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田んぼを、米を、農家を、あきらめない

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米の値段は下がりに下がり、東北では、いま農家手取り60㎏1万3000円ていど。さらにこの4月から実施される国の農政改革では、所得補償の対象となる水田面積4ヘクタール以上の「担い手農家」はこの町の620軒の農家のうちたったの5軒! 町は年間85万人もが訪れる温泉の町だけど、このまま耕す人がいなくなれば、温泉街をとりまく農村風景も荒廃すると、旅館の主たちまで巻き込んではじまったのが宮城県大崎市旧鳴子町の「鳴子の米プロジェクト」。その発表会である「春の鄙(ひな)の祭り」が昨日開催されたので、行ってきました。

読者のみなさんは、いま食べているごはん一膳の値段や、それと同じ値段でどれだけのほかの食べものが買えるかをご存知でしょうか?

写真は、発表会会場に展示されていた「ごはん一膳分の値段で買える身近な食べもの」
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たとえば1俵(60㎏)24000円の米であれば、一膳(約60g)は約24円(1俵で1000杯分がとれる)。24円で買えるものといえば、笹かまぼこ3分の1切れくらい、イチゴ1個、グリコのポッキー4本分という現物展示。アメリカやオーストラリア産にくらべて「高い」と言われる日本の米ですが、そんなものなのです。

じつはこの1俵24000円=1膳24円が、「鳴子の米プロジェクト」が設定した米の消費者価格。鳴子の米を2万4000円で買ってくれる応援団をつくり、農家には手取り1万8000円を保証するかたわら差額6000円を、「鳴子の器」づくり、「鳴子のおむすび」開発、米粉やくず米をつかったパンやお菓子の開発、酒の試作、「鳴子の米通信」の発行など、米にまつわるたくさんの「小さな仕事」の開発に充てようというプロジェクト。昨日の発表会には、おそらく500人に近い人びとが集まりました。うち約100人は県外からの参加で、遠く北海道や九州、東京、千葉、群馬などからかけつけた人もいます。

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「鳴子の米」は、いまはまだ無名の「東北181号」。鳴子の近く、宮城県古川農業試験場で育成された新しい品種で、昨年、標高の高い鬼首(おにこうべ)地区の試験栽培では、これまで栽培してきた「あきたこまち」がせいぜい4、5俵だったのに、梅雨どきの天候不順にもかかわらず、10アール当たり7俵が収穫できたといいます。鬼首はスキー場があるくらい積雪量の多い地域で、雪解け水が直接流れ込む田んぼの水口(みなくち)は「青立ち」(背丈が低く、いつまでも青いまま稔らないこと)することが多かったのですが、試験栽培した3軒の農家は「この米は冷たい雪解け水でも稔った。強い米だなあ」と、喜びを語ります。

これで、農家の収入がどうなるかを見てみましょう。

▼あきたこまち
1俵13000円×5俵=65000円/10アール
▼鳴子の米(東北181号)
1俵18000円×7俵=126000円/同

私たちが、1膳24円の米を食べることで、農家の収入が倍近くになることがわかります。

また「鳴子の米」がめざすのは、「食べておいしい米」。「そんなことあたりまえじゃないか」と言われるかもしれませんが、今の米の値段は、「食味計」という機械で米粒のまま破砕して測定した「食味値」に左右されることも多いのです。プロジェクトでは、水分量を調節しながら、実際に炊いて、試食して、「水分15%減で炊いたものが一番おいしい」ということになりました。

「東北181号」のもうひとつの特徴は、デンプンの種類のひとつである「アミロース」が少ないということ。この数値が高ければ「粘りがない」ということになり、低ければ低いほど「粘りがある」ということです(もち米はゼロ%)。ということは、「おにぎりにしても、冷めても、おいしい」ということ。また味がしみ込みやすいため、混ぜごはん、炊き込みごはんにも向いているそうです。年間85万人の鳴子の宿泊客が朝、出発する際「お昼にどうぞ」と、一人2個のおにぎりを差し出すだけで、どれだけの田んぼの作付けが必要になるでしょうか?(答えはこちら

用意されたおむすびは100種類1200個!
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私の昼食(はなむすび、しゅうまいむすび、おかのり天むす、ぎんなんむすび……)
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この10年で鳴子の農家は100軒減り、耕作放棄地も70ヘクタールに及んでいるとか。しかし、プロジェクトに参加した農家の人は、耕作放棄地の復活どころか「このまま行けば、昔のように新田開発をしなくてはなんねえな」と、冗談話も飛び出すようになっています。

一膳24円の米を食べることで、こんな喜びを分かち合うことのできる「鳴子の米プロジェクト」。さっそくですが会場でこの秋の収穫分を予約してきました。

「国が見捨てたからといって、私たちにはあきらめてはいけない、失ってはいけないことがある」と、プロジェクト総合プロデューサーの結城登美雄さん
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おむすびのおひなさま
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裏方のお母さんも舞台に上がってフィナーレ
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鳴子の近く、旧宮崎町(現加美町)で1999年にはじまった「食の文化祭」は、いまや数えきれないほど全国のあちこちに広がっています。冷徹な国の農政についあきらめがちな中山間地の「小さな農業」ですが、「食の文化祭」同様、「みんなで育ててみんなで頑張る○○の米プロジェクト」を全国に広げることができれば、まだまだ希望をつなぐことができると思います。

鳴子の米プロジェクトお問い合わせ先

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コメント (8)

現代農業 の酵素ずくりおもしろい 

月刊現代農業3月号の特集「自分でつくる植物酵素液」ですね。

ワンダフル ワンダフル こうして 同級生の 結城さんにも会えるし・・・私 山形は大石田の出で 鳴子は身近でした。 甲斐さんの故郷 高千穂には 30年前 5月の 新緑のころ伺いまして まことに美しかったことでした。

山形県からは最上町の11名を最高に、21名の参加がありました。

そうです 自分でつくる植物酵素液のことです
余談ですが自分の人糞をスプーン1杯小ビンに入れて3年位観察 におい研究
をしていますが カビがはえないので不思議 もし自然の抗生物質様体かも

最上町 真室川町 金山町ー憧れです。里山文化にホームシック・・・

A亭さま

>パンクロックやhiphopやりながら有機イチゴ栽培なんてえカッコイイので、農をアグリに言い換えて ポップチューン戦略を 蒔こう  エー 広告代理店みたいな表現になったな

まだ「農」まではたどり着いていませんが、「食」までは射程に入れた「パンクロックやhiphop」の若者たちを高円寺で「発見」しました。次回はそれについてご報告します

ハーィ いいなー
都内でバンド レンタルスタジオはバンドのふところを直撃しているはず 田舎で空家をスタジオにして自給自食でバンドに時間をつかえば うまくなるから 都内で泣いてないで 田舎でパンクやれば おどおどしなくなる

雑誌で半農バンド紹介していけば 文化が動く おんなもうごく

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Profile

甲斐良治(かい・りょうじ)

-----<経歴>-----

1955年宮崎県生まれ。
九州大学経済学部卒。
社団法人・農山漁村文化協会(農文協)「増刊現代農業」編集主幹。
『定年帰農 6万人の人生二毛作』『田園住宅 建てる借りる通う住まう』『田園就職 これからは田舎の仕事が面白い』『帰農時代 むらの元気で「不況」を超える』の「帰農4部作」で、1999年農業ジャーナリスト賞受賞。
その後も『青年帰農』『団塊の帰農』『若者はなぜ、農山村に向かうのか』などの「帰農シリーズ」で新しい農的生き方を追究するとともに、「地元学」(ないものねだりではなく、あるもの探し)による各地の地域づくりにかかわる。
都市と農山漁村の共生・対流推進会議運営委員、100万人のふるさと回帰支援センター・里山帰農塾講師。
建築家・石山修武氏、民俗研究家・結城登美雄氏と「21世紀型農村研究会」05年に結成。

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