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2012年6月28日

除名処分を迫る自民党の愚かさ

 消費税法案の衆議院通過を巡り、民主党内から70人を越える造反者が出た事について、自民党は造反者を除名処分にしなければ参議院での審議に応じないと主張している。貧すれば貪する。自民党もここまで落ちぶれたかとため息が出る。審議に応じなければ自民党は民主党のペースにはまっていくだけで民主党を利する事になる。

 およそ民主主義国家の政党があらゆる政策で一致することなどありえない。政治家の仕事は選挙民の負託に答える事で、選挙民の声と政党の方針が異なった時には選挙民の側に立つのが民主主義の基本である。国民を優先するのが民主主義だから、それを勘案せずに政党が所属議員を除名追放などすれば政党は先細りして消滅する。

 レーガン政権時代のアメリカには「レーガン・デモクラット」と呼ばれる民主党議員がいた。彼らは民主党議員ではあるが共和党のレーガン大統領の政策を一貫して支持した。それは自分の選挙区の有権者にレーガン支持者が多かったからである。それこそが国民主権の政治で民主党は「レーガン・デモクラット」を党から追放などしていない。

 日本は議院内閣制の国だから、総理大臣は国会議員によって国会で選ばれる。従って国民の選挙によって過半数を制した政党の党首が内閣総理大臣に選出される。その選挙で政党の中から造反者が出ればそれは国民の声を無視した事になりこれは除名される。内閣不信任案に与党議員が賛成した場合も同じである。しかし政策や法案となれば話は違う。

 今回の消費税法案については、選挙で国民に「やらない」と約束した政策を国民に断りもせずにやろうとしているのだから、それに対する造反者を処分するのは民主主義の筋道に反する。その事を自民党はつい先日まで主張していた。「マニフェスト違反だから解散しろ」と言うのは全く正しい主張である。そこまでは自民党も国民の側を向いていた。

 ところが3党合意をした現在、「3党合意を無視して造反したのは政党間の信義に反する許せない行為だ」と自民党は言う。3党合意は国民が求めたものではない。政党の勝手な合意である。国民を無視して政党の勝手な都合を優先し、それによって国民との約束を守ろうとした議員を処分しろと言うのは恐ろしく反民主主義的な言い草である。

 その自民党に迎合し、「民主党は政党の体をなしていない」などと批判するメディアも民主主義を知らない。小泉政権時代の郵政選挙を思い出せば、そんな事が言えるはずもない。「バカを言うのもいい加減にしろ」と言いたくなる。

 小泉総理は「郵政民営化」を政権の最重要課題と位置づけ、それに「政治生命」を賭けた。野田総理における「消費税法案」と同様である。しかし自民党内からは轟々たる反対論が出た。衆議院の採決では自民党から反対37票、棄権14票の造反者が出たが5票の僅差で可決され、参議院では自民党から反対22票、棄権8票が出て17票差で否決された。

 総理大臣が「政治生命」を賭けた法案を自民党は造反によって否決したのだから、今回の消費税に対する造反よりも造反の程度は重い。これに対して小泉総理は「国民に聞いてみたい」と言って衆議院を解散し、造反議員を公認しなかった。しかし除名などの処分を行なったわけではない。

 選挙の結果、自民党は296議席を獲得する大勝を収め、国民は郵政民営化を支持した。その結果を受けて開かれた特別国会では造反議員の多くが賛成に回り、郵政民営化法案は成立する事になった。造反議員に処分が下されたのはその後で、衆議院の採決で造反が出てから3ヵ月後の事である。

 選挙の前に新党を作って自民党を飛び出していた9人と、首班指名選挙で小泉純一郎氏に投票しなかった1人が除名され、27人が離党勧告、党員資格停止1年が3人、党役職停止1年が16人、そして戒告が23人であった。つまり除名は自民党を離れて別の党に所属していた議員に下された。

 そして自民党はそれから1年も経たないうちに離党を勧告した議員を復党させる事にした。首班指名選挙で自民党の安倍晋三氏に投票した事などを理由に誓約書を書かせるなどの条件を課して11人を復党させた。処分は厳しすぎたという事になる。この二転三転振りを見てメディアは自民党を「政党の体をなしていない」と批判したであろうか。

 さらにそれから6年が経ち、今年の4月に小泉政権の郵政民営化法案を見直す郵政民営化法改正法案が民主党政権の手で上程され自民党の賛成も得て可決された。小泉政権の最重要政策を自民党自身が葬り去ったのである。この時、自民党から造反者が4人出た。小泉政権時代に幹事長であった中川秀直氏、総務大臣であった菅義偉氏、小泉元総理の息子の小泉進次郎氏が反対票を投じ、平将明氏が棄権した。

 郵政選挙で国民に民営化を訴えていた自民党議員が一転して改正案に賛成した事に「恥を知れ」と言いたくなったが、この時に造反組に対して自民党執行部が下した処分は「口頭での厳重注意」という軽いものであった。その自民党が国民との約束を守ろうとした議員を「除名しろ」と言うのは如何なる論理からなのか。

 しかも小泉進次郎氏は党の青年局長という役職にあり、党議拘束に違反するなら役職を辞してから造反するのが普通である。それをお咎めなしにした事にも「恥を知れ」と言いたくなる。野田総理は処分問題について「他党からとやかく言われる問題ではない」と言ったがそれはその通りで、それを審議と絡めてとやかく言う自民党は愚かというしかない。

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2012年6月25日

追い詰められているのは誰か

 今月の15日に社会保障と税の一体改革で3党合意が成立した時、私は私の想定していた政局がいよいよ幕を開けたと思った。想定の前提はまず3党合意が達成され、消費税法案が今国会で成立し、そこに自民党が巻き込まれる事である。そうしないと「何も決められない政治」からの脱却は図れない。

 1日も早い解散・総選挙を求める自民党は、当初は消費税に賛成せずに野田政権を解散に追い込む戦略を立てていた。そのため問責決議案を可決して野田内閣の閣僚を次々に交代させ、重要法案も成立させない戦術を取った。「ねじれ国会」であるから自民党には苦もなく出来る戦術で、「何も決められない政治」はこうして続いていた。

 最大の山場は赤字国債発行法案の採決の時に訪れる筈であった。この法案が可決されないと成立した筈の今年度予算は、財源が足りずに執行が出来なくなる。震災からの復興どころか国民生活は大混乱に陥り、日本経済は破綻に追い込まれる。昨年は8月に菅総理が首を差し出して、退陣との引き換えに赤字国債発行法案を可決させる事が出来た。

 「ねじれ」がある限り今年も同じ事が想定されていた。野田総理は9月の民主党代表戦挙に再出馬どころか夏には退陣せざるを得ない状況に置かれていたのである。その状況から脱するために何をするのかに私は注目していた。すると昨年11月に野田総理は突然「社会保障と税の一体改革に政治生命を賭ける」と言い出し、それを国際公約にした。国際公約したという事は出来なければ退陣するという意味である。

 どうせ今年の夏までしかない政治生命だから、自民党がマニフェストに掲げる消費増税に擦り寄り、それに自民党を巻き込む戦術に出たと私には見えた。自民党は過去の経験から増税を掲げて選挙をやれば敗北する事を良く知っている。責任のない野党だから消費増税をマニフェストに掲げたが、自分ひとりで成立させる気などさらさらない。やる時には民主党を巻き込む事が必須の条件と考えていた。

 ところが野田総理が消費増税に「不退転の決意」と言いだした。すると一方で消費増税論者の小沢一郎氏が「マニフェスト違反だから認められない」と猛反対し、民主党は真っ二つになった。自民党ははじめは野田総理の「本気度」を疑っていたが、次第に民主党内の対立が激しさを増し、それに目を奪われて民主党分裂が現実になると思い込んだ。

 民主党の分裂を助長させ、小沢氏を政界から駆逐できれば、自民党の思惑通りになると思ったのか、自民党は野田総理と手を組む事を決めた。消費増税に反対するつもりだった公明党も蚊帳の外に置かれる事を嫌い、3党合意はこうして成立した。3党が合意すれば民主党の中から造反が出ても法案成立は確実である。これで自民党は増税に責任を持つ「加害者の政党」になった。

 3党合意が成立した時に自民党幹部は野田総理の言葉をそのまま引用して「これで決められない政治から脱却する」と言った。野田総理はそれを聞いてほくそえんだに相違ない。これで首を差し出さなくとも赤字国債発行法案の可決が見えてきたからである。

 政治を読めないおバカメディアは、3党合意の瞬間から増税反対の小沢氏らは政界で孤立し、追い詰められていくと報じた。民主党分裂は不可避だとも報じた。確かに分裂状態は不可避である。そう見せる事で自民党を3党合意に引き込んだのだから、分裂状態に見えなければ困る。しかし小沢氏らが「追い詰められた」とする見方は上っ面を撫でただけの「表層雪崩」である。

 根拠は消費税法案に反対票を投ずれば民主党から除名されるから、それを恐れて小沢氏のグループから脱落者が相次ぐというのだが、これは政治の修羅場を知らないサラリーマン的思考である。私は前回「民主党の半数が反対を表明すれば処分は出来ない」と書いたが、実際には半数も必要ないようだ。「54」が造反すれば与野党逆転になるため「50」を超えれば処分した側が自分の首を絞める。議員にもサラリーマン的思考はあるだろうが、国民の声は増税反対だからそちらに組する方が選挙には有利になる。

 かつて郵政民営化法案に反対票を投じた自民党議員は選挙で公認されなかったが、除名された記憶はない。そもそも政党というのは国家の方向性に対する考えが同じであれば、すべての政策で一致する必要などない。自民党の前身である自由党は吉田自由党と鳩山自由党とに分かれて180度異なる安全保障政策を主張した。かたや再軍備に反対してアメリカに従属する道を選び、一方は民族自立を訴えて再軍備を主張した。選挙では同じ党員が全く逆の主張をして、それが自由党を大勝させた。

 ともかく民主党は分裂状態でいる事が必要である。野田総理が小沢氏と対立している限り、自民党は野田総理を簡単には潰せない。その野田政権は選挙制度改革法案を今の国会に提出している。これに公明党が賛成すれば自民党が反対しても法案は成立する。この法案は公明党が自民党と選挙協力しなくとも現有議席を確保できる法案だから自民党にとって一大事である。公明党の選挙協力がなくなれば各小選挙区で自民党候補者は3万票程度の票を減らす事になり大打撃を受ける。

 今国会で消費税法案が成立すれば、国民からは「我々に負担を強いるなら行政府も立法府も身を切る改革を徹底してやれ」という声が高まる。つまり消費税法案が成立すればそれだけ無駄を省く改革を求めるプレッシャーも強まり、2年後の実施に至るまで選挙制度改革や公務員改革など「身を切る改革」が最重要の政治課題になる。

 さらに国民不在の3党談合で成立したという後ろ暗い誕生のいきさつが、小沢氏の言う「増税の前にやるべき事がある」という主張を後押する。実施の前には衆議院選挙と参議院選挙が必ずあるから、議員たちは必死になって改革を訴え続ける。自民党が消費税成立後に強く求めている解散・総選挙は「身を切る改革」の真剣度を測る選挙になるのである。その真剣度が足りないと国民が判断すれば増税反対派が選挙で勝利し、消費税は「リコール」される。

 それにしてもここに来て分からないのが自民党だ。3党合意の後で「決められない政治から脱却する」と言ったかと思えば、「赤字国債発行法案と引き換えに野田総理を解散に追い込む」と言ってみたり、「解散よりも野田民主党と大連立して政権復帰した方が良い」と言う一方で、「大連立すべきではない」という声もある。

 追い詰められているのは小沢氏でも野田総理でもなく自民党ではないかと私は思う。民主党の分裂に目を奪われているうち消費増税に加担する側に引き込まれ、「1日も早い解散」を求めながら国会を9月8日まで延長され、野田政権と手を組むのか戦うのかの方針を決められず、谷垣総裁のリーダーシップも見えない。9月までの国会の中で自民党に何が起きてくるか。私は民主党の分裂よりそちらに注目している。

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2012年6月16日

序盤の攻防

 民主、自民、公明の3党は「社会保障と税の一体改革」の修正協議で合意した。主張の異なる社会保障政策の根幹は棚上げにし消費税を上げる事だけが決まった。「残るは民主党内の反対グループがどうするか。政局はいよいよ最終局面に入った」とメディアは報じている。しかし私は長い政局のほんの序盤が始まったところだと見ている。

 3党が合意したので民主党内の3分の2が反対しても法案は成立する。法案の成立はほぼ確実になった。しかし法案の成立を阻止する事が難しくとも、党内の半数以上が反対すれば、それを執行部が処分する事も難しい。処分をすれば民主党は分裂し、しなくとも分裂状態となって、政界は消費税賛成派と反対派に二分される。政権は3党の消費税賛成派による大連立状態となる。

 私は自民党も公明党も消費税法案に賛成せずに野田政権を解散・総選挙に追い込みたいのが本音だったと思っている。それなら消費税賛成派のレッテルを貼られずに選挙を戦う事が出来る。民主党の社会保障政策を批判し、マニフェストを破った民主党の矛盾を攻撃する事が出来る。選挙の争点は消費税ではなく「民主党マニフェストの嘘」になる。

 そのため自民党は野田総理から申し込まれた「修正協議」を受け入れず、次々にハードルを上げて野田政権を揺さぶった。これに対し野田総理は「選挙マニフェストに消費増税10%を掲げた自民党が修正協議に応じないのはおかしい」と反撃する一方で、次々に自民党の要望を受け入れて自民党を「修正協議」に引き込んだ。

 自民党の狙いは一日も早い政権への復帰である。そのためには解散・総選挙か大連立を野田総理に飲ませるしかない。「修正協議」との引き換えに「話し合い解散」や「小沢抜き大連立」が言われたのはそのためである。「話し合い解散」は消費税を選挙争点にせずに民主党から政権を奪う方法であり、「小沢抜き大連立」では選挙をする必要もなく、しかも唯一手ごわい小沢氏抜きの大連立なら事実上の自民党政権の復活になる。

 野田総理は消費税法案の成立なしに解散・総選挙をする気がない事を繰り返し明言した。そこで自民党は消費税法案に反対して野田政権を解散・総選挙に追い込む戦術を見直す方向に舵を切った。メディアは野田―小沢会談の後で「野田総理が党内融和から自民党との協力に舵を切った」と言うが、野田総理は昨年11月のG20で消費増税を国際公約した時点で既に「自民党との協力」に舵を切っている。ねじれ国会で消費税を上げるにはそれしか方法はない。野田総理の狙いは初めから自民党に協力させる所にある。

 「修正協議」に舵を切った自民党は、民主党がマニフェストの撤回を棚上げ出来るように、社会保障政策については「国民会議」で議論するという「助け舟」を出し、強硬姿勢から一転してソフトランディングに持ち込んだ。

 そこで自民党の思惑通りに事が運ぶのかを考えてみる。自民党が「修正協議」に舵を切った事で「一日も早い解散・総選挙」はどうなるか。消費税法案の成立を最優先する野田総理の方針で、解散は成立の後になる。その前に野田政権を潰せば消費税法案もやり直しとなり輿石幹事長の言うように解散は来年まで遠ざかる。そうなると自民党は野田政権を潰せない。

 総理の首がかかる筈だった赤字国債発行法案をはじめ重要法案の成立に自民党は協力せざるを得なくなった。中でも注目は選挙制度改革である。最高裁判所から違憲状態と言われている選挙制度を手付かずに済ませる訳にはいかない。このまま解散すれば最高裁が選挙結果を無効にする可能性がある。一方で増税するのに議員定数を削減しないのも国民の理解を得られない。自民党は選挙制度改革にも協力せざるを得なくなった。

 それが「修正協議」に引き込んだ野田総理の狙いだと私は思う。一方で自民党には解散・総選挙より、消費税に反対する小沢グループを排除して大連立した方が良いという考えが出てくる。消費税が成立した直後に選挙をやれば嫌でも消費税が争点になる。その時点で決まっているのは増税だけで社会保障の詳細は協議中である。国民の理解が得られるとは思えない。また消費税で協力した自民党と民主党が何を争点に選挙を戦うのかも分からない。

 恐らく自民党は大連立をして選挙をやらずにほとぼりを冷まし、来年度予算編成にも関与して自民党的バラマキを国民に約束した方が選挙に有利になると考えるのではないか。そうなれば次の選挙は自民党と民主党が戦う選挙ではない。消費税賛成派と反対派が激突する選挙になる。消費税が政界再編の軸になっていくのである。

 また今国会で消費税法案が成立しても、実施されるのは2年後の4月からである。それまでに必ず衆議院選挙と参議院選挙が行なわれる。つまり消費税法案の成立前に国民がその是非を判断する事は出来ないが、成立した後で消費税を「リコール」する権利が国民に与えられている。国民不在の談合で決まった結果を国民が決め直す事が出来るのはその時である。

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2012年6月 3日

国民主権を裏切る政治

 消費増税を主張する勢力の本音は消費税を選挙の争点にしたくない事だと私は書いてきた。だから「話し合い解散」とか「大連立」を口にする。「話し合い解散」は与野党に対立がない時の解散であり、「大連立」は与野党がなくなることだから対立もない。つまり「話し合い解散」や「大連立」なら選挙をやっても消費税が争点になる事はないと考えている。増税派はそれほど消費税が選挙争点になる事を恐れている。

 それもそのはずで、これまで消費税を掲げた政権が選挙に勝ったためしはない。大平政権は堂々と選挙に掲げたが過半数を割り込む大惨敗をした。中曽根政権は「大型間接税をやらない」と公約して衆参ダブル選挙に大勝したが、300議席を得るや「売上税導入」にとりかかった。

 つまり大平政権のように堂々と選挙で国民の審判を受けるのではなく、増税しないと公約して選挙に勝ち、その勝利をテコに選挙のないうちに増税を強行しようとしたのである。それは国民主権を無視する行為で、世論が強く反発したため中曽根総理はすぐに「売上税」を引っ込めて竹下政権に先送りした。

 磐石な議席を引き継いだ竹下総理も選挙の争点にせず、数の優位で消費税法案を強行採決した。しかし竹下総理は消費税の問題点を国民に明らかにして理解を得る努力をし、消費税と所得減税を抱き合わせてトータルでは2兆円を越える減税をやった。それでも翌年の参議院選挙で自民党は歴史的敗北を喫し、33年ぶりに「ねじれ」が生まれて日本政治混迷のきっかけを作った。つまり選挙争点にしないで消費税を成立させても、次の選挙で与党は敗北するのである。

 消費税率を3%から5%に引き上げた橋本総理も、引き上げ後の参議院選挙に敗れて退陣し、現在の消費税率は与党の選挙敗北を代償に実現されてきた。今回も例外でない事は容易に想像がつく。今の経済状況は以前よりも悪いので、増税できるタイミングでない事は世界の学者も認めている。だから増税を強行すれば国民の鉄槌が下る。それをいかに避けるかの思惑が「話し合い解散」や「大連立」の背後にある。

 しかしそれは国民主権を裏切る政治である。国政のあり方を最終的に決める権限は国民にあり、重要な国家の方針を国民に聞かずに決定する事は国民主権に反する。国民の権限は選挙を通じて行使されるから、重大な問題を選挙の争点にしない考えは国民主権を冒涜している。

 その意味で消費税を選挙で堂々と掲げた大平総理は国民主権を尊重していたと言える。しかしそれ以後の政権はそうではない。中曽根総理は増税しないと公約して選挙に勝ち、選挙に勝つと増税を言い出したのだから甚だしく国民主権を冒涜した。竹下政権も選挙の争点にする事なく消費税を成立させたが、ただ竹下総理は減税との抱き合わせで国民負担を減らし、国民に説明する努力は見せた。

 09年の民主党マニフェストは、消費増税をする前に選挙で国民に信を問うと明記している。大平総理以来久々に国民主権を尊重する真っ当な姿勢を見せた。ところがそのうちに成立させる前に選挙をするのではなく、成立させた後で、実施の前に選挙をやると変わった。これをどう捉えるかだが、なかなかに政治的である。

 消費税法案を作成した段階で国民の審判を仰ぎ、国民の支持が得られれば消費税法案を成立させるのか、そうではなく法案の審議と採決を国民に見せ、誰が賛成し、誰が反対したかを国民に知らせてから選挙をやるかの違いになる。賛成した側が選挙で勝利すれば消費税は実施されるが、反対した側が勝利すれば成立した消費税は実施されない事になる。

 選挙で国民の信を問うてから法案を成立させるのが常識だが、成立させた後で実施を争点に国民の信を問う方法もありうると私は思う。国民は審議の内容と成立した法案の中身を知った上で実施させるかどうかを選挙で判断するのである。成立させてしまえば国民は反対しなくなるとの見方もあるだろうが、それほど国民は甘くないと私は思う。

 ところで自民党や民主党の一部が主張する「話し合い解散」や「大連立」は思惑通りに行くのだろうか。全く行かないと私は見ている。国民の見ている前で自民党が「話し合い解散しろ」と迫れば迫るほど、国民には与野党野合の総選挙に見える。自民党は民主党政権の実績を選挙争点にしたいだろうが、野合の総選挙となればその原因である消費税に国民の目は向く。最近では自民党の中からも「話し合い解散などと子供じみた事を言うな」と執行部の未熟さを指摘する声が出ている。

 一方で消費税反対の勢力は民主党内にも地方首長の勢力にも存在する。その勢力が存在する限り、消費税が選挙争点になる事は避けられない。民主党が分裂選挙になればますます国民の目は消費税に向けられる。また民主党と自民党が「大連立」を組めば、これも消費税を巡る対立を浮き上がらせて次の選挙争点は消費税という事になる。

 野田総理が「政治生命を賭けて」この国会での成立を強行すれば、近づく選挙を消費税法案と切り離して行う事はきわめて難しい。そうなれば選挙は民主党と自民党の戦いではない。消費税の実施を認める勢力と反対する勢力との戦いになる。仮に消費増税派が衆議院選挙で勝利しても、来年の参議院選挙で「ねじれ」が生まれる可能性があり実施に赤信号が灯る。

 二つの選挙を制しないと消費税の実施は実現しないのである。その過程で消費税を軸とする政界再編が促進する。それは同時に国民主権を尊重するのはどちらかという問題も提起する。「野田総理が成立させようとしている消費税は国家の存立に関わる重大問題。消費税に反対する小沢元代表は民主党の中の権力闘争で政局を仕掛けている」と解説する愚かな評論家もいるが、小沢氏は国民の理解も了解もなしに増税して良いのかと主張しているだけである。つまりこれは国民主権を尊重して消費税を増税するか、無視して増税するか、国民主権を裏切る政治はどちらかという問題なのである。

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Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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