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「世界のトップを魅了し続けるイタリア料理界の新巨匠エンリコ・デルフリンガー氏に聞くホスピタリティの真髄」後編


D:Enrico DERFLINGHER
L:Fabrizio LAVEZZARI

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L 特殊な状況やホテル内のレストラン、そして街のレストランと働いてきてますよね、それぞれの違いはなんですか?
D そうですね、ホテルのレストランと街のレストランの大きな違いは“組織”ということでしょうね。ローマのホテル・エデンで9年ほど働いていましたが、その時ミシュランの3つ星をいただきました。フランスでは大きなレストラン、有名なレストランはホテルに入っていますが、イタリアでは逆に大きなレストランや有名なレストランは街の中にあり、当時ホテルにレストランが入っているという発想そのものがあまりなかったので、ホテル・エデンのケースは画期的でもありましたね。最近では良いレストランはホテルに入っているというのが、かなり主流になってきました。東京でも事情は同じですよね。様々なホテルでバンケットに携わってきましたが、500〜600人というバンケットもあります。街中のレストランになると、大人数といっても10人とか15人くらいですよね。そもそもの大きさが違うんです。ホテルはとても複雑な組織になっている。管理面も大変で、人材確保なども難しいです。

以前、サンモリッツのパレスホテルで働く機会があったのですが、スタッフは100人ほどいましたね。多分ヨーロッパで最大の規模ではないかな。8〜10カ国から集まってきていて、この人数だと全てのスタッフの名前を覚えることすら難しくなりますね。それに規模が大きくなるにつれ、当然仕入れも大変になります。

L ファッションとの関係をお聞きしたいのですが、銀座でアルマーニ・レストランをやってみて、いかがですか?
D とても良い経験をしていると思っています。アルマーニ・レストランはとても綺麗でエレガント、東京でイタリアンを代表するレストランになっているのではないかと思います。このレストランは『イタリアの伝統』というものを反映させてます、そしてジョルジオ・アルマーニ氏自身が求めたとコンセプト、彼のシンプルで、無駄のないスタイル、人格、性格を、そして彼の趣味を料理に再現させようと思いました。それで結果的にとても高い人気を貰っています。期待以上の結果になってますね。


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L 今までエンリコさんがもっとも気難しいと思ったゲストは誰ですか?
D やはり俳優さんたちですね。気難しい人が多い(笑)たとえばニコール・キッドマンは食べられないものが多いので難しかったですね。あとはジュリエット・ビノーシェも難しかった。ジョージ・クルーニー、トム・クルーズ、ロバート・デ・ニーロなどはとても接し易かったです。女性の俳優さんは複雑な注文をたくさんしてくる人が多いですね。

L なるほど、裏話をありがとうございました(笑)
D どういたしまして(笑)
L 次に人材、スタッフの管理など日本とイタリアの違いはありますか?
D アプローチの仕方が違いますね。日本人は優秀です。平均したらおそらくイタリア人より学習能力が高く、説明したらすぐに飲み込める。これは料理人にしてもウエイターにしても同じです。日本人にとって歴史のない新しい料理でもすぐに習得してくれる。しかもレシピに忠実に再現してくれる。中国人とも違う、彼らは多少変えて作るんですね。ソースにしてもそっくりそのまま再現してくれるので、あまり監督する必要がないんです。できるだけそばにいるようにはしていますが。
L なるほど、お国柄なのですね。
ところで、家で料理するのは誰ですか?
D 家内です。家にはいろいろな料理の本があって、彼女が「何食べたい?」と聞いてくれば「その辺の料理の本を読んでみてくれないか?」っていうんです。
F 冗談でしょ?(笑)
D もちろん(笑)彼女はシンプルな料理を作るね。仕事以外でもいろいろなレストランへ行くのが好きだから、家では簡単なものを食べてるよ。苦手なものはほとんどないしね。
F 日本料理で一番好きなものは何?
D 日本食は好き。お寿司、天ぷら、懐石料理に鉄板焼き、みんな好きだね。
イタリア料理との違いは、イタリア料理は前菜、アントレ、メイン….と順番はいつも決まっている。日本料理はすき焼きにしても天ぷらにしてもそれぞれ違って、発想自体が料理によって実に様々だよね。うどん、そばについてもそう。まるで別の惑星から来たような感じがする。

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F 今まで会った人で特に感動した、とか、尊敬する人は?
D 昔のローマ法王、ネルソン・マンデラ、彼らのためには料理を作る機会があり、もちろんそんなに深く知っているわけではないですが、それから友人ではないけれどババロッティ、マザー・テレサ、ダイアナ元皇太子妃、大変光栄な時がありました。それぞれ好みが違い食に対する考えは精神的なものと特別な関係がある、ということに因ることが大きいと思います。たとえばマザー・テレサは質素で、ライスなどシンプルなものを好んでました。
F そうですか、まさに“我々が食べ物になる”という言い回しその物ですね。
D その通り。


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F では、最後に。
この料理業界へこれから入りたいと思っている若者達に何かアドバイスを。
D 労力、忍耐力とも要する仕事なので、使命感に近いものを持たなくては出来ないと思います。土日も働き、ほとんど休めませんから。けれど、とても満足感を得ることができる仕事でもある。そして世界へ出る機会を与えてくれる。
また同じ仕事をしたいか、と問われれば、絶対に同じ仕事をする、と答えますね。食後のゲストの笑顔、感謝の言葉、今までで一番おいしい料理だ、と褒めてくれるゲストの言葉は最高ですから。

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コメント (3)

”本物を知る人”

こんにちは、和やかで静謐なコラムを有り難うございます。私には到底雲の上の世界のお話。エンリコ師匠のお料理を口にする事も、お会いする事もないでしょう。しかし、一流といわれるこの方をしておっしゃったこの言葉『使命感』すばらしかったです。
今の日本はほんとうに、職人さんが少なくなりました。料理の世界ではそれが特に顕著のような気がします。わたしが行く小さな町のフランス料理店は、ご夫婦で経営されていますが、お二人ともフランスで修行された方です。味もよく、雰囲気も良いお店です。しかし、平日の夜にゆくと貸し切り状態のときが多々あります。土日でも、近隣のファミレスは満席なのに。個人的には静かでありがたいのですが、子供の頃に、修行した職人の本物の味を知らしめておかなければ、味覚が育たなくなってしまうのでは、と心配になります。日本はファミレス、コンビニ、ファストスード大国です。
私が子供の頃、外食は、年に数回しかありませんでした。家族で行う一大イベント。おそらくヨーロッパではエンリコ師匠のお店にはそれなりの階級の方か、もしくは子供は入れないと思います。もちろん、家族の外食も、そんな敷居の高い店には行けませんでした。が、以前の日本には、寿司でも、天ぷらでも、そばでも、町の小さな料理店でも、若い頃から修行を積んだ板前さんたちが、苦労して出したお店がいくつもあったものです。
騒いで食事をしていれば、お客の子供でも叱られました。今考えれば、料理に対しての『使命感』そういうものがあったのかもしれません。文化は黙っていたら、しぼんでゆくものですね。エンリコ師匠のような方を頂点に、こういう食文化がまだまだ厳然と残る、ヨーロッパがうらやましいとコラムを拝見しながら、思った次第です。

デルフリンガー氏の最後の言葉にいたく感動しました。
「ゲストの笑顔、感謝の言葉、今までで一番おいしい料理だ、と褒めてくれるゲストの言葉は最高です」。
飲食を生業とする人に限らず、あらゆる職業に言えることではないでしょうか。サービスを提供する人と、される人との間のお互いの感謝の気持ち。
日本での飲食関連のお店で、僕が一番気になるのが、客側が、金を出しているのは俺だ的に威張ってる情景です。
何十歳も年上のお婆さんに、「xx持ってきてよ」とか。
君は何様ですか、と言いたくなる。
作る人と頂く人とのリレーションが一番重要であり、大事にしたいと僕は思うのですが。
皆さん作ってくれる人にもっと感謝しましょう。
金出したから偉いってわけではありません。

Long time no see. I rang your former office and learned you had left it. Do touch base with me, your friend who was a MOFA man until last summer, you can guess who, can you not?

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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