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2007年4月12日

ゆっくりと?

もうご覧になった方も多いと思いますが、本日の朝日新聞夕刊1面連載「ニッポン人脈記」―「ゆっくりと⑨」に不肖・甲斐が故郷・宮崎県高千穂町の3人の若者とともに登場しています。

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朝日新聞、都丸記者の取材は1月2日。ホントに「ゆっくりと」でした。ちなみに明日の最終回は、私の大師匠、結城登美雄・吉本哲郎という東西の地元学両巨頭が登場する予定とか。

高千穂の3人の若者たちは、東京の「高円寺一揆・素人の乱」や「たたかうごはん」「抵抗食の会(仮)」同様、私に「希望」を与えてくれる若者たちで、「増刊現代農業」2月号『脱・格差社会――私たちの農的生き方』にも登場しています。「森の新聞社」主筆・森千鶴子さんによるその記事の中から、彼らの「ひと言」をご紹介します(藤木くん、工藤くんの写真も森さん撮影)。

●藤木哲朗くん(31歳)

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18歳で大阪の写真専門学校へ。

「山の中の高千穂にいて、山の向こうの世界を見てみたいと思った」。

それからは、お金をためては、スリランカ、北海道、ニュージーランドと、世界を旅した。

「ニュージーランドは自然への入り口が近くて、住民がとても自然を大切にしていました。自然の中で旅を続けているうちに、ああ、ここならどこででも死ねるなあと思ったんです。ぼくが死んだらハエがきて、動物も来て、みんなの食べものになって、土に帰っていくんだろうなと思いました。人間が特別なのは人間がつくったものの中だけで、自然の中ではけっして特別な存在ではないんです。その後バヌアツへ渡り、島の人たちとともに自給自足の生活も体験しました。このとき小さい頃から感じていた根本的な疑問が解けたんです。人間にとって何が幸せなんだろうということに」

●工藤鉄平くん(27歳)

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宮崎市内の高校に進み、東京の大学の経済学部へ。大学を出てどこでもいいから就職するという人生に疑問を抱き、アルバイトでお金をためて、23歳のときにワーキングホリデービザでオーストラリアへ渡り、1年を過ごした。

「日本に戻って来て、親のお金で大学まで行ったんだから、都会で成功するのが親孝行かなと思っていたときに、母校の岩戸小学校の新入学生が10人になったと聞かされました。ショックでした。自分たちのときは50人だったから……。ふるさとのために、自分にも何かできることがあるんじゃないかと思って帰ってきました」

●野の哲学者・佐藤三原さんと語る飯干記章くん(33歳)

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実家は、高千穂市街地から40分の山あい、秋元地区にある農家。町を離れて6年間、アパレルメーカーに勤務し、転勤で福岡、仙台、北海道をまわった。そんな彼をふるさとへ呼び戻したのも、また、台風14号だった。

「台風の夜、母と祖母だけが家にいて、父は出かけていました。その間に、秋元は陸の孤島になってしまった。ニュースを見て、何度も何度も電話をかけたけれど、かかりませんでした。電柱が全部なくなり、停電は1カ月続きました。このとき、自分の村のことを思いました。30代がいない。20代もいない。何かあったとき、動ける人がいなくては。次に台風が来たときは、自分が母とばあちゃんを助けてあげなくては、と」

そして昨年帰郷。帰ってきた飯干さんを村のみんなは温かく迎えてくれた。

「都会で時間に終われ、タイトに仕事をしてきたんだけど、やっぱり歯車のひとつで、自分に返ってくるものが少ない。高千穂には、自分という存在を認めてくれる人がいる。ここのほうがいろんなことができるんじゃないかと思いました」

●彼らが発行している高千穂のフリーペーパー「ファイブ」

●藤木くん孤軍奮闘のフォトマガジン「日向時間」

Profile

甲斐良治(かい・りょうじ)

-----<経歴>-----

1955年宮崎県生まれ。
九州大学経済学部卒。
社団法人・農山漁村文化協会(農文協)「増刊現代農業」編集主幹。
『定年帰農 6万人の人生二毛作』『田園住宅 建てる借りる通う住まう』『田園就職 これからは田舎の仕事が面白い』『帰農時代 むらの元気で「不況」を超える』の「帰農4部作」で、1999年農業ジャーナリスト賞受賞。
その後も『青年帰農』『団塊の帰農』『若者はなぜ、農山村に向かうのか』などの「帰農シリーズ」で新しい農的生き方を追究するとともに、「地元学」(ないものねだりではなく、あるもの探し)による各地の地域づくりにかかわる。
都市と農山漁村の共生・対流推進会議運営委員、100万人のふるさと回帰支援センター・里山帰農塾講師。
建築家・石山修武氏、民俗研究家・結城登美雄氏と「21世紀型農村研究会」05年に結成。

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