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Van Cleef & Arpels CEOに聞く、「名門ジュエリーブランドのDNA・そのクラフツマンシップとやわらかさ」(前編)

R : Malik ROUMANE
L : Fabrizio LAVEZZARI

R この部屋はいかがですか?
L ええ、なかなかいい雰囲気ですね。
R もともとこの部屋は役員の会議室だったのを分割して単なる会議室ではなく、ヴァン クリーフ&アーペルのショップのイメージに合わせ、居心地のよい快適な部屋に作り替えたんです。実際、各ショップではこういうようなVIPルームをそれぞれ設けていて、お客様にじっくり選んでいただけるようにしています。もちろんオープンスペースもありますが。
その空間を本社にも再現したかったことと、お客様はここにはいらっしゃらないが、他の大切なゲストを応対するためにつくりました。


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L それにしても、お久しぶりですね。最後にお会いしてからどのくらいでしょうね?
R そうですね。2年くらいですか?ある雑誌の3周年記念のパーティでしたよね。
L そうでした。そういえば、その雑誌の編集者と今年の一月、相撲部屋で朝稽古を見て、ちゃんこ鍋を食べる会という企画で会いました。
R そうですか!そういえば、相撲の朝稽古、私も見たことがあります。
昨年末フランスから家族が来たとき、阿佐ヶ谷にある相撲部屋に行きました。すばらしかった。私は長年日本にいますが、特に外国人から見るととてもおもしろいですね。相撲部屋では力士を間近で見ることができるので私にとっても楽しめました。
L 彼らは稽古も真剣勝負でやっていますよね。
R ええ、本気でやってますよね。
L 長年とおっしゃると、日本には何年くらいいらっしゃるんですか?
R 2回目の在日になりますが8年になります。以前は4年ほどいました。合わせるとかなり長いですね。
L 前回もこのジュエリー業界ですか?
R いえ、前回は全く違います。産業関連でガラス、工業用資材、セラミックなどを扱っている会社にいました。2度目に来日してからは同じ業界です。

L そもそもこういったラグジュアリー業界に入った理由は何ですか?
R そうですね、簡単な理由です。業界との繋がりができるので。
前の会社は技術を扱っている会社だったのですが、とてもおもしろい会社でした。そしてこのラグジュアリー業界の良いと思うひとつの側面は、非常にソフトなイメージがある、綿のような柔らかさというような。この会社は特に柔らかいイメージです。もちろん人間同士の商売になりますから、人間関係が極めて重要で、そういう意味ではとても難しい業界でもありますが。この世界でこういうような環境で働くことが出来るということはとても恵まれていると思います。このオフィスは、派手でもなく、アグレッシブでもなく、とても柔らかい環境で、会社のカラーと似ています。とても柔らかく、大声で話しません、しかしメッセージは明確に伝えます。ロープロファイルで伝えるのです。

L 価値観やモチベーションなど、他の業界とは違いますよね。
R まさにそうです。会社によって微妙な違いはありますが、ラグジュアリー業界で働いてみると違いますね。
ところで、商品などには男性向け、女性向け、その中間というようにカテゴリーがありますが、私たちはどのカテゴリーだと思いますか?
L それは良い質問ですね。こちらからお聞きしようと思ってました(笑)
難しいことですが、基本的に女性向けであり、しかし実際に購入するのは男性で配偶者や好きな人のために購入していくというパターンが多いと思いますが。
R そうですね、前半に関しては正解です(笑)元来、女性らしい会社なので、女性のお客様が圧倒的に多いですね。デザインも商品もほとんど女性向けです。なかには時計などは男性向けのものもありますが、私が今はめている時計はそのなかのひとつです。
さて、後半のお答えですが、購入されるのも女性のお客様が多いです。なかにはご主人や好きな人に「これを買って!」という方もいるかも知れませんが(笑)ジュエリーは女性らしい商品なので男性にはなかなかわかりにくいものがありますよね。たとえば男性のお客様が一人で来店されたとして、その方は女性から事細かく教えられているかもしれません、あるいは女性に「はい」と小切手を渡してしまうかも知れません(笑)もちろん宝石は大きな買い物になるので、贈るにしても、事細かく贈る相手の方の興味を聞いて来ないと選ぶことも難しいですよね。


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L 多くの人がヴァン クリーフ&アーペルという会社を知っていますが、名前の由来を教えて下さい。
R もちろん、お話をしたいですね。素晴らしいラブストーリーがありますから。ヴァン クリーフ&アーペル、この名前は見ての通り二つの名前から出来ています。この話は決してマーケティングのための作り話でなく、実話です。
19世紀末ですが、エステル・アーペルという女性とアルフレッド・ヴァン クリーフという男性が出会い、お互いにとても気に入り、結婚しました。当時、彼らの家族、親戚は同じダイヤモンド業界にいて、二人の結婚から数年後、会社を設立したんです。
L 場所は何処だったんですか?
R パリです。二人の結婚から10年経った、1906年にヴァンドーム広場に路面店を作りました。あなたもよく知っている場所でしょう?
L ええ。宝石を売るには最適な場所ですね。
R そうですね。そのショップは今も当時と同じようにあります。本店でもありますから。昔の写真を見ると外壁は変わっていますが。
こういうようなストーリーをお客様に対して語ることができる、これはとても強いステイトメント、宣伝になります。

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L 世界中にたくさんのショップがありますが、国際的に進出・拡大していった経緯を教えて下さい。
R 先に話したように、パリには本拠を構えなければならない、パリからインドなどへ行って、石を探して、パリへ戻って、そしてジュエリーを作る。こういう状況だったので、国際進出よりフランス国内でしばらくは活躍してました。当時は第一次世界大戦、第二次世界大戦と歴史的な背景により、環境がとても厳しかったのです。
それでも30年代前半に新しい世界、アメリカへ、NYの5番街へショップを作りました。70年前の話ですね。このショップはNYへ行ったら絶対に見逃せないほど、すばらしいですよ。
どうして70年も前にアメリカ進出をしたか、というと“先見の明”があったんですね。そして、70年代後半、高級ジュエリーのハウスとしては初めて日本へ出店したんです。当時、日本経済は高度成長を続けている時代でしたね。前向きで急ピッチに工業社会になりつつある、開発の途上にある、そう、ちょうど今の中国のような社会でしたよね。今の日本を考えて、今、中国には2店舗しかないのは、少ないと、思われるかも知れませんが、ヴァン クリーフ&アーペルは高級ブランドなので、マーケットが開発された段階で進出します。日本へ出店してからは35年ですね。私たちにとって、アメリカと日本が海外マーケットの中心です。ただこの10年、マーケットが急速に拡大してきています。ヨーロッパ諸国や、日本以外のアジア、中近東などにおいては、たくさんやるべきことがあります。
L 全世界の売り上げはどのくらいなんですか?
R それはちょっと言えないですね。日本での売上は、最大ではないけれど、重要です。
L アメリカと比べるとどうですか?
R アメリカは、北米、カナダ、南米諸国も含めますから、大きいですよね…..
私たちを見ていただくと、わかると思いますが、洗練されていて、ひかえめで、物腰が柔らかく、フレンチ・イメージのソフトさ、そしてクラフツマンシップに溢れた芸術性、こういった価値観が日本のお客様、日本人の性質にとても良く合っていると思います。これは日本で成功した要因のひとつですね。
L 今、クラフツマンシップというようなことをおっしゃってましたけど、会社がどんどん大きくなって行く中、そのクラフツマンシップの精神を維持するにはどうすればいいでしょう?
(後編へ続く)

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コメント (2)

ヴァンクリ、ジュエリーの中でも大好きなブランドです。

うつくしいものを身につけると、心もうつくしくいられる気がします。あくまで、気がするだけなのですが・・。

洗練されていて、上品で、控えめで・・願わくばもうすこしリーズナブルだと嬉しいなあ(笑)。

ファブリツィオ・ラベッツァリさま
全くかいま見る事のない世界のお話を伺うのは知的好奇心をかきたてます。正直申しまして、「Van Cleef & Arpels」という名を私は知りません。実物も拝見した事もありません。それどころか、TVのワイドショーを見ていても、宝飾品だけでなく、服、靴、バッグと言ったものの会社名は、私の脳裏の単語帳にはございません。生まれてこのかた、ブランドというものにはおよそ縁のないステージで生活しております。こうしてコラムを拝見していると、世界中においでになる、いわば敷居の高いところで生活している方々の、雰囲気をかいま見る事が出来、興味深く思います。いわゆる「ブランド」という物は、創業の理念に立脚して、品質、技術がハイクオリティなポジションで継承されなければ、立ち行かないものだと、そのように感じております。それ故の高価さであり、単にレッテルだけの問題での価値ではないのだと。手の届かない私にとっては、いわば芸術品のような感覚ですが、手に入れる事の出来るステージに暮らしている方たちを魅了し続けるのも、また、並々ならぬ努力が必要なのだと拝見して思いました。ジュエリーと申しますと、私のレベルでは、”美しさ”よりも加工職人さんの技術や精巧な技と言った物に思いを馳せたく思います。たくさんの方々が関わるなか、良質な物を維持してゆくという事もまた奇跡なのだと。後編もまた読ませて頂きます。つまらない感想でした。

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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