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星野博美のひとをみる視線のやわらかさ

星野博美さんの新著『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)を一気に読んだ。この本、いいなあ。星野さんの本ではあの『謝々!チャイニーズ』と甲乙つけがたいほど、両方とも一番好きな作品になりそう。まるで青春ロードムービーなのだ。けれども、昨今の日本人の中国および中国人をみる視線の変化を思うとき、星野さんの中国人および中国という広大な国をみる視線の柔らかさというか、想像力の柔軟さにぐいぐいと惹かれる。この本を読んでいて、何となく僕がソ連特派員時代のモスクワとか地方都市で体験した理不尽さと暖かさの同居したほろ苦い出来事が思い出されたりするのだ。
先にロードムービーと書いたが、この本は1987年5月4日から6月4日まで、星野さんが当時、香港の留学生だった頃、アメリカ人の友人マイケルと出かけた香港~ウルムチまでの旧シルクロードの一部を辿る旅の記録だ。鉄道を主な移動手段にしている。その座席をめぐる種別が物語のキーワードになっていて、軟臥(一等寝台)、軟座(一等座席)、硬臥(二等寝台)、硬座(二等座席)、無座(座席なし)という「5種別」が、あらゆるドラマの展開の起点・起動点になっている。平等を建前とする社会の「種別」は実質的には、権力の格差=つまり特権の存在を意味しているのだが、そこで繰り広げられる喜怒哀楽の現実のドラマ。笑いながら泣きたくもなる。そこに暮らしている人々と旅人。そこに同じ血が流れている人間としてのつながりを認めるのかどうか。そこが根本だ。ウイグルの項にある写真がどれもいい。
 中国の反日感情や、ギョーザ事件。チベット暴動の鎮圧、北京五輪問題、さらには直近の四川大地震の扱いなど最近の日本の対中国観の変化を大いに感じるにつけ、この本は多くの人に読んで欲しい本だ。
 最後に。マイケルという人物とのせつないこころの物語としても、僕はこの本を読みました。こういうのは好きですね。

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コメント (1)

貴方が今月末に森山大道氏との公開対談のオリに氏に対して路上撮影などの時、一般者から怪しい盗撮者に勘違いされて困った時のエピソードがあれば是非お聴きしたいです。

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Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

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