鈴木亘:群馬県老人施設火災事故の「裏側」にあるもの
■今回の問題は氷山の一角
群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」において、10人のお年寄りが亡くなるという痛ましい火災事故が起きたが、その後の施設や行政側の説明に、「何かがおかしい」「単なる火災事故以上の根深い問題が隠されているのではないか」と釈然としない気持ちを抱いた国民は多いのではないか。
第一に、この静養ホームは、「無届」の老人施設であった。無届の老人施設の存在を、この事故で初めて知ったという人も多いことと思う。また、無届とはどういうことなのか、なぜそのような無届施設が許されているのか、疑問に感じた人も多いだろう。
第二に、火災で死亡した10人のうち、6人が東京都墨田区からの「越境入居」(特に、東京都からの移転を都外転居という)であった。越境入居とは何か、これも知らない人がほとんどであろう。また、墨田区のケースワーカー(生活保護受給者の管理・指導を行う役人)も、年1回の安否確認程度で、この施設の実態を知らなかったという。生活保護の管理はこのようなずさんなものでよいのかと思った方も多いであろう。
第三に、現在、事故の原因として有力視されているタバコの不始末であるが、そもそもなぜ、認知症や徘徊者が多い施設で、入所者がタバコを居室で吸うことができていたのだろうか。また、スプリンクラーをはじめとする防火設備がなかったこと、当日の夜間宿直の職員が1人であった等、非常にずさんな管理体制がなぜ許されていたのかという疑問もあるだろう。
コメント (1)
この問題は、複雑な現実の一端を国民の目に突き付ける格好の素材ではないかと思います。
(こういう話題は、「ニュースバリューが低い」と見なされ、なかなか真剣な論議になりにくい)
まず大前提として、定年がなく家族と同居する農家と自営業の人口減少、
転勤があるサラリーマンと企業から戦力外通告された高齢者の増加があります。
さらに、高学歴化と教育費増大が少子化をもたらし、地方の空洞化が若者のふるさと離れを加速しています。
少子高齢化から導かれるのは、一人が二人、三人を介護しなければならないという当然の帰結です。
しかるに、国の取った対策は「介護の在宅化促進」。つまり、社会保障や施設の増強より家族による無償労働の方がコストが掛からない、
という財政面だけを考えた方策です。
ところが、現れたのは
診療報酬改定で病院を追い出される老人患者。
高齢者が高齢者を介護する事で、介護する側も共倒れになってしまう老老介護。
介護保険の支給枠全額を使っても家族の手が必要なため、介護のための離職が増加。
離職して実家に返った者は、デイサービスを利用してもフルタイム就業は不可能であり、
パートタイマーの最低賃金では自立困難なため、やがて生活保護受給者となる。
という現象です。
日本人は政治に期待せず、自分で何とかしてしまう癖が付いてしまっており、社会の要請に応えるために各地に現れたのが「保老所」などの従来の規制の枠組みに当て嵌まらない民間施設です。
少子高齢化に抜本的に向き合う制度の見直しか、制度側が現状を追認するか。
今、差し迫った問題への対応としては、制度側が現状を取り込んで改善していくしかないと思います。
投稿者: 一般ピープー | 2009年3月30日 12:58