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信用金庫が脱原発宣言をすることの意味

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第536回(2011年07月23日)
信用金庫が脱原発宣言をすることの意味
ゲスト:吉原毅氏(城南信用金庫理事長)

プレビュー

 菅直人首相は震災発生から「脱原発宣言」までに4ヶ月あまりを要したが、震災の衝撃も覚めやらない4月1日に、堂々と脱原発宣言をやってのけた金融機関がある。日本初の脱原発金融機関として今や全国的に有名になった東京の城南信用金庫だ。同庫のホームページに掲載された宣言「原発に頼らない安心できる社会へ」は瞬く間にツイッターなどで広がり、同時期にウェブサイトに公開された吉原毅理事長のインタビューは8万回以上も再生された。

 経済界では異例の脱原発宣言はなぜ行われたのだろうか。また、脱原発で城南信用金庫に続く金融機関はなぜ現れないのだろうか。

 城南信用金庫は世田谷区や品川区など東京の城南地区を中心に地域金融を展開する信用金庫で、都内に50店舗、神奈川県に35店舗を持ち、店舗数、預貯金額ともに信金としては日本でトップクラスの規模を誇る。数々のユニークな取組みで金融界の異端児と評されることが多いが、3代目理事長の故・小原鐡五郎氏の教えである「裾野金融」「貸すも親切、貸さぬも親切」「カードは麻薬」など「小原鐡学」を社是に、目先の利益を追求せず、人と人とのつながりや地域貢献に主眼を置く、地道な経営でも知られる地域密着型の信用金庫だ。

 なぜそのような地域の金融機関が、脱原発宣言などを行ったのかについて、吉原氏は原発事故の発生以後、誰も責任を取とろうとしない政府や企業の姿勢に強い違和感を持ったことをあげる。どんな企業でも事故が発生したら、謝り、責任をとるはずだが、原発については誰も責任をとらない。政府もマスコミの報道にも違和感を覚え、誰かが発言しなければならないと考えた結果が、この宣言だったという。

 しかし、脱原発を宣言した以上、自らもそれを行動で表さなければなければならない。自分たちに何ができるかを考えた結果、原子力の占める発電量が3割なので、まずは自社の電力消費量を3割節電することを決めた。全店舗でLED照明を導入や冷暖房の設定温度の見直しなどを実施した結果、3割削減は十分可能だったと吉原氏は言う。

 また、ボランティア休暇の導入や社員の被災地ボランティアのサポート、被災した地域の信金の内定取り消し者の採用なども積極的に行っている。

 城南信金では同時に、消費者がソーラーパネルやLED照明、蓄電池など節電のための商品を購入する際の、低金利のローンなど、本業でも脱原発・節電を推進している。

 しかし、城南信金のこのような動きをよそ目に、経団連に代表される日本の経済界は依然として原発推進の立場から抜け出ることができないのはなぜか。

 吉原氏は、表では勇ましく原発推進を謳っている企業や企業人も、個人レベルでは原発が危険であることは十分にわかっているし、おそらく、できることなら原発はやめたいと思っているにちがいないと言う。しかし、大企業ほど地域独占の電力会社との関係は深く、株式や電力債などを通じた実利面でも、多くの企業が電力とは強い利害関係で結びついている。個人的な思いはあっても、経済的、心理的にそう簡単には原発から抜け出せない構造になっているというのだ。

 とは言え、城南信用金庫も、事業として金融業を行っている業界トップクラスのれっきとした金融機関だ。損得勘定抜きで事業は成り立たないはずだ。目先の利益に目が眩みそうになった時、吉原氏は城南信用金庫の中興の祖、故小原鐵五郎氏の教えを改めて肝に銘じるという。小原哲学とは、目先の利益を追い求めるものは、最後には大きな損をするという教えだと、吉原氏は言う。小原氏の「貸すも親切、貸さぬも親切」の教えを守り、バブル期にゴルフ場開発や株式、投資信託など投機性の高いプロジェクトへの融資をあえて行わなかったことが、城南信金がバブル崩壊の痛手を大きく受けずに、今日の地位を気づけている要因になっていると吉原氏は胸を張る。

 実際のところ、今後コミュニティバンクとしての信用金庫が担うべき役割は多い。あの悲惨な原発事故を受け、これからの電力供給は、これまでのような大手の電力会社に全面的に依存する中央依存型から、再生可能エネルギーなどを中心に、地域の比較的小規模な事業者や各家庭が担っていく地域分散型へのシフトが避けられない。この中央から地方分散へのシフトを支えていけるかどうかに、信用金庫の真価が問われることになるだろう。

 吉原氏に、脱原発宣言の経緯やその影響、そしてその背後にある小原哲学などの理念と金融機関が追うべき社会的責任について聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
・ 福島報告
・福島は内部被曝が放置された深刻な状況
 ECRRのバスビー博士が福島県内を調査
・濫用が懸念されるコンピュータ監視法で初の逮捕
・体感治安をネット空間に持ち込む警察の思惑
・明治大学が3年連続で一番人気

関連番組

特別番組
福島第一原発事故

プレスクラブ (2011年07月13日)
「原発に依存しない社会を目指す」
菅首相が脱原発宣言

<ゲスト プロフィール>
吉原毅(よしわらつよし)城南信用金庫理事長
1955年東京生まれ。77年慶応大学経済学部卒業。同年城南信用金庫入庫。企画課長、企画部長、副理事長などを経て2010年11月から現職。

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コメント (2)


悪の大蔵省時代から財務省になってからも

 その悪の支配に対して庶民の良識、常識に沿った経営を行っている城南信金には大いにその勇気を感じているものである。

 平成の時代にも「士」の心意気を持った経営者が堂々と論を張って営業しようとしていることは、

この不幸な日本の世の中にあっては「大きな救い」である。


神保哲生 様

数社の報道によると、トルコに、経産省職員を、原発の安全性説明のため派遣したようである。

玄海原発の安全性問題が担保されていない状態での、海江田大臣の職員派遣支持承認は、首をかしげるというより、異常な判断が機能しておられるようで、疑念を抱きたくなる。

玄海の場合は、国内問題であったが、トルコ輸出は外交問題に属し、菅総理が異論を唱えれば、菅総理と海江田大臣の二元外交が推進されることになり、ゆゆしき事態です。

普天間の時の、鳩山氏と他大臣の二元外交と同じで、民主党は政治とは何かが、よくわかっていないのではないか。自己本位なやり方で、一人一人別な考え方で政治をするのでは、健全な政党政治とは言えない。

このような事態になっては、菅氏は即刻海江田氏を解職すべきであり、できなければ菅氏が即刻辞任すべきでしょう。外交問題で、政治を混乱させて、だれも責任を取らない事態は、容認できるものではない。

吉原氏に神保氏がインタビューされた内容は、極めて常識的なお話でありますが、世間的には、受け入れない人がたくさんいます。

民主主義の社会にあっては、どんなことでも賛成者と反対者が競り合うのが健全な姿であって、どちらかに偏る場合は、異常な社会と捉えたほうがよいと判断しています。

原発のように利権を一部の人間で分けあう原子村社会は、異常な状態の見本のようなものと考えています。城南金庫様の企業としての姿勢は、社会に責任ある企業としてのお手本のように理解しました。ますますの発展を祈ります。

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神保哲生(じんぼう・てつお)

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1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
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ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

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