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「世界のトップを魅了し続けるイタリア料理界の新巨匠エンリコ・デルフリンガー氏に聞くホスピタリティの真髄」後編 »

「世界のトップを魅了し続けるイタリア料理界の新巨匠エンリコ・デルフリンガー氏に聞くホスピタリティの真髄」前編

D:Enrico DERFLINGHER
L:Fabrizio LAVEZZARI

L “黄金のトリュフ”という賞をもらったんですよね?
D ええ、アスティで行われるイベントですが、トリュフにまつわるイベントの中では最も重要なものです。ワインメーカーが審査員になり、審査されるのですが、受賞できました。トリュフを使った特別なメニューを作りました。それは東京でもアルマーニ・リストランテ、そしてオフィッチーナで再現しました。それと同時にトリュフを2kg売りましたよ(笑)
それはとても大きな反響があって、新聞などの取材も多くありました。これはピエモンテ州知事、アスティ市長と一緒の写真です。こちらは最も美しいトリュフの写真、ここには犬が写ってますが、1ヶ月に35,000ユーロ分のトリュフを穫った犬なんです。このイベントでは面白い企画もあって、広場に砂を撒き、トリュフを隠して犬に探させるというようなこともやってました。
先日はイギリスのチャールズ皇太子に60歳のお誕生日のお祝いとしてトリュフを贈りました。


enrico.jpg


L それは高かったでしょう?
D ええ、1,600ユーロです。高いですよね。
先日、帝国ホテルで行われた大きなトリュフイベントでは、一番最初に見つかったトリュフを日本へ持ってきました。

L そういえば最近結婚されたんですよね?
D ええ、3ヶ月前です。
L それはおめでとうございます。新婚ですね(笑)奥様はイタリア人ですか?
D ええ、結婚式は僕の実家のあるコモ湖で盛大に行いました。たくさん取材もありました(笑)
L 長くお付き合いしてたんですか?
D 3年くらいかな。
L 出身地はどこですか?
D (イタリア)コモ湖の畔です。ヴァレンナという人口700人くらいの小さいけれど、趣のある街です。曾祖父、祖父から、郵便局の馬車が止まれるような感じのホテルのような感じの、ちょうどイタリアとスイスを結ぶ古い街道沿いに宿兼レストランを経営してます。その街道は本当に古くてオーストリアの支配下の時にできたんです。
昔は本当にとても質素なワインを飲みながら過ごすレストランでしたが、その後ワインの売買なども初めました。僕はそのレストランを継ぐ予定でホテル学校へ行ったんですが、その結果として世界へ出て行ったので、そのレストランで働くことはなかったんですが。
L なるほど。ではそのコモ湖地方の典型的な料理はなんですか?
D そうですね、とても質素な料理ですね。保存食が多いのですが、たとえばマリネという料理の調理法はこの地方で発明されたんですよ。同じように魚の塩漬けなどもね。冷蔵庫のなかった時代保存方法。4、50年前まではよく作ってましたね。冬の間、魚は塩漬けして保存してたんです。ポレンタというとうもろこし粉で作ったものもバルテリア地方の典型的な料理ですね。
それと、この地方はイタリアでオリーブの木が育つ最北の地なんです。
他に特徴としてはバターはあまり使わずオリーブオイルが多く、とても健康的な料理で、肉料理より魚料理が圧倒的に多いですね。


DSC04016.JPG


L 世界中を飛び回っていると思いますが、故郷のヴァレンナについて懐かしいと思っていることはなんですか?
D そうですね、雄大な自然、湖があって、山があって、という。
窓を開けると目の前に湖があって、それは絶景ですよ。
L すばらしいでしょうね。では日本に関して気に入っているところはありますか?
D 色々な意味で日本はイタリアと似ていると思います。料理に関しても素材に価値を付ける、素材に対しての思い入れや研究心など、イタリア料理と似ていますよね。素材に対する尊敬は、イギリスやアメリカでは残念なことにあまりないです。日本のレベルにはなかなか及ばないでしょう。したがって、日本は料理人にとってとても仕事がしやすいと言えます。
最近はイタリアでもいろいろなディナーを作ることが多くなりましたが、時々日本の素材や調味料などを取り入れることもあります。
L それは興味深いですね。ちょっと話がかわりますが、今、ホスピタリティ、飲食業界にいるわけですが、そうでなければどんな業界にいたと思いますか?
D やはり具体的な形をつくっていく、という、それも手作業でつくるもの、素材を生かして何かを創造するようなことが好きなので、大工とかになっていたかもしれないですね。ひとつの木材から完成された家具をつくるということは料理と似ていますから。一匹の魚は素晴らしいシチューになりますからね。ただ僕は芸術家ではないので画家とか彫刻家とかにはならならかったでしょうね。
L 次に、あなたの料理を定義づけるとしたら?
D イタリアモダンな料理、ですね。ですが、それはイタリアの地方料理を基本とするものです。イタリアの地元に根付いている、地元の名産物のライスやパスタ、サルサなどイタリアの素材を生かした料理です。
L 先ほど興味深いと思ったイタリアへ日本の素材や調味料を持っていくという話ですが、中国料理など他の国の料理から何か取り入れることもありますか?
D これは全くの私見になりますが、将来、そうですね、100年後はイタリアと日本の料理を融合させたものになるのではないかと思います。その中にタイ料理の要素が少し入っているというような。
5、60年前と違って今は量的にも少なくなり、ただ単に栄養を摂るということではなく、料理は楽しむためのものになってますよね。楽しみながら栄養をとって味わっている。将来はもっと高レベルなものを少量摂るようになると思いますね。日本のようにとても柔らかい肉などを使うというように。
L 新しいメニューをひとつ創り出すとき、どのくらい時間がかかるものですか?
D 二つのパターンがありますよね。ひとつのアイデアがあるとして、一回で成功してしまうこともありますし、試行錯誤をしながら少しずつ創りあげていくこともあります。
市場へ行って目につく素材があって考えつくことや、料理を食べながら思いつくこと、そして素材を試しながら創っていくこともあります。
L 味と見た目ではどちらが最初ですか?
D 僕は『テーブルについたら、まず目で食べる』といってます。まず見た目です。そういう意味では日本料理と似ていますよね。
やっぱり料理は綺麗でなければ、美しくなければいけません。時々スタッフに同じ素材を使ったもので、ひとつは綺麗にプレゼンテーションしたお皿、もうひとつにはそれほどではない普通のプレゼンテーションのお皿を出して食べさせるのです。両方とも同じもちろん同じ調理をしているのですが、まるで違う味に感じとるんです。これは有名な画家が描いたものと、単なるパレットの違いと同じことではないでしょうか?

DSC03994.JPG


L そうですね。見た目はとても重要ということですね。
では次の質問に。
あなたは権力者と言われるような人たちのもとで料理を作った経験が豊富ですよね、たとえばホワイトハウスでの経験はどんな感じでしたか?まずどうしてホワイトハウスへ行くことになったか、教えて下さい。
D まずホワイトハウスへ行く前にイギリスの王室で3年ほど料理していました。その時、レーガン元大統領にお会いする機会がありました。第二次大戦後、初めてアメリカ大統領とロシアの政治家、ゴルバチョフ氏が会うという時でした。そのお二人が会うとき、ヨーロッパのいろいろな王族の方たち、ノルウェーの王様、スペインの王様、そしてもちろんイギリスの王族の方も参加され、その時、レーガン元大統領、ブッシュ元副大統領(当時)のお二人に会ったことがきっかけです。私の料理を大変評価していただき、6ヶ月間働いてくれないかということで行ったのですが、結果的に6ヶ月ではなく2年ほどいました。その後5年間の延長の可能性もあったのですが、残念ながら再選はなく、クリントン氏に決まりましたので…。政権が共和党から民主党に変わり、スタッフは総入替になりましたから。
L ホワイトハウスの厨房には何人くらいが働いているんですか?
D 大体10人くらいですね。イベントによりますが、週末には大統領の家族が集まりました。元大統領は大家族だったので3〜40人くらい集まりました。ホワイトハウスは場所は変わらず、ホワイトハウス内での仕事です。それに対応してました。
イギリスの王室はそれとはまた違いますね。イギリス王室の場合は6つのお城とボート、それに王族専用列車がありますから。それにエリザベス女王とチャールズ皇太子、ダイアナ元皇太子妃と、それぞれです。いつも王族に一緒について様々な場所を回りました。
L 差し支えなければ、元大統領の好きな料理、イギリスの王族、その他の方たちの好きな料理など教えて下さい。
D 元大統領はテキサス出身だったのでやはり肉料理が好きでしたね。グリルしたもの、赤ワインソースのフィレ、黒トリュフを使ったフィレなど、こういった料理はアルマーニ・リストランテでも紹介しましたが。
イギリスのダイアナ元皇太子妃はパスタがお好きでしたね。リングイネやタリアテッレなどの長いパスタ、チャールズ皇太子は詰め物の入ったラビオリやトルテリーニ、ラザニアなどですね。イタリアにはいろいろなパスタがあったので“もってこい”のお客様でした。
イギリス王室は400年くらいずっとフランス料理だったので、かなりこってりした、ソースの多い料理だったんです。それに合わせ厨房もかなり….お鍋なども大きく重いものでした。それを僕は全部入れ替えました(笑)シンプルなものにしたのです。
エリザベス女王の誕生日は1000人くらい人が集まります。それだけの料理をつくります。でも翌日はお二人だけ、ということもあります。そういったことにあわせ、柔軟な体制を作る必要がありました。あの3年は素晴らしい経験をしましたね。
(後編へ続く)

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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