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2011年7月31日

5金スペシャル
ブータンと水俣とある物探し社会への挑戦

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第537回(2011年07月30日)
5金スペシャル
ブータンと水俣とある物探し社会への挑戦

ゲスト:草郷孝好氏(関西大学社会学部教授)

無料放送中

 日本人の生活への満足度を調べた2005年の内閣府の調査によると、今の生活に「満足している」と答えた人の割合は4パーセントにも満たなかったそうだが、その一方で、国民の97%が「幸せ」と答える国がある。「幸せの国」として世界的に注目を集めているブータンだ。
 ブータンはヒマラヤ山脈の麓に位置し、日本の九州ほどの広さの国土(4万平方キロメートル)に東京の練馬区ぐらい(70万人)の人たちが住んでいる。主要な産業は農業でチベット仏教を国教とし、役所での執務や通学時には「ゴ」や「キラ」という伝統衣装を着用しなければならない。一方で険しい国土を生かした水力発電で電力を隣国インドに輸出し、経済成長率6.8パーセント(ブータン政府資料2009年)など高度経済成長国という側面もある。

 ブータンは1976年、第5回非同盟諸国会議で第4代ワンチュク国王が「GNH(Gross National Happiness)の方がGDP(Gross National Product)よりも大切である」と発言して以来、GNHを国是とする国として知られるようになった。2008年に制定された憲法の9条には「ブータン政府の役割は国民が幸福(GNH)を追求できるような環境整備に努めることにある」と記されている。

 GNHが有名なブータンではあるが、決して経済発展を否定しているわけではないと、ブータンを研究している関西大学社会学部の草郷孝好教授は指摘する。経済発展は必要だが、それは国にとっても個人にとっても目的ではない。あくまで生き方の充足が目的であることを明確にした上で、経済発展をその目的に資する形で活かしていくのがブータン流だという。

 実際、草郷氏とブータンGNH研究所などの調査では、ブータン人が考える幸せに必要なものの上位には「お金」「健康」「家族」などが並び、それ自体は日本や他の先進国と変わらない。

 ではなぜ、ブータンの人々は自分たちが幸福だと思えるのか。その中には、伝統や環境、国王に対する愛着などいろいろな要素があるが、最終的にそれは家族や地域とのつながりではないかと草郷氏は語る。同じ調査で、家族関係について、9割以上が「満足している」と答えた。

 ところが、ブータンに負けないような地域の価値を作り出すことに成功している地域が日本にも存在する。経済発展の負の遺産である公害の代名詞となった、あの水俣病の熊本県水俣市だ。1956年から公式に水俣病が確認されてから、半世紀が過ぎ、現在水俣は知る人ぞ知る、日本初の環境モデル都市として生まれ変わっている。公害都市から環境都市へ、行政と市民が二人三脚になってマイナスをプラスに変えてきた1990年以降の水俣市の歴史は、ブータンの共通するものがあるばかりか、今回の被災地復興の手がかりになるのではないかと草郷氏は話す。

 水俣の歴史は福島と重なる。水俣病発生当時、水俣の人々は就職、税収など社会生活の全般で、チッソに依存していた。そのため水俣では水俣病に苦しむ人々とチッソに依存する住民との間で対立が生じ、地域コミュニティは分断されたという。しかし、その後1990年代に住民、行政側それぞれからコミュニティ再生の動きが出始め、1994年当時の水俣市長吉井正澄氏が「もやい直し」を提唱し、それぞれの立場の違いを乗り越え、水俣再生へ取り組んでいくことになった。

 水俣再生の秘訣は、市民が何をしたいのかを行政がつかみ、それをサポートする、「行政参加」だったと草郷氏は言う。従来の「市民参加」は行政がグランドデザインを描き、そこに市民が協力する形だったが、水俣はあくまで住民側の主体性にこだわった。その結果、住民主体のゴミ減量運動や20種類以上のゴミ分別などが行われ、2008年には日本初の環境モデル都市に選ばれた。

 ブータンと水俣に共通している点として、草郷氏は「無い物ねだり」ではなく、「ある物探し」をしたことではないかと言う。

 震災を奇貨として、被災地、そして日本を再び幸せな国に変えていくために、今われわれに何ができるかを、ブータンと水俣の事例をもとに、草郷氏と考えた。

今週のニュース・コメンタリー

・福島報告
 広がる福島市民独自の取り組み
 除染マニュアルと放射線測定所が開設

・映画特集
 言葉にできないことをどう表現するか
 東京原発とサウダーヂ

関連番組

マル激トーク・オン・ディマンド 第472回(2010年04月30日)
5金スペシャル 映画特集
豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか

ゲスト:寺脇研氏(映画評論家、京都造形芸術大学教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第351回(2007年12月22日)
誰のための教育改革なのか?
ゲスト:藤田英典氏(国際基督教大学教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第315(2007年04月06日)
アメリカ型格差社会で日本は幸せになれるか
ゲスト:小林由美氏(経営戦略コンサルタント・アナリスト)

特別番組
福島第一原発事故

特別番組 (2011年03月16日)
東日本大震災

<ゲスト プロフィール>
草郷孝好(くさごうたかよし)関西大学社会学部教授
1962年愛知県生まれ。1986年東京大学経済学部卒、1992年スタンフォード大学大学院開発経済学修士課程修了、1996年ウィスコンシン大学マディソン校大学院開発経済学博士課程修了。東亜燃料工業、海外コンサルティング企業協会、世界銀行を経て、1998年明治学院大学助教授。北海道大学助教授、大阪大学准教授などを経て、2009年から現職。2001年から2003年まで国連開発計画(UNDP)上級政策アドバイザーを兼務。

2011年7月23日

信用金庫が脱原発宣言をすることの意味

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第536回(2011年07月23日)
信用金庫が脱原発宣言をすることの意味
ゲスト:吉原毅氏(城南信用金庫理事長)

プレビュー

 菅直人首相は震災発生から「脱原発宣言」までに4ヶ月あまりを要したが、震災の衝撃も覚めやらない4月1日に、堂々と脱原発宣言をやってのけた金融機関がある。日本初の脱原発金融機関として今や全国的に有名になった東京の城南信用金庫だ。同庫のホームページに掲載された宣言「原発に頼らない安心できる社会へ」は瞬く間にツイッターなどで広がり、同時期にウェブサイトに公開された吉原毅理事長のインタビューは8万回以上も再生された。

 経済界では異例の脱原発宣言はなぜ行われたのだろうか。また、脱原発で城南信用金庫に続く金融機関はなぜ現れないのだろうか。

 城南信用金庫は世田谷区や品川区など東京の城南地区を中心に地域金融を展開する信用金庫で、都内に50店舗、神奈川県に35店舗を持ち、店舗数、預貯金額ともに信金としては日本でトップクラスの規模を誇る。数々のユニークな取組みで金融界の異端児と評されることが多いが、3代目理事長の故・小原鐡五郎氏の教えである「裾野金融」「貸すも親切、貸さぬも親切」「カードは麻薬」など「小原鐡学」を社是に、目先の利益を追求せず、人と人とのつながりや地域貢献に主眼を置く、地道な経営でも知られる地域密着型の信用金庫だ。

 なぜそのような地域の金融機関が、脱原発宣言などを行ったのかについて、吉原氏は原発事故の発生以後、誰も責任を取とろうとしない政府や企業の姿勢に強い違和感を持ったことをあげる。どんな企業でも事故が発生したら、謝り、責任をとるはずだが、原発については誰も責任をとらない。政府もマスコミの報道にも違和感を覚え、誰かが発言しなければならないと考えた結果が、この宣言だったという。

 しかし、脱原発を宣言した以上、自らもそれを行動で表さなければなければならない。自分たちに何ができるかを考えた結果、原子力の占める発電量が3割なので、まずは自社の電力消費量を3割節電することを決めた。全店舗でLED照明を導入や冷暖房の設定温度の見直しなどを実施した結果、3割削減は十分可能だったと吉原氏は言う。

 また、ボランティア休暇の導入や社員の被災地ボランティアのサポート、被災した地域の信金の内定取り消し者の採用なども積極的に行っている。

 城南信金では同時に、消費者がソーラーパネルやLED照明、蓄電池など節電のための商品を購入する際の、低金利のローンなど、本業でも脱原発・節電を推進している。

 しかし、城南信金のこのような動きをよそ目に、経団連に代表される日本の経済界は依然として原発推進の立場から抜け出ることができないのはなぜか。

 吉原氏は、表では勇ましく原発推進を謳っている企業や企業人も、個人レベルでは原発が危険であることは十分にわかっているし、おそらく、できることなら原発はやめたいと思っているにちがいないと言う。しかし、大企業ほど地域独占の電力会社との関係は深く、株式や電力債などを通じた実利面でも、多くの企業が電力とは強い利害関係で結びついている。個人的な思いはあっても、経済的、心理的にそう簡単には原発から抜け出せない構造になっているというのだ。

 とは言え、城南信用金庫も、事業として金融業を行っている業界トップクラスのれっきとした金融機関だ。損得勘定抜きで事業は成り立たないはずだ。目先の利益に目が眩みそうになった時、吉原氏は城南信用金庫の中興の祖、故小原鐵五郎氏の教えを改めて肝に銘じるという。小原哲学とは、目先の利益を追い求めるものは、最後には大きな損をするという教えだと、吉原氏は言う。小原氏の「貸すも親切、貸さぬも親切」の教えを守り、バブル期にゴルフ場開発や株式、投資信託など投機性の高いプロジェクトへの融資をあえて行わなかったことが、城南信金がバブル崩壊の痛手を大きく受けずに、今日の地位を気づけている要因になっていると吉原氏は胸を張る。

 実際のところ、今後コミュニティバンクとしての信用金庫が担うべき役割は多い。あの悲惨な原発事故を受け、これからの電力供給は、これまでのような大手の電力会社に全面的に依存する中央依存型から、再生可能エネルギーなどを中心に、地域の比較的小規模な事業者や各家庭が担っていく地域分散型へのシフトが避けられない。この中央から地方分散へのシフトを支えていけるかどうかに、信用金庫の真価が問われることになるだろう。

 吉原氏に、脱原発宣言の経緯やその影響、そしてその背後にある小原哲学などの理念と金融機関が追うべき社会的責任について聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
・ 福島報告
・福島は内部被曝が放置された深刻な状況
 ECRRのバスビー博士が福島県内を調査
・濫用が懸念されるコンピュータ監視法で初の逮捕
・体感治安をネット空間に持ち込む警察の思惑
・明治大学が3年連続で一番人気

関連番組

特別番組
福島第一原発事故

プレスクラブ (2011年07月13日)
「原発に依存しない社会を目指す」
菅首相が脱原発宣言

<ゲスト プロフィール>
吉原毅(よしわらつよし)城南信用金庫理事長
1955年東京生まれ。77年慶応大学経済学部卒業。同年城南信用金庫入庫。企画課長、企画部長、副理事長などを経て2010年11月から現職。

2011年7月16日

これで検察は生まれ変われるか

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第535回(2011年07月16日)
これで検察は生まれ変われるか
ゲスト:郷原信郎氏(弁護士・名城大学教授)

プレビュー

 大阪地検特捜部証拠改ざん事件を受けて、検討されていた検察改革案が8日、笠間治雄検事総長から発表された。特捜部の独自捜査機能の縮小や監察指導部、専門委員会の設置など組織の再編や、捜査のチェック体制の強化や取り調べの可視化などが盛り込まれたが、廃止の声もあった特捜部はひとまず存続することが決まった。
 しかし、検察に対する国民の不信感は根強い。この改革案で検察は生まれ変わり、再び市民の信頼を取り戻すことができるのかを、検察のあり方検討会の委員を務めた郷原信郎氏と考えた。

 今回の改革案は3月31日に出された法務大臣の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」の提言を受け、江田五月法相の指示でまとめられたもの。法相から3か月以内に具体策の提示を求められていたため、これまでに決まった案が8日発表された。

 改革案では東京、大阪、名古屋にある特捜部を改変し、これまでの独自捜査重視から財政・経済事件へ重点を移すことを目指している。

 会見で笠間総長は「独自捜査をやる検事が一段上だという意識を改めなければならない。特捜部の原点は財政経済事件」と話した。

 郷原氏は改革案に一定の評価を与えつつも、この改革によって検察の根源的な問題が解決するかどうかは、まだ今後の展開を見守る必要があるとの立場を取る。これまでの検察は独立性が重んじられるあまり、それが自己目的化し、内部だけですべてが決められてしまう特殊な組織になっていたと、郷原氏は言う。

 強盗や放火など社会の外縁で起きる事件については、専門性を持った検察が対応することに問題はなかったが、時代とともに複雑に移り変わる政治や経済・社会に大きな影響を及ぼす事件にかかわる検察が、あまりにも世の中から隔絶されていたことで、世の中の変化に対応できなくなっていたのだ。郵便不正事件から証拠改ざん事件にいたる一連の検察不祥事には、機能不全に陥った検察の問題が凝縮されている。

 しかし、今回の改革によって検察の捜査能力の低下を懸念する声もある。これまで検察が依って立つものだった絶対的な正義が相対化された時、検察官たちはどこからモチベーションを調達してくるかも重要な問題になる。

 検察問題以外にも、日本の刑事司法は多くの問題を内包している。長い拘留期間、代用監獄、推定無罪を無視したマスコミ報道と捜査担当者からマスコミへのリーク、そしてそうした無理な捜査の結果にお墨付きを与える裁判所等々、枚挙にいとまがない。今回の検察改革が日本の刑事司法改革の第一歩となるかを、郷原氏と考えた。

今週のニュース・コメンタリー
•なぜ政治家に純粋な動機を求めるのか

•福島報告
仮設住宅への入居が進まない理由

•誰のための地デジ化なのか


関連番組

特別番組
福島第一原発事故

マル激トーク・オン・ディマンド 第484回(2010年07月24日)
電波の私物化を許すべからず
ゲスト:池田信夫氏(経済学者)

マル激トーク・オン・ディマンド 第416回(2009年03月26日)
検察は説明責任を果たしているか
ゲスト:郷原信郎氏(桐蔭横浜大学法科大学院教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第253回(2006年02月03日)
なぜ特捜なのか。 なぜライブドアなのか
ゲスト:堀田力氏(弁護士、元東京地検特捜部検事)

プレスクラブ (2011年07月13日)
「原発に依存しない社会を目指す」
菅首相が脱原発宣言

<ゲスト プロフィール>
郷原信郎(ごうはらのぶお)弁護士・名城大学教授
1955年島根県生まれ。77年東京大学理学部卒業。同年三井鉱山入社。80年司法試験合格。83年検事任官。東京地検検事、広島地検特別刑事部長、長崎地検次席検事などを経て06年退官。桐蔭横浜大学教授を経て09年から現職。10年、法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」委員を務めた。10年より総務省顧問・コンプライアンス室長を兼務。著書に『検察が危ない』『組織の思考が止まるとき』などがある。

2011年7月 9日

出版記念特別番組
これからのエネルギーとこれからの社会に向けて

マル激トーク・オン・ディマンド
マル激トーク・オン・ディマンド
第534回(2011年07月09日)
出版記念特別番組
これからのエネルギーとこれからの社会に向けて

ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)、保坂展人氏(世田谷区長)

プレビュー

 エネルギーと社会のあり方は表裏一体の関係にある。こう語る、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は原発震災以来、再生可能エネルギー分野の第一人者として俄然注目を集め、超多忙な日々を送っている。原発事故というあまり喜ばしい理由ではなかったが、過去10余年にわたり一貫して再生可能エネルギーの推進に貢献してきた飯田氏の努力が、ようやく実りつつあるようだ。

 その飯田氏が、このほどマル激キャスターで社会学者の宮台真司と共著を出した。その名も『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』。

 そこで今週のマル激は東京・新宿のライブハウス「ロフトプラスワン」で開催された飯田氏と宮台氏による出版記念のライブトークをマル激スペシャルとしてお送りする。司会はもう一人のマル激キャスター神保哲生が務めた。

 今や押しも押されもせぬ自然エネルギーの第一人者の飯田氏も、かつては自身が命名した「原子力ムラ」の一員だった。その時の経験について飯田氏は、原子力そのものが空洞であることに気づかせてくれたことが、最大の収穫だったと話す。

 その後スウェーデン留学を経て、自然エネルギーへの道を歩むが、飯田氏が見た1990年代初頭のヨーロッパは冷戦の終結からEUの統合へと激しく時代が動く中、電力市場の自由化や炭素税の導入など、矢継ぎ早に自然エネルギーへの舵を切る国が相次いだ時期でもあった。ドイツは自然エネルギー固定価格買取制度の元になる電力供給法を1991年に施行し、スウェーデンのベクショーでは1996年に脱化石燃料宣言が行われる中で、飯田氏はエネルギー政策の転換によって社会が変わる様を目の当たりにしたという。

 エネルギーと社会は密接に関係する。エネルギーの自治を進めることで社会の自治が進むと飯田氏は言う。また、エネルギーの自治は経済の自治にもつながる。秋田県の名産品「あきたこまち」の売り上げが年間約1000億円で、同県の全世帯の光熱費も毎年約1000億円だが、光熱費はすべて東北電力のある仙台へと出て行ってしまう。しかし、もし秋田県内で地域の発電事業が始まり、各家庭でも発電が行われるようになることで、エネルギーの自治が進めば、その1000億は県内で消費され、県の経済を潤すことになる。エネルギーの依存が経済的な依存をも意味する所以がそこにある。

 そうこうしている間に、日本の「失われた10年」は「20年」になり、日本の周回遅れは2周目に入った。もしかすると、この震災は日本がこれまでの依存型の社会から脱却し、新しい自治の社会へと踏み出す最後のチャンスになるかもしれないと飯田氏は言う。

 ライブトークの終盤には、先の世田谷区長選で脱原発を訴えて当選し、初めての脱原発首長となった保坂展人氏が飛び入り参加し、脱原発自治体の可能性について語った。

今週のニュース・コメンタリー
・福島報告
 郡山市の小中学生14人が安全な環境を求める仮処分申請
・現行基準のまま原発を再稼働していいのか
・この震災を機に原発から地熱発電へ
 レスター・ブラウンが語る原発事故とその後にくるもの

関連番組

特別番組
福島第一原発事故

マル激トーク・オン・ディマンド 第517回(2010年03月12日)
祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗
飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第332回(2007年08月10日)
見えてきた裁判員制度の危うい実態
ゲスト:保坂 展人氏(衆議院議員)

<ゲスト プロフィール>
飯田 哲也(いいだ てつなり)環境エネルギー政策研究所所長
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部原子核工学科卒業。同年神戸製鋼入社。電力中央研究所を経て、96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。2000年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。92~06年日本総合研究所主任研究員を兼務。90~92年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』など。

保坂 展人(ほさか のぶと)世田谷区長
1955年宮城県生まれ。都立新宿高校定時制中退。中学在学時の政治活動の自由をめぐり「内申書裁判」の原告として16年間戦う。1976年から1996年まで反管理教育の事務所「青生舎」を運営し、ミニコミ誌「学校解放新聞」を発刊。同年衆院初当選(比例東京・社民党)。2009年8月落選。当選3回。2011年世田谷区長に当選。

2011年7月 2日

スマートグリッドがもたらす「引き受けるエネルギー社会」

高橋洋氏
マル激トーク・オン・ディマンド
第533回(2011年07月02日)
スマートグリッドがもたらす「引き受けるエネルギー社会」
ゲスト:高橋洋氏(富士通総研経済研究所主任研究員)

プレビュー

 原発は怖いけど、風や太陽に依存する自然エネルギーは安定しないため、経済活動や国民生活が大きく影響を受けることが避けられない。そんな理由から脱原発をためらっている人は多いのではないか。そんな不安や疑問を解消する鍵となるのがスマートグリッドだ。
 スマートグリッドとは通信と電力を融合させることで、多様な電力を効率的かつ安定的に送信することを可能にするシステムと説明される。それが実現すれば、これまでのように大規模な原発や火力発電所のみに頼らずに、誰もがいろいろな形で電気を作るようになっても、安定的に電力を供給することが可能になるという。

 スマートグリッドはまた、単なるエネルギー供給の枠を超え、われわれ市民生活のありかたや国の形へも大きな影響を与えるだろう。スマートグリッドとは何なのか。

 これまでの電力は電力会社が設置した大規模な発電所から一方的に受け取るものだった。ユーザーはスイッチを押せば好きなだけ電気を使うことができた。 これに対してスマートグリッドでは分散と双方向がキーワードになる。まず各家庭は消費量をリアルタイムで知ることができるようになる。消費電力のみえる化だ。その情報をもとに消費量を自ら抑制したり、また供給者側も供給量を調節する。つまり、需要者が供給者に協力することで社会全体の電力の最適化を行う電力の供給システムが、スマートグリッドの要諦と考えていいだろう。

 富士通総研主任研究員の高橋洋氏は、今日スマートグリッドが注目されるようになった背景に「供給の分散化」「需要の自律化」「蓄電池の発達」の3つの技術革新が起きていることを指摘する。なかでも需要者(ユーザー)自身が電力を節約したり売ったりする「自律化」が、とても重要だという。これまで電力会社は消費者に自律性など期待できないと主張してきたが、震災後、多くの人々が自発的に節電を行ったことで、いみじくも消費者の自律性が証明された。

 すでに世界ではスマートグリッドは様々な形で取り入れられている。アメリカでは電力の需要増に対する供給の不足を補うための設備投資を抑える目的で、スマートグリッドの整備に取り組んでいる。通信機能を備えた電力計のスマートメーターを設置し、需要者をコントロールすることで供給不足に対応しようしている。それと同時にオバマ大統領のグリーンニューディールに代表されるようにビジネスチャンスとしての期待も高く、グーグルやIBM、GEなどの企業が参入し、国際規格の確立に動いている。

 一方、ヨーロッパは再生可能エネルギー拡大のためにスマートグリッドの整備を行っている。太陽光や風力などの天候に左右されやすい電力を安定的に制御するために、スマートグリッドは不可欠な仕組みだった。

 ドイツでは再生可能エネルギーの固定買取制度、電力市場の自由化を積極的に行い、現在の消費電力に対する再生可能エネルギーの割合は17%、2020年までに35%を目指している。日本は1%にすぎない。人口の減少、経済成長の状況などから日本のモデルとなるのはヨーロッパであると高橋氏は説くが、スマートグリッドが機能する前提となる電力市場の自由化も、発送電の分離も電力の固定価格買い取り制度も日本ではまだ進んでいない。

 電力は広い市場で取引することが最も効率が良いということをヨーロッパの状況が証明している。島国である日本は他国との連系は困難だ。しかし、国内の10社による分割状態を統合すれば市場は拡大する。そしてそれと同時に発送電の分離を行うべきだと高橋氏は訴える。

 戦後、高度経済成長を遂げる中、地域独占的な電力会社は高品質な電力を絶えず送り続けることで社会に寄与してきた。停電がほとんどおきない日本の送電網は世界に誇るべきものだ。しかし今日、社会は大きく変化し、それとともに社会の基盤となる電力業界も変わらなければならなかった。失われた10年、それは電力業界そのもののことだと高橋氏は言う。見たくないものを見ずにおまかせ社会を続けてきたツケが今回の原発事故として現れた。

 スマートグリッドを通して、これからの電力のあり方、そして社会のあり方について高橋氏と考えた。


今週のニュース・コメンタリー
•福島報告
尿検査で判明した子どもの内部被曝とその対応
報告:藍原寛子(医療ジャーナリスト)

•カロリー摂取、日米格差のその理由は


関連番組

特別番組
福島第一原発事故

マル激トーク・オン・ディマンド 第517回(2010年03月12日)
祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗
飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第427回(2009年06月13日)
グリーン革命に乗り遅れる日本
ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第343回(2007年10月28日)
私がデブをやめた理由
ゲスト:岡田斗司夫氏(作家・評論家)

<ゲスト プロフィール>
高橋 洋(たかはし ひろし)富士通総研経済研究所主任研究員
1969年兵庫県生まれ。1993年東京大学法学部卒業。同年ソニー入社。1999年タフツ大学フレッチャー大学院修士課程修了。2007年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。内閣官房IT担当室主幹(ソニーより出向)、東京大学先端科学技術研究センター特任助教などを経て2009年6月より現職。成城大学非常勤講師を兼務。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

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