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「世代を超えて職人芸を引き継いだブランド・GUCCIの魅力」後編

L : Fabrizio Lavezzari
M : Katherine Merchior Ray

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L ではこれから、あなた自身のことについてすこしお聞きしたいのですが?
あなたはアメリカ人ですね。どちらの出身ですか?
M サンフランシスコ出身です。
L サンフランシスコについて懐かしいと思っている所はありますか?
M そうですね、青春を過ごした時代のサンフランシスコは懐かしいです。今は当時とは少し変わってきていますが、あの時代は多種多様というような文化をサンフランシスコは持っていました。サンフランシスコは金融主導の街ではなく、文化主導の雰囲気を持った街でした。
当時、イタリア街にはよく行きました。そうした時、カップチーノを飲んだり、ヘーゼルナッツのジェラートを食べたり….とても懐かしいですね。
15歳のとき、イタリア街のジェラート屋さんでヘーゼルナッツを食べたことがとても印象深く記憶にあります。またヒスパニック文化に溢れていて、タコスを食べたり、食事がとてもリーズナブルで、踊りに行ったりもして、まったくの別世界でした。カリフォルニアというところはNYとは違って、かなりニッチ的な文化志向が強く、健康志向も環境志向も高く、ゲイ・コミュニティも多くありました。当時はゲイの友達もたくさんいました。私が今いる業界はゲイの方がとても多くて、その当時の経験から、個人の宗教、性別、趣味嗜好に関係なくお付き合いできるようになりました。異文化に対して接することを学んだ時代でもありました。そのおかげで日本やヨーロッパで生活出来るようになったと思っています。

L これから先、日本から出ることになったら、日本のどんな所を持って行きたいと思いますか?また、日本のどんな所が好きですか?
M そうですね。いくつかありますが、日本は大好きです。特に昭和の時代が好きでした。今の時代の方があの頃より、どこでも英語が通じますし、より洗練されてきて外国人としては暮らしやすいと思いますが、でも昭和時代が好きです。その当時、高円寺に住んでいて、近所に銭湯がありました。仕事が終わって家に帰ってから銭湯に行ったりしてました。より人間らしかったと思います。高円寺も下町っぽい雰囲気だったんです。それはフジテレビに入った頃の話ですけど、もう20年くらい前のことになりますね(笑)。
今はよく地下鉄に乗るのですが、人間観察をしたりしています。みんなとても歩くのが速いですよね。私はご覧のとおり背が高いから歩くのも速いんです(笑)でも周り中みんな信じられないくらい速いですよね(笑)
何を持って行きたいかというと、“人を思いやること”“尊敬すること”“マナーを守ること”ということですね。“人を思いやる”という表現が大好きです。
今、子供を日本で育てていますが、日本人の“思いやり”を彼らに教えてあげたいと思います。それから治安の良さですね。日本は外に出てもとても安全ですね。日本人はそれを当たり前と思っていますが、とても恵まれていますよね。他の国だと常に安全に気を使う、という意識があって、毎日を過ごますよね。
この“思いやり”と西洋風のサービスをアレンジして、サービス産業として世界を制覇したいのです。
たとえば海外では有料でシューズを家まで届けます。日本では基本的なことです。また日本のホテルのサービスは最高ですが、融通は利かないですね。堅いサービスともいえます。このサービスの質の高さをもっと柔軟にアレンジ出来れば最高だと思います。
柔軟になるということは、そんなに難しくはないことだと思います。基本はしっかり教育されいてるのだから、あとは想像力を働かせれば良いのです。

東京について好きな所はハイプロファイルとロープロファイルが上手に共存してるところです。たとえば東京ではオペラの帰りに居酒屋で焼き鳥を食べる、漫画を読む、なんていうことが平気でできます。ですがヨーロッパやNYではありえません。


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L それはどうしてでしょうか?ヨーロッパ人は気位が高いということでしょうか?
M そうではなく、それぞれの要素を深く味わえないということだと思います。『私は洗練されているから、洗練された趣味しか持たない』というようにそれぞれのグループの趣味を自分たちでとても限定してしまうのです。
L それはヨーロッパが階級社会だからでしょうか?
M そうかも知れませんね。日本ではみんな中流という意識がありますから、雰囲気も同じようになっていますし。ただし、同じような雰囲気なのにそれぞれかなりマニアックなところがありますね。それにプラスして、それぞれ趣味がとても広くて、これらは自分たちや他の人にあまりレッテルを貼らないということに通じていると思います。たとえば『私は漫画が大好き、もちろん高級料理も大好き』というようなことです。とても素晴らしいことだと思います。そういう意味では日本人はとても柔軟性がありますね。さきほど言ったホテルのサービスなどは堅いと思いますが、こういう所は本当に柔軟です。また日本では仕事帰りに同僚と飲みにいって、大騒ぎをしたとしても、翌日会社で、何かを言われることはありませんよね?ヨーロッパなどだとそうはいきません。会社で誰も相手にしてくれなくなります(笑)そういう所はヨーロッパのほうが堅いですね。人にレッテルを貼ってしまうんですね。
L 同僚とよく飲みに行ったりしますか?
M ええ、よく行きます。もっと行きたいのだけれど、今は子供たちが大きくなってきたので、なるべく子供たちと過ごす時間を持つようにしています。その時は、子供としてではなく、むしろ小さい大人として接するようにしています。とてもおもしろいですよ。もうすぐ否が応でも独り立ちしてしまうから、それまでの時間を大切にしていきたいですね。そういうこともあり、前ほど...マスコミで働いていた時ほど、外に出ることはなくなりました。
当時は独身でネットワークを基に使って仕事をしていましたし、イベントなどもありましたから、外に出る機会が多くありました。今の仕事ではそういうニーズがそれほどでもありませんから、必然的に少なくなりました。

L また日本の文化の話に戻りますが、現在の日本文化はかなり両極端ですよね。たとえば茶道の茶室のように、部屋からほとんどの物を持ち出して、掛け軸など最小限のものしか残さないようなかなりミニマリズムな文化と、漫画やアニメなど派手でかわいらしいものが部屋中あふれているような文化、どちらが本当の日本の文化だと思いますか?
M そうですね、その二つを分けることは難しいと思います。
一時的に切り離すことはできても、本質的に切り離すことは出来ないことだと思っています。その両極端が日本の面白さだと思います。海外でも日本の伝統芸能などは、良く知られていますが、みんな日本に来て、日本の文化に深入りすると、とても面白く感じると思います。あまり知られていないところに入り込むと本当に面白いです。漫画とか原宿ギャルとかすこし子供っぽい所もありますよね。(笑)
海外から見ると洗練されていない側面も多々ありますが、それは私たちの考えが堅くて評価出来ないから、理解出来ないということなのかもしれません。
私はマスコミで働いていましたから、日本のポップカルチャーに深入りしたことがあります。女性としては、少し退いてしまうようなところもありましたが、それは私の価値観、とくに女性らしさとしての考え方にあまりマッチしなかったということで、理解が難しかったところがあります。
女性として考えてみるとヨーロッパの方が暮らしやすいですね、居心地がいいのです。アメリカと比べてもヨーロッパの方がより女性として居心地がよくて、より女性らしさをアピールできます。


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L 日本の男性についてはいかがですか?このところ、だいぶオシャレになってきたと僕は思っているのですが。
M そうですね、すこし変わってきてるとは思います。少しも変わっていないと感じるところもたくさんありますが。会社員の男性の価値観はあまり変わってきてはいないと思います。黒いスーツでアタッシュケースを持っているのをよく見かけます。彼らは人にぶつけないように気をつけながら歩いていますよね。
それでも世代は変わってきていて、最近採用した会社の若い男性たちはとても個性的なファッションをしています。とても個性的な靴をスーツに合わせたり、ヘアースタイルも凝っていますよね。爆発してるように見えるときもあります(笑)もちろん会社ではスーツを着なくてはいけませんが、そうやって少しずつ変わってきているとは感じます。
日本の女性たちはかなり変化していますね。女性らしさを出すようになってきていると感じています。でもまだまだ完全に女性らしさは出ていないですね。身長も高くなりスタイルは良くなって、ミニスカートも着て、見た目はセクシーな服を着ていますが、セクシーさは出ていませんよね。これは日本の男性と話したことですが、日本では首の後ろ(うなじ)にセクシーさを感じるのですね。綺麗で芸術的ではある、と思いますが私はセクシーだとは思いません。まだまだ、セクシーさというのは日本で未開拓だと思います。
私の立場のイメージとしては、外資系のファッション・ブランドということもあり、女性らしさはとても重要です。日本の女性たちは身だしなみもスタイルも変わってきて格好いいけど、女性らしさに欠けている所があります。
仕事をする女性としては、女性として見てもらいたいのか、プロフェッショナルとして見てもらいたいのか….私は三大陸それぞれで働いてきていますが、アメリカ人の女性は仕事の場では女性としてみてもらいたくない、プロフェッショナルとしてみてもらいたい、と思っています。けれどそれはもったいないと思います。ヨーロッパでは仕事で地位を持っていても、それぞれ女性らしさ、男性らしさを保っているんですよね。
日本の会社では女性が能力を発揮することは伝統的に難しいことですよね。日本では、西洋人の女性として、楽には感じています。なぜなら、女性である前に既に私は外国人であって、彼らは『自分達とは違う』と思うのです。でもそうではなく、私の女性らしさをもっともっと評価してほしいと思います。そうすれば、会話ももっと楽しめるはずです。私はインフォーマルな場では日本人の女性と同じようにお酒を注いだりもします。そうする方がその場が和やかになりますよね。日本的な女性らしさをそういう場では出していいと思っています。そうすれば、またみんなリラックスして楽しめますよね。
それもまた“思いやり”ということですよね。
L そう、僕もそれは“思いやり”だと思います。
それでは、次はファッション業界でこれから働きたいと思っている若手に何かアドバイスがあったらお願いします。
M そうですね、創造性はもちろん大切です。ただ、この業界自体大きなビジネスであるということを忘れてはいけません。想像力に溢れたクリエイティブな人たちと、数字を考える人たち、その両方を相手にしていく、ということがファッション業界で働くということです。それは無駄も多く、表面上はとても矛盾していることです。それをうまくコントロールしていくことが仕事です。


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L 確かに外部から見ると、ものを作って、それを破棄したり、また何度も作り直したりして、無駄が多いようにみえますよね。
M でもそれがファッションということなのです。普通の会社に研究開発のチームがあることと同じです、それがファッション業界です。
そして、この業界は映画と同じようにシーズンによって、あまり良くないものが出来上がることがあることも承知しておかないといけません。でもそのことでクリエイティブな人たちを縛ってはならないのは当然のことです。知的なところも多分にあって、フランスではとても知的な人が多いですね。
ファッション業界は、たとえば綺麗な服が着られるというような、特に表面的なところだけを捉える人が多いのですが、とても深いものがあり私はそこに惹かれています。
L そうですね。ファッション業界もとても奥が深いですよね。
今日はどうもありがとうございました。

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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