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松浦武志:知られざる特別会計のカラクリを明らかにする(前編)

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『特別会計への道案内』
松浦武志著、創芸出版

 次の総選挙の最大の争点である「特別会計改革」。年間約370兆円の巨大予算が天下りの温床となっていると指摘されるなかで、現実に一体どれほどの予算削減ができるかが議論となっている。だが、驚いたことに特別会計の実態については、財政の専門家でもその詳細はいまだにほとんど知られていない。そこで今回のNews Spiralでは、特別会計の問題について早くから取り組み、「特別会計への道案内」の著者である松浦武志さんに、その無駄遣いの構造と解決方法について聞いた。

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Q:ここ数年、特別会計が「無駄遣い」や「天下り」の原因としてさかんに批判されてきました。そこでお聞きしたのですが、そもそも特別会計とはどういったものなのでしょうか?

 特別会計とは一般人の生活に例えると、「普段使っている口座とは別管理の口座」と理解すればいいと思います。誰でも給料の振込や光熱費の引き落としなどに使う、日常生活用のメインバンクの口座がありますよね。これは国の予算でいうと一般会計です。一方、特別会計は、アルバイト代の振込、株式運用、クレジットで借りたお金など、メインの収支のほかのことを、それぞれ別で管理している口座のようなものです。この例で言うと、日本の財政状況は、一般会計というメインバンクの収支に比べて、特別会計に当たるいろんな別の口座の方は、とんでもなく膨張してしまったという状況です。それが積もり積もって、金額の単純合計ですと、毎年、一般会計の予算80兆円余りに対し、特別会計では370兆円位のお金が動いてるんです。

Q:特別会計の根本的な問題点はどこにあるのでしょう?

 誰でも口座はいくつか持っていると思います。しかし、口座がたくさんあればあるほど、お金の出入りや残高がわからなくなってきますよね。家電店やクレジットカードの特典ポイントなどもあわせると、さらに把握が難しいでしょう。特別会計の問題点はまさにそこです。いろんなことを手広くやりすぎて、どれが儲かっているのか儲かってないのか分からなくなっているのです。

 私は、特別会計で区分経理すべき必然性はないと考えていますが、ただ、区分経理をしていれば、それぞれの事業の損得がわかるというメリットはあります。本来であれば、収支がハッキリとわかってその事業を続けるか止めるかの判断も簡単にできるはずなのに、実態は、ややこしい繰り入れ操作でかえって複雑になってるのが問題です。投資の失敗を給料から補填して体裁を整えたり自転車操業で倒産を先延ばしたりするのに似ています。

 もう一つの問題は、特別会計の口座ごとに管理人(所管省庁)が違うことです。すべての口座を一人の経理担当者が管理していればいいのですが、それぞれ別々の人間が管理している状況です。そんなことをやっていれば、全体が分からなくなってしまうのは当然です。

 そんな状態だから、変な無駄遣いや「埋蔵金」と言われる無駄な貯め込みが起きるんです。

Q:では、特別会計の現状が不透明だと指摘される原因はどこにあるのですか?

 特別会計も予算書は国会でオープンになっています。しかし、予算書の一つ一つの項目が「どういう意味を持っているのか」というガイドがないため、それだけですべてを理解することは難しい。

 たとえば、予算書に「業務取扱費:640億円」と書かれていても、これだけでは何のことかはわかりません。予算書に書かれているものは明細書ではなく、積み上げられた総額だけが記載されていて、もっと細かい資料に入っていかないと、このお金が有効に使われているかどうかはわかりません。一方、細かい部分をすべて公開すれば、資料は膨大なものになります。これを精査することが難しいのです。

Q:松浦さんは、著書の中で細かい部分まで調査して、無駄な部分を指摘しています。それはどのように調査したのですか?

 私は、この本を執筆する上で、生活実感や毎日のニュースの端々を参考にしながら数字を見比べ、「おかしい」と感じたところを精査しました。特別会計のすべてを逐一調査したわけではなく、「あれ?」と自分で思ったところを突っ込んで調べるんです。

 たとえば、電源開発特別会計という予算があります。大昔の計画では、2010年に新規原発が12~3基稼動してることになってましたが、大幅に遅れて現実は半分以下。新しい計画は、現実に合わせて原発の稼動予定数を減らす修正をしている。ところが、原発の予算は減ってない。最近では物価も地価も下がっていますから、立地の対策費や工事費などの予算規模はそれに応じて減っていくはずなのに、毎年同じ規模で予算が計上されているのは、誰が考えてもこれはおかしい。

 こういった生活実感というフィルターを通してこの電源開発特別会計の不思議に気付いて、予算書をじっくり読んでみた。すると、実は、広報費が増えていたことがわかったのです。原発の整備計画は小さくなっているのに、広報費が増えているのはおかしい。一般に公表されている資料でもそこまではいけます。新聞で取り上げられましたが、細野豪志代議士が、3年で10億円の費用をかけて運用されているホームページとか一冊40万円の広報誌とかを見つけたのは、広報費に照準を合わせてさらに深く精査した成果です。

 この本では、非公開の資料は一つも使っていません。社会現象を見て、自分の経験やニュースで得た情報を基礎知識として、現在と過去の予算額を比較するとか、役所の公開資料や審議会資料、国会会議録を見るとか、あるいは、本や雑誌の記事でちょっとだけ載ってたとか。探すつもりで見ていくと、無駄遣いがどこに隠れているかは見当がつけられるものなんです。私が見つけたもの以外にもたくさんあるはずです。

>>後編に続く

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【プロフィール】 松浦武志(まつうら・たけし)
京都大学法学部卒、第1回政策担当秘書試験合格の後、平成6年から今年4月まで、衆参両院で6人の国会議員の下で勤務。特別会計に関する文献がほとんどないことに気付き、ほぼ独学に近い形で研究、2004年『特別会計への道案内-387兆円のカラクリ』を上梓、2008年『改訂新版 特別会計への道案内』(いずれも創芸出版)。

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2009年11月、日刊工業新聞社

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