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ロシアから見た福島原発事故

 宮崎学である。

 友人でロシア問題の専門家服部年伸さんから教えてもらったことを紹介する。

■ロシアから見た福島原発事故

 福島原発事故から1ヶ月半が経過した今もこの問題はロシアで広く議論されている。ロシア政府高官たちは日本当局と東京電力の対応を批判することなく慎重な発言をしているが、一方で多くの専門家たちは日本政府と東電の対応を厳しく批判している。

 批判の1点は統合司令部の欠如だ。福島では、チェルノブイリのような、政府当局、東電、地方自治体、自衛隊、核専門家による統合司令部が作られなかった。チェルノブイリでは副首相が司令部の本部長となり、彼がレスキュー・オペレーション全般の責任をとり、レスキュー作業と地元住民避難作戦に参加する全ての人間に命令を与えることができた。

 福島は人的災害だと多くのロシア専門家は指摘している。彼らは地震も津波も直接の原因とは全く考えていない。津波は福島第2をも襲ったが、そこで問題は発生していない。福島第1で問題が起きたのは、サポート設備の不備、事故発生当初の不適切な対応、そして、実情の隠蔽が原因だった。東電はベストを尽くそうとしたかもしれないが、その対応は混乱し鈍かった。専門家たちによれば、事故発生当初の対応には次のようなミスがあった。

 第1に、原子炉内圧力が上昇すると発電所のオペレーターたちは避難し、彼らは事態が悪化する中、2日間、何もすることなく、電力復旧作業を始めたのは既に手遅れの状況となっていた3月14日になってからだった。

 第2に、東電は最悪のシナリオ時に発電所のインフラ破壊を防ぐための何のプランも持っていなかった。緊急事態対応策の中には国家緊急隊、あるいは自衛隊への連絡も含まれていなかった。緊急時に経産省・保安院などの当局者と地方知事に連絡する唯一の方法はファックスだけで、ファックス受信の確認を例外として電話をすることさえ許されていなかった。

 第3に、事故処理"部隊"の人数があまりにも少なかった。4月初旬、その数は数百で、ロシアの専門家によれば、被爆量の制限の観点からも、経験と情報の共有の観点からも、これは全く不十分な数だった。

 第4に、チェルノブイリでは住民の安全のため地域住民を強制退去させた。そのため当局は厳しく、時には軍の協力を得て作戦を実行した。それしか住民を救う手段がなかったからだ。しかし、日本では危険地域から住民に避難勧告をするだけだった。

 さらにモスクワの専門家によれば、日本が提供する福島の状況に関する情報は全く信頼できないものだった。実際、彼らによれば、4月上旬、国際原子力委員会の日本代表は現状について信頼できる情報の提供を拒んだという。その日本を、福島と同型の原発を持っているアメリカは支持したという。

 多くのロシア人専門家たちは、日本当局は事故対応のためのプランを何も持っていなかったと強調している。対応は全て場当たりに見え、得策とも思えないものも含まれていた。彼らの意見では、「日本当局者はチェルノブイリ事故から何の教訓も得ようとしなかった。」福島原発はアメリカのプロジェクトに従って40年ほど前に建てられたもので、地震国・日本に適するものではなく、津波対策も不十分だった。「その決定要因は経済性であり、安全性ではなかった」と専門家たちは信じている。

 最も批判されている点は、使用済みの核燃料が発電所の外の特別貯蔵庫に搬出されることなく同じ建物内のタンクに入れられていたことだ。ほとんどのロシア人専門家はこの事実に驚いている。福島第1の30年間の運転で蓄積された全ての使用済み核燃料が発電所内に貯蔵されていた。専門家によればこれは原子力爆弾40個を作る量となる。この使用済み核燃料が環境と接触すれば、水、土壌、大気はすぐにストロンチウム、ウラニウム、プルトニウムで汚染されてしまう。国際的慣例では、使用済み核燃料は核燃料供給者がすべて活用処理することになっている。福島の燃料供給者はアメリカ企業だが、彼らは何らかの理由でこれらの使用済み燃料を原発運転全ての期間にわたり何の活用処理をしてこなかった。

 損壊した発電ユニットに対する安全措置についても疑問の声が投げかけられている。日本当局者は損壊した発電ユニットを特別な素材でできたフードで覆うことを計画している。フードはすぐに熱で壊されるのでこれは無駄だとロシア人専門家たちは強く指摘している。彼らの意見では、これはおそらく国民を安心させることのみを目的としている。このフードは汚染された塵の拡散を防ぐものだろうが、さらに危険なのは汚染された水が土壌と海に漏れ出していることだ。当局は汚染水をメガフロートで集める計画だが、その後のメガフロートはどこに行くのか?そして集めた水をどうするのか?

 ロシアでは今でもチェルノブイリは人災の代名詞だが、この1986年の事故と福島の比較は避けられない。しかし、2つの事故の環境汚染・人的被害の大小について意見はロシアでも分かれている。ほとんどの専門家は福島は第2のチェルノブイリではないと考えている。福島では燃料の露出もなければ原子炉の爆発もない。

 一方、福島の影響はチェルノブイリよりも大きいと主張する専門家たちもいる。チェルノブイリでは原子炉が爆発し黒鉛が燃えた。しかし、損壊した原子炉は1つだけだった。日本では3つの原子炉と4つの使用済み核燃料プールが損壊している。放射線放出はチェルノブイリの20倍だ。そしてこの放出は1ヶ月以上続いている。

 福島事故の結果、国際社会は原子力発電について統一した安全基準を作る必要があるというのがロシア人専門家の一致した意見だ。 

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<6月11日は100万人脱原発全国同時デモだ!>

2011年6月11日(土)全国で脱原発に向けた100万人集会・デモが行われます。この日は震災からちょうど3ヶ月目となり全国、全世界で一斉に脱原発の行動を起こす日となりました。現在までに具体的な実行計画を提示している市民団体は次の通りです。(なお時間等は確定ではないので後日再
確認してください)


・愛知県
 日時:集会:13:30~14:15
    デモ出発:14:30
 場所:若宮大通公園
 主催:「原発サヨナRiot GRRRLZ」
 連絡先:052-731-7517(ookubo.riotgrrrl@gmail.com)
・東京
 日時:シンポジューム(国会議員、原発専門家):10:00~11:30
    デモ出発:13:30(予定)
 場所:四谷区民ホール
 主催:「市民連帯の会」
 連絡先:03-3844-8722(siminrentai@goo.jp)
・群馬県
 日時:講演(古川路明氏):13:30~
    デモ出発:15:15
 場所:群馬教育会館(前橋地裁北隣)
 主催:「「群馬エエジャナイカ実行委員会」」
 連絡先:027-387-1433
・神奈川
 日時:デモ出発13:00
 場所:桜木町駅前
 主催:「6.11脱原発100万人アクション神奈川」
 連絡先:045-353-9998(611kanagawa@gmail.com)

その他、仙台、大阪でも同様な集会・デモが計画中のようです。6.11デモに関しては現在各地で様々な市民団体やグループが賛同の名乗りを挙げていますが、今後県単位ごとにまとまって行動されるようになるのかもしれません。他の団体の具体的計画をご存知の方がいらっしゃれば全国のデモ参加希望の皆さんに是非ご紹介ください。


宮崎の兄貴 貴重な情報ありがとござんす。

どうして「ろすけ」の話を聴こうとしないのでしょうか。
そんなにまでして、なんで「反ソ」なんでしょうね。jali!

利権がらみの同盟国なんぞよりもはるかに冷静に分析してくれていることに、安堵します。
それにしても「チェルノビリ」の悲劇は、被曝国日本として、少なくとも当時の日本の原子力学術関係者は、必死の思いで、助っ人と反省と同情の念を抱いていました。「ウルトラ7」と白状する前に、そもそも、JCOまで引き起こしておいて、人類史上三度目の「被曝事件」を、「過去の教訓」に学ぼうとすらしない、このバカタレ政府は一体なんなのでしょう!

それにしても使用済み核燃料は、原爆40発分ですか。復興支援の財源確保ために北朝鮮にでも売り込んだらいかがでしょうか。

1~4号機の状態について、実は○○だったと次々に報道がなされています。一方、で、現在の状況はどうなのか?についてなのですが、直ぐに危機的な状況になるとか、これからだんだん悪い方向に向かっていくのかというと、私は科学的なというより、政治回りの動きを見ていて疑問に思っています。例えば、かなり危機的な状況に向かいつつあることがわかっていて、中韓首脳が被災地域を訪れて黙祷などするでしょうか?私は、半径20km警戒区域設定や誰も信じていない工程表を見るに、寧ろ、手の内は全部、政府並びにバックにある状態で、いいように利用されているようにも見えるのです。もちろん、彼等の見立てやこの先の対応については?を感じてはいるのですが・・・

日本はチェルノブイリを嗤えませんよ。
いや、嗤うどころかあの未曾有の大爆発の原子炉をとにかくにも石棺にして閉じ込めた旧ソ連の処理の手際の良さはあれに関わった軍人や科学者の被曝とその後の死傷者を大量に出した放射能の恐怖と向き合いながら、まずこれ以上漏らさないことを第一義に決死の覚悟でことにあたりとにかく閉じ込めたということを見れば、福島原発では勿論チェルノブイリと状況は異なりますが、緩慢と放射能を海中や空気中に垂れ流し続ける状況はやはりロシア側から見ればなんと暢気な対応化と呆れていることでしょう。

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Profile

宮崎 学(みやざき・まなぶ)

-----<経歴>-----

1945年、京都のヤクザの家に生まれる。
早稲田大学法学部に進むが、学生運動に没頭して中退。
週刊現代記者として活躍後、京都に戻り家業を継ぐが倒産。
「グリコ・森永事件」ではキツネ目の男に擬され、重要参考人Mとして警察にマークされる。
自身の半生を綴った「突破者」で作家デビューを果たした。
2005年には英語版「TOPPA MONO」も翻訳出版された。
最近は、警察の腐敗追及やアウトローの世界を主なテーマにした執筆活動を続けている。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://miyazakimanabu.com/

魚の目(魚住昭責任編集)
http://uonome.jp/

-----<著書>-----


『ラスト・ファミリー 激論 田岡由伎×宮崎学』
2010年1月、角川書店


『談合文化論』
2009年9月、祥伝社


『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年』
2007年6月、筑摩書房


『安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介』
2006年9月、同時代社


『法と掟と』
2005年12月、洋泉社


『近代の奈落』
2005年12月、幻冬舎


『TOPPAMONO』
2005年9月、Kotan Pub


『万年東一(上)』
2005年6月、角川書店


『万年東一(下)』
2005年6月、角川書店



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