Calendar

2011年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

« 法務大臣、全面可視化が民主党の公約だったのではありませんか
メイン
原発事故・なぜ炉心溶融は起きたか »

祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗

飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)
マル激トーク・オン・ディマンド
第517回(2011年03月12日)

祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗

ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

プレビュー

 中国電力は先月21日、上関原子力発電所(山口県)建設のための海面埋め立て工事を、1年3カ月ぶりに再開した。建設予定地の対岸に位置する祝島の漁協をはじめとする反対派住民や全国から集まった若者らは、海上にカヌーや漁船を出すなど抗議活動を行い、工事を強行する中国電の職員らと衝突、けが人も出た。緊迫する祝島にいま、何が起きているのか、飯田哲也氏と神保哲生の現地リポートを交えて、日本のエネルギー政策の問題点と世界の趨勢、なぜ民主党政権がエネルギー政策の転換に失敗したのかを議論した。

 10年前NGO環境エネルギー政策研究所を立ち上げ、一貫して日本のエネルギー政策の転換を求めている飯田哲也氏は、上関原発の建設について「他のあらゆる原発建設計画の中で最も非合理」で、「まったく無意味な原子力施設」と断じる。

 そもそも中国電は「電力余り」で、関西電力などに余剰電力を買い取ってもらっている状態だ。中国電は電力需要量は増えるという計画を根拠に、原発建設が必要と説明しているが、実際には販売電力の実績は年々減っている。今年末には「島根原発3号機」という巨大な原発が完成予定で、その電力ですらまるまる余る可能性がある。今後、中国地方の人口減少とともに電力需要、利益率が下がる中で、上関原発への投資は回収できるのかという根本的な疑問が残る。

 中国電がこのような非合理な経営をできるのは、電力会社が市場を地域独占しているからに他ならないが、飯田氏は各社がおのおのの独占を守るために「暗黙の助け合い」を行うなど事実上の談合組織のような調整を行っている、と明かす。

 中国電が原発建設を強行するもうひとつの理由は、他社に比べて石炭(火力)による発電の割合が高いことにある。CO2排出の比率を各社と横並びに合わせるという、真に馬鹿げた、本末転倒の論理だ。そもそも原発は、リスクをとれる東京電力や関西電力など規模の大きな会社が国の産業政策として進めてきた。弱小電力会社はコストの安い石炭を使わされてきた面がある。こういった産業政策のひずみを考慮せず、中国電が「CO2削減」に背中を押されてしまっている、と飯田氏は指摘する。

 民主党政権は、「2020年までにCO2を25%削減」、排出量取引、地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入を09年マニフェストに掲げた。しかし、この政策転換に失敗した原因について飯田氏は、経産大臣に適任者を登用できず、エネルギー族と呼ばれる旧民社党議員や経産省官僚にエネルギー政策の主導権を握られたとみる。

 世界の再生可能エネルギー利用の流れは一層加速している。投資額は年30~50%の割合で増加しており、ドイツでは政府機関などの複数の団体が「2050年までに自然エネルギーを100%にする」という目標を昨年相次いで出した。アメリカでは、原子力発電によるコストより、太陽光発電のコストが安くなったという研究結果も発表されている。

 祝島の住民は、飯田氏が代表を務める環境エネルギー政策研究所と「祝島自然エネルギー
100%プロジェクト」を立ち上げる。デンマークのサムソ島が10年かけて達成したといった先進例にならい、住民が使用するエネルギーをすべて再生可能エネルギーによってまかない、地域の自立を目指す取り組みだという。飯田氏は、原発しか選択肢がないという原発推進派の住民に、そうではない選択肢があるのだと気付いてもらうきっかけにしたい、と話す。

 祝島の漁民は漁業補償金の受け取りを拒み、中国電の原発建設に徹底抗戦する構えだ。地域主権の先行きはどうなるのか。地域からエネルギー政策の転換を試みる飯田氏に、神保哲生と宮台真司が聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
•原発事故・なぜ炉心溶融は起きたか
•神保哲生の被災地現地報告

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第427回(2009年06月13日)
グリーン革命に乗り遅れる日本
ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第337回(2007年09月14日)
なぜ地震大国の日本が原発なのか
ゲスト:田中三彦氏(元原子炉製造技術者)

マル激トーク・オン・ディマンド 第317回(2007年04月27日)
見えてきた原発政策の限界
ゲスト:伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)

マル激トーク・オン・ディマンド 第178回(2004年08月20日)
美浜原発事故を関電問題で終わらせていいのか
ゲスト:槌田敦 名城大学教授 (熱物理学・環境経済論)

<ゲスト プロフィール>
飯田 哲也(いいだ てつなり)環境エネルギー政策研究所所長
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部原子核工学科卒業。同年神戸製鋼入社。電力中央研究所勤務を経て96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。00年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。92~06年日本総合研究所主任研究員を兼務。90~92年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、編著に『自然エネルギー市場』、共著に『日本版グリーン革命で雇用・経済を立て直す』など。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/7907

コメント (5)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。投稿される方は、投稿前に下記のリンクの内容をご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

NHKは東京電力のホームページ案内してますが、そもそもホームページに繋がりません(笑)政府と東京電力は重大な事実を伏せているとしか思えません。簡単に計画停電といいますが、首都圏の計画停電とは、首都圏の機能停止とほぼ同義です。震災にプラスされて首都圏も全て災害に見舞われるのと一緒です。日本全体が沈没してしまうかもしれません。福島原発等が機能停止でと説明してましたが、等ではわかりません。東京電力の普段稼働させていた原発や非常時用の原発全て機能がやられているのか、火力水力のバックアップシステムも稼働しないのか、時間がかかるのか?情報が足りません。またJRを見ていると公式にアナウンスされているものより、弱い非常時バックアップシステムのようにも思えました。信号も別システムではないような報道でした。首都圏で事故・火災・犯罪、更に病院機能が大混乱、交通パニックから物流パニックなど、単に家庭単位の努力とは関係なしに、社会機能が大混乱です。報道は根性だしてください。

一昨年、民主党政権になって、直嶋経産省大臣にエネルギー政策理念があったとはとても思えませんでした。エネルギー政策も政治主導の筈が資エ庁官僚に主導されたまま操られ、原発推進が続き、実にお粗末な再生可能エネルギー支援予算でした。鳩山首相にいたっては自ら原発推進広告塔になる始末。今の菅首相もご覧の通りの体たらくです。これでは腐敗した自民党政権時代と何ら変わりません。

日本には資源がないため、再生可能エネルギーに関する基礎研究レベル、開発レベル、実用レベルのフェーズを含めて、脱化石燃料化に向けて再生可能エネルギー割合を100%まで段階的に高める理念、政策目標、ロードマップが不可避です。

太陽光、風力、中小水力、地熱、凝集系核融合等々の分散クリーン発電ネットワークシステムを総論賛成で各論反対をしているのが、護送船団方式の独占形態でふんぞり返っている各電力会社です。

電力会社と国が裏で癒着腐敗しし、再生可能エネルギーを増やすことに対して最大抵抗勢力になっています。

本来なら、ここにも切り込むのが民主党の役割の筈だったのが、民主党内にも選挙票田の労働組合関係で原発推進族が多数おり、多分、今の民主党は党を再編しても期待出来ないのではないかと思います。

もはや国民とNPO、NGOとこれに同意する国会議員が一体となり、再生可能エネルギーを100%まで高めていく政策立案、立法化、そして市民運動を全国的規模にしていくしかないのではと考えています。

独立していないジャーナリスト、メディア司会者、キャスターは全く信用出来ませんね。毒饅頭の為なら、魂も売りますを地でいっています。彼らは正論には関心がありません。大樹の利することから少しでも乖離すると堂々と反論していますからね。彼らの偏向放送も大きな良き流れを作る阻害要因となっています。これに対するいい方策はないものですかね。

余談になるが、信頼のおけるジャーナリストの岩上安身さんが長年コメンテーターをやってこられたフジTVの特ダネをいきなり降板になるとか言われたとか仰っていましたが、やはり、まとまな正論を述べる人はテレビ出演から遠ざけられ、民主主義国家といわれる日本もどんどんファッシズムが蔓延りはじめ、時の政権(本末転倒の官僚主導政治下での形だけの議会制民主主義)の都合の悪いことは言論を封じるようになりつつあることが大いに危惧される。

首尾一貫したわが国の再生可能エネルギーの促進が望まれます。
「・・・アメリカでは、原子力発電によるコストより、太陽光発電のコストが安くなったという研究結果も発表されている。・・・」という記述に目を引きました。出典わかれば、教えてください。私が以前調査した記載では、太陽光発電の単価が高いことを気にしていました。どのような製造方法か調べてみます。
今回の地震による原発の事故による2次、3次災害も心配です。再生可能エネルギーについて記載しましたので一度ブログ覗いていてください。


>tetsu
マグネシュウムサイクルについてもっと宣伝していただけないでしょうか。原発の危険性が身をもって明らかになったというのに未だに官僚と電気会社の宣伝マンたちよって他に資源が無いのだから原発をこのまま使用をという風な方向へ世論が流されそうです。(計画停電はそういう電力会社によって意図的に起されているように見えます)

原発に警鐘を鳴らしてきた広瀬隆氏は火力で十分と言っていますがその論だとオイル価格に何かあるたびに
(例えば中東で戦争革命とか)電気料金に直接響きますので、原発の件のほとぼりが冷めたら(被爆者がみな癌で物言わぬ死者になってしまったら)またぞろ原発の増加へと舵が切られるでしょう。

だからマグネシュウムサイクルについて大きな声で宣伝していただきたい

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.