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国会探検特別編その6:日米関係の過去・現在・未来 »

危機が求めるもの

 グリーンスパン前FRB議長に「百年に一度の危機」と言われて、「まず景気対策だ!」と叫んだのは麻生総理と御手洗経団連会長である。しかし景気対策程度の小手先では解決出来ないからグリーンスパンは「百年に一度」と言った。我々は80年前の大恐慌に匹敵するかそれ以上の危機が訪れている事を直視すべきである。大恐慌は景気対策では跳ね返せず、資本主義を構造変化させ、戦争によらなければ解決出来なかった。

 1929年にニューヨーク証券市場で株価が大暴落した時、共和党のフーバー大統領は「古典派経済学」の自由主義に固執して世界を不況に陥れた。代わって登場した民主党のルーズベルト大統領は資本主義を修正し、「ニューディール政策」を行ったが、言われるほどの効果はなかった。アメリカの景気が回復したのは日本の真珠湾攻撃によって太平洋戦争が始まり、軍需生産が本格化した42年である。

 一方、世界では大恐慌の影響を受けずに経済成長に成功した国が二つあった。ソ連とドイツである。1917年の革命で共産主義国家となったソ連は、大恐慌の前年からスターリンが主導して計画経済を推進し、農業の集団化と重化学工業への転換を実現して世界を驚かせた。

 第一次世界大戦の敗北で失業と貧困にあえいでいたドイツでは33年にヒトラーが権力を握り、国家社会主義政策で完全雇用を成し遂げた。財政赤字をものともせずに軍需産業に投資をした結果である。必然的にドイツは軍事強国となり、第二次世界大戦を引き起こした。

 昭和恐慌に打ちひしがれた日本にも構造転換を図ろうとする人物が現れた。軍人石原莞爾は日本の工業力の脆弱さを痛感して満州に実験国家を作り、ソ連情勢に精通した満鉄調査部の宮崎正義と組んでソ連を真似た統制経済を推進した。国力のないまま戦争することに反対だった石原は日中戦争を巡って東条英機と衝突、太平洋戦争を前に引退したが、満州を舞台にした統制経済は商工省から派遣された岸信介、椎名悦三郎らに引き継がれ、彼らは満州での成果を日本国内に持ち込んだ。それが「1940年体制」と呼ばれる官僚主導の経済体制である。

 日本の資本主義経済は明治以来欧米と同じ仕組みで発達し、大正デモクラシーをもたらしたが、岸らはそれを根本から作り替えた。企業が証券市場から資金を得る「直接金融」をやめさせ、大蔵省の監督下にある銀行から融資を受ける「間接金融」に切り替えた。これで民間企業が国家の間接支配の下に置かれた。

 産業界を官僚の「行政指導」と「経済政策」に従わせ、官の指導を行き渡らせるため業界ごとに「統制会」を作らせた。経団連は戦前の「統制会」が戦後復活したものである。企業から株主の影響力を排除して内部昇格者に経営を委ね、「年功序列賃金」と「終身雇用制」で企業一家の仕組みを作った。下請け制度を導入し「系列」を作ったのもこの時である。これらが戦争遂行のため「国家総動員態勢」の下で行われた。1941年にヒトラーと会い、その後スターリンと会見した外交官松岡洋右は「日本人は道義的共産主義者である。中国との戦いも中国ではなく後ろにいるアングロサクソンの資本主義との戦いだ」と述べている。

 しかし日本もドイツも資本主義諸国に敗れた。ところが日本ではこの官僚主導の統制経済モデルが戦後に甦り、日本を世界第二位の経済大国に導くのである。「55年体制」の自民党で岸信介と椎名悦三郎の「満州コンビ」が権力を握り、彼らは通産省を拠点に日本の重化学工業化と輸出立国を「国家総動員態勢」で実現した。石炭産業を強制的に潰し、安価な石油を使って自動車、家電産業の国際競争力を高め、その輸出で外貨を稼ぐ経済構造が作られた。

 製造業の国際競争力を国が支援する裏側で、農業は保護を要する衰退産業にさせられ、保護のため国は地方に税金を移転する仕組みを作った。それが道路建設である。農村が自民党の票田となり道路族が強いのは輸出立国の裏返しだ。この経済構造はアメリカとの間に熾烈な摩擦を生んだ。「ニクソン・ショック」、「プラザ合意」など、アメリカは円高誘導を行って日本の輸出産業に打撃を与えたが、それでも日本は変わらない。いつしかアジア各国も日本を真似るようになった。輸入がなければ輸出は成り立たない。輸入大国となったアメリカは、その赤字を埋めるため様々な金融商品を作って売ることにした。その構造に破綻が生じた。それが目の前にある「百年に一度の危機」である。

 危機を脱するためにはこの構造に目を向ける必要がある。戦前の指導者は大恐慌に対抗して資本主義を排し統制経済体制を作った。それが戦後の高度経済成長をもたらした。しかし官僚統制型経済、製造業に特化して輸出で外貨を稼ぐ仕組み、官僚主導を担保するため政権交代をさせない仕組み、それらは既に限界に来ている。にもかかわらず構造だけは生き残って「百年に一度の危機」を招いた。今の日本に必要なのは次なる構造転換を構想出来る指導者である。景気対策程度で力んでいる場合ではない。

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★遂に目覚めた民族派!★米国政府の戦争犯罪を追求。過去ログ2006/08/21目 [詳しくはこちら]

コメント (6)

ということは、実は日本の官僚制度はソ連式だということになるわけですね。
道理で「日本は成功した社会主義」とかいわれるんですなぁ。
こちらのサイトにも似たようなことが書いてありますし。


http://toriyamazine.blog100.fc2.com/blog-entry-75.html

http://toriyamazine.blog100.fc2.com/blog-entry-85.html

1929年に勃発した世界大恐慌は、世界中の経済体制を崩壊させるほど強烈なものだったわけですが、そのときドイツに登場したヒットラーの施策はいまからみても革命的でしたね。
このときヒットラーは「4年間で失業問題を解決する」と国民に約束し、現実に、4年後の1937年には、600万人あった失業者数は91万人にまで激減させた。
その手法にわたしはうーんと唸りました。

ナチス党は経済復活のために、外資による介入を一切排除し、厳格な為替管理、外貨管理を行った。この鉄壁の外資介入拒否姿勢がドイツを活況に導いたわけです。ナチス党はこう呼びかけたといわRています。

「通貨の基礎は、金でもなければ外貨準備でもない。労働だけが通貨の基礎となる」

「カネがあるか無いかが問題なのではない。働こうとする人間がいるか。それが問題なのだ。働けば、いつかカネになる――ハゲ鷹外資に取り上げられなければ」

「わが民族を救うことは、金融の問題ではない。現に存在する労働力をいかに活用し、投入するかという問題であり、また、現に存在する土地とその資源をいかに活用するかという問題である」

すごいことばですよ。
日本と米国の関係をそのままあらわしている。
日本のGDPが世界でも高水準を保ってきたのにどうして金持ちもいるけど貧乏人がこうも多いのか。すべて外資にもっていかれているわけです。
だからわたしたちはヒットラーの経済姿勢に学ぶべきですよ。
ほんと。

あのときアメリカに日本人は物づくりを教えれば良かったんですよ。それをしなかったために、アメリカ人はユダヤ資金資本の話に乗っかってしまったんだと思いますよ。日本は社会主義政策をどこよりも成功させた資本主義国といわれますが、教えてあげられることがたくさんあったはずです。別に敗戦国が戦勝国にものを教えちゃいけないって法はありませんから。それをやらずに、日本人はよその国のビルをかったり、会社をかったりして、いい気になってヒンシュクをかってしまったわけです。ITは良いのですが、アメリカは資金派生商品なんて目くらましの上げ潮政策に乗らずに、イラクに戦争なんていかずに、社会内部に目を向けて駄目になっている製造部門や保険制度等の社会政策に力を入れ、地方交付税交付金のような仕組みはアメリカにはありませんが、ちゃんと中産階級を育てる政策をするはずだったんです。9・11で全てはパーになりました。ちゃんと内部留保金があったのに戦争でみんなお金を使ってしまって・・・外では戦争をやって、内ではジャカジャカ借金を作る無茶な政策をやれば、破綻するのは当然でしょ?
一方、日本は、【自民党をぶっ潰す】【霞ヶ関をぶっ潰す】小泉さんの登場です。自民の保守政策は無視、霞が関も無視、結果、アメリカの政策に乗るしかなかった。というより、小泉さんのあの自信はアメリカに経済政策を渡すことで自分の権力は保証してもらえる事によるものだったのだと思いますよ。経済政策を担当していた竹中さんはアメリカの要求する政策をやっていただけです。中産階級の資産を崩して上に廻す。株価やGDPが上昇しているのにお金もあふれているはずなのに、庶民が豊かさを実感するどころか、どんどん給料は下がっているじゃないかと。上げ潮ってのはその意味です。ずるいでよ、ほんと。さらに、ずるがしこいのは国際競争力とかグローバルだとか自己責任だとか自助努力だとかの一見、時代に対応してるような言葉を連呼しながら、上位数パーセントに金を集めていただけです。こんなのいずればれるし破綻するに決まってるじゃないですか。私は一部の輸出型製造業があんな短期間で莫大な内部留保金を作れたのも、本当は日本の商品が優れていたからだとは思っていません。確かに優秀なんですよ。でもより有利な場所で物を作って、過剰消費国で物を売れば儲かるのは当たり前なんです。でも破綻が見抜けなかったなんてのは言い訳になりませんね。だいたい、これからは政府に頼らずに市場の力で頑張ろうとかいって、いざこけると真っ先に政府に救済を申し出るなんてのはおかしな話ではありませんか?一方、小泉さんや竹中さんにだまされちゃったと思ってる民衆は相当頭にきているはずです。民主党はもし政権をとるなら、この民衆の情念をどうコントロールするのかの考えなしには、絶対に前に進まないと思いますよ。民衆も悪いんですよ。でも民衆はもう【改革派】という言葉には反応しないどころか、厭世観をもってしまってますから、本当の意味での【改革派】が政治をやるなら一度【改革派】が失ってしまった正義をこちらにとりもどさないとどうしようもないと思います。この自国内の分断(経済指数なんて関係ありません。ようは民衆がそう感じていることのほうが重要です)をどうするのか、その上で全体でどう飯を食っていくのか価値観を最初に決めないと。価値観が先で政策は後からついてゆくものですから、先に政策を決めて後から価値観なんてのは本末転倒で絶対に失敗します。政治家が日本の現状を見渡して言葉で総括する力が求められています。それで、やっとこの国をどうるのかが決まりますが、諸外国との関係の中でどうやって生きて行くのかは、その後のぶつかりあいなんですね。先に諸外国の要求があって、その後で、じゃあ日本はこれで行きましょうでは困るわけなのですね。ここは日本ですからオバマのようなキーになる言葉の連呼ではこまりますが、大テーマとしては、日本はもう一度中産階級を作り直そう。新中産階級構想ですね。私の価値観はそう言っております。それに添った形での政策が後に続くと。だいたい政治家の仕事はいかに社会的な分断を回避するか、でしょ?分断をどんどん推し進めちゃってどうすんのと言いたいですね。無理なんだよ、そんなのって絶対誰か言い出すはずですが、私は耳を貸すつもりはありません。方向性は間違えていないと思いますよ。

国家単位でものを考えることが、終焉に近いんじゃないでしょうか。
経済では、もはや国家単位でものを考えなくなっていますけど、
政治ではあいかわらず国家単位でものを考える。
その歪みが政治から経済へと揺り戻された。
日本人の貯金をアメリカの金融家が第三国に投資し、
日本人はものを作って第三国に売り、貯蓄する。
国の枠組みを越えた産業構造ですが、
政治の分野ではあいかわらずアメリカだ、日本だとなる。
唯一の解決策は、消費する国でものを作り、
税金を払って、その国の福祉に貢献する。
労働者は同時に消費者でもある。
グローバリズムで忘れてしまったことですね。

なるほどなあと説得力を感じましたが、国家統制資本主義による恐慌脱出構造転換をという主張と理解していいでしょうか。
そして、構造転換の内容に触れられていないので私の想像を付加すると、国家統制資本主義によって内需主導経済への転換ということになるような気がします。そのための原資はどうするんじゃあ、赤字国債を大発行するのだろうかなどと疑問は残ります。
いずれにせよ、ナチス、スターリンの経済政策を振り返る必要がありそうです。勉強しましょう。

組織は、トップダウンの方が、対応が早い。しかし日本では、政治には、その力がない。国を動かしているのは、官僚だからである。総理の、支持率が、低かろうが、政局でもめようが、官僚は、粛々と、省益、個益のために、働くはずである。小泉政権の時、過半数を占め、、郵政民営化、道路公団民営化、に成功したのは、**務省の実害が少なかったからで、その後、予算を党で作る所までいきながら、安部政権では、官僚に、勝てなかった。小沢氏と福田氏で、大連立の話が出た時、もしかしたら、官僚と戦える内閣を作れるのでは?と期待したが、結局は、潰れたし、筋の善い話では、なかった。        民主党は、巷間言われているように、小沢氏が、君臨しているのでは、無いと思う。大連立騒動の時の中堅議員のコメントを、聞いても、資金力、選挙、豪腕のイメージをうまく使って、政権交代まで、がんばってもらうという感じだった。民主党や、小沢氏が、判断を誤ったと思うのは、消費税検討が、明記された予算を、通してしまったこと、そしてヒ**-さんに対しての対応である。政権交代をして無駄をなくすといっているのに、どうして消費税と書かせるのか。また、子供と思われるのと、子供と思わせるのは、全く違うのだと、誰か、小沢氏に言わなかったのか。民主党に、欠けているのは、プロモーション能力である。 国民に、具体的に、これだけ予算が、生まれて、皆さんに、こういうサービスができます。だから、無駄遣いをしている官僚を、正すために、応援してください。と前々からしていれば、今回の事で、うろたえることも、なかったではないか。  官僚は、粛々と逆襲してきている。消費税減税でなく、給付金。高速道路料金の地方値下げは、天下り先の、ETC限定でバカげた、2年払い。同意人事のやり方の変更。政策金融銀行の凍結。郵政は、国会で切り崩しにあっている。メディアは、こちらを監視するべきではないか。               医療、教育、介護、農業などに、シフトしていくには、予算がいる。また、官僚達の利権、規制に縛られないようにするには、公務員制度改革は、最初にくるはずだ。この意見が、多くの人に届く事を望む。

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Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

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日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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