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2010年8月31日

民主党代表選挙とは何か

 英国のように政権交代を繰り返している国の政党は、国政選挙に勝利した党首を党首選挙で交代させる事はしないし、その逆に国政選挙で負けた党首をそのまま続投させる事もしない。政党は国民の投票の結果を受け止め、それによって党首選挙をやったりやらなかったりする。

 保守党のサッチャーは14年間、労働党のブレアも13年間党首の座にあった。その間に国政選挙で勝利し続ければ党首選挙は行なわれなかった。党首選挙が行なわれるのは、党首が死ぬか、辞任するか、選挙に負けるか、党内の一定数が要求した場合である。

 ところが「民主主義もどき」のこの国ではそう考えない。国政選挙と関係なく党則で決めた任期に従って党首選挙が行われる。中選挙区時代の自民党には5つの派閥があり、その領袖を次々総理に就かせる必要があったから2年ごとに総裁選挙をやった。「歌手1年、総理2年の使い捨て」と自嘲しながら、しかし自民党単独政権時代にはそれが総理を決める唯一の選挙であった。

 今も自民党は3年、民主党は2年ごとに党首選挙をやる決まりになっている。そして困った事に小泉総理を誕生させた2001年の自民党総裁選に国民が熱狂した。国民が参加しない、つまり国民主権と関係のない選挙に国民は熱狂したのである。それに味を占めた自民党は自民党総裁選挙をPRの道具と考えるようになった。

 ここ数年、自民党総裁選挙には総理になるだけの経験を積んだとは思えない候補者がぞろぞろと出てきて、「口先三寸」の演説を新聞とテレビに連日報道させる茶番が繰り返されてきた。すると民主党にもそれを真似る議員達が出てくる。その連中は「国民に開かれた選挙」と言って、民主主義と関係のない選挙を民主主義であるかのように吹聴する。昔は自嘲気味に語られた「総理と流行歌手」が最近では本当に同レベルになった。

 参議院選挙に敗北した民主党が代表選挙を行うのは当然である。国政選挙に敗北した党首がそのまま続投する事は民主主義の考えに反する。辞任をするか、辞任をせずに続投するならまず党内で信を問うべきである。それもやらずに続投させるのは民主党が国政選挙の結果を無視する政党だという話になる。

 ところが代表選挙をやると党が分裂すると言う反対論がある。これは「私」の論理である。国民には関係のない話だ。第一、党首選挙をやると分裂するという政党は同じ政党である事の方がおかしい。党首選挙は次の国政選挙に勝つために党首を選び直す選挙である。その度に分裂するというならさっさと分裂してくれた方が国民のためになる。

 しかも今回の民主党代表選挙は対立軸がはっきりしている。昨年の衆議院選挙で民主党が掲げたマニフェストを続けるか、やめるかという対立である。思い起こせば自民党の小泉構造改革は「改革なくして成長なし」と言い、①成長重視、②緊縮財政の路線を採った。強い産業をさらに強くすることでその利益を国民に分配するという経済政策だった。

 ところが国民は利益の分配を実感できなかった。そこで3年前の参議院選挙に安倍政権は「成長を実感に!」というスローガンを掲げた。これに対して小沢民主党は「国民の生活が第一」を掲げ、それを具体化したのが昨年の衆議院選挙である。強い産業を強くして利益のおこぼれが国民に到達するのを待つ政策ではなく、税金を直接家計に注ぎ込む経済政策を打ち出した。それが「子供手当」、「農家戸別所得補償」、「高校の授業料無料化」などの諸政策である。

 これに対して自民党は財源の裏付けのない無責任な「バラマキ」だと批判し、自民党が責任政党である証拠に消費税を10%値上げすると参議院選挙のマニフェストに書き込んだ。すると菅総理は自民党の政策を丸飲みし、「財政健全化」に政治生命を賭けると宣言した。つまり菅民主党は小泉構造改革と同様に①成長重視、②緊縮財政路線なのである。

 従って民主党代表選挙はこの10年ほど日本が模索してきた路線対立の決着点になる。同時に政界再編の対立軸を作る選挙にもなりうる。小泉構造改革を支持する政治家は菅民主党と、小泉構造改革に反対する政治家は小沢民主党と手を握る事が出来る。実に意味のある選挙なのである。

 それを「選挙で政治空白を作ってはならない」などというバカがいる。そんなことを言えばアメリカ大統領選挙は1年がかりで行われるが、誰一人「政治空白」を問題にする国民はいない。むしろそれだけ時間をかけてくれるから国民も国家の現状や進路に関心を抱くことが出来る。この選挙は国民が参加する選挙ではないが、この国の「分かれ道」を考える貴重な時間を国民にも与えてくれる筈である。

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2010年8月26日

「ねじれ」にお気楽な人たち

 現在の民主党政権は3年前の参議院選挙以降三代続いた自民党の安倍、福田、麻生政権より非力である。参議院で過半数を失い、衆議院で再議決に必要な三分の二の議席を持っていないからである。三分の二を持っていたにも関わらず、安倍、福田、麻生政権がどれほどの醜態をさらしたかを思い起こせば、民主党政権の行く末はそれより酷くなる事が想像できる。

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2010年8月18日

誰も言わない龍馬伝

 坂本龍馬は今や国民的英雄である。幕末維新の激動期に一介の浪人でありながら薩長同盟を実現させ、大政奉還を図った話を知らない人はいない。しかし龍馬に「閑愁録」と「藩論」という二冊の出版物があることを知る人は少ない。

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2010年8月 8日

続・弛緩国家

 連日猛暑が続いている。思えば参議院選挙で自民党が大敗し、「ねじれ」が現実となった3年前の夏も猛暑だった。与党の大敗は政治に緊張感をもたらす筈だが、敗北の責任を取らずに続投を表明した安倍総理は改造人事も国会の召集も先送りし、奇妙な沈黙を守っていた。

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2010年7月16日

一度の選挙では政権交代にならない国の構造

 選挙が終わって参議院のあり方を考えている。今回の選挙で「大勝」と言われた自民党は実は比例では議席を減らした。自民党が議席を伸ばしたのは選挙区で、それも都市部ではなく地方の1人区である。前回の6議席を21議席に増やしたから自民党の15議席増は1人区の成果そのものと言える。言い換えれば自民党は日本全体では負けたが地方で勝ったのである。

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2010年7月14日

悩ましい選挙の悩ましい結果

 敗者が誰かははっきりしている。しかし勝者が誰かとなると良く分からない悩ましい選挙結果だった。一応自民党が15議席増やして改選第1党になった事から勝者に見える。党の幹部らが人指し指を立てて笑顔を振りまけばそう思う。しかし比例の結果を見ると、自民党は惨敗した3年前よりさらに得票率と当選者数を減らしている。

 3年前の自民党は得票率28%で14人を当選させた。しかし今回は24%で12人しか当選していない。因みに6年前は30%で15人が当選した。比例を見る限り自民党の長期低落は変わらず、今回の選挙で史上最低を記録した。

しかも議席を増やしたとは言え自民党は非改選と合わせて84議席と参議院242議席の3分の1をわずかに上回る程度である。55年体制下で万年野党の社会党は「3分の1政党」と言われたが、自民党はその程度なのである。

自民党が議席を増やす事が出来たのは選挙区、とりわけ1人区で民主党との攻防を制したからである。3年前に23対6で民主党に負けたのを21対8と逆転した。1人区だけで15議席増やした。その理由を私は民主党の路線転換と自公選挙協力にあると見ている。

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2010年7月 5日

悩ましい日本の政治構造

 参議院選挙も折り返しを過ぎていよいよ終盤に入った。菅総理の「消費税発言」によって野党第一党の自民党は攻め手を失ったが、一方でそれは菅政権の支持率を押し下げ、民主党の中にも「反消費税」を訴える候補がいて選挙は複雑な様相を見せている。07年の参議院選挙、09年の衆議院選挙のように国民の心に突き刺さる要素はなく盛り上がりを欠くが、しかし選挙の帰趨を決める1人区では多くの所で民主党と自民党とがデッドヒートを繰り広げている。与党が勝つか野党が勝つかは全く予断を許さない。

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2010年6月13日

政治を知らない「政治のプロ」たち

 シルクロードから帰国して見たこの国の新聞、テレビ、雑誌の政治解説は、私の見方とことごとく異なる。私がこの政局を「民主党が参議院選挙に勝つための仕掛けで、将来の政界再編を睨んだ小沢シナリオだ」と見ているのに対し、新聞やテレビに登場する「政治のプロ」たちは「民主党内で反小沢派が権力を握り、小沢氏の政治力が無力化された」と見ている。

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2010年6月 9日

政界再編が準備されつつある

 菅政権がスタートして「脱小沢」ばかりが注目されているが、私には「政界再編」の準備が進行しつつあると思えて仕方がない。それが成功するかどうかは不明だが、政局の雰囲気が3年前の「大連立」の時と似ているのである。

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2010年6月 6日

「クリーン」で「国民主権」は守れない

 マキャベリの「君主論」を読みながらシルクロードを旅していたら鳩山総理が辞任した。砂漠のホテルで見たBBCニュースはアメリカのクリントン国務長官と握手する鳩山総理の映像を流しながら、「沖縄の米軍基地の問題で国民の支持を失った総理が参議院選挙を前に辞任した」と繰り返し伝えていた。

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Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

BookMarks

日本初の政治専門チャンネル!
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国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/

-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2005年3月、講談社+α文庫


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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