Calendar

2012年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

Recent Comments

« 「日米対中国」と考える愚かさ
メイン
他力本願自民党 »

中盤の序盤の締めくくり

 来年夏の参議院選挙までを一区切りとする大政局は、中盤の序盤の締めくくりとなる自民党総裁選挙が終了した。結果は安倍晋三氏の総裁返り咲きとなったが、投票の結果に自民党の現状が浮き彫りになった

 地方票で投票数の55%を獲得しトップとなった石破茂氏が、国会議員票では17.3%しか獲得できずに第三位。一方、国会議員票で29.4%を獲得しトップとなった石原伸晃氏が、地方票では12.7%しか取れずに第三位と対照的な得票結果を見せた。つまり自民党は中央と地方が見事なほどにねじれた。

 そして中央と地方の双方で二位の座にあった安倍氏が総裁に選ばれた。しかし決選投票で上乗せされた議員票は石破氏より安倍氏が1票少ない。自民党の期待を担って選ばれたとは言い難い選挙結果である。波乱の種が至る所に播かれているように見える。

 そもそも総裁続投に意欲を見せていた谷垣禎一氏を引きずり下ろして自民党総裁選挙は始まった。引きずり下ろした勢力は「選挙の顔」として石原伸晃氏を総裁に据えようとしていた。3党合意の延長上に大連立を志向するためである。それが地方の自民党員から嫌われた。2年間も自民党幹事長を務めたにもかかわらず、石原氏は全体の1割程度の地方票しか集められなかった。

 その原因として、谷垣総裁を支える立場にある者が引きずりおろす側に回った「明智光秀」のイメージ、また「福島原発第一サティアン」など問題発言を繰り返す軽佻浮薄さ、そして保守の陣営からは石原東京都知事が火をつけた尖閣購入が、その裏で息子を自民党総裁に据え野田民主党との大連立を図る仕掛けではないかと見られたことが挙げられる。

 最後の部分は少し説明を要するが、石原都知事の尖閣購入に賛同して寄付を行った人の中から、知事が野田総理と「極秘会談」を行って国有化を認めた事に批判が出ており、それが息子を自民党総裁にして民主党との大連立を目指す動きではないかと見られた。右派勢力は石原伸晃氏の総裁実現を認めず安倍総裁実現に力を入れた。

 そのため当初は「石破対石原の戦い」と見られた総裁選挙が、安倍氏も交えた三つ巴の戦いとなり、最後は地方の自民党員や保守陣営に嫌われた石原氏と、党の長老グループから嫌われた石破氏の「嫌われ石・石」が脱落して安倍氏の返り咲きとなった。

 これまでの自民党なら過半数の党員票を獲得した候補を決選投票で打ち負かす事はやらない。党員の声を尊重して2位の候補は決選投票を辞退するのが通例である。しかし安倍氏は辞退せず決選投票に臨んで逆転勝利を得た。一回目の投票で石原氏に投票した額賀派が結束して安倍氏に入れたことが大きい。

 この選挙結果に地方から不満の声があがった。自民党秋田県連の4役は「民意が反映されていない」と役職を辞する意向を表明した。自民党の中央と地方のねじれは、野党に転落した自民党が反省するどころか何も変わっていない印象を国民に与え、さらに5年前の参議院選挙で自民党を惨敗させた「顔」を再び党の総裁に戻したのである。

 安倍氏は石破氏を幹事長に起用したが、地方の不満を抑えて党運営を行うには「選挙の顔」を石破氏に託すしか方法はない。このため安倍―石破の総幹コンビがどれだけ共同歩調をとれるかに自民党の今後はかかっている。

 二人は安全保障問題などでタカ派の似た者同士と見られているが、石破氏が民主党との対決色を抑制する考えを打ち出しているのに対し、安倍氏は対決色を打ち出すタイプである。特に右派陣営から強く支持されているだけに民主党との宥和路線は取りにくい。

 それが野田内閣を解散総選挙に追い込む戦略にどう影響するか。安倍氏が幹事長代行に側近の菅義偉氏を起用したあたり石破氏に党運営のすべてを任せる考えではないようだ。その菅氏は通常国会で野党6党が提出した野田内閣不信任案に対し自民党の方針に造反して賛成した。つまり3党合意に反対したのである。これまでより野田政権との対決姿勢は強まる事が考えられる。

 民主党と協力する3党合意と民主党と対立する解散の両方を同時に進めなければならない政局で、谷垣前総裁は最後に矛盾した行動にはまり込み、野田内閣を解散に追い込むどころか総裁選に出馬する事が出来なくなった。谷垣氏は野田氏との政局に敗れた事になる。それでは安倍氏は野田氏との政局に勝つことが出来るだろうか。

 硬軟両様を使い分けなければならない政局で、民主党との対決色を強めれば「何も決められない政治」が再来し、自民党に逆風が吹く可能性がある。また提携が噂される大阪維新の会との関係でも、主張が近ければ近いほど、選挙では同じ支持層を食い合う事になり、組織の末端で近親憎悪が激しくなる。活路を切り開くのはそれほど容易ではない。

 これで大政局の中盤の序盤は自民党も民主党も「選挙の顔」ではないリーダーが党を率いる事になった。「選挙の顔」にならない党首の誕生というのも妙な話だが、それで選挙が「近いうち」と言われるのもまた妙な話である。

▲  ▽  ▲

■お知らせ

田中良紹さんが講師をつとめる「壬辰田中塾」が、10月31日(水)に開催されます!

田中良紹さんによる「政治の読み方・同時進行編」を、美味しいお酒と共に。

ぜひ、奮ってご参加下さい!

【日時】
2012年 10月31日(水) 19時〜 (開場18時30分)

【会場】
第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml

※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で第2部を行います。

【参加費】
第1部:1500円
※セミナー形式。19時〜21時まで。

第2部:4000円程度
※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

【アクセス】
JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

【申し込み方法】
下記URLから必要事項にご記入の上、記入欄に「年齢・ご職業・TEL」を明記してお申し込み下さい。

21時以降の第2部に参加ご希望の方は、お申し込みの際に「第2部参加希望」とお伝え下さい。

http://www.the-journal.jp/t_inquiry.php

(記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/8494

コメント (3)

田中 様

国会政党支持のネジレによって、衆議院と参議院がネジレているが、政党の内部にも中央と地方でネジレ現象が出ていると見るべきなのでしょうか。

このことが暗示していることは、国会議員と地方議員、国民との間に埋め難い垣根ができていると見るべきなのでしょうか。

既成政党が国民から遊離し、どこに支持政党を求めるか、漂流状態に有り、日本維新などという軟体動物的大衆受けだけを狙った無責任極まりない政党が跋扈できる土台を作り上げています。

尖閣問題は、複雑化し、経済的に日本が孤立化しかねない状況になってきました。中国だけでなくほかの国でも、中国の強い影響力によって、輸出をはじめとする海外進出が大きな打撃をうけかねないのです。

経済的に行き詰まれば不利な条件でありながらTPPを結ばざるを得ないことになるのではないかと、大きな危惧を抱いています。

野田総理は、総辞職するか、解散をするしか残された道がなくなったように見ています。

「国民の生活が第一」がキャスチングボードを握り、政権の一翼を担うには少なくともそこそこの議員の当選が必要である。

毎日、多くの方に応援をお願いしているが、一番感心が高いのは、直接国民に影響の有るTPPについての話だ。

少なくても「生活」は農業問題に矮小化させないで、医療・保険などへの影響を説明し、堂々とTPPに反対だと旗を掲げて欲しい。


今 この時期に新自由主義者の維新の会に遠慮する事はない。

必ずやTPP反対で票が倍増するだろう!

選挙の顔にならない二人が選ばれた、その通りです。しかし、二人の環境は180度違います。
総理を少しでも長くと早く総理にという二人。もう再起不能の民主党だが、ふてぶてしい野田は問責くらいではやめない、野党に不信任案可決ができるかどうかだが、辞めなければ辞めないほど自民にとっては好都合という点もあり、安倍は焦らないのではないか、維新も第二自民党であることがばれ、本物の自民党にかなうわけがなく、小沢つぶしがせいぜいで、これも時間が立つほど化けの皮がはがれ、自民に好都合。
野田が早く辞めなければ、なんせ国民の不満がますます野田に集中する。一方で人気挽回に野田が中国を煽り、マスコミ上げて国民を防衛問題に縛り付ければほっといても自民党安倍待望論が巻き起こり、野田つぶしのうえ、小沢も潰せる。安倍は政治家素人の野田と違い中国とパイプのある高村を副総裁にして日米最重視の裏で、中国に対しても配慮している。これが政治だ。
野田が小沢を起用する度量があればここまで政治も経済もひどくならなかった。
防衛問題が続ける限り野田は自分で首を絞め、小沢を殺し、安倍を押し上げるだけだ。いずれ自民に世話になる野田としては最大の仕事と考えているのかもと思える程の愚策だ。
野田は小沢つぶしで中国を煽るのが役目と割り切っていると思える。
なんにしても、野田と安倍との勝負はついている。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
↓ ↓ ↓
国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.