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2008年11月29日

国籍法改正案は人身売買促進法!

国籍法の改正案がネット上で議論を呼んでいる。

今回の国籍法改正が成立すれば、未婚の日本人男性と外国人女性の間で産まれた子どもについては、出生後に父親の認知があれば日本国籍の取得が可能になるという。

ところが、この改正案が問題視されている。その理由は、父親が嘘の認知を行うケースに対して行政側のチェックが徹底されていないためだ。

同改正案では、審査の方法として「子どもと父親が一緒に写っている写真を証拠とする」など、デジタル写真全盛の現代では簡単に偽装できるような項目が審査基準となっている。これでは偽装認知が横行し、他国の貧しい子どもを日本人として買い取るなどの人身売買が促進される可能性がある。

一方、新党日本代表の田中康夫氏は、27日の質疑で国籍取得の際にDNA鑑定を行うことを義務付けるよう求めた。DNA鑑定によって親子関係を明らかにし、人身売買などの犯罪行為を未然に防ぐという。
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【関連記事】
■2008/11/27 参議院法務委員会(新党日本HP)
■国籍法改正案 質疑 田中康夫(ニコニコ動画)

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田中康夫氏(新党日本代表)
「この問題には右も左も関係ない!」(11/29)

こんなに重要な問題なのに、大手マスコミは沈黙。
私の元には、何故、この問題を報じるのが産経だけで、朝日や毎日は黙殺するのか、とネトウヨ派からもリベラル派からもメールが殺到しています。

ところが、人権派を名乗っていた筈の朝日新聞に至っては、DNA鑑定制度導入を明文化すべし、との田中修正案潰しの記事を28日付けで掲載する始末だからなぁ(苦笑)。
http://www.asahi.com/politics/update/1127/TKY200811270319.html

こうした中、小沢代表と僕が鳩山幹事長を交えて昨夜、会談し、その際に、「偽装認知を排除するため、父子のDNA鑑定の義務付けを付帯決議ではなく、法律に盛り込むことが必要と主張した」僕に、「小沢氏は一定の理解を示し、民主党参院執行部と調整するようアドバイスした。」と共同通信が報じていますね。

いずれにせよ、この問題は、右も左も関係有りません。

イデオロギーを超えた、人間の問題、日本の問題なのです。

2008年11月28日

農地借用自由化で、日本の農業は本当に強くなるの?

農林水産省は27日、農地の借用を原則自由化し、株式会社でも自由に土地を借りられるようにする農地法改正の概要を固めた。

背景には、止まらない食料自給率の低下への対策として大規模農家を法制度の面から支援し、農家一戸当たりの生産性が低いとされる日本の農業の現状改善につなげたいという思惑がある。

共同通信によると、農地法改正の柱は(1)規模拡大のため農地取引の仲介制度を原則すべての市町村で導入(2)企業の農地賃借規制を緩和し参入促進(3)20年超の農地賃借制度創設─の3点。

同省は改正法の提出を年明けの通常国会で行う見通しで、実現すれば戦後一貫して続いてきた耕作者自らが土地を所有するという自作農主義の大転換となる。
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【関連記事】
農地借用を原則自由化 農水省の改革概要、有効活用を後押し(日経新聞)

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甲斐良治氏(増刊現代農業 編集主幹)
「一番重要なのは、その土地に住んでいる人の現地判断」(11/28)

28日の日経1面に出ていますが、日経はしょっちゅうこういう記事を出すんですよね。ですが、実現したことはあまりありません。

たしかにゆっくりと農地借用の自由化は進んでいますが、日経が過去にニュースにしてきたような劇的な変化はありませんでした。今回もどの程度の信憑性があるかは疑問です。

私は、農地借用の自由化にはよい面も悪い面もあると考えています。
よいケースだと、その土地にいる土建業者などが「今は仕事がないから」という理由で農業に参入し、土地を有効利用することがあります。逆に悪いケースだと、借りた土地に産業廃棄物を捨てるような悪質な会社が出てくることもあるでしょう。

結局一番重要なのは、その土地に住んでいる人の現地判断です。農地を貸すにあたって信用できる企業なのかどうかは、現地の判断に従うことが一番だと思います。

いくら霞ヶ関が法律をつくって全国一律で決定したとしても、うまくはいきません。なので、一般論として農地借用の自由化が“良い”“悪い”とは言えません。
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宮田武宏氏(鴨川自然王国スタッフ)
「中山間地への視点が抜け落ちている」(11/28)

日経1面の記事によると、今回の農地改革の狙いは農地減少への歯止めと大規模化の二つにあります。

株式会社が優良農地を借りて大規模生産に乗り出せば生産効率もあがり、結果として食料自給率も上がるとの見込みでしょうが、ここにはいわゆる中山間地への視点が抜け落ちているように感じます。

日本の耕地面積の約40%は中山間地にあります。中山間地は狭くて生産効率が悪く、さらにはイノシシ、猿、シカなどの獣害を受けている田畑が多いのです。こんな「優良」でない農地は企業は借りないでしょうから、平野部の農地は集積されたとしても、中山間地は結局放棄されてゆくわけです。現に、2000年段階で中山間地の耕作放棄地は54.9%にのぼります。

しかし、中山間地は里山が近く、生物の多様性も平野部に比べると持続されていますので、今回の農地改革をうまく利用できれば、NPO法人などが農林業の維持復興、都市農村交流に関わりやすくなるかもしれません。

大規模化、農地集約とは遠いところで、こつこつと日本を守っている農家の人々への視線を持っていてほしいものです。

2008年11月27日

「太郎vs一郎」初の党首討論の見どころはココだ!

28日15時から、麻生太郎首相と小沢一郎代表の党首討論が初めて開催されることになった。討論時間は午後3時から45分間で、景気対策などが主な議題となる見通し。

また、党首討論の模様はNHK総合を通じて全国に生放送される。国民が麻生首相と小沢代表のどちらがこの国のリーダーとしてふさわしいと考えるのか、討論後の結果も注目される。

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平野貞夫氏(元参議院議員)
「小沢さんから党首討論を断ったことなどない」(11/27)

私が直接小沢さんから聞いた話では、本人から党首討論を断ったことは一回もないそうです。

これまで党首討論が行われなかったのは、むしろ民主党内で解散に追い込むために党首討論を使って駆け引きをしたり、実際にやろうとしても麻生さんの日程が合わなかったことが原因だそうです。メディアが「小沢が逃げている」と報じているのは、自民党、特に官邸筋や大島国対委員長がそういった情報を出しているのでしょう。小沢さんは言い訳をしない人なので、誤解を生んでいるのかもしれません。

●党首討論のポイント
私が第三者として見ているところ、小沢さんの肩を持つわけではありませんが、麻生さんの教養では、小沢さんと党首討論にならないでしょうね。政治的信念や思想・哲学がない人間と議論は成り立ちません。小沢さんがこれまで積極的に党首討論をやりたがらなかった理由もここにあるのではないでしょうか。

明日の党首討論では、小沢代表は議会政治の本質論について追及すると思います。
自民党は政権をたらい回しにしている。また、麻生さんも文藝春秋11月号で総選挙をやると公約としたのに、結果的にウソをついている。これは議会政治にとってあってはならないことです。

また、この経済危機のさなかに麻生さんが政治空白をつくっていることも問題です。今の政治不信をおこしている彼の責任も追及するでしょう。なんせ、麻生さんは定額給付金を実行するのに、法律がいらないと考えていたようですからね。

また、取り上げるかどうかはわかりませんが、ワシントンで開かれたG20でIMFに拠出する10兆円についても、日本の議会でまず法律を作る必要があります。首相がいきなり数字を出して言う話ではないんですよ。

麻生さんは外為特会から資金を捻出するつもりだそうですが、外為特会はドルを守るために設けられている予算ではありません。政府は新しい法律は不要と考えているのでしょうが、予算を目的外で使うことは、明らかに憲法違反です。

明日の党首討論で、憲法や議会政治の原理を無視する麻生さんの“無知さ”について、小沢代表がどれだけ追及できるか。そこに注目したいと思います。
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元週刊誌記者
「麻生首相が失言すれば、メディアは大騒ぎ」(11/27)

メディアが実際に期待しているのは両者の罵りあいでしょうね。17日の党首会談の決裂後にケンカはすでに始まっていて、麻生さんが小沢さんについて「この人の話、信用できない」と言えば、小沢代表は「その辺のチンピラのような言いがかりのような話で、一国の首相として情けない限り」とやり返した。もう前哨戦は始まっています。これに麻生さんの失言や漢字の読み間違いが加われば、メディアは大騒ぎでしょうね。

ただ、両者がガップリ四つで論争すれば、口下手でも小沢さんの方が勝つと思いますよ。民主党の政策にいろいろと問題があったとしても、小沢さんは政策に強いですから。

ここが難しいところで、議論で勝ったとしても国民に与える印象が必ずしも小沢さんにプラスになるとは限らない。麻生さんの自由な物言いが、逆に国民に好印象を与える可能性もある。また、仮に麻生さんがコテンパンに負けてしまった場合「この首相では選挙が戦えない」という意見が自民党内で強まって、逆に解散が延期されてしまうこともありえる。

となると、この二つの事態を避けるために、両者がつまらない議論を重ねて時間切れに・・・ といったことがありえなくもない。こうなることだけはやめてほしいね。

2008年11月26日

そして誰もいなくなった・・・ 孤立する麻生太郎

麻生内閣と自民党内部の混乱が、新聞記事の格好のネタになっている。
26日の朝日新聞では、「政権迷走で不満」と題する記事を掲載し、麻生首相の肝いりで首相秘書官となった総務省出身の岡本全勝氏に批判が集中しているという。

麻生首相が総務大臣だった時代に関係を深めた岡本氏に政策の優先順位を決定する「政策統括」を要請したが、現段階では調整役としての役割を果たしきれておらず、混乱の原因になっているという。

また、日本郵政グループの株式売却を凍結したことや第二次補正予算案を今国会で提出することを見送ったことでも、自民党内から公然と批判が飛び出している。

自民党総裁選で全得票数の3分の2を占める圧勝で首相に就任した麻生首相だが、各メディアによる世論調査の支持率は、すでに40%を切っている。今や自民党内でさえも、心の底から麻生首相を支持している議員はすでに3割もいないだろう。
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【関連記事】
■田中良紹:「黒い霧解散」と言ってはみたが・・(11/22)

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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「下野しかない」(11/26)

私は、麻生さんのブレーンは与謝野馨さんと中川昭一さんだと思っていた。だが、どうも最近は違うようだ。2人はすでに麻生さんから離れてしまっている。

先日、自民党の幹部に「総選挙をいつやるのか」と聞いた。するとその幹部は「総選挙の前に総裁選があるかもしれない」と言う。つまり、自民党がまた首相を変えるということだ。

また、もう少し若いある幹部に「麻生さんはどうするのか」と聞くと「もう下野しかないでしょうね」と言っていた。

それほどまでに麻生内閣はグラついている。支持率もそろそろ30%を切るのではないか。

2008年11月25日

チベットが深刻な危機に

22日までインドのダラムサラで開かれた亡命チベット人総会は、チベットの最高指導者ダライ・ラマ14世が推し進めてきた「中道路線」を継続していくことを最終的に確認し、閉幕した。だが、総会では強硬路線を求める急進派の勢力が拡大しており、今後の中国の対応次第によっては対話から独立路線に変更する可能性も示唆している。

また、会議閉幕後の23日には、ダライ・ラマ14世が亡命チベット人代表者を前に演説し、チベット人が「深刻な危機」に陥っていると警告を発している。
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【関連記事】
■【動画】ダライ・ラマ14世、亡命チベット人代表者を前に記者会見(AFP)
■チベット人「深刻な危機」に直面、ダライ・ラマ14世が警告(AFP)
■亡命チベット人総会、「独立派」の影響力拡大も(日経新聞)
■チベット:亡命政府、「中道」路線継続へ 対中国、「真摯な対話」要求(毎日新聞)

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ペマ・ギャルポ氏(チベット文化研究会名誉所長、桐蔭横浜大学大学院教授)
「非常に憤りを感じる」(11/25)

昨晩、インドのダラムサラで行われた亡命チベット人総会から帰ってきました。

会議の全体としては、2002年から対話を続けてきたのに、中国側が突然、法王(ダライ・ラマ14世)はチベットを代表する立場にないと言い出し、非常に憤りを感じてます。

そもそも、中国はかつて「独立以外は何でも話し合う」とトウ小平が言ったのですが(※発言は79年 編集部注)、今ではそのような事実はないと中国は言っています。これはまったくの嘘です。

今回の総会では中国を強く批判する文書を採択すると同時に、今後も法王にお任せして対話を中断しないという結論となりました。現在、(チベットで)急進派の影響力は強くなっています。しかし、法王の方針に今後も従い、「中道路線」を継続するということでまとまっています。

2008年11月23日

末期症状の麻生政権 年末年始に解散総選挙か

麻生政権が末期症状の様相を呈してきた。一時は止んだ解散風も、年末年始に向けて再び吹き荒れる可能性が出てきた。

これまで麻生首相は、4月の第2回金融サミットまで解散しないのではないかと思われていたが、17日に急遽開かれた麻生・小沢会談が決裂したことで状況が一変した。会談以降、与野党党首がお互いに「(小沢代表は)信用できない(麻生首相)」「程度が低すぎる」(小沢代表)となじりあいこととなり、国会も一挙に全面対決モードに入った。

こうなると再び気になってくるのが解散総選挙の日程だ。現在開かれている臨時国会は、金融安定化法案が衆議院で再可決できる1月5日以降まで延長させる案も浮上し、越年の可能性も出てきた。しかし、その後に開かれる通常国会では予算や予算関連法案が与党の思うように成立させることは困難で、こうなると「どちらの政党が政権をとるにしても、通常国会前に解散・総選挙を行って政権基盤を安定させるべき」という意見が出てきてもおかしくない。

はたして、麻生・小沢による年末年始の解散はあるのか。

麻生の心ない言葉で医師の「心が折れた」!

23日付毎日新聞2面「時代の風」欄、精神科医の斎藤環さんの言葉は重い。

麻生太郎首相が「医師には社会的常識がかなり欠落している人が多い」という発言に対し日本医師会の唐沢祥人会長が直ちに抗議、麻生は発言を撤回し謝罪したが、医師たちの怒りはとどまるところを知らない。

とりわけ深刻なのは医療の最前線を懸命に支えてきた医師たちの落胆ぶりである。

『総理の発言で心が折れた。もう現場から撤退します』といった声が少なくないのだ。

麻生の前にもう1つ二階失言がある。

11月10日に舛添要一厚労相と会談した際に二階俊博経産相が、救急患者に即応できない病院が増えている問題に関連して「何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」と言い、これも抗議を受けて撤回、謝罪している。

斎藤さんは、麻生や二階のような発言が続くのは、彼らがマスコミによる偏向した医療バッシングの影響を受けているからだと指摘する。

「『たらい回し』『受け入れ拒否』『診療拒否』といった誤った言葉が、いまだに流通していることに驚かされる(正しくは「受け入れ不能」)。

こうした誤用を改めずにいるマスコミは、果たして政治家の失言を嗤えるだろうか?

労働基準法など無視が当たり前の過酷な労働環境にありながら、第一線で献身的に働くたくさんの無名の医師たちがいる。この人たちの心が折れてしまえば、本当の医療崩壊が始まる。

「2000年にWHOは各国の医療を比較検討し、そこで日本の医療は総合1位と評価された。

低いコストで世界一の健康寿命を達成し、国民が自由に医療機関を選ぶことができ、費用の負担も公平である点などが評価されたのである。

欧米に比べればはるかに低い報酬と比較にならないほど過酷な労働環境で、患者の命を救うことを第一に考えている医師たちによって、この偉業はなしとげられた。

今、その偉業はゆっくりと、過去のものになろうとしている。

と。

この言葉を聞けば、麻生の発言は単なる失言として謝れば済むようなことではないことが分かる。

なにしろこの国の政府は4半世紀にわたって、「医師が増えれば医療費が膨張する」という奇妙な論理に固執して、「医学部定員の削減」を閣議決定までして医師の養成を抑制してきたのである。

医師が減れば医療費が減る?

そんなことがある訳ないじゃないか。

今年になって政府は医学部の定員を増やすことを決めたが、それで医師の卵がなんぼか増え始めるのは7年先のことである。

次の表はWHOがまとめた人口当たりの医師数(2000〜06年)の統計から上位30位辺りまでを順に並べ替えたものである。

日本はほとんどの先進国より少なく、トップのキューバの3分の1、ロシアやベルギーの半分である。

《人口1万人当たりの医師数》

※表はのちほど掲載いたします。

2008年11月22日

文春の麻生手記は朝日新聞・曽我豪氏による代筆だった

 上杉隆氏が月刊「新潮45」12月号に寄せた記事が話題となっている。
 
 記事によると、今年10月に発売された文藝春秋11月号に寄せられた麻生太郎首相の解散宣言手記は、朝日新聞編集委員の曽我豪氏による代筆だという。

 問題になった麻生手記については、かねてから「総裁選の多忙中に執筆できるわけがない。ゴーストライターがいる」と囁かれいた。一部報道では、朝日新聞社の編集委員が代筆したことをほのめかす記事が出ていたが、実名で記事になったのははじめて。

 上杉氏は、実名の公表に踏み切った理由を記事の中でこう述べている。

 米国では大統領の一般教書演説を大統領自身が書くということはほとんどない。専属のスピーチライターが存在し、多くのスタッフを使って練りに練って演説原稿を仕上げる。またそうした職業自体が認められ、ジャーナリズムの取材対象となっている。(中略)
 ところが、翻って日本となると、なぜかそうした職業について言及されることはない。スピーチライターの存在に薄々気付きながらも、政治ジャーナリズムがそれを取材することもない。
 だが、国家権力の頂点に立つ内閣総理大臣、その政治決定を左右する人物を無視するということは、国民の知る権利からしても、まったくもって奇妙なことではないか。

 まったくもって正論である。

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田中良紹氏(ジャーナリスト)
「麻生の周りにはヨイショをしてくれる記者しかいなかった」(11/22)

今回の文藝春秋に発表した論文についての騒動の一番の原因は、麻生が傍流政治家だったからではないか。麻生は、首相になるまでに権力の中枢にいたことがないため、政治についての理解が浅いのだ。

権力の中枢にいる政治家は口が固く、担当記者も取材が難しい。権力者がうかつに何かをを話すと、自分がやりたいと考えていることがうまくいかなくなってしまうからだ。だから、一般的に主流派を担当する記者は、原稿を書く機会が少なくなってしまう。

ところが、自民党の中でも傍流に属する政治家は、新聞記者と一緒になって権力者が何を考えているかを取材し、情報を集める。だから、傍流政治家と新聞記者は立場が一緒になりやすく、両者の関係に緊張感が失われてゆく。麻生手記を朝日の記者が代筆したとしても、傍流政治家と記者の関係であれば、ありうることだ。

麻生首相が傍流政治家であることがよく理解できるのが、番記者に対する対応だ。
総理番は各メディアの若手記者が担当するが、そういった若手の小物記者に対して麻生はイラついている。これは、裏を返せばこれまで傍流政治家であった麻生の周りには、自分にとって都合のいい、しかもヨイショばかりする記者しかいなかったということを証明している。

主流派の政治家であれば、番記者のような質問を毎日されるのは当たり前。イヤな質問をどう切り抜けるかで、権力者としての資質がわかる。

2008年11月21日

元厚生次官宅襲撃事件:憶測飛び交う犯行動機の謎

元厚生事務次官が連続で襲撃された事件で、警察当局は厚生行政に絡む連続テロとの見方を強めている。各報道機関も社会保険庁長官を歴任した吉原健二さん(76)と元厚生事務次官、山口剛彦さん(66)の2人が、過去に年金改革に取り組んでいた共通点から、「連続テロ」という言葉を用いて今回の事件を報じている。しかし、テロであるならば犯人はなぜ犯行声明を出さず、家族まで巻き添えにしたのか。動機は本当に「連続テロ」であったのだろうか。

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【関連記事】
■不気味な残忍さ 2件の犯人像一致(読売新聞)
■官房長官「連続テロ視野」(毎日新聞)
■テロ事件の見方強まる 首相も散歩中止(AFPBB News)
■事件前、宅配業者の制服盗まれる(広島ホームテレビ)

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元週刊誌記者
「政治テロの可能性は低い」

動機に関する確かなことは何も分かっていないが、これまでの報道された情報や現役週刊誌記者時代の知人から得た情報をもとにお話いたします。

ひとつだけ確かなことは、あまりの情報の少なさに各報道機関がアタフタしていること。だいたい、ニュースに心理学者が出てくるときはネタ探しに困った時の常套手段であり、とりあえずのストーリーを無理やりつくっているにすぎない。となれば、現時点で語れることは“推理”のみとなる。

今回の事件を政治テロとして報じる報道機関は多いが、私は政治テロの可能性は低いと考えている。まず、年金問題が犯人の動機であるなら、家族まで狙う理由が「元事務次官」というだけでは不十分。犯人に政治目的があったのなら殺害対象を絞るだけ絞って、対象者だけを殺害するはず。家族まで殺してしまえば世論の反発を受けることになり、テロとしてはおそまつ。また、犯行声明を出ていないことも気がかりで、犯行声明なきテロは何の政治的意味も持たない。つまり、私的な怨恨の線も十分にあり得るのだ。

さいたまの山口夫妻をターゲットにした個人的な恨みによる殺人で、連続テロと見せかけるため、捜査をかく乱するために宅配業者を装い吉原さんを襲った可能性も考えられる。山口さん宅に落とされていた印鑑も、事前に入手して置いておけばいいだけの話。事実関係ははっきりとしていないが事件の3日前に盗まれた宅配業者の制服も、怨恨や顔見知りの線を消すための偽装工作だった可能性もある。となれば、現状での「連続テロ」との大々的な報道は、まんまと犯人の思惑にはまっている形となる。あくまでも推測だが。
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田宮榮一氏(元警視庁捜査第一課長)
「個人的な恨みの線は考えにくい」

警察が本当に犯人の動機を厚生行政に絡む「連続テロ」として一本化しているかどうか分かりませんが、犯行声明を出していないということから組織的なテロではないことは確かです。個人的な怨恨については、痴情のもつれや金銭関係などではないと思います。要人2人が連続して狙われたわけですから、個人的な恨みの線は考えにくい。どちらにせよ、今の段階では犯人像や動機については何とも言えないというのが正直なところです。確かなことは、厚生行政というのはいろいろと批判されています。仮に、それらを粛清するためという動機であったとしても犯人は単なる殺人者ですよ。英雄視してはいけません。
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宮崎学氏(作家)
「国家権力が口封じをした可能性もある」

さいたまの事件が起こったとき、明らかに元厚労省だからやられたのだろうと思いました。さいたまと中野で連続であったわけですから、厚労省に対する鬱積した怒りが原因で、流しの犯行ではないだろうと。そうなってくると政治的、思想的背景があると考えるのが普通ですが、今の時代、インターネットで調べれば事務次官経験者はすぐに分かることですし、右翼か左翼か、あるいは秋葉原的な通り魔なのか、現段階ではなんとも言えません。もう少し様子を見なければ動機や犯人像なんかは分かりませんね。

ただ、陰謀論として考えれば今回狙われた元事務次官2人は、厚労省の中においては反岡光派で、どちらかと言えば温厚実直、大変まじめな方だったらしい。そういう意味で、今回の事件が年金問題に関わる連続テロであったとすると、被害者2人の厚労省内での位置関係を考えると、狙われる対象者としてしっくりこない。そうなれば、年金問題に誰がからんでいて、誰が金を持っていったかという本当の話を、この2人が語り始めることを恐れて、国家権力が口封じをした可能性もあるのではと思います。
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梅本正行氏(防犯アナリスト)
「『テロ』という言葉を用いて報じることは非常に危険」

現段階で犯人の動機を探るのは非常に難しいのですが、厚生行政に絡むテロであるならば、もっと上の人間を狙うはずです。たとえば、2人が旧厚生次官だった当時の厚相だった小泉元首相や現役の事務次官などですね。また、特定の政治目的を達するためのテロであるならば犯行声明が出るはずですし、現役ではない人間を狙っても世の中に与えるショックは小さい。どちらにせよ、動機が判明していない現段階で「テロ」という言葉を用いて報じることは非常に危険ですね。今回の事件を「テロ」だと大々的に報じれば、一般国民は今回の事件を自分たちの命には関係がないものと認識してしまいます。そもそもテロであろうが、怨恨であろうが、国は国民に対して、「宅配便を装った人間に注意しましょう」だとか、「不用意に扉を開けないように」という注意喚起をすべきです。

今回の事件に限らず、昨今の殺人事件の動機に関しては、いまや一般常識が通用しなくなっています。「隣家の騒音がうるさい」、「高級車を乗りまして羽振りがいい」、「挨拶を返さない」などといった理由でも殺人に繋がる時代です。国のみならず、報道機関も厚労省関係者だけではなく、一般の家庭でも同じような事件が起こりうる可能性を考えて全国民の問題として考えてほしい。

アルカイーダNo.2のオバマ批判

アルカイーダのNo.2であるアイマン・アル・ザワヒリが11月19日にウェブ上でオバマ米次期大統領を批判する音声メッセージを発表した。演説は約11分半で、ワシントンに本拠を置くMEMRI(中東報道研究機関)の緊急報告シリーズ日本語版No.2121が伝えたその音声メッセージの英語字幕からの翻訳によると、「バラク・オバマがアメリカの大統領選に勝利した。この機会に私はいくつかのメッセージを伝え
たい」として、(1)オバマ勝利は米国民がブッシュを否定し「イラク撤退」を求める人物を選んだことを意味する、(2)オバマはイラクやアフガニスタンの失敗を引き継がなければならない、(3)イスラム共同体は引き続き犯罪者=米国、不法侵入の十字軍と戦わなければならず、とりわけイスラムの獅子たるムジャヒディンはジハードの道を進むべきだ、などと述べている。このうち、(2)の「オバマに対するメッセージ」の部分の要旨は下記の通り。

これに対し米国務省のマコーマック報道官は同日、「テロリストによる卑劣なコメントだ」と語った。卑劣とは主に、ザワヒリが、パウエル、ライス両国務長官と並んでオバマを“黒人の召使い”(白人に仕える黒人を侮蔑する「ハウス・ニグロ」という語)と呼んだことに向けられたものと見られる。

▼君は大統領の地位を手にした。そこに待ちうけているのは、失敗と諸々の悪行の遺産である。君が認めているイラクにおける失敗、君の軍指揮官達が認めているアフガニスタンにおける失敗。これを全部君が引き継ぐのである。

▼君は、イランと交渉したい、イラクから部隊を撤収しこれをアフガニスタンに転用したいと発表した。君の言った政策は策定前から失敗する運命にある。どうも君はムスリム・ウンマ(共同体)とその歴史について、何も知らぬようだ。共同体の侵略者と協力した裏切者の末路を知らない。アフガニスタンの歴史となにものにも拘束されぬ不敵のアフガンムスリム人民について、全然判っていない。アフガニスタンにおけるアメリカの失敗を認めず、頑迷な行動をとり続ける意図であれば、アフガン侵略者の末路を覚えておくがよい。ブッシュ、ムシャラフ、ソ連そしてその前のイギリスが、ことごとく敗退したのだ。アフガニスタンの犬には気をつけるがよい。君の送りこむ兵隊の人肉をくらってすっかり味をしめている。犬の餌食になりたいなら、兵隊をどんどん送れ。

▼ムスリム・ウンマ(共同体)は、イスラエルに対する君の偽善的言明と態度を、非常に苦々しく思っている。君は、イスラムとムスリムに敵対する立場をとると、ウンマに確言したのだ。

▼バラクは、ムスリムを父として生まれながら、出世を望んでイスラムの敵になった。君は、マリーク・シャバッズやマルコムXのような名誉あるブラックアメリカンの対極にある。君はムスリムを父として生まれたが、ムスリムの敵側につく方を選び、キリスト教徒と称しながら、アメリカで指導階層の階段をのぼるために、ユダヤ人の祈りの言葉を唱えた。君はイスラエル支持を約束し、パキスタンの部族地区を攻撃すると威嚇し、アフガニスタンに兵力を増派すると脅しをかけている。いずれもアメリカ十字軍の犯罪行為を続行するためである。そして先週月曜日には、君の航空機がカンダハルで結婚パーティに出席中のアフガンムスリムを40名も殺したのである。

▼マリーク・シャバッズについては、黒人牧師を父として生まれた。父は頑迷な白人達に殺された。しかしアッラーはマリークをよしとされ、イスラムへ導かれた。彼は、ムスリムとの友愛に誇りを持ち、抑圧された弱者に対する西側十字軍の犯罪行為を非難し、アメリカの占領に抵抗する人民を支持すると宣言した。そして彼は、西側の権力機構打倒の世界革命を語った。マリーク・シャバッズ殺害が不思議でないのは、そのためである。一方は階級の階段をあがり、のぼりつめて大統領になった。人類史上最大の犯罪部隊を率い、ムスリム打倒を目指す最凶十字軍を指揮するためである。

▼かつてマルコムXは〝黒人の召使い〟について語った。君とコリン・パウエル、ライスそして君等のような者共の心には、それが棲みついている。

▼イスラムとムスリム打倒の十字軍時代に大統領に就任する君は、個人や組織を相手にしていない。君は、イスラム世界全体の主柱を揺るがすジハードの覚醒とルネッサンスに直面しているのである。君と君の政府そして国家はこの事実を認めようとせず、見て見ぬふりをしているのである。

2008年11月19日

「アソイズム」というサイトを作ろうか! ――KYとは「漢字が読めない」のことだとか…

takanoron.png 麻生太郎首相がしばしば漢字を読み間違えて、「漫画ばかり読んでいるからだ」(これは漫画に失礼だよね)とか「KYとは『漢字が読めない』の略だったのか」とか、盛んに話題になっている。

●ブッシズム

 ブッシュ現米大統領が登場してまもなく、Bushismという言葉が生まれ、それに関連したサイトが米国中に山ほども出来て、 Wikipedia英文版にもその項目が載った(今もある)。ブッシズムとは、文字通りには「ブッシュ主義」だが、実は「ブッシュ流の奇妙な言い回し」というような意味で、Wikiの定義によれば「ブッシュ現大統領の公開スピーチに現れた、数多くの奇妙な言葉、フレーズ、発音、誤った言葉遣い、語義上及び言語学的な間違い」のことである。

 1つだけ有名な例を挙げれば、ブッシュは00年11月6日にアーカンソー州ベントンヴィルでの演説で"They misunderestimated me"と言った。「彼らは私を過小評価していた」と言いたかったのだが、それならunderestimatedで十分で、 misunderestimateでは二重否定的になって「彼らは私を過小評価し損なっていた」という意味になってしまう。しかし、当然ながら、英語には misunderestimateという言葉はない。たぶんブッシュは、misunderstood(誤解した)という語と混濁したのだろう。

 ニューズウィークのマイケル・ハーシュ=ワシントン支局員は同誌11月19日号の「知性なき政治の幕が下りる」という記事で、オバマ新大統領の誕生は知性の復権を象徴する出来事で、そうは言ってもオバマが数々の難問に直面せざるを得ないことを思えば過度の期待をしてはならないという趣旨のことを述べた後に、こう言っている。

「だが、リスクはあってもオバマに賭けてみる価値はある。なにしろこの国は8年近く、戦略どころか筋の通った英語文すらろくに話せない人物が最高指導者を務めていたのだから」

 その通りなのだが、8年前からウェブやブログの世界でさんざん言われてきたことを、今頃になって大手メディアがこんな表現で語るのは、私は卑怯だと思う。初めから正面切ってそれを詰問すべきだった。

●アソイズム

 思い込みによる漢字の読み間違いというのは、多かれ少なかれ誰にも(とは言わないまでも多くの人に)あることで、驚くには当たらない。が、一国の最高指導者たる総理大臣がそれを繰り返すというのは国家の品格と総理の権威に関わる重大事態で、秘書が演説原稿に入念にルビを振るとか、漫画本を取り上げて漢字学習の家庭教師をつけるとか、麻生が国民から馬鹿にされないよう官邸が万全の対策を講じる必要があるだろう。

 しかし漢字の読み違いは、麻生における「言葉の軽さ」の問題の一部でしかない。より深刻なのは、とっさに発する言葉のいちいちが美しくなく、妙な口癖のようなフレーズを頻発するばかりか、しばしばその場やタイミングに相応しくなく、時によっては相手に無礼なほど場違いなことである。例えば、11 月5日にオバマ当選が決まった後、官邸でのぶら下がり会見で「黒人発の大統領だが感想は?」と問われて、麻生はこう言った。

「日本の場合は、どなたがアメリカの大統領になられようとも、日本とアメリカの関係というのは、50年以上の長きにわたって双方で培ってきた関係。新しい大統領との間で維持していく、一番大事なところではないでしょうかね」

 また「アフガン支援を迫られるのでは?」という趣旨の問いには、

「1月20日(の政権発足)にならないとね、どういうスタッフでやるのか、よく見えてくるまでにならないと、今、うかつな話はできません。少なくともイラクの方が安定してきたんで、アフガンにその重点を移しているという、世界中がその流れだと思います。オバマっていう人も同じような方向で考えておられる。まあこれまでの発言を聞いているとそうですな」

 さらに「11月14、15日のG20の機会にオバマと会談する考えは?」と聞かれて、

「別に今、急に合わなくてはいけないというわけじゃありませんし、1月20日まではブッシュという人が大統領ということになっていますので。今は移行期間という感じですから。その間にアメリカ大統領は、今ブッシュっていう人がやっておられますので、その方が正式に大統領になられた後の話なんであって、会いに行くのはそれから後の話が基本と僕は思っていますけれどもね」

●世界の首相談話の中で一番間抜け

 1つには、「○○っていう人」という言い方がこの短いコメントの中に3回出てきて、それが彼の意識しない口癖であることが分かる。この言い方は、普通、聞いたことも会ったこともないような第3者を話題にする時に用いるもので、やや極端に言えば「○○という名前だそうだがどこの馬の骨か分からない奴」というニュアンスさえ含む。天下周知のオバマやブッシュに「っていう人」を付けるのは場違いであるだけでなく無礼だろう。ましてやオバマは、全世界注目の中で劇的な圧勝を遂げたばかりであって、日本の総理が真っ先に発すべきは「オバマ氏に心からお祝いを申し上げる。初の黒人大統領を生み出したアメリカの民主主義の力強さ、変化を求めるアメリカ国民の熱情に感動した。次の4年間を通じて日米同盟関係が新たな息吹を与えられ、一層深化していくことを期待する」といったことではないのか。小泉なら即興でこの程度のことを言っただろう。ところが麻生が最初に吐いたのは「どなたがアメリカの大統領になられようとも」「オバマっていう人」という、まるで「わしゃ知らん」とでも言いたいのかとさえ思わせるような言葉だった。

 倉重篤郎=毎日新聞編集局次長が週刊『エコノミスト』11月25日号のコラムでこのことを取り上げていて、次のように書いている。

「このやりとりをどう見るか。自民党実力者の1人は『次の大統領が決まった日に“どなたがなっても”はないだろう。世界各国の首相談話のなかでも一番間抜けに聞こえる。開票前に準備されたメモを取り違えて、そのまま読んだかの印象だ』と怒りを隠さない。『ブッシュっていう人』という言い方もいかがなものか」

 倉重はさらに続けて、上記のやりとりの2日後、7日にオバマと初の電話会談を行った後の番記者とのやりとりにも触れている。「オバマ氏と電話会談をされたが印象は?」と問われて麻生は、

(1)「印象? 顔も見ないで印象と言われても困る」
(2)「話しやすかった。テレビで見るよりも英語が分かりやすかった」
(3)「音声が悪いのかな、おたくのテレビ」
(4)「世界で最も大事な2国間関係といわれる相手側ですから」
(5)「何となく、きちんと勉強してこれからの世界に対して意欲もあるし、そういった感じでした」
(6)「短時間では分からない」

 わざと改行してナンバーを付したが、これは一連なりの発言である。(1)は、これも一種の口癖で、まず質問に「何でそんなことを聞くんだ」という調子で反発したような表現を持ってくるのが彼の常套手段で、そうやって「お前らのくだらない質問に答えてやっているんだぞ」という記者団に精神的優位を確保しようとするジャブなのだろう。電話で会談しただけなのは分かっていて、その限りの印象を問うているのだから、全く無意味なセリフである。(6)も、短時間なことは分かった上で印象を聞いているのだから意味がない。短時間の電話会談でも、アメリカの将来と日米関係の今後についてこういう確信を持った、ということを語ればいいのだ。

 (2)がその印象の内容に当たる訳だが、「英語が分かりやすくて話しやすかった」というのは中学生レベルで、ほとんど間抜けである。(3)はまた記者をからかう無用のジャブで、たぶん記者が「そうですか?」という顔をしたのに対して言ったのだろう。ジャブにもなっていない。

 (4)は意味不明。そういう相手側だから「心して電話対談に臨んだ」という意味なのか。(5)は、ここでまた有名な口癖「何となく」が出る。「何となく受けた印象では」と言いたいのだろうが、何となくでは困るのであって、総理はいつも確信を持って語らなければいけない。「きちんと勉強して世界に意欲もある」というのは、これまた無礼な話で、次期米大統領が麻生に比べて「きちんと勉強している」のは当たり前だろう。

 漢字の読み違いはまだ笑って済ませられる事柄である。が、記者とのやりとりはじめ国会での答弁や演説での意味不明は、総理としての基本的なコミュニケーション能力に関わる問題で看過できない。さらに、このような麻生の「言葉の軽さ」は、定額給付金の問題での彼自身の発言の二転三転による迷走から支離滅裂への泥沼化、その結果としての政局漂流と総選挙決行のタイミング喪失という彼の政治姿勢そのものの危うさにも繋がっている。

 何カ月か後に我々は「筋の通った日本語さえ話せない麻生とかいった人物が最高指導者を務めていた」時代があったことを振り返ることになるのだろうか。番記者の皆さんに提案:ぶら下がり会見の問答を含めて麻生のすべての言葉を公開して、言語学者の力も借りて分析し続ける「アソイズム」のサイトを作りませんか?▲

元厚生次官宅襲撃事件:住民の不安消えず

元厚生事務次官やその家族が相次いで刺され死傷した。事件の背景はいまだ判明していないが、年金制度改革に奔走した共通の経歴や犯行の手口が似通っていることから、厚生行政に絡む連続テロとの見方が強まっている。
殺害された元厚生次官、山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)は、18日午前、さいたま市南区の自宅玄関で刺されて死んでいるのが見つかった。また、東京都中野区の元厚生次官、吉原健二さん(76)宅でも同日夕、吉原さんの妻、靖子さん(72)が刃物で刺され、重傷を負った。靖子さんは宅配便の配達を装った男に玄関先でいきなり刺されたという。吉原さんは年金局長、社会保険庁長官などを歴任し、1988年から90年まで厚生次官を務めた。

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【PHOTO】(11/19)
殺害現場となった、さいたま市南区の山口さん宅はJR埼京線と武蔵野線が交差する武蔵浦和駅から北西約500メートルほど。閑静な住宅地を突如として襲った痛ましい事件に、周辺住民は「犯人が捕まるまで安心できない」と不安そうな表情を浮かべた。

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(左)殺害現場となった山口さん宅前 (右)自宅前で待機する報道陣
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(左)近隣住民の協力のもと、遺留品を探す警察 (右)さいたま市立別所公民館の掲示板には、殺害された山口美知子さんの写真が展示されてあった。毎月2回、書道教室に通っていたという
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(左)地元住民のなかには「今日だけで10回以上同じ話をした」という方も (右)山口さん宅からは50~100メートルにわたって血の付いた足跡が残っていた

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18日に発生した、元厚生労働省事務次官を狙った殺害事件で、ネット上に犯行声明らしきものが出ていることがネット上で話題となっている。
犯行声明らしきものが発表されたのは、政界、経済界、社会の不正についての情報を集めて公表している「論談」。投稿日は18日となっており、犯行前に投稿された可能性もあるが、本物の犯行声明であるかどうかの真偽は不明だ。

一方、毎日新聞はフリー百科事典Wikipediaの「社会保険庁長官」という項目に、18日正午に被害者が殺害されたことを示す書き込みがあったと報じた。しかし、Wikipediaの書き込み時間は特別に設定しない限りグリニッジ標準時で記載されるため、実際には午後9時過ぎの書き込みと思われる。毎日新聞は誤報の可能性を考えたのか、記事はすでに削除されている。
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【関連記事】
■ウィキペディアに犯行予告があった!(2ちゃんねる)

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引用元:論談サイト http://www.rondan.co.jp/html/mail/0811/081118-30.html

高級官僚 天誅の時代が来る
( 平成20年11月18日 )   投稿者: 不明

政治家のいうことを、まともに聞かない官僚。
自分たちのことだけを考え、日本の貴重な税金を食い物にしている官僚。

政治家は、選挙で落とせば死んだも同然。
しかし、官僚だけは国民の手でクビにすることが出来ない。

その昔、テロの標的は政治家だったが、これからは高級官僚がテロの標的となってくる。

官僚もバカじゃないから、自分たちの方に刃や銃弾が向かってくる時代になれば、もっとしっかりした行政を行うだろう。

特に、日本を動かしているのは俺達だ!と、思っている東大卒の人間達が、これからは戦々恐々となる時代がやってくる。

間違いなく、年金制度が崩壊する前に、彼らの命も崩壊するであろう。


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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「政治が官僚体制に立ち向かう以外に根本的なソリューションはない」(11/20)

これが本当に年金崩壊への怨念に発する反官僚テロなのかどうかはまだ分からないが、そうである可能性は十分にある。もしこれが年金テロなら、麻生内閣になってから年金崩壊の問題などほとんど話題にもならないまま放置されていることへの反感の広がりがその直接の原因なのかもしれない。しかし、官僚体制の怠惰と腐敗と専横、それに対する政治の無力は厚労省に限ったことではない。その意味では、論談サイトに出た「高級官僚・天誅の時代が来る」という投稿者不明のコメントは、困ったことに、まことに正論であって、警備当局が「厚生大臣・同省高級官僚及びOB60人に厳戒態勢をしいた」と昨日の夕刊紙が書いているが、それではとうてい足りず、毒米をばらまいた農水省も、道路予算を食い物にしたり要らないダムを作ろうとしている国交省も、その他腐敗し切った官僚体制のどこもかも、全部厳戒の対象としなければならない。厚労省批判を非難したトヨタの奥田碩取締役相談役も警備対象としておいた方がいい。とはいえ、反官僚の風潮に根ざした怨念の暴発を厳戒警備によって物理的に防止しようとするのは不可能で、政治がしっかりして官僚体制に正面切って立ち向かう以外に根本的なソリューションはない。次期総選挙の最大焦点もそれで、自民と民主のどちらが官僚体制と戦えるか、戦えそうかということが選択の第一基準となる。

2008年11月18日

「大麻は悪」でホントにいいの!?

元ロシア人力士の大麻所持、使用疑惑に始まり、大学生など若年層に蔓延する大麻問題を巡って、各種メディアは大麻の規制を強化すべきと大々的に報じている。
国内では昭和23年に制定された『大麻取締法』によって、大麻の所持、譲渡、栽培などが禁じられており、大麻が人体に与える悪影響については、麻薬・覚せい剤乱用防止センターが「大麻を乱用すると気管支や喉を痛めるほか、免疫力の低下や白血球の減少などの深刻な症状も報告されています。また『大麻精神病』と呼ばれる独特の妄想や異常行動、思考力低下などを引き起こし普通の社会生活を送れなくなるだけではなく犯罪の原因となる場合もあります」と注意喚起を呼びかけている。
だが、一方で「違法だから悪」だという理論の外側では、「大麻の依存性は低い」、「大麻はアルコールやタバコよりも害は少ない」という説も根強く囁かれている。また、オランダでは個人使用目的で少量の所持(通常、約5g)であればカフェで購入可能で、アメリカでは大麻を医療の現場に使う試みも行われているという。大麻について知れば知るほど、「大麻=悪」という”常識”に疑問が浮かび上がってくるのだ。

※《THE JOURNAL》では大麻を推奨しているわけではありません。「事実を知る」ことを目的としています。

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【関連記事】
■大麻取締法
■広がる大麻汚染(毎日新聞)
■慶大生大麻事件 憂慮される汚染の広がり(読売新聞)
■大麻取締法は産業政策として押し付けられた(大麻取締法変革センター)
■全米科学アカデミー医学研究所(IOM)報告書について(カナビス・スタディハウス)

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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「マリファナを解禁せよ!」

マリファナを解禁すべきである。先進国でマリファナを医療用としてさえ認めていないのは米国と日本くらいで、日本のやたら厳しい大麻取締法は昭和23年にGHQの支配下で米国の押し付けで作られたもので、マリファナを他の麻薬類と同レベルで害悪視してその医療用効果を無視しているばかりでなく、そもそも日本の衣食住文化の原点とも言うべき麻の多様な価値を全面的に否定した許し難い悪法である。

戦後憲法を米国の押し付けだという人がいるが、あれは単なる押し付けでなく、20世紀を通じての国際法の領域での“戦争の違法化”に向かっての人類史的努力の到達点としての国連憲章の精神と、日本国民の「もう戦争はご免だ」という心底からの気持ちとが合一して出来上がった一個の“世界遺産”である。それに対して大麻取締法は、疑いもなく米国の押し付けで、このために日本人は、この国の気候風土に似つかわしい麻の着物を着ることも、麻の実や油を食べるたり住まいの中で活かすことも、不当に制約されていて、そのことに疑念を抱くことすらなくなってしまった。
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麻枝光一氏(『マリファナ青春旅行・幻冬舎』著者)
「ジャーナリズム精神を持って取材できていない」

アメリカでは1930年前まで、産業目的で大麻が盛んに栽培されていました。農民に対して大麻を栽培しないと罰金を科するというくらいに振興策として推奨されていたのです。しかし、1930年代になり石油化学工業が発展し、大麻が目ざわりとなった。それまで大麻は機械の潤滑油や絹やナイロンのような薄い丈夫な製品を精製するために使用されていましたが、石油のために大麻栽培が邪魔になった。そもそも大麻取締法が日本で制定された昭和23年(1948年)頃、国内では大麻を薬物として規制しなければならない状況ではありませんでした。薬物として使用する習慣がありませんでしたし、厚労省によれば使用による弊害も報告されていませんでした。そういった状況の中で、戦後、日本にマッカーサーがやってきて大麻を全面禁止にする政策を押し付けようとしました。当時、日本では貧しい農民たちが大麻の繊維を利用して下駄のはな緒やロープを作っていましたから、それを規制されたら困るということで国会議員たちが猛烈に抵抗したのです。それで現在も大麻栽培の免許制の道が残っているわけです。なぜ大麻を単独の禁止法まで作って取り締まらなければならなかったのか。それは大麻線維を駆逐することを目的としたアメリカの産業政策だったのです。

「大麻は覚せい剤やコカイン、ヘロインなどと同じく麻薬である」という先入観のもと、事実を検証しようともしないで、大麻については何を言ってもいいんだという安易な考え方が現在の各報道機関にあるのだと思います。最も重要なのは事実だと思います。例えば、力士のみならず日本一、世界一を目指しているスポーツ選手が大麻を常用しているにもかかわらずプロの選手として好成績を残せるのはなぜか。大麻を使用すると廃人になるというような事実に反する報道を行う側に、まずはそういった簡単な疑問を抱いていただきたい。最近の、各新聞の社説を読むと使われているボキャブラリーがほとんど同じですよね。少しうがった見方をすれば、当局からのお達しがあって、記者たちがジャーナリズム精神を持って取材できていないのではないかと勘ぐりたくなりますよ。現在はインターネットなど世の中に情報がありふれています。若者を中心に大麻にそれほど害がないという事実が知れ渡っていきています。実際にオランダなどで大麻を喫煙した経験のある方も多くなっています。もはや理屈では「大麻=悪」という説を唱えることが不可能な時代になりつつあります。そういった現状を踏まえた上で、「大麻=悪」だと唱える側が常識ハズレで半狂乱なキャンペーンを行っているのではないでしょうか。実際に、「大麻=悪」だとする根拠を科学的なデータをもとに出している報道機関、または取締り機関はありません。たとえば、「ダメ。ゼッタイ。」のキャッチフレーズで知られる『麻薬・覚せい剤乱用防止センター』のHPには大麻の症状として様々な弊害が記載されていますが、情報開示請求をすると、「医学的、科学的な根拠はない」と答えます。また、大麻喫煙が覚せい剤やコカインなどのハードドラッグへの入口に繋がるという理論も全米科学アカデミー医学研究所(IOM)の報告書によって否定されています。さらに、大麻取締法に使用罪がない理由として厚労省は「大麻栽培農家がいて、揮発した大麻成分が体内に入り込むことがある。意図的な使用かどうか区別できないため」と言っています。ならば大麻栽培農家は廃人だということになる。あまりにも稚拙な無知であるがゆえの言い訳でしかありません。それが、大麻取締法がGHQによる押し付けによって制定され、日本が大麻に関して法ありきの考え方で真面目に検証したことがないという事実を如実に物語っているのです。
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藤原道弘氏(福岡大学副学長・薬学部教授)
「身体的にも精神的にも依存性がある」

私の話は全てマウスなど動物を用いた実験結果が前提となっております。(日本国内では大麻取締法第四条により人への施用が禁じられている)しかし、マウスにしても人間にしても大脳辺縁系は基本的に同じ構造となっているため、マウスでの実験結果を人間に適用することが可能だということを初めにお知らせしておきます。

まず、大麻摂取による身体的な弊害についてですが、覚せい剤やコカインなどの麻薬と比較すると弱いといえます。ただ弱いとはいえ、心拍数の増加、喫煙による気管支の炎症、眼球の結膜充血などがあります。また、完全な害とはいえないまでも、特徴的なのは食欲の増進があげられます。何でもおいしく感じるようになり体重が増加する傾向にあります。これは覚せい剤と、まるっきり反対です。初めに弱いといったのは、これらの症状が深刻なものではないということです。

一方で、精神的な弊害となると非常に個体差が大きくなります。大麻使用者の経験談と取り締まる側の言い分が大きくかけ離れている原因のひとつですね。喫煙者の性格や生活スタイル、喫煙時の状態、期待感などによって千差万別です。言い方はおかしいですが、うまく作用して多幸感を得られるだけのケースもあれば、バッドトリップといって鬱状態になったり恐怖感を感じたり凶暴化するケースもあるわけです。たとえば、大麻に含まれるTHCという成分を同時にマウス4~6匹に投与すると、おとなしく寄り添って暮らしています。ところが、単独に隔離して投与すると凶暴化するんです。鼻の近くに割り箸をもっていくと激しく噛み付いたり、大きな声を上げて歯をむき出しにします。ようするに、大麻は大麻摂取時の状況によって、起こりうる反応が大きく異なるということですね。また幻覚作用もあります。投与前にまっすぐ歩いていたマウスが、投与後には後ずさりをしたりフラフラ歩きになったりと異常行動が見られます。これはLSDなどの幻覚剤にも共通して見られる反応です。

依存性については、脳の中には『快中枢』と『不快中枢』というのがあって、これらは大脳辺縁系のなかに含まれます。快や不快というのは動物が生きていくうえで非常に重要なもので、空腹感を感じると不快中枢が刺激され、何か食べようということになり、ライオンは狩りをしなければならなくなり、どのような狩りをするのかを考えるようになります。これは人の場合でも同じですね。不安を感じれば不快中枢が刺激され、それを解決するために努力、工夫をします。その快そのものを大麻や覚せい剤などを常用して刺激すると、何もしなくても達成感が得られるわけです。何の工夫や努力をしないままに行動が止まってしまい、思考することもやめてしまう恐れがあります。ですから「ドラッグやめますか。人間やめますか」というフレーズが生まれるわけですね。こういったことが依存に繋がってくるわけです。一度、楽に快を得られたために、次も大麻喫煙など安易な方法で快を得ようとするわけです。その記憶というのは死ぬまで忘れられません。それが大麻や麻薬が持つ精神的な依存性です。身体的な依存に関しては、覚せい剤が最も強く、大麻はそれほど強くはありません。また、覚せい剤の場合、100人中、100人が身体的な依存を持つかもしれませんが、前述のように大麻の場合は個体差があります。ただ、強くはないといっても存在することは事実です。

人間を用いて臨床実験を行うのが早道であることは確かです。新しい薬を作るときは動物実験を繰り返した後に、ボランティアを使った臨床実験を行いますが、これは体を良くするための薬であるからボランティアを使った治験にも意味があるわけです。しかし、これが大麻となると、もしボランティアに依存が発生した場合はどうするんだということになります。国内では、この先も不可能でしょう。
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小沢の“奇襲攻撃”で麻生はますます窮地に?

民主党の小沢一郎代表が17日、麻生太郎首相に対して突然の党首会談申し入れという“奇襲攻撃”を仕掛け、毎日新聞の見出しを借りれば「首相、さらに窮地/2次補正、持論と党、板挟み/終盤国会波乱含み」という状況に追い込まれた。

この席上、小沢は、麻生が「経済、景気が大事と言っていながらなぜ臨時国会に第2次補正予算を出さないのか」と迫った。麻生自身は、今国会で早期に補正予算案を出さなければ辻褄があわないことを分かってはいるが、その目玉である「定額給付金」の扱いが迷走から支離滅裂へと流れている中で、自民党の大勢は来年1月の通常国会に先送りする考えであるため、首相の言うことを党が聞かないという彼の板挟み状態はさらに深刻になった。小沢はさらに、補正を出さないなら、今国会の「2大法案」と言われるインド洋での給油活動継続のための特措法改正案と金融機能強化法改正案の採決に応じないとの考えを示した。このため麻生が両法案をどうしても通そうとすれば、今国会の会期を越年して大幅延長するしかなく、しかし延長すれば、そんなに長く会期があるのにまだ補正は出さないのかという圧力がかえって強まり、麻生の「景気優先」の原則が揺らぐ。そこで仕方なく出せば出したで、給付金問題はじめ野党からとことん追及されてボロボロになりかねない。延長することでかえって年内の転がり込み解散の危険も出てくることになる。-------------------------------------------------------------------------------------
田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「麻生さんは来年4月のサミットに出たいのでは」(11/20)

会談の内容としては、小沢さんの言っていることが当然だ。麻生さんは景気が最優先と言っているにもかかわらず、第二次補正予算を出さない。また、麻生さんはいろんな理屈をつけては選挙を先延ばしにしているからだ。

しかも、解散を先延ばしにしている理由もだんだんわからなくなってきた。僕は何人かの自民党議員に麻生さんの考えを聞いてみたが、誰もわからないと言う。

ひょっとすると、麻生さんは来年4月までは首相の座にとどまりたいのではないか。先日の金融サミットで、次回は4月下旬に開催されることが決定している。選挙をして与党が負ければ、麻生さんは首相の座は降りざるをえない。だから、解散を先延ばしにしているのかもしれない。しかし、いろいろと先の目標を作っては解散を先延ばしにしていくのは民主党ならずとも国民も「何やってるんだ」「国会何もやってないのではないか」と言いたくなるのも当然だろう。

先日、自民党の塩崎恭久さんと民主党の枝野幸男さんと対談した。2人が一致していたのは「毎週党首討論をやるべきだ」ということだった。両党が考える日本の問題点を国民の前できちんと話し合い、明らかにする。これをやるべきだということだった。

日本の政治家は、国民の方を向いていないのではないか。選挙は国民のためにするものなのに、それを自分たちの都合で先延ばしにする。選挙は議員のためにやるものではない。小沢さんも反対反対と言うばかりではなく、自分の政策を国会で訴えなければならない。政局ばかりではなく、政策のことをもっと考えるべきだ。
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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「奇襲、揺らぐ首相」(11/18)

小沢の党首会談での球の投げ方は、メディアや他の野党によって評価が分かれるところだが、私は面白いと思う。言うまでもなく、本来麻生政権は事実上の“選挙管理内閣”であり、今国会冒頭か、それがダメでも第2次補正の骨格を示した段階で解散に打って出るはずのものであった。そこを決断できなかった口実として、麻生は「選挙より経済、政局より景気」と言ったわけだが、それなら補正を早期に出さないと自分の言ったことを裏切ることになる。ところが自民党は選挙で政権を失うのが怖いから、何もかも(展望もないまま)先送りしようとする。小沢の官邸奇襲は、その麻生自身の矛盾と、麻生と自民党の間の矛盾の重なり合いを突いたのである。しかも、2大法案を人質にとることで、特措法は12月20日、金融法は1月5日を過ぎないと衆院で再議決出来ないから会期を大幅延長するしかない。そうすると、会期があるのにまだ補正を出さないのはどういう訳かということになり、その二重の矛盾がさらに深まる。かといって出せばボロクソに叩かれて答弁に困るという新たな矛盾が加わる。政治とは一面、矛盾のマネジメントのゲームであり、そういう意味でこの小沢の切り込み方は面白い。毎日が言うとおり「首相、さらに窮地」である。朝日の見出しは「奇襲、揺らぐ首相」である。

2008年11月17日

緊急金融サミットで問題が解決するの?

ワシントンで開催されていた日米欧、中国、、インド、ブラジルなどの20ヶ国・地域(G20)が参加した緊急首脳会合(金融サミット)は、15日午後(日本時間16日早朝)に閉幕した。首脳宣言では、規制拡大やIMFなどの機能強化を求めることを発表した。また、各国は財政出動や金融緩和によって金融システムの安定化を目指し、先進国と新興国が協調して現在の危機を克服することに合意した。
次回会合は2009年に開催されるが、それまでに今回の合意を実現することができるのか。問題はまだまだ山積している。

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【関連記事】
■市場は即効性乏しいと評価(ロイター)
■危機再発防止へ連携、IMFに「警報機能」 G20閉幕(朝日新聞)

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岸井成格氏(毎日新聞特別編集委員)
「下手な演出では日本の「武具」が生きない!」(11/17)

今回のG20緊急金融サミットにさきがけ、麻生首相は10月に行われたG7先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議において、中川財務相を通じてこれまでの経験を生かしたメモを日本の知恵として配布させ、これは各国から評価された。

そして今回、日本としてはIMFへ最大1000億ドル(約10兆円)を融資し、世界銀行との共同基金も設立するなど、矢継ぎ早に対応策を用意して見せた上で、次回サミットはぜひ日本で開催したいという意欲を示した。

ところが、参加各国それぞれの面子の問題が出てきて、次回の開催時期すら決められなかった。

これは一概に麻生の責任とは言い切れず、日本の外務省や財務省の外交舞台での演出の下手さによるところが大きい。オバマ大統領誕生の際のコメントに集約されるのだが、外務省はいつものことながら誰がアメリカ新大統領になっても「日米関係は、いつも何ら変わりません」というコメントを政権担当者に言わせる。だが本来ならば新大統領誕生の場面こそ、新大統領とアメリカ国民に対して日本のメッセージを送るチャンスだろう。今回なら、少なくともオバマに対して「できるだけ早い時期に金融危機について話し合いたい」と言うか、それこそニューヨークからシカゴへと飛んで、直接会ってくればよかった。

こういう時期になお外交的な演出ができないようでは、日本がせっかく金融危機に対して携えたさまざまな「武具」が生きないのではないか。
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若林秀樹氏(戦略国際問題研究所 客員研究員)
「金融サミット開催、具体策はオバマ新大統領の下で」(11/17)

ワシントンで開かれた金融サミットは、世界的な金融危機の克服へ向け協調行動を取ることで一致したことは評価できる。もともと短期の準備期間で実のある具体策を合意することは難しく、次回4月のサミットに向け、引き続き世界経済の主要国が協調体制を取ることを期待したい。

今回の特徴は、すでに任期残り少ないブッシュ大統領に新たな秩序作りをリードする力はなく、過剰な規制強化をけん制し、自由市場の堅持を主張するに留まった。一方でヨーロッパは新たな規制強化を主張し、「サミットで期待した成果はすべて手に入れた」と会議の成果を評価した。麻生首相は、会議ではブッシュ大統領の隣に座り、ワシントンポスト紙一面の写真では目立っていたが、米国の立場を相変わらず支持するだけで日本の主張は米欧間の議論に埋没し、日本の経験に学ぼうとするような議論も巻き起こせず、残念ながらリーダーシップを発揮できるせっかくの機会を失った。

オバマは、以前よりG20を中心とした世界的な取り組みが必要であると提案し、その規制強化の考えはヨーロッパの主張に近かった。今後の具体的な取り組みはオバマ政権スタート後にゆだねられることになり、もともとヨーロッパはそのことを折り込み済みだったのかもしれない。アメリカでは実質的にオバマの時代が始まったことを印象付けたサミットだった。
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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「危機を乗り切るシナリオをまだ持っていない」(11/17)

ともかくも20カ国首脳が集まって「すべての金融を規制する」姿勢を打ち出したことは成果ではあるけれども、この金融危機を生み出した震源地であり“主犯”とも言える米国が、未だに市場自由主義のイデオロギーを引きずっていて、その規制に誰よりも不熱心なのだから、お話にならない。毎日新聞が今日の見出しに掲げているように「“米一極”の転換期」なのだが、そのことの歴史的な意味を、欧州と新興国は分かっているけれども米国と日本はよく分かっていないという図式の中で、否応なくその転換が進んでいき、米国と日本は後手後手に回りながら、何が起きているのかよく理解しないままそれに付いていくということになるだろう。この状況では、その先の米一極に代わる世界経済・金融秩序のデザインは描ききれない。日本経済新聞は「首脳らは世界経済の新たなアーキテクチャー(建築様式)を示せずに、次回に持ち越した」と書いた。さらに、「規制」が必要だというのは当たり前として、問題はそこから先の、危機の軟着陸的な収拾のための対策とそのために行われるべき各種規制の具体的な中身で、そこに踏み込むと、米欧や新興国との考え方や技術論の違いがたちまち表面化し、難航を極めるだろう。そうこうするうちにも、さらなる大銀行の破綻や米GMなど金融に突っ込みすぎた大企業の倒産などが出てきて、実体経済へのダメージも現実化するだろう。つまり世界は、理念的にも具体的にも、この危機を乗り切るシナリオをまだ持っていないというのが本当のところだ。

2008年11月16日

筑紫哲也さんが亡くなって想うこと ――ジャーナリストたちの世代論

takanoron.png 筑紫さんとは細いけれども長い付き合いで、突然1年か2年ぶりに電話がかかってきて「高野君、ちょっとこういうこと考えているだけど知恵を貸してくれない?」と言われたりしたことも何度かあった。

 彼がニューヨーク勤務中の頃、都内某ホテルのエレベーターの扉が開いて乗ろうとしたら、筑紫さんがほろ酔い加減で妙齢の女性の肩を抱いていて、悪びれもせずに「おー、高野君。2日間だけ東京に帰って来たけど明日はNYに戻るんだよ」とか言って、私はどう挨拶したらいいかも分からず、こちらが恥じ入るような気分になって自分の階で「じゃ、失礼します」と降りたこともあった。天真爛漫な人だった。

 故・安東仁兵衛という人がいて、『現代の理論』編集長で『戦後日本共産党私記』などの著書もある「最後の旧左翼」で、私は「高野君、高野君」と言われて可愛がられたが、その『現代の理論』の忘年会(安東さんが亡くなったのが98年春だからその前年まで開かれていたと思う)というと必ず、筑紫、岩見隆夫(毎日)、故・石川真澄(朝日)、田原総一朗(フリー)の4人が顔を揃えて談論した。石川さんが1933(昭和8)年生まれ、田原さんが34年生まれ、岩見さんと筑紫さんが35年生まれのほぼ同世代で、彼らに共通するのは、右だ左だは関係なく、「国家というものを信用してはいけない」という一種のアナーキズム的な反体制姿勢と、「戦争だけはやってはいけない」という体に刻まれた反戦思想だった。「戦争を体験した我々の世代が伝え続けなければならないことがある」というのが、そういう席で筑紫さんや田原さんがいつも口にしていたことだった。

 思うのはノンフィクション&ジャーナリスト業界における世代論である。彼らの昭和10年前後というのは凄い世代で、33年生まれには故・本田靖春、岩川隆、ばばこういちら、34年生まれには上前淳一郎、36年生まれには柳田邦夫、上之郷利昭、角間隆といった方々がいる。一時政治活動にのめり込んだばばさんを別にすると、この人々はほぼ例外なく文藝春秋社を主な拠点としてノンフィクションの時代を作った人々で、田原さんもこの戦列に加わる。立花隆も文春拠点だが、彼は40年生まれで少し若く、我々との中間の世代である。

 彼らが活躍し始めたのは、70年代後半で、その頃私らの世代は駆け出しの食うや食わずのフリー生活に追われていて、例えば私は、76年から79 年まで田原さんの下で取材チームを編成してほとんど毎日、文春の2階に設けられた「田原部屋」で寝泊まりしていたが、その右隣は「上之郷部屋」で左隣は「立花部屋」だった。そういう一癖も二癖もあるライターたちを一手に束ねていたのが、当時は月刊文春の編集部員、後に週刊文春の編集長も務めた花田紀凱=現月刊WILL編集長だった。

 当時、講談社の月刊『現代』が文春に対抗して、「次の世代」を育てることを通じてノンフィクションのもう一つの拠点を築こうとしていて、そのお声掛かりで私が幹事役になって、猪瀬直樹、佐野真一、山根一眞といった団塊世代のフリーを7~8人集めて、市ヶ谷の「番屋」という居酒屋で飲み会を重ねたこともあった。その『現代』も今年末で廃刊で、同誌が主宰した「講談社ノンフィクション賞」は残るらしいが、それにしても1930年代前半世代が切り開き 40年代後半世代が開花させてきたノンフィクションの時代はいよいよ終わるのかと思う。月刊『文芸春秋』にしてからが、立花さんの「田中角栄研究」が載った頃には100万部に達しようかという部数を誇ったが、いまは半分以下で、何人もの花形ライターに数名ずつの取材スタッフを付けて部屋を与えて、1つのテーマを何カ月も取材させて一挙100枚とかの力作を書かせるだけの体力は、全くない。

 私は80年当時、情報誌「インサイダー」を先輩から引き継ぐかどうかという時に、そのノンフィクションの時代の波に乗って“ノンフィクション作家”の道を進むという選択肢もあって、周りからも文春や現代の編集者からもそうするよう勧められたが、敢えて“フリー・ジャーナリスト”の道を採って「インサイダー」を法人化しその代表兼編集長となった。作家とジャーナリストでは問題関心も活動スタイルも違っていて、それからは既存のマスコミを含むジャーナリストたちとの交友が増えたのは当然だった。いま朝日新聞主幹の船橋洋一、毎日新聞の特別編集委員の岸井成格、毎日の社会部長から常務まで務めて退職した中島健一郎、日本経済新聞の特別コラムニストの田勢康弘ら、(中島を別として)今も現役で新聞界をリードしている人たちは、どういう訳かみな私と同じ 1944(昭和19年)生まれで、同年生まれの会「一休会」のメンバーである。そのへんから団塊世代にかけての一群も還暦を越えて、さてノンフィクションにせよジャーナリズムにせよ、次にまとまったパワーを持った世代が現れているのかどうか。今のところ私にはそれが見えていない。▲

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【関連記事】
■岸井成格:追悼 筑紫哲也さん(11/13)
■金平茂紀:合掌。(11/7)

2008年11月15日

超絶推薦!!ホリエモン「定額給付金NPO」設立案に参加しよう

株式会社ライブドア元代表取締役社長の堀江貴文氏が自身のブログで、麻生内閣が経済対策の柱として掲げる総額2兆円規模の「定額給付金」の使い道について斬新なアイデアを提示している。

(以下、『』内はブログ記事引用)
堀江氏はブログ記事内で定額給付金政策について『大金使って、せっかく集めた税金を大金をかけて配るという世紀の無駄政策ですが、あきれてものが言えません』と非難。いくら「無駄だ」と訴えても政策が強行されるくらいなら、定額給付金運用NPOを設立し、そこに給付金を寄付して有効利用しようと呼びかけている。

11月12日に掲載された記事には、「ぜひとも活動に参加したい」、「直接民主主義の新しい可能性を実験する良い機会」など450件を超える読者からのコメントが寄せられ、その多くが同氏のアイデアに賛同している。

なかでも目を引くのは、寄付金の運用方法だ。
『そのお金は、給付した人に一票ずつ配られる投票権により、運用されます。その定額給付金運用NPOには、NPOやNGOが出資の依頼を出来ます。また金融機関は運用のオファーもできるようにします。出資のプレゼンは、動画やプレゼンテーションツールを使って作成します。そして、寄付した人たちが、そのオファーをみて、PCや携帯ネットで投票をします。1/2以上の得票があり、かつ、1/2以上の賛成があった出資のオファーや運用のオファーにのみ、お金を出金することができるようになります』

実現すれば、本当に「定額給付金を用いた壮大な直接民主主義」の実現となるかもしれない。

『2兆円も配られるんですからね。もともともらえるはずのないお金ですから、気前良く寄付してみませんか?無駄で非効率になりがちな役所仕事をスルーできますから、1000億が数千億の価値を持つかもしれません。その数千億が、人々の役に立つことに直接使われるのです。しかも私たちが、ダイレクトに投票できます』

《THE JOURNAL》では、同氏のアイデアに賛同すると共に積極的に参加し、今後の成り行きを続けて報じていく予定です。
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【参照記事】
■定額給付金はどうしてもやりたいみたいなので・・・仕方ないから、
 (六本木で働いていた元社長のアメブロ 11月12日)
 http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10163645915.html

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石川好氏(作家)
「最も大切なことは、政府に対して市民が「NO!」を突きつけること」(11/30)

堀江氏のアイデアはひとつの提案としてアリだと思う。

お上が1万2000円くださるというのに、文句をつけるとは何事だ。頭を低くしてありがたくちょうだいするのが筋だという意見もあることは承知している。しかし、給付金は税収が有り余った結果、還付するのではなく、我々の子供や孫の世代からの借入金である。

そこで、私は11月24日の秋田魁新報で下記のような提案をした。

▼仮に2兆円もの財源が捻出できるのなら、現金を配るのではなく、たとえば4等分しそれぞれ5000億円を(1)次世代のための新しい奨学金制度(2)高齢者介護用の新しい施設建設(3)国際競争力を向上させるための新技術開発(4)地方活性化のためのプロジェクト基金開設など、アイデアはいくらでも考えられるはず。

▼問題にすべきは、これを喜んで受け取る納税者たる有権者の心構えである。もし、給付金に対し有権者が「自分たちは物ごいではない。そんなお金を子供や孫から借金してまでも、もらいたいとは思わない」と決意し、受け取りを拒否したらどうなるか。それこそが、市民が市民たる維持を見せたことになるのである。政府に対してそうした意地を見せることで有権者も政治家も鍛えられ、日本の政治は変わっていくのである。

最も大切なことは、政府に対して市民が「NO!」を突きつけることだ。
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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「素晴らしいアイデア」(11/15)

実は私も同じようなことを考えていて、ホリエモンのブログを読んだときに手を叩いて賛成した。今回の定額給付金は麻生内閣の目玉政策になっているが、各種世論調査で約65%の方々が「いらない」と言っていて、目的そのものが狂ってしまい、その方法を巡って混乱が起き、二重の意味でバカバカしい政策だといえる。

当然、国民から出てくる反応は「こんなもん誰がもらうか」という声で、それでは官僚たちが勝手に使ってしまうお金が増えるだけ。それが本当にバカバカしいと思っていたので、何か給付金をプールして有効活用する手段はないだろうかと考えていたが、ホリエモンのNPOを作って投票システムで資金を活用するというところまでは思いつかなかった。

『官』におまかせする発想は、もうやめて、『民』の力で、より良い世の中を作っていこうという素晴らしいアイデアだと思う。
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NPO法人『チャリティ・プラットフォーム』広報部
「新しい可能性を持つかもしれない」(11/15)

堀江氏の定額給付金の寄付というアイデアが日本において新しい可能性を持つかもしれません。当団体と堀江氏とは直接、関係がありませんが、NPOを支援するNPOとして堀江氏にご注目いただいていると知り、大変光栄に思います。

(以下、堀江氏のブログ記事引用)
「3年前に、新しいやりたいことの目標が出てこないんだよ~とぼやいていた、村上さんが寄付をされて大きく前進した、NPO法人『チャリティプラットフォーム』。まあ、完全な直接民主制ではないんですが、沢山のNPOに直接寄付する道を選択させてくれるのと、選ぶのが面倒くさい人はチャリティプラットフォームに寄付することもできる仕組みです」

NPO法人「チャリティ・プラットフォーム」
【設立】07年5月18日
【理事長】佐藤大吾
【URL】http://www.charity-platform.or.jp

様々なNPOの活動を発掘し、調査・研究・分析を行う「NPOアナリストチーム」によるリサーチ結果をウェブ上にデータベースとして公開。多くのNPOが優れた経営ノウハウを共有できるようにNPO・NGOデータベースの提供を行っている。また、各団体に寄付や助成金として、チャリティ・プラットフォームを通じて寄付することができ、リストの中から自分が興味のある特定のNPO団体や社会貢献プロジェクトへ寄付することもできる。
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東国原英夫氏(宮崎県知事)
「2兆円をどうするかよりも『配るな』」(11/15)

アイデアとしては悪くないと思いますが、事務料を考えたら途方もない額になりそうですね。窓口を設けなければならないし、アルバイトも雇う必要があって、クレーム対応もしなければならない。また、NPOに対する自主的な寄付を誰がどの程度行ってくれるのかという課題もあります。

立場上、今回の給付金については、堀江さんと私では発想の入口が異なります。行政を預かる立場としては、2兆円を配ること自体に大変な事務料がかかってしまうことを、どうしても懸念してしまいますね。今回の定額給付金2兆円を使うのであれば、これは消費税1%分なので、地方に回していただきたいと考えます。そもそも、2兆円をどうするかよりも「配るな」という考え方ですから。堀江さんの発想は「どうせ配るなら」ということですよね。
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40代男性(秋葉原が大好きな軍事オタク)
「結局は単に思いつき?」(11/17追記)

「大金使って、せっかく集めた税金を大金をかけて配る」というのが「世紀の無駄政策」だという評価はその通りだと思う。だから“その代わり”のアイデアとしては面白いかもしれないけれど、仮に「定額給付金運用NPO」ができたとしてもそこにお金は託さない。

だって、戻ってくる金は“要らない金”じゃないもん。

日々の食費は出ていくし、子どもの学校の授業料だって払わなきゃいけない。手元に戻ってくるなら、当然必要性の高いそっちに使いたい。「定額給付金運用NPO」は、いくら裁判に負けて「元」社長になっちゃったとはいっても、やっぱりそこそこ金回りのいい人が考えるモノだなと思ってしまうね。

ただし、返ってくる金は使わせて貰うけど、「ありがたくいただきます」と思うわけじゃない。

そもそも税金は、国民に対する最低限の保障とか国の運営とかに「どうしても必要」だからっていうんで徴収しているもんでしょ? コストをかけて徴収したものを、コストをかけてまた配る。結局、もともと僕らのお金であるものが、何にも役に立つことに使われないうちに目減りして戻ってくるわけだよね。しかも何年か先には消費税を上げるっていう。じゃあなんのために返すんだよ。

2008年11月14日

国会崩壊!!

13日に開かれた参院外交防衛委員会では、田母神俊雄・前航空幕僚長がアパグループの懸賞論文に戦前の日本の侵略を否定する論文を発表して更迭されたことを受け、麻生首相も出席してシビリアンコントロール(文民統制)の在り方などについて集中審議を実施した。その審議の中で麻生首相は「防衛省に対し再発防止、再教育に万全を期すよう言っている」(東京新聞)と述べた。

また、浜田靖一防衛相は、「今回退職という処分をしたので、新たに処分ということは考えられない」(産経新聞)と述べ、約6000万円の退職金を支払う方針にも変更がないことを明らかにした。

民主党は、集中審議に入る前に陸海空3自衛隊の現役幕僚長の出席を求めたが、与党側がこれを拒否。毎日新聞によると、「制服自衛官は政治的議論にかかわるべきでない」という冷戦時代から続く化石のような国会慣例を盾に拒否したという。これで、現役幕僚長の思想・信条を国民の前に明らかにし、日本にシビリアンコントロールが機能していることを示す絶好の機会は失われた。シビリアンコントロールなき現在の国会は、すでに崩壊している。

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【コメント一覧】
■田中良紹「田母神氏のような思想を持つ人がたくさんいる」
■二木啓孝「猪突猛進・支離滅裂」
■田原総一朗「本物の武力クーデターがおきる可能性もある!」
■高野孟「国会の権威を内外に示すべき」
■NHK広報部「国会側からなんの要請も受けていない」
■参院広報課「NHKからの中継要請はなかった」

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田中良紹氏(ジャーナリスト)
「田母神氏のような思想を持つ人がたくさんいる」(11/16)

日本にシビリアンコントロールがあるのかということについては、私が見る限りでよくわからない。シビリアンコントロールとは、政治家が防衛大臣を務めることではありません。シビリアンコントロールとは、制服組が国民に従属することであり、「国民の了解なしに軍隊は税金を使えない」ということなんです。

ですが、海上給油法案の時に明らかになったように、自衛隊は税金の使い道について「軍事上の機密」とか「テロリストに情報を与えることになる」と言った理由で国会議員にすら公表していません。軍の作戦を議会に報告する必要はないけれども、税金の使い方については国会の承認を受けるのが当然です。秘密にしなければならない事情があるのなら、与野党の議員に守秘義務を課した上で、秘密会を開催して国民の代表である国会議員に公表すればよいのです。

アメリカでは、いずれの戦争もすべて議会で承認されています。議会で承認されなければ絶対に戦争ができないというのが、シビリアンコントロールなんです。

また、アメリカでは軍人が国会に呼ばれた場合、必ず冒頭で「予算を配分をしてくれたことに感謝します」と言います。これは、「軍は国民の代表である国会に従属している」ということを明らかにするもので、「軍隊の主人は国民である」ということを表明しているのです。

軍は国民の税金を受けられなければ、満足な活動ができません。だから、議会に呼ばれた軍人は国民に感謝の辞を述べる。これがシビリアンコントロールの基本なのです。

ですが、11日の参考人招致で明らかになったように、田母神氏は上司である防衛大臣の言うことすら聞かない。これは世界の常識からすると、めったにお目にかかれない奇妙な光景です。田母神氏の場合は厳密に言うとすでに自衛隊員ではないので事情は異なるかもしれないけれども、軍人であれば「国民に従属している」という姿勢を議会で明らかにするのが常識です。

おそらく、田母神氏のような思想を持つ人物は自衛隊の中にたくさんいるのでしょう。政府はそういった事実を否定することに躍起になっているけれども、自衛隊の中には「臭いものにフタ」をしている政府の対応に不満がある。

実は、古くから自衛隊員も政治家も本音では田母神氏のような思想を持っている人がたくさんいて、今回の政府の対応も、建前を保つためにやっていると考えている。彼らは、戦後の日本は「本音と建前」で取り繕ってきたと考えていて、そういった態度に不満を持っています。しかも、今回の騒動で見えてきたことは、彼らに対する政府の抑えが効かないほど、彼らの不満が鬱積しているということです。

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二木啓孝氏(ジャーナリスト)
「猪突猛進・支離滅裂」(11/16)

田母神の論文発表に「表現の自由がある」という論者がいる。だいたい右派系の人たちだが、真意は「田母さんがいいことを言っているのに封殺するな」ということだろう。そもそも憲法がいう「表現の自由」とは「何でもかんでも言っていい自由」ということではない。問題は何からの自由かであり、「政治権力は表現の自由を奪ってはならない」ということを規定しているのである。
もし田母神氏の論文が「北朝鮮の金主席はすばらしい人であり、敵視政策はよくない」と書いていたら、右派系の人は「表現の自由がある」と言うのだろうか。
むしろ問題は日本の防衛体制である。およそ一国の軍事力は①武力(兵器)②兵力(兵員数)③指導力(指揮官の資質)で計られる。武力、兵力は公になるが、他国にとって悩ましいのが指導力である。貧弱な武器でも戦闘を持続するゲリラがその例だが、今回の一件で、世界から「日本防衛の指導者はこの程度だったのか」とばれてしまった。航空自衛隊を評する言葉に「猪突猛進・支離滅裂」というのがある。大丈夫か日本防衛。

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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「本物の武力クーデターがおきる可能性もある!」(11/14)

野党の追及が弱い。11日の参考人招致についても、参議院は野党が過半数を占めているのだから、野党が押し切ればテレビ中継もできたはずだ。野党は自信がないのではないか。

田母神論文の趣旨は、日中戦争から太平洋戦争までの日本の行動は侵略ではないということ。むしろ、日本は犠牲者だという。これは、麻生政権も堅持している村山談話を真っ向から否定する論文だ。もちろん、誰にも言論の自由はあるので、個人が何を言おうがそれは自由だ。しかし、航空自衛隊の制服組のトップが肩書き付きの実名で政府見解と全く異なる見解を発表することは、尋常ではない。

おそらく田母神氏は、論文は公開されることを前提としていたと思う。懸賞論文に航空自衛隊から97人も応募するなど、組織ぐるみの行動であることが明らかだからだ。私は、これは組織的決起だと思う。言論クーデターと言ってもいい。このままでは、2・26事件が再度起こるのではないかという心配すらしている。

背景には、日本全体を覆うイラ立ちがあるのではないか。自衛隊にとって、自分達は国を守るために頑張っているのに、それにしてはこの国は自衛隊を陰の存在にしすぎだという不満がある。また、日本全体にしても、派遣労働や食品偽装などで経営者に対する不満が高まっていて、しかも、こういった問題にしっかりした対策を出せない政治に不満がある。

こういったイラ立ちが重なるとともに、金融危機を端緒とした不景気前夜の現在の状態は、2・26事件などのクーデターがおきた、昭和初期の世界恐慌時代に酷似している。

こういった新しい時代の幕開けを宣言したのが、田母神論文だったと思う。私は、遠からず本物の武力クーデターがおきる可能性もあると思う。狙われるのは政治家だけではない。メディアも狙われる。メディアは「日本の悪口ばかりを言っている」と思われているからだ。いま、日本はそういう緊迫した時代に入っている。

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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「国会の権威を内外に示すべき」(11/14)

田母神論文問題には、手続き面と内容面があって、参考人招致に当たって国会与野党は、(1)内容面に踏み込むと「日本は侵略国家ではない」など彼の“持論”を喚(わめ)き立てる場を与えることになる、(2)従って、彼の自己宣伝の場になることを避けるためにテレビ中継はしない、(3)質疑は、彼が無許可で応募したのは規則違反ではないかとか、97人もの航空自衛官が一斉応募しているのは組織的な関与ではないかとかいった、手続き論の部分に止める――ということで事前合意していたという。でもこれじゃあダメなんだよね。国権の最高機関たる国会は、95年に村山談話を満場一致決議しているわけだし、その立場に立って内容面に正面から踏み込んで田母神と思想的に対決して、右翼がかった高校生の作文レベルでしかないこんな主張を完膚無きまでに論破して、その様子をテレビでナマ中継することを通じて国会の権威を内外に示すべきだったのだ。腰が抜けている。

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NHK広報部
「国会側からなんの要請も受けていない」(11/14)

NHKには視聴者のニーズに応えるという大前提がございます。国会での普段の審議も含めまして、それらを伝えていくのはNHKの使命だと考えております。今回の田母神氏の参考人招致も視聴者の方々の高い需要があったと認識しております。ただ、一方で幅広い社会情報番組やニュースも放送してほしいというニーズもございます。そういったことを総合的に判断して対応を決めたということです。今回のケースでは中継ではなく、視聴者の方々の要望をきちんと反映した結果、当日のニュースのトップで分厚く伝えるという形をとりました。中継ではありませんでしたが、けして今回の問題を軽視したということではありません。

国会側から今回の参考人招致の中継を自粛するように要請があったかどうかについては、国会側に確認してもらいたい。通常、国会側が与野党合意のもと、国民の関心の高い参考人招致や証人喚問、通常の委員会審議を、是非、中継してほしいと要請してくることはありますが、最終的な判断はNHKがいたします。今回の中継に関しては、国会側からなんの要請も受けていないと聞いております。

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参議院広報課
「NHKからの中継要請はなかった」(11/14)

通常、国会中継を行う場合にはNHKさんから中継の要請がありますが、今回はありませんでした。もちろん国会側から(中継の)自粛要請はしていません。事前に、議員とNHKさんとのやりとりで、中継をどうするかという話し合いがあったのかも知れませんが、参議院事務局としては把握しておりません。

重要な委員会審議や参考人招致の場合、こちらからNHKさんに中継要請をすることもありますが、今回はしていません。その理由につきましては、外交防衛委員会のほうで判断しておりますので、こちらでは分かりません。

2008年11月13日

メディアは奥田碩の圧力に対抗できるのか

またもや超ド級のトンデモ発言が飛び出した。
トヨタ自動車の奥田碩(ひろし)取締役相談役は12日、首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、年金問題などで厚労省の対応を批判するメディアに対し「朝から晩まで厚労省を批判している。あれだけ厚労省がたたかれるのはちょっと異常。何か報復でもしてやろうか。例えばスポンサーにならないとかね」(産経新聞)などと発言した。トヨタという日本のトップ企業の重役が、堂々とメディアへの圧力を表明するのは極めて異例。

だが、今回の奥田発言にはつい首を傾げたくなる部分が多い。そもそも厚労省に対する批判報道の原因は、国民が納めた年金を記録せず、しかも給付額が勝手に減額されたという「国家的振り込み詐欺行為」にあるはず。こういった厚労省や社会保険庁の組織犯罪を批判したがためにスポンサーを降りられては、自由な報道や言論は成り立たない。

トヨタ自動車の広告費は年間約800億円と言われており、その莫大なスポンサー力を背景に各メディアの反応も鈍い。大手紙では、読売新聞が今回のニュースを紙面で取り上げていない。

“迷走”から“支離滅裂”へ、麻生内閣の「定額給付金」

麻生内閣の追加経済対策の目玉となるはずの国民1人当たり1万2000円プラス、18歳以下と65歳以上は8000円上乗せという「定額給付金」政策に付く形容詞は「迷走」と決まっていたが、昨日からは「支離滅裂」に変わった。

毎日新聞の社説「定額給付金/支離滅裂な施策はやめよ」は、「追加経済対策は“生活対策”と銘打たれているように、景気後退で苦しくなっている家計へのテコ入れが最大の眼目だ。……減税や給付金を実施するのであれば、そうした政策目的に合致していることが何よりも重要である。その上で、効果が期待できる方式でなければならない。この2つに照らし合わせて、今回の定額給付金は支離滅裂な制度である」と断じている。

朝日新聞の社説「定額給付金/ふらつく麻生政権の足元」も、「この構想は、いよいよ支離滅裂なものになっている。発足間もない政権の統治能力そのものが問われる事態だ」という結びの言葉で終わっている。

野党各党の談話にもあるように、麻生内閣はほとんど政権の体をなさなくなってきた。

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蓮舫氏(参議院議員)
「国民の税金をどのように使うのかは、国民に聞くべき」(11/13)

定額給付金は、もともと、福田総理が辞任する直前の8月末に決定した緊急経済対策で提案された定額減税でした。それが、いつの間にか定額給付金となり、総理が「生活が困っているところにやる」と言われたように、政府から国民へ支給されるお金になりました。

「支給」と言っても、その財源は税金です。総額2兆円もの税金を使って国民に1万2000円ないし2万円をバラまくことが経済対策になるのでしょうか。しかも、3年後には消費税を上げると総理は明言をされています。消費税1%弱の財源をバラまき、3年後には消費税を何%上げるのでしょうか。

私たちは、昨年の参議院議員選挙の前に『命の値段は削れない』とする医療制度改革をまとめました。究極的には医療保険の一元化でしか、破綻しかけた国民健康保険の問題を解決できないと考え、地域医療保険という形で、医療から介護までを広く扱う保健医療事業体を作りたいと提案しています。

政権を獲得した場合、4年かけて法改正、法整備、国民と地方自治体への丁寧な説明などを行って医療制度を抜本的に改革していく方針ですが、まずは、後期高齢者医療制度を廃止し、自治体への財政支援を行い、被用者保険と国民健康保険を一元化するために約8500億円をかけます。

そして、大学医学部の定員を1.5倍にし、看護師を増やし、医療従事者等確保センターを設置するために約8000億円。勤務医の就業環境の改善のために約590億円。がん対策の拡充のために約1400億円。介護サービス基盤の拡充のために約1000億円をかけ、さらには、医療事故の原因究明と再発防止のための制度を導入したいと考えています。

上記の政策を導入するためにかかるお金は約2兆2000億円です。財源は、一般会計と特別会計をあわせた212兆円の中から予算の組み替えを行うことで確保できるとも考えています。
 
一度きりの定額給付金に2兆円をかけるのか。命の安全のために2兆2000億円をかけるのか。国民の税金をどのように使うのかは、国民に聞くべきです。(蓮舫のメルマガNo.83より)

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森永卓郎氏(経済アナリスト)
「1世帯50万円ほど出せば効果あり」(11/13)

この政策を行うのであれば7~8倍の規模でやらないと意味がないと思います。額が小さいのが問題で、減税をすることが問題ではないんですよ。財政の体力に対して、あまりにも減税規模が小さいので、それほど大きな効果があるとは思えません。

内需主導の経済政策に切り替えるのであれば、1世帯50万円ほど出せば支出が増えますから効果があります。50万円は昨年のあぶく銭だけでも十分にまかなえるので、なんの財政負担もありません。

定額減税自体は効果の大きいものなので額が大きければと思いますね。そういう意味で本当に中途半端で麻生さんが何を考えているのか分かりません。

オバマ圧勝の原動力となったネット活用戦術 ――若者層や無党派・無関心層を深く掘り起こす

takanoron.png オバマ圧勝をもたらした最大とも言える戦術的要因は、ウェブやEメールだけにどどまらず、4年前には存在しなかったブログやユーチューブなどのインターネット上のツール、さらには同じく4年前にはそれほど盛んではなかったが今では特に若者層にとってはインターネットと結合した基幹メディアとなりつつある携帯電話など、新しいメディアをフル活用して、従来は政党の手が届かなかった若者層や無党派・無関心層、アフリカ系はじめマイノリティの中の貧困層にまで支持者を広げたことにある。

●選挙のあり方がひっくり返った?

 インタナショナル・ヘラルド・トリビューン(NYタイムズ国際版)11月5日号でアダムナグアニー記者は「米国の大統領選挙のやり方が根っこからひっくり返ってしまった」とまで書いている。

「いかにして有権者を獲得するか、資金を募るか、支持者を組織化するか、ニュースメディアに対処するか、世論を追跡し形成するか、政治的攻撃を仕掛けたりそれに反撃したりするかについてのルールが書き換えられた」

 もちろん、選挙活動にインターネットを活用するというのは今に始まったことではない。2000年の選挙では両陣営共にウェブやEメールを大いに活用したし、04年の選挙ではハワード・ディーンの陣営がネットを通じて募金とボランティア登録を行って話題となった。しかし、今回のオバマ選挙は、それを量的にとてつもない規模にまで拡大しただけでなく、4年前には存在しなかったブログという自由発信メディアを通じての世論の組織化や、ユーチューブの動画を利用した宣伝など、新しい手段を巧みに組み合わせて質的に充実させた。

 とりわけ、恐ろしいほどの効果を発揮したのは献金とボランティアの組織化で、パソコンか携帯電話でウェブサイトにアクセスすると、すぐに右肩に出てくる「あなたも献金を」のコーナーが目に入り、5ドル、10ドルといった少額でも献金できるようボタンが並んでいて、キャンペーン期間中だと「献金した人の中から抽選で4人様をオバマ候補とのディナーにご招待!」などと書いてあったりする。「えっ、5ドルの献金でもオバマと食事が出来るんだって!」と話題になって、おもしろ半分というか宝くじを1枚だけ買うような気軽さでボタンを押す人が増えるのは当然である。陣営が1年半に集めた献金は600億円の巨額に達するが、その大半はこうした5ドル、10ドルの主に若者層の政治献金の積み重ねと言われている。

●携帯電話メールが

 携帯電話メールは特に有効だったようだ。携帯を通じて献金しサポーターもしくはボランティア登録をすると、情報が携帯メールで毎日のように送られてきて、それには選挙情勢の一般情報だけではなしに、「あなたの住んでいるこの町の選挙事務所でボランティアとして働きませんか」というきめの細かい勧誘などもあって、これまで政治にほとんど関心も持たなかったような人たちも「あなたが主役です」と言われているような気がして、思わず飛び込んでしまうということにもなる。

 このようにしてオバマ陣営が、従来の政党では手が届かなかった人々にまで選挙人登録をして投票に行こう、献金をしてボランティアに参加しようと一貫して呼びかけ続けたことで、戦後最高の推定64%という高い投票率が達成されたばかりか、共和党の伝統的な支持基盤である州でもそのようなことが起きて選挙区の構造を変えてしまった。

 選挙と言えばかつては、組織力のある新聞、テレビなど既存のマスメディアの独壇場だったが、今回はPoliticoやHuffington Postなどのウェブ上の専門サイトが大いに活躍し、政治・政策論争の活性化に一役買った。マスメディアの報道に対しては人々は受け身の読者・視聴者とならざるを得ないが、こうしたウェブのお陰で人々は、マス情報で聞きかじったことを専門サイトで詳しい情報をチェックしたり、直接陣営のサイトを訪問して演説の全文を参照したり、よかれあしかれ何か“噂”が出回ったりするとネットを巡回して真偽を確かめたり、それでも分からないと質問を書き込んだりして、自分の方から確かな情報を得ようと努力する傾向が目立った。

 元々若者層は、普段から新聞も読まないしテレビのニュースを熱心に観る訳でもない。彼らにとっては、携帯でしゃべり、メールを交換し、ウェブにアクセスするのが日常のスタイルで、その意味で若者にとっては今や携帯が個人の基幹メディアになっているので、オバマ陣営のこの戦術は有効だった。

●マーク・ザッカーバーグが顧問

 オバマ陣営の顧問としてこのネット戦術を指揮したのは、人気SNSの1つ「フェースブック」の創業者である弱冠24歳のマーク・ザッカーバーグである。

 彼は高校生の頃から音楽配信ソフトを作ってそのサービスを行う事業を興したりしていたが、ハーバード大学に入るとすぐに学内の学生同士が交流するサイトを立ち上げる。しかしこれは、大学が管理する学生情報を違法に利用したとして禁止され、彼が自由でオープンな情報の利用を主張したにもかかわらず大学当局によって処罰されてしまう。やがて彼は、全国の大学生向けのSNSである「フェースブック」を立ち上げ、しばらくして同大学を中退した。フェースブックは後に一般にも開放されて、今では「マイスペース」に匹敵する全米トップクラスのSNSの1つとなっている。オバマ陣営はそのザッカーバーグを顧問に迎え、何百万人もの支持者を組織しそれと対話を絶やさない巨大なシステムを作り上げた。

 オバマが口癖のように繰り返しているのが「違う意見の人々にも耳を傾ける」「私はいろいろな人々の意見を映し出すスクリーンにすぎない」ということだが、それは単なる政治姿勢の問題ではなく、現実にそのための回路をネットを通じて組織化したことによって確かな裏付けを得たのである。

 翻って、選挙期間に入ると候補者のウェブを凍結して更新を禁止するという日本のこの後進性は一体何なのか。出来るだけ選挙を詰まらなくして、特に若い人に政治に関心を持たせないようにしようという政府と総務省の陰謀ではないかとさえ思えてくる。▲

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鈴木寛氏(参議院議員)
「日本では献金どころかネット利用そのものを制限している」(11/13)

オバマのネット選挙について私がいちばん面白かったのはネット献金です。ヒラリーは既存の団体献金に頼っていたが予備選後半で息切れして、それをオバマが逆転したのはネットを通じての個人献金の広がりが大きかった。しかも、個人献金をすればその人はやる気になるし、ボランティアにも参加してくるという好循環が生まれる。

日本でもネット選挙、ネット献金を解禁すべきだということで、私、菅直人さん、自民党の加藤紘一さん、それに世耕弘成さんで8月に「ネット献金研究会」を始めて、1回は集まったけれども、その後、総選挙騒動で開いていないんですが、再開しないといけない。日本でも若いリーダーをという声があるが、それには、金がない若い人でもネットを活用して金を集めたり発信したりして運動を展開できたりする状況を作らないといけないと思います。何しろ日本では献金どころかネット利用そのものを制限している有様ですから。

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井上トシユキ氏(ITジャーナリスト)
「受け手側を意識した巧みなネット戦術でした」(11/13)

今回の大統領選におけるオバマ陣営のネット戦術は、かなり斬新的でしたね。米国にいる私の友人などに、その背景を聞いてみると、いま米国では、身近なローカルニュースにしか興味のない国民と、金融クラッシュやイラク問題などのネーションワイドな問題に興味のある国民との二極化がかなり進んでいるようなんですね。これはインターネット上に情報が溢れていることの弊害面のひとつだと思います。情報がありすぎるので、どれを入手すればいいのか分からず、自分の興味のある情報、あるいは自分に都合のいい情報しか入手しなくなっている。今回の大統領選では、オバマもマケインも基本的に移民政策と貧困対策を重視していました。ヒスパニック系やアジア系の移民が大勢やってきて、肉体労働などの軽作業の分野を不法移民が占拠してしまっている。それに対して不満を持つ国民は大局的な問題を考える余裕がない。当然、オバマもマケインも大局的な問題に意識のある国民の票も取らなければならない。その両者の隙間を埋めるために、ダイレクトに国民に対して情報を発信するツールとして、特に携帯電話メールを利用した。一方で、オバマは選挙戦の終盤に、約4億円をかけて主要ネットワークのCBS、NBC、FOXを含む計7つのテレビ・チャンネルの枠を買い取って30分の宣伝番組を放送しました。既存のメディアではネーションワイドな話題を取り上げつつ、若年層や貧困層に向けて携帯電話メールを利用した。受け手側を意識した非常に巧みな戦術でしたね。

日本では、安倍さんや福田さんがメルマガをやっていましたが、読んでも何が言いたいのか、誰に対して発信しようとしているのかがよく分からない内容でした。麻生さんや小沢さんも「YouTube」や「ニコニコ動画」などの動画投稿サイトを使い始めていますが、受け手側を意識して使用していないので、効果が出ているとは言えません。今月3日に行われた「ニコニコ動画」での小沢さんの「1万人ネット会見」でも、運営側が「小沢さんを怒らせてはまずいから」という理由で、ユーザーからのネガティブな質問は本人に見せなかったそうです。それでは、出来レースというか、見ているほうは興ざめで、ニコニコ動画ユーザーを巻き込んで行う意味がないですよ。

2008年11月12日

三菱UFJの出資分はモルガン社員のボーナスになる?

三菱UFJ銀行が9月にモルガン・スタンレーに9000億円もの投資を決めたのは、モルガンのみならず投資銀行というものがこれからどういう運命を辿るのかも定かでない中では、明らかに拙速で、案の定、たちまち出資分の目減りが始まる一方、株価の崩落などで自身の資産減価が続いてその行方に不安が囁かれるようになった。そこで同行は10月26日に日本経済新聞に事前リークして前景気を煽った上で、27日、1兆円の大型増資を公式発表したが、市場の反応はノーで、同日の株価はストップ安となった。そこまでならまだ、馬鹿な経営者の愚行というエピソードとして笑って済ますことも出来るが、昨日の日経に聞き捨てならないことがチョロッと書いてある。

15面=投資欄のコラム「一目均衡」欄で前田昌孝編集委員が、トヨタの株価急落を逆用してトヨタ系列の証券会社が「もうこれ以上下がらないからお得ですよ」という調子でトヨタ株を半分組み込んだ投信を販売していることへの疑念を論じているのだが、その本題とは直接関係なく、文末に次の一節がある。

「昨今の証券市場にはおかしな点が多い。証券化商品のビジネスで大失敗した米国の投資銀行の社員らは、中東のファンドや三菱UFJファイナンシャル・グループなどが入れた巨額の資本などを原資に多額のボーナスを得るという」

文章は、そういうおかしなことの仲間入りをしないでトヨタも市場の健全な担い手になるべきだという結びの言葉に繋がっていくのだが、それはともかく、三菱UFJの9000億円がモルガンの社員の多額なボーナスの原資となるというのは本当なのか?! こりゃあまるっきり“振り込め詐欺”ではないか。この期に及んで、世界資本主義の行方にも金融崩壊が実体経済に与える深刻な影響への責任にも心を砕くことなく、ひたすら自分のボーナスを増やして逃げ出すことしか考えていないようなモルガンの経営者と社員に三菱UFJは食い殺されるということだ。

フランスの知識人エマニュエル・トッドは「米国の腐りきった金融業界は、世界中に何の価値もない証券を売りまくった。人類史上これに匹敵するひどい詐欺があっただろうか」と述べたが(本サイト10月31日)、その通りで、米国が国家的に振り込め詐欺を組織して世界をめちゃくちゃにした。もしモルガンの社員が1ドルでも持ち逃げするなら三菱UFJは詐欺罪で告訴すべきだろう。

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金融関係者からの内部メール
「提案書や契約書等はカネに換えられないくらい邦銀は欲しがっている」(11/13)


投資銀行にとって、最も重要なものは人と情報に尽きます。
野村の例でもわかるように、外資系投資銀行にいるようなカネにめざとい人間をつなぎ止めておく以上、ある程度の資金が買収される側の人間に行くことは織り込み済みだと思います。

情報ですが、組織の持つ情報、例えば過去のファイナンス実施の提案書や契約書等はカネに換えられないくらい邦銀は欲しがっていました。その情報が手に入る機会を手に入れられるならば、9000億円はそこまで高くないと考えたのかもしれません。(景気がよかった2006年の三菱UFJの収益額は1兆2000億円ほどであったかと思いますし。)

確かにある程度、ボーナスの支払いに回る可能性もあります。しかし投資銀行の性格上、およそ収益金額の45%を社員に還元しますが、それ以上にその会社の株式を持つ株主の意見はうるさく、また経営者は自社のストックオプションで儲ける仕組みなので、簡単に資本金として計上されたカネを自分の部下の社員のボーナスに当てるというのは現実味がないような感じがします。

田母神俊夫前航空幕僚長が再度陰謀史観を強調

政府見解に反する論文を発表したとして更迭された田母神俊雄前航空幕僚長は11日、参院で参考人招致を受け、「私の書いたものは、いささかも間違っているとは思ってないし、日本が正しい方向に行くためには必要だ」と、日本が戦争に負けた理由は米中露による陰謀が原因とする“田母神陰謀史観”の正しさを強調した。

一方、11日朝の産経新聞は、今回の懸賞論文の主催者であるアパグループによる意見広告「謀略に!翻弄された近現代 誇れる国、日本。」を掲載。田母神氏の論文を全文掲載した。
対照的なのが同日付の朝日新聞だ。政治面に昭和史研究者の第一人者である秦郁彦氏と保阪正康氏による田母神論文の史実検証を展開し、田母神陰謀史観の誤りを細かく指摘している。要旨は下記の通り。

▼田母神論文「日本は相手国の了承を得ず軍を進めたことはない」
秦「論文の冒頭近くにある記述だが、これは思い違いだろう。[満州事変はどうだったか]と反問するだけで崩れてしまう論だ。満州事変は、日本の関東軍が謀略で鉄道を爆破し一方的な戦争だ。謀議者から実行部隊の兵士まで、すでに関係者の多くの証言がある。(中略)日中戦争も大東亜戦争も相手国の了承なしに始めた戦争だ」

▼田母神論文「我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた」
保阪「当時の国民党の指導者に取材したことがある。共産党側の人間が国民党に入っていたのは事実だが、コミンテルンが国民党を動かしていたというのは間違いだ。日本の軍部がソ連や共産主義への危機感をあおっていた見方だ」

▼田母神論文「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価」
秦「果たしてそうだろうか。(中略)日本軍が華僑虐殺をしたシンガポールでは、最近まで反日的な空気が強かったと承知している。(中略)何より、列挙には、一番損害の大きかった中国が入っていない。満州事変に触れなかったのと同様、重要な史実からは逃げ、都合のよい話だけをつないだように見える」

保阪「インドネシア独立義勇軍に加わった何人もの元日本兵に取材した。独立のために戦死した日本兵も多い。本当に東南アジア解放のために戦ったのはそういう人だが、国は[逃亡兵]とした。そういう事実を見もしないで、都合のいいことを言っている。

▼田母神論文「我が国が侵略国家だったというのは正に濡れ衣」
秦「田母神論文は前の方で、[よその国がやったから日本もやっていいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない]と書いている。そこはその通りだと思う。しかし、日本も他の国も侵略国家だったとすると、論理があわなくなるのではないか」

▼全体を通じて
秦「論文というより感想文に近い、全体として稚拙と評せざるをえない。結論はさておき、その根拠となる事実が誤認だらけで、論理性もない」
保阪「かつて兵士達が生還していろいろなことを知ったとき、[日本もむちゃをやった]と素朴な感慨を持った。われわれはそこからスタートしている。昔の日本に批判的なことを[自虐史観]というが、[自省史観]が必要なのだ。(中略)歴史を誇るのであれば、事実に謙虚でなければ」

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【関連記事】
参議院インターネット審議中継(田母神氏の参考人承知は11月11日)
幕僚長の論文発表 まったく問題なしが46%

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山口一臣氏(週刊朝日編集長)
「与野党が合意してTV中継をしなかった」(11/12)

11日、侵略戦争を否定する論文を発表して、更迭された田母神俊雄前航空幕僚長に対する参考人質疑が行われました。私はインターネット中継で見ようとしたんですが、アクセスが集中していたために見られなかった。そもそも、なぜTV中継をしなかったのか。どうやら、「日本は侵略国家じゃなかった」という説を電波を使って流すのはマズイということで、与野党が合意して決めたというのです。いくらトンデモ言説だといっても、世間から高い注目を集めているわけですから、田母神氏はこういう考えの人なんだということを世間に知らしめる意味で中継すべきだったと思います。

今回の騒動には論文の中身よりも大きな問題が隠されています。詳しくは今週発売の週刊朝日(11月11日号)を読んでもらいたいのですが、この懸賞論文を主催しているのは、アパグループというホテル・マンション経営の会社で、懸賞論文コンテストの応募総数235人のうち、わかっているだけで94人が航空自衛隊からの応募でした。これは、どう考えても異常な数字と言えます。ご存知の通り、田母神氏はこのコンテストで最優秀賞を受賞して、賞金300万円やホテルの宿泊券などを受け取ったそうです。さらに色々調べてみると、このアパグループ代表の元谷外志雄氏は、田母神氏ときわめて親密な関係であることがわかってきた。少しうがった見方かもしれませんが、航空自衛隊制服組のトップだった自分と仲のよい会社が主催する懸賞論文に応募して、300万円をいただくというのは、見返りだったと疑われても仕方がありません。昨日行われた参考人招致では、その辺のところをあまり踏み込んでいませんでしたから、今後、追及していきたいと考えています。

2008年11月11日

韓国大統領が「日中韓単一通貨」を提唱

毎日新聞が韓国の朝鮮日報、英国のタイムズと3社共同で韓国の李明博大統領と会見して、それを今朝の1面トップで報じ、外信面と経済面で解説を加え、さらに11面で会見詳細を載せるという大張り切りの誌面作りである。内容はそれほど面白くもないが、注目されるのは、李が金融危機に関連して「日中韓3カ国が単一通貨に合意すれば、アジアに広げるのは難しくないだろう」と述べたことである。ドルが揺らぎながらもユーロなど他の主要通貨も下落する中で円だけが独歩高という今こそ、日本がこういう大きな展望を打ち出す時だが、韓国に先を越されてしまった。その部分の全文は次の通り。

「アジア通貨問題については、ドルの世界的な地位が低下したので、ユーロのような単一通貨が必要だ。欧州連合をみると難しい危機を乗り越えて単一通貨が実現した。韓中日が単一通貨に合意すれば、アジアに広げるのは難しくないだろう。これから時間はかかるだろうが、日本の役割が大きいと考える」

ズルズルと下がり続ける麻生内閣支持率

共同通信が8~9日に行った世論調査で、麻生内閣の支持率は10月中旬の前回に比べて1.6ポイント減って40.9%、不支持率は3.2ポイント増えて42.2%で、内閣発足後初めて不支持が支持を上回った。また朝日新聞が同時に行った調査でも、支持率は10月下旬の前回に比べて4ポイント減の37%、不支持は3ポイント増の41%で、支持・不支持が逆転した。

不人気の大きな要因になっているのは、麻生太郎首相が追加経済対策の目玉に使用としている「定額給付金」総額2兆円のバラマキのようで、共同通信ではそれを「評価する」が31.4%に対して「評価しない」が58.1%にのぼった。また朝日では、「必要な政策だと思う」の26%に対して「必要ではない」が 63%に達した。1世帯当たり何万円だかの1回限りのはした金を配 れば人気が上がるだろうという麻生の考え方に、多くの国民が「馬鹿にするな」「もうちょっとマシなことを考えられないのか」と 思っていることが窺える。
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30代男性
「僕は騙されない」(11/11)

現在、妻と2歳の子どもと3人で生活をしていますが、政府の提案だともらえる金額は4万円以上になるそうです。けど、3年後には消費税が上がるんですよね。僕は騙されません。もらったお金は全て貯金にまわると思います。後で増税になることがわかってて、そのお金を使う人なんているんですかね。パチンコなどのギャンブルが好きな人ぐらいじゃないですか、もらったお金を全部使う人なんて。

2008年11月10日

失言なくとも訂正発言満載 麻生語録

べらんめえ口調でいつでも本音トークが持ち味の麻生首相だが、そのイメージとは裏腹に発言の微調整が相次いでいる。文藝春秋で解散宣言を行った後に後日訂正をしたことを手はじめに、集団的自衛権、消費税、定額給付金に関する発言でも訂正が相次いでいる。

「細かい部分は気にしない性格」と言えば聞こえもいいが、現実には弱小派閥出身ゆえの党内基盤の弱さが主な原因。また、官邸がまだ完全に機能しておらず、調整機能が発揮できていないとの指摘もある。すでにグラグラの麻生丸は、これから年末の“荒れる”国会を乗り切ることができるのだろうか。

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小沢一郎が民主党代表を辞任か

「小沢は総理大臣の激務に耐えられない」「いや、その前に総選挙まで持たないのではないか」
いま、永田町内の一番の関心ごとは、小沢一郎の体調不良説だ。心臓に持病を抱えていることはすでに周知の事実だが、10月7日~13日まで風邪をこじらせて入院、23日にはインドのシン首相との会談を欠席するなど、体調面での不安があらためて心配されはじめているのだ。
仮病説から重病説まで流れる小沢氏の心臓病。政権交代が実現したとしても、首相になることはできるのか。

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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「代表を辞める可能性も」(11/10)

総選挙が来年に延期されたことが確実となったいま、これは私の独断と推測だが、小沢氏は民主党の代表を辞める可能性も出てきた。

いまの体調では総理大臣は務まらない。総理大臣が「午後は不在です」などということは不可能で、それは何よりも本人がよくわかっているはずだ。となると、選挙の前に代表を退き、議員辞職する可能性もあるのではないか。

民主党に新しい代表が出れば、今の「小沢vs麻生」という対決構図も変わる。代表が変われば、民主党の国会戦術も変わるだろう。いろんな変化が複雑怪奇に起きるのは間違いない。

どの新聞も怖いから書かないが、現場の新聞記者のほとんどが、小沢氏の辞任の可能性について語っている。

2008年11月 8日

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/8)

■11月8日(土) 風に吹かれて

 東京に戻って、筑紫さんのご自宅へ。さまざまな感慨を抱きながら安眠された筑紫さんと再会した。ここではこれ以上記すことをやめる。この短期集中連載は、オバマ新大統領誕生に向けたアメリカからの報告であったはずなのだから。
 2009年1月20日の大統領就任式に向けて、さまざまな動きがみてとれる。大きな政治地図の塗り替えが起こる時、アメリカでも例外なく、人々は勝ち馬に乗る。勝者を讃える。勝者にすり寄る。彼らのその「転向」ぶりには、恥とか裏切りの概念などこれまで一度ももったことがないような錯覚さえ覚えてしまう。旅先の東京で読むNYタイムズでその一端を知る。オバマが反米的だなどと批判し続けていたミネソタ州選出の共和党上院議員のバックマンが、一転してオバマを讃えている。民主党を抜けてマケイン支持キャンペーンの中心人物となったジョー・リーバーマン上院議員も然り。副大統領候補のあのサラ・ペイリン・アラスカ州知事は「God bless Barack Obama and his beautiful family.」と言ってのける。NYタイムズはそのありようを「むちうち症を引き起こすくらい、極端な選挙以前と以降での変わりぶり」と皮肉っている。「誰も歴史の間違った側にはされたくない」(They don’t want to be on the wrong side of history.)という学者の分析も紹介されている。
驚いたことに、オバマ攻撃の急先鋒だった右派トーク・ラジオのホストまでが、オバマ側に寝返るような発言をし出している。ラッシュ・リンボウと並ぶ右翼トーク・ラジオの女性代表格のローラ・イングラハムが、「オバマは歴史をつくった。今は彼を中傷する時ではない」などと。ええっ? そう言えば彼女は、ブッシュを批判したカントリー歌手グループ、ディクシー・チックスをこれでもかとばかり批判し続けていた。僕はそのストーリーを過去に取材をしたことがあるが、まあ、あきれてあいた口がふさがらないとは、こういうことを言うのだろう。
 風に吹かれて。僕らは何度ことばを翻せば、言葉の重みを知るのだろう? 僕らは何度、強者にすり寄れば、弱者・少数者の記憶を獲得できるのだろう? 僕らは何人の死者と対面すれば、その死者の言いたかった本当のメッセージに辿りつけるのだろう?
 
 読者の皆様。ちょうど20回に及んだ米大統領選の集中連載はいったんここで閉じます。また、別の登場を考えます。それまで。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/7 合掌。
■11/6 7100万人がテレビの大統領選挙特番をみていた
■11/5 オバマからのメール
■11/4 歴史的な一日に立ち会う
■11/3 Tomorrow is a new day.(明日は明日の風が吹く)
■11/2 激戦州のゆくえと「社会主義」
■11/1 この熱気はただものではない
■10/31 そして、最後は「反ユダヤ=親パレスチナ→ネオ・ナチ」?
■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
■10/29 「社会主義者の次は秘密共産党員?」
■10/28 プライムタイムに30分の選挙CMを買ったオバマ
■10/27 度し難い女性がいる。もちろん度し難い男も
■10/26 新聞社が社説でどの候補者を支持するかを表明すること
■10/25 笑いのめすチカラ・その2
■10/24 笑いのめすチカラ
■10/23 ペイリンの選挙用服装は15万ドル(=1500万円あまり)
■10/22 文化・芸術・芸能は圧倒的にオバマ支持
■10/21 「アカ」とか「邪教」というレッテル貼り
■10/20 オバマが優勢なのだけれど

「NEWS23」元メーンキャスターの筑紫哲也氏が死去

ニュースキャスターで元新聞記者の筑紫哲也(ちくし・てつや)氏が7日、肺がんのため、死去した。73歳。筑紫氏は、07年5月、TBSの報道番組「筑紫哲也NEWS23」の放送中に、自ら肺がんであることを告白。後藤謙次・元共同通信編集局長に後継を託し、闘病生活に入っていた。

■WEB多事争論
http://www.taji-so.com/

2008年11月 7日

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/7)

■11月7日(金) 合掌。

 NYと東京の時差は冬時間になった今は14時間。その時刻に僕は『沖縄タイムス』のための記事を書いていた。Yes We Can。オバマの勝利演説から勇気を奮い起されたこと。言葉のちからを信じること。その同じ時刻に筑紫哲也さんは息を引き取った。新しく生まれた人をウォッチするサイトで、去り逝くひとを送る。とてもとても残念で悔しい。そして心から言いたい。筑紫さん、安らかにお眠りください。僕たちにテレビニュースがこんなにもやりがいのある仕事なんだということを教えてくれたことに、こころの底から、ありがとうございます。筑紫さんの遺志は、こころある人々が必ず引き継ぎます。どのような困難と妨害があろうとも。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/6 7100万人がテレビの大統領選挙特番をみていた
■11/5 オバマからのメール
■11/4 歴史的な一日に立ち会う
■11/3 Tomorrow is a new day.(明日は明日の風が吹く)
■11/2 激戦州のゆくえと「社会主義」
■11/1 この熱気はただものではない
■10/31 そして、最後は「反ユダヤ=親パレスチナ→ネオ・ナチ」?
■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
■10/29 「社会主義者の次は秘密共産党員?」
■10/28 プライムタイムに30分の選挙CMを買ったオバマ
■10/27 度し難い女性がいる。もちろん度し難い男も
■10/26 新聞社が社説でどの候補者を支持するかを表明すること
■10/25 笑いのめすチカラ・その2
■10/24 笑いのめすチカラ
■10/23 ペイリンの選挙用服装は15万ドル(=1500万円あまり)
■10/22 文化・芸術・芸能は圧倒的にオバマ支持
■10/21 「アカ」とか「邪教」というレッテル貼り
■10/20 オバマが優勢なのだけれど

2008年11月 6日

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/6)

■11月6日(木) 7100万人がテレビの大統領選挙特番をみていた

 オバマ政権の輪郭づくりが始まった。ラム・エマニュエル下院議員が首席補佐官に決まったのをはじめ、ABCによれば、デイビッド・アクセルロッドがオバマ大統領の上級顧問になるという。アクセルロッドは、オバマ陣営の戦略ブレイン。国務長官には、スーザン・ライスのほかに、何とジョン・ケリーの名前が囁かれたり、あるいは国防長官にコリン・パウエルとかの名前も出ているそうだ。まあ、これらはブログ上の噂なのであてにはならないけれど。
 さて、おとといのオバマ大統領誕生が決まった選挙特別番組をテレビでみていた人の数は、何と7100万人にも達していたのだという。2000年の6160万人、2004年の5920万人をはるかにしのぐ数字で国民の関心の高さがうかがえる。激しい数字競争を繰り広げているアメリカのテレビ報道の世界で、当夜の午後8時から11時までのあいだ、最もチャンネルを合わせられていたのは、①ABCで8.0%、続いて②NBCが7.2%、③CNNが6.7%、④FOXNEWSが5.2%、⑤CBSは4.8%、⑥MSNBは3.2%だったそうだ。一方、インターネットで結果をチェックした人の数も選挙当日に激増し、CNNのデジタルネットワークへは1284万人余り、MSNBCへは1211万人あまりと、倍増以上の勢いだったそうだ。オバマ陣営のインターネット対応は、マケイン陣営の追随を許さない勢いだったようで、両者のホームページへの投票日当日の個人アクセス数は、オバマHPへは121万人、マケインのHPへは47万9千人と大きく差が開いている。ついでに書けば、当選確実の第一報を報じたのは、テレビやラジオや通信社ではなくて、人気ブログHuffington Postだったと自画自賛している記事があった。CNNの1時間以上も前だそうだ。アメリカの様子をみていると、日本の選挙報道も近未来に速報自体の意味が変わってくるのかもしれないとの予感がする。(http://www.news.com.au/technology/story/0,25642,24606384-5014239,00.html
 アリアナ・ハフィントンがまとめ風に記している今回の大統領選挙の「勝者」「敗者」は面白い。いわく、「勝者」:オバマ・キャンペーンの責任者The Davids - Axelrod and Plouffe組。CBSのイブニングニュースのキャスター、ケイティー・クーリック(彼女のサラ・ペイリンへの連続インタビューで流れが変わった)、ミシェル・オバマ夫人。「敗者」:民主党から転じてマケインを応援したジョー・リーバーマン上院議員。落選したリディ・ドール上院議員。Joe the Plumber(配管工のジョー)。なるほどね。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/5 オバマからのメール
■11/4 歴史的な一日に立ち会う
■11/3 Tomorrow is a new day.(明日は明日の風が吹く)
■11/2 激戦州のゆくえと「社会主義」
■11/1 この熱気はただものではない
■10/31 そして、最後は「反ユダヤ=親パレスチナ→ネオ・ナチ」?
■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
■10/29 「社会主義者の次は秘密共産党員?」
■10/28 プライムタイムに30分の選挙CMを買ったオバマ
■10/27 度し難い女性がいる。もちろん度し難い男も
■10/26 新聞社が社説でどの候補者を支持するかを表明すること
■10/25 笑いのめすチカラ・その2
■10/24 笑いのめすチカラ
■10/23 ペイリンの選挙用服装は15万ドル(=1500万円あまり)
■10/22 文化・芸術・芸能は圧倒的にオバマ支持
■10/21 「アカ」とか「邪教」というレッテル貼り
■10/20 オバマが優勢なのだけれど

オバマが歴史を変えた

アフリカ系アメリカ人として初の米大統領となったオバマ氏は、課せられたその責任の重さでも米国歴代大統領の中でも間違いなくトップクラスだろう。泥沼化するイラク戦争、環境・エネルギー問題、世界金融危機と進行するリセッション(景気後退)。大統領選で勝敗を分けた要因、そこから見えるアメリカの現状、そして早くも試練に立たされるオバマ政権の行方とは──

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【コメント】
■辺真一:日本は拉致問題でハードルを下げざるを得ない
■田原総一朗:アメリカ人は乗り越えた
■高野孟:ネット活用の差がオバマ圧勝の一因だった!
■渡部恒雄:G7緊急サミットに出席する可能性も
■若林秀樹:オバマ新大統領の誕生は新たな歴史の転換点

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【関連記事】
■オバマ氏の勝利演説(英文テキスト付)
■オバマ氏勝利演説日本語訳全文(asahi.com)
■オバマ氏のスピーチライターは26歳

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辺真一氏(コリアレポート編集長)
「日本は拉致問題でハードルを下げざるを得ない」(11/8)

オバマ氏の大統領就任は、米国がクリントン政権時代の北朝鮮政策に戻る事を意味しています。もし、2000年の大統領選挙で後継者のゴアがブッシュに負けていなければ、クリントンが平壌を訪問して金正日と首脳会談をする予定でした。それが選挙に負けたことで流れてしまった。

訪朝目的のひとつは、テポドンミサイルの開発を止めることでした。98年8月に北朝鮮が日本に向けてテポドンミサイルを発射し、核に続いて次はミサイルが問題となった。金正日総書記も会談は望むところで、当然、国交正常化、米朝首脳会談が実現するはずでした。

8年後の今日、クリントン政権の北朝鮮政策を継承するオバマ候補が当選したことで、来年は米朝間で国交正常化を視野に入れた会談が行われることが予想されます。

一般的に知られていませんが、北朝鮮は国交正常化と平和協定の見返りとして在韓米軍を容認することを考えています。これは米国にとって非常に魅力的です。

クリントン政権時代のオルブライト国務長官が、2000年10月に平壌を訪問したときに金正日総書記と会談し、もし米朝が敵対関係から友好関係になった場合は在韓米軍について撤退を口にしないという発言を得ました。実は、今年の4月に元国務省次官補や米国を代表する朝鮮問題専門学者ら8名が参加した米国の民間代表団が平壌を訪問しました。そのときにも、北朝鮮の軍人が8年前と同じように在韓米軍が北朝鮮をターゲットにしていないのなら、我々は容認する用意があると発言しています。この北朝鮮の軍人は10月初旬に平壌を訪問したヒル次官補との会談にも出席している人物です。おそらく来年は核問題、平和協定の締結問題、国交正常化の問題などを包括的にパッケージにする形で米国と北朝鮮が劇的に和解をする可能性が高いでしょう。

米朝が接近して国交正常化に向けて動き出すと、日本は「拉致問題解決なくして国交正常化はない」という看板をいつまでも掲げていられなくなります。すでに、小泉元総理も「国交正常化なくして拉致問題解決はない」と親しい政治家たちに語り始めていて、日本は対北朝鮮政策の変更を余儀なくされるかもしれません。

近い将来、日本は「拉致問題の進展なくして国交正常化はない」と” 解決”から”進展”にハードルを下げざるを得ないだろうと思います。

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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「アメリカ人は乗り越えた」(11/7)

アメリカの新聞やテレビも、オバマ氏が白人でないことが最後の最後に障壁になるのではと報道していたが、結果的にアメリカ人はそこを乗り超えてしまった。

言うまでもなく、アメリカの人種差別は長い歴史を持っている。私がはじめてアメリカ取材に行った1974年ごろは、黒人と白人でバスの入口が違っていた。また、当時のアメリカのオリンピック選手には、陸上には素晴らしい黒人選手がたくさんいたが、水泳にはいなかった。つまり、プールに入れないから練習もできなかった。たった三十数年前にそういう問題が露骨にあったのだ。

それをアメリカ人は乗り越えた。仮に予備選で敗れたヒラリー氏が大統領になっていても女性初の大統領だったが、女性初を超えて黒人を大統領に選んだ。アメリカ人というのは民主主義が骨の髄まで染み込んでいるということをあらためて感じた。

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高野孟氏(THE JOURNAL 主幹)
「ネット活用の差がオバマ圧勝の一因だった!」(11/6)

金平氏も触れているが、オバマ陣営のインターネットや携帯メールの徹底活用作戦が、予想を超えるほどの圧勝の大きな要因の1つであったことは間違いない。5日付インタナショナル・ヘラルド・トリビューン(NYタイムズ国際版)でアダム・ナゴアニー記者は要旨次のように書いている。

「08年の選挙戦は米国における大統領選の戦われ方を根っこからひっくり返した。それは、いかにして有権者に近づき、資金を募り、支持者を組織化し、ニュースメディアを巧く動かし、そして政治的攻撃を仕掛けたりそれに対抗したりする場合のルールを書き換えてしまった。政治的攻撃やそれへの反論の多くはブログを通じて行われたが、それは4年前には存在していなかった。そのようなやり方で民主党が、アフリカ系米国人やヒスパニックや若い有権者を掘り起こして選挙人登録させ投票に向かわせる努力を追求したことで、伝統的に共和党の砦となってきた州でも接戦ないし逆転が演じられることになった。オバマ陣営がインターネット(やその他のいわゆるニューメディア)を理解し活用しようとしたことが、もはや新聞やテレビから情報を得ようとしない支持者を組織したりそのような有権者に手を届かせることを可能にした。これも4年前には存在していなかったユーチューブや、携帯電話によるメールなどの新しいプラットフォームを通じて、月曜日には、すべての支持者に、明日は投票に行くことを忘れないようにとのメッセージが届けられた」

結局、NYタイムズやワシントンポストやLAタイムズなど大手新聞もこぞってオバマ支持に回ったが、それは最終盤でのことであって、そこまでの状況を1年がかりで作っていったのはネットを通じての粘り強い無党派どころか、そうでなければ投票所に向かわなかったであろう人々の徹底的な掘り起こしであったのだ。

6日付読売によると、この作戦の指揮官は、オバマ陣営の顧問に迎えられた、ネット交流サービス大手「フェースブック」の創設者だった。 Wikipediaによると、フェースブックはSNSの一種だが、当初は米国の各大学単位でセミ・クローズドに学生を組織化する形で04年に始まり、06 年からは高校生や一般の人にも開放されて前年比400%増というような爆発的な拡大を見せ、07年9月時点で4350万人の訪問者(ユニークユーザー=ある人がサイトを訪れていくつものページを開いても1人と数える、サイトの人気度を測る方式の単位)を誇った。SNSの始祖とも言える「マイスペース」と比肩する勢力である。その創設者とは、当時ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグである。フェースブックは、PCだけでなく携帯端末にも対応しており、彼のアイディアで陣営のネット活用大作戦が展開されたのだろう。

フェースブック日本版:
http://ja-jp.facebook.com/

NIKKEI-NET「米で最も注目を浴びるネット企業フェースブックの正体」:
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT2E000013052008

インターネットの政治的そして選挙活動への活用は、もちろん今に始まったことではない。米国でインターネットが民間開放されたのは90年で、92 年のクリントンが登場した大統領選でどうだったのかは記憶がないが、その後96年以降前回までの3回の選挙ではウェブサイトを通じての自由な言論やEメールを用いた動員などはいろいろな形で追求されてきた。が、上記ナゴアニー記者が言うように、ネット上のブログやユーチューブの動画、それに携帯メールまでがフル動員されたのは今回が初めてで、そこにオバマ登場の別の意味の斬新さがある。今後、このことの意味は主に米メディアで大いに議論になると思われるので、今から注目しておきたい。

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渡部恒雄氏(戦略国際問題研究所非常勤研究員)
「G7緊急サミットに出席する可能性も」(11/6)

黒人であるオバマ大統領の誕生は米国の歴史にはっきりと記録される出来事であり、世界にとっても大きな変化だ。アメリカの経済・軍事力の圧倒的な優位が崩れ、多極化が進む中、米国民は大きな転換と希望を求めた。おそらく平時ではオバマは選ばれなかった。オバマ陣営のキーワード「チェンジ」は、危機に際して、現状からの変化を求めるものだった。

依然として危機的状況が続く世界の金融の安定化のために、今後、オバマは新しい財務長官を早急に指名することが予想される。そして、ポールソン財務長官と指名された新しい財務長官、そしてオバマ自身も11月15日にワシントンで開かれるG7緊急サミットに出席する可能性もある。この問題が米国と世界が間髪をいれずに取り組むべき緊急の課題だからだ。

■日米関係はどうなるか
ブッシュ政権ほど日本の事情を理解して日本との同盟を重視した米国の政権は存在しなかった。オバマ政権になったから「ジャパン・パッシング」されるというのは正しい認識ではない。基本的には普通の米国の政権では、日本が自ら積極的に何かを働きかけなければパッシングされる。あたりまえのことだが、オバマ政権下での日米関係を決めるのは日本次第ということだ。

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若林秀樹氏(戦略国際問題研究所 客員研究員)
「オバマ新大統領の誕生は新たな歴史の転換点」(11/6)

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新たな歴史の1ページが加わりました。初の黒人大統領の誕生です。ワシントンDCの市内でも、深夜までオバマ新大統領の誕生を祝い、歓喜に酔う人々であふれ、5日の朝刊は、どこでも歴史に残る記念すべき日の新聞を確保しようと、売店は長蛇の列となり、売り切れ続出でした。

選挙結果は、蓋を開けてみれば何の波乱もなく、ほぼ世論調査通り。しかし色々な意味で新たな米国政治の変化を感じるものでした。自分が所属するCSISのヘムリ所長は、この選挙は過去の人種問題等の歴史を乗り越え、未来に向けて走り出そうとする「アメリカの勝利」だとたたえました。

一時指摘されたブラッドレー効果(世論調査と結果とのギャップ)も選挙結果を見るかぎり、その影響は軽微であったと考えられます。最終的にオバマは選挙人の数でマケインを圧倒し、上下院議員選挙でも民主党が議席を伸ばしました。これにより民主党は、少なくとも次の2010年中間選挙まで、政権と議会共に強力な安定基盤を固めたことになり、オバマ政権の誕生は、政策的にもレーガン政権以来続いた「新自由主義」からの大きな転換点になるかもしれません。

今回の大統領選のターニングポイントは、何と言っても、1月3日、オバマが最初に開かれたアイオワ州での予備選挙で勝利したことです。当初は誰もがヒラリー上院議員の民主党大統領候補を予想し、ヒラリー陣営は最初のターゲットを2月5日の多くの州で予備選挙(もしく党員集会)が開催されるスーパーチューズデーにかけたのです。しかしそれが戦略の誤りでした。オバマは背水の陣で臨んだアイオワ州の予備選挙に勝利して勢いをつかみ、途中での支持率の変動はありましたが、本選挙の最後までその勢いは衰えることなく、安定して勝利を勝ち取ったと言えましょう。

とりあえずのマケインの敗因としては、(1)経済問題、(2)ぺイリン副大統領候補の選択、(3)行き過ぎた個人攻撃、(4)選挙戦略の差が挙げられます。すでにブッシュ共和党政権が8年間続き、「アメリカが悪い報告に向かっている」という人が常に国民の7,8割に達し、「ブッシュ大統領に対する支持率が3割前後」という世論調査を引き合いに出すまでもなく、国民は今の流れを選挙で変えたいという思いが一貫して強かったのです。その意味において、マケインがどれだけ「一匹狼」だと言ってブッシュ大統領と距離を置こうと努力してみても、この底流に流れている強い逆風を変えることは至難の業でした。そして、その上に9月からの金融・経済危機がおおいかぶさり、政権党の候補であるマケインには、さらに大逆風となったのです。

今の経済情勢は、マケインに一義的な責任があるわけではなく、ある意味では不運だったとも言えます。しかし彼の最大の失点は、9月15日、リーマンブラザースの破たんが決まり、金融危機の入口に差し掛かった時に「米国経済は依然として強い(the fundamentals of our economy are strong)と発言し、「経済を知らない」、「国民の経済感覚とは距離がある」と批判され、有権者の間にもそのイメージが浸透したことです。マケインは直ぐに発言の誤りを認め、最終的に経済政策ではかなり挽回しましたが、必ずしもこの逆風を変えるまでには至りませんでした。

そして本人の最大の判断ミスは、副大統領候補にペイリン州知事を選んだことです。マケイン自身は、一匹狼として党派を超える支持を得る戦略で闘っていましたが、保守票を固めるために超保守派のペイリンを選び、保守層のみならず、新鮮で若い女性候補によりヒラリー支持層等まで獲得しようと目論んだのです。確かに一時的には支持率でオバマを逆転するまでに至りましたが、ぺイリン効果は一時的なものにすぎないことは明らかでした。マケインンはオバマに対して経験がないと批判しておきながら、もっと(外交)経験がないぺイリンを選んだことは自己矛盾となり、ペイリンの経験の無さが時間の経過とともに露呈したのです。副大統領はいつでも大統領に代わって国政と軍を指揮しなくてはならず、ペイリンに大統領の資質がないことは多くの人の目に明らかでした。

そして3点目が行きすぎた個人攻撃です。アメリカでは、「ネガティブ・キャンペーン」という相手候補の批判をすることは日常茶飯事ですが、ある一線を超えると必ずしも効果的では無く、マケインは最後までオバマの中傷批判を執拗に繰り返し、かえって逆効果ではなかったかと思われます。

そして見逃してはならないのは、オバマの選挙戦略と資金力です。まずインターネットと電子メールを駆使して、多くの若者や関心の薄かった有権者の引き込み、草の根の選挙運動を展開しました。結果として、小口の個人献金で多額の選挙資金を獲得し、潤沢な資金力で多くの選挙事務所を構え、テレビコマーシャルを頻繁に流すことができたのです。

いずれにせよ、歴史的なオバマ大統領の誕生に国民の期待は高く、一方で対処すべき課題は山積しています。次の大統領選まで4年間の時間が与えられることになりますが、この歴史を切り開いた政権交代によるアメリカ社会の復元力に期待したいと思います。

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2008年11月 5日

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/5)

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↑勝利演説をするオバマ(オバマ公式HP動画より)

■11月5日(水) オバマからのメール

一夜あけてから(と言っても1時間半の仮眠の後でだけれど)、きのうという日がこの国にとってどれだけ大きな意味をもっていたのかがじわじわと伝わってくる。こちらの新聞をみたら、『ワシントン・ポスト』紙、『USAトゥデー』紙、『ウォール・ストリート・ジャーナル』などにHistory、Historicという文字が見出しに踊っている。 「Obama Makes History」という見出しがすぐに目に入ってきた。昨夜のシカゴでの勝利集会でのスピーチが行われる前に、オバマ選対はバラク・オバマの名前で、支持者に感謝のメールを送ってきていた。HPに登録した人間ならだれにでも送られてくる。僕のアドレスにも送られてきていた。そこでも「我々はまさに歴史をつくったのだ」という文言があった。こういうところが(そのタイミングと中身のスマートさ)、今回のオバマ陣営のインターネット対応型戦術のとてもすぐれたところだと思う。これがマケインからのメールだったら、迷惑メール扱いされかねないものなあ。
午前中に、ブッシュのお祝いスピーチ、それに加えて何と、午前11時半からは、ライス国務長官の大統領選挙の結果に対する「個人的な見解」の発表があった。ライスは「アフリカ系アメリカ人の一人として、メチャ誇らしい」(As an African-American, I'm especially proud.)などと瞳を濡らしながらオバマ大統領の選出を祝福していたが、何だかすべてが勝ち馬に乗ってきている(switch to the winning side)ような気がして、どこの国、どこの人間集団も同じだな、と思えた。
http://www.huffingtonpost.com/2008/11/05/rice-congratulates-obama_n_141414.html
 オバマ新政権がどのような顔ぶれになるのか、1月20日の大統領就任式まで、実質2か月。何人かの側近の名前があがり始めている。オバマの地元のラム・エマニュエル下院議員が首席補佐官候補だとか、ロバート・ケネディ・ジュニアが環境長官になればいいとか、スーザン・ライス女史が外交分野のポジションにつくとか、自薦他薦含めての情報があがっていきている。急務になっているのは、財務長官が誰になるのかだという。ジョン・コージン・ニュージャージー州知事、サマーズ元財務長官、ルービン元財務長官(ともにクリントン政権時代)らの名前が取りざたされているが、どうなるのか。この分野の知識に欠けているので何も言えない。今後、ホワイトハウスの変容がどのように進むのかは見ものだ。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/4 歴史的な一日に立ち会う
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■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
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■10/20 オバマが優勢なのだけれど

民主党オバマ氏が新大統領に

アメリカ時間4日に投開票が行われたアメリカ大統領選挙で、民主党のオバマ候補が勝敗の鍵となるオハイオ州、バージニア州などを制し、獲得選挙人の過半数である270人を突破したことで当選が確実となった。

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【関連記事】
■CNN速報
■「米国に変化が訪れた」 オバマ氏が地元シカゴで勝利演説(CNN)
■金平茂紀のカウントダウン大統領選
■オバマ氏のスピーチライターは26歳
■オバマ氏の演説が歌になった

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金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/4)

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IMG_0941.JPG
1)タイムズ・スクエアのイルミネーション 2)ロックフェラーセンター
3)ハーレムに繰り出した人々

■11月4日(火) 歴史的な一日に立ち会う

 アメリカの歴史のうえで、今日11月4日という日は忘れられない日となるのかどうか。今日はさすがに僕も忙しいので、このカウントダウン日誌も時間をみて細切れ的に書き継いでいくしかない。
 今は午後5時前だが、断片的に入ってくる情報は、オバマの優勢を覆すまでの材料はない。
 午後7時45分。出口調査の結果が入ってきた。これはオバマの圧勝を示す兆しが濃厚だ。数十万人の聴衆がシカゴの集会に集まる可能性があるという。
 NY時間の午後11時から始まるCS特番のための準備をしていて、ジェラルド・カーティス教授と青木富貴子さんと打ち合わせをしながら開票状況をみていたら、10時50分くらいの時刻に、どうやらCBSの予測で、283人の選挙人をオバマが獲得しそうだという情報が入ってきた。いよいよだ! それで、1階にあるスタジオに座るやいなや、CBSがオバマをコールした! オバマが次期大統領に当選を決めた! こんな歴史的な一報を伝えられるとは何という幸運だろうか。1776年の建国以来、アメリカで初の黒人大統領の誕生である。第44代大統領にバラク・オバマ候補が当選を確実にした。
    (この間、2時間あまり中断)
 生番組を流しているあいだに、まずマケイン候補の敗北宣言(Concession Speech)が行われ、続いて、こちら時間の午前0時に、シカゴの屋外集会にオバマは姿を現して勝利宣言を行った。演説は、アメリカン・ドリームの再興を呼びかける感動的な内容で、マーティン・ルーサー・キング牧師の「I Have A Dream」演説に匹敵するような、いわば「Yes,We Can」演説とでも言えるような歴史的な演説だった。
 今は日付が変わって、午前3時になってしまったが、NYの町には祝福する人々が繰り出して大変な人出になっている。歴史的な一日に立ち会った興奮が続く。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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■11/2 激戦州のゆくえと「社会主義」
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■10/20 オバマが優勢なのだけれど

2008年11月 4日

勝利が確実でも喜んではいられないオバマ――米帝国崩壊という現実にどう対処するのか?

 オバマ候補の勝利はもはや確実で、しかも雪崩的な圧勝になる可能性が大きいが、彼にはそれを喜んでいる暇はない。次期米大統領が直面するのは、史上最強の帝国が軍事・外交と金融の両面で目に見えて崩壊し始めたという空前絶後の大惨事である。単に「チェンジ!」と叫んで現状を何とかしたいと思っている米国民の感情に訴えるのは、選挙戦術としてはそれでいいけれども、明日から彼に問われるのは、そのチェンジはどこへ向かってのチェンジなのかを指し示す力強い哲学と理念であり、またイラクやアフガニスタンの馬鹿げた戦争を終わらせ世界金融危機に歯止めをかけて全世界からの信頼を回復するための具体的な戦略と行動計画である。どんな優れた指導者でも、こんな時期に米国の大統領に就きたいとは思わないに違いないが、オバマはそんな不安などおくびにも出さずに、強くて頼りになる大統領を演じ続けなければならないという悲劇的宿命を負っている。

●すべてはブッシュのせい

 オバマがこんな米国を引き受けなければならなくなったのも、すべてはブッシュ大統領のせいである。日本経済新聞の岡部直明主幹は3日付同紙の特集「検証・ブッシュ政権の8年」でこう述べている。

「ブッシュ米大統領は第2次大戦後の“超大国・米国”の時代を終わらせた大統領として歴史に名を刻まれるだろう。覇権国家のリーダーとして振る舞ったイラク戦争では国際信認を損ない、米国の分裂を招いた。米国初の金融危機は大恐慌以来のグローバル危機に波及した。ブッシュ時代は世界を混迷に陥れた8年というしかない」

 本当のことを言うと、ブッシュの間違いは先々代のブッシュ父にまで遡る。ブッシュ父がゴルバチョフ=ソ連大統領と語らって米ソ冷戦を終結させたのは偉大な功績だが、彼の致命的な間違いは、その歴史的転換に「米国は冷戦という第3次世界大戦に勝利し、今や“唯一超大国”となった」という誤ったイメージを抱き、現実に「ソ連がいなくなったのだから米国の軍事力を以てすればどんなことでも押し通せる」とばかり湾岸戦争を発動したことである。 INSIDERがその当時から一貫して指摘してきたように、“唯一超大国”という言葉自体が自家撞着的であって、米国も旧ソ連も、お互いに相手があればこそ超大国であったのであり、冷戦が終わってしまえばそれぞれにに“超”のつかないただの“大国”に軟着陸的に回帰するしかないはずだった。

 それは、THE JOURNAL10月31日付の朝日新聞からの引用で仏知識人エマニュエル・トッドが経済面から言っている「「皮肉なことに、資本主義がより優れたシステムだというのは、共産主義が存在している限りでの話だ。てんびんの反対側の重しだったソ連が崩壊し、市場原理を制御していたすべてが取り払われてしまったために、世界は極めてばかげた道を歩んだ。資本主義の悪い面ばかりが残った」と完全にパラレルなことである。軍事・外交面でも金融面でも、旧ソ連がいなくなって「我が世の春」だと錯覚した米国が、単なる“大国”に軟着陸するという血の出るような努力を怠って逆方向に暴走した結果、現在の硬着陸的な破滅を招いたのである。ブッシュ息子の愚鈍の罪は大きいが、それは父の“唯一超大国”という幻想的な自国イメージを単独行動主義や先制攻撃論といった実際の外交戦略として具現化しようとしたことにあるのであって、元はと言えば父の間違いの上塗りと言える。

●オバマはどこまで時計を巻き戻す?

 そうしてみると、ブッシュ親子2代が犯した間違いを正すのがオバマの役目ということになる。

 いや、途中にクリントンの8年間が挟まっていて、彼はそれなりに(というか中途半端に)ブッシュ父の冷戦思考の惰性を軌道修正しようと努力はした。冷戦時代の米国が戦争と石油を支配基盤とした覇権国家であったのに対して、クリントンはITと金融で世界をリードすることを構想し、そのIT分野には冷戦時代に国家投資によっと培った最先端軍事技術を民間平和技術に転用する、いわゆる「軍民技術転換」という平和の配当戦略を推進し、インターネットという本来はペンタゴンが開発した軍事情報伝達のための通信方式を民間で大活用することを軸としてITブームを出現させた。他方、そのIT技術を金融面にも適用して、金融の電子化とインターネットを通じたグローバル化を追求した。結果は、ITブームは関連株価の加熱と暴落をもたらし、また金融の電子化は今の米国式金融資本主義の暴走と破綻の下地を作っただけに終わった。そうなってしまったのは、クリントンがブッシュ父の“唯一超大国”路線をキッパリと拒否・転換できずに、それを引き摺りながらITと金融の両輪を乗せ替えようとしたからである。

 とするとオバマは、ブッシュ父子の間違いに加えてクリントンの曖昧さも克服して、米帝国の崩壊の後の軟着陸を目指さなければならず、そのためには彼は、ブッシュ父が登場した88年、つまり冷戦終結前後のところまで立ち戻って、改めて「米国はどう生きるのか」を問い直さなければならないのではないか。

 その点で私が思い出すことの1つは「クオモ・レポート」である。88年の大統領選挙は、共和党=ブッシュ父と民主党=マイケル・デュカキスとの間で争われ、初めからブッシュ優位で進行したのだったが、その時期に、4年後には民主党の有力大統領候補になるのではないかと言われていたマリオ・クオモ=NY州知事が著名な学者やビジネスマンを集めて「貿易と競争力に関するクオモ委員会」を結成、約1年がかりで270ページに及ぶレポートをまとめて出版した。「強い経済をめざすアメリカの新しい処方箋」と副題されたそのレポートは、当時大いに話題となり、旧INSIDERも88年12月15日号から3回にわたり抄訳を掲載した。その抄訳は文末に資料として添付するが、米国が借金の中に埋没して行けば外国の債権者が米国の将来を左右し、その結果、安保面でも危機に陥るだろうと指摘し、借金国家を脱するために「消費の心理から脱して生産者精神に立ち戻る」ことを提起しているのが興味深い。

 米国は20年前にこのような提言に耳を傾けることがなく、今日の体たらくに陥った。さてオバマはどこまで時計を巻き戻すことが出来るのだろうか。

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[資料]
88年クオモ委員会レポート
――90年代のアメリカ:最悪シナリオ

《国際的な危機》

 米国は世界経済の新しい現実に適合することに失敗した。その失敗のツケは、次の10年間を通じて成長が鈍化し、生活の水準・条件が向上しないといった経済的な面だけにとどまらない。もし米国が借金の中に埋没して行くなら、外国の債権者がわが国の将来と政府の政策をほしいままに操ることになるだろう。そして米国が内外市場で競争力を持ち得ず、成長を遂げることに失敗するなら、この国は安全保障上の約束と同盟国のネットワークを維持できず、またこの 40年間、米国の世界の中での地位を保ってきた諸制度を維持できないだろう。その結果、米国だけでなく世界がより貧しくなり、危険が増大することになろう。

《7つの危険な徴候》

 長期的に見ると7つの危険な徴候があり、これらが放置されたままで重なり合ってきた場合には、米国経済は深刻な脅威にされされよう。

<1> 貿易危機
 米国は今世紀を通じて貿易黒字国だったが、75年以降は商品貿易で黒字を出していない。貿易赤字は着実に増え続け、87年には国内消費の22.7%を輸入に依存するという記録を樹立した。米国の世界の輸出に占めるシェアは1950年に比べて30%縮小した。

<2> 借金国家
 家庭、企業および消費者の負債総額は82年の4兆9000億ドルから87年の7兆9000億ドルへ、5年間で60%増えた公的負債は80年には1兆ドル以下だったが、今ではその3倍になり、87年の利払いは財政赤字の総額を上回った。米国は10年前には世界最大の債権国であったのに、今や史上最大の債務国になった。

<3> リスクと不安定性増大
 借金の増大に伴って、世界全体で経済のリスクと金融市場の不安定性が増大した。1943年から81年までは米国の銀行の倒産は年平均10件以下だったのに対し、86年には136件、87年には184件の史上最高に達した。金利と債券価格の変動は激しく、それが長期的な投資戦略の立案を難しくしている。株価も50ポイントの上下が当たり前になった。

<4> 低成長
 GNPの伸びは60年代には年平均3.8%だったが、70年代には2.8%に落ち、80~87年はさらに2.2%になった。

<5> 革新力の低下
 米国経済はダイナミズムを失いつつある。民間設備投資は60~70年代にはGPNの7%前後だったが、80~86年には4.7%に落ちた。製造業の生産性は伸びてはいるが、西独や日本に対する優位は狭まりつつある。投資の源泉となる企業の内部留保は縮小し、ネットの民間貯蓄の対GNP比の80年代平均は70年代に比べて25%減となった。米国人による特許登録数は66年から83年の間に39%減少し、87年にアメリカで認められた特許の半分近くは外国人によるものである。民間研究開発投資の対GNP比は、アメリカに比べて日本が47%、西独が32%も多い、教育においても立ち遅れており、西独の大学生の40%は理工系であるのに、米国ではそれは10%にすぎない。

<6> 対外競争力が直面する困難
 ますます多くの米国の産業が外国との競争に晒されている。製鉄プラントは閉鎖され、50年代には消費量の2%だったスチールの輸入は20%になった。デトロイトは世界の自動車産業の首都の地位を失い、米国の世界の自動車生産におけるシェアは60年代の75%から25%に縮小した。

<7> 生活水準向上の終わり
 大部分の人々が年々生活水準の向上を味わえるのが、戦後の米国のあり方の最たるものであったが、今やそれは事実上なくなった。生産労働者の時間当たり賃金は73年から停滞している。81年から86年の間に1300万人以上が失業し、その3分の1は今も失業中である。80年代を通じて数百万の新しい職が生み出されたのは事実だが、高賃金の製造業の職が失われて、相対的に低賃金のサービス部門やパートタイムの職に置き換えられたにすぎない。

《成長へのパートナーシップ》

 主要な工業国の間の経済的不均衡が世界経済の持続的な発展を脅かしている。米国の借入はわれわれが生産するもの以上に消費することを可能にし、他方、われわれの競争相手である西ドイツと日本では生産が消費を上回っている。87年にはこの関係は危険な局面を迎えた。日独の投資家たちはアメリカの債権に投資しなくなり、両国の中央銀行だけがドルの崩壊を食い止めるために、いやいや1400億ドル以上もの財務省証券を買っただけだった。バランスのとれた貿易と成長のために次の政策が有用だろう。

<1> 米国の貿易・財政赤字を長期的に構造的に削減する計画が安定への第1歩となる。米国は言うまでもなく世界の経済が、借金による消費に余りに頼りすぎている。後で提案するような方策で米国が赤字削減と貿易収支の均衡を図ることが、真の国際協力のための前提となる。

<2>西独と日本はじめ黒字国はもっと成長刺激的な政策に転換しなければならない。日本はすでに内需拡大の努力を始めているが、西独はその方向に踏み出していない。NICSの多くは国内市場を閉ざし、自国民の賃金や福祉を低く抑えて購買力を持たせないようにしている。これらの国に対して米国は外交的経済的影響力を行使して、より建設的な政策に向かわせなければならないが、最も効果的なのは米国が自ら双子の赤字の克服に取り組んで、よい見本となることである。

<3> 成長の方向へ金融政策を調整しなければならない。成長を促すようにマネー・サプライと金利を維持する政策が、米国とその貿易相手国で共通して採られるべきである。

<4> 貿易政策の上で諸外国の生活水準の向上を重視しなければならない。米国は第3世界の生活水準の向上を促し、需要を喚起するような政策をとるべきである。

<5>米国の輸入を巨大な貿易黒字を抱える国々にシフトするという協定が必要である。かつて1950年代に日本が大量に輸出を始めた時、欧州は日本の輸出を受け入れたがらず、日本のGATT加盟にも積極的でなかった。その時、米国は日本のGATT加盟を支持し、また欧州に対して日本製品に市場を開くよう促した。今日のNICSは数十年前の日本であり、米国は再び欧州とそして今度は日本と共に、それら若いダイナミックな諸国に市場を開放するように力を貸す必要がある。

<6> 米国の外交政策と経済政策はより密接に統合されるべきであり、我が国の経済利益が短期的な政治的目的のために損なわれることがあってはならない。貿易交渉は、政治交渉と同様に我が国の真の安全保障にとって肝要である。

<7>米国政府は、均衡ある貿易を実現する協定の交渉に当たって、米国市場をバーゲニング・チップとして使うべきである。交渉に当たっては、米国の市場が世界最大の、最も豊かなマーケットであることを武器にして、相互主義の原則を相手国によく認識させなければならない。そうすれば、相手国の特別の関心にかかわる2国間もしくは多国間協定をGATTの枠外で作ることも可能になる。

<8>米国の貿易政策には、過剰設備の問題を解決するための協定を結ぶことも含まれなければならない。多くの産業で過剰設備を抱えており、そのようなケースでは一時的な市場分割と“カウンタートレード(対抗貿易)”の協定によって破滅的な競争を避ける必要がある。そのような協定は、とくに産業政策を採用している国に対しては有効だろう。カウンタートレード協定とは、A国がB国にある製品を輸出しようとする場合に、A国が自国の市場でB国のその製品について同じだけのシェアを与えることが条件づけられるものである。

<9>輸入制限が必要になった場合、政府は、国内産業の活力を高めるために、その産業に対して調整計画と再活性化戦略を提出するように求めなければならない。貿易法案が下院を通過したら、救済を請願した業界は提唱された調整計画に従うようITCとUSTRに誓約しなければならない。保護措置はあらかじめ期限が定められ、当該業界の各企業も経営改善のための行動計画や労働者の再教育・配置転換・生活保障などの計画を持たなければならない。

<10>政府の財政支援の基準を確立すべきである。ある産業が連邦政府に構造改善のための財政的支援を要請する場合の基準は、 (1)その産業が他の産業や雇用維持のために戦略的な重要性を持つ、(2)支援が手遅れでない、(3)政府介入が各界から支持され、公共の利益に合致する、 (4)構造改善計画は明確で、労使の合意に裏づけられている、 (5)どうやっても衰退が避けられそうもない産業には、経済調整政策が適用される――などである。

<11>輸出振興の対策をとるべきである。政府が世界の輸出機会についての情報サービスや輸出金融・保険などの面での支援を強化しなければならない。

<12>米国は他の国とテクノロジーを分けあうことを追求すべきである。日本は外国企業が日本でビジネスをする代償としてテクノロジーを分けあうよう求めてきたが、米国も同じようにすべきである。そのことで、米国の企業は外国の特許情報を入手してそれを使って製品を開発する能力を向上させるだろう。

<13>米国はラテン・アメリカでイニシアティブを発揮しなければならない。中南米の国々は米国の長期的な繁栄にとって最も重要である。この7年間の中南米の購買力の後退は米国にとって悲惨な結果をもたらした。債務問題の解決、さらに進んで急成長の復活のために、大統領と議会は中南米の指導者と協力しなければならない。

<14>米国の貿易政策は、対中国貿易の新しい機会に焦点を当てなければならない。中国市場の潜在力は世界最大であり、日本にこの市場を委ねるのでなく、我が国の企業が中国に参画できるようにする道を見つけなければならない。

《積極的な政府》

 国際的な改革は米国にとってチャンスをもたらすが、それを活かすのはわれわれの行動である。連邦はじめすべてのレベルの政府は、競争力を回復させ、財政・貿易政策をよりバランスのとれたものにするために果たすべき役割を持っている。積極的な政府の役割は米国の伝統の一部である。

 積極的な政府とは、すべてを包括するような単一の国家的産業計画を意味しない。そうではなくて、それはわれわれの経済力を確立し、国家的な諸問題を克服するための、慎重に目標を定めた政府のアクションである。たとえば、福祉システムがそれ自身で存続して行ける時に福祉に金を注ぎ込むのはいかがなものか。労働力の生産性を高めるための再訓練を施すことを抜きにして、失業補償に金を注ぎ込むのはいかがなものか。あるいは、衰退産業の労働側と経営側に自分たちで急速な回復を実現するための努力をするよう勧告することなしに、政府保証を与えるのはいかがなものか。

 幸いにも改善はすでに始まっていて、州政府が経済成長の促進のために努力を払い始めている。たくさんの大小の企業が、政府の支援を受けながら新しい技術を開発している。

《予算への合理的なアプローチ》

 積極的な政府は、われわれの社会の効率性を高めるために金を投資しなければならない。そのためには、予算を (1)消費的予算、 (2)投資的予算、 (3)連邦信託基金の予算――の3つの部分に分割するという合理的でビジネスライクなアプローチをすべきである。

 消費的予算には現在の政府の経常支出が含まれる。投資的予算は連邦財政に長期的な利益が返って来るように計画された支出で、好況時にはその一部は国家的な負債の返済に当て、不況時には景気刺激のための投資に回される。また、連邦信託基金の予算には社会保障、メディケア、各種の政府貸し出しなどの計画が含まれる。

 こうすることで、議会と大統領はより合理的に予算づくりを行なうことができる。また、独立した専門家からなるチームが各分野ごとに遂行状況を点検する。

 税制はもっと多くの金を集めなければならない。

 積極的な政府は合理的な予算を使って、次第に社会的経費を削減し、わが国の経済的基盤を強化して行くことになろう。インフラストラクチャー、教育、職業訓練、研究などへの機敏な投資は新しいチャンスを生み、わが市民の収入を得る力を増大させるだろう。われわれは福祉の役割を縮小し、納税者の数を増やせるだろう。われわれは政府をもっと効率的に運営し、不必要で無駄な支出を削減することができるだろう。

《生産者の国》

 対外債務を返済して競争力を回復するためには、われわれは消費の心理から脱して生産に国民的な関心を集中しなければならない。その変化は学校の校舎と職場という2つの場所から始まるにちがいない。

 教師の待遇を改善し、学校が生徒たちにもっと多くのものを提供し、また、多くのものを要求するようにしなければならない。公教育は経済的競争力への最も重要な道である。

 職場もまた新しい生産者精神の源泉となりうる。旧式の組み立てラインではピラミッド型の上意下達式の組織が重視されたが、新しいテクノロジーは違ったスタイルを求めている。管理は双方向型になり、生産に直接携わっている人たちによって、より多くのアイデアが出され決定がなされることになろう。

《次の世紀に向かって》

 本委員会は、われわれの行く手に横たわる困難を過少に評価することも誇張することもない。米国はまだ米国である。われわれには2世紀にわたる繁栄をもたらした天然資源と民主的な政府がある。革新の才能と労働の意志を持ち、希望に満ちた政策に熱烈に応える国民がある。

 われわれの力をもってすれば、アメリカン・ライフの可能性を甦らせることは出来ないことではない。自由、勤勉、多様性、参加、変化への意志などの価値観は再びわれわれの世代に成長と繁栄をもたらそう。

 もし、われわれが世界の中での自分たちの位置を新しいリアリズムをもって見極めて成長のために努力するなら、もし、われわれがかつてのように効率よく品質のいいものを生産することに関心を向ければ、そしてもし、われわれが各機関の間の協力と国民の参画を促すようなやり方でそれをやれば、末長い繁栄のためのしっかりとした基礎を築くことができるだろう。▲

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/3)

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■11月3日(月) Tomorrow is a new day.(明日は明日の風が吹く)

 とうとうと投票日まで泣いても笑っても、あと今日1日を残すだけとなった。何か動きがとても慌ただしい。各種のメディアの直前予測は、いずれもオバマがかなりの差をつけている。
 CBS/NYタイムズの今日午後の調査では、オバマ/バイデンが51%、これに対してマケイン/ペイリンは42%と9ポイントの差となった。さらには期日前投票をした有権者の調査では、オバマ/バイデンが57%、マケイン/ペイリンが38%と19ポイントもの差がついている。その期日前投票では、時間が異常に長くかかるとか、投票用紙の仕組みがよくわからないとか、いろんなトラブルがすでに生まれてきているようだ。
 昨夜のオハイオ州クリーブランドでのオバマ集会は、8万人の市民が集まり、同市で開かれた政治集会では過去最大の規模になったそうだ。B・スプリングスティーンの威力もすごいが、その力だけではあるまい。
 笑ってしまったのは、何と昨夜になってから、チェイニー副大統領が公式にマケインを支持すると表明したそうだ。地元ワイオミング州の支持者集会でのことだが、この時期になってチェイニーに支持されても「ありがた迷惑」だろうなあ。さっそく昨夜、オバマは皮肉たっぷりに「マケインさん、チェイニー氏の支持が得られておめでとう」と祝福(!)していた。
*        *         *         *
 NYに来てから、僕は、取材の移動でタクシーを使うたびに、運転手さんに世間話で、どの国から来たのかと、誰に投票したいかを聞いたりしてきた。大体の運転手さんは「オバマ!」と答えてくれたが、中には「オバマは大嫌いだ」という人もいた。今日の午後に乗ったタクシーの運転手さんんは「俺はリベラルは大嫌いだ! マケインに絶対に投票する!」と言って苛立っていた。何でりベラルがそんなに嫌いなんだい?と訊いたら、「彼らはみんな社会主義者だ」という。それで、いつものように「どの国からここに来たの?」と訊くと「南ウクライナのオデッサからきたんだ」と。彼、レオニード・ズモイロ(Leonid Zmoyro)さんは、1979年にアメリカにやって来たそうだ。彼曰く、NYにいるロシア系アメリカ人の80%以上は共和党支持だそうだ。NYには実にいろんな人がいるのだけれども、ネガティブ・キャンペーンは、いろんなレベルで効果を果たすことがあるようだ。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/2 激戦州のゆくえと「社会主義」
■11/1 この熱気はただものではない
■10/31 そして、最後は「反ユダヤ=親パレスチナ→ネオ・ナチ」?
■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
■10/29 「社会主義者の次は秘密共産党員?」
■10/28 プライムタイムに30分の選挙CMを買ったオバマ
■10/27 度し難い女性がいる。もちろん度し難い男も
■10/26 新聞社が社説でどの候補者を支持するかを表明すること
■10/25 笑いのめすチカラ・その2
■10/24 笑いのめすチカラ
■10/23 ペイリンの選挙用服装は15万ドル(=1500万円あまり)
■10/22 文化・芸術・芸能は圧倒的にオバマ支持
■10/21 「アカ」とか「邪教」というレッテル貼り
■10/20 オバマが優勢なのだけれど

2008年11月 3日

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/2)

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■11月2日(日) 激戦州のゆくえと「社会主義」

 早朝、コロラド州デンバーの空港近くのホテルで目を覚まして、窓からの風景をみると、何にもない荒野が延々と続いている。レンタカーを返してから、アバンギャルドな造りのデンバー空港に向かう途中でみた地元紙の『デンバー・ポスト』紙の見出しは、「Swinging Obama’s Way」(オバマになびいている)となっていた。いわゆる激戦州(Swing States)の勝敗のゆくえ次第で、今回の大統領選挙は大きくブレる。『デンバー・ポスト』紙掲載の激戦州調査では、以下のようになっていて、オバマの地滑り的な圧勝とはならないようにもみえる。この点は圧勝を予想する『ワシントン・ポスト』紙とかなり見通しが異なっている。
コロラド州はオバマ(選挙人9人。オバマ49%:44%マケイン)、フロリダ州はオバマ(選挙人27人。オバマ47%:45%マケイン)、ミズーリ州はマケイン(選挙人11人。マケイン47%:46%オバマ)、ネヴァダ州はオバマ(選挙人5人。オバマ47%:43%マケイン)、ノースキャロライナ州はマケイン(選挙人15人。マケイン49%:46%オバマ)、オハイオ州はマケイン(選挙人20人。マケイン47%:45%オバマ)、ヴァージニア州はオバマ(選挙人13人。オバマ47%:44%マケイン)。この通りだとすると、オバマ陣営にとって、オハイオ州を落とすのはとても痛いだろう。いずれにしいても、もうこの段階に来たら、実際に蓋をあけてみなければわからないのだ。
 最新号の『ニューヨーカー』誌に、マケイン/ペイリン陣営の「オバマ=社会主義者」攻撃についての辛口の論評が載っていた。いわく、この選挙は1920年以来、もっとも「社会主義」が口にされた選挙だった、と。1920年には、実際にアメリカに存在していた「アメリカ社会党」からDebsという人物が選挙に立候補していた。彼は第一次世界大戦への参戦に反対して有罪判決を受けたりした人物だという。歴史的にみれば、共和党のゴールドウォーターやレーガンらも、民主党のJ・F・ケネディやリンドン・ジョンソンの医療保障制度(貧困層や高齢者に対する手厚い)を「社会主義」だとして非難していたそうだ。この論評では、ヨーロッパに根付いている社会民主主義の伝統を、ソビエトやナチスの国家社会主義や、もちろん北朝鮮のような全体主義とは峻別して一定の評価をしていて、こう記している。「アメリカがむしろ特殊なケースなのだ。なぜ社会主義がこの国では真の大衆運動とならなかったのかについては、それについて記された山のような書籍がある」と。
 非常に醒めて考えてみれば、この国には選択肢が2つしかない。つまり、民主党か共和党かという。
 昨夜の「サタデー・ナイト・ライブ」にマケインが妻のシンディとともに出演した。風刺されようが、揶揄されようが、テレビで露出した方が、集票につながるという冷徹な判断に基づくものだろう。そして、驚いたことに彼自身も結構ショーを楽しんでいた。さて、どうなるか。
http://www.huffingtonpost.com/2008/11/02/john-mccains-saturday-nig_n_140081.html

 夜になって、クリーブランドのオバマ集会にブルース・スプリングスティーンが登場。CNNのライブをみているだけでも、何だかとても温かい感じの盛り上がりぶりが伝わってくる。こういう空気はマケイン/ペイリンの側にはないものだ。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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【バックナンバー】
■11/1 この熱気はただものではない
■10/31 そして、最後は「反ユダヤ=親パレスチナ→ネオ・ナチ」?
■10/30 3360万人が昨夜のオバマ選挙Informercial をみていた
■10/29 「社会主義者の次は秘密共産党員?」
■10/28 プライムタイムに30分の選挙CMを買ったオバマ
■10/27 度し難い女性がいる。もちろん度し難い男も
■10/26 新聞社が社説でどの候補者を支持するかを表明すること
■10/25 笑いのめすチカラ・その2
■10/24 笑いのめすチカラ
■10/23 ペイリンの選挙用服装は15万ドル(=1500万円あまり)
■10/22 文化・芸術・芸能は圧倒的にオバマ支持
■10/21 「アカ」とか「邪教」というレッテル貼り
■10/20 オバマが優勢なのだけれど

2008年11月 1日

田母神俊雄・航空幕僚長のトンデモ論文を公開!

浜田靖一防衛相は31日夜、田母神俊雄航空幕僚長の更迭を表明した。
田母神氏は、アパグループが主催する懸賞論文『真の近現代史観』に「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣」といった論文を応募し、最優秀賞を受賞していたことが問題とされた。

受賞した論文では、張作霖爆殺事件はコミンテルンが主謀したとする説を「極めて有力になってきている」と紹介したり、「私たちは多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識しておく必要がある」と、歴史家の間ではあまり認められていない学説を披露している。ちなみに、その学説の根拠となっているのは櫻井よしこ、黄文雄、ユン・チアンなどの著作で、田母神氏自身が一次資料にあたって研究したものではない。

問題となった論文はアパグループのHP内に公開されており、ダウンロードも可能。今後、アパグループが発行する雑誌にも掲載されるという。

■問題となった論文「日本は侵略国家であったのか」
ファイルをダウンロード(PDF)

■アパグループ第一回「真の近現代史観」懸賞論文受賞者発表
http://www.apa.co.jp/book_report/index.html

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高野孟氏(THE JOURNAL主幹)
「防衛大学校は廃止されてしかるべき」(11/1)

「侵略」は、広辞苑によると「他国に侵入してその領土や財物を奪い取ること」である。Websterによるとinvasionは「侵入する行動、特に征服や強奪のための軍隊の侵入」である。旧日本軍は中国はじめ他国の領土に侵入しなかったのだろうか。しなかったのなら日本は侵略国家ではない。したのなら侵略国家である。小学生でも分かるこんなことを防衛大学校で教えていないとすれば、これは国家的スキャンダルである。自衛官が何を任務とするのかについての根本を間違って教えていることになる。防衛大学校は廃止されてしかるべきである。

金平茂紀のカウントダウン米大統領選(11/1)

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↑いずれもプエブロで筆者撮影
1)集会に押し寄せた人、人、人 2)ミシェル・オバマまで10m 3)バラク・オバマまで10m
4)屋上の警官たち 5)屋上の警官たち

■11月1日(土) この熱気はただごとではない

 秒読み段階位に入った大統領選挙の最後の週末。オバマ陣営の熱気がどのくらいのものか、実際に肌で触れてみたいと思い、人口10万人のコロラド州プエブロ市でのキャンペーン集会に出かけた。コロラド・スプリングスの空港から車で40分。直線道路の運転は疲れた。図書館の駐車場に車を止めて、そこから会場まで歩く。ものすごい数の人々が集会会場をめざして歩いているではないか。思ったよりも暖かくて、中にはTシャツ姿の人もいる。警備がやたらと厳しくなっている。そういえば、いくつかの白人至上主義者たちのオバマ暗殺計画なるものが発覚したことが報じられていたのはついこの間のことだ。銃が簡単に手に入るアメリカだから、候補者と至近距離になれる選挙集会では、何が起きてもおかしくはないのだから。(ちなみに、サラ・ペイリンは銃規制に強く反対しているプロ・ガン論者である。)
 それにしても道路を埋め尽くした人、人、人。ヒスパニック系の人が多いことが一目でわかる。午後3時にまず、ミシェル・オバマが登場した。至近距離からみる彼女は、実に堂々としていて品位がある。よく見ると、まわりの高い建物の屋上には武装警察官が目を光らせている。ステージの後ろにはオバマの2人の娘さん(マリアとサーシャ)がいて無造作に遊んでいる。こんなに無防備でいいのかな、と思うくらい。そこにオバマが登場した。登場の際の音楽はブルース・スプリングスティーンの『ライジング』である。思ったよりも痩せているな。ものすごい歓声が上がる。この熱気はただごとではない。「アメリカの根本的な変化が始まるまで、あと3日だ」と訴える。彼の演説は、マケインと比べて相手候補への攻撃が比較的少ない。
 この週末、オバマ、マケイン両候補は激戦州と言われる州を回る。オバマは、あしたはオハイオ州だ。クリーブランドの集会には、ブルース・スプリングスティーン本人が登場するというのだから、大変な騒ぎになるだろう。繰り返すが、この熱気はただごとではない。

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kanehira_spiral3.jpg【プロフィール】 金平茂紀(かねひら・しげのり)
1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコ ープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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