経費は別途支給、米兵が何人死んだかを示す証拠ビデオを残せばさらに割り増し----もっとも受け取るのは遺族だが)という相場でバラ撒かれるので志願者が後を絶たない。あるいは、ドイツの援助機関の下請けをしている契約業者の一例では、軍事攻撃の対象としないという約束を取り付けるためのみかじめ料は現金で1万5000ドルだった。

 治安が回復しないどころかますます悪化して事実上の内戦状態にあるのに、もはや内戦は終わったかの架空の前提で無理矢理に民生支援を始めてしまった結果、援助金がタリバンの軍資金に吸い上げられて治安悪化を助長するという悪循環に陥っているのである。

●カルザイ政権の腐敗

 事態を深刻化している第2の要因は、肝心のカルザイ政権の腐敗・堕落である。ハミード・カルザイは、96年にタリバン政権によって駐国連大使に任命されたこともあったが、タリバンとイスラム過激派の結びつきが強まったことに反発して反タリバンの立場に身を移し、それを理由の1つとして有力部族長だった父親を殺されている。一時は米石油開発会社ユノカルのコンサルタントとして、中央アジアからアフガニスタンを縦断してインド洋まで石油パイプラインを敷設する計画を推進していた。軍事攻撃の裏で素早く石油利権を確保するというチェイニー副大統領(当時)らネオコンの好みにピッタリの人物として、まさに米国の傀儡として01年12月、アフガン暫定政府の議長に押し立てられ、04年10月の戦後初の大統領選挙で当選して大統領に就任した。

 しかし、アフガニスタン再建の主軸となるには余りに無力で、首都カブールの治安はおろか自分自身の身辺警護さえ米軍に頼るような有様が続いてきた。しかもカルザイは、軍閥や部族を味方に引きつけるために利権をバラ撒き、あるいは半ば公然たる麻薬密売組織のボスを政府高官に就けるなど、自らの政権を腐食させてきた。その象徴が、前国防相のムハマッド・カシム・ファヒムで、彼は最も有力な麻薬財閥のオーナーだが、こともあろうにカルザイは今年8月の第2回大統領選挙に当たって、このファヒムを2人の副大統領候補の1人に指名しようとしてオバマ政権の決定的不信を買った。(続く)▲

江畑謙介(軍事評論家)氏について書いた民主党衆議院議員のブログが炎上!

10月12日付の「ある軍事評論家の死」というタイトルのブログ記事が炎上している。

ブログの持ち主は、首藤信彦(すとう・のぶひこ、民主党衆議院議員)氏。

その記事に寄せられたコメントのほとんどは...先日10日に呼吸不全のため亡くなった江畑謙介(えばた・けんすけ、軍事評論家)氏に対して「故人を誹謗中傷した」とし、逆に「擬似専門家」よばわりされているというもの。

=指摘箇所[本文転載]=
それでもお互いに専門家として尊重しあい、もう10年近くになるがクラスター爆弾問題などでは、NGOの講演会にも講師として来て貰ったこともある。しかし、その後は政治、特に与党への傾斜が激しく、政府見解の応援みたいなことを軍事専門家のタイトルで行っていた。次第に自民党べったりになってきて、数年まえに会ったときには、自民党のプロパガンダの集会やイベントにも政治家に寄り添って立つようになった。きっと政治の世界にでていきたいんだなあ..

確かに、この記事が書かれるまでのコメント数は、おせじにも多いとは言えないが、この記事に関しては確認した時点でのコメント数が「1655」ともの凄い数である。

翌日の「連休後遺症」という記事は、全く関係のない内容なのだが、炎上記事の余波でまだその勢いは止まっていない。

タイトルどおり、まだまだ「後遺症」が残っている。

首藤氏本人はこの件について、「ブログのエントリーを撤回することもお詫びをすることもない」としている。

ある軍事評論家の死(すとう信彦 & his band:2009-10-12 21:15:01)
http://blog.goo.ne.jp/sutoband/e/03fdc5aba5f001a0c2f1cfc0e88696de

首藤信彦オフィシャルサイト
http://www.sutoband.org/

江畑謙介(えばた・けんすけ、軍事評論家)
1949年3月23日 ─ 2009年10月10日。湾岸戦争時にメディアに露出。その独特なヘアスタイルと冷徹なまでに事実のみを追求する一線を隔した分析力で話題になり、「軍事評論家」というワードを世に認知せしめた。

2009年10月13日

上杉隆×高野孟:ニッポンの怪談 ── 世にも奇妙な記者クラブ制度のおはなし

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 今月の「ON THE WAYジャーナル~高野孟のラジオ万華鏡」では、ジャーナリストの上杉隆さんをゲストにお迎えし、極東の島国に残る神秘的な制度「記者クラブ」について語り合いました。

 鳩山内閣発足当日の9月16日、フリー記者らが首相官邸に入れなかったのはなぜか? すでに民主党の公約違反なのではないか? 

などなど、帝国議会発足時からヌエのごとく生き長らえてきた記者クラブ制度の実態をお楽しみください。対談(怪談?)の模様は、下記のURLで公開されています。

■番組ホームページ
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/index.html

■音声ダウンロード(mp3)
http://pod.jfn.co.jp/people/scope/dl/takano_38.mp3

■テキスト版はこちら
http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/n_noa.html

2009年10月12日

岡田外相のアフガニスタン訪問、給油活動支援どうする?

9月20日のTV番組で「自衛隊を出すことはあり得ない!(下記参照)」と明言した岡田克也外相が、10月11日、自らの強い要望でアフガニスタンを訪問し、首都カブールでカルザイ大統領と会談した。

岡田外相は民生支援を強化する考えを表明し、その重要性では認識が一致しているが、インド洋での海上自衛隊の給油活動については双方言及していない。

具体的な支援策をどうするのか?...にはまだ届いていない。

オバマ米大統領の来日が11月12、13日と確定し、7日の記者会見ではギブス米大統領報道官も「首脳会談では、海上自衛隊によるインド洋での給油活動の継続」も議題になるとの見通しを示唆しているため、鳩山政権は早急に支援策を取りまとめる必要に迫られている。

岡田外相に関しては、応援メッセージが《THE JOURNAL》にも届いていますが、いくら遅くとも、来年1月の「給油活動の期限」が切れる前にはハッキリと結論が出る懸案だけに、注目してゆきたい。

参考記事
岡田克也外相、「自衛隊を出すことはあり得ない!」と明言(《THE JOURNAL》9/20)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/09/post_372.html
岡田外相とカルザイ大統領の会談要旨(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091011/plc0910112136010-n1.htm

オバマ大統領アジア歴訪日程
11月12、13日:来日し鳩山首相と2度目の首脳会談
11月14、15日:シンガポールを訪れ、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席
11月15〜18日:中国の上海・北京を訪れ、胡錦濤国家主席と会談
11月18、19日:韓国のソウルで李明博大統領と会談

2009年10月 9日

オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞

 CNNによると、ノルウェーのノーベル委員会は9日、今年のノーベル平和賞をバラク・オバマ大統領に授与すると発表した。

 下馬評では、中国の市民活動家の胡佳氏、ジンバブエのツァンギライ首相、アフガニスタンの女性人権活動家シマ・サマル氏などが予想されていた。また、大穴候補として、イランの大統領選挙後に発生した暴動をインターネットで世界に伝えた「Twitter」もあがっていた。

2009年10月 7日

ドイツの「政権交代」 ── 二大政党の退潮

水島朝穂氏(早稲田大学法学学術院教授 憲法・法政策論)

※水島朝穂氏のHP『今週の「直言」』より転載
http://www.asaho.com/jpn/index.html

 9月27日はドイツの総選挙の日。4年前も同じようなタイミングだった。日本では「9.11」総選挙で小泉自民党が大勝したあと、やや遅れてドイツでも総選挙が行なわれた。1998年に社会民主党(SPD)と「緑の党」の連立政権が誕生し、その2期目の途中でシュレーダー首相(SPD)はかなり無理をして連邦議会を解散した。選挙の結果、保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とSPDの「大連立政権」が生まれた。小選挙区比例代表「併用」制をとるドイツ、小選挙区比例代表「並立」制をとる日本。その違いは一般の人には分かりにくい。簡単にいえば、ドイツは比例代表制、日本は小選挙区制を軸とした制度と考えればよい。今回はそれぞれの制度の問題性がさまざまな形で浮き彫りになってきた。

 この4年間、日独ともに、性急かつ強引な新自由主義的「改革」が行なわれた結果、雇用、医療、福祉、年金など「社会的なるもの」が大幅に後退した。それに対する国民の怒りは大きく、総選挙を前にして、ドイツでは「すべての政党が社会民主主義的になった」とさえいわれた。日本でも、麻生内閣の末期は、「定額給付金」に見られるような節操のない「ばらまき」が行なわれ「マニフェスト」においては子どもに対する税金投入を競い合うような状況が生まれた。総選挙の中盤以降、自民党はネガティヴキャンペーンを展開して浮上をはかったものの、これがまったくの逆効果となった。自民党支持層の700万ほどが民主党支持にまわり、小選挙区効果が目一杯発揮される結果となって、政権交代が行なわれるに至ったのである。

 さて、ドイツの選挙結果は、CDU/CSUが33.8%(1.4%減)で239議席(13増)、SPDは23.0%(11.2%減)で146議席(76減!)。これは戦後のSPDの得票率・獲得議席数としては最低である。自由民主党(FDP)は14.6%(4.7%増)で93議席(32増)、左派党(Die Linke)が11.9%(3.2%増)で76議席(22増)、「緑の党」は10.7%(2.6%増)で68議席(17増)と、二大政党以外の政党が躍進した。
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 この結果は、ドイツにおける「二大政党制の終焉」を意味するといってよいだろう。二大政党はともに得票率を下げ(その程度に大分違いはあるが)、大連立政権は、国民から大きな批判を浴びたわけである。その一方で、 二大政党以外の3党は、2005年は5%条項(このライン以下の政党は議席配分を受けられない)を少し上回る程度だったが、今回は3党ともに堂々たる二桁台にのせた。毛色の違う3党の合計得票率は37.2%に達し、CDU/CSUの得票率を超えた。
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 これは、比例代表制を軸にした「併用」制効果がはっきりあらわれると同時に、あまりにSPDが弱体化して、小選挙区でCDU/CSUが「勝ちすぎ」た結果、いわゆる「超過議席」(Überhangsmandat)が、過去最大の24議席も発生することになった。定数598に対して、確定の総議席数は622に増えた。今回の総選挙の問題点の第一のものである。少し説明しよう。

 ドイツの制度は比例代表制が基本なので、598の議席全体に対して第2投票の結果に基づいて州ごとに、各党への比例配分が行なわれるが、配分議席数よりも、小選挙区での獲得議席の方が多くなった場合、その増加分について、総議席を増やすことになっている。比例代表制を軸としつつも、小選挙区における「顔の見える選択」を尊重するための工夫といえる。CDU/CSUはこの超過議席の恩恵を受けて、議席を増やすことに成功したわけである。

 ところで、2005年の総選挙で生まれた超過議席は、SPDが9議席、CDUが7議席だった。それまでの選挙でも大体、この程度の水準だった。しかし、今回は24議席もの超過議席が生まれ、CDU/CSUは、得票を減らしたのに22議席も増えることで過半数を得るという、何とも後味の悪い結果となった。

 実はこの超過議席の仕組みについては、連邦憲法裁判所が2008年7月3日に違憲判決を出していた。直接選挙と平等選挙の原則に違反するというのである。ただ、「適切な期間」(日本の最高裁が定数不均衡訴訟で使った表現は「合理的期間」)というものがあり、立法者は現在の任期が経過する前に、したがって総選挙の前に、選挙法を改正するよう義務づけられることはない、とした。そして、法律の改正のために、「遅くとも2011年6月30日まで」の移行期間を設定した。その結果、今回の総選挙は現行法で行なうことが可能となったわけである。CDU/CSUが政権を維持したのは、連邦憲法裁判所の「適切な期間」という判決にも助けられたわけである。

 選挙前はさまざまな連立組み合わせが取り沙汰されていた。大連立はもうあり得ない。残りは「信号連立」(赤SPD、黄FDP、緑「緑の党」)、ジャマイカ連立(中米の国、黒、黄、緑の三色旗)、赤赤緑連立(SPDと左派党と「緑の党」)である。選挙の結果、最も議席数の多い組み合わせは、「黒黄連立」となった。CDU/CSUとFDPの合計得票率は48.4%である。過半数にわずかに足りないが、前述のように「超過議席」の恩恵をCDU/CSUが最も受けて、FDPとの合計議席数は332議席となった。これで、得票率が48.4%なのに、議席占有率は53.3%となった。

 次に、今回のドイツ総選挙で問題となりうるのは、戦後最低の投票率である。もともとドイツは日本に比べれば、投票率はきわめて高い。最高は1972年の91.1%。長らく80%台が続いた。2005年は77.7%ということで、これでも投票率の低さが問題視された。今回はそれよりもさらに低く、70.8%だった。日本では考えられない高い数字だが、ドイツでは「戦後最低」ということでショックをもって受け止められている。

 投票にあえて行かないことで、すべての政党を不信任にするという効果を狙った積極的棄権者を含め、選ばない人々(Nichtwähler)が全有権者の3割近くも存在することが、ドイツでは問題とされている。

 さらに、5%に満たない小政党(ドイツでは「破片政党」と呼ぶ)の得票をゼロカウントして議席配分を行う仕組みも、問題がないわけではない。今回、ネオナチの共和党やNPDは得票を減らしたものの、それでも、計83万票(1.9%)を得た。そのほか、ドイツ家族党、動物保護党、連帯市民運動、ドイツ中央党、環境民主党など20以上の政党が選挙に参加した。これらの小政党の合計得票は、第2投票(比例部分)で約260万票(6%)に達する。このなかで最も「健闘」したのが「海賊党」である。プライバシー尊重、著作権法改正、特許制度廃止、インターネット規制反対を掲げた政党で、845904票(2.0%)を獲得した。もし、5%阻止条項がなくて、完全比例代表制で議席配分をすると、「海賊党」は11議席を獲得することになる。だが、実際は「海賊党」を含む小政党に対する投票は、すべて死票となった。

 第1投票(小選挙区で個人を選ぶ)で3議席以上か、第2投票(政党名で選ぶ)で5%以上を獲得した政党しか議席配分を受けられないという、連邦選挙法の「5%・3議席条項」については、平等原則に違反するという訴訟が提起された。連邦憲法裁判所は、1957年1月23日に合憲判決を出している。その理由は政党の機会均等の要請と、「議会の活動能力の確保」とのバランスである。極小政党が多数議会に進出して、議会の活動に障害が生まれることを阻止するという目的のために、5%のハードルを設けることが正当化されている。ただ、政党間に差別的取り扱いが行われることは事実なので、裁判所は「議会選挙により遂行される国家政治的目的を確保する上での、必要不可欠な場合に限られる」という歯止めもかけている。ただ、地方レベル、例えば北部のシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州選挙法は、デンマーク系住民の政党(SSW)の存在を想定して、小選挙区で1議席でも得られれば議席配分を受けられるようにしている。この州におけるデンマーク系住民の「民意の反映」を考慮したものである。連邦全体についても、議席配分における「足切り条項」については、なお見直しを求める動きがあることにも目配りが必要だろう。

 もうすぐ誕生するCDU/CSUとFDPの「黒黄連立政権」は、戦後ドイツ発足以来の最低投票率の上に、小政党が得た6%の得票をゼロカウントにして、さらに超過議席を加えて過半数を獲得することで成立したという意味では、必ずしも安定政権とはいえない。「緑の党」のJ・トリティン代表は、超過議席による「だまし取られた多数派」と非難している。左派党は早速、連邦憲法裁判所に再び違憲訴訟を提起する構えである。

 日本で二大政党制がもてはやされているが、ドイツでは完全に多党制に移行した。4年前に始まった5党制は、今回の選挙によって定着したとみていいだろう。比例代表制を軸とするドイツの制度が結局、5党制に落ち着いたわけだが、日本では小選挙区制効果を最大化するような選挙が4年後も続くのだろう。だが、極端な結果を生む小選挙区制を基礎とした現行制度が、国民にとって果たしてよいものなのかどうかは、また別問題である。現在の民主党を中心とする政権がいかなる政策を実施するか。慎重にかつ、緊張感をもって見守っていく必要がある。ただ、民主党の「マニフェスト」には選挙制度改革も含まれていたが、間違っても、自らの政権維持に有利になるような「改革」は行うべきではない。その意味で、あの「マニフェスト」にある比例部分の削減については見直しが必要だろう。より根本的には、現行選挙制度について、この15年間の運用全般を十分検証した上で、野党とも議論を重ねて、より「民意の反映」を重視する方向で見直していく必要があるだろう。

加藤登紀子:「68年」ていったいなんだったのか?

人間のすべての素晴らしさを守りたくて戦った1968年。
立ち向かったのは権力、組織、お金、そして戦争‥‥。
そして40年たった2009年、噛んでも味のしないガムのような時代。

1968年は、現代的な「生きづらさ」との闘いのはじまりだったのではないか。
68年がなければ、今の21世紀はなかったし、オバマ政権もなかったかもしれない。

68的気分を取り戻したいね。
ヒントは、ジェームス・ディーン、カミユ、ゲバラ、アレン・ギンズバーグ、ビートルズ。それに多分、太宰治‥‥。

10月7日、全曲新録によるニューCDアルバム『1968/加藤登紀子』が全国のタワーレコード81店舗で独占限定発売される。またその日、SNS「1968 by 加藤登紀子」も始動する。このSNSは、CDを買っていただいた方のみが入会できます。下記URLにアクセスし、CDタスキ裏面に記載されたシークレットコードを入力してください。CD発売日から1年間(2010年10月7日まで)、無料でSNSに登録できます。

Tokikoの「1968」から68的輝きの世界へ!

SNS「1968 by 加藤登紀子」へどうぞ!

※TOKIKO WORLD「1968」特集ページ:http://tokiko.com/1968/

タワーレコード新宿店7Fで発売記念イベントも!
10月19日(月)19時〜
※詳しくは同上:http://tokiko.com/1968/

YouTubeに加藤登紀子の「1968」のプロモーションビデオがアップされています。
※YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=Ht_BCHZXy7c

登紀子ブログはこちら。
※TOKIKO BLOG:http://greenz.jp/tokiko/

2009年10月 6日

藤原和博:神戸市長選で「官僚支配の権化」を推薦した民主党の不可思議!

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 今週末、いよいよ神戸市長選が始まり、25日(日)投票です。

 私は、現職市長と対抗する元リクルートの起業家・かしのたかひと君(46歳、しがらみナシ)を全面的に支援するため11日から連日、神戸に乗り込みます。政治家にしたら伸びる人材だからです。

 神戸を60年間の官僚支配から救い、鎖国した学校教育を開く象徴とするためです。

 ところが最近、メッチャ面白いことが起こりました。

 ご存知の通り、ギリギリになって民主党本部が、こともあろうに自民、公明と何十年もベタベタだった現職の矢田立郎(やだ・たつお)氏(69歳)を単独推薦することを決定。小沢一郎氏が党を挙げての応援を約束したのです。

 「官僚支配を崩す」と宣言している政党が、その官僚支配の権化である「現職の市長(副市長から2期8年)」を推薦する暴挙に出た。

 こんなことが許されたら、神戸に「正義」は通りませんがな(爆笑)。

 いっぽうで、神戸市民は明らかに「変化」を望んでいるのです。

 どう闘うか・・・ご期待ならびにご支援下さい!

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藤原和博(ふじはら・かずひろ)
1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問に。著書は『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』(文春文庫)、『校長先生になろう!』(日経BP)、ビジネスマンの問題解決に必須の情報編集力を解説した『つなげる力』(文芸春秋社)等。

2009年10月 4日

鈴木宗男氏がさっそく「常識」を打ち破った

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写真は2009年5月13日編集部撮影のもの

 新党大地の鈴木宗男代表が早くも国会の慣例を打ち破った。

 10月1日に開かれた閣議で、政府は国会議員からの質問主意書26件を受理、答弁書を決定した。驚くことに、そのうち22件の提出者は民主党と統一会派を組む鈴木氏によるものだった。「政府と与党は一体」だった自民党政権下において、与党系議員が質問主意書を提出することはこれまで「非常識」とされてきた。

 鈴木氏は野党時代に約1900本の質問主意書を提出してきたが、政権交代後に外務委員長となってからも外務省への追及はゆるめないようだ。鈴木氏は10月9日号の週刊朝日のインタビューでも、国民への情報開示、情報の透明性を高めるためにも今後も質問主意書を出し続けることを語っている。

■衆議院ホームページ「質問答弁経過情報」
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm

中川昭一元財務相が死亡 東京都内の自宅二階で発見される

 報道によると、自民党の中川昭一元財務相(56)が、東京都世田谷区の自宅二階で死亡しているのが発見された。目立った外傷はなく、事件の可能性はないとみられる。

 中川氏は総選挙で落選した後、政界復帰を目指してすでに活動を再開していた。9月14日にはホームページに「十勝・日本が危ない」と題するブログを掲載し、「今後新たに決意を持って進んでいきます」と決意表明。一方、ブログの最後には、麻生前首相が昨年の首相就任時からズルズルと解散を引き延ばし、結果的に自民党の大敗を招いたことついて、「私は麻生総理に対し、心から申し訳なく思っている。何故なら、昨年来、経済・生活対策を最優先にすべしと一番強く迫ったのは、財務・金融担当大臣つまり私だからである」と、大きな責任を感じていることを書き記していた。

 中川氏の父である中川一郎氏は1983年に57歳で自殺(謀殺説もあり)しており、親子二代にわたっての早すぎる死に、関係者の間では衝撃が広がっている。

*  *  *  *  *

■中川一郎氏ホームページより
選挙が終わって―『十勝・日本が危ない』平成21年9月14日
http://www.nakagawa-shoichi.jp/talk/detail/20090914_497.html

 私の選挙が終わった。多くの人々が仕事、家庭、お盆を犠牲にして私の為に戦ってくれた。選挙区外からも大勢の人々が駆けつけてくれた。そして、それぞれの選挙運動を一生懸命やってくれた。朝6時頃、選挙事務所を飛び出して行く人たち、一日中車のハンドルを握ってくれた人たち。毎日毎日運動靴を履いて、雨や汗にまみれながら、一軒一軒「お願い」に行く人たち。相手から怒鳴られたり、泣かれたり、また励まされたり・・・・。皆、事前から危機を共有していたのでエネルギーは質・量とも感動的だった。
全国から毎日たくさんの激励・応援の手紙やメール等々も頂いた。事務所の何枚もの大きなボードに掲載したが、どんなに励みになったか。

 それでも負けた。活動してくれた人々、約9万人の支持を考えると誠にありがたい。かつ申し訳ない。悔しい。しかし、十勝の総意として、私は否定された。敗因は逆風もあったが、やはり私自身の報道問題と、私が訴え続けたこのままでは「十勝が危ない」「日本が危ない」が有権者に受け入れられなかったことだろう。

 選挙中、周りの人からは「あまり民主党を攻撃するな」と言われた。もちろん自分の主張はしたが、マスコミは既に我々の敗北が決まった様な報道をしているので、そうなれば「大変なことになる」と訴えざるを得なかった。「泣け」とか「土下座しろ」というアドバイスもあったが、私には出来なかった。この間2度公開討論会があり、「これが選挙のあるべき姿だ」と思い大変重視したが、全く「討論会」にならなかった。形式的で3人で1時間半しかない。入場者も議論に参加した、候補者が主役で、候補者の主張の違いが明確になる「朝まで討論方式」でなければ意味がない。12日間、大音量で連呼を続け、人々と動物等に多大な迷惑をかけた。改めて「全ての十勝」に感謝と御礼の気持ちでいっぱいだ。

 それから2週間経過し、十勝は夜を徹して収穫の真っ盛り。コスモスが咲き乱れている。マスコミは新政権の行方と自民党の混乱、そして事件・事故報道ばかり。予想通り「危ない政権の危ない日本作り」が着々と進んでいる。そんな中JALの経営危機問題。この問題は永年の労組中心の高コスト構造と甘い経営に尽きる。アメリカのGMと同じだ。労組は「自分達の労働条件が悪化すると乗客の安全性が保証できない」と客の生命を人質に脅かしている。新政権になれば、ますます労組の主張が通るだろう。だからこそ、日本と日本人を守るために自民党がしっかりしなければならない。
 ところが・・・・・。
 党内議論は「若手に主導を渡せ」「上の人間は出て行け」「派閥をなくせ」・・・・。党がおかしくなると感じた時に、毎回「セミ」のように騒いでいる。近くは、今回解散前、遠くは今から16年前の記憶が私には鮮明だ。
 平成5年、我々は負けて野党になった。(私は当選したが)。やはり、不況、悪天候で不作、年末にはウルグアイラウンド(GATT、WTOの前身)で細川内閣は「無条件降伏」をした。あの時も党内で上を下への大議論をやった。しかし、激論の末、石原慎太郎さんの下で党再生の本格的議論が始まった。私も参加して、各分野ごとに、日本の為に党はどうなるべきか、どういう政策を打ち出すべきかを連日議論した。そして一年後、政権政党に戻った。その前提は唯一つ「保守」であった。
 そう、自民党の原点は「保守」なのだ。そして今こそ原点に戻るべきなのだ。
  「保守」とは守るべきものを守り、保守すべきために改革する。そして国民の活力に期待して成長のための戦略を描く。リベラリズム、ポピュリズム政権とどう区別し、対抗していくか。しかし、前進―地球の中で生き残り、真に国民を守るために何をなすべきか。と言った議論が全く欠けている。
 私を含め、「保守」議員の多くがいなくなったが、まだ残っている。彼らがいかに保守の旗印をもう一度立て直し、日本を守り、真の意味で国民を守るかを真摯に議論してほしい。心ある国民はそれを是非応援してほしい。
 自民党は末期的だが、今こそ日本の保守の軸を改めて確立するために全力を尽くすべきだ。さもなければ、日本は世界の中で埋没しながら自壊してゆく。

P.S. 過日、麻生総理の「就任直後に解散しておけば勝っていたかもしれない。しかし、経済状況を考えると、とてもそれはできなかった。」という主旨の報道があった。それが総理の本音であり、総理という立場の判断の辛さだと思う。私は麻生総理に対し、心から申し訳なく思っている。何故なら、昨年来、経済・生活対策を最優先にすべしと一番強く迫ったのは、財務・金融担当大臣つまり私だからである。何よりも政局より、政策実行の為に。総理の選挙を負けさせ退陣に追い込んでしまった。私も議席を失ったが、あの時の判断は、その後の対策が日本と世界を上向きにしつつある現状を見ても、間違っていなかったと今でも思っている。

私は今後新たに決意を持って進んでいきます。発信していきます。「日本が危ない」から。

*  *  *  *  *

【関連サイト】
■中川昭一公式サイト
■再起への行程に関心 中川氏敗戦1週間(十勝毎日新聞)
■中川一郎の死:突然の自殺、日本中に衝撃 後継者めぐり「骨肉の争い」

2009年10月 3日

鳩山故人献金問題で「寄付者」から参考人聴取

 鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、すでに亡くなった人や寄付を受けていない人の名前が記載されていた問題で、東京地検特捜部は「寄付者」から参考人聴取をはじめたことがわかった。報道各社が「関係者」もしくは「捜査関係者」への取材で明らかになったと報じている。

【関連記事】
■首相の虚偽記載問題、参考人聴取 東京地検特捜部、捜査が本格化(47NEWS)
■首相「故人献金」 参考人聴取を開始 東京地検特捜部、実態解明急ぐ(産経新聞)
■鳩山由紀夫氏の「献金事件」は在宅起訴で終結(リベラルタイム)
■山口一臣:自民党が狙う! 鳩山「架空献金スキャダル」

2016年五輪開催地 東京落選

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2016年夏期五輪開催地を決める投開票が日本時間10月3日0時すぎに行われた。

投票は約100人の国際オリンピック委員会(IOC)委員によって、シカゴ(アメリカ合衆国)、リオデジャネイロ(ブラジル)、マドリッド(スペイン)、東京の4都市を対象に行われ、4都市のうち過半数の票を獲得した都市が開催地に決定するが、過半数を満たさない場合は最下位の都市が落選する。

第1回目の投票で過半数を獲得した都市はなく、最下位だった都市、シカゴが落選した。そして続く第2回目も過半数を獲得した都市がなく、1964年以来2度目の開催を目指した東京が最下位となり落選した。

最終投票で「リオデジャネイロ」が南米初のオリンピック開催地に決まった。

投開票の前に行われた招致演説では鳩山首相が東京をアピールしたが、東京開催の願いは届かなかった。

16年五輪:4都市プレゼン趣向さまざま(毎日jp)
http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/news/20091003k0000m050090000c.html

石原都知事は昨年本誌ブロガーの相川氏が行ったインタビューで「負けたらどうしますか?」との問いに、「次もチャレンジしたらいい。俺が生きているかどうかわからんが」と答えたそうだが...

ちなみに、2020年のオリンピック候補地は...バクー(アゼルバイジャン)、デリー(インド)、ドーハ(カタール)、台北(中華民国)、東京・大阪・広島(日本)、釜山(韓国)、クアラルンプール(マレーシア)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、パース・ブリスベン(オーストラリア)、オークランド(ニュージーランド)、シカゴ・セントポール・デンバー・バーミングハム・ボストン(アメリカ合衆国)、トロント(カナダ)、モンテレー(メキシコ)、リマ(ペルー)、ローマ(イタリア)、プラハ(チェコ)、コペンハーゲン(デンマーク)、ハンブルク(ドイツ)、イスタンブール(トルコ)、ブダペスト(ハンガリー)、ブルッヘ(ベルギー)、サンクトペテルブルク(ロシア)、ケープタウン(南アフリカ共和国)となっている。

2009年10月 2日

加藤秀樹が行政刷新会議事務局長に就任!

 民間シンクタンク「構想日本」加藤秀樹代表が民主党政権の行政刷新会議事務局長に就任することが決まり、構想日本のメルマガ「J.I.ニュース」最新号に「行政刷新会議事務局長を引き受けるに当たって」と題した挨拶を寄せている。

*  *  *  *  *  *

 この度、政府の行政刷新会議の事務局長職をお引き受けすることになりました。

 行政刷新会議の仕事を、「事業仕分け」の手法を使って成果を上げて欲しいということで、引き受けました。構想日本が、今まで7年間取り組んできた事業仕分けの実績が、社会的に認められた結果と言えると思います。

 当面は、事業仕分けを通じて4兆円の財源を今年度中に捻出することに注力していくことになります。本来ならば半年から一年かけて準備に要するところを、数ヶ月で行わなければならず、極めて大変なことですが、精一杯の努力を致します。

 しかし、事業仕分けの目的は決して歳出カットだけではありません。ひとつひとつの予算の背後にある、国と地方、または官と民を巡る制度や組織にこそ、根源的な問題があることが見えてくることが、最大の意義なのです。最終的には行政刷新会議として、行革や地方分権につながる仕事を遂行していきたいと思っています。

 事務局長職は激務ではあると思いますが、非常勤であり、構想日本代表としての活動も従来通り続けて参りますし、当然、構想日本としても、これまで通り、様々な分野での政策提言やキャンペーンを行っていきます。今後とも構想日本への益々のご支援のほど、どうぞよろしくお願い致します。

*  *  *  *  *  *

 構想日本は、専門スタッフを中央省庁や自治体に派遣して、住民参加の公開形式で事業仕分けを実施する活動を精力的に続けていて、これまでに6省、37自治体の計53回行っている。今後、10月だけでも都留、小田原、高松、和光、足利の各市と静岡県で予定しており、地元の関心ある方々の参加を呼びかけている。詳しくは、構想日本HPの「事業仕分け」サイトを。事業仕分けについての解説もある。

http://www.kosonippon.org/shiwake/index.php

 また事業仕分けの入門書としては、構想日本著『入門 行政の「事業仕分け」―「現場」発!行財政改革の切り札』(1800円)が参考になる。


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入門 行政の「事業仕分け」―「現場」発!行財政改革の切り札

2009年10月 1日

【著者インタビュー】辺真一:「中国は北朝鮮に影響力がある」は勘違い

《THE JOURNAL》のブロガーとしてもお馴染みの辺真一氏(「コリア・レポート」編集長)の著書『45分でわかる! 14歳からの北朝鮮のすべて。』がマガジンハウス社より出版されました。

「冷却化する日朝関係がいつか氷解しわかりあえる日が来る」ことを期待する辺氏に、著書にこめた想いを聞きました。

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『45分でわかる! 14歳からの北朝鮮のすべて。』
2009年8月、マガジンハウス

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─久々の著作は北朝鮮に関する入門書です。入門書とは言っても、テレビや新聞では見聞きできない内容が含まれています

日本の新聞はどうして異口同音、同じことを報道するのでしょうね。日本の報道を見ていると一方的で断片的な情報だけを流していると感じます。このままでは情報を受け取る側は判断を間違えてしまいますね。北朝鮮報道については特にそういう危険な状態にあると思います。

─画一的な視点になってしまったのには理由があるのでしょうか

それは結局商業紙として部数を気にするようになり、世論に逆らったり反発に絶えられなくなってしまったからでしょう。つまり本来世論をリードしなければならない新聞が部数に直結する世論に迎合せざるを得なくなっています。私からすると大手新聞は「赤信号はみんなで渡れば怖くない」という報道手法に見えます。特徴のある新聞なんてありません。本来は「赤信号はわたってはいけません」と言って論陣を張るのが新聞の使命でしょう。赤信号をみんなで渡っている現状は、戦争突撃をみんなで叫んだ戦前と変わりませんよ。

─国民の意識はメディアの北朝鮮報道に影響されていますか

4、5年前の朝日新聞の世論調査ですが、日本人の韓国への好感度は15%もありました。しかし北朝鮮については1%もありませんでした。戦争して今もなお北朝鮮と敵対関係にあるアメリカですら、USAtodayの世論調査では好感度が10%ありました。日本は北朝鮮問題において、全体主義国家に近いと言っていいと思います。

─北朝鮮問題について国民には独特な感情があるように感じます

ありますね。固定概念であり、悪く言えば偏見が強いと思います。情報にアクセスする時にはできるだけ偏見を捨てて真っ白な状態で接しなくてはいけません。そうでなければ判断を誤ります。そして接する情報が正しいか、ガセネタかを判断する能力を持たなければいけません。その判断のためにはモノサシが必要です。モノサシがなければ何も測れませんよ。

「中国は北朝鮮に影響力がある」の勘違い

─そのモノサシが今回の出版された書籍となるわけですね

本書を見ていただくと書いてありますが、モノサシが無いことで判断が間違うという一例をあげましょう。「中国は北朝鮮に対して影響力を持っている」というものです。中国は北朝鮮問題には大して影響力を持っていません。もし中国が影響力を持ち北朝鮮が言うことを聞いているのであれば、核もミサイルも拉致問題もとっくに解決しています。なぜ言うことを聞かないと思いますか?

中国と北朝鮮はそれぞれの建国者で革命家の毛沢東と金日成がお互いに杯を交わした仲で、社会主義兄弟国の関係にあります。今年中国は建国60周年でパレードを予定したりと盛んに報道されていますが、それに対して北朝鮮は去年が建国60周年にあたります。北朝鮮が中国に対して1年先輩にあたります。日本人はこの革命家社会における兄弟関係が示すことをなかなか理解できないようです。

ヤクザ社会に例えると、北朝鮮の方が兄貴分にあたります。1983年に金正日が中国を訪問し、鄧小平、そしてその後江沢民と乾杯するとき、末席に座っていたのが胡錦涛です。その末席に座っていた胡錦涛が今度はヤクザ社会でいうところの"組長"になりました。建国者から2代目の金正日は6代目の胡錦涛からすると兄貴分または"オジキ"にあたるのですが、弟分がオジキに対して核やミサイルは禁止と言えるわけがありません。

─軍事大国が隣接しているのに影響はしないのですか?

北朝鮮には中国の基地もなければ軍隊も駐留していません。中国は安全保障面に関して影響力はゼロです。経済的にはパトロンですが、軍事的には用心棒ではありません。それが日米関係との決定的な違いです。ですから北朝鮮は小さい国だからちょっと締め上げればすぐホールドアップする、なんて単純な話じゃないんです。

「45分でわかる! 14歳からの北朝鮮のすべて」では辺さんの視点がたくさん紹介されています。すでに購入した、これから購読を考えている《THE JOURNAL》読者に一言お願いします。

スポーツをするときでも相手に向き合うときは、相手のことを正しく知ることが大事です。固定概念や偏見を持たず、冷静に、客観的に北朝鮮問題に向き合ってほしいですね。その時にこの本がモノサシになればいいなと思います。

【直撃インタビュー】寄付要求疑惑を篠原孝に質す!

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2009.9.30:《THE JOURNAL》編集部撮影

9月30日付の読売朝刊で、民主党の篠原孝(しのはら・たかし)衆院議員が国会議員秘書給与法で禁じられている公設秘書に対する寄付の勧誘・要求をした疑いがあると報じられた。同紙によると、元公設秘書は読売の取材に対して「篠原氏から寄付を依頼された」と証言しているという。

■公設秘書の寄付、篠原議員も...350万円(読売新聞/2009.9.30)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090929-OYT1T01411.htm?from=main4

この件につき、《THE JOURNAL》編集部は、篠原氏に直接事実関係を質した。

篠原氏によれば、元公設秘書とは「私設秘書との給料のバランスをとるために合意した上での寄付だった」と言う。寄付をした秘書はもともと私設秘書で、その後公設秘書になることになった。公務員として国から支払われる公設秘書の給与は篠原事務所の私設秘書よりも高く、それでは事務所内の他の私設秘書とのバランスが崩れることになる。そこで、「公設秘書にする場合は寄付してもらわなきゃならないけれど」と篠原氏が事前に確認し、本人も同意した上で公設秘書になったという。2008年末まで、読売に証言をした元公設秘書が私設秘書との差額を寄付にまわし、事務所内で給与レベルの調整をしていた。なお、法律上、公設秘書と私設秘書は立場は違うが、両者には国家資格も必要なければ業務内容に特別な線引きもなく、各議員の判断でそれぞれのポストを変更することもできる。

しかし、給与のバランスをとるために、公設秘書の給与を減らすのではなく、私設秘書の給与を増額することは難しいのだろうか?...これについて篠原氏はこう説明する。

「2008 年は完全に赤字。今年はそこに選挙があったので、さらに大赤字です。これが政治家の実態です。収支もすべてのメディアに公開して、(取材に)来る記者に資料も渡しているのに、新聞はおかしな記事を書く。私のところに来るんだったら貧乏政治家の台所事情というテーマで取材に来てくれと言ってやりました」

■公設秘書の寄付の実態(《THE JOURNAL》が入手した資料)
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また、篠原氏の妻は元農水省のキャリアで、かつては篠原氏の政策秘書として政策立案を担当していたが、2004年に民主党が配偶者や同居の親族が公設秘書に就くことを禁じたため、それ以降は無給のボランティア秘書として篠原氏をサポートしている。8月の総選挙で3期連続の当選を篠原氏だが、現在では子どもたちの教育費がピークを迎えており、貯蓄を切り崩しながら生活をしていると言い、疑惑についても「清貧」ゆえのやりくりの結果であったことを強調した。

篠原氏は、毎日新聞で発覚した民主党議員の政治資金でのキャバクラ遊びについてもこう語った。

「私はあんなところに行くお金なんてない。事務所内では妻が(無駄遣いができないように)目を光らせてますから」

「事務次官ポストを廃止せよ」という片山善博の提言 ── 国家戦略局で実現して欲しい!

takanoron.png 9月28日付の日経「領空侵犯」欄で前鳥取県知事の片山善博=慶応大学教授が「事務次官ポストを廃止せよ」との持論を改めて展開している。その通りで、事務次官会議を廃止したくらいでは不足で、事務次官のポストそのものをなくしてしまうのが官僚体制改革の早道である。片山は、国家戦略局(今はまだ国家戦略室)の「予算編成のあり方検討委員会」に参加しているが、それにとどまらず、是非ともこの実現に取り組んで貰いたい。

《発言要旨》
▼今までは事務次官が省庁の実質的な責任を取っていて、大臣はトップではなかった。大臣などの政治家が責任を取り、幹部職員の人事もやるようになれば事務次官はいらない。
▼官僚は、税や国際金融など専門分野でそれぞれ局長を目指せばいい。現在の富士山型の組織を連峰型に変える。その方が職員も幸せだと思う。そして本当に役所のトップになりたいなら政治家になって大臣を目指せばいい。優秀な人材なら政治任用で副大臣や政務官になれるかもしれない。
▼今の事務次官は省庁の権益の守護者にすぎず、国民の利益に反することばかりしている。得意なのは根回しと場つなぎぐらいではないか。ピラミッド型組織を改めれば天下りもいらない。優秀な人は定年まで勤めてもいいし、大学で研究者になってもいい。
▼大臣が幹部人事をやるようになれば組織はすぐに変わる。

 同期の中で事務次官になれるのは1人だけだから、それ以外の人には残念賞としておいしい天下り先を用意して定年前に退職して貰うという慣行になっていた。しかし、片山も言うようにこれは「半分うそで、次官が一番楽なおいしいポストに天下っている」。だからどうしても次官に勝ち残るのが官僚の夢になってしまう。専門領域を持った実力本位のプロフェッショナルとして局長を勤め上げたら、後は次官か天下りか、どちらかの安楽が待っているという官僚人生の設計思想がおかしいのであって、実力局長として定年まで国家・国民のために働くことが夢ということになれば、むしろ意欲と情熱に溢れた若者が官僚を目指すのではないか。▲

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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