Calendar

2012年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

Recent Trackbacks

« 2012年10月 | メイン | 2012年12月 »

2012年11月21日

「第三極」か「第二極」か

 次期総選挙を巡って複雑で錯綜した解説がまかり通っている。連日メディアが報道しているのは、いわゆる「第三極」と呼ばれる小政党の政策の違いや、安倍自民党と野田民主党との対立軸を強調する事である。

 しかし政策を優先して投票先を選ぼうとすれば次期総選挙は判断不能に陥る。消費増税、原発、TPP,金融政策、地域主権など、各政党の主張は入り乱れ、全く収拾がつかなくなる。にもかかわらずメディアは各党の政策を並べて解説しているが、これは無意味と言うより有害と言った方が良い。

 こうした事が起きるのは「選挙は政策で選ぶ」という考えが根底にあるからである。しかしそれは世界でも日本だけではないかと私は思っている。政権交代がかかった3年前の総選挙の時も「『マニフェスト選挙』を叫ぶインチキ」というコラムを書いて、マニフェストを絶対の判断基準であるかのように言う学者、評論家、メディアの無知を批判した。

 私は「マニフェスト選挙」に反対ではないが、日本で行われているのは「マニフェストもどき」のインチキである。やるなら本物のマニフェスト選挙をやれば良い。「もどき」を選挙の絶対的基準にするのは馬鹿な話だと思う。

 マニフェスト選挙の本場はイギリスである。イギリスでは「候補者は豚でもよい」と言われるほど候補者を選ぶ選挙ではない。選ばれるのは政党のマニフェストである。従って候補者はポスターも個人事務所も街宣車も必要ない。だから選挙に金はかからない。候補者の選挙活動はマニフェストを配って歩くことである。

 そのマニフェストの中身も政策の羅列ではない。国家の現状をどう捉えるか、どこに問題があり何を変えるか、そしてどのような社会を目指すか、それを国民に宣言するのがマニフェストである。個々の政策はそれに付随して出てくる。大事なのは政策よりも向かうべき社会の在り方である。国民はそれを見て支持する政党を決める。

 日本では候補者が個人事務所を構え、個人のポスターを張り、街宣車で個人名を連呼する。個人を選んでもらうのが日本の選挙である。だから地縁、血縁が大切になる。そのどこがマニフェスト選挙なのか。そして日本のマニフェストは政策の羅列である。それに数値目標を入れ、工程表を作ったりするから、達成されないと「マニフェスト違反」と批判される。

 アメリカに「マニフェスト選挙」はない。候補者個人の能力を競い合う選挙である。能力の中でも集金能力が最も重視され、献金を多く集めた候補者が当選する。国民は政策よりも候補者の経歴や実績を見て投票する。口先の政策より政策を実現できる力を見極めるのである。

 4年前の大統領選挙でオバマは「チェンジ」を訴え、国民にアメリカ経済の立て直しを約束した。しかし経済再建の道は厳しく、約束が果たされたとは言えない状況で再び選挙に臨むことになった。日本式の「マニフェスト感覚」で言えば、オバマは約束を果たせなかった「うそつき」である。

 野党共和党はもちろんそう言ってオバマを攻撃した。しかし国民は約束を果たせなかったオバマを再び選んだ。それはオバマの目指す方向がロムニーよりも支持されたからである。オバマの個々の政策や公約の達成具合を国民は重視した訳ではない。これが世界に共通する選挙の選択肢ではないかと私は思う。

 そこで我が国の次期総選挙をどう考えるかである。第一に忘れてならないのは、何度も言うが国民の権利をないがしろにした違憲総選挙であるという事だ。1票の格差が解消されないまま選挙は強行される。「解消させなかったのは与党民主党の責任だ」と自公は言うが、民自公は国民が頼んでもいない「3党合意」をやり、その見返りに「年内解散」を自公は迫った。従って憲法をないがしろにしたのは民自公の3党すべてである。「だからこんな選挙に行けるか」ではなく、「だからそのことを頭に入れて」投票所に行かなければならない。

 次になぜ総選挙になったかである。それは消費増税法案を国会で成立させたからである。それ以外に理由はない。民主党は3年前の総選挙で「4年間は消費税を上げない」と国民に約束し、「上げる時には国民に信を問う」と言った。しかし4年も経たないうちに増税を決めた。そして増税は選挙の後なので国民との約束に反しないと説明した。自公は消費増税に協力する一方で「マニフェスト違反だから選挙で信を問え」と民主党に迫り、3党合意の見返りに総選挙が行われる事になった。

 だから二重三重の意味で総選挙は消費増税の信を問うために行われる。ところが民自公3党は選挙で不利になるから消費増税を選挙の争点にしたくない。そのため3党は今一生懸命に争点隠しをやろうとしている。それが野田総理と安倍総裁に現れている。金融政策、TPP,世襲問題などで両党は激しく相手を批判するが、その意図は消費増税から国民の目をそらさせるための「争点隠し」以外の何物でもない。

 実は民自公3党はどんなに激しく相手を批判しても選挙後は手を組まざるを得ない運命にある。「ねじれ」で政権運営が全くできなくなるからだ。国民が「政策」の対立なんぞに目を奪われていると「争点隠し」に騙される事になる。「政策」よりも大事なのは数の論理である。「政策」はごまかせるが数はごまかせない。

 仮に次期総選挙で安倍自民党が大勝しても、参議院で民主党の協力を得ない限り安倍氏が政権公約を実現する事は絶対に出来ない。そのため民自公は運命共同体なのである。民自公が怖いのは「第三極」の勢力が伸びる事で、そのためにも民主と自民は対立を強く見せつける必要がある。

 小泉総理がやったように激しい分裂選挙はその他の政党を目立たせなくする効果を持つ。さらにTPPや金融政策など消費増税以外の争点が増えるほど国民に選挙の原点を忘れさせる。従って本来の原点を浮かび上がらせるためには「第三極」が「第二極」にならなければならない。民主vs自公vs「第三極」ではなく、民自公vs「第二極」になる必要があるのである。

 結集できる大義さえ立てられれば「第二極」はできる。3党合意が霞ヶ関官僚の主導によると思うなら「霞ヶ関体制打倒」でも「既成政治の打破」でも良い。政策の違いはどうにでもなる。そもそも政策が同じなら同じ政党になる訳で、現状の政治を変えるには政策の違う政党が結集する必要があるのである。

 ところが問題は「第三極」の中で「政策の違いごっこ」をやっている事である。ピンボケメディアと同じように「選挙は政策を選ぶもの」などと思っているのなら世界の政治に太刀打ちできない未熟児レベルで、徳川幕藩体制を壊した薩長土肥連合にも遠く及ばない。所詮は民自公の補完勢力に成り下がるだけの話である。「第三極」が「第二極」になれるか、それが次期総選挙の最大の焦点である。


▲  ▽  ▲

■お知らせ

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾」が、11月28日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 11月28日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で第2部を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

第2部:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

2012年11月15日

違憲総選挙の行方

 14日の党首討論で野田総理は選挙制度改革の実現を条件に「16日に解散する」と発言した。これに自民、公明の両党が協力する姿勢を打ち出したことから、12月16日総選挙の流れが固まった。しかしこの選挙は選挙制度改革を条件にしているとは言え、あくまでも憲法違反の状態の中で行われる違憲総選挙である。

 野田総理の発言に沿う形で民主党はこの日に選挙制度改革法案を国会に提出した。法案の中身は、小選挙区定数の0増5減、比例代表定数の40削減、また比例定数の35議席に中小政党に有利な比例代表連用性を適用すると言うもので、通常国会でいったん提出して廃案になったものを取ってつけたように再提出した。

 しかしこの法案を16日までに取りまとめる事は事実上不可能である。従って今国会では憲法違反状態を解消する0増5減だけを実現させ、消費増税の見返りとして国会議員が身を切る定数削減は次期通常国会で実現させる事を確約すれば解散すると言うのが野田総理の主張であった。

 ところが違憲状態を解消する0増5減案を16日までに成立させても、それを受けて区割りの変更を12月4日の公示日までに行う事は不可能である。選挙は現行の憲法違反の状態のまま行われ、選挙結果はやはり違憲になる。裁判所が選挙無効の判決を出す可能性も全くないとは言えない。

 選挙無効になれば違憲選挙に踏み切った民主党だけでなく、違憲状態のまま早期解散を迫った自公両党の責任も問われる事になる。国民は無効になるかもしれない総選挙を民主、自民、公明が3党合意で仕組んだことを腹に収めて投票に臨まなければならない。

 一方で野田総理の狙いを私なりに解釈する。それは来年の通常国会までに定数削減の選挙制度改革について確約を迫ったところにある。民主党が提案している比例代表連用制は自民党にとって受け入れがたい制度だからである。この制度が導入されれば自公の選挙協力に楔が撃ち込まれる可能性がある。

 連用制は小選挙区で多数を得た政党が比例ではその分を削減されるので、中小政党が生き残れるようになっている。仮に日本で導入すると民主党や自民党は議席を激減させるが、公明党などは議席を減らすことにならず、かつては公明党が熱心に導入を主張していた。

 連用制が実現すると公明党は自民党との選挙協力がなくとも現状の議席を維持できる。そうなればキャスティングボートを握れる政党になり、状況次第で連立の相手を変えることが出来る。困るのは自民党である。公明党の協力がなくなれば自民党は小選挙区でそれぞれ3万程度の票を減らすことになる。自民党は公明党との選挙協力の結果、実は足腰の弱い政党に成り下がっている。だから自民党はかつての中選挙区制に戻りたい。3人区を作り公明党も生き残れるようにして公明党との関係を維持しようとしている。

 従って選挙制度改革での確約は民主党の連用制と自民党の中選挙区制との綱引きになる。自民党は連用制を憲法違反だとか、分かりにくいとか言っているが、中選挙区制こそ世界に例のない特殊な選挙制度で、比例代表連用制はニュージーランドやドイツなどが採用している。中小政党が生き残れることから連立の時代の政治に適していると言われる。

 違憲状態である事を承知の上で選挙に踏み切ると最高権力者が判断した事は、主権者国民から見れば挑戦状をたたきつけられたに等しい。そうであるならば16日までにどのような確約が政党間で実現し、それが国民にどのような意味を持つのかを吟味する必要がある。そして挑戦状にもきちんと答を出さなければならない。

 特に景気後退がはっきりしてきた今、その原因が消費の減退にあると言われている今、その消費をさらに冷え込ませる消費増税を認めるのかどうか。主権者国民の知らないところで決められた3党合意に対して、ようやく国民が意思を示せる機会が訪れた。

 テレビを見ていると「どうせ政治は良くならねえ」とか「誰がやっても同じだ」など自分で自分に唾する発言を耳にするが、国民生活に最も直結する問題は消費税の導入である。それに意思表示をしなければ景気がどうなっても文句は言えない。来年夏の参議院選挙と2度にわたって意思表示ができる機会をむざむざ無駄にするのは本当に愚かである。


▲  ▽  ▲

■お知らせ

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾」が、11月28日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 11月28日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で第2部を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

第2部:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

2012年11月 9日

米国版「決められない政治」

 アメリカ大統領選挙は接戦を制してオバマ大統領が再選された。現職大統領の再選は通常の事だが、しかしオバマの場合には4年前の期待値が高すぎ、それに足を取られて再選が危ぶまれた。「チェンジ」に期待した国民が期待した分失望を味わったのである。

 それでもオバマが勝利できたのは共和党に大きな問題があったと私は思う。かつての共和党は予備選挙の段階までは宗教保守派の熱烈な選挙運動を取り込んで利用したが、一般の国民を相手にする本選挙ではイデオロギーを抑え中道に寄る姿勢を鮮明にした。

 ところが民主党のクリントン大統領が「ニュー・デモクラット」と称してリベラル色を抑え、共和党の主張である「小さな政府」を標榜した頃から、共和党はさらに右にシフトした。「伝統的価値観」に基いて中絶禁止や同性婚の反対を強調し、ティーパーティなど草の根運動を通してオバマの政策を「社会主義」と攻撃した。

しかし保守イデオロギーを出し過ぎれば一般の国民には受け入れられない。共和党の大統領候補に選ばれたのは穏健な中道派のロムニーであった。それでも共和党は宗教保守派にも一定の配慮をしなければ大統領選挙を戦えない。それが民主党支持者を固く結束させたオバマ陣営の戦術に敗れた。

 2000年のブッシュ対ゴアの選挙では、共和党のブッシュ陣営が「マイノリティに優しいブッシュ」という演出を凝らし、有権者人口の1割を占めるヒスパニックを取り込もうとした。しかし今回の選挙では右派の主張を取り入れたロムニーが移民に厳しい立場をとり、ヒスパニックはオバマを支持する事になった。白人人口が減少しマイノリティが増大するアメリカで、共和党は路線を検証し直す必要がある。

 2期目の大統領は再選がないので「レイムダック(死に体)」と言われる。しかし失うものもないので思い切った事をやれる一面もある。オバマは4年後に共和党に政権を奪還されないような政権運営を心がけるだろうが、その際カギとなるのは共和党が過半数を制した連邦議会下院との「ねじれ」である。

2年前の中間選挙で上院と下院に「ねじれ」が生まれて以来、議会で法案が成立したのは提出された法案のわずか2%だという。「決められない政治」がアメリカにも起きている。もっともアメリカ議会に提出される法案はほとんどが議員立法で、日本のように政府提出の法案を審議する国会と単純に比較は出来ない。しかし政治の機能不全は日本だけではないのである。

アメリカでは間もなく減税策が失効し、予算も強制削減される「財政の崖」が迫っている。オバマ大統領はまずこの問題に取り組まなければならない。「ねじれ」をどう打開するのかが大統領に求められ、一方の共和党も4年後の政権奪回を目指して「ねじれ」を利用する事が得策なのかどうかを問われる。

 アメリカ政治の「ねじれ」を巡る攻防は、同じ問題を抱える日本政治にとっても参考になる。ただそれを比較するためには、日本とアメリカの政治の仕組みの違いを若干知らなければならない。それを少し説明する。

 アメリカでは上院と下院の「ねじれ」と、上下両院はねじれなくとも、大統領と議会が「ねじれ」る場合とがある。国民のバランス感覚が選挙に現れ、一方だけが強くなり過ぎないようにするため「ねじれ」は起こる。そして「ねじれ」がない事の方が珍しい。しかし政治が機能しなくなれば国民生活に不利益が生じる。

 そこでアメリカでは大統領に「伝家の宝刀」とも言える「拒否権」が与えられる。議会の決定を大統領は拒否できるのである。ただし「拒否権」も目的と時期を間違えれば、国民からも議会からも批判を浴びる。またアメリカは議院内閣制でないため、議員に党議拘束は課せられない。そこで大統領は反対派の議員を口説いて賛成に回らせる事もできる。従ってアメリカは日本より「ねじれ」に風穴を開ける余地がある。

 日本はイギリスと同じ議院内閣制で二院制だが、イギリスに「ねじれ」はない。貴族院は世襲でしかも何らの決定権も持たないからである。選挙で選ばれた議員には党議拘束が課せられるため、選挙で多数を得た与党のマニフェストが議会で否定される事はない。ただ少数意見を尊重するのが民主主義であるため議会は修正のための議論を行う。

 悩ましいのは日本である。イギリスと違って参議院議員も選挙で選ばれ、しかも衆議院が決定した法案を参議院が否決すると、衆議院の三分の二の賛成がないと廃案になる。そのため衆議院と参議院で多数党が異なると政治は何も決められなくなる。衆議院の過半数によって選ばれた総理が衆議院の三分の二の賛成がないと自分の政策を実現できない仕組みはおそらく世界でも例がない。これが日本の悲劇的な「ねじれ」の実態である。

 「ねじれ」をなくすには日本国憲法を変えるしかない。しかしそれも衆参両院の三分の二の賛成がなければ出来ないのできわめて難しい。最も簡単な方法は衆議院選挙と参議院選挙を同時にやる事である。同時にやれば同じ政党が衆参共に多数を制し、バラバラにやれば異なる政党が多数になる可能性が高い。

 ところが政権奪還を狙う自民党は衆参ダブルではなく年内解散を求めている。衆議院選挙に勝っても参議院で過半数を持たない自民党は「ねじれ」に苦しむだけなのにである。ここはアメリカの共和党のように党派性を強めるのではなく、「ねじれ」からの脱却を真剣に考えないと、米国版「決められない政治」と違って日本版「決められない政治」は断末魔を迎えてしまう。

▲  ▽  ▲

■お知らせ

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾」が、11月28日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 11月28日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で第2部を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

第2部:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

2012年11月 6日

政治はアートである

 「政治はアートである。サイエンスにあらず」と書いたのは、明治期の外務大臣陸奥宗光である。幕末に坂本龍馬の腹心として「海援隊」を組織し、明治維新後は政府のやり方に不満を抱いて政府転覆を企て投獄されたが、伊藤博文の誘いにより一転して明治政府の外務大臣となった。

 徳川幕府がアメリカの圧力で結ばされた不平等条約の改正に辣腕を振るい「カミソリ大臣」と呼ばれたが、一方で官僚政治と闘う自由民権運動の星享と親交を結び、政党政治家原敬を育てた。その陸奥が伊藤博文に送った手紙の中に冒頭の言葉がある。

 意味するところは「政治は理屈や理論ではなく、職人芸の技(わざ)の世界」という事である。どんなに正しい理屈を言っても実現しなければ政治にならない。実現させる「技(わざ)」こそが政治なのである。

 私の経験で言えば、政治は「理屈」より「経験」、「知識」よりも「知恵」が大事で、「手触りの感触」や「感性の鋭さ」を磨き、「俯瞰で見る能力」と「歴史に学ぶ姿勢」が必要である。そして「目的に真っ直ぐ進む」より「紆余曲折をして見せる」方がゴールに先に到着できる。

 ところがそれを理解できない人種がいる。特に自分を「インテリ(知識人)」と思っている人種に多い。そういう人種は理屈に合わない事を拒絶する。しかし世の中はそもそも理屈に合わない事で成り立っている。その不都合な世界を調整するために政治がある。理屈通りに物事が進めば政治の役割は小さくなる。

 理屈に合わない世界を理屈に近づけるのに理屈を言うだけでは解決しない。理屈に合わない事情が存在する理由を一つずつ片づけていくしかない。そのためには紆余曲折が必要となり時間もかかる。しかしアートよりもサイエンスの目で政治を見ると、そうした動きはいちいち批判の対象になる。「政治は何をやってんだ!」となる。

 中には「政治こそ諸悪の根源」と言う人もいる。そういう人には「自分の顔を鏡でよく見てみろ」と言いたくなる。鏡に映った顔こそが諸悪の根源を生み出した顔なのだ。民主主義は国民の選択が政治を作る。政治が悪なら国民も悪という事になる。政治を「駄目だ」と言っても人は政治と無縁では生きられない。政治に唾を吐けば、唾は自分に返ってくる。政治を批判するだけでは何の解決にもならないのである。

 ところが困った事は日本のメディアがサイエンスの目でしか政治を見ない事である。世界にはクオリティ・ペーパーや政治専門のテレビなど「大衆」を相手にしないメディアがあり、アートの目で政治を見る人間を相手に政治報道しているが、この国には「大衆」をお客様にする新聞とテレビしかない。売り上げを伸ばすためには「大衆」に「うっぷん晴らし」をさせる必要があり、そこで権力を持つ政治家叩きが有力な売り物になる。

 こうして「知識人」を自認する新聞社の解説委員やテレビのコメンテイターは「これほどひどい政治はない」と悲憤慷慨して見せ、国民は「日本の政治は駄目なんだ」と暗澹たる思いに沈み込む。しかし私の見るところ日本の政治だけがおかしい訳ではない。世界中の政治がみな不安定で、それは冷戦後の世界構造がそうさせている。今は世界中の政治が手探りしているのである。

 冷戦時代の日本は自民、社会の二大政党が「万年与党」と「万年野党」という極めて「安定した時代」を作り出した。しかし冷戦が終わると政権交代なき政治構造は継続する事が出来なくなる。それまで与党自民党を支持してきたアメリカがその必要を認めなくなったからである。

 冷戦の終焉と共にイデオロギー対立も終わり、日本にもアメリカやイギリスのように政権交代可能な政治構造が求められるようになった。そこで自民、民主の二大政党制が作り出され、3年前に初めて政権交代が実現した。ところが1日も早く政権に復帰したい自民党は党派性を強め、それに「ねじれ」構造が絡まって、日本政治は「何も決められない」機能不全に陥った。

 今、我々の目の前で行われているのはその機能不全状態から抜け出すための再編劇である。自民対社会の安定構造から自民対民主の不安定構造を経て、次なる政治構造に脱皮する「産みの苦しみ」を味わっているのである。それが最終的に二大政党制になるか、あるいはヨーロッパ型の多党制になるかは分からないが、そのためのプレイヤーは出揃いつつある。

 今、メディアがやるべきは国民生活にマイナスを及ぼす政治家叩きではなく、野田佳彦、安倍晋三、小沢一郎、石原慎太郎、橋下徹ら各氏の中で、次の時代を作る「アーティスト(政治の職人)」になるのは誰かを国民に探させる材料を提供する事である。

▲  ▽  ▲

■お知らせ

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾」が、11月28日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 11月28日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で第2部を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

第2部:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
↓ ↓ ↓
国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.