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2010年12月14日

海老蔵の酒場喧嘩がそんなに重大事かよ?

『報道再生 グーグルとメディア崩壊』 (角川oneテーマ21)
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 今、コネチカット州に取材に来ている。New Havenという町は、エール大学を中心に栄える静かな町だ。日本から物理的距離を置けばおくほど、さらに過剰な内向き競争から離れれば離れるほど、日本のメディア界で起きていることの「特殊性」が浮き上がって見えてきて、精神的にはクスリになる。話は変わるが、先日、本当に久しぶりに、数年ぶりくらいにソウル・フラワー・ユニオンのコンサートをみた。ゲスト出演する大熊ワタルさんから「見に来ませんか」とのお誘いを受けたので、仕事の生放送が終わってから1時間遅れで会場に入った。その会場は熱気に包まれていた。何とそこに伊丹英子がいた。彼女はイギリスにいたような気がしていたのだけれど。今は沖縄の宜野湾に住んでいるとかで、ステージの上でこんなことを言っていた。「沖縄の海は軍艦だらけよ」。米韓合同演習や、日米合同演習などの演習という名の緊迫したオペレーションが進行中で、沖縄の海にも変化が起きているのだ。それを受けて、ステージ上で変わらぬ元気印の中川敬が「沖縄は軍艦だらけ、日本は海老蔵だらけ。なんか操作されているよ」。中川敬が言う意味はわかるが、メディアは今や操作の主体なんかにはなっていない。むしろメディアも情報の受け手も<共犯的に>それを盲目的に求めているのだ。思い起こしてみよう。朝青龍、草なぎ君、のりピー、そして海老蔵。バッシングの構図が見事なほどに共通していないか。国技の頂点に立つ横綱が品格を欠いていないか。国民的アイドルの行為としていかがなものか。かつての清純派タレントの薬物汚染はいかがなものか。歌舞伎界のプリンスが何と言うことをしてくれたんだ。僕はそれぞれの出来事がニュースではないと言っているのではない。ただ必要以上にそれがメディアによって追及されすぎていないか、オーバーキルではないか、と思っているところがある。実際、海老蔵の酒場での喧嘩がそんなにニュースとしての公益性があるのか、と。消費財としての価値は大いにあるのだろう。それらは国民が抱えているフラストレーションのはけ口になっている所もある。あいつらは思いあがっている。ざまあみろ、と。でも、そんなことばかり繰り返していていいのだろうか。こういうことを言うことがメディアの世界では今や少数派の極致、いや暴論とさえ言われかねない。でも、限られた放送時間、限られた紙面のなかで、海老蔵取材に費やされる膨大なエネルギーによって、追いやられる貴重な取材の機会があるのだ。そのことに十分に自覚的であろう。

 おしまいに本の宣伝。河内孝さんとの共著で角川ONEテーマ新書で『報道再生』が12月10日に発売されました。メディアの崩壊情況の中で、あえて再生というタイトルを掲げました。ぜひともご一読を。

2010年12月 6日

WikiLeaksをめぐる動きは現代版のペンタゴン文書事件だ。

『報道再生 グーグルとメディア崩壊』 (角川oneテーマ21)
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ぼうかいへんし
茫界偏視 Vol.002  
  みなさん、こんにちは。NYから「チェンジング・アメリカ」を発信していた金平です。今は東京を拠点に仕事をしています。9月に日本に戻ってからすぐさまアフガニスタンに出かけ、その後は日本にほぼ居続けているのですが、戻ってみたら、いやはや日本は何から何まですっかり壊れていました。報道を仕事とする者にとっては、このような時期こそ真価が問われるのですが、日本のマスメディア自身もさきほど言った「壊れている」ものの対象なので、今、求められているのは、解体と創造を同時にやれるしなやかでしたたかな想像力と体力なのでしょう。それで、このサイトでブログを再開します。タイトルは「茫界偏視」。これは大好きな小説家・藤枝静男の晩年の随筆集の題名です。今度の引っ越し作業で家の蔵書の整理をしていたら、この本の背表紙に遭遇して懐かしさがこみ上げてきました。この随筆集所収の、大原美術館に妻の遺骨を葬ろうとして藤枝が体験した実話をつづったエッセイがこころに沁みたことを、何故か急に思い出して、このタイトルを使おうと思ったのです。この作品の心象風景が、僕が今の日本や世界を取り巻く状況を考えたときになぜか重なってくるのです。さて、前置きはこのくらいにして(文体を変えるぞ)、
 WikiLeaks(以下WLと記す)である。この内部告発サイトについては、今年の4月にイラク・バグダッドでの米軍アパッチヘリからの民間人に対する無差別攻撃ビデオ映像が暴露された時から、僕はNYからその意義を評価する論評を発してきた。それから随分たって「チェンジング・アメリカ」でも今年7月27日に記事をアップしたが、今回の25万点にのぼる外交公電が暴露されるや、各国政府はパニックに陥っている。各メディアの論調も非常に微妙だ。WLの創設者ジュリアン・アサンジに対してはまるでテロリスト扱いしているメディアもある。笑ってしまうのは、アメリカ国務省が、職員に対してWLへのアクセスを禁じる通達を大真面目に出したことだ。自宅に戻ってからの個人のPCからのWLへのアクセスまでも禁じているとか。さらにさらに、僕が今年8月まで、客員研究員として在籍していたコロンビア大学のSIPA(国際関係・公共政策大学院)でも、大学当局から次のようなメールが在籍全学生に送られてきた。

The documents released during the past few months through Wikileaks are still considered classified documents. [The State Department] recommends that you DO NOT post links to these documents nor make comments on social media sites such as Facebook or through Twitter. Engaging in these activities would call into question your ability to deal with confidential information, which is part of most positions with the federal government. 

 要するに、学生に対してまでもWLにアクセスするな、ツイッターやフェイスブックでもコメントするな、そんなことをしたら国務省から睨まれますよ、と脅しているのだ。ボストン大学のロースクールでも同様の文書が全在校生に送付された。何という漫画的な光景か。ジョージ・オーウェルが生きていたら何と言っただろう。僕はこれまで国立公文書館所蔵の多くの外交公電を読んできたが、なかには何でこんなものが秘密扱いなんだと首を傾げたくなるようなものがたくさんある。権力者・権力機関というものは何から何まで秘密にしたがるものなのだ。例えば、1960年代にデビューまもない小説家の大江健三郎に米大使館員(おそらくインテリジェンス関係者だろう)が面談して当時の政治情勢などについて交わした会話が丁寧に記された外交公電を読んだことがある。そんなものがなぜ「取り扱い注意」なのか、今では理解に苦しむのだが、冷戦下のスパイごっこの世界は、まさに不条理劇を地でいくものとの印象をもったものだ。確実に言えることのひとつは、国民にウソをついている度合いが大きい政府ほど、秘密の暴露に脅える度合いが大きい、ということだ。1971年に米国防総省のベトナム戦争に関する機密文書を暴露したダニエル・エルズバーグ博士は、WLの活動を高く評価している。独立系のジャーナリスト、エイミー・グッドマンは、WLをペンタゴン文書事件の現代版だと言い切る。さて、日本のメディアは今後どのような報じ方をしていくのか。自分自身にも突きつけられた問題である。さまざまな評価を見極めるプロの目が必要になる。今後、東京の米国大使館発の公電5697点の内容が明らかになれば、日米関係の生々しい実相が明らかになる可能性がある。アメリカが鳩山政権をどう見ていてどうしたのか、菅政権をどう評価しているのか、普天間基地をめぐって何が行われていたのか、小沢一郎についてどう評価していたのか、またアメリカ大使館の「協力者」たちの顔触れがどのような人たちなのか等など。冷静に情報を見極めよう。すべてが始まる前に、国家安全保障とか、プライバシーとかを言いだしているあれらのジャーナリストたちの言動も僕らは注視しよう。

 おしまいに本の宣伝。河内孝さんとの共著で角川ONEテーマ新書で『報道再生』が12月10日に発売されました。メディアの崩壊情況の中で、あえて再生というタイトルを掲げました。ぜひともご一読を。

Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりアメリカ総局長としてニューヨーク勤務。コロンビア大学東アジア研究所の客員研究員。2010年9月に帰国。10月より同局「報道特集」キャスター兼TBSテレビ執行役員。

BookMarks

-----<著書>-----

ブログが本になりました!
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『NY発 それでもオバマは歴史を変える』
2010年11月、かもがわ出版


『報道再生 グーグルとメディア崩壊』
2010年12月、角川書店


『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


『米原万里を語る』
2009年5月、かもがわ出版、共著


『テレビニュースは終わらない』
2007年7月、集英社

人気のWeb日誌、出版!
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『ホワイトハウスから徒歩5分』
2007年6月、リトル・モア


慶應義塾大学出版会、部分執筆


『ジャーナリズムの条件4』
2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

『電視的』
1997年12月、太田出版

『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

『世紀末モスクワを行く』
1994年12月、パルコ出版

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