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やっぱり2011年マスメディアは死んでいた

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第557回(2011年12月17日)
やっぱり2011年マスメディアは死んでいた
ゲスト:佐々木俊尚氏(ジャーナリスト)

 東日本大震災とそれに端を発する福島第一原子力発電所事故で、一般市民のマスメディアへの不信が高まった。とくに、原発事故の発生直後、政府や東京電力が発するいい加減な情報を、検証することなく垂れ流したり、御用学者を次々と登場させ、事故の深刻さを過小評価させたことで、それは頂点に達した。

 2009年に「2011年、新聞・テレビ消滅」を著したジャーナリストの佐々木俊尚氏は、大震災と原発事故を契機に、新聞・テレビはマスメディアとしての機能を完全に失ったことが明白になったと言う。かつてマスメディアが担ってきた信頼性や普遍性といった表看板は、今や単なるがせネタに成り下がってしまった。

 未曾有の震災を目の当たりにして、マスメディアからの情報だけでは安心できない市民の多くは、ツイッターなどのソーシャルメディアに補完的な役割を求めた。その意味では、震災以降、既存メディアからインターネットへのシフトがより一層加速されたと言えるだろう。

 しかし、佐々木氏はマスメディア凋落の原因は、単にインターネットという新しいメディアが登場したことではなく、報道の質の低下が自身の機能消失を招いたと見る。

 佐々木氏が「2011年、新聞・テレビ消滅」を著した2009年の時点では、まだマスメディアが発する一次情報に対する人々の信頼はある程度厚く、インターネット上を流れる情報はあくまでマスメディアの二番煎じとして受け止められていた。しかし、その後ソーシャルメディアの普及が進み、今年の東日本大震災でマスメディアから発信される情報だけに依存することは、自分や家族の生命にも関わる問題と成り得ることを多くの人が感じ取った。この時、これまでマスメディアが独占的に享受してきた情報発信者としての絶対的な地位は、ほぼ完全に失われたと佐々木氏は言う。

 大震災や原発事故がマスメディアの信頼性を損ねた原因の一つとして、災害が広範囲に及んだために、被災の内容が非常に多様で、必要としている情報も多様だったことを佐々木氏は挙げる。情報の画一性を前提とするマスメディアではこのような多様なニーズには応えられず、多くの人が個別のニーズをツイッターなどのソーシャルメディアで補完せざるを得なかった。

 佐々木氏は、戦後の日本は本当の意味での「死活問題」に直面してこなかったため、マスメディアはニュースをエンターテイメント(娯楽)として報道していればよかった。お決まりの勧善懲悪のストーリーに沿って、善悪のはっきりした事柄を扱っていれば、それで受け手側は満足していた。ところが、原発事故のような死活問題に瀕した時、従来の単純な二項対立図式が通用しなくなってしまったのだと、佐々木氏は言う。

 一方、震災でその存在感を一層大きくしたインターネットは、多様な視点や多様なニーズに対応した情報を得る手段としては一定の市民権を得た。しかし、ユーザ自身が自ら情報をプルしなければならないため、ユーザの知識やリテラシー次第で、受け取る情報の質に大きな差が生じるという特性がある。それが一部の人々が特定の問題に情緒的に煽動されるなどの弊害を生んでいることも事実だ。

 いずれにしても2011年がメディアの歴史的な転換点となる可能性が大きい。メディアの現状と次に来るメディア、そしてそうした新しいメディア環境の下で、われわれはどのようにメディアと付き合っていくべきかなどについて、佐々木氏と議論した。

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<ゲスト プロフィール>
佐々木俊尚(ささき としなお)ジャーナリスト
1961年兵庫県生まれ。88年早稲田大学政治経済学部中退。同年毎日新聞入社。アスキー編集部を経て2003年フリーに。著書に『キュレーションの時代-「つながり」の情報革命が始まる』、『マスコミは、もはや政治を語れない-徹底検証:「民主党政権」で勃興する「ネット論壇」』、『2011年新聞・テレビ消滅』など。

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神保 様

良質的なマスコミ論、マスコミの中から問題意識が出てくる間は、マスコミも命を保っていると見ています。マスコミの一番大切なことは、客観的事実である「いつ」、「どこで」「何があったか」が重要であって、何故とか、どうしてなどの主体的問題はは次の問題として考えて行くべき問題です。

正しいとか、正しくないとかは、時、場所が変わってくれば簡単に変わってしまうことです。「いつ、どこで、何があったか」は、その時の事実として普遍性を確保できるものです。ご指摘のように、自分の目で耳で確認できないことは、お役所の言葉しか報道できません。お役所の言うとおりにしか報道できないのです。先ず最初に気をつけなければならないことは、組織にしろ、個人にしろ自分に不利なことをしゃべるわけがないのです。

当たり前のことを分かっていないはずはないのですが、組織第一が強く働き、お役所の発言をチェックすることなく報道し続けることになります。事実と違った報道をし続けた結果異なった事実が出てきた場合報道機関の生命が脅かされます。

日本は簡単に歴史的事実を変えてしまい本当のことが分からなくなっています。海外の人は日本人も同じように、時、場所が変われば簡単に考え方を変えてしまうので、相手にしにくいと感じているのではないでしょうか。

<大本営発表と変わらないマスメディア>
本当に、メディアの役割を感じる一年だった。様々な問題で、TVや新聞といったマスメディアは情報を独占し、権力に組した情報しか流さないことが露見した。それが、今回の原発で顕著になっただけで、一連の小沢氏の疑惑の報道もそうであり、マスメディアが既得権益を守るための情報操作の手段でしかないことははっきりしている。

原発の場合、これまで安全で、経済的でしかも環境にいいと電力会社の提灯持ちをやってきて、未だにこれからの広告収入を期待して、不都合な事実を流さない。

また、彼らが守りたいのは情報の独占で、これまでとと同様記者クラブを維持し、情報を操作することである。時には政府と組んで情報を隠蔽したり、偏向させたりする。その見返りが官房機密費であったりする。

ソーシャルネットワークやインターネットの役割は重要であるが、それに接することができない多くの高齢者を抱える日本にとって、まだまだ既成メディアのインパクトは大きく、情報ギャップは広がるままだと思われる。

マスメディアの限界は十分に理解しているつもりです。いままでにどれほどマスメディアの流す情報に惑わされたことか。しかしだからといってインターネットのいろんな情報が正しいとは思いません。およそ検証が出来ないまま、首を傾げざるを得ないような話も多く、その真贋を見分ける力が必要です。要はマスメディアからの情報もインターネットからの情報も受けながらその取捨選択が必要です。新聞もテレビも見ないからといって、インターネットだけで物事を見るのは扇動される可能性を排除できません。それにしてもこの欄への投稿が少なすぎるのは、いささか不安になります。

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Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

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新刊!
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『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


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2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
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2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

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2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

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1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

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