Calendar

2011年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 5金スペシャル・原子力のこれまでとこれからを問う
メイン
ゴジラ+鉄腕アトム+田中角栄=原発大国への道 »

増税なき復興計画のすすめ

岩田規久男
マル激トーク・オン・ディマンド
第525回(2011年05月07日)
増税なき復興計画のすすめ
ゲスト:岩田規久男氏(学習院大学経済学部教授)

プレビュー

 日本が未曾有の大震災から復興するために、どのような、そしてどの程度の規模の復興対策が必要になるのか。

 先の震災は総額にして20兆円を越える被害を、日本経済にもたらしたと推定されているが、学習院大学経済学部の岩田規久男教授は、復興のためには向こう5年間で40~50兆円規模の政府による復興対策が必要になるとの見通しを示す。

 まずは被災者の食料、医療などの緊急な援助や被災者の住居の確保、瓦礫の撤去や道路、港湾、空港など破損したインフラの修復などの緊急的な復興費予算として10兆円程度が今年度予算で必要となるが、しかし、震災の影響は地震や津波による直接的な破壊に限らないことを岩田氏は重視する。平成11年度の実質GDP成長率は余生予算の効果を織り込んでも-0.9%~-1.7%に低下する(BNPパリバ証券)ことが予想されている。岩田氏の試算では、これは最大で22.6万人の失業者を新たに生む結果を招くという。

 そのような震災による経済へのマイナス効果を防ぐためにも、まず来年度予算で10兆円の緊急対策を実施した上で、更にその後4年で30~40兆円規模の復興費の支出が必要になると岩田氏は言うが、問題はそれだけの資金をいかに調達するかだ。

 巷では、震災の復興のためには増税やむなしの論調が目立ってきているように見える。具体的には復興税と称する新たなエネルギー課税や消費税の増税などが提唱されているようだが、岩田氏はこうした増税案を言下に否定する。日本経済や長期のデフレ状態の下にあり、デフレの最中に増税によって内需が減少すれば、一層のデフレになることが避けられない。デフレが呼ぶ円高が輸出産業にも打撃を与えることを考えると、結果的に増税をしても、税収の増加につながらないし、雇用も回復しないというのが、その理由だ。

 しかし、増税なくして50兆円もの財源を確保するためには、国債を発行するしかない。要するに必要な資金を借金で賄おうということだが、言うまでもなく日本の財政赤字は既に危機的な水準に達している事が指摘されて久しい。11年3月末の債務残高は中央政府分だけでも667兆に及び、債務のGDP費も172%と先進国中最高水準に達している。そうした中で日本政府が更に向こう5年間で50兆円もの国債を発行すれば、いよいよ財政破綻のリスクが高まることはないのか。

 岩田氏は震災発生以降、長期国債金利はむしろ低下傾向にあり、これが急騰することは考えられないことを指摘した上で、当面、国債価格が暴落し長期金利が急騰する心配はないと言う。その上で、復興のために発行する40~50兆円の国債を一般の国民や投資家ではなく、これを全額日銀が引き受ける施策を提案する。こうすることで、市中の資金供給量を増やし、インフレ率を2%程度で安定させることで、日本経済の名目成長率を先進国並みの4%程度に引き上げることができる。その結果税収を拡大させることが、復興財源の捻出方法としては最も合理的だと岩田氏は説く。

 復興計画の実施が急がれる今こそ、かねてから主張してきたインフレターゲット論を実行に移すべきだと主張する岩田氏に、震災からの経済復興のあり方、考え方を、神保哲生と宮台真司が聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
•子供に年間20mSvは許されるのか
解説:小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
•なぜハッカーたちはソニーを狙ったのか
ゲスト:高木浩光氏(産業技術総合研究所主任研究員)


関連番組

特別番組 (2011年03月16日)
東日本大震災

マル激トーク・オン・ディマンド 第277回(2006年07月20日)
日銀がゼロ金利を解除した本当の理由とは
ゲスト:岩田規久男氏(学習院大学教授)

<ゲスト プロフィール>
岩田規久男(いわた きくお)学習院大学経済学部教授
1942年大阪府生まれ。66年東京大学経済学部卒業。73年同大学院経済学研究科博士課程修了。76年~78年カリフォルニア大学バークレー校客員研究員。83年上智大学教授などを経て、98年より現職。専門は金融・都市経済学。著書に『経済学的思考のすすめ』、『日本銀行は信用できるか』、『デフレと超円高』など。『経済復興―大震災から立ち上がる』を今月発売予定。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/8043

コメント (3)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。

一、コメント欄は匿名掲示板ではありません。投稿は本名(もしくはペンネーム)でお願いします。

一、コメント欄は投書欄ではありません。記事と関係のないコメントや長文(400字以上)のコメントは、内容に関係なく削除する場合があります。

一、コメント欄は噂話を書く場所ではありません。ネット上とはいえ、公的な場である以上、事実関係に誤りがあるコメントは公開できません。情報元のソースはできるだけ開示してください。

一、コメント欄はフラストレーションの発散場所ではありません。感情的な非難や誹謗中傷は受け付けません。なお、最低限のマナーが守られている投稿であれば、記事に批判的なコメントでも削除することはありません。


そのほか、詳細は下記リンクにも掲載していますので、投稿前にご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

神保 様

インフレターゲットが前提になっており、年率4%程度の成長を見込んでいますから、500兆円程度のGNPですと、年間20兆円、5年で100兆円のGNPを見込むことになります。

確かに、この数字上の金額が、実際に期待できれば、何も日銀引き受けでなくとも、普通の国債でも問題ないのではないか。

いずれにしろ、経済成長が見込めるのか見込めないのかが、基本であって、一番の安全サイドは、成長が見込めないということで、災害復興策を講じないと、不幸にも同じ様な、否それ以上の東海地震が発生したらどういうことになるのでしょうか。全てが、良い方向に展開したら、解決するという安易な見方で、物事を考えるのはいい加減に卒業すべきではないでしょうか。

先ず最初に、政治家、官僚、公務員など税金で多額の収入を得ている人が、率先して収入を大幅減額すべきでしょう。

東電に大幅な収入カットを要求している政治家はご自分たちの責任は、どのように自覚しておられるのでしょうか。一番大きい責任者は、政治家であり、管理監督する官僚にあるのです。そ知らぬ顔をしているのには腹が立ちます。

政治家並びに官僚が安全第一に徹して、安全第一主義であればこれほどの災害は防げたはずです。
ひとえに、東電に責任転嫁し、政治家が国民と遊離した位置にいて、さらに浜岡原発の停止を指示するその場限りの唐突の政策は、説得性がありません。

先ず、原発の政策をどのように位置づけるかを明確にしてから、浜岡問題を提起すべきでしょう。
菅政権の問題点は、その場限りの国民受けを狙った政策の乱発であり、国としての政策の一貫性がありません。

このような最悪の事例は、復興構想会議の位置づけです。最近ようやく現地視察などをしているようですが、このようなことは、官僚と地方に任せればよいのです。

もっと大きな視点で、この国の災害対策をどのようにしていくべきか、原発政策はどのようにするかというような国家ビジョンの提言機関にすればいいのです。

細かい政策に入っていき官僚を度外視すると、官僚たちの意欲が萎えていくので、国家の将来が極めて不安です。

菅政権は、そのときの場当たり主義でしかなく、このままでは、国家が衰退していくばかり、国会議員はその使命を自覚され、一日も早く内閣不信任していただきたい。後継者が一番の問題ですが、不信任してから考えればよいのではないか。菅政権が続くことは、国家の損失以外の何物でもありません。

相変わらず岩田規久男氏は飛ばしていますね。「長期国債金利はむしろ低下傾向にあり、これが急騰することは考えられない」などとなぜ言えるのでしょうか?理解不能です。
本日、白川総裁の日本金融学会における講演録が出ていますので、是非お読みください。岩田規久男氏のような発想が如何に危険なものかお分かりになるはずです。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110530a.pdf

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.