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« 健康保険のメタボ連動制?
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ラーメンを食べてきたと言ったら上司と同僚から罵声が飛んできた…

「週刊朝日」6月1日号に、「厚労省『メタボ』副大臣武見敬三のダイエット秘話――『冷蔵庫を開けると妻と娘から罵声が飛んできた…』」が掲載されている。リードに「ちょっと太めの武見敬三副大臣(55)が厚生労働省のホームページ上でダイエット日記『メタボ退治』をスタートしたのは昨年12月。あれから半年――副大臣はマニフェスト(?)どおり、ついにダイエットに成功した。有限実行した今だから語れる、愛と涙と笑いの舞台裏」とあるように、内容はウエスト100.5㎝だった武見副大臣が専門家のアドバイスと家族の励まし(ときには罵声)によって5カ月でウエスト3.9㎝減に成功したというホノボノ記事なのだけど、前回レポートした「健康保険のメタボ連動制?」との関係でちょっと「?」の記述があったので、指摘したい。山口編集長どの、よろしく。

 ちょっと気になった「?」の記述は以下。

「厚生労働省は来年4月から保健指導や特定健診を実施することを決めた。これは40~74歳の被保険者を対象に、予防医療としてのメタボリックシンドローム等の該当者や予備軍が保健指導を受けられるというもの」

「受けられる」と、まるで保健指導や特定健診が被保険者にとっての「特典」であるかのようなニュアンス。前回ここに「さらに平成25年度からの実施をめどに、保険者別に健診達成率、メタボ改善率で後期高齢者医療費の支援拠出金が、加算・減算される」とさらっと書いてしまったのだが、やや詳しく書くと以下のような仕組み(といってもネットで調べた程度なので、間違っているかもしれません。誤りがあったらどしどしご指摘ください)。

まず特定健診や特定保健指導がはじまる来年度は「後期高齢者医療制度」スタートの年でもある。後期高齢者とは75歳以上。健保からも国保からも、その赤字の原因である老人医療が切り離される。医療費の本人負担は1~3割。もちろん、それで後期高齢者の医療費をまかないきれるわけがなく、残り7~9割のうち、1割を本人負担の保険料、約5割を公費(国4・都道府県1・市町村1)、残り約4割を「後期高齢者医療支援金」でカバーする。問題なのはこの後期高齢者医療支援金で、下記のメタボ対策目標値と連動して、保険者ごとに、この支援拠出金が加算・減額される。

1、特定健康診査の実施率(受診率)
 ・平成24年度の受診率が60%以上
 ・平成27年度の受診率が80%以上
2、特定保健指導の実施率
 ・平成24年度の対象者の45%以上
3、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率
 ・平成24年度のメタボ該当者・予備軍は平成20年度よりもメタボの該当者・予備軍よりも10%以上減
4、メタボ該当者とは、腹囲(ウエスト)男性85㎝以上・女性90㎝以上で、中性脂肪、血圧、血糖値のうち2項目以上が異常値の者。予備軍とは腹囲が基準以上で1項目が異常値の者。

加算・減額の幅はそれぞれ最大20%。もし特定健診、保健指導、メタボ該当者・予備軍の「目標値」が達成できなければ最大20%のペナルティを課されるわけで、そうなればメタボ該当者・予備軍はペナルティの元凶とみなされるわけだから、特定健診や保健指導は「週刊朝日」で書かれているような「受けられる」ニュアンスではなく「受けろ」に近く、「冷蔵庫を開けると妻と娘から罵声が飛んできた…」どころではなく、太めの社員が「昼飯にラーメンを食べてきた」などと言おうものなら上司や同僚(あるいは後輩)から罵声が飛んでくる事態が出来しかねないのである。

さらに各健康保険組合における、特定健診、特定保健指導のアウトソーシングや、健康保険組合と後期高齢者医療支援金をリンクさせるシステム開発もビッグビジネスということで、4月17日には日本IBM、インテル、シャープなどの企業や経産省商務情報政策局医療・福祉機器産業室長、厚労省健康局生活習慣病対策室長が参加して、「国際パーソナル・テレヘルス・シンポジウム」が開催されている。

シンポジウムの主催者「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」は米国の「インテル株式会社を始め20社ほどの企業が集まり、健康管理ソリューションのためのテクノロジー・スタンダードを策定する業界団体」。昨年11月に結成されたその「日本地域委員会」には、下記企業をはじめ、67社が参加しているという。

エー・ アンド・デイ、アストラゼネカ、Avita、バクスター、BodyMedia、ボストン・サイエンティフィック、シスコシステムズ、デル、GE ヘルスケア、IBM、iMetrikus、インテル コーポレーション、Kaiser Permanente、コナミスポーツ&ライフ、メドトロニック、Microlife、モトローラ、Nautilus、Nonin、オムロン ヘルスケア、オラクル、松下電器産業、Partners HealthCare、ファイザー、Polar Electro、ロイヤルフィリップスエレクトロニクス、Precor、プライスウォーターハウスクーパース、RMD Networks、ロシュ、サムスン電子、シャープ、シーメンス、テクノジム、Telus、The Tunstall Group、Welch Allyn、Zensys、テキサス・インスツルメンツ……

――メタボリックシンドローム関連市場規模は、予防、診断分野だけでも1兆円を超え、改善・治療分野を含めると7兆5000億円を超える(矢野経済研究所「メタボリックシンドローム関連市場に関する調査結果」2007年5月9日)。

 だれのための、なんのための、メタボ対策、特定健診、特定保健指導、後期高齢者医療制度か、もうおわかりですよね。

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Profile

甲斐良治(かい・りょうじ)

-----<経歴>-----

1955年宮崎県生まれ。
九州大学経済学部卒。
社団法人・農山漁村文化協会(農文協)「増刊現代農業」編集主幹。
『定年帰農 6万人の人生二毛作』『田園住宅 建てる借りる通う住まう』『田園就職 これからは田舎の仕事が面白い』『帰農時代 むらの元気で「不況」を超える』の「帰農4部作」で、1999年農業ジャーナリスト賞受賞。
その後も『青年帰農』『団塊の帰農』『若者はなぜ、農山村に向かうのか』などの「帰農シリーズ」で新しい農的生き方を追究するとともに、「地元学」(ないものねだりではなく、あるもの探し)による各地の地域づくりにかかわる。
都市と農山漁村の共生・対流推進会議運営委員、100万人のふるさと回帰支援センター・里山帰農塾講師。
建築家・石山修武氏、民俗研究家・結城登美雄氏と「21世紀型農村研究会」05年に結成。

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