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2011年9月24日

ソーシャルメディアがもたらす新しいつながりとは

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第545回(2011年09月24日)
ソーシャルメディアがもたらす新しいつながりとは
ゲスト:武田隆氏(エイベック研究所代表取締役)

 全世界に7億人のユーザーを抱えると言われるソーシャルメディア最大手「フェイスブック」のマーク・ザッカーバーグCEOは今週、アメリカのシリコンバレーで、フェイスブックに「タイムライン」と呼ばれる日記の機能を新たに搭載することを大々的に発表した。また、ソーシャルメディアの分野ではフェイスブックの後塵を拝する形となった検索最大手のグーグルが、これまで試験的に運用してきた独自のソーシャルメディア・サービス「グーグルプラス」を一般ユーザーに公開するなど、ここに来て、俄然ソーシャルメディア周辺が賑やかになってきた。

 調査会社ニールセンリサーチによると、既に日本ではミクシー、ツイッター、フェイスブックの延利用者数は4000万人にのぼるという。

 「ソーシャルメディア」と呼ばれる以上、何らかの社会性を帯びているはずで、ソーシャルメディアの普及は、われわれの社会におけるコミュニケーションのあり方に、どのような影響を及ぼしているのだろうか。

 ソーシャルメディアを使った企業コミュニティの運営に取り組んできたエイベック研究所代表取締役武田隆氏は自らの経験から、ソーシャルメディアは現代社会が失っている「心温まる関係」を築く場になり得る特質を持っているという。コミュニケーション革命は常に、人と人の距離を縮め、新しい公共圏を創造してきたはずだったが、インターネットの登場によって全世界が至近距離で結ばれたことで実際に登場したものは、無数のスモールワールドでしかなかった。ハーバマスが予言した「システム的世界による生活世界の植民化」が現実のものとなった今、武田氏はソーシャルメディアこそがインターネット本来の機能である「人を人とをつなぐ」機能を果たせると言う。

 ソーシャルメディアがいかに社会の中の人と人をつなげる役割を果たし得るのか。その機能を実際に活かすためにわれわれは何をしなければならないのか。ソーシャルメディアによって、社会のつながり方がどのように変わってくるのか。

 10年余に及ぶ企業コミュニティの運営を通じて、ソーシャルメディアを通じて企業と人、そして人と人をつなぐことに力を注いできた武田氏とともに、ソーシャルメディアの果たしうる機能と現状、そしてその可能性を考えた。

(今週はジャーナリストの武田徹、社会学者の宮台真司両氏の司会でお送りします。)

今週のニュース・コメンタリー
・総合資源エネルギー調査会に5人の反原発派委員を新たに任命
・ブログへの書き込みに対する賠償命令は妥当か

<ゲスト プロフィール>
武田隆(たけだたかし)株式会社エイベック研究所代表取締役
1974年千葉県生まれ 日本大学芸術学部中退。96年大学在学時にエイベック研究所を設立、代表に就任。2000年同研究所を株式会社化し現職。著書に『ソーシャルメディア進化論』

2011年9月20日

日本の漁業は2つの危機を乗り越えられるか

マル激トーク・オン・ディマンド
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第544回(2011年09月17日)
日本の漁業は2つの危機を乗り越えられるか
ゲスト:勝川俊雄氏(三重大学生物資源学部准教授)

プレビュー

 いま、日本の漁業は、2つの大きな危機に瀕している。

 一つ目の危機は言うまでもなく、東日本大震災による目の前の危機だ。

三陸の漁業が壊滅的なダメージを受けた上に、福島第一原発事故で大量の放射性物質が海に流れだし、魚、貝、海藻などを広範囲に汚染してしまった。漁船や漁港、水産加工施設などが壊滅的な打撃を受けた岩手、宮城、福島の3県では徐々に復旧作業が進んでいるが、将来の日本の水産業をどうするかについてのグランドデザインが描けていないため、補助金はもっぱら漁船や漁港などのインフラ整備に充てられ、水産業全体の復興の兆しがなかなか見えてこない。

 また、放射能汚染については、海洋や魚介類の調査が進んでいないため、今のところどの程度汚染が広がっているかを把握することが困難な状態だ。9月9日に日本原子力研究開発機構が、事故発生以来、海に流出したヨウ素131、セシウム134、セシウム137の総量が、これまでの推定の3倍を超える1万5000テラ・ベクレルにのぼるとの試算を発表しているが、これが今後、汚染された海域で捕獲される魚介類にどのような影響を及ぼすかは、今のところわからない。固唾を飲んで見守るしかない。

 しかし、仮に日本の漁業が今回の地震・津波の被害を克服し、放射能汚染を乗り越えることができたとしても、次なる問題が待ち受けている。それが2つ目の危機とも言うべき、日本漁業の構造的な問題だ。

 日本の漁業は震災前から衰退の一途を辿ってきた。乱獲による資源の減少が進む中で、漁業の売上は減少し、漁業従事者の高齢化も深刻だ。

 日本漁業の再生のための政策提言を行ってきた三重大学の勝川俊雄准教授は、すでに震災前に閉塞状態に陥っていた日本の漁業が、この震災を機に数々の構造問題にメスを入れることができるかどうかが、再生の鍵を握ると指摘する。

 震災で壊滅的な打撃を受けた三陸の漁業は、その復旧過程ですでに構造的な問題を露呈していると勝川氏は言う。例えば、復旧のための補助金は漁協の政治力によってもっぱら漁船や漁港などのインフラ整備に充てられ、水産加工や流通業者には資金が下りてこない。そのため、水産加工の拠点だった宮城県では、加工・流通設備の復旧が進まないために、漁船の復旧で魚の水揚げが始まっても、それを買う加工業者がいない状態にある。それもこれも水産業全体をどうするかについてのグランドデザインが無いためだという。

 勝川氏はまた、旧来の漁業・水産行政のもとでは日本の漁業が乱獲と安売り競争を繰り返す中で自滅してしまうことが必至だと言う。漁協ごとに縄張りを定め、その中で魚を獲りたいだけ獲らせている現在の漁業法の下では、資源が完全に枯渇するまで乱獲はやまない。資源を育てることをしない限り、日本の漁業は利益があがらず、若い人も入ってこない。持続的な漁業を守るためにはこれまでの漁業・水産行政を転換し、漁獲量を制限した上で、資源を育成する体制を整えない限り、日本の漁業を儲かる産業に転換していくことはできない、と勝川氏は主張する。

 魚の放射能汚染の現状を検証した上で、今後、日本の漁業が2つの危機を乗り越えるために必要な改革と、われわれが消費者として考えなければならないことは何かを、勝川氏とともに考えた。(今週は神保哲生、萱野稔人の司会でお送りします。)

今週のニュース・コメンタリー
・鉢呂大臣の辞任は脱原発人事の発動直前だった
・フランスが原発にこだわる理由とは

関連番組

特別番組
福島第一原発事故

特別番組 (2011年03月16日)
東日本大震災

マル激トーク・オン・ディマンド 第527回(2011年05月21日)
この震災を日本衰退の引き金にしないために
ゲスト:広瀬弘忠氏(東京女子大学名誉教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第409回(2009年02月07日)
世界の魚を食い尽くす日本人の胃袋
ゲスト:井田徹治氏(共同通信科学部編集委員)

<ゲスト プロフィール>
勝川俊雄(かつかわとしお)三重大学生物資源学部准教授
1972年東京都生まれ。95年東京大学農学部水産学科卒業。97年東京大学海洋研究所修士課程修了。農学博士。東京大学海洋研究所助教を経て2009年から現職。著書に『日本の魚は大丈夫か』、監訳に『魚のいない海』など。

2011年9月11日

崩壊国家ソマリアから考える国家本来の役割とは何か

マル激トーク・オン・ディマンド
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第543回(2011年09月10日)
崩壊国家ソマリアから考える国家本来の役割とは何か
ゲスト:遠藤貢氏(東京大学大学院教授)

プレビュー

 深刻な食料不足のために人口の半分にあたる400万人が飢餓状態に陥っているソマリアの飢饉は、国連食糧農業機関(FAO)が5日、緊急援助がなければ向こう4ヶ月で75万人が餓死する恐れがあると発表するなど、依然として深刻な状態が続いている。飢餓は新たに南部地域にまで拡大しており、毎日100人を越える子どもが命を落としているとFAOはいう。

 今回のソマリアの飢饉は少なくとも3つの複合的な要素に起因すると言われる。まずは、60年ぶりとも言われる大干ばつ。今年は雨期、東アフリカ地域には、ほとんどまったく雨が降らなかった。灌漑システムの完備されていないアフリカでは、農作の大半は雨水に依存している。雨が降らなければ作物は収穫できない。

 そして、国際的な食料価格の高騰。干ばつのために自力で食料が作れなければ、人々は食料を購入するしかないが、世界的に食料価格が高騰していることもあり、ソマリアでは店に食料が置いてあっても、ソマリアの人々の所得ではそれを買うことができない状態にあるという。食料価格高騰の原因については、ソマリアの干ばつに代表される世界各地での気候変動の影響やエタノール燃料需要の高まり、そして株安債券安で行き場を失ったマネーによる投機的な商品取引の横行などが指摘されているが、どうやら食料価格の高騰は一時的なものではなく、恒常的なものとの見方が強くなってきている。

 確かに干ばつと食料価格高騰の2点が重要な要素であることは間違いないだろう。しかし、干ばつが襲ったのはソマリアばかりではない。実際、東アフリカ全域が深刻な干ばつに襲われているし、他にも世界各地で大干ばつに襲われる地域は近年増えているが、だからといって直ちにソマリアのような危機的な状況を生んでいるわけではない。もちろん、食料価格の高騰もソマリアのみならず、世界各国に影響が及ぶ問題だ。

 南部アフリカ研究を専門とする遠藤貢東京大学大学院教授によると、今回のソマリア危機には3つめの要因があり、それがソマリア固有の問題として重要になると指摘する。それは、ソマリアが国家としての体を成していない「崩壊国家」状態にある点だ。国家機能が崩壊しているため、食料難民が出ても援助することができない。援助ができないばかりか、外国から援助を受けるための受け皿となることもできない。更に悪いことに、国家が国土を掌握できていないため、各地に部族や武装勢力が勃興し、国連を始めとする国際的な支援努力の邪魔をしたり、場合によっては危害を加えたりするため、支援物資を届けることもできない。ソマリアの首都モガディシュでは、海外からの援助物資が大量に盗まれ、横流しされていたことも、明らかになっている。

 実際、現時点でソマリアの暫定政府が実効支配できている地域はソマリアのほんの一部に過ぎない。南部の大半はアルシャバーブと呼ばれるイスラム武装勢力の支配下にある一方で、北部のソマリランドやプントランドは勝手に独立宣言を出し、自治政府を樹立してしまっている。国土はあってもそれを実効支配する政府が存在しない状態を遠藤氏は「崩壊国家」と呼ぶが、この状態では飢餓にも対応できないし、海賊が外国船を襲うことを押さえることもできない。

 ところで、現在のソマリアの崩壊国家状態は、一見安定している民主主義国家の日本とは無縁の話のように聞こえるかもしれないが、どうしてどうして、現在の日本の政治・社会状況を考える上で、実は興味深い鏡を提供してくれているかもしれない。

 確かに日本は政府が国土を実効支配できていて、ソマリアのような崩壊国家とは正反対の状態にあるかのように見える。しかし、ソマリアは制度としての政府は崩壊しているが、その中で人間が人と人との関係のみで生活を営み、社会を回している。政府とは無縁に社会が動いている状態と言ってもいいだろう。無論それは、大規模な飢饉などに対してはいたって脆弱となるが、そのような状態が続くことで恩恵を得ている人も大勢いるはずだ。

 翻って現在の日本は、あまりにも社会のシステムが確立しているため、むしろシステムが自立化して、政治が無力化された状態にある。人が自分の意思で何かをやろうとしても、システムがあまりにも硬直化しているために、人の意思で何かを変えることが著しく困難だ。つまり、崩壊国家の正反対にあるが故に、逆にシステムの想定を越えた問題に対応することが非常に難しくなっているとみることができる。それが過去20年にわたる経済政策の失政であったり、原発事故への対応の拙さに象徴されていると言えるのではないか。 ソマリアの問題は人道的な観点から緊急の援助を行い迅速に対応することが肝要だ。しかし、日本はそれを単に「遠いアフリカの地に可哀想な人たちがいる問題」としてとどめておくべきではないのではないだろうか。

 今週のマル激では崩壊国家に詳しい遠藤氏と、中国出張中の宮台真司氏に代わって司会を務める哲学者の萱野稔人津田塾大准教授とともに、今世紀最大の飢饉に喘ぐソマリアの現状を検証した上で、国家の基本機能が崩壊しているソマリアが意味じくも浮き彫りにする「そもそも国会の機能とは何なのか」を議論し、それを現在の日本に投影してみた。

今週のニュース・コメンタリー
・電力使用制限令は必要だったのか
・9・11から10年で世界はどう変わったか

<ゲスト プロフィール>
遠藤貢(えんどうみつぎ)東京大学大学院教授
1962年秋田県生まれ。87年東京大学教養学部教養学科卒業。89年東京大学大学院総合文化研究科修士課程専攻修了。97年英国ヨーク大学南部アフリカ研究センター博士課程修了。南部アフリカ研究博士(PhD)。93年東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻助手を経て2007年より現職。編共著に『日本の国際政治学3 地域から見た国際政治』、共著に『アフリカ国家を再考する』など。

2011年9月 7日

ラウンドテーブル
漂流する日本の"空洞政治"

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第542回(2011年09月03日)
ラウンドテーブル
漂流する日本の"空洞政治"

出演:宮台真司、萱野稔人、青木理、神保哲生

プレビュー

 野田政権が9月2日、正式に発足した。政権交代から丸2年。当初は国民の熱い期待を集めた民主党政権も、今やマニフェストの実現を断念し、自民党との大連立に前向きな姿勢を見せるなど、その存在意義すら怪しくなってきている。
 民主党政権の挫折の原因は、民主党という政党固有の問題なのか、鳩山、菅首相の個人的な資質にあるのか、それとも日本の政治には一政党や一首相の能力を超えた構造的な問題が内在しているのか。

 そもそも野田首相は2006年の小泉首相以来、5年で7人目の首相となる。短命に終わった過去の民主党の二内閣、そしてその前の自民党の麻生、福田、安倍の三内閣の挫折の原因を探り、必要な修正を施さない限り、野田政権もまたさしたる成果をあげられないまま短命に終わる可能性は大きい。

 そこで今週のマル激トーク・オン・ディマンドは特別番組として、社会学者の宮台真司、哲学者の萱野稔人、ジャーナリストの青木理と神保哲生らレギュラーキャスター陣の4人が、ラウンドテーブル形式で日本の政治のどこに問題があり、今われわれに何ができるかを徹底的に議論した。

(今週は特別編成のため、ニュース・コメンタリーはお休みします。)
関連番組

マル激トーク・オン・ディマンド 第540回(2011年08月20日)
菅政権に入ってわかったことと、できなかったこと
ゲスト:下村健一氏(内閣審議官)

マル激トーク・オン・ディマンド 第508回(2011年01月07日)
特別番組 菅首相生出演!総理の言葉はネットに響くか
ゲスト:菅直人氏(内閣総理大臣)

プレスクラブ
野田総理大臣 就任記者会見

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

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