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2006年12月29日

国会TVダイジェスト「高野孟が2007年を大胆予測!」(12月28日)

今週の国会TVにはインサイダー編集長:高野孟が登場します。

安倍政権の支持率急降下の理由を分析していきます。

さらに視聴者からの生電話に答え、2007年7月の参議院選挙後の政局を行方を大胆予測していきます。

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国会TVの視聴は年額¥10,500・月額¥945<税込>です。
お申し込み、詳細はこちらをごらんください。

2006年12月26日

国会TVダイジェスト『政局放談』12月20日放送

今回の国会TVダイジェストは『政局放談』です。

支持率が急降下する安倍内閣について、学習院大学の佐々木毅教授と、評論家の金子仁洋氏が歯に衣着せずに語ります。

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国会TVの視聴は年額¥10,500・月額¥945<税込>です。
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多極化時代の日本外交(1)

 国会は与党と野党が争う所、野党が政府を攻撃する所というのが一般的な見方だと思う。
 
 議会制民主主義は国の未来のためにどのような政策を選択するかを政党が競い合う仕組みなので、党派性が前面に出て争う事になるのは避けられない。
 
 しかし党派性がすぎると、党利党略のために重箱の隅をつつくような質問が繰り返されたり、スキャンダル追及に拍車がかかったりで、かえって国民をうんざりさせることにもなる。
 
 ところが国会には与野党が一緒になって日本の進路を考え、議論をする場がある。参議院に設置されている「調査会」で、委員会と違い法律をつくる所ではない。国家の将来について基本的な方向を形成するための勉強会のようなものだ。法案の審議でないためメディアが取り上げることはほとんどなく、国民はその内容を知らない。現在参議院には「国際問題調査会」、「少子高齢調査会」、「経済・産業・雇用調査会」の三つの調査会が設置されていて、それぞれが日本の中長期的課題を3年がかりで議論し、報告書にまとめることになっている。

 メディアが伝えることのない調査会の議論を紹介したいと思う。ニュースにならないことが意味のないことではないからだ。今回は「多極化時代の日本外交」というテーマに取り組んでいる国際問題調査会のある日の議論を紹介する。日本外交のあり方を巡って議員個人個人の考えと思いが伝わってくる。

 議論の口火を切ったのは大阪日々新聞社長から政治家になった自民党の田村耕太郎参議院議員である。田村議員は外交政策に対する批判の元は何かという点から話を始めた。
 
 「日米関係、日中関係、日韓関係に限らず、ほぼすべての外交政策に対する批判の源泉は二つの過剰な期待からくると思っております。相手の国に対する過剰な期待と日本の外交能力に対する過剰な期待。日米関係でいえば、アメリカはもっとこうすべきだ、アメリカはこう言えばこうしてくれるだろう。日本はこういう毅然とした物の言い方をすべきだ。こういうものが外交政策の批判の源泉にあるのではないかと思います」。

 批判から望ましい外交関係が生まれる訳ではない。外交を考える際には相手の国力とお互いの立場をしっかり認識する事から始めるべきである。田村議員は日本にとって最も重要な二国間関係である日米関係について、まずアメリカと日本の国力を比較してみせる。

 アメリカの人口は世界の5%にすぎないが、GDP(国内総生産)は世界の3分の1以上を占め、2位の日本から6位の中国までの合計を上回る。世界貿易に占める割合も、輸出で12.3%、輸入で19%と、2位のドイツの倍以上ある。特許件数も世界の約3割がアメリカのものであり、世界の売上げ上位500社のうち192社がアメリカ企業、株式時価総額上位1000社のうち488社がアメリカ企業である。またアメリカには国民の活力の源泉である若さがある。2050年の人口の中央値はアメリカが36.2歳、ヨーロッパは52.7歳になる。
 
 次に軍事力。アメリカの軍事費はおよそ4300億ドルで、これは世界全体の45%を占める。軍事支出2位から11位までの国の合計より大きい。先端的な軍事技術の研究開発費に至っては英独仏総計の倍以上を掛けている。
 
 経済力と軍事力だけではない。ソフトパワーで見ると、インターネット情報のうち英語が占めるのは85%、ハリウッド映画の割合は世界映画全体の85%、2002年度のハリウッド映画の売上げは約510億ドルで、延べ観客数は26億人。アメリカ文化の典型と言われるマクドナルドは世界100か国以上に延べ3万店以上の店舗を抱える。 

 アメリカは人類史上ずば抜けた大国である。今アメリカは横暴でわがままで独り善がりだと言われるが、もし、我々日本が今のアメリカと同じぐらいの国力を持つ立場だったら、今のアメリカよりも寛大で謙虚で国際協調的になるだろうか。過去のローマ帝国やモンゴル帝国などと比べて、アメリカは極端に傲慢で国際協調無視と言えるだろうか。

 それでは日本の国力はどうか。経済力では世界第2位だが、人口規模とその若さを失いつつあり、経済でも中国やインドに今世紀中に追い越される可能性が高いと言われる。
 
 政治力についても、アジアの盟主候補と言われながら、隣国との関係も行き詰まったままである。
 
 軍事力に関しては、軍事支出は多いが、ほとんどが人件費で、軍備に使われるのはそのうちの約3割、アメリカから突出した対潜哨戒能力、防空能力ばかりを求められ、そのための高額兵器、イージス艦とか哨戒機とかパトリオットの購入を求められてきたので、その他の兵器購入に回せるお金はほとんどなく、自立できる軍事力ではない。
 
 一次エネルギーの自給率は2割に満たず、食料自給率は4割ほど。冷静な現状認識を持てば、アメリカに物を申して、アメリカにこっちの言うことを聞けよという立場ではない。
 
 では日本はどうすればよいのか。そこで田村議員は超大国アメリカの外交政策に影響を与えるためのネットワークづくりを行うよう提案する。
 
 「チャーチルがこう言っています。アメリカは常に正しいことをする、ただしすべての代案を試みた後にだという名言を残しました。
 
 長い目で見れば、分断された世論や政策がぶつかり合いながら、失敗しながら、最後は世界にとって望ましい政策を取ってくる傾向が今まで強かったわけです。しかしながら、過去に比べて影響力がけた外れに大きいため、試行錯誤の過程で多大な迷惑をたくさんの国に掛けているというのが現状ではないかと思うんです。ただ、アメリカの外交は常に変化するという認識を我々は更に持たなければならないと思います」。
 
 「この調査会にもアメリカ留学した議員が増えていますし、官僚もアメリカ留学経験者がたくさん出てきています。アメリカは、学閥意識は日本以上だと思います。そのネットワークを生かす、こういうことが大切ではないかと思います。
 
 参議院は6年の任期があります。フランスや南米では、議員を議員のステータスのままアメリカの大学院に派遣して滞在させ、そのステータスを利用して人脈づくりをさせている国もあります。より任期が長い参議院こそ、長期的視野が不可欠な外交をやがては担うべきだと私は思っています。超党派でアメリカに一定期間、国としてネットワークづくりのために議員を派遣する、こういうこともいいのではないかと思いますが、皆さん、いかがでしょうか」。

 アメリカの外交政策は決して不変のものではなく柔軟に変わりうるものなので、その外交政策に内側から影響力を行使することを考えたらどうかという提案である。

 現在のブッシュ政権の外交政策に影響力を与えているネオコンはユダヤ系アメリカ人が創設した。そのためアメリカ外交は極端にイスラエル寄りになったと言われている。
 
 ローマ帝国の昔から帝国の内懐に入り込んで影響を与えようとしたユダヤ人がいたことを歴史は教えている。それは他民族の攻撃にさらされ続けてきたユダヤ民族が生き残るために生み出した知恵なのだろう。ローマ帝国やアメリカのような中核国家に対する周辺国家としてユダヤと日本は共通しながら、鎖国によって平和を享受してきた日本人にユダヤ人の真似は出来ない。幕末の黒船来航以来、日本人は「攘夷」と「開国」の間を揺れ動き、その後も「鬼畜米英」から「アメリカ万歳」へ、そしてまた「反米」、「嫌米」と「対米従属」の間を揺れ続けている。
 
 しかし今、アジアの超大国になろうとする中国もアメリカに多くの留学生を送り込み、アメリカの要人との間にパイプをつくりながら、将来に備えようとしている。
 
 田村議員の言うように日本もアメリカと相対するだけでなく、アメリカの内懐に入り込み、アメリカの外交方針に影響を与えるような戦略を持つべき時に来ているのではないだろうか。

 その上でこの戦略を効果的にするために日本が持たなければならないカードとして田村議員は二つのことを挙げている。
 
 一つは隣国である日中、日韓の課題をできる限りスムーズに解決し、成長するアジアの利益を代表してアメリカに物申すようにするため、アジア経済のための自由貿易協定や更なる経済統合の中核となること。
 
 もう一つは日本が戦略的にアメリカの安全保障上の根拠地であることを最大限に利用することである。アメリカ軍の装備をサポート出来る工業力や技術力を持ち、地理的にもアメリカの安全保障上の戦略拠点に位置している日本はアメリカにとって必要不可欠の存在である。それを自覚し対米カードに使おうという考えである。
 
 後者はその通りだろうが問題は前者である。日本が果たして中国、韓国との関係をスムーズに改善し、アジアの利益を代表する立場に立てるのか。ここで対アジア外交をどうするかという問題が浮上してくる。

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12月28日(木)夜9時から今年最後の「コール・イン」番組が放送されます。ゲストは高野孟インサイドライン編集長です。どうぞご質問をお寄せ下さい。

来年政治の世界は選挙一色になり、とても政策を冷静に議論する年にはなれません。国会も対決色が強まります。その前に国会は対決だけではないという内容のコラムを2回にわたり紹介します。

それでは皆様良いお年をお迎え下さい。

2006年12月19日

国会TVダイジェスト12月15日放送

 今週の国会TV「言いたい放題、金曜ナイト」は東京大学の月尾嘉男名誉教授をお迎えし、世界の最先端をいく北欧諸国の教育制度や社会の仕組みと日本を比較しながら、どうしたら日本は元気になれるのか考えました。
 
 特にこの日は、教育基本法改正案が国会で成立するという、時代の節目の日でもありました。北欧諸国が子供の個性を伸ばす教育をおこなうことで、21世紀型の人材を多数輩出し、情報化社会の中で大きな役割を果たしているのに対し、日本の教育は画一的平均人間を育てるという工業化社会の名残から脱却できないでいます。
 
 今回の改正案では、民主党や現場の教育者から中央政府の一極管理をやめ、地方分権化すべきとの前向きな意見が多数出ましたが、結局、自公連立のからみ、文部官僚の権益確保が優先されたため、中央管理が強めるという、時代に逆行する改正になってしまいました。ますます、日本の社会は今後ますます閉塞感を増していく可能性があることを指摘しています。(文責:事務局)

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「タウン・ミーティング」と「コール・イン」

「恥を知れ!」と壇上から民主党の菅直人代表代行が叫んで、衆議院本会議場は騒然となった。

12月15日、安倍内閣に対する不信任決議案の趣旨説明が行われた時のことである。しばしの沈黙の後、「タウン・ミーテイングの調査報告書を読んだときに私の頭に浮かんだのは、その言葉です」と菅代表代行は続けた。

菅代表代行が叫んでみても、内閣不信任案は三分の二以上を占める巨大与党によってあっさりと「一蹴」され、続いて開かれた参議院本会議で重要法案が軒並み成立、安倍内閣初の臨時国会は事実上閉幕した。

小泉政権下で行われたタウン・ミーティングは、わが国の民主主義がまさに「民主主義もどき」でしかないことを満天下にさらした。官僚の指示通りに意見を述べる国民がいて、それを国民の声として利用する政府があった。

そもそもタウン・ミーティングはアメリカ民主主義の原点とも言うべきものである。投票権を持つ町民が町の集会場(タウン・ホール)に集まって町の政治について議論する。そうした伝統をアメリカ人は民主主義の基本として大事にしてきた。

官僚が「やらせ質問」を作成し、参加者を「動員」し、運営を巨額の費用で広告代理店に丸投げした会合に「タウン・ミーテイング」と命名したことをアメリカ人が知ったらどう思うだろうか。私はその事が恥ずかしかった。

「やらせ質問」も「動員」も、全ては予定調和でないと収まらない官僚らしいやり方である。彼らの考えは、「タウン・ミーテイングなんか開いても、集まるのはどこかの組織から弁当付きで動員をかけられた特定の集団である。普通の国民など集まる筈がない。発言するのも特定の人間で、みな政府の方針には反対するだろう。普通の国民が発言することなど全く期待できない。それをいかにもタウン・ミーティングにみせるためには『動員』と『やらせ』をするしかない」というものだ。

さらに言えば、有識者を集めた役所の「審議会」で毎度行っているように、自分たちに都合の良い結論に導くシナリオを書くのは官僚にとってお手のものである。そこに世論誘導を得意とする大手広告代理店も加われば、アメリカ民主主義の原点はあっという間に国民を目くらます世論操作の道具に変貌する。こうして「タウン・ミーテイング」という名の茶番劇が国民の圧倒的支持を集めた政権の下で行われた。

現在この「タウン・ミーテイング問題」に対しては国民もメディアも政治家もみんな怒っている。しかし私には国民もメディアも政治家も本当に怒る資格があるのか、いささか疑問なのである。

アメリカにはテレビでタウン・ミーティングを行っている放送局がある。我々「国会TV」が真似をしようとしているケーブルテレビ局C-SPAN(シー・スパン)である。

C-SPANはアメリカ連邦議会の中継を専門に行っているが、一方で「アメリカン・タウン・ホール」と呼ばれている。タウン・ミーティングをやる放送局という意味である。何故そう呼ばれるかと言うと、毎朝「コール・イン」番組を放送しているからである。「コール・イン」とは、スタジオに政治家やジャーナリストを招き、それらのゲストに視聴者が直接電話で質問が出来るというもので、C-SPANでは電話が掛かった順番に次々にスタジオにつなぎ、政治家やジャーナリストと視聴者がアメリカ政治を巡って会話する。

「なんだそんなことか」と思うかもしれないが、少しでも放送を知っていれば、それはありえない番組だと分かる筈だ。C-SPANは誰から電話が掛かってくるのか、どんな質問なのか、全く事前の打ち合わせなしにぶっつけ本番で生放送しているのである。

通常放送局が言う「視聴者参加」とか「国民参加」は、放送局が必ず選別をして都合の良い人間だけを集める。放送局にとってはとんでもない発言をされることも困るが、演出通りにならないことも困る。だから出演者は素人であっても全て放送局の「演出」を嫌がらない、「演出」どおりに演じられる人達しか集めない。「視聴者のご意見をファックスでお寄せ下さい」となるのは放送局が意見を選別できるからで、電話の生の声を放送する場合も、それは事前に選別され打ち合わせ済みのものである。官僚が特定の集団が押しかけてくるのを恐れ、「動員」と「やらせ」を行うように、放送局も「選別」と「演出」を行わないと放送が出来ない。

ところがC-SPANはそうした「演出」や「選別」を一切やらない。「視聴率を意識するところからテレビの堕落が始まる」というのがC-SPANの哲学で、「あるがまま」をあるがままに放送する事を旨としている。だから「コール・イン」番組も面白かろうが退屈だろうが、右寄りだろうが左寄りだろうが、ただ順番に電話をつないでいく。意味不明の事を言ったり、放送禁止用語を言ったときだけ、司会者が電話を切る。当然「やらせ」はない。そしてその事が「民主主義を強くする」のだとC-SPANは主張している。

C-SPANの「コール・イン」番組を見て、私は「日本のテレビ局の常識では考えられないが、演出のないやり方こそ、実はテレビの原点かもしれない」と思った。演出など所詮はたかがしれている。スポーツ番組が面白いのは演出を越えた何かがあるからだ。

C-SPANを真似して日本で国会TVを開局したのは1998年である。CSで放送を始めたが、「政治ホットライン」というタイトルで1時間の「コール・イン」番組を始めてみると、アメリカとは違う日本の「民主主義もどき」が様々に見えてきた。

まず国会議員に出演交渉をしてみる。「一般の視聴者から素朴な質問が来ます。どんな質問かは分かりません」と言う。すると「事前に質問が分からない番組には出演できない」と拒否する議員が多い。「いやいや素朴な質問ですので」と言っても「事前に万全の準備をしなければ」と言って断ってくる。

「その番組は危ない!」と言った超有名な女性議員もいた。ミスをしたら取り返しがつかないと言う。「編集してくれない番組は嫌だ」と言った女性党首もいた。自分たちのミスをうまくカバーしてくれないテレビには出たくないと言う。

あちこちのテレビで大活躍の議員も「こんな怖い番組はない」と言った。「サンデープロジェクトや朝生はどんな質問をされるか分かっているし、せいぜい5分か10分の時間をしのげばいい。しかしこれは・・・」と言うのだ。

出演してくれるありがたい議員も妙に視聴者に媚びるところがある。自分の選挙区の視聴者から電話があった。すると議員は「オジモトサマですか?」と聞き返す。それが「お地元様」と言ったと分かるまでに時間がかかった。

学者から政界入りした国会議員は番組が終わった後で、「同じ先生でも学者の方がずっと良かった。あっちの先生はペコペコしなくとも済むが、こっちの先生は馬鹿な人間にペコペコしないと、俺は有権者だと怒鳴られる」と言った。

そして問題なのは電話を掛けてくる視聴舎だ。アメリカのC-SPANを見ていると「家にいながら政治家と話が出来るなんて、素晴らしいチャンスを与えてくれてC-SPANありがとう」と感謝の言葉を表す視聴舎が多い。政治家に対する物言いも謙虚でへりくだっている。

ところが日本でそんなことを言う視聴舎はいない。「俺はお客だ」という顔をする。視聴料金を払っているから質問できるのは当然の権利だという態度である。

番組を始めた頃、金融機関の破綻を税金で助ける法案が議論されていた。するとのっけから「おまえらは一体なんだ。汗水流して働いている俺達は助けられないで、何で銀行を助けるんだ」と罵詈雑言の連続である。言いたい気持ちは分かるが、しかし礼儀というものもあるだろう。そうでなければ陳情である。「保育園の費用が高すぎるので何とかして欲しい」。言われた国会議員も困ってしまう。「市会議員の方に相談してみてください」というしかない。とにかく相手が国会議員だというと苦情と陳情のオンパレードなのだ。

この国の国民にとって政治とは、陳情してお願いをするか、罵詈雑言を言ってうっぷんを晴らすか、そうした対象でしかない事を嫌と言うほど思い知らされた。それが日本の民主主義のレベルであるようだ。

ところがそのうちに視聴者の電話が変わってきた。自分の意見を言い、議員の意見を聞いて、「私と議員とは意見が違いますが、これからも頑張ってください」と言える視聴者が出てきた。やっとC-SPANに近い「コール・イン」が出来るようになるかと思ったら、今度は小泉政治の影響で、議員達は先を争うようにテレビのバラエティ番組に出演するようになり、政治の芸能化が始まった。地味な番組に出演しても全く票にならないという考えが優先される。政治家が芸能タレントに媚びを売る時代になったが、そんなテレビをアメリカでお目に掛かることはない。

お陰で「国民と政治をつなぐ番組」として始めた国会TVの「政治ホットライン」は未だに日の目を見ることが出来ずにいる。

タウン・ミーティングのやらせ問題はとんでもない問題だが、それは「悪い官僚」が仕組んだ「極端」な事例ではなく、国民にもメディアにも政治の世界にも内在する日本の「民主主義もどき」が表に現れたにすぎない問題なのである。

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12月20日の「政局放談」は佐々木毅学習院大学教授と評論家の金子仁洋氏が今年の政治を振り返り、21日の「政治ホットライン」はインサイドライン編集長の歳川隆雄氏が阿部政権の今後を占います。

2006年12月13日

国会TVダイジェスト12月8日放送

 今週の国会TVは、毎日新聞編集委員の村田昭夫氏をゲストにお迎えして、支持率が急降下している安倍政権の経済政策について議論しました。

 安倍総理は道路特定財源の一般財源化を打ち出しましたが、その内容は玉虫色で自民党道路族の思惑どうりになった感は否めません。さらに言えば、安倍総理は、道路特定財源のうち余った予算を一般財源化するといっていますが、「余っているならば税率を下げ、国民の負担を減らすべき」というスジ論を完全に無視して議論になっています。
 
 霞ヶ関の官僚にコントロールされているのが、安倍政権なのか?という疑問もありますが、安部総理は、事務次官クラスの官僚と面会することもなく、政策運営をおこなっており、霞ヶ関からも不信の声が上がっていると言います。では、安倍政権の政策ブレーンは誰なのでしょうか?
 
 今回の支持率の急降下は、経済政策において顔が見えない安倍政権への国民の不信感の表れではないのか?など、安部政権の経済政策というアキレス腱に迫りました。(文責:事務局)

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2006年12月12日

「闘わない政治家」の「闘うべき」相手

 安倍内閣の支持率低下が続いている。
 
 マスコミ各社の世論調査で就任当初60~70%程度あった支持率が、1ヶ月後には50%台になり、最近では50%を割り込むようになった。
 
 低下しているとは言っても40%台を維持していれば慌てる必要はないのだが、安倍総理に限っては、小泉後継として白羽の矢を立てられた最大の理由が国民的人気の一点だったから、本人だけでなく周囲も大いに気になっているところだろう。
 
 問題は何故支持率が下がっているかである。その分析を間違えると取り返しのつかないことになる。今のところ支持率を下げさせたのは「郵政造反組の復党問題」だと言われているが、本当にそれだけなのだろうか。
 
 国会TVでは番組に登場するゲストに支持率低下の原因を聞いてみた。

 11月17日に出演した「インサイドライン」編集長の歳川隆雄氏は「対中韓外交を円滑に行うために採用した曖昧戦略が、プロ筋には評価されても、国民には理解されず、そのことで支持率が下がっている」と分析した。

 中国、韓国と日本との外交関係は小泉前総理の靖国参拝問題によってかつてなく悪化し、首脳の相互訪問ができなくなるという異常事態を招いた。そのため後継者の安倍総理にとってこの問題の解決は急務であった。就任後速やかに中国を訪問することが第一の課題となり、事前の水面下の交渉の中から、靖国参拝については「行ったとも行かないとも言わない」という曖昧な態度を取り、相手の「面子」を潰さない形で関係修復を図ることになった。
 
 こうした「知恵」は外交のプロはもとより政界、官界からも評価されたが、小泉時代の善悪二元論、喧嘩手法を見慣れてきた国民にとっては「物足りなさ」を感じてしまう。それが支持率を下げたという見方である。

 12月1日に出演した元産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏は「安倍総理は、曖昧戦略が功を奏して中国訪問を実現し、華々しく政権をスタートさせたが、その後周囲が失敗をしないように押さえているためか、存在感が見えなくなった。これまで右派から総理になった中曽根康弘氏はウイングを左に広げて選挙に大勝した。そのことを意識しているのか安倍総理も左に寄ろうとして、村山談話や河野談話を認める発言をしている。これには右の勢力から不満の声が相次いでいる。私は来年の参議院選挙までは仮の姿で、参議院選挙で勝利し、長期政権の構えになれば本音が出てくる。それまでの辛抱だと言っているのだが、こんな筈ではなかったという声は強い」と述べた。

 花岡氏は保守の論客であり、安倍総理のブレーンにも知己が多い。その保守勢力の中に不満がたまっているというのだ。
 
 花岡氏は支持率低下の原因を、曖昧戦略よりもむしろ安倍総理周辺の「振り付け」の仕方にあると見ている。若い安倍総理に傷をつけないようにという過保護が存在感を薄めさせ、また選挙を意識するあまり本音を隠して左に寄ってみせる「振り付け」が、保守派の不満を増幅させているという見方だ。
 
 総理の周囲というのが誰を指すのか花岡氏は明言しなかったが、中川秀直幹事長がその一人であることは間違いない。
 
 復党問題の処理を安倍総理は中川幹事長に丸投げした。その結果、平沼赳夫氏には受け入れられない復党条件が設定され、中川昭一政調会長や青木幹雄参議院会長が猛反発、党内に亀裂が生まれた。
 
 その間、中川幹事長は自らを安倍「義経」を守る「弁慶」にたとえて見せ、この問題で矢面に立つのは自分で、安倍総理に傷をつける訳にはいかないという格好をしてみせた。それがかえって安倍総理の存在感を希薄にし、「指導力」のなさを印象づけることになった。

 復党問題について言えば、そもそも安倍総理は「刺客」選挙に反対だった。平沼氏以外にも古屋圭司氏や城内実氏など郵政造反組の中にこそ考えの近い「同志」がいる。安倍総理は当時自民党執行部の一員だったから口には出せないが、「郵政選挙」の大騒ぎを「茶番劇」だと冷ややかに見ていた筈だ。だから自分が総理になれば、かつての同志を復党させるのは当然で、総裁選挙の最中からそのことは断言していた。それなのに何故安倍総理はこの問題を自分で処理せず中川幹事長に丸投げしたのだろうか。「郵政選挙」に酔いしれた国民から批判されるのは覚悟の上なのだから、どうせなら自分の思い通りにすれば良かったものを、誰かに遠慮をしたとしか思えない。

 12月8日に出演した毎日新聞編集委員の村田昭夫氏は「道路特定財源の一般財源化は道路族の勝利に終わり、小泉さんが言っていたレベルより後退した。揮発油税の一般財源化など出来るはずもないことを何故安倍総理は断言したのか全く理解できない。この内閣には総理を振り付けるキーマンがいない」と言った。
 
 振り付けをするキーマンもいなければ、手足になる実働部隊もいない。村田氏には官邸機能が全くバラバラにしか見えないと言うのだ。

 小泉時代は事の是非はともかく内政の課題が何かは見えていた。それを経済財政諮問会議という装置を使い、竹中平蔵氏が司令塔になり、党の族議員と闘う構図にして国民に見せつけた。
 
 ところが安倍内閣になって経済財政諮問会議も「第二の竹中平蔵」も見えなくなった。当初は外交ばかりが喧伝されて内政課題はさっぱり見えなかったが、ここにきて見えてきたのは経済成長戦略である。財政を立て直すために歳出カットだけでなく、経済を成長させて借金を減らしていこうというもので、そのために出てきたのが企業優遇減税案である。まずは企業を強くして経済を上向かせる考えだ。しかし今でも大企業は好決算を続けており、利益は設備投資に向かっている。一方で国民生活は、消費は冷え込んだまま、戦後最長の好景気と言われても国民にはまるで実感がない。それで「さあ日本の景気を上向かせるためにみんなで頑張ろう」という気持ちになれるかどうか。村田氏は首をひねった。

 私は安倍総理の国会答弁を聞きながら心に残る言葉がないのが気になっている。答弁はそつがなく、失言もない。優等生的な答弁である。しかし味も臭いもない「蒸留水」のような答弁で、言葉を発している安倍総理の「人間」が全く感じられない。
 
 今国会の最重要法案である教育基本法改正案を巡っては、伊吹文部科学大臣が官僚の用意したペーパーを使用せず、連日長時間にわたり自分の言葉と見識で見事な答弁を展開している。野党議員からも賞賛の声が相次ぐほどで、政治家にとって言葉がいかに大事かということをつくづく感じさせられる。

 無論、若い総理にベテラン政治家と同じ見識や経験に裏付けられた言葉を求めているわけではない。「ない」ものを「ある」とみせかけては嘘になる。
 
 それよりも安倍総理は自分が「初の戦後生まれの総理」であることをもう一度思い出すべきではないか。これまでの総理の誰にもなかった「自分らしさ」を打ち出したらどうか。それが未熟であっても構わない。若いということは「再チャレンジ」が十分に可能な時間を持っているということだから、傷つくことや失敗を恐れる必要はない。あるがままの自分を披瀝して、山積する課題に悪戦苦闘しながら立ち向かう姿をさらけ出せばよいではないか。

 かつて「小泉二代目政権」(1)~(2)で私は<創業者が強烈な個性を持って周囲に敵を作りながら土台を作り、それを継承した二代目が土台の上に家を建てる。大変なのは二代目の方だ。失うもののない初代と違って無茶な事はできない。その上何かにつけて初代と比較される。安倍氏はこれから小泉総理と比較されることになる。その事を意識してか「美しい国へ」の中で安倍氏は「闘う政治家」であることを強調している。しかし政治の世界をシニカルに眺め、他の政治家と群れる事のなかった小泉総理と、祖父や父親の政治家像を崇拝し、優等生的に政治の世界を生きてきた安倍氏との間には大きな開きがある。(中略)小泉総理を意識して「闘う政治家」と自らを規定した事がもしかすると小泉二代目政権の落とし穴になるのかもしれない>と書いた。
 
 その後、「闘う政治家」の「闘う相手」(1)~(2)では、「闘う政治家」と言いながら北朝鮮の金正日総書記以外に安倍総理が闘おうとしている相手が見つからないと書いた。

 政治は闘わずに事を成し遂げるのがベストである。「闘う相手」を無理に作る必要はない。「闘う相手」もいないのに「闘う政治家」を標榜する必要もない。いずれにしても安倍総理は小泉改革の継承者でありながら、小泉前総理が「ぶっ壊した」自民党の修復を図らなければならないという相反する役目を負っている。そこが二代目政権のつらいところだ。両方の顔を立てようとすると今回の復党問題や道路財源問題のように迷走することになる。

 実は権力者なら誰でもやらなければならない「闘い」がある。それは前任者との闘いである。前任者は自分の偉業が後任に消されてしまわないように、十重二十重の仕組みを作って後任を制約しようとする。それを如何に潜り抜けるかが権力者が権力者になるための通過儀礼と言ってもいい重要な仕事である。前任者には忠実な顔をしながら密かに一つずつ前任者の権力の素を削いでいく。そうしなければ本当の権力者にはなれない。

 「小泉純一郎と中曽根康弘」(1)~(4)で書いたように、中曽根康弘氏は自分を総理に押し上げた田中角栄氏の言うことを忠実に実行しながら、その裏で金丸、竹下両氏と組んで田中失脚を狙った。竹下氏は総理になった直後から盟友である金丸氏を政界引退させようと画策した。そして小泉前総理は総裁選最大の功労者である田中眞紀子氏を更迭した。あの更迭劇がなければその後の小泉政権はなかった。

 安倍総理も小泉改革の後継者の顔をしながら、しかし「小泉劇場」を国民の脳裏から消し去る工作を進めなければならない。それをやらないといつまでも「顔が見えない」といわれ続けることになる。

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12月13日(水)の「政治ホットライン」は郵政造反組で、去年の衆議院選挙に出馬せず、岡山市長選挙に立候補するも落選した熊代昭彦前衆議院議員が出演します。自民党を離党して来年の参議院選挙に立候補する予定ですが、苦闘の1年を方って貰います。

15日(金)の「言いたい放題・金曜ナイト」には月尾嘉男東大名誉教授が出演します。

2006年12月 5日

国会TV12月1日放送ダイジェスト

今週の国会TVは、ジャーナリストの花岡信昭氏をゲストにお迎えして、自民党の造反議員復党問題の裏側についてお話しました。

中川秀直幹事長の厳しい復党条件を拒否し、平沼赳夫議員だけが自民党への復党を果たせなかったのだが、結果的には中川幹事長は平沼議員を拒んだ形になりました。

どうして中川氏は平沼復党を阻止したのか?

その裏側には、中川氏と平沼氏、そして安倍総理の微妙な三角関係が影響していると花岡氏は指摘。そして、この平沼外しが、参議院戦に与える影響は小さくないと予測します。

政界の裏事情が手にとるようにわかります。

国会TVの視聴は年額:10,500円・月額:945円(税込)です。
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2006年12月 4日

「郵政選挙」の後始末

 郵政造反組の復党問題は、平沼赳夫衆議院議員を除く11人の復党が認められることで決着した。この決着を巡っては賛否両論、様々な意見が渦巻いていて、現状の政治を考える格好の材料のように思える。

 世論調査によると国民の半数以上が復党に批判的である。理由の第一は去年の総選挙に対する裏切り行為だというものである。去年の総選挙は郵政民営化の是非を争点として行われ、しかも自民党が古い体質を切り捨てて新しく生まれ変わることを、郵政造反議員を公認せず「刺客」を送り込むという具体的な形で国民に見せつけた。それを信じて投票した国民はどうなるのか。裏切りではないかという意見である。
 
 確かに小泉前総理は「郵政民営化に賛成か反対かを国民に聞いてみたい」と言って解散に踏み切り、また「郵政民営化に反対するのは抵抗勢力で、自民党は改革政党だ」と言い切ったから、それを信じて投票した人たちが裏切られた気持ちになるのは当然だ。

 しかし、私が「小泉純一郎と中曽根康弘」(1)~(4)で書いたように、小泉前総理が任期中にやろうとしたことは旧田中派に対する自民党内奪権闘争で、「郵政民営化」はそのための手段にすぎないという見方に立てば、そもそも去年の総選挙は郵政民営化の是非を問うものではなく、むしろ「自民党をぶっ壊す」ための選挙だったということになる。
 
 小泉前総理の言う「自民党」とは旧田中派を中心とする自民党内既得権益の事である。

 郵政民営化の是非を問う選挙ではなかったという事をもう少し説明すれば、民主党をはじめとして郵政民営化には賛成であるが、小泉前総理の民営化案には賛成できないという議員が大勢いた。それらの人たちは「反小泉」であるために「郵政民営化反対勢力」と位置づけられた。民主党が対案を出さなかったこともそれに口実を与えた。そう考えるとあの選挙で国民に本当に郵政民営化是か非かという選択肢が与えられていたのかどうかが疑問になる。やはり「郵政選挙」というのはただの建前にすぎなかったのではないか。

 実際、去年の総選挙で郵政民営化の是非だけを考えて投票した国民はどれほどいたのだろうか。国民の多くはそれよりも、「自民党をぶっ壊す」と叫んでいた小泉前総理を半信半疑で眺めていたが、自民党の多くの反対を押し切って「殺されてもいい」と勝負に出たことから、「自民党をぶっ壊す」と言ったのは本当だ、それならきっと「自民党が変わるのだろう」と思いこみ自民党に投票したのではないか。

 去年の総選挙は「郵政選挙」というよりも「自民党改革選挙」もしくは「政治改革選挙」と呼ぶ方が実態に即していると私は思っている。だから国民は政治改革の流れの中から誕生した細川政権の時のように熱狂的に小泉自民党を支持した。国民にとって今でも政治に対する関心の最上位にあるのは「政治改革」なのだ。

 ところが「自民党改革選挙」だと国民が思いこんで投票した結果、自民党は296議席もの大量議席を得て、盤石の体制を築くことになった。政治というのは皮肉なものである。国民のその投票行動によって一転して自民党は改革政党になる必要がなくなった。選挙前の「自民党」はぶっ壊れてしまったのだから、選挙後の「自民党」はぶっ壊される必要のない自民党なのである。

 組織というものは相当な緊張感の中に置かれなければ決して変われないのが自然の理である。小泉政権はまさに自民党存亡の危機とも言うべき緊張感の中から生み出されたからこそ、それまでの自民党には出来ないことを目標に掲げることが出来た。そして党内での激しい権力闘争を繰り返すことでその緊張感は維持された。しかし単独で過半数を大きく上回る議席を得たことは、その緊張感を著しく喪失させた。今回の復党問題を巡る様々な発言を聞いているとそのことが如実に表れていると私は思う。

 選挙前に小泉前総理が予想したように自公合わせて過半数すれすれの選挙結果だったならば、今でも緊張感は持続されていたと思う。郵政造反派が総崩れとなり土下座してまでも復党を願い出るなどということにはならなかった。しかしこの選挙結果によって、当然ながら復党問題が表に出てきた。復党問題は投票結果が生み出した自然の流れなのである。

 しかし小泉前総理にしてみれば「郵政民営化の是非を問う選挙だ」といった手前、簡単に復党を認める訳にはいかない。権力闘争の常道として「踏み絵」を踏ませることになった。中川秀直幹事長がその役回りを演じたが、私は背後に小泉前総理がいると見る。白旗を掲げて降伏した者は許すが、その条件として裏切らないことを誓約させるというやり方は、小泉前総理の大好きな戦国時代のストーリーそのものではないか。降伏した者まで許さないというのではかえって恨みを買うことになり得策ではないというのも戦国武将の常識である。

 こうしてみると小泉前総理という権力者は最初から最後まで「政治は権力闘争」であり、「政治は非情」である。だから自民党の改革を信じて「刺客」となった小泉チルドレンに対して「政治家は使い捨てになるもの」と非情な対応を見せるのである。

 これに対して青木幹雄参議院会長や中川昭一政調会長は「政治には情が必要」だと言った。これまでの自民党政治には理屈だけではない情の部分があり、だから幅広い国民の支持を得ることが出来た。「踏み絵」を踏ませるようなことは決してやらなかった。

 自民党的「情」の政治家の代表は田中角栄元総理だと思う。かつて「趣味は田中角栄」と公言していた二階堂進元自民党副総裁は、「田中さんには一緒になって涙を流してくれるという官僚政治家にはない情があった」と私に語った事がある。それが「人たらし」と言われる所以であり金の力と相まって田中角栄氏の許には人が集まった。田中派は自民党最大派閥となり「総合病院」と言われるほどあらゆる問題に対応できる人脈ネットワークを形成した。

 その田中元総理が作り上げた「自民党的」なるものをことごとくぶっ壊したのが小泉前総理である。「情」と「非情」。まことに対照的だ。田中元総理の金力に対して小泉前総理は「メディア操縦」を武器にした。

 郵政民営化の是非を問う訳でもない選挙を、「郵政選挙」と表現し、「刺客」騒動で国民を目くらましにしたのはメディアである。だから復党問題でメディアは居心地が悪い。小泉総理にまんまと乗せられたことの自己批判は棚上げして、復党させる自民党と復党議員を徹底批判しなければ収まらない。

 しかしメディアも国民も政治を批判する前にまんまと乗せられないように眼力をつける必要がある。権力というものは目くらましの情報を次々に発信してメディアをコントロールしようとする。取材をすればするほど権力に利用される危険がある。それは古今東西当たり前のことで、権力の発する情報をそのまま伝えるだけではメディアの意味がない。様々な角度から検証してみせて国民に考えさせるのがメディアの役割だ。

 一方で国民もメディアが正しいと言うことを鵜呑みにするのでは情けない。日本のメディアにそれほどの力量などある筈がないのだから、参考情報程度に受け止めれば政治に裏切られることもない。

 いずれにしてもかつて社会党の村山富一氏を総理に担いで権力を奪還した自民党を思えば、復党問題などたいした話ではない。これまでギクシャクしてきた自民党の地方組織も対立解消の方向に向かうか、対立が解消しなくとも競争関係が活力を生み出すことになるだろう。民主党はこれを批判するだけでなく「なりふりかまわず」権力を奪取する気迫を見習ったほうが良い。

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今週の国会TVは6日(水)夜9時から民主党の鈴木寛参議院議員が出演して市庁舎の質問に答えます。参議院で山場にきた教育基本法案の民主党の中心人物です。修正協議に持ち込めるのかどうかが焦点です。8日(金)夜9時には毎日新聞編集委員の村田昭夫氏が出演します。安倍政権の経済政策をズバリ斬ってもらいます。

Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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