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2012年12月27日

保守化と言うより従属化

 第2次安倍内閣が発足した。前回の内閣が「お友達内閣」と揶揄されて不人気だったことから、「お友達」でないように見せているが、実態は前回以上の「お友達」である。その「お友達」の部分と、「お友達」でない部分との混在が今後の政権運営に混乱をもたらす可能性がある。

 前回以上に「お友達」なのは、まず安倍氏が全面的に依存する麻生太郎氏を副総理兼財務・金融担当大臣として政権の大黒柱に据えた事である。かつての安倍政権を私は「A(安倍)・A(麻生)連合」と呼んだ事があるが、今回は安倍政権だけでなく麻生政権が復活したかと思えるほど麻生氏の比重は重い。

 そして安倍氏が会長を務める保守派の議員連盟「創生日本」から9人もの「お友達」が入閣した。第1次安倍内閣の閣僚経験者を加えると19人中12人が気心の知れた「お友達」である。

 一方で「お友達」だけではないと見せつけたのが、総裁選挙を戦った石原伸晃氏や林芳正氏、あるいは谷垣禎一前総裁を入閣させたことである。しかしライバルと目される石原氏と林氏は政権の中枢から遠ざけ、原発問題とTPPという難問を担当させて、あわよくば力を削ぐことを狙っている。

 そのほか小泉政権時代に秘書官を務めた飯島勲氏や丹後泰健氏を内閣参与に任命したのも、多彩な人材を起用したと思わせる狙いがあるようだ。しかし公共事業削減など構造改革路線を支えた人脈と、麻生氏が主導する経済再生路線とが噛み合うのか疑問である。

 そもそも「AA連合」は小泉路線から脱却するために作られた。第1次安倍政権で安倍氏は麻生太郎氏を幹事長に起用しようとして森元総理に反対され、中川秀直幹事長を受け入れた。安倍政権がまず取り組んだのは郵政選挙で小泉氏に追放された議員の復党問題である。それが小泉元総理の逆鱗に触れ、小泉支持の中川幹事長と安倍総理の間にはすきま風が吹いた。

 その時に陰で支えてくれたのが麻生氏である。麻生氏は08年の総裁選挙で小泉路線からの脱却を訴え、それに対抗したのが小池百合子氏であった。今回の人事で復党組の1人である野田聖子氏が党三役に起用され、郵政選挙で刺客となった小池氏が処遇されなかった背景にはそうした事情がある。

 にもかかわらず小泉政権で秘書官を務めた人物を官邸に入れたのは、「オール自民」の体制を作らなければ参院選に勝てないと思ったからなのか。重厚で多彩な布陣は一つ間違うと混乱の原因になる。「お友達」からの脱却を見せようとして重厚な布陣を敷き、しかし本質は「お友達」である事が政権運営にどう影響するのか見ものである。

 今回の選挙結果で議席の数ほど自民党は支持されていない。参議院選挙に勝てなければ自民党は再び野党に転落する可能性がある。そのため参院選までは「安全運転」で行くつもりのようだ。政権課題を「経済再生」と「日米同盟強化」の二つに絞り、憲法改正など保守的な政策は参院選後に先送りするのである。

 安倍総理は選挙前には領土問題で民主党の対応を批判し、中国、韓国に強硬な姿勢で臨む事を表明していた。しかし選挙後は一転して柔軟な姿勢に変わる。この変化は何を物語っているか。選挙時には、領土問題に熱くなっている国民にアピールするため強硬発言をし、選挙後は「保守政権誕生」を警戒する中国、韓国に現実的に対応するために変化したのだろうか。

 私はそうは思わない。強硬姿勢をアメリカが認めないからである。日本が竹島問題や従軍慰安婦問題で韓国と対立し、尖閣諸島に公務員を常駐させる事をアメリカは自国の利益にならないと考えている。だから安倍政権は姿勢を変化させたのである。安倍政権の誕生で「保守化」が言われるが、私はむしろ「従属化」が始まると思う。

 アメリカが日本にやってもらいたい第一はTPPへの参加である。宮沢政権以降日本に要求してきた「年次改革要望書」を民主党の鳩山政権は廃止した。アメリカが「異質」と考える日本をアメリカと同じ土俵に乗せる日本改造計画が民主党政権によって頓挫した。それを復活させるのがTPPである。民主党政権で日米に軋みが生まれたのは、普天間問題よりも「年次改革要望書」の廃止だと私は思っている。

 自民党はTPP反対で選挙を戦ったが、安倍政権が日米同盟強化にコミットすればそうはいかなくなる運命にある。また日本の原発政策を主導したのはアメリカで、日本はすべてアメリカの指示通りにやってきた。従って原発は維持する事になり、憲法改正も集団的自衛権行使の容認などアメリカの求める範囲内になる。沖縄の普天間基地移転、オスプレイの自衛隊購入と全国的規模での訓練も実現するだろう。

 保守とは伝統的価値観を守ろうとする立場である。日本の伝統的価値観とアメリカのそれとは当然ながら異なる。ところが戦後アメリカに占領された日本は親米保守が主流となった。それでも冷戦期の自民党は親米的立場を取りながら自立への道を模索した。それが冷戦の終焉を受けて自立より従属へと転じたのである。

 米ソ両国を頂点とするピラミッド構造が崩れた事で、自立を模索する国が出てきたのとは裏腹に、日本はバブル崩壊後に「失われた時代」を迎え、小泉政権が日本をアメリカ型社会に構造転換させようとした。格差社会が生まれ国民が悲鳴を上げ始めた頃に第1次安倍政権は生まれ、小泉政権の後継者ながら小泉路線からの脱却を図ろうとした。

 しかしこれから始まる安倍政権はそうはならない。昔の自民党さながらの公共事業とアメリカ並みの金融緩和と規制緩和がごった煮のように盛り付けられ、小泉政権を倣った対米姿勢が貫かれる。それを「保守化」という言葉で表現すべきだろうか。私には「従属化」と言った方が適切だという気がする。

2012年12月21日

惨敗の責任

 民主党惨敗の責任は言うまでもなく解散を断行した野田総理にある。「解散権は総理大臣の専権事項」と言って一人で断行したのだから責任も一人で負うべきだ。ところがその姿勢が全く見えない。

 衆参「ねじれ」に苦しんだのは民主党だけではない。07年の参議院選挙で大敗した自民党もそれから2年間「ねじれ」に苦しんだ。09年に政権を奪った民主党が「ねじれ」に直面したのはその翌年の参議院選挙だから、「ねじれ」に苦しんだ期間は同程度である。しかし両党の対処の仕方は全く異なる。

 07年7月の参議院選挙で自民党が大敗した時、安倍総理は選挙敗北の責任を取らずに退陣を拒否した。それまで参議院選挙に敗れて「ねじれ」を作った89年の宇野総理、98年の橋本総理が責任を取って退陣したのとは対照的である。民主党の菅総理も参議院選挙敗北で「ねじれ」を作ったが退陣を拒否したので安倍、菅両氏の対応は共通している。

 しかしその後の経過は対照的である。自民党は安倍総理の継投を認めず、2か月後には退陣せざるを得ない状況に安倍総理を追い込んだ。表向き病気のために辞任したと言われているが実態は異なる。

 当時の安倍総理はインド洋での海上自衛隊の給油活動を国際公約していた。その公約を果たすためには11月で期限の切れる法案を継続させなければならない。そのためには8月中に国会を開き、衆議院で可決して参議院に送る必要があった。それを自民党はさせなかったのである。

 安倍総理が国会開会を急いだのとは逆に、党内には「時間をかけ身体検査をしてから組閣をすべき」という声が強く、国会開会が9月にずれ込んだ。これで安倍総理は国際公約を果たせない事が確定した。

 退陣の記者会見で安倍総理は「退陣しないと政治が混乱する」と述べたが、それが真相を物語っている。退陣の後で理由は病気という事にされたが実態は自民党に追い込まれたのである。これに対して民主党は「総理をころころ変えてはならない」と言って民意が参議院選挙でノーを突きつけた菅総理を続投させた。「ねじれ」で野党の言いなりにさせられるか、政権運営に行き詰まる事が自明なのにである。

 菅総理は09年の民主党マニフェストをかなぐり捨て、霞ヶ関とアメリカの要求を受け入れて消費増税とTPP参加を政権の方針にする。民主党が菅総理を退陣させることが出来たのはそれから1年後のことである。

 安倍総理が作った「ねじれ」を受けて総理に就任した福田康夫氏は、民主党の攻撃にさらされたが、衆議院議員の任期が切れる1年前に自分より国民的人気の高い麻生太郎氏に総理の座を譲った。「ねじれ」で政権運営がうまくいかない事から国民の支持を失った自民党の議席をいくらかでも減らさないようにするための自発的退陣である。

 麻生総理に就任直後の解散を期待しての交代劇だったが、リーマンショックに遭遇した事もあって麻生総理は解散の時期を失い、それから「いつ解散するのか」と国民をイライラさせた。そのイライラが自民党に対する不満を膨張させ09年の民主党圧勝につながるのである。

 一方、菅総理が作り出した「ねじれ」の後を受けた野田総理は、マニフェスト違反の消費増税に突き進んだために支持率を減らし、野田総理が先頭に立つ選挙では大敗が予想された。しかしそれでも野田総理は人気の高い後継者に総理の座を譲ろうとはしなかった。それなら任期満了に近づくまで不人気の自分でつなぎ、最終局面で「選挙の顔」を劇的に代えて民主党の議席をいくらかでも減らさないようにするのかと思えば、突然解散を表明して国会議員だけでなく、国民の心の整理もさせないままに選挙を強行した。

 野田総理の「近いうち」表明によって国民は「いつ解散するのか」とイライラさせられ、そのイライラが募ったところで突然「3日後に解散」と言われ、何の準備もないままに選挙を強制された。しかも解散の理由が消費増税であるのにもかかわらず、それを堂々と正面に掲げて国民に信を問おうとはしなかった。

 史上最低の投票率になり、しかも小選挙区で200万票の白票が出たという事実は、国民がいかにつらい選挙を強制されたかを物語っている。自らの政党のために自らを犠牲にすることなく、国民に難しい選挙を強要して、国民から支持された訳でもない政党を圧勝に導いたのは、解散権を行使した野田総理である。

 民主党は次の代表選びを巡って混とんとしているようだが、期待を集めていた細野豪志政調会長が「執行部の一員として責任がある」と代表戦不出馬を表明したと言う。しかし解散は執行部で協議して決めた訳ではないだろう。解散権は総理の専権事項だから総理が一人で決め、一人で責任を取るものだ。その野田総理に民主党の捨て石になる姿勢が全く見えない。

 ところでイギリスでは2年前に首相の解散権を廃止した。次の総選挙は2015年5月が確定的になっている。選挙の時期があらかじめ分かっていれば国民も政治家も選挙に臨む心の整理と争点の準備をすることが出来る。先月のアメリカ大統領選挙も一昨日の韓国大統領選挙も突然の選挙ではない。国家の針路を決めるための周到な準備が国全体で出来ていた。

 しかし「3日後解散」を叫んだ総理によって、日本の針路は誰にとっても分からないものになった。安倍次期総理はインフレ目標の導入や大型公共事業などの政策を次々に打ち出しているが、この選挙でそれらの政策が問われたと思う国民はいないだろう。選挙で支持してもいない政策が実現していく。その責任も突然解散をした野田総理にある。

  △  ▼  △

■12月壬辰田中塾 & 田中塾年末旅行会のお知らせ


【12月壬辰田中塾のお知らせ】

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾&忘年会」が、12月26日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 12月26日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で忘年会を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

忘年会:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

  △  ▼  △

【壬辰田中塾番外編・南房総 白浜での忘年旅行会のご案内】

 さて20数年ぶりの師走の総選挙もいよいよ雌雄が決しつつあります。その結果とその後の政治の動きについては26日の田中塾において話が展開されていくものと思います。

 そして急な案内ではありますが、田中塾参加者有志の方による1泊忘年旅行会が企画されています。場所は南房総 白浜(女来島温泉)・グランドホテル太陽です。当ホテルは、塾の常連メンバーである篠塚正三さんが総務部長をされており、そのご厚意に預かっています。

 年末の忙しい時期ではありますが、房総の海を食べつくす楽しいプランに参加してみませんか。参加は現地集合になります。

      記

■開催日時
12月28日17時~29日

■場所
南房総 白浜 グランドホテル太陽(東京駅八重洲南口より高速バスにて約3時間)

■宿泊費
約1万円

■参加申し込み先
後藤有能
メール: agoto(アットマーク)k6.dion.ne.jp
※送信の際は、(アットマーク)を@に変換してお送り下さい

■締め切り
12月20日

2012年12月18日

違憲総選挙の結末

 私が大政局の中盤と位置付けた総選挙は自公の圧勝となった。自公の議席数は7年前の郵政選挙に匹敵し、自民294、公明31と合わせて衆議院の3分の2を超えた。国民が自民党に過半数を超える議席を与えたことで消費増税、原発再稼働、憲法改正は容認された事になる。

 与党は衆議院のすべての常任委員会で過半数を占め、すべての法案を可決する事が出来る。参議院で否決されても衆議院で再議決できるので国会運営はオールマイティになる。それが選挙無効になるかもしれない憲法違反の総選挙の結末である。その事の意味を国民は重くかみしめるべきである。

 違憲状態を承知の上で解散に踏み切った野田総理の責任は重い。「ねじれ」によって政策の遂行が困難な時、これまでの総理は自らの首を差し出して政策を実現させた。内閣総辞職をする代わりに政策を遂行させてもらったのである。これに対して解散は、政策遂行の行き詰まりを打開するため議員全員の首を切り、国民に政策の是非を問う事である。

 今回の例で言えば、民主党マニフェストに消費増税を行う前に国民の信を問うとあるので、野党は解散・総選挙を求めていた。従って解散で国民に問わなければならなかったのは何よりも消費増税である。ただ民自公3党が消費増税法案の成立に協力したことから、3党間ではそれが争点にならない。

 自民党はデフレからの脱却と外交・安全保障問題を前面に打ち出して民主党との対立点を作り、公明党は民主党の政権運営の拙さを攻撃した。そのため3党間の選挙争点は消費増税より民主党政権のこれまでの実績を問うものになった。そこにTPPや原発問題が加わって本来の争点である消費増税がみえにくくなった。

 民主党が大敗する事は誰もが予想していた。野田総理一人が首を差し出して切り抜けられる道を取らず、大勢の仲間を犠牲にする道を選んだことが私には理解できなかった。結果として党勢を4分の1に減らしたのだから、違憲選挙を仕組んだ野田総理には二重三重の責任がある。

 一方で民自公3党体制に不満な国民は「第三極」に期待をかけた。しかし私は「第三極」が民自の2大政党に対抗する「第三極」ならば政治を大きく動かすことにはならないと考えていた。民自公3党はこれからしばらく社会保障と消費税の問題で一体とならざるを得ない。従って「第三極」が政治の軸になるためには民自公に匹敵する勢力を結集して対抗しなければならない。「第三極」のままでは公明党のような補完勢力になるだけだ。

 「第三極」は総結集を図り「第二極」になるべきだと思っていたが、大阪市の橋下徹市長が石原慎太郎氏と組み、その石原氏が総理を目指さないと言った事で「第二極」の夢は消えた。「第三極」から総理を出すためには小沢氏らも含めて総結集を図らなければならなかったからである。「日本維新の会」が自民党の補完勢力になるしかない事が分かったところで自公圧勝は見えていた。

 さて問題なのは選挙直前に結成された「日本未来の党」である。公示前の62議席を9議席に減らした。民主党が4分の1ならこちらは7分の1の激減である。この選挙に5年前の参議院選挙で安倍自民党を大敗させ、3年前の総選挙で政権交代を成し遂げた小沢一郎氏の片鱗が全く感じられない。

 想定外の解散と準備不足のせいかもしれないが、それにしても小沢氏の姿がこれほど見えない選挙も珍しい。11月12日に東京高裁で無罪判決を受け、これからいよいよ表舞台に出てくるのかと思ったら全く逆になった。意識的に表に出ないようにしているように見える。何があるのだろうか。

 そもそも小沢氏は「寄らば大樹の陰」というタイプではない。93年に自民党を離党して36人で新生党を結成し、97年に新進党が分裂した後には衆議院42、参議院12名で自由党を結成した。いずれも小政党ではあるがしかし政局を動かす力は持っていた。そして本人が先頭に立った自由党時代の選挙では比例代表で毎回10%程度の得票率を得ていた。2000年の総選挙では660万票を獲得している。

 それが今回の選挙で「日本未来の党」が比例で得た得票率は5.7%、340万票に過ぎない。また原発問題を争点にしようとしたが、国民の関心は景気や経済対策にあり、原発は大きな争点にならなかった。最も関心が高いはずの東北でさえあまり票を得られず、「小沢王国」と呼ばれた岩手県も本人だけの当選である。

 選挙戦略に強いはずの小沢氏が「崖っぷち」に立たされていると見えるのである。メディアは毎度おなじみで「小沢神話は終わった」と繰り返すだろう。しかし現下の政局はこれで終わったわけではない。来年夏の参議院選挙をにらんでこれからが大政局の始まりである。

 安倍氏のインフレ政策は円安、株高を招くが、同時に国民生活は物価高の直撃を受ける。そこに消費増税が加わればどうなるか。小泉政権の時と同じように国民は悲鳴を上げる事になるはずだ。その消費増税を国民が「リコール」できる最後のチャンスが来年夏の選挙である。

 今回の1度目のチャンスを国民は「目くらまし」に遭ってふいにした。来年こそは自分の生活にとって何が争点なのかを見極めなければならない。私の言う大政局の終盤は小沢氏にとっても政治生活をかけた大勝負の時になるはずである。そうでなければこれまでの行動が意味をなさなくなる。

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■12月壬辰田中塾 & 田中塾年末旅行会のお知らせ


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ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 12月26日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で忘年会を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

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※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

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【壬辰田中塾番外編・南房総 白浜での忘年旅行会のご案内】

 さて20数年ぶりの師走の総選挙もいよいよ雌雄が決しつつあります。その結果とその後の政治の動きについては26日の田中塾において話が展開されていくものと思います。

 そして急な案内ではありますが、田中塾参加者有志の方による1泊忘年旅行会が企画されています。場所は南房総 白浜(女来島温泉)・グランドホテル太陽です。当ホテルは、塾の常連メンバーである篠塚正三さんが総務部長をされており、そのご厚意に預かっています。

 年末の忙しい時期ではありますが、房総の海を食べつくす楽しいプランに参加してみませんか。参加は現地集合になります。

      記

■開催日時
12月28日17時~29日

■場所
南房総 白浜 グランドホテル太陽(東京駅八重洲南口より高速バスにて約3時間)

■宿泊費
約1万円

■参加申し込み先
後藤有能
メール: agoto(アットマーク)k6.dion.ne.jp
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■締め切り
12月20日

2012年12月 8日

オセロゲーム

 6日の新聞各紙は総選挙序盤の情勢として自民党の大勝を予測した。それがそのまま選挙結果になれば、国民は消費増税と原発再稼働、そして憲法改正を容認した事になる。民主主義政治は「民意」に逆らえないから、政治は必ずそのように動く。

 一方で消費増税と原発再稼働についての各種世論調査を見ると、国民は必ずしもそれを望んでいるように思えない。もしこちらが本音だとすると、国民は望まない政策を選挙で選び、本音とは異なる方向に国家を動かす事になる。なぜそのような事が起こるのか。

 この数年の選挙を見ていると国民は選挙でオセロゲームをしているように見える。09年の郵政選挙では自民党に296議席という大量議席を与え、公明党と合せて衆議院の3分の2を超える巨大与党を誕生させた。本来ならば政治は安定するはずである。しかし現実はそうならなかった。

 2年後の参議院選挙で自民党が大敗し「ねじれ」が生まれた。「ねじれ」が原動力となってその2年後の衆議院選挙で民主党が300議席を超す与党となり政権交代が実現した。巨大民主党の誕生で自民党時代と異なる政策が実現するかと思えば、翌年の参議院選挙で国民は民主党を敗北させ、再び「ねじれ」が生まれて民主党政権は立ち往生した。

 そして今度また自民党が大量議席を獲得しそうだとメディアは予測しているのである。メディアはマニフェスト選挙をもてはやすが、本当に国民は政策を理解して投票しているのだろうか。メディアが政策を羅列して解説することにどれほどの意味があるのか疑問である。

 09年の郵政選挙は「郵政民営化」という政策を唯一の争点にしていた。まさしく政策を選ぶ選挙だった。しかし国民は「郵政民営化」という政策を本当に理解していたとは思えない。小泉政権に「改革の一丁目一番地」と言われ、「改革」という言葉に踊らされただけではなかったか。

 冷戦後のアメリカは「年次改革要望書」によって日本国家を改造しようとした。「郵政民営化」はアメリカから要望された国家改造の一環である。ヨーロッパ型の福祉国家を目指してきた日本を、アメリカは自分と同じ競争社会に変えようとした。

 アメリカ人は「福祉は悪」と考える。個人の自由を何よりも優先するからだ。国家に面倒を見てもらえば個人の自由は制約される。国民健康保険制度に反対し、オバマ大統領を「社会主義者」と非難するアメリカ人が多いのは、それがアメリカの伝統的価値観だからである。日本の価値観とは真逆と言える。

 しかしアメリカは自らの価値観を正しいと信じている。その価値観を世界に伝道し世界を改造しようと考えている。アメリカが言うグローバルスタンダードはアメリカンスタンダードである。改造は「弱い環」から始められる。「弱い環」とみられた日本が標的にされた。そうした背景を09年の選挙でどれほど議論されただろうか。些末な政策的議論によって国民は「目くらまし」に遭ったのではないか。

 「郵政民営化」を支持すれば当然ながらアメリカのような「弱肉強食」にさらされる。「改革」という言葉に踊らされた国民は間もなく悲鳴を上げた。あの選挙で国民が「郵政民営化」を選ぶなら、己の価値観を変える覚悟を持たなければならなかった。それは議論され理解されたのだろうか。

 国民が大量議席を与えた小泉政権の経済理論は「トリクルダウン」と呼ばれるもので、大企業を優遇して経済成長を図り、大企業が豊かになれば、その富が国民にしたたり落ちるというものである。ところが現実はしたたり落ちてこなかった。格差だけが拡大した。

 そこで07年の参議院選挙で安倍政権は「成長を実感に」というスローガンを掲げ、国民に「もう少しで豊かさを実感できるようにします」と訴えた。これに対して小沢一郎氏率いる民主党は「国民の生活が第一」のスローガンを掲げ、「政治は生活だ」と言った。すると国民は民主党を大勝させた。しかしこれも国民が本当に民主党の政策を理解して選んだか疑わしい。

 民主党の政策は「トリクルダウン」の真逆である。大企業を優遇しても国民の所得は増えず個人消費は伸びなかった。デフレは個人消費の冷え込みが原因である。そこで民主党は政府の金を国民に戻しデフレを解消しようとした。アメリカのレーガン大統領の減税政策と同じ考えである。

 それが「子ども手当」や「高校の授業料無償化」のマニフェストになった。ところが自民党がそれを「バラマキ」と批判すると国民はそれに同調した。これがバラマキならレーガン政権以降アメリカの政権が常に掲げる減税政策もバラマキになる。国民は消費が拡大して経済が成長すれば税収は上がりいずれ財源も出てくるとは考えなかった。

 民主党の政策を国民が理解して小泉改革と真逆の政策を本気で実現させようと思えば、次の参議院選挙でも民主党を勝たせなければならない。「ねじれ」になれば政策は実現不可能になるからだ。ところが国民は参議院選挙で民主党を敗北させ「ねじれ」を作った。だから本当に民主党の政策を理解して政権交代させたとは思えない。

 衆議院選挙でどれほど大勝しても、次の参議院選挙に敗れれば「ねじれ」で政権は行き詰まる。行き詰まればオセロゲームのようにすべてがひっくり返る。これが繰り返されてきた。だから自民党が今度の選挙に勝利するのは当たり前である。しかしそれが自民党の政策を支持した事にも安定した政権を作る事にもならない。

 選挙には「次点バネ」があり、前回の選挙で惜しくも落選した候補者は次の選挙に強い。それが選挙予測に現れただけの話である。つまり国民は政策を選ぼうとしていない。個人を選ぼうとしているのである。

 その現実を見ようとせず「選挙は政策」だとメディアが叫べば、国民が望んでもいない政策に大義が与えられる。やはり国民はメディアで繰り広げられている政策論議を「目くらまし」と見て頭の中から消し去り、自分の生活感覚を研ぎ澄ます方が良い。そして世の中が良くなっていると思えば3党合意の民自公と自民の補完勢力である日本維新に投票し、良くなっていないと思えばそれ以外の政党に投票する。顔も名前も知らない候補者で構わない。それが政策を選ぶ選挙に最も近い。

 むしろ国民はオセロゲームの馬鹿馬鹿しさに気付くべきである。どちらの政党の政策が良いかなどと考えるより、オセロゲームが起きてしまう政治構造を変えないと不毛の政治はいつまでも続くことになる。

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■12月壬辰田中塾 & 田中塾年末旅行会のお知らせ


【12月壬辰田中塾のお知らせ】

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ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 12月26日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で忘年会を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

忘年会:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

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【壬辰田中塾番外編・南房総 白浜での忘年旅行会のご案内】

 さて20数年ぶりの師走の総選挙もいよいよ雌雄が決しつつあります。その結果とその後の政治の動きについては26日の田中塾において話が展開されていくものと思います。

 そして急な案内ではありますが、田中塾参加者有志の方による1泊忘年旅行会が企画されています。場所は南房総 白浜(女来島温泉)・グランドホテル太陽です。当ホテルは、塾の常連メンバーである篠塚正三さんが総務部長をされており、そのご厚意に預かっています。

 年末の忙しい時期ではありますが、房総の海を食べつくす楽しいプランに参加してみませんか。参加は現地集合になります。

      記

■開催日時
12月28日17時~29日

■場所
南房総 白浜 グランドホテル太陽(東京駅八重洲南口より高速バスにて約3時間)

■宿泊費
約1万円

■参加申し込み先
後藤有能
メール: agoto(アットマーク)k6.dion.ne.jp
※送信の際は、(アットマーク)を@に変換してお送り下さい

■締め切り
12月20日

2012年12月 4日

選挙の基本

 民自公の3党合意がもたらした総選挙がスタートした。メディアは連日のように政党の「政策の違い」を報道しているが、おそらく国民には何が何だか分からない。相当にインチキな解説も横行しているから、分かった積りになると騙される。そこに選挙は政策を選ぶと思い込まされている日本国民の不幸がある

政策を選ぶ選挙をやって大失敗した事を国民は忘れてしまったのだろうか。7年前、小泉総理に「改革の一丁目一番地の政策」と言われて国民は「郵政民営化」を圧倒的多数で選んだ。それが日本を改革する政策だと思い込んでいた。

 ところが間もなく国民は悲鳴を上げた。都市と地方、富める者と貧しい者との格差が拡大し、そのしわ寄せが医療や福祉にまで及んだ。そして郵政民営化の背後に300兆円の郵貯資金を狙うアメリカの金融戦略がある事も分かった。

 冷戦の終焉によってアメリカは「ソ連封じ込め戦略」をやめた。「ソ連封じ込め戦略」のために不可欠だった日本経済の発展に協力する必要もなくなった。むしろ日米安保にタダ乗りして経済成長のみを追求してきた日本から、蓄積された富を収奪する戦略を考えるようになった。

 それを具体化したのが宮沢政権以降アメリカから突き付けられた「年次改革要望書」である。霞ヶ関官僚の最大の仕事は「年次改革要望書」に応える事になった。アメリカの要望に最も忠実だった小泉政権はその作業を後押しした。小泉政権の「改革」とはアメリカの望む日本国家の改造だったのである。

 7年前に国民が圧倒的多数で選んだ「郵政民営化」はその後どうなったか。民主党政権のもとで見直された。民主党政権は政権交代後まず「年次改革要望書」を廃止し、今年の4月に「郵政民営化改革法」を可決して小泉総理が目指した完全民営化を実現させなかった。

 その採決で「改革法」に反対した自民党議員はわずか3人である。あの選挙で民営化に反対した自民党議員を落選させる「刺客」となった議員までが賛成した。「郵政民営化」を訴えて国民を熱狂させた自民党議員たちはほぼ全員が手のひらを返したのである。政策を選んだ選挙の結末はかくも虚しい。

 政策を並べられてもその真贋を見分けるのは簡単でない。口先で何とでも説明のつく政策には騙される事も多い。個別の政策より、その結果どのような社会を目指すのかをイメージさせる方が重要なのだが、政党が12もあるとそれも判別が難しい。それでは選挙で何を選べば良いのだろうか。

 政策の次によく言われるのが個人を選ぶという事だ。ところが12日間という短期の選挙ではそれも見分けが難しい。特に新人議員の資質など分かるはずもない。結局、現職議員が圧倒的に有利になる。アメリカ大統領選挙のように長期であれば、様々な攻撃に耐える姿から実行力や人間性を見極める事ができる。しかし日本のように名前だけ連呼されても個人の資質は分からない。

 ではどうするか。まずはメディアの報道など頭の中から消し去って、選挙の基本に戻る事である。基本とは、第一になぜ選挙になったのかを考える。第二に、暮らしが楽になったのか苦しくなったのかを選挙の判断基準にする事である。楽になったのなら現状の政治を続けさせる。苦しくなったなら現状を変える一票を投ずる。その一票で政権が変わらなくとも反対票が増えれば政権は政策を見直すようになる。

 政権交代を繰り返す民主主義国では第二の考え方で投票するのが普通だと思う。現状に満足する国民が多ければ政権は変わらない。しかし半数以上が不満であれば政権は変わる。これが民主主義の選挙の基本である。ところが政権交代を知らないできた日本では、昔の選挙は政策抜きのサービス合戦で、次にその反動から「政策」ばかりを重視するようになり、口先で国民をだます「目くらまし」選挙が横行するようになった。

 そこで基本の第一である。なぜ選挙になったのか理由は明白である。消費増税に民主、自民、公明の3党が賛成して法案を成立させたからである。社会保障との一体改革を謳ってはいるが社会保障の中身は不明のまま、増税だけを決めて国民に信を問うた。国民もずいぶん舐められたものだと思うが、それでも消費税に賛成なら民自公3党のいずれかに投票すべきである。反対ならその他の政党に投票する。これが今回の選挙の核心である。

 ところが民自公3党は消費税に国民の目を向けさせないよう他の政策を並べ立て、自分たちが一体でないかのように見せかけている。これが典型的な「目くらまし」のやり方である。愚かな国民の目先を変えさせれば簡単に騙せると民自公3党は思っている。しかし違いを叫んで戦って見せても、この3党は選挙が終われば手を組む以外に政治をやれない。

 そして投票に当たって大事なのは選挙後の政権の枠組みである。政策は口先でごまかせるが、政策を実現するのは数の力で、そちらが現実の政治を決める。消費増税の一点で民自公3党が手を組むことは確定している。一方でその他の案件では自民と日本維新の会が手を組む形が鮮明になってきた。従って日本維新の会を「第3極」と呼ぶのは正しくない。民自公と闘わない勢力は「第3極」ではなく「補完勢力」と呼ぶべきである。

 しかしだからこそ日本維新の会は自民党との「違い」を強調する「目くらまし」をやる。それが古今東西政治というものの姿である。そういう意味で現状に満足な人間は民自公+日本維新の会のいずれかを、不満な人はそれ以外を選ぶ。

 こうして現状満足か不満かの二者択一が決まったら、最後にそれぞれのグループの中から自分のフィーリングに合う政党を選ぶ。その時に並べられた政策を眺めることはする。これが選挙の基本ではないか。今回の選挙のように多くの政策に焦点を当て、違いばかりを強調していると、選挙後の政権の枠組みや消費増税という核心部分が見えなくなる。選挙に「目くらまし」は付き物だから、それに騙されぬよう、ご用心、ご用心。

2012年12月 1日

大政局一歩手前の総選挙

 民自公の3党合意がもたらした総選挙が近づいてきた。私の言う大政局一歩手前の中盤の山場が近づいてきたことになる。メディアは選挙情勢ばかりを報道しているが、政治の帰趨はそれで終わらない。選挙後がいよいよ本番の始まりである。

 何のために国民が投票に行かなければならないかと言えば、民自公3党が協力して消費増税法案を可決させたからである。協力の条件が「国民に信を問う」であった。だから国民に問われているのは消費増税の是非と3党合意に対する信任である。本筋はそういう話である。

 本筋から導き出される選挙の構図は、民主党、国民新党、自民党、公明党という消費増税賛成勢力vs反対した政党との戦いである。前者が選挙で過半数を獲得すれば国民は消費増税を認め、3党合意を支持した事になる。後者が過半数を得れば消費増税は廃止される。それが本筋である。

 ところがそうした構図にしたくないのが民自公3党である。自公は自分たちを権力の座から引きずりおろした民主党を攻撃して自公政権を復活させたい。そのための手段として3党合意に踏み切っただけで、民主党と同じ側になりたくない。民主党政権の未熟さを並べ立てて民主党政権の実績を問う選挙にしたい。

 一方の民主党も国民の目を消費増税からそらせたい。だからTPPを持ち出したり世襲禁止をアピールしている。民も自公も消費税以外に争点を作れば愚かな国民を目くらましにできると思っている。しかし民自公は選挙で違いを見せつけても、選挙が終われば3党協力の枠組みに戻らざるを得ない。参議院の「ねじれ」が決定的にそうさせるのである。

 そこにもう一方の主役として登場してきたのが大阪の橋下徹市長率いる「第3極」であった。中央集権打倒、地域主権を掲げて大衆的人気を獲得し、選挙で民自公に匹敵しうる議席を獲得するか、あるいは「第3極」の総結集を図って民自公を敵に回す「第2極」になれば、政界再編のカギを握れるはずであった。ところが野田総理の突然の解散に慌てふためき、政治のわかる人間が周囲にいない事が分かってきた。

 みんなの党の渡辺喜美代表に「勤皇か佐幕か分からない」と言われた石原慎太郎前東京都知事と手を組んだばっかりに、「第3極」どころか自民党の補完勢力に過ぎない事が明らかになった。中央集権体制を支えてきたのは自民党である。それを倒して政治主導を確立すると言った民主党も霞ヶ関とアメリカの「壁」に屈し、中央集権を支える側に回った。

だとすれば「第3極 」は民自公体制を打倒する以外に存在理由はないはずだ。ところがその印象が急速に薄れてきた。政策を次々後退させたり、石原代表がメディアの選挙予測を前提に安倍総裁を次期総理と見て選挙前から取引を繰り返しているからだ。民主党の菅政権が参議院選挙前にみんなの党との連立を口にしたのと同じレベルの愚かさだ。

 これで総選挙の構図は民自公3党+補完勢力としての日本維新の会vsその他の政党との戦いになった。そこに嘉田由紀子滋賀県知事の「日本未来の党」が登場し、小沢一郎氏や亀井静香氏が合流した事で選挙情勢を一変させるほどの衝撃を永田町に与えた。民自公3党が一斉に「日本未来の党」を批判している事がそれを物語っている。

 かつて国会議員だった石原慎太郎氏は国民的知名度はあるが、全く政治力のない政治家として知られていた。同じ「青嵐会」でも渡辺喜美氏の父親である渡辺美智雄氏とは雲泥の差があると言われていた。亀井静香氏が協力しなければ自民党総裁選に出馬する事もできなかった。国会議員をやめて東京都知事に転身したのは非力さゆえの逃亡と永田町では見られていた。

 それが尖閣問題で再び都知事に居続けることが出来なくなった。あのまま居続ければ非難の嵐に見舞われていたはずである。国政への転身とメディアは持ち上げたが、私にはまたまた逃亡を図ったとしか見えなかった。国際政治の舞台で何かをやれるほどの交渉能力も政治力も持ち合わせてはいない人物と提携した時に橋下氏の国政進出は大した話でなくなった。

 国政は国際政治の謀略と闘う世界である。海外に人脈を配置し、絶えず情報収集を行っていなければ官僚情報に頼らざるを得なくなる。官僚情報に頼る政治家が中央集権打倒などできる筈がない。中国はもちろんだがアメリカにも全く相手にされていない石原氏を代表に据えて国政進出を図る意味が私には理解できなかった。

 事前の選挙予測で総理に復帰する事を確実と考えているだろう安倍晋三氏の軽佻浮薄ぶりも際立ってきた。強気の発言をすることが非力でない証であると考えているようだが、そこに非力さが現れている事に気づいていない。大量議席を得て総理に就任したとしても、その勘違いを克服しないと安倍政権は短命に終わる。

 参議院の民主党に頭を下げなければ思うような政権運営ができない政治力学を分かっているのかと思うほど、安倍氏は労組出身議員が民主党に多いことを批判している。かつて総理に就任した時も自民党参議院を批判して自分の首を絞める事になったのを忘れているようだ。通常国会では定数是正を図る選挙制度改革が焦点になるが、労組出身議員の多い参議院民主党と安倍氏の攻防は見ものである。

 「ねじれ」の政権運営を経験した事のない安倍氏が次期通常国会を全うできるかはなはだ疑問である。しかも来年になれば永田町は参議院選挙一色になる。対決含みの政治が続くことは間違いない。通常国会が「ねじれ」で行き詰まれば、「ねじれ」を解消するために衆参ダブル選挙が行われることもありうる。

 その時には嘉田由紀子氏や橋下徹氏らも立候補して天下分け目の一大決選が行われる可能性がある。それが私の言う大政局の終盤である。一歩手前の総選挙を皮切りに激動の政治がいよいよ始まる。

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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