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2013年1月29日

パフォーマンスのてんこ盛り

 このひと月余りの安倍政権は、打ち上げ花火を次々に仕掛けてメディアを巻き込み、パフォーマンスに全力を挙げてきた。高い支持率でスタートを切らないと先行きに不安があるからである。

 総理自身が「ロケットスタート」を頻繁に口にするのは、小泉政権の発足当初の高い支持率を意識している。それが長期政権をもたらしたと考えるからである。確かに小泉政権の発足時の支持率は80%を超えた。「自民党をぶっ壊す」と叫んで政権交代並みの変革を訴えたのが功を奏したのである。

 その数字には同じく自民党政治を痛烈批判した田中真紀子氏への支持も含まれていたかもしれない。小泉総理が田中外務大臣を更迭すると支持率は一挙に40%以下に急落した。しかしその後の北朝鮮訪問で拉致被害者の一部を連れ戻すと再び回復し、それからの支持率は60%前後で推移した。

 安倍政権が打ち上げ花火の中心に据えたのは「経済再生」である。リーマンショック以来の世界的な不況の中で消費増税を強行し、財政健全化を図ろうとした野田政権に対し、最も「変革」をアピールできる課題だからである。そこで財務省・日銀が主導してきた野田政権の金融財政政策を一変させた。日銀にさらなる金融緩和を要求し、財政出動によって公共事業を増大させる事にした。

 そのための方策である金融政策、財政政策、成長戦略を「3本の矢」になぞらえ、それぞれの会合を連日にわたり報道させて国民の意識に「仕事ぶり」を植え付け、会議のパフォーマンスだけで国民に期待感を抱かせるようにした。メディアを利用して国民の目をくらませたかつての小泉政権とよく似ている。

 しかしいくら会議を開いても、日本経済が安倍政権の思惑通りになるかと言えば、それは全くの未知数である。特に成長戦略の具体論は全く見えず、国民はどうなるか分からない事に期待を抱かされ、小泉時代にあれほど批判されたメディアは再び同じ役割を演じさせられている。

 ただ景気の「気」は気持ちの「気」であるから、このパフォーマンスが景気回復に寄与する事もある。それを見込んで安倍政権は一生懸命メディアを利用したパフォーマンスを繰り広げているのかもしれない。アメリカや欧州の経済が持ち直してきたことから円安・株高が進行していることも安倍政権にとっては幸運だった。しかしこれは何の実態も伴わない一過性の現象であるかもしれないのである。

 前にも書いたが小泉政権は景気を回復させ株価を上昇させた。しかしその裏側では格差社会が拡大した。大企業や大企業を抱えた都市部は潤ったが、中小企業や地方は痛みに悲鳴を上げた。その潤った大企業もグローバル競争の中では、競争に打ち勝つために内部留保をどんどん増やし、儲けを賃金の上昇や雇用の増加に向けることはなかった。しかも雇用されたとしても規制緩和によって劣悪な条件が待ち受け、今では非正常な雇用が巷にあふれているのである。

 日本経済が直面している大問題はデフレからの脱却ではない。それよりも経済を活性化させるための中間層の創出や、労働力人口が減少していく少子高齢化社会に備える方策を考える事で、それこそが日本に本当の「強い経済」を創り出す。安倍政権は経済の現象面に目を奪われ、国家の歴史的課題に目を向けていない。

 冷戦に勝利して自らの資本主義を過信するようになったアメリカは、それを「正義」と信じ、自らと同じルールを世界に波及させる作業に乗り出した。それがグローバリズムである。移民の流入により賃金が上昇しないメカニズムを持つアメリカは、「春闘」で定期的に賃金を引き上げる日本とはまるで仕組みが違う。

 彼らは賃金を上昇させなくとも物価が下がれば良いと考える。商品は最も安い国から輸入する。冷戦時代には世界市場に参入する機会のなかった途上国をアメリカは市場に引き入れ、低賃金国で作られた商品が世界に出回るようになった。それとの競争がデフレ経済をもたらす。

 その一方でアメリカの金融資本は規制緩和を追求した挙句に破たんした。それが欧州に飛び火すると世界の金融資本は欧州の国々の財政破綻を投機の対象にする。それが欧州の信用不安を招いた。貯蓄もなく実体経済の脆弱な国はファンドマネーによって破たんさせられる。そのマネーが今やフランスと日本を破たんさせる事で利益を上げようとしていると言われる。

 そうした状況下で火元のアメリカでは、オバマ大統領が格差社会を否定し中間層の創出に意欲を示す二期目の就任演説を行った。アメリカ型競争社会とは異なる「価値観」のアメリカを創り出そうとする意欲が感じられ、冷戦後を模索するアメリカの歴史が動きつつあると私は思った。

 それに比べるとデフレからの脱却を掲げる「アベノミクス」は参議院選挙まで期待感を持続させるためのただのパフォーマンスに見える。「3本の矢」の成果を国民が実感するのは参議院選挙の後になり、それがまた国民に悲鳴を上げさせることになってもその後の3年間は選挙の洗礼を受けずに済むからである。

 それが日本の歴史にどう作用するかなど考えていないようで、パフォーマンスのてんこ盛りにはうんざりさせられる。もっともパフォーマンスに全力を挙げるのは自分のやろうとしている事に自信が持てないからなのかもしれない。
 
 

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第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
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※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で忘年会を行います。

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第1部:1500円
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JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
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【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

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(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

2013年1月23日

オバマの挑戦

 オバマ大統領の2期目の就任演説に、アメリカの「伝統的価値観」に対する挑戦を感じた。議会との「ねじれ」でオバマ政権の2期目は厳しい政権運営が予想されるが、しかしオバマは共和党とは異なる「価値観」を打ち出す事で政権の総仕上げを考えているようだ。

 1期目のオバマ政権に立ちふさがったのは草の根保守の「ティーパーティ運動」だった。彼らは、リーマン・ショックで経営不振に陥った自動車産業や金融機関を救済し、国民皆保険制度を導入したオバマを「社会主義者」と非難し、財政赤字が将来世代の負担を増やすとして「小さな政府」を要求した。

 また「建国の父の思想に立ち戻るべきだ」と主張し、キリスト教の信仰に基く「伝統的価値観」を重視する中絶禁止や同性婚の反対を強く訴え、不法移民にも厳しい姿勢を見せた。この「ティーパーティ運動」が3年前の中間選挙で民主党を惨敗させ、オバマ政権は「ねじれ」に苦しむ事になった。

 昨年の大統領選挙でもオバマは獲得選挙人数では大勝したが、総得票数では僅差であった。共和党との接戦を制したのは移民、女性、同性愛者などの支持を獲得したためで、いわば「伝統的価値観」に対する「新しいアメリカ」を取り込む選挙戦術が功を奏したと言える。

 この選挙結果を意識したかのように、オバマは草の根保守が必ず言及する「建国の父の思想」から演説を始めた。そしてそれを「伝統的価値観」とは逆の方向に利用した。「アメリカの独立宣言はすべての人間に自由と平等の権利を与えている。それを現実にするために我々は終わりのない旅を続けている」と語り始めた。

 そして「建国の精神への忠誠は、新しい事に挑戦する事である」と言い、共和党の政策とは異なる考えを次々に打ち出したのである。いわく、「米国民は今日の世界の要求に単独では応えられない」と単独行動主義を否定し、「米国の繁栄は台頭する中間層の肩にかかっている」と格差社会を否定し、「高齢者や貧困層に対する社会保障制度の仕組みは我々を強くする」と福祉社会を肯定し、さらには産業界から反発される地球温暖化問題についても「将来世代を裏切らないために対応していく」と決意を示した。

 外交・安全保障問題では、「海外の危機に対処する能力を刷新していく」としながらも「絶え間なく戦争をする必要はない」、「他の国々との紛争を平和的に解決するよう試みる勇気を示そう」と戦争路線からの転換を表明した。

 そのうえでオバマは演説の最後に再び「終わりのない旅路」の課題に言及する。それは女性、人種、同性愛など様々な差別撤廃運動を継続し、銃規制社会を作る事への決意表明であった。それこそがアメリカ建国の理想を現実にしていく行動なのだとオバマは訴えた。

 18分と短いが、国論を二分する問題にあえて挑戦する演説で、共和党を支持するキリスト教保守派の「伝統的価値観」に真っ向から挑戦した。これに保守派がどう反応し、共和党が議会でどのような対応を見せるかはまだ不明だが、演説を聞くとアメリカの「価値観」を転換させる事が政権の仕上げだとオバマは考えているようだ。

 レーガン政権が種を播いたアメリカの保守主義はブッシュ政権時代に完成されたと言われる。ブッシュ政権は国連を軽視する単独行動主義でイラク戦争を強行したが、その時代に国民レベルでも「伝統的価値観」を信奉する「ティーパーティ運動」が生まれた。

 その草の根運動が中間選挙でオバマの民主党を惨敗させ、共和党支配の下院を誕生させた。ところが共和党が議会を握ると、草の根運動の批判が共和党の議会運営にも向かい始める。穏健派が極端な保守化に反発する事を共和党が怖れたからである。共和党は穏健派と草の根との融合を模索し、草の根では「真の保守とは何か」の論争が始まる。保守派の分裂が始まった。

 昨年末の大統領選挙でのオバマの勝利は保守派の分裂に助けられたとも言える。その状況を突いて「伝統的価値観」に代わるアメリカの「価値観」をオバマは2期目の就任演説で提示したのではないか。そこには自らの政権の後、民主党政権を引き続き継続させる狙いがあるようにも見える。

 その狙いが成功すれば初の黒人大統領オバマのレガシーは完成するが、国内的には根強い反発が出てくることも予想され、「ねじれ」議会への対応や、混とんとする国際情勢への対応と共に、今後のアメリカ政治の展開は要注意である。

2013年1月17日

巡り巡って格差社会

  円安・株高を希望の光のように報道するメディアを見ると、つくづくこの国はおめでたいと思う。金持ちは潤うだろうが貧乏人には厳しい政策を手放しで喜んで良いものか。つい先日まで格差社会を批判してきたメディアがこの有様である。

 今から30年ほど前の日本は「一億総中流社会」を謳歌していた。87年に総理に就任した竹下登氏は、どこに行っても「世界一物語」という講演をしたが、何が世界一かと言えば「世界一格差のない日本」という内容だった。新入社員と社長の給料の差が10倍しかない国をその頃の日本人は誇りにしていた。

 そして目先の利潤追求に汲々とする欧米型資本主義より、長い目で経営を考える日本型資本主義に優位性があると思っていた。日本の経営者は目先の利益よりも将来の利益を優先したのである。その結果、日本は世界一の債権国となり、アメリカは世界一の債務国に転落した。

 第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国が立場を変えた。経済戦争に敗れそうになったアメリカは日本を円高誘導して輸出競争力を削ぐ事にする。プラザ合意の円高で日本の輸出競争力は打撃を受け、日銀はアメリカから促された低金利政策でそれを乗り切ろうとした。それが資産バブルを生み、日本人の価値観を狂わせていく。

 株と土地の投機に躍って庶民までが「一億総ギャンブラー」となった。株は配当を得るもので、売り買いをすれば博打の世界である。その売り買いをメディアが煽った。競輪・競馬の予想を載せない一般紙が株式予想を掲載して庶民をギャンブルに誘い込む。素人がプロを相手に博打を打つ。日本人は目先の利益に翻弄されるようになった。

 バブルがはじけた後の緊縮政策が日本に「失われた時代」をもたらす。橋本政権の消費増税と緊縮財政を嫌った外資は売り圧力を強めて株価は下落の一途をたどった。そこに債務国アメリカが追い打ちをかける。銀行にBIS規制が導入され、貸し渋り貸しはがしが始まり、企業倒産と金融機関の破たんが相次いだ。債務国アメリカのハゲタカが債権国日本の富を餌食にし始める。

 そうした閉塞感を打ち破るように登場したのが小泉総理である。「改革なくして成長なし」を叫んで景気回復に取り組んだが、そのやり方は大企業を優遇するトリクルダウンの政策だった。大企業が豊かになれば国民にも富がしたたり落ちるというのである。しかし待てど暮らせどしたたり落ちてはこなかった。企業は正規雇用を減らして非正規雇用を増やし、賃金は上がるどころか下がり続けた。

 緊縮財政の名の下に社会保障費や公共事業は削られ、国民は「改革の痛み」に悲鳴を上げ、都市と地方の格差も広がった。経済成長が国民にもたらしたのは豊かさではなく貧困だったのである。しかも小泉総理はアメリカの「年次改革要望書」に応えて「郵政民営化」を実現し、300兆円の郵便貯金をアメリカに吸い上げさせる道を拓いた。日本をアメリカ型競争社会に転換する改造計画が進行した。

 しかし国民はアメリカ型競争社会に抵抗を示す。小泉後継となった安倍総理を07年の参議院選挙で惨敗させ、09年には政権交代が実現したのである。自民党に代わった民主党が、一方でアメリカの圧力に抗し、他方では格差の解消に力点を置くのは当然である。アメリカの「年次改革要望書」は廃止され、子育て世代に直接資金を分配する政策が実現した。

 ところがそれらの政策の果実が実を結ぶ前に民主党は自民党の政策に回帰する。権力の中枢に身を置いた経験のない民主党が、アメリカ、官僚機構、メディア、自民党の攻撃にさらされたからである。「年次改革要望書」に代わってTPPを受け入れ、マニフェストにない消費増税を表明して官僚機構に従属した。

 国民の政権交代に対する期待は裏切られ、それが昨年末の総選挙で民主党を大惨敗に導いた。そして2度目の安倍政権が誕生すると「いつか来た道」が復活する。「デフレ脱却」を口実に大胆な金融緩和でアメリカのファンドが望む円安に誘導し、輸出企業の競争力を上向かせて経済成長を図ろうとしている。

 しかしデフレはアメリカが経済をグローバル化させ、労働力の安い途上国を貿易市場に参入させた事から始まる。そうした国々との激烈な競争にさらされる輸出企業が円安で利益が出たとしも、それを国内の投資や賃金の上昇に振り向ける余裕はない。それどころか円安は輸入品の価格を吊り上げ、資源を輸入に頼る日本の製造業は高コストに苦しむ事になる。国民の生活費が上がる一方で、賃金や雇用は改善されず、そこに消費増税が追い打ちをかける。格差拡大の道である。

 一つだけ安倍政権が小泉政権と違うのは財政赤字を増やしてでも公共事業を大々的に行う事である。老朽施設の改修は国民生活に欠かせないが、長年の自民党政治を振り返れば無駄な事業が国民の富を減らしてきた記憶がよみがえる。公共事業を削らずに歳出を削るとすれば削られるのは社会保障費である。そうした政権を国民は年末の選挙で誕生させた。

 昨年末にはアメリカと韓国でも大統領選挙が行われた。二つの選挙では成長に力点を置くか分配に力点を置くかが争われた。アメリカでは富裕層を擁護する共和党が敗れ、中間層に手厚い政策の民主党が勝利した。韓国では保守党が連続して勝利を収めたが、しかしパク・クネ新大統領は前政権のトリクルダウン政策を批判し「成長から分配へ」を強く主張して当選した。いずれも分配論が成長論に勝ったのである。しかし日本だけは選挙で逆の結果となった。

 私は競争社会を全否定するつもりはないが、アメリカには機会の平等とそれに憧れて流入する移民の存在がある。劣悪な労働条件でも流入する移民がいなければアメリカ型競争社会は成り立たない。移民を認めたがらない日本で経済成長を重視すれば同じ日本人を移民扱いするしかない。一等国民と二等国民が再生産されるのである。

 中国を見れば分かるが経済を活性化させ成長させる方法は一つである。金持ちと貧乏人を創り出し、貧乏人の鼻先にニンジンをぶら下げておくことである。しかし30年ほど前に世界一の金貸し国になった日本の課題が、金持ちと貧乏人を創り出す事なのだろうか。世界一の借金国の流儀で経済成長する事なのだろうか。日本が目指すべきは荒々しい成長よりも「豊かな国づくり」ではないのか。

 世界一の金貸し国である日本の一人あたりの国民所得は北欧諸国に遠く及ばず、格差大国アメリカをも下回っている。そのアメリカでは1%の金持ちが99%の富を握っていると言われるが、日本が目指すのはアメリカではなく北欧諸国のような国づくりではないか。

 東日本大震災では日本人の整然とした行動が世界の人々に感銘を与えた。その頃、来日したブータン国王夫妻によって日本人は「幸福度」という指標を知り感銘を受けた。それから1年後の日本人は、それを忘れたかのように格差社会の方向に「いつか来た道」を歩み出している。

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2013年1月 7日

安倍自民党は1人区を制するか

 安倍政権にとって今年最大の政治課題は参議院選挙に勝利する事である。今回改選期を迎えるのは07年の参議院選挙で当選した議員で、その選挙こそかつて安倍総理が自民党を惨敗に導き、09年の政権交代に道を開いた因縁の選挙である。それを回復しないと安倍政権は本当に勝利したとは言えない。

 昨年末の衆議院選挙の結果は自民党の勝利と言うより民主党の自滅だった。そのことは自民党自身が良く知っている。だから現状を「仮免状態」と位置付け、「本免許」を得るまでは慎重に「安全運転」で行こうとしている。そのため国民が望む「景気回復」に国民の目を集中させ、本当にやりたいことは衆参両院で過半数を得た後、安定した体制を作ってからと考えている。

 その参議院選挙を決定づけるのは1人区の勝敗である。1人区は全国に31ある。いずれも人口の少ない地方の選挙区で、07年の選挙では自民党は6選挙区しか勝てず、17選挙区で勝利した民主党に惨敗した。敗北の原因は小泉構造改革が大企業を優遇して経済成長を図った結果、都市と地方との格差が拡大したからである。

 一方では市民主義を掲げ都市型の政党と見られていた民主党が、小沢一郎氏が代表になったことで都市型から脱却し国民政党の装いをこらす事に成功したからでもある。その選挙で安倍自民党が「成長を実感に!」というキャッチフレーズを掲げたのに対し、小沢民主党は「国民の生活が第一」を掲げ、1人区で17対6の勝利を収めた。

 昨年末の衆議院選挙の特徴は史上最低の投票率を記録したことである。突然の解散で争点の整理がつかないまま小党が乱立し、有権者が判断しかねるうちに投票日を迎えた事が要因と考えられる。さらなる特徴は投票率の下落が都市部ではなく地方で大きかったことである。普段は選挙に熱心な地域ほど今回の選挙には行かなかった。

 前回と比べて投票率を最も下げたのは富山県で下落幅は17%、次が北海道で15%、次いで鹿児島、青森、福島、新潟、石川、高知、宮崎、岡山、熊本などいずれも13%を超える下落幅となった。前回の選挙で70%を超えるか70%近い投票率を示していた地域が軒並み50%台だったのである。

 これを参議院の1人区で見ると、沖縄の8.9%下落が最小で、最大の富山から沖縄までいずれも大幅に投票率を下落させている。いつもは選挙に熱心な1人区の有権者が今回の総選挙は棄権した。民主党に対する期待が裏切られ、さりとて自民党に投票する気にもならなかったのか、あるいは政治そのものに絶望したのか、投票に行かなかった1人区の有権者が次の参議院選挙でどのような投票行動に出るのかが注目される。

 09年の衆議院選挙で自民党を支援した業界団体は農協だけだった。それは民主党がアメリカとの自由貿易協定をマニフェストに盛り込んだからである。自由貿易協定の見返りに民主党は農家戸別所得補償を打ち出し、それが農協には自らの存在を否定される政策と映った。「自由貿易協定で日本農業は壊滅する」と叫び、農協は自民党を全面支援した。

 一方、小泉構造改革によって医療の現場からも不満が噴き出し医師会などが自民党から離れ、また公共事業の恩恵にあずかってきた建設業界は、民主党政権誕生の可能性がある事から積極的な自民党支援を行わずに様子見を決め込んだ。

 自民党が次期参議院選挙で1人区を制するためにはこれら業界団体を味方に引き入れなければならない。そこで打ち出されたのが大規模公共事業プロジェクトである。これが地方経済活性化のカギになると自民党は大々的に宣伝する。しかし過去の経験から大規模公共事業によって潤うのは大企業であり地方でない事が分かっている。ただそのことが実感できるには時間がかかるので参議院選挙までは期待を抱かせる事が出来るかもしれない。

 問題はアメリカとの「同盟強化」を打ち出した安倍政権の姿勢である。「同盟強化」が日本の国益のためなら良いが、日本の国益とアメリカの国益が重なり合うとは限らない。特に冷戦後のアメリカは日本を安全保障上の「弱い環」とみて、安全保障と絡めて日本から経済的利益を吸い上げようとしている。

 それが宮沢政権以来突きつけられてきた「年次改革要望書」に現れた。鳩山政権がこれを廃止すると、アメリカは今度はTPPへの参加を要求してきた。TPPは経済的な国境をなくすことを目的に、アメリカンスタンダードに各国を巻き込もうとするもので、中国や韓国、インドネシアなどは不参加を表明している。自民党議員の多くも「反対」を訴えて今回の選挙を戦った。アメリカの要求に応えて参加に前向きになれば農協や医師会が反発する事は必至である。それは1人区の選挙に強く影響する。

 鳩山政権が「年次改革要望書」を廃止した事でアメリカの不興を買い、普天間問題できりきり舞いさせられたのを見て、菅政権や野田政権はTPPに前のめりの姿勢を見せた。「日米同盟強化」路線を採る安倍政権がこれまでの政権とは異なり「対米従属」でない事を見せられるかどうか、参議院1人区の選挙はそれにかかっている。

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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