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2009年3月16日

「自分の資産を守る、事業を伸ばすための強い味方−ファイナンシャル・プランナー業」後編

L ラベツァリ
K 川田氏

L 未曾有の危機といわれる経済状態で、金融業界、金融商品そしてFPの仕事は変わりますか?
K う〜ん、やっぱりここでFPの手腕が本当に問われると思うのね。というのは、日本でもつい数ヶ月、一年前はITバブルが残っていて上向きだったじゃない?その時に目先のことだけを考えて、お客様の目先のニーズだけをみて、ポートフォリオを組んで、アドバイス・提供した所は、今そういうFPはお客様からすごくクレームが出て、お客様のアセットも6掛けや半分になっちゃったりしてるじゃない。それで、やっぱり淘汰され始めている。ちゃんとコンスタントにお客様のライフ・プランを中・長期に見ているFPはやっぱりお客様の運用口座とかは伸びているのね。今の時代であっても、逆に伸びていると思う。
L たとえば、何を買われていたんですか?
K それは、貯蓄型の、毎月引き落としがされる投資信託とかね。要は401Kに近い、自分のリスクを取りながら運用していくという。まぁ、そういうようにアドバイスができるFPが勝ち残ってる。あとは市場がどう変化していくのか誰も読めないじゃない。だからなるべく僕や他のFPにすすめてもらっているのは、いつもマーケットにいるようにしてくれ、と。上がったり下がったりというのを読むのは難しいじゃない。だからなるべく、引き落とし形でも負担のない形で運用していって、全体のリスク分散を図って運用すると、そうすることによって5年10年後の資産形成に跳ね返ってくるでしょ、というような。
だからお客様に対してきちんとアドバイス出来るFPが、16万人いるFPの中で、本物が残ってきている、淘汰されてきている、こんな印象がある。

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L このウェブジャーナル の読者に対して、現在の状況を乗り切るためのアドバイスをお願いします。
K 僕は極力持たざる経営といってる。要は無駄な資産は売却してキャッシュポジションを上げていく、維持していく、無駄な経費を押さえてキャッシュポジションをもっておく。金融機関に対する返済も、その期間を延ばしていく交渉とかのキャッシュ戦略をきちんと組んでいくことが大切、というような話をしていっているのね。リスク経営していってもいいんだけど、そうしていくとき、きちんと計画を立てて、銀行との付き合い方も銀行の立場にたちながら、銀行マンとコミュニケーションする力が必要。これはすごく大切。銀行サイドも貸し剥がしとかの動きも出てくるだろうし。だから赤字だったら赤字でもいいけど、それをきちんとタイムリーに金融機関なり、なんなりに報告しなければいけない。
それともうひとつ、今の経済危機が、たとえば地震でいうと震度5や6だとなったときにする、じゃあ8だったらどうするんだと、10だったらどうだと、イメージを3段階くらいに分けて考える。じゃあ10だったらと考えた時、1年間売り上げがないかもしれない、なかった時にどうやって会社を維持するのか、これをリスク・マネージメントとして、経営全般としてきちんと数字上から計画建てておく事が大事だと思っている。やはり準備する力が必要。たとえば社員を一斉に解雇するんじゃなくて、社員を解雇しないで、給料をどうやってダウンさせていったら維持出来るのかと、それで景気が戻ったらその給料はこうやって払うよ、ということを約束して、だけど現在の身分は、最低限これだけはやるからと保障する、とすると社員は安心して働けて、今を凌げるじゃない。それと重要なことは、自分の今の本業が、経済環境を考えたときにこれはダメだといったときに、冷静になって、マネーのポートフォリオではなくて、事業のポートフォリオの中で、この商品が伸びるかなとか、人材に資金をいれるとか、事業体を育てるというような、事業ポートフォリオもやった方がいいと思っている。もし本業がキツイと本当に思っているのならばね。
じゃあ、どの事業が成功するのか失敗するのかって、中小企業の人はなかなか読めないでしょ、そういうときにやっぱり押すべきボタンを持っている人とか、先を読んでいる人、成功している事業をやっている人とのコミュニケーションをすることによって、この商品はこういう風に成功していっているんだなってわかるから、先を読む努力をしながらポートフォリオを組んでいくことを心がけるということだよね。
L それは確かにできると思うけど、今の世の中で、これだけ技術が進んでいる中で、最終的には資金がないと何もできない。たとえばこの商品はいける、と思っても資金ができないと、なかなか難しいですよね。今資金出し手は、ほとんどクローズしてる状態じゃないですか。この資金の出し手が動くために何が起きればいいですか?ただ時間が経てば、自然に戻る、ということですか?
K 僕が思うのは、中小企業の人が事業計画を立てるときとか、新商品を計画する時、身の丈にあった事業計画を立てないことが多いんだよね。だから大きな商品を作るから、3億、10億引っ張ってこよう、じゃなくて、まず自分のできる範囲、100万しかなかったら、その100万を使って出来ること、凌げること、そういう商品という発想に立つべきだ、あるべきと、僕は思っているの。金融機関に対して、というか今金融機関はクローズだけど、でもお金を持っている投資家や経営者は、周りに必ずいる、と。その時に直接金融としての活用をどう考えるのか。僕は自分でも投資して企業を育成したりというようなことをやっているんだけど、その時に痛烈に感じていることは、資金の受けてたる経営者がお金の有り難みとか、そういうことをわかっていないとか….
だから今僕が経営者に対して、徹底的に言っていることは直接金融をとるんだったら、株主ときちんと契約書を交わせ、ということ。単に資金を受けるだけじゃなくて、コミットメントラインを全部契約書に落として、月々の売り上げが○○パーセントダウンしたら、株を買い取ります、とか、四半期ごとにダウンが○○パーセントだったら買い取ります、とか。
L まるでほとんどローンのようですね。
K そうそう。でもそうすれば資金の出し手も安心するんだよね。出し手として一番怖いのは、いざ教えてもらった時には、倒産寸前だったということよね。そうなると株を買い取るなんて事は無理なんだよね。だから、継続的に、四半期ごとにフィードバックされてコミットラインを追いかけることができれば、安心できるのよね。あと、月一回の役員会議に株主をオブザーバーとして呼べ、ということ。状況をきちんと報告するということよね。やっぱり今までね、そういう努力が経営者側に足りなかったんだよね。そういうことを経営者自ら工夫していくことが大事だよね。

L では、次はまったく話が変わりますが…
もし金融業界にいなかったとしたら、今何をしていると思いますか?
K あ〜、金融業界にいなかったらね….でも何か商売はやっていると思う。
もともと日生でサラリーマンになった時も5年たったら、何か自分でやろうと、目標を決めてサラリーマンになったのね。だからもしかしたら飲食店をやっているかもしれないし、何やってるか、わかんないよね(笑)
親戚中、みんな商売やっているのよ。飲食店も多いのね。飲み屋からイタリアンまで(笑)
L まぁ、じゃあやっぱり独立して事業を興してたんでしょうね(笑)
え〜、僕のコラムのテーマは『美と理の狭間』ということで、ファッションも絡めてやっているんですが、川田さんとファッションの関係について話していただけますか?あるいはファッションに限らず、美しいものアートなどでもいいですけど。
K 僕が心掛けているのは、お金をかける、かけないではなくて、一流を知ろう、ということかな。一流のものを知っておけば、二流、三流の目利きがきくから、そういうような意識は持っている。じゃあ、さりとて何十万、何百万のスーツを着ているとかそういうことではなくて、やっぱり相手に合わせて、相手が気持ちいいスタイル、相手が心地よく思うスタイル、女性と会う時は女性が心地いいスタイル、年配の経営者と会う時は年配の経営者が心地いいスタイルをなるべく心掛けてはいる。T.P.O.というよりは相手の価値観に合わせられるファッションにしたいな。
L 最後の質問ですが、日本の消費者はブランドに対して、非常に敏感で、たくさん買ってきたと思うんだけれど、この激変の時代、日本の消費者の購買行動というのは変わっていきますか?
K おそらく、むやみやたらに買ったり、投資したりというような事は控えられていくんだろうな、とは思う。これはある程度のリッチクラスにしてもね。今、全体的にそういうムードだよね。控えようというムードがあるから、消費は弱まってくるんだろうと思ってる。だけど、止まるんではなくて、本物を目利きして買っていく、本物を選択して買っていく、無駄な投資をせずに買っていくという行動とともに、お客様のマネーバランスというかマネーポートフォリオの組み替えがシニア層から一斉に起こると思っているのね。これはどういうことかというと、シニア層の人がマネー運用に失敗して老後の資金が半分になっちゃったというと、若い人との運用とは違うから、自分の持っている不動産を売却しなくちゃならないとか、マンション売却しなきゃとか、別荘売却しなきゃとかの個人の資産リストラが始まるから、そういう点でいくと、整理するベクトルと本物を選ぶベクトルっていうような両輪なんだろうな。でも消費は止まらないと思うし。
止まらないんだけど、ムードをもうちょっとね。消費っていうのはマインドで動くから、マインドを上げれば、消費は動くよね。人の欲求は止まることはないと思っているから。
L 止まらなければいいですよね。消費することをみんな今は怖がってますよね。
K そうむやみに怖がってるのよ。さっきも話したけど、老後の資金も分析せずに怖がっちゃうし、中小企業の経営者も3段階で分析しておけば、そんなに怖がることないじゃない。自分にとっての安心のメルクマールのラインの分析が出来ていないから、一緒になって慌てちゃうの。そういう分析を個人も企業もやっていかなくちゃいけないよね。

L 今日はどうもありがとうございました。

Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

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