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2006年9月 9日

農山村の若者NPO、若手自治体職員のみなさんへ

 8月末に発表された、農林水産省の07年度概算要求を見て驚いた! 「農山漁村の場での再チャレンジ支援」の項目があり、「人生二毛作やスローライフ&ジョブの仕組みを構築し、若者・女性や団塊世代が、新しい生き方を求めて、農山漁村の場で再チャレンジすることを支援」するためとして、93億円が計上されている(うち「緑の雇用対策」などの継続分を除く額は21億円)。
 
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 「再チャレンジ」は、安倍シンゾー氏の再チャレンジ政策にムリヤリ関連付けて予算を獲得しようという各省庁に共通の悪乗りキーワードだが、農山漁村での団塊世代の「人生二毛作」や若者・女性の「新しい生き方」なんて、この何年か、「増刊現代農業」でずっと追いかけてきたテーマだ。たとえば「定年帰農 6万人の人生二毛作」(98年2月)「青年帰農 若者たちの新しい生き方」(02年8月)「団塊の帰農 それぞれの人生二毛作」(03年11月)「若者はなぜ、農山村に向かうのか」(05年8月)「田園・里山ハローワーク 希望のニート・フリーター」(05年11月)という具合に。
 
 「聞いてないぞー」なんて言わないが、問題はその予算の使われ方だ。たとえば「スローじんせい二毛作再チャレンジ事業」。8000万円の民間委託で「『スローライフ&ジョブ』や『人生二毛作』を普及するシンポジウムを全国9ヶ所で実施し、農林水産省ホームページにポータルサイトを整備し、ハローワーク、ジョブカフェ等でフリーペーパーを配付」するという。

 だが「民間委託」と言ってもだいたい3月くらいまでに各省庁の天下り外郭団体やお抱えコンサル企業に根回ししておいて、4月になってアリバイ的かつ瞬間風速的に「公募」するのが通例。「シンポジウム」は参加者数で、「ポータルサイト」はアクセス数で、「フリーペーパー」は配布部数でその事業は評価され、そこから先にお金は行かない仕組み。たとえば農水省、国交省、厚労省あたりがそれぞれ別個にやっている「U・J・Iターンフェア」なんてのも、東京で行なわれるフェアに何人が参加したかが問題であって(会場のモニターカメラについている入場者数のカウンターを見ながら一喜一憂している)、実際に何人地方にU・J・Iターンしたかははじめから問題外!
 
 ただし、今年になってお役所の随意契約が相当問題になったから、一般公募の窓口は広がっているはず。どうか、農山村の若者NPOのみなさん、自治体若手職員のみなさん、お役所のホームページに目を光らせておいて、東京の外郭団体やコンサルが真っ青になるような企画を出し、地域で生きたお金の使い方をしてください。

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Profile

甲斐良治(かい・りょうじ)

-----<経歴>-----

1955年宮崎県生まれ。
九州大学経済学部卒。
社団法人・農山漁村文化協会(農文協)「増刊現代農業」編集主幹。
『定年帰農 6万人の人生二毛作』『田園住宅 建てる借りる通う住まう』『田園就職 これからは田舎の仕事が面白い』『帰農時代 むらの元気で「不況」を超える』の「帰農4部作」で、1999年農業ジャーナリスト賞受賞。
その後も『青年帰農』『団塊の帰農』『若者はなぜ、農山村に向かうのか』などの「帰農シリーズ」で新しい農的生き方を追究するとともに、「地元学」(ないものねだりではなく、あるもの探し)による各地の地域づくりにかかわる。
都市と農山漁村の共生・対流推進会議運営委員、100万人のふるさと回帰支援センター・里山帰農塾講師。
建築家・石山修武氏、民俗研究家・結城登美雄氏と「21世紀型農村研究会」05年に結成。

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