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2007年6月25日

安倍内閣の論理

 安倍内閣はいま発足以来最大の危機を迎えている。この現状を官邸はどのように認識し、どう対応しようとしているのか。国会TVでは6月19日に世耕弘成総理補佐官を、22日には安倍内閣擁護の論陣を張る花岡信昭産経新聞客員編集委員をゲストに話を聞いた。

 内閣支持率急落の最大要因となった「年金記録問題」について世耕補佐官は、「事務処理の問題であり、社会保険庁という組織の構造問題であるから、年金制度とか年金のあり方の政策問題とは異なり、政争になるべき話ではない。とにかく誠実に真面目に、理不尽な事が1件も起きないように取り組んでいく。はるか以前からの問題ではあるが、安倍政権の時に出てきたから全ての責任は安倍内閣にある」と述べて、「誠実に取り組む姿勢」と「全責任を負う」の二点を繰り返し強調した。

 問題発覚当初に民主党の菅直人代表代行をやり玉に挙げたことが極めて不評だったことから、一転して「責任は自分にあり、自分が解決する」という姿勢に切り替えたものとみられる。参議院選挙を前に野党を批判するよりも、国民に頭を下げながら解決出来るのは政権の座にある自分だとアピールする方が有利になると判断したのだろう。それはそれで正しい判断と言える。

 年金問題は野党にとって最大級の追い風であるが、しかし野党も批判しているだけではいずれ国民の支持を得られなくなる。これからも驚くような新事実が続々出てくれば話は別だが、そうでなければ国民が納得出来る解決方法を提案し、実行することが国民の期待するところとなる。そこが野党にとっては悩ましい。野党が優れた提案をしても、現在権力を握っているのは安倍政権だから、横取りされて安倍政権が国民から喝采を受ける事にもなりかねない。安倍政権の方はひたすら誠実に真面目に取り組む姿勢をみせていけば、いずれはこの逆風を和らげることが出来る。問題は選挙までの間に混乱をどこまで収拾出来るかにある、

 世耕補佐官は「安倍政権はこれまでも問題に正面から取り組んで回答を出すというスタイルを取ってきた」事を強調した。かつての権力者のように党内根回しや裏工作、またよく言われる「アドバルーンを上げて様子を見たり」、「目くらまし」をしないという意味だ。安倍内閣は政略を使わずまっすぐに突き進んできたというのである。「問題解決にウルトラCはない」とも言った。なにやら小泉政権とは違うということを強調しているように聞こえる。小泉政治はウルトラCの連続だった。内閣支持率が低下すると電撃的な北朝鮮訪問を実現し、何かにつけてサプライズ人事で周囲を驚かせ、集大成は「刺客」を放った郵政選挙で、国民は「目くらまし」にあって与党が大勝した。安倍政権はそういうことはせずに、ひたすら真面目にまっすぐ突き進むということらしい。それは民主党の小沢代表との違いを際だたせることにもなる。国民が求めているのはそうした政治スタイルだと確信しているようだ。
 
 だから国会も上程した法案は全て成立するように突き進んできた。郵政選挙のお陰で3分の2以上の勢力を衆議院で持っているから、まっすぐに進んでも誰も止めることは出来ない。
 
 「支持率低下は全て安倍さん以外の要因だ」とも世耕補佐官は言った。「復党問題は小泉政権時代の後始末で、失言問題も安倍さん自身のものではない。今度の年金問題も以前からの問題が噴出しただけだ。だから安倍さんが先頭に立って誠実に対応していけば必ず国民は理解してくれる」。世耕補佐官は逆風は意識していてもそれほど悲観的ではない。

 まっすぐに突き進んだ結果、安倍内閣最初の通常国会は選挙前にもかかわらず会期延長という異例の結末になった。選挙日程も変更された。会期延長を巡っては安倍総理の責任論が浮上したが、世耕補佐官は強気である。「退陣などは微塵も考えていない。惨敗など考えるべきではないし、ウルトラCなど考えずに誠実に突き進めば国民の理解は得られる」と、選挙の対応でもその考えは変わらない。

 花岡信昭氏は選挙結果を懸念しながらも、投票日が1週間先になったことで世間は夏休みモードになり、投票率が低下して与党に有利に働くと見ている。年金不安を解消するために社保庁が全国民に年金記録を通知するなどの思い切った手を打てば、逆風は収まるとも考えている。自民党が40台半ばの議席を獲得すれば国民新党との連携などで安倍総理は退陣せずに政権運営を続けられる。むしろ参議院の自民党執行部の退陣があり得るという見方である。

 なぜ安倍総理が公務員制度改革に固執して会期延長を選んだか。花岡氏によれば、官僚と戦う姿勢は国民の共感を得られると安倍総理は郵政選挙から学び、自民党内にどんなに抵抗があろうともやり抜く決意をした。しかも社保庁問題も公務員の不始末の話だからこれと絡めれば年金の逆風を和らげることにもなる。「しかし小泉さんの真似をしても安倍さんには似合わない」と花岡氏は言った。「小泉さんの喧嘩は侠客の喧嘩の仕方だったが、真面目な安倍さんは無理をして喧嘩しているように見える」と言うのである。

 私も安倍総理は小泉前総理の真似はしない方が良いと思う。全く正反対のキャラクターなのだから、真似をしてみても国民は違和感を感じてしまうだけだ。ただまっすぐに突き進むだけでは政治にならない事も事実である。かつての権力者の真似をする必要はないが、時には立ち止まって周囲を見回してみる必要がある。国会運営を見ているとそのことを強く感じる。

 それに世界は東西冷戦の時代と違って単純な構造ではなくなった。新たな枠組みを巡って各国が自国の利益のために権謀術数を尽くしている。国際政治の舞台でまっすぐに突き進む政治スタイルは通用しないのである。安倍内閣の論理はかつての古い体質の政治を嫌悪する国民には好感されるだろうが、しかし現実の政治ははるかに複雑だから、むしろ危うさを感じさせることになる。 

 メディアは「年金問題」ばかりを取り上げているが、私は6月の給与からアップする住民税や原油高に影響された物価が参議院選挙にどう影響するかを注目している。政府・与党は「決して増税ではない」と説明するのだろうが、その説明に国民が納得するかどうか。特に参議院選挙の投票日が22日から29日に変更されたことで、多くのサラリーマンは給与明細の税額を見た4日後に投票所に足を運ぶことになる。

2007年6月21日

国会TVダイジェスト〜ゲスト:歳川隆雄(東京インサイドライン編集長)

今回の国会TV「言いたい放題・金曜ナイト」は東京インサイドライン編集長の歳川隆雄氏をお迎えしました。年金問題で支持率急落の安部政権の今後、参議院選挙前の永田町の思惑と動きについてお話していきます。

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国会TVの視聴は年額¥10,500・月額¥945<税込>です。
お申し込み、詳細はこちらをごらんください。

2007年6月12日

国会TVダイジェスト〜『政局放談』

今回は『政局放談』のダイジェストを送りします。前衆議院議員の藤井裕久氏と評論家の金子仁洋氏が安部政権の今について議論します。

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国会TVの視聴は年額¥10,500・月額¥945<税込>です。
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2007年6月 5日

国会TVダイジェスト〜ゲスト:歳川隆雄(東京インサイドライン編集長)

今回の国会TV「政治ホットライン」はインサイドライン編集長の歳川隆雄氏をお迎えし、松岡大臣の自殺と、年金問題が安部政権に与える影響にについてお話を伺いました。

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国会TVの視聴は年額¥10,500・月額¥945<税込>です。
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2007年6月 4日

年金問題を巡る素朴な疑問

 年金の基礎番号を統合する作業が、社会保険庁のミスにより5000万件も宙に浮いてしまっている問題で、政府与党は過去の責任を追及する姿勢を示した。自民党は統合の仕組みを作ったのは菅直人厚生大臣だったというビラを大量に作って、菅民主党代表代行の責任を追及している。また安倍総理は歴代社会保険庁長官の責任を明確にするよう渡辺行革担当大臣に指示した。

 しかし過去の責任を追及することにどれほどの意味があるのだろうか。政治の責任はまずは国民を救うことにある。やるべきことは社会保険庁のミスによって不利益を被る国民をどのようにして救うか、その事に全力で取り組む姿勢を示すことだ。誰が過ちを犯したかを追及するのは二の次で良い。5000万件の年金記録をチェックし、支払うべき年金の支払いを実現させるのは簡単なことではない。しかし政治が全力を挙げてそれに取り組まなければ国民は到底年金制度を信用する気にはなれない。政治家であるならばそちらを最優先にすべきなのに過去の責任をあげつらう姿勢には疑問を感じる。

 責任を追及された菅直人氏は、統合作業が始まったときの厚生大臣は小泉純一郎氏だと反論して責任論は泥仕合の様相を帯びているが、国民にとっては見たくもない応酬でしかない。

 年金記録の照合作業を全て行うことはほとんど不可能だと思われていたが、国民の反発が強いと見た安倍総理は、5月30日の党首討論で「1年で行うと約束する」と断言した。もちろん本当にやり切れれば1日も早くやるに越したことはないが、本当に大丈夫なのだろうか。過去の責任を追及する姿勢を見せていただけに、実現できなければ逆に総理を辞めなければならなくなるほどの責任追及が襲いかかってくることにもなる。
 
 何も1年と期限を切らなくとも誠実にこの問題に取り組む姿勢を見せれば、国民は納得すると思うのだが、そのような考えにならないのはどうしたことだろう。素朴に疑問を感じてしまう。

 ついでにもう一つ感じた事を言わせて貰えば、6月1日の衣替えに際して、安倍内閣の閣僚達は以前からの申し合わせ通り、かりゆしウェアで閣議に臨んだ。しかしその日は仲間であった松岡農水大臣が自殺してわずか4日後の事である。その週ぐらいは喪に服す姿を見せても良かったのではないか。しかも明け方まで社会保険庁改革法案の採決を巡る与野党攻防が続いた日でもある。若さをアピールしたかったのかもしれないが、かりゆしが似合うのは誰かなどの会話は緊張感を欠いたものと受け取られても仕方がない。しかも間が悪いことにその日の東京は肌寒く、とても夏姿が似合う日ではなかった。誰か「延期しよう」と言う人はいなかったのだろうか。こんな事にも素朴な疑問を感じてしまう。

松岡氏自殺を巡る素朴な疑問

 故松岡前農水大臣は、緑資源機構の官製談合事件で検察の捜査が自分に向かっていることを知って自殺したというのが大方の見方である。逮捕されることを恐れて死を選んだという見方になる。
 
 5月18日に談合の件で事情聴取を受けていた地元の秘書が自殺をしており、捜査が自分に向かっていることを感じていたのはその通りだと思う。しかしそれだけの理由で政治家が死を決意するであろうか。仮にそうだとすれば、松岡氏は政治家になるべきではなかった善人で小心な人物だったということになる。

 1998年2月に自殺した故新井将敬衆議院議員は、衆議院本会議で逮捕の許諾請求がなされる直前に首を吊った。抗議の自殺である。在日韓国人である新井氏は東大経済学部を卒業し、大蔵省の役人から衆議院議員と日本社会で最高のエリートコースを歩み、若手の論客としてテレビにもしばしば登場していた。新井氏にとって株取引を巡る容疑での逮捕は自らのプライドが許さなかったのだろう。

 しかし松岡氏の場合は、これまでも食肉偽装事件や鈴木宗男衆議院議員が逮捕された「やまりん事件」などで疑惑が指摘されていた。いわばエリートコースとは逆に政界の汚れ役を引き受けてきた政治家である。いつか検察の捜査が向かってくることは覚悟していたはずだ。しかも松岡氏は現職の大臣だったから、検察といえども簡単に逮捕出来るはずはない。それが取り調べもないうちから自殺してしまうのは、何か他に理由がなければ納得できない。

 最も考えられるのは、松岡氏の受け取った金が、松岡氏から何処へ流れたか、その「出」の部分に知られてはならない秘密があり、そこに捜査の手が及ばないよう自らを犠牲にした可能性である。
 
 汚職事件によくあるケースだが、組織を守るために事情を知る部下が自殺するのである。そのようなパターンに松岡氏を当てはめれば死を選んだことも理解が出来る。

 何のためにどこに金が流れたか。様々なケースが考えられるので間違っているかもしれないが、政治の世界で最もありうる金の使われ方は、政界の実力者に献金をしてポストを得る猟官運動である。
 
 かつて竹下登氏が田中角栄氏に対抗して「創政会」を立ち上げたとき、橋本龍太郎氏は自らのパーテイで集めた金を全額竹下氏に献上して、竹下会長に次ぐ副会長に就任した。
 
 農水省出身の松岡氏にとって農水大臣は究極の目標だったはずである。そのためには自分が集めた金をそのために全て献上したとしても不思議でない。

 松岡氏を農水大臣に任命したのは安倍総理だが、押し込んだのは小泉サイドだと言われている。小泉政権時代に実現出来なかった農水大臣就任を安倍政権で実現させたのだと言う。それが事実なら安倍政権は「タウンミーティングのやらせ問題」と同様に小泉政治の「負の遺産」を引き継いだことになる。
 
 しかしいずれにしても松岡氏の死によって金の「出」の部分は解明が難しくなった。

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6月6日の「政局放談」は藤井裕久前衆議院議員と評論家の金子仁洋氏が出演します。6月8日の「言いたい放題・金曜ナイト」は政治評論家の高橋利行氏に危機に陥った安倍政権について話して貰います。

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
↓ ↓ ↓
国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

→ブック・こもんず←



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