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改革の本丸は国会にあり(3) »

「政治ホットライン」の復活

 この14日に「政治ホットライン」が復活する事になった。これはスタジオの政治家に視聴者が直接電話で質問が出来る生放送番組である。1998年にCS放送でスタートした「国会TV」の目玉番組だった。なぜ目玉かというと日本の放送局が決して真似の出来ない「怖ろしい」番組だからである。真似が出来ない理由は視聴者からかかってくる電話を全く選別せずに次々につないでいくからだ。そこには演出が一切ない。つまらない質問が続けば番組もつまらなくなるし、面白い質問があれば番組も面白くなる。シナリオのない生放送の主役がスタジオの政治家だとしたら、作・演出は視聴者ということになる。視聴率を無視出来ない放送局には不可能な番組なのである。

 この番組にはモデルがある。アメリカの政治専門チャンネルC-SPANが毎朝放送している「コール・イン・ショー」である。こちらは毎朝1時間、政治家、ジャーナリスト、学者などをスタジオに呼んで視聴者からの質問を電話で受け付けている。最初に見た時にはラジオの「子供電話相談室」のテレビ大人版だと思った。それほど電話の質問が素朴なのである。専門家とは発想の違う素朴な質問がとても新鮮だった。時にはたどたどしい質問にゲストが優しくフォローしたりする。並の政治討論番組とは違って人間味があった。

 湾岸戦争でバグダッド爆撃が始まり世界中のテレビが戦争の実況中継を始めた時、C-SPANはこの「コール・イン」を24時間放送した。深夜にはゲストの政治家もいなくなり、視聴者だけの「声の伝言板」になったが、その夜のアメリカ国民一人一人の心の中が見えてきてとても感動的だった。世界ではCNNの湾岸報道が評価されたが、アメリカのメディア批評家たちは「戦場シーンを見せない戦争報道」としてC-SPANを高く評価した。

 これを日本で放送するにはためらいがあった。日本では知ったかぶりの人間だけが電話してきて素朴な質問にならないのではと心配した。政治家と国民との間に人間味のある会話が成立するだろうか。そんなことを考えながら始めて見ると、案の定政治家に対する「罵倒」と「陳情」だらけになった。「お前らは議場で居眠りしやがってもっと真面目に仕事しろ」とか、「保育園の料金を下げてください」とか言われても、スタジオの政治家は答えようがない。せっかくの対話のチャンスが対話にならない。日本では政治家と国民が普通の人間同士として会話することは難しいのだとつくづく思った。

 しかし番組を続けていると視聴者の方が変わってきた。「罵倒」や「陳情」がなくなって、「励まし」や「ヨイショ」も出てきた。「官僚に負けずにがんばれ」とか、「さっきの一言は良かったです」とか言われて、スタジオの政治家も胸襟を開いて話すようになり素顔が見えるようになった。時にはスタジオの政治家が視聴者の激励に涙ぐんだり、政治家と意見がぶつかって電話の向こうで視聴者が泣き出したりした。

 「加藤の乱」の時、総理不信任案を採決する衆議院本会議が休憩に入り、再開のめどが立たなくなった。その時湾岸戦争のC-SPANを思い出し、ゲストなしの「コール・イン」をやってみた。「加藤紘一の行動をどう思うか」で日本中から賛否両論の電話がかかってきた。夜の8時頃から始まった番組に夜中の2時を過ぎても電話がかかって来る。その夜の日本人の心のドキュメントが放送出来たと思った。この番組に感動して政治に対する見方を変えたという人がその後何人も連絡をくれた。政治家への個人献金を始めたと言う人もいた。日本の政治に少しは役に立ったかなと思った。しかし諸般の事情で「政治ホットライン」は放送が出来なくなった。

 そんな思い出のある番組がインターネットで復活する。日本人が初めて自らの手で政権を選んだ時期に復活するのだから格別の思いになる。政治は国民が作り育てるものだと私は思ってきた。どう育つかは国民次第である。その事に「政治ホットライン」が役立つようになれればと思っている。

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この一覧は、次のエントリーを参照しています: 「政治ホットライン」の復活:

» 「鳩山首相の言葉には、ハラハラさせられっぱなしだ」 送信元 ひげログ人
本日、午前七時に届いた「天木直人メルマガ」第452号の見出しに、こうあった。 「 [詳しくはこちら]

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

パラダイムの転換。昨日、インターネットの事業仕分けの中継を見ながら、ショックを受けました。コインの裏と表がひっくり返ったような変化が現実に起きている。
変革すべきは、自分の頭、考え方かもしれません。善き社会を目指して、私達も傍観者ではなく、自らを振るい立たせなければならないのかもしれません。

遠回りになりましたが、新たなるスタートを祝うものです。
 一般のマスコミは相変わらず酷い状態ですが、将来を見据えて行動下さる事を願ってます。

 小沢一郎下野から16年、国会TV停波8年目にして政権交代が実現し「政治ホットライン」復活。感無量です。国会TVはマスメディア側、新興CS放送で始められた国会改革番組であり、今、小沢幹事長の目指す(政治家としての)国会改革と軌を一にします。「民主主義を強くする」意味で表裏一体、示し合わせた小沢擁護でなくとも「田中さんは小沢一郎のスポークスマン」的コメントが散見されるは宜なるかな、です。
 停波翌年からブログサービスが本格化し、すでに光ケーブル利用は当たり前、ブロードバンド放送やYouTubeも定着しました。昨今はニュース・アグリゲーションサイトも充実、議員ブログやツイッターと併せると、国会議員との距離を意識しなくなるまで政治情報環境が整備されてきたことを実感します。昨日公表された「国語に関する世論調査」(文化庁、平成20年度)"生活に必要な情報を何から得ているか"を新聞とネットで比較すると20代以下はネット優位、30代で拮抗、年齢が上がるにつれ活字媒体としてネットの影響力は急落しており、ネットの政治評論が投票結果に影響を及ぼすまでにはもう少し時間が掛るようです。最新国勢調査(H17)等から計算してみたところ、有権者1億人余の中央値(上下の人数が同じになる年齢)は50歳、ネット常用世代の上限もその辺り。他方、テレビがダントツで各世代9割近くが利用しているところをみると、やはりテレビ(ネット放送を除く)報道が変わらなければ政治意識も変わりにくいかと。
 本日生放送を観ました。CS期コールインは「どんな素朴な質問でも結構です」と言われることもあり質問テーマは全く自由でした。ほとんど陳情電話の人、質問せずに自説を間陳する御仁、果ては歌い出す方まで(感動した!)いました。当時は政治家と有権者を直接結ぶこと自体に意義があり、シナリオのないドキドキ感が最高でした。時代が変わり「THE JOURNAL」内のコールインでは、事前に、あるいは司会者としてテーマが分散しすぎない程度に誘導してほしいと思った次第です。私自身で聞こうか迷い、結局電話しなかったのですが、
(1)事業仕分けには実効性がない(概算要求基準3000余事業のうち僅か15%が仕分け対象。財務省主導でセレクトした「削減可能な」案件が主。事業説明から決済まで1時間程度では無謀。財務省原案作成に対して法的拘束力のない決済であること。目標3兆円削減は望めず、せいぜい1兆円レベル。行政の無駄を排除しようとする議員の姿勢こそ有権者に好感を与えるが、戦略を練るべき政治家の仕事でない。鳩山首相は今年限りを示唆)こと。つまりは、財務官僚と結んで国民の支持を背景に本予算を通し、来年の参院選で民主党が単独過半数を取るべくアピールするためのイメージ戦略なのか判断を仰ぐ質問。
(2)小沢幹事長は政権運営に関与しないと明言し、参院選必勝と国会改革に専念しているようだ。民主党が打ち出している社会党左派的「無痛」革命に留まる限り、両院過半数・政権安定後の抜本改革、例えば雇用規制緩和(撤廃)による労働力適正配分、ベーシックインカムの導入、金融資産課税、特殊法人の原則廃止など、およそ氏が目論む自由主義的(自由党的)政策と乖離しているようにみえる。自由党を解党して民主党へ合流、社会党系右派や労組系とがっちり結んで党内権力を掴み政権奪取、企業献金禁止をちらつかせ自民党の弱体化を図りつつ、参院選大勝後、適当な時期に民主党主導で政局へ。党内反小沢勢力と袂を分かち、自民党に見切りを付けた保守系議員を取り込んで新しい政権樹立。保守系二大政党体制へ。こんなシナリオが進行中と考えるべきか。
…このあたりの質問を考えていたのですが、番組最後、田中さんがそれとなくインタビューしてくれました。なるほど。来るべき政局を待ち、そのときに如何に有利なポジションを築くか沈思する渡辺喜美議員でした。

 小沢氏の国会改革は、自分が権力を恣にする願いがなく、政権交代しやすい体制(一院制、衆院比例代表なし複数区を認める小選挙区制導入)を目指し、同時に「国会法制局や調査局がきちんと行政に対し資料請求したり、情報公開要権能を持つ国会機能を充実させたい」発言からも、彼の宿志は本来国会議員が有する職責の重さ、有権者一票の重さを感じる政治にしたいということ。応援します。

 最後に。小沢幹事長はマスメディアを嫌い、(口下手な俺はマスコミが苦手だと言い、その割に報道内容を気にする)ドブ板こそ有権者に向けた真の政治だとの信念があり、それ故か放送行政に無頓着です。地上デジタル放送のあり方やCS放送の今後へ言及がなく、原口総務相によるFCC設立意向に対して批判もありません。脱官僚を成し得るにマスメディア改革が成否を分けると思うなか、原口大臣は見えていないか、既に篭絡されかかっているように思われ、心配です。杞憂であればよいのですが。

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Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
↓ ↓ ↓
国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

→ブック・こもんず←



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