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人間は放射線を浴びてはいけない生き物なのです

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第539回(2011年08月13日)
人間は放射線を浴びてはいけない生き物なのです
ゲスト:崎山比早子氏(高木学校メンバー・医学博士)

プレビュー

 福島第一原発事故発生直後から、政府関係者や専門家たちの口からは「ただちに影響はない」の言葉が繰り返し発せられた。しかし、これほど不誠実かつ無責任な言葉はない。それを霞が関文学的かつ医学的に翻訳すると、現在の放射線のレベルでは、高い線量の放射線を浴びたことによる皮下出血や脱毛、下血、嘔吐といった急性障害は起きないかもしれないが、弱い放射線への被曝や放射性物質を体の中に取り込むことによる内部被曝によって、数十年後にガンや白血病などの晩発性障害が発症するリスクは十分にある、というものになる。その意味では、極めて不誠実な言い回しながら、彼らは本当のことを言っていた。現在進行形で原発事故を抱える今日の日本にとって、いまわれわれが抱える最大のリスクは、低線量被曝や内部被曝による晩発性障害のリスクといっても過言ではないだろう。

 放射線医学総合研究所に長年勤務し、現在は市民科学者の立場から生涯原発反対を唱えた高木仁三郎氏が創設した高木学校のメンバーでもある医師(医学博士)の崎山比早子氏は、事故発生当初から、こうした不誠実な情報発信のあり方に憤りを感じてきた。特に、科学者や医師たちのいい加減な発言によって、放射線の本当のリスクが見えにくくなり、誤った情報に基づく誤った判断で、多くの市民が命を危険にさらしている状況は看過できなかったと崎山氏は言う。

 確かに、被曝後、何十年も経ってからガンなどの病気が発症する晩発性障害は、因果関係の証明が難しい。がんの発症には、いろいろな原因が複雑に絡み合うからだ。しかし、だからといって、一部の専門家が強調するように、低線量放射能被曝の影響は無視してもよいということにはならない。

 崎山氏は放射線被曝にはしきい値、つまりここまでなら浴びても大丈夫という量は存在しないと理解すべきだと言う。どんなに少量の放射線でも、人間がこれを浴びれば、放射線は人間の体の細胞の、とりわけ遺伝子を破壊する。そして、それによって将来それがガンになる危険性は僅かずつでも確実に増していく。がんの発症が放射線被曝の積算蓄積量に比例することは、国際的な放射線の防護基準を策定している国際放射線防護委員会(ICRP)も含め国際的に広く認められており、学問的にはもはや疑いの余地はほとんどないと崎山氏は言う。

 また、同じ理由から、大人と比べて子供は、細胞分裂が盛んな上に、大人より多くの放射線を吸収してしまう傾向がある。その後の長い人生の中で、他の様々な発がん因子の影響を受けることになる子供は、二重三重に大人よりも放射線に対する感受性が高い。その子供に年間20ミリシーベルトまでを許容量とした政府の決定は、言語道断だと崎山氏は言う。

 にもかかわらず、ある程度の放射線を浴びても「ただちに問題ない」といった発言が、十分な情報や専門的知識を持っているはずの政府関係者や科学者、そしてマスメディアの解説委員等から次々と発せられるのはなぜか。崎山氏は、自分が所属する組織に対する従属や忠誠心を優先するあまり、本来は正しくないことを重々知りながら、そのような発言をしてしまっているのではないかとの見方を示す。

 事故発生後、マスメディアで「ただちに」発言が横行し、政府や専門家に対する不信感が高まったことについて、崎山氏は日本で「市民科学者」が不在であることが問題だと言う。仮に、政府や電力会社から大きな助成金や寄付を受ける大学や研究機関に所属する科学者が政府よりの発言を繰り返したとしても、そのカウンターパートとなる市民科学者が科学的な根拠に基づいて、それに対抗できる情報を発信することができれば、市民は双方からの情報をもとに独自の判断を下すことが可能になる。

 また、そもそも日本は情報発信ができていないばかりか、情報の受信すら正しくできていないと崎山氏は言う。放射線被曝に関係する海外の文献や論文には、必ずといっていいほど広島・長崎の調査データが登場する。しかし、海外では放射線被曝研究の定番となっている広島・長崎のデータが、日本では必ずしも十分に活用されていないというのだ。

 医療の専門家として、国の専門機関である放医研(2001年4月から独法)から高木学校所属の市民科学者に転じた崎山氏と、いまだ政府によって十分に説明されていない放射線被曝の本当のリスクと、それがきちんと説明されない理由やその背後にある市民科学者不在の問題などを議論した。

関連番組

特別番組
福島第一原発事故

<ゲスト プロフィール>
崎山比早子(さきやまひさこ)高木学校メンバー・医学博士
1939年東京生まれ。66年千葉大学医学部卒業。69年マサチューセッツ工科大学研究員。74年千葉大学大学院医学研究科修了。医学博士。75年放射線医学総合研究所主任研究員。99年より現職。共著に『受ける?受けない?エックス線CT検査』、『これでいいのか 福島原発事故報道』、『脱原発社会を創る30人の提言』など。

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戦後教育を受けた国民は、敗戦国として当然のことながら、意識する意識しないを度外視し、ソ連を共産主義敵国とし、アメリカを民主主義国友好国とする見方考え方を直接的間接的に植えつけられてきました。

学校教育しかり、新聞報道などメディアはアメリカナイズを後押しする内容ばかり、また多くの人たちがアメリカで教育され、現在の政財界の中枢部で活躍しています。

このような偏向教育だけでなく、教育方針も自分で考えることを排除した○×など回答選択式で国家の都合のよい見方考え方のできる既成化された人間を育てているのです。

すべて国家は正しく国家の言うことに素直に従えば間違いないという国家マインドコントロール集団に飼いならされていると言って過言ではありません。しかしそんなに絶望もしていません。真実を知り、真実に従って行動する若い人たちが増えているのです。

報道によると、すべての子供たちが内部被ばくのリスクに侵されているのかと錯覚してしまいがちですが、そんなことはなく、賢いご両親のもとで育てられた子供たちが父親と離れ、福島から離れて、勉強されている数がかなり多いので安心しています。マスメディアの政府批判は否定はしませんが、自分の責任で行動する素晴らしい若者たちを取り上げていくべきではないか。

自分で考え、政府の情報に惑わされず対応できる人たちが頑張っているのを見て、うれしくなりました。日本も捨てたものではない。明日の日本に希望がわいてきました。

市民科学者の意見が、マスゴミを通じて公に発信されない。これはマスコミの利益(広告料等)を優先するあまりだろうう。御用学者を使って国民をなだめる事で、今すぐ影響は無い、この先は言うな(数年後の危険性)、といわれているのだろう。福島の子供のセシウム内部被爆が45%にもなったのに、未だに規定数値内なのでと誤魔化し続ける無責任さ。被爆線量を上げると云う事は何を基準にしてなのか?その説明は一切無い。年間1ベクレルを20倍に上げる、これは今の補償を逃れ、先送りにすれば、20年先には自分は責任者でいないからだろう。官僚の、検討するとか、吟味するとかはノーと言っている様なものだrろう。しかし、官僚、政治家、マスゴミは揃って東電を護り続ける。日本はこれでは沈没してしまう。

 
 
 放射能に曝(さら)されても ここまでは 大丈夫なんてものは、かってありません。。。
 病院でレントゲン撮影を 行なうときの決まりごとが、すべてを証明してきました。。

 それだけ 日本では “放射線被ばく”に対して、従来は 国も厳しい規制を持っていました。。。


 大人と比べて 子供たちは&妊婦は 放射能に曝されることに対して より危険を認識しなければならない。


 この2点は 現在の人類が知り得る真理ではないのでしょうか!


 以上を踏まえて、
現在の生活レベルを維持するために 原子力発電維持やむなしと されるには、、、
原子力発電は“地産地消”にすべきです。
東京で使う原子力電気は 東京で生産するべき。
マイクロ原発もあるのでしょう。。。
その程度の問題でしょう。
あんまり 複雑に考える必要もありません。。。

> 放射線被曝にはしきい値、つまりここまでなら浴びても大丈夫という量は存在しない
> 大人と比べて子供は、細胞分裂が盛んな上に、大人より多くの放射線を吸収してしまう傾向がある。


放射線の到達距離が、1CMにも及ばないような微弱な放射線は、測定することができません。それは、測定器の原理に由来するからです。
 でも、半径1CMの球体の中に入る細胞、DNAの数はどれくらいになるでしょうか。その細胞の一つ一つが、放射線によって傷つけられる、DNAの配列を書き換えられて、細胞分裂を続ければ、やがて癌に成長する。
 これが、晩発性と言われる発ガンの機構です。
 微弱な線源であることが、より発ガンの危険を増大させているかもしれません。

宮城の牛はOKだった。

福島の牛は汚染された稲藁を与えてなくても国の基準以上の放射線が検出された。・・・と言う事は人間も汚染されている可能性が大だ。


また、よくお茶でも野菜でも牛でも基準値いかと発表されるが、もともと基準値が引き上げられたのだから、基準値以下と発表するでなく、はっきりと値を発表すべきである。毎日食べる食材と年に数回しか食べない食材では違うはずだ。

はっきりとセシウムの値を出さないと結局牛肉を控えると思う。一概に風評被害とマスコミは報道しないで頂きたい。例えば、基準値以下と言っても490ベクレルと90ベクレルでは全く異なる。


最近でも福島のトマトやネギがこの浜松でも売られているが買う気にはなれない。お店では国の基準以下だから安全だというが・・・。

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神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

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