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「人間だからこそ、マーケットが面白い」前編

今回の金融危機は予想ができたとしても回避することができたのか?「人間」というマーケットの不確定要因について、元大手証券会社のチーフエコノミストのコール氏が語ってくれた。

K : Jesper Koll
L : Fabrizio Lavezzari

L こんにちは!お久しぶりですね。この前はメリルリンチに、まだいらした頃ですよね。メリルリンチは何時辞められたんですか?
K そうですね、2年前になりますね。
L このオフィスはご自分の会社ですね?
  今は主に、経済の調査、分析に特化してるんですか?
K ええ、自分の会社で、ビジネス・パートナーがシンガポールを本拠としているんです。投資、資産運用会社で、ブティック形式ですが。
私は東京でアナリストと、それぞれの会社の調査と経済のマクロ分析をしている。おもしろいですよ。ファッションほどエキサイティングではないけどね。
L ファッションも地味な所がありますよ。僕がいたようなブランドでは、東京はどちらかというと販売が中心で、毎日、綺麗なモデルさんに囲まれているわけではないですからね(笑)
K えっ、そうなんですか!!!いや、そうだと思ってたよ(笑)


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L イェスパーさんはドイツ出身でしたよね?
K ええ、デュッセルドルフのすぐ近くの街から来ました。奨学金をもらい、インターナショナルスクールへ行き、パリの大学へ行って、それから1986年に東京へ送られてきました。それ以来、ずっと東京にいます。
L その頃はちょうど日本はバブル景気の最初の頃でしょうか?
K いや、最初の頃でもないけれど。まあ、面白いことに最初も最後もないですよね。日本はちょうど中曽根内閣の時代で、国際化が進んでいる時でしたね。あなたは何時日本へ来たんですか?
L 私は1987年で、留学生として来日しました。
K そう、ちょうど同じ頃ですね。その頃、日本はとても面白い国だった。大学院時代、中国語を勉強していた同級生たちには、日本へ来ることを、うらやましがられた。中国語は難しいし、その頃仕事もなかったからね。反対に日本は、居なければならない所だったから。

L そもそも金融業界に入った理由は何ですか?
K そうですね。たまたま、ですね。博士課程の研究をしていた時だけど、資金不足になって。その時、たまたまある国会議員の方と懇意になり、アシスタントの仕事をもらって、それを2年半くらい続けていた。その最後のほうで、いわゆる国際関係の仕事をしていて。いろいろな研究会の手伝いをしてました。
L それで、それから金融業界へは、どんなふうに?
K その時に、様々な外資系の会社に接することがあって、当時はSGウォーバーグという会社のエコノミストの仕事をもらって入ったのが最初ですね。SGウォーバーグを5年、その後J.P.モルガンで5年、タイガーファンドというヘッジファンドを1年、メリルリンチに8年。そして今の会社。

L なるほどね。
さて、細かい質問になりますが、アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、それぞれの違いを教えて下さい。
K それは割と簡単だと思います。
まず、エコノミスト。これはマクロ経済、GDPの予測、GDPの中のそれぞれの部分、消費、住宅や設備投資、輸出入など、もっとも底辺にある分析をします。すべてがマクロから始まってマクロに終わる、それがエコノミスト。
 アナリストは特定の分野を担当する。たとえば車や電子部品、小売、通信や製薬などといった個別の業種の企業を分析していく。エコノミストは全体像をみるけれど、アナリストはマイクロレベルで、個別に企業を分析する。業績の予想、経営戦略の業績やキャッシュフローつまり収益性に与える影響を分析する。
 ストラテジストとは、全ての部分を集めて整理して、その情報に基づき、どのように投資すれば良いのかを考えていく。マクロ経済や個別企業、たとえば、経済が強ければ株価が必ず上がるとは限らない、逆にいえば、良い会社があるとする、そしてこれから収益をあげるかもしれない、だけれど、それは既にその価格に織り込まれているかもしれないよね。そういった諸々の分析をするのがストラテジスト。
L イェスパーさんはこの3つの中ではどれが好みですか?それぞれを経験してますよね?
K う〜ん、面白いのは….何でしょう?
完璧な答えは無いけど、物事は常に変化しています、経済も然り。一番面白いことは、正しい理由で予測が当たることですね。たとえば結果として予測が当たったとしても原因が違うこともあります。
たとえば、先週、私は円高に転じると思いました。その原因は 耐久消費財のことで、アメリカで弱い数字が出てくると思ったけど、逆に強い数字が出てきた。それでも円高に振れた。これは、予想の結果は当たったけれど、その理由が違っていた、これは私にとって満足できないことですね。当然ですが、原因を突き止めた上で、予想が当たる、ということが私にとっての満足ですから。

L それでは、次に現在のマーケット状況について話を聞かせてください。
2年前、サブプライムはアメリカにおける部分的な問題に見えましたよね。ところが今は問題が大きくなり、全世界に波及している。実際、これは何が起きたのでしょう?回避は出来なかったんでしょうか?
K そうですね。答えはNOですね。
現実は人生と同じで浮き沈みがあります。それを政治家、財務省や、中央銀行が全てを予想し、対策を打ち出し、解決策を出せる、と考えたいが、実際は、みんな人間がやることで、そう簡単には行かないです。
日本でもバブルが始まり、それが壊れました。アメリカも同じです。これはもう現実なのだから受け止めていくしかない。上がったものは必ず下がるものです。何をしてもパーフェクトな答えはなく、必ず負け組と呼ばれる人たちは出てきます。負け組、勝ち組、格差、という言葉は日本人が気にする言葉ですが、何もしなくても何かは起きます。そして勝ち組ができて、負け組もできる。
今回の危機を避けることができたかというと出来なかったでしょう。それがマーケットであり、変動するのがマーケットなのです。それが実は難しいところですね。
L 今までも様々な経済危機がありましたが、今回のものは規模が大きいですよね。
K それはどうでしょうね。見方によりますよね。どの世代のことをいうのかでも違ってきますから。団塊の世代にとっては大変な出来事です。60歳、61歳、62歳で退職や引退ができると思っていた人たちが、特にアメリカ人では、そうは出来なくなった。
ただ一歩下がって日本を見てみると、また違います。
私が来日した当時の目的は博士課程の課題のひとつであった日本の税金制度について研究するということもありました。1985、86年当時は、税金制度と共に年金制度の問題も明らかになっていました。特に人口の構成比に関して、既に問題は明らかで、様々な審議会がありました。このような審議会や調査会における80年代の報告書を読んでみると、税金問題、増税や納税者番号の導入などというような処方箋、何をすれば良いのか、というようなことはわかっていた、そしてみんな年金問題は心配していたのに、興味深いことに何も為されてきていないのです。
サブプライムとは、全く関係がないが、30年前からそうわかっていたのに、誰かが手を打ったか、というと、していない。これは興味深いですよね。
これは、やはりみんな人間であるからでしょう。
サブプライムも同じで、厳しい規制があったら避けられたかもしれない。いや、実際、役に立つ規制はあったのです。だが実施されていない場合もあり、マドフの詐欺事件はその典型的な例ですね。5、6年前に既に調査に入っており、アメリカの金融庁には、そういった報告書も提出されていた、が
それは無視されてしまったのです。その時、何かしらアクションがあれば回避出来たかもしれないが、結果的には何も為されなかった。
将来的には、また同じようなことが起きるでしょう。

L あなたがいうように、確かにいつでも勝ち組と負け組はあります。
今回の経済危機はほとんど負け組になってしまったのではないですか?

(後編へ続く)

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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