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『ミュンヘン』に「良心」をよみとるべきか

1972年という年は自分の中で強烈な印象を残す年だ。あさま山荘事件。日中国交回復。グアムで横井庄一さん発見。沖縄本土復帰。札幌五輪。ウォーターゲート事件発覚。田中内閣成立。そして、テルアビブ空港乱射事件、ミュンヘン五輪での「黒い九月」事件。スピルバーグの新作『ミュンヘン』をみる。USAトゥデー紙の昨年の映画ベスト10では4位に入っていたと記憶している。72年の「黒い九月」事件後に、イスラエルの諜報機関モサドが極秘裏に行った報復暗殺作戦の史実に基づく作品とされる。ユダヤ系映画監督スピルバーグがこのテーマに挑むこと自体、勇気のいる作業だが、さっそくイスラエルからは「スピルバーグはこの映画を撮るべきではなかった」との非難の声が出ているとのことだ。けれども何の何の、この映画のアラブゲリラ側の描き方もやはりステレオタイプから免れてはいない。報復の連鎖は何の解決ももたらさない。この映画の発するメッセージだ。そこに僕らは掛け値なしの「良心」を読みとるべきなのかどうか。シャロン首相が昏睡状態に陥っている今、この映画をみて、ただちに「良心」という言葉には行き着かない複雑な思いに陥ってしまうのだ。映画に含まれているいくつかの符牒に思考が引きつけられる。去年ガンで亡くなったABCのピーター・ジェニングスが、若き記者としてこの「黒い九月」事件の現場レポートをしていたんだなあ。また、「黒い九月」事件では、犯人グループの要求を飲んだようにみせかけ、実際には空港への移動の末に、人質の救出を切り捨てたオペレーションが行われていたことを映画は描いている。映画のラストシーンに描かれているNYの摩天楼の眺望のなかに、今はない2つのタワーが建っていることに、どのような解答を見いだせばよいのか。重い映画だ。

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Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

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