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大野和興:「新自由主義を超えた構想力を」―農業政策を考える(2)

農業政策が抱える矛盾

 民主党のマニフェスト修正に至る動きの中で、問題になったのは日米間の自由貿易協定である。民主党は7月27日に発表したマニフェストで「米国との間でFTAを締結し、貿易・投資の自由化を進める」と明記していた。これが農業関係者の間で問題となり、農協が抗議文を出すなどの騒動になった。
 結局民主党は8月7日になって「締結」を「交渉を推進」に改め、さらに「その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」との一文を加えて、決着を図った。自民党は民主党の敵失とばかりにこの問題を攻め立てたが、自民党にしても「日米」とはうたわないまでも、マニフェストに「FTA交渉を積極的に行う」と書き込んで、自由貿易推進を宣言している。

 このことは、自民党と民主党の間で、政策全体を貫く軸足の置き方というか、枠組みそのものにかかわる課題の設定で本質的な違いはないことを示している。貿易や金融・投資の自由化をいうことに関し、何の疑問も持たずにその推進を主張しているからだ。両党ともいま人びとを取り巻く困難の大本の要因となっている新自由主義を修正したり変更したりといった考え方は、マニフェストを読んでも見えてこない。繰り返しになるが、そこにあるのは対症療法の羅列に過ぎない。

 日米FTAをめぐる民主党の混乱は、その弱点をつかれたからに他ならない。そしてこの問題が民主党の戸別所得保障という農業政策の柱が内在的にもつ矛盾でもある。この制度を実施することで必要になる予算規模は、同党のマニフェストによると1.4兆円である。だが、自由貿易推進で海外から安い農産物やその加工品が入ってくると、国内の農産物価格はそれに押されていっそう下落することは目に見えている。販売価格と生産費の差額を補償するというのがこの制度の仕組み方だから、この差額はますます広がり、それに連れて必要経費もどんどん広がることになる。入り口(自由貿易)も出口(財政投入)も開けっ放しにしたまま対称療法的にセーフティーネットを張るという仕組みで、将来一体どうやって帯を結ぶのか、そこのところが見えてこない。

世界の農民を視野に入れた農業政策

 小規模農家を含め、生活の安定を図って農業が継続できるようにするという民主党の戸別所得補償の考え方には反対ではなく、むしろいま必要な政策だと思っている。自民党の政策が、選挙目当てもあって次第にあいまいになりながらも、政策対象を農外資本を含む大規模・高能率農業に絞り込むことを志向しているのに比べたら、よほど農業の本質を捉えた優れた政策だといえる。だからこそ、この政策が内包する矛盾をきちんと見据え、大きな構想力で整合性を作り上げて欲しいと思う。

 その構想力とは、新自由主義グローバリゼーションを所与の前提としていわれるままに受け入れるのではなく、それをどう修正し、貿易や金融・投資のあり方を含め、いまのグローバル資本主義を人間らしいものに変えていくための地球規模のマニフェストづくりということである。日本を含め米国やEUなどいわゆる先進諸国は、財政負担で自由貿易に揺らぐ自国の農民をサポートすることは出来る。だがアフリカや中南米、アジアの多くの国々では、そうした財政余力はなく、農民は裸で世界市場に投げ出され、農民として生きることができない状況にかれている。彼らが農民として生きていくためには新自由主義のもとでつくられた市場のルールそのものを変えていく必要がある。そしてそれは日本の農民が置かれた状況に重なってくる。

 民主党の戸別所得補償政策もまた、新自由主義を所与の前提として受け入れるのではなく、同時代を生きる世界の農民が生きていける国際的な枠組みを構想し、そこに位置づけるという仕掛け方が必要なのではないか。これはそのまま、近い将来来るであろう世界的な食糧危機への対応策となる。そうした大きな構想を伴って戸別所得補償政策を提起することで、この制度に要する膨大な財政サポートも国民に納得してもらえるはずだ。(完)

>>農業政策を考える(1)を読む

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oono.jpg【プロフィール】 大野和興(おおの・かずおき)
1940年愛媛県生まれ。農業ジャーナリスト。四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人。主な著書に「食大乱の時代」「日本の農業を考える」「百姓は越境する」「百姓が時代を創る」など。

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http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

<大野様>
私は都会生まれの都会育ちで、農業の事は、さっぱり分かりません。
民主党は、新自由主義の政党かというと、そうでもあり、そうでもない。2面性があり、そこが私の不満でもあります。
一部の議員(政策新人類と称された議員)に、その傾向が色濃く残っています。今から思うと、4年前の選挙に負けて正解でした。
負けた事で、それらの傾向が強い執行部が、幹部から退き、社民主義的傾向がある菅さんや修正資本主義的時代の自民党で、ど真ん中にいた小沢さんが、執行部になり、既得権を排す事で小さな政府ながら、ナショナルミニマムの設定とセーフティーネットを整備する方向に舵を切り、参議院選挙での勝利と政権交代も視野に入るまでに党勢を拡大できたのです。
結果、農家の個別補償に踏み切る政策がマニフェストにのりました。私はFTAの締結と個別補償のセットの政策が、必ずしも新自由主義とは考えていません。むしろEU諸国の社民主義的な施策だと理解していますが、違うのでしょうか。
また、限られた財源で農民が生活できる様に、農協の支配から農民を解放し、農協のチカラの根源だった補助金を直接農民に渡す事で、農政における構造改革を実施しようとしています。
大野さんにリクエストですが、農協についつは、いかがお考えなのでしょう。次回作で取り上げて頂ければ幸いです。

日本において,産業別人口割合69.1%を占める第三次産業に従事する国民は,安全で新鮮で美味な国産農産物を生産する産業別人口割合3.7%の農家の人達に対する〔感謝税〕として,国家予算等から,無償の土地や農業機械類の提供,また国際競争の対抗費として自己投資した農家の借金の弁済を計る案を,〈農業政策を考える(1)〉で述べましたが,全世界的にも,大野和興氏の示唆を受けて,日本を含めた米国やEUなど,いわゆる先進諸国が,アフリカや中南米,アジアの多くの国々の,財政余力のない,裸で世界市場に投げ出されていて,農業で生きることができない状況に置かれている農民達を,近い将来来るであろう世界的な食糧危機への対応策も考慮に入れて,大きな構想力のもとに,相互援助で共存を図る必要性が検討されないといけないのだな,と思うに至りました。しかしこれはあくまでも文明技術成果と農産物との等価相互交換であって,先進諸国の農業国に対する権力支配や経済圧政であってはならない,と思います。

実名投稿を言われるようになってから投稿を止めていましたが、農業に関する話題なので最後にもう一度だけ投稿します。

小規模零細農家の現状というものがどういうものか、都市部の方の理解の一助になれば幸いです。

http://blog.livedoor.jp/browntongue/archives/51680626.html

> このことは、自民党と民主党の間で、政策全体を貫く軸足の置き方というか、枠組みそのものにかかわる課題の設定で本質的な違いはない


日米FTAは、基本的には対韓国政策というのが 私の認識ですね。
韓国は積極的にアメリカやEUとの自由貿易交渉に積極的に打って出ていて、その果敢な攻めの姿勢に
日本の財界が恐れおののいていて、 このままでは これらの巨大市場で日本製品はさらに競争力を失うと
不安になっている。

よって韓国が これほどの積極な攻めの姿勢をとっていなければ、日本としては アメリカのFTAをやろうという気など
まったく起きなかったはずです。このまま座して見ていれば、アメリカ市場ですでに競争力を失っている液晶などで
さらに LGやサムソンに差をつけられてしまうという現実的な認識がある。これは、日本の財界人のリアルな感覚だと思いますね。 このままでいくと、自動車の分野でも 躍進する現代自動車に追いつかれるかもしれないというリアルな感覚ですね。

この厳しい海外での競争に対して、

> その構想力とは、新自由主義グローバリゼーションを所与の前提としていわれるままに受け入れるのではなく、それをどう修正し

とか何とか言っても、 どうでしょぅかね、 ほとんど 私には 「競争はもういいから、 競争から降りて、
別な方向を目指しましょう」と言っているように聞こえるが、 まあ、これは競争相手の韓国からすれば、
内心 ほっとしているでしょう。 日本は FTAでは 大胆な政策を取れないとね。 もたつく 日本を尻目に 韓国は
さらにFTAを加速させていく。

つまり、いいたいことは、日米FTAは、自由貿易がいいから やろうということで 提起されているのではなく、
いまの時点において 韓国がその政策を加速させていて、 このままでは 日本企業が 極めて不利な状況に立たされるという 緊急の、リアルな状況認識から提起されているということことです。

まずこのことを認識するかどうかで、 この日米FTA問題の論じ方も違ってくなるはずだ。

[BT]様 ( 2009年08月19日 00:11)

〔http://blog.livedoor.jp/browntongue/archives/51680626.html〕 読ませて頂きました。「農業としては自分達で食べる分、あるいは親戚や知り合いに分ける分を生産し、余ったら市場に出すというのが実態である」 江戸時代なら,本来の農業のそのような在り方として,農家の生活も成り立たない訳ではないでしょうね。しかし,現代日本の私達は,文明の利器に囲まれて,どんな暮らし方をしているか,日常生活を考えてみたら,了解できるはずです。ないよりは増し,という農家の個別補償程度で済む話でしょうか。「まあこのあたりは予想でしかないが,少なくともいまのままでは日本の農業はジリ貧だ。まずは農協の影響力を削いで,個々の農家の自主性を増やし,個々の農家に直接補助してやれば,小規模農家であっても,今の仕組みを維持でき,工夫を凝らす余地が出てくるような気はする」 そのような希望的観測を述べていらっしゃいますが,当事者でない私には,過酷な現状を維持するだけでも,もっと大胆な政策が必要なのではないか,と思われて,仕方がないのですが。

[BT ]様  ( 2009年08月19日 00:11)

追記:農業問題に関する私の感想は【平野貞夫:「友愛と共生社会」の実現へ(4)──日本人とユニテリアン思想】でも述べさせて頂いておりますので,疑問があったら,覗いてみてください。

ご存じかとは思いますが,次のURLも大いに参考になりますね。

http://blog.goo.ne.jp/nonasi8523/e/9ddd7300370000d9b1366f6d90dd12b0

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/9da1c8de2b4d6b0d151bd61c46a5fafe

大野和興氏と池田信夫氏の切論から,零細農家・兼業農家を個別補償制度で「保護」する一方で,食料制度に関する法律の規制を改正・撤廃して,農協も縮小・解体し,農民達の自主経営組織等で,耕作を大規模化して,ビジネス化も考慮に入れながら,日米・日欧のFTAによる農産物市場の競争にも打ち勝つ,という必要があるのではないでしょうか。同時多面的な農業政策が試みられてもいい,と思います。正に死活の課題です。

日米FTA問題は、実際には韓国問題と先に述べました。
韓国は アメリカのみならず EUとFTAで妥結し、インドとも妥結し、中国ともやろうとしている。
それでは、韓国の意図は何か。それは、東アジアにおける貿易のハブを確保することです。このことは、韓国のマスコミがそのように伝えているので、韓国政府もそのような戦略で動いているいるとみていいでしょう。

そして、これは 今となっては けっこう現実性のあるところまできたのではないか。つまり、韓国が東アジアでの貿易の中心地になるというのは 将来的に実現するかもしれないところまできたのではないかと思いますね。
というのは、まず 海と空の輸送のハブを韓国はがっちり握ったことが非常に大きい。
それとか、細かいところでは法人税の安さ、海外 とにく日本からの企業を誘致するための優遇措置などを見ると、
将来 ある臨界点を超えると 日本から韓国へと どっと企業が雪崩をうって進出していくかもしれない。

まさか思うかもしれませんが、 輸送のハブを韓国に握られたことで、日本は アメリカへの輸送については 韓国経由のほうが安くつくといわれている。これで、米韓FTAが発行すれば、 韓国がアメリカに輸出する場合、 日本がアメリカに輸出するのに対して、4%程度 コスト安になるといわれている。 ということは、空港や港湾の輸送インフラですでに優位に立っている韓国が、FTAによって関税面でさらに優位に立つことで、 日本企業としては 韓国に移転した方がいいという状況が形成されるでしょう。さらに、韓国はEUや中国とFTAを結ぶとなれば、日本企業が 国内にいることの不利さがさらにきわだってくる。 そこまでいくと、韓国からなんでも輸出した方がいい。(笑 韓国からだと、アメリカであれ、
EUであれ 関税はかからないわけだから。

ここが ここが韓国政府の狙いであり、そういう戦略で動いているわけですが、意外にこのことは 日本では知られていない。 まったくと言っていいほど 知らないのではないですか、一般の日本人は。
こういう韓国の戦略的な動きに対して、 日本は戦略は何もないので、気が付いたときには おそらく あっという間に 貿易ハブを韓国に握られていることになるかもしれない。 つまり、空港や港湾で起きたとおなじことが 貿易全体に起きるということです。 ハブは一度相手に握られると、それを取り戻すことは至難であることは 空港や港湾の事例が示しています。

空港や港湾でも、 韓国にハブを握られる過程で 日本は何も出来なかったことからすると、貿易ハブを形成しようとする韓国の野心的な動きに対しても 日本は何も出来ないのではないか、そんな感じがします。

こういうのは、まさかそんなことが起きるはずがないと思っていても、起きるときには起こるもんです。15,6年前、
輸送のハブを韓国に握られると言っても まさかとそんなことが起きるはずもないと考えられたでしょう。それが
現実に起きている。
貿易でも起こりえます。なぜかというと、韓国はそのつもりで動いているからです。

で、財界が 日米FTAを催促している背景には 今言ったような事情があると、わたしは
見ていますね。韓国と海外市場で競っている日本メーカーからすると かなり切迫した状態であることが感じられる。

ここをどう見るかですね。 農業との関連で、ここをどう考えるかです。

良心派さま。コメント、どうもありがとうございます。

そう、農業を職業として見ている限りは全く許容できるものではありません。ただ、小規模零細農家には、そもそも農業を職業だとする意識は薄いと思っています。職業ではなく生活そのものなのです。先祖代々受け継いだ土地を荒らさないために手入れしているだけ。だから見返りなどなくても出来るのです。

自分の家を掃除するのに他人にお金を要求はしないですよね。それと同じです。だから、極めて私的なものであって、本当は変な補助金などは欲しくない。「自分達の家のことだから放っておいてくれ。誰の厄介になるつもりもない」これが正直なところです。

しかし現実には、一定規模以上の農家は別として小規模農家は市場で戦う力はありません。いくら大規模化しようと機械化しようとです(というより棚田のような立地でいくら大規模化、機械化しても意味はありません)。私はそんな状況ではそもそも戦う必要すらないと思っています。自分達で消費する分だけを作り、余ったら市場に出して小遣い程度のお金を得る。それでよいのだと思っています。つまり市場とは全く別の世界を歩むのです。それを今まで無理をして何とかしようとしていたのが問題なのです。

そのためのモデルとしては、

(1)零細農家の働き手は、第三次産業のリタイヤ組から供給
 → 当然、体力的に酷なことは無理。メインの収入は年金とし、農業収入は当てにしない。
(2)働き手のインセンティブは、単に農業が好き、あるいは先祖代々の土地を守るという意識
 → 格別な報酬など求めない(そもそもそのような収穫量を求めるのは無理)
(3)過剰な機械化は不要だが、働き手が高齢者なので最低限の機械化は必要。車も必須。
 → その維持管理が可能な程度の収入は維持が必要

ということになると思います。

このモデルは、基本的には農業そのものの収入で生活することは諦め、極々私的なインセンティブのみに頼った儲け度外視のモデルです。外から見ればまるでボランティアのような話ですし、本人達は自分の家のことをやっているだけという意識しかありません。全く夢も希望もない話で若い人にはすすめられませんが、リタイヤ後の第二の人生としてなら許容できるでしょうし、農業をやってみたいという人もいるでしょう。

そうは言ってもトータルで赤になってしまうのでは、維持ができず、やる人がどんどん減っていくのも当たり前です。本当は続けたいのだけど出来ないという農家もいるはずです。そこに歯止めをかけるために補填するのが戸別補償制度になるのだろうと思っています。止めた後はどうするのだという議論もあるでしょう。それはその後の話になるでしょうが、恐らく時間と時代の変化が解決するだろうという気がします。

結局、上に述べたような小規模零細農業のモデルを是とするかしないかが最初の論点となります。ビジネスに乗らないようなものに存在意義はないよといってしまうこともできますし、いやいや食料安全保障や治山治水の面から必要だよという議論も出来ます。それは農家が考えることではなく、国全体で考えることです。国の形をどうするかということです。

是とするならば次は具体的な政策として戸別補償制度も一つの策として挙げられるでしょうし他の対策もあるかもしれません。否ならばもっと大胆な政策を考える必要があるでしょう。このあたりの基本的な方向性が示されてなかったのが今までの日本の農政の問題点だったと思います。

小規模零細農家のような立地では何をやっても農業収入のみで生活することはできない、という現状認識に立つならば、このモデルの他に道はなく、それをどのようにして持続可能な仕組みとして作り上げるかを智慧を出すしかない、というのが私の考えです。

なお、大規模化や商品作物の栽培で充分に競争力を有するであろう農家もあり、それはまた別のモデルとなることはもちろんです。あくまで山間の小規模零細農家に限った話としてみてください。

[BT]様  (2009年8月20日 14:53)

ご返信ありがとうございます。率直なお気持ちとご意見,誠にその通りだろう,と思います。取り敢えずは,全農家に対する戸別補償制度の確立でしょうね。決して反対する者ではありません。国産農産物生産者に対して,国民は「感謝税」を支払う必要がある,と考えているぐらいです。ただ高度資本主義消費経済の日本の農業は,坂道をずるずると谷底に向かって,滑り落ちていく自然史的必然性に従っているために,滑降を政治的政策で必死に食い止めようとはしても,容易な業ではない,と考えます。第一次産業に従事していないで,農的生活実感が欠如している私達は,まずその極めて困難な問題を,十分に理解して,いい加減なデマゴギーに誑(たぶら)かされないよう,留意したいと思います。芸術に打ち込む売れない芸術家が,野垂れ死にするのは,自業自得ですが,農業が先祖代々の家業(で好き)だから,と言って,農作業に励み,その結果,農家が困窮する,という事態は,政治の責任です。民主党に期待してみましょう。

ここでは、単純化するためには 国内農業の問題は取り合えずおくとして、
日米FTA問題は 実際上は韓国問題と 先に述べ聞きました。

韓国とアメリカが FTA交渉を妥結したのは 昨年の春くらいだと思います。その時の衝撃度は
韓国でも大きかったが、同時に日本でも大きかったことは意外に知られていない。

その直後、読売でさえも、 日米FTAが必要と大々的に社説で訴えたことからも その衝撃度が伝わってきます。
朝日でさえも 日米FTAの必要性を当時打ち出していたことからも、 この昨年の 米韓FTA妥結の
衝撃度が伝わってくる。

こういうところからも、日米FTAというのは 日本にとっては実質 韓国問題ということがわかります。

米韓FTAはブッシュ政権の時に妥結しました。 しかし、オバマ政権になってから、
この問題は複雑化する。

オバマは若干 保護主義的であり、FTAに対して慎重姿勢をとっているから。 これは、オバマが 自動車労働者の支援を受けていることから、韓国との自由貿易に慎重姿勢を取ったということなんでしょう。
民主党の当時の対抗馬であったヒラリーも 米韓FTAの 発行に対して デトロイトの支援団体に対して
慎重姿勢を取ることを明確に約束していた。
つまりは、オバマの民主党は ブッシュ政権で妥結した米韓FTAを 議会で通すことに対して慎重姿勢であり、そのために
この法案はいまだ塩漬け状態にある。

ということからすると、日本が いくら米国とのFTAを望んでも、交渉にすら入ることができないでしょう。
しばらくはその状態が続くはずです。

日経連の 御手洗氏の動きを見ていると、いかに 経済界の 米韓FTAの妥結の衝撃が大きかったことがうかがい知れる。
そのことは、先の 読売や朝日の伝え方にも連動していく。

韓国は アメリカとのFTAが妥結すると、すぐにEUとの交渉に入った。
それを受けて、日経連の 御手洗氏は 今年の春に EUを回って、日本とのFTA交渉を訴えたが、EUからは 日本とFTAをやるつもりのないことを伝えられ、御手洗会長が 落胆したことが新聞記事で伝えられた。

FTAというのは、全員がそれを結んでいなければ なんということはない、 あるいは全員がFTAを結んでいれば
どうということはない。というのは、その限りにおいて競争条件が同じだからです。あくまでは、これは輸出製品についてです。

このことがよく示されるのが 東南アジアでの 日韓の電子製品の販売状況。 韓国はいち早く この地域でFTAを結んでいて、日本は結んでいなかった。その結果何が起こったか。 そのことは、今年の貼るくらいにNHKでやっていましたが、
液晶テレビなど ほとんど サムソンにやられてしまった。

ということから、同じことが アメリカやEUで起きることは 明白であり、そのことが日経連の 御手洗氏の動きに
つながっていく。

ということで、
日米FTAを論ずるときに、 韓国問題を外すと まったくピントがずれてしまうということですね。

ただし、 今の状況からすると、日本がいくら望んでも、 アメリカやEUは 日本とFTA交渉に入ることは
当面ないだろうということが 予測できます。


工業製品は、一頃の大量生産・大量消費志向から、質重視志向へ移行しつつあります。日本の技術力そのものを輸出の目玉にしようというものです。

農業も、同様の傾向が見えてきています。中国の餃子事件が象徴的ですが、化学肥料や農薬をふんだんに使用して大量生産された農業製品に対して、安全面の不安を抱える消費者が増えています。

日本は、大量生産の面では、アメリカ、中国、オーストラリアといった広い国土にものを言わせた国々には到底太刀打ちできません。日本の国土全てを農地にしたとしても、勝てないでしょう。
大規模農業の推進なんていう政策は、負けることが判っている戦を仕掛けるようなもので、馬鹿げています。

日本は、農業分野においても、技術を輸出するという発想を持つべきです。日本には、狭い農地で試行錯誤しながら、安全な農作物を、安定して収穫する方法はないかと試行錯誤してきた歴史があります。
化学肥料や農薬を使用せずに、しかも安定的に収穫ができる農法。交配を重ねて開発した冷害に強い稲。などなど。

必ず、世界がこういった農作物及び農業を求める時代が来ます。そのときに、日本が主導権を持つのです。

拙者,何れかの政党に肩入れせんとの意を持って投稿する者には非ざることを申上げた上で,論を戦わす諸姉諸兄に御教示を賜わりたし。
諸氏が論を戦わす意図は,農家を所謂三ちゃん農家か否かを問わず保護救済せんとするか,農業を維持振興せんとするかの何れかに在るかと老耄を押して憶測するが,地球的観点から見るに,水田の保存こそが考えられて然るべしと案ずるが如何。
温暖化の故か否かは別として,大陸と言われる地帯で砂漠化が進行していることは否定し難い事実。
今の処,力任せの用水散布で凌いでいる様子ではあるが,降雨量定かならざる地域での塩害の進行は避けがたく,何れモンスーン地帯の土地自体が貴重なる資源と化することは必定。大国が耕作適地を求めて侵略戦争を企てる事すら予想出来る。
其の時に備えて,今此処で国防を論ずる気は無いが,大規模,小規模を問わず,水田を後世に残すことこそは,今考えるべき重大事では有るまいか。
間違っても利権屋共が埋め立てたりする暴挙だけは許すまじ。

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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