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「世代を超えて職人芸を引き継いだブランド・GUCCIの魅力」前編

トランク屋からファッションハウスへの変革、そして日本で働く外国人女性管理職の体験談をグッチ・ジャパンのブレーンで美貌の持ち主、キャサリン・レーに聞く。


L : Fabrizio Lavezzari
M : Katherine Merchior Ray

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L ここのオフィスは店舗と同じビルの上なんですね。
M そう、とても便利です。
L この表参道のようにショップと同じビルの上の階に本社があるということはどんな所が便利なんですか?
M このグッチのように特に小売をやっている場合は本社とショップが近いということは、商品に近いということだから良いことだと思います。以前,在籍していた会社は近くだったのですが、道路を挟んでだったので、やはり少し不便を感じていました。ここのようになっていると、時間があれば、すぐにショップへ足を運べて、たとえば、商品の陳列が変わったこともすぐにわかりますし、お客様の流れもみえるので、とてもよい環境にあると思います。
L ショップにはどのくらいの割合で顔を出すのですか?
M そうですね、毎日ではありませんが、週に一度くらいは店舗へ行くようにしています。ここの下のショップへも、他のショップへも同じように足を運びます。ショップへ行けば、一日を飽きずに過ごせます。
L ショップのスタッフにとっては本社の人間が顔を出す、ということがいろいろな意味で励みになりますよね。
M そうですね。とても喜んでくれていると思っています。小売をしているということは、店舗の状況をよく把握しておかなくてはいけないですから。役員が個室に閉じこもってばかりだと、店舗とのコミュニケーションが取れなくなりますし、現場のことがあまり良くわからなくなります。あまりにも顔を出さないでいると指示だけを出すという、トップダウンになってしまいます。
L ずっとファッション業界にいたんですか?
M いいえ、マスコミ業界出身です。フジテレビにいました。

L そうなんですか、おもしろいですね。
M 2005年に日本へ戻って、慶応大学に入って、そしてグッチに入社したんです。
L 僕も以前は野村證券という日本の会社にいました。ご存知ですか?新入社員として、その時は社歌も歌ったこともあります。
M もちろん、野村證券は知ってます。社歌って、会社の歌っていうことですよね?どんな感じの曲だったんですか?
L あまり覚えてませんけど、日本の行進曲のようなものだったような…..(笑)
M それは朝から唄っているんですか?
L いや、それは入社式のときに唄ったんですよ。
それはそれとして(笑)どうして、マスコミからファッション業界へ入ったんですか?
M そうですね、その理由としてストーリーを語るのなら、まずこの業界とマスコミ業界とは似ている所がある、ということから始めなくてはいけませんね。マスコミ業界での優秀な記者は、あるニュースを解釈していって一般視聴者に考えさせることができる、ということ。ただ単に情報を伝えるのは簡単ですが、ニュースの解釈というのは事実に基づいて、知恵を絞って何らかのパターンを見いだして解釈していく、ことだと思ってます、これはあくまでも私見ですが。そういう意味でブランドのマーケティングと同じような感じなのです。ブランディングということは難しいことです。いくつかの事情事実をもって、会社の沿革、商品の構成、価値観や変革、品質、ストーリーなどをどういう方法でわかりやすく消費者に伝えていくのか、ということです。私はそういうことを考えることが好きなのです。


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L 次に日本はついてはどう思いますか?
M 日本のお客様はよく話を聞いてくれます。でもその前提条件として、グッチには品質、アピール出来るストーリーがあるということなんです。日本のお客様は商品に対してとても期待感が高く、まず品質に対して高い要求があります。その国の文化によって違いますが、特にアメリカなどでは、品質よりも低価格で見た目の良さが好まれる傾向があるのですが、日本は違いますね。
L 最近は日本でもZARA、H&M、ユニクロのような量販店の進出が目立ってきましたよね。どう思いますか?
M そうですね、確かに量販店は多くなってきています。それでも日本の消費者は価格よりも品質を見定めて、良い物だと見極めれば、高くても購入しています。もちろん価格には敏感ですが、品質を見極める眼をもっていますね。低価格のものを買ってはいても、品質その他、違いをわかって買っています。他の国のマーケットではただ単に安ければいいということもありますが。

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L さきほど出ましたが、それぞれブランドには裏の、というのかストーリーがありますよね。グッチの名前はよく知られていますが、グッチというブランドの歴史について教えていただけますか?
M はい。私の気に入っている話題です(笑)
1921年フィレンツェでグッチオ・グッチによって創立され、その最初の広告はピクニック・トランクをギフトに最適なものです、ということを打ち出した広告でした。それを見ていて二つほど思いました。まずひとつめは、彼は何をやろうとしていたのか、これはとても重要なことです。あまり知られていませんがグッチはロンドンのサヴォイホテルでトレーニングを受けました。当時でいう職人階級の出身でしたが、ホテルで大勢のお客様たちに接する機会がたくさんあって、その人たちが持っているトランクをよく見ることができたのです。そして、その時、そのトランクたちはとても綺麗なものだけど、フィレンツェに帰ればもっといい物ができるとグッチは考えたのです。そうしてフィレンツェへ帰り、いろいろな角度からみて、トランクを創り上げるようになり、また革を使い、自分なりに改良して、そう、それぞれのライフスタイルやファッションに合わせるように創っていったんです。ロンドンでのセレブ的な要素とイタリアの雰囲気を織り交ぜて作りました。フィレンツェは何と言っても革の職人芸で有名ですし。
もうひとつは、このトランクをギフトに最適だというマーケティングを考えた、ということです。グッチはマーケティングの先駆者だと思います。時代を超えて色々な要素をとりいれ、アメリカやヨーロッパに行き、たとえばグレース・ケリーに似合う雰囲気のものを創り、そして彼の子供たちも後継者のトム・フォードも時代の空気にあったものをつくり出してきています。そうした絵皿や家具などを見ていても、それまで見たこともないものを10年ごとにそれぞれの時代に合ったものをつくってきてます。今もたとえばマドンナやリアナといった人たちとiPodとのコラボをしています。
マドンナは50歳になりますが、とても魅力的ですよね。彼女はかなり以前から、そうですね、20年くらいになりますね、グッチのファンで、一昨年もチャリティを一緒に催しました。その時、デザイナーのフリーダのリアナに会い、広告に起用することが決定しました。
最近、これを受けて音楽とのコラボが進んでいますね。
私の娘は15歳ですがグッチのファンなんですよ(笑)グッチは常に時代に合っているということですよね。


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L グッチの顧客は幅広いと思いますが、性別、年齢、所得とかどんな感じですか?客層が広過ぎて、同じ店舗でやっているのはマーケティングが難しくありませんか?
M ええ、難しいですね。どの店舗も客層がとても広いですが、それはそれでとても嬉しいことだと思っています。ビジネスチャンスが広がります。ひとつのブランドでレディーズ、メンズとアピールできるところはなかなかありません。グッチは男性、女性も一緒にアピールできるので、カップルでお買い物ができます。職人的な作り方だから品質も当然高く、またこういうブランドなのでファッション性も高く、それを上手融合させています。
グッチと同じようなクラッシックなブランドの中にあっても、あるところでは品質はとても高いけど、ファッション性に欠けていたりしますよね。グッチはそれを両立させていると思います。
たとえば、ここにひとつバッグがあるとします。そのバッグは品質が良くて、お母さんが持っていそうだけど、いつの時代につくられたものかわからない、しかもファッション性も高くない、となりがちですが、グッチは品質ももちろん良く、伝統的な要素も含まれていて、ファッション性にも長けています。
そしてグッチではクラシックな物が欲しければ、カシミヤのセーターを買ってみる、そういったものははあまり派手ではなく上品に着こなせます。逆に周り中に見せつけたくなるような商品もあります。だから一日の中の様々なシーンでグッチはそれぞれのシチュエーションにあった演出ができる商品を選べるのです。


L ではこれから、あなた自身のことについてすこしお聞きしたいのですが?

(後編へ続く)

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Profile

Fabrizio Lavezzari(ファブリツィオ・ラベッツァリ)

-----<経歴>-----

1965年ミラノ生まれ。
日本の金融および小売市場に独特な経験を持つ。
ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン副社長、プレシディオ・ジャパン代表取締役、ジョルジオ・アルマーニ・オーストラリア取締役を経て、現在、経営コンサルタントとして活動をしている。
以前は欧州最大の国債ブローカーのMTS日本支社長を務めてからUBSウエルス・マネジメント・イタリア信託銀行のCOOを勤める。又、野村證券、ABNアムロ証券およびUBS証券にて国際金融市場における豊富な経験を持つ。
南山大学経営学部経営学科卒。イタリア語、英語、日本語は堪能。

BookMarks

-----<著書>-----


『イタリア 男の流儀(しきたり)』
2007年9月、阪急コミュニケーションズ

→ブック・こもんず←

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