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福島原発事故
京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー

青木理
インタビューズ

(2011年03月17日)

福島原発事故
京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー

無料放送中

 17日午前、福島第一原発2、3、4号機で白煙が確認された。自衛隊が空から放水するなど、冷却作業が続いている。
 福島原発事故の現状と今後想定される問題点について、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏に、ジャーナリストの青木理が聞いた。

青木: 東京電力福島第一原子力発電所の状況が深刻化しています。緊急性が高いニュースなので、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお話を伺おうと思います。小出さん、よろしくお願いします。
 まず、今最も懸念されているのは、「メルトダウン」がさらに進むことだと思います。今、一部炉心溶融が起きている。ただし、一般に言われている「メルトダウン」にはまだ達していないという認識でよろしいでしょうか。

小出: 私もそう思います。

青木: 「メルトダウン」が起きれば、どういう状況になるのでしょうか。

小出: 皆さん、原爆はご存知だと思います。広島に落とされた原爆で燃えたウランの量は800グラムでした。現在、私たちが使用している原子力発電所は日本に54基あり、平均して1基につき100万キロワットを発電します。100万キロワットの原発が1日稼動すると、ウランを3キロ燃やします。つまり、広島型原爆3~4発分のウランを燃やすわけです。それによって作られたエネルギーの3分の1だけを電気にして、3分の2は海に捨てるというのが原子力発電所という機械です。

青木: 海に捨てるというのは、発熱したものを熱量として捨てるということですか。


小出: そうです。1秒間に70トンの海水の温度を7度上げて、また海に戻すという、なんとも言葉に尽くせないほどの膨大な環境汚染をしながら発電する装置です。

青木: 今は、原子炉の燃料棒が冷やせない状態になり、その一部に溶融が起きているというわけですね。確か、スリーマイル島原発事故のときは燃料の45%くらいが溶けて下に落ちたと記憶しています。しかし、幸いにも底は抜けませんでした。福島原発では底が抜ける可能性があるのでしょうか。

小出: スリーマイル島の事故のときは、電気が使えました。ポンプも使えました。それでも事故になり、原子炉の半分近くが溶けてしまいました。しかし、最終的にはポンプを回すことで原子炉を冷やし、最悪の事態を免れたわけです。
 福島原発の場合は一切の電源がなく、ポンプも回らない状況です。消防のポンプ車を使って冷却水を回す方法を思いつき、一気に破局的な状況にいくのを食い止めているのが現状です。しかし、事態は日が経つにつれて悪化しています。

青木: 政府や東京電力は「まだ大丈夫」と言っています。それが嘘だとは言いませんが、事態はどんどん悪化しており、今後は最悪のことも考えなければならないと思います。いわゆる「メルトダウン」が起きると、格納容器に穴が開くのでしょうか。それとも爆発するのでしょうか。

小出: 色々な可能性が考えられます。原子炉の燃料が存在している場所を炉心と呼びます。炉心を包んでいるのは、鋼鉄の巨大な圧力容器です。燃料が溶けるか「メルトダウン」してしまうと、圧力容器の底に落ちます。その部分に水が残っていると、水蒸気爆発という現象が起きます。爆発の規模にもよりますが、もし大きいと圧力容器が壊れてしまうこともあります。
 原子炉圧力容器の外側には格納容器があります。原子炉圧力容器が水蒸気爆発で破壊される事態になれば、格納容器もたぶん壊れてしまいます。そうなると、放射能を閉じ込めるすべての容器が壊れてしまうことになってしまいます。

青木: 燃料が溶けることで床が抜ける可能性もあり、水がたまっている場合は水蒸気と反応して爆発を起こし、最悪の場合は格納容器も壊れてしまうということですね。

小出: 青木さんがおっしゃったように、水蒸気爆発をしなくても、「メルトダウン」した炉心が圧力容器の底を抜く可能性はあります。炉心は2800度にならないと溶けません。しかし、圧力容器は鋼鉄なので、1500度にもなれば溶けてしまいます。2800度の溶融体が溶けて下に落ちれば、もちろん圧力容器も溶けてしまいます。その外側の格納容器に水が残っていると、また水蒸気爆発をする可能性があるわけです。

青木: 経産省原子力安全・保安院は、今回の事故を国際原子力機関(IAEA)が定める8段階の国際原子力事象評価尺度で、「レベル4」としています。
しかし、フランスなどは上から2番目の「レベル6」だと言っています。スリーマイル島の事故は「レベル5」、チェルノブイリ事故は一番上の「レベル7」ですが、この原子力安全・保安院の「レベル4」という考えは論外なのでしょうか。

小出: 論外です。スリーマイル島の事故は越えています。

青木: 複数の原子炉が同時多発的に制御できなくなっている現状を見ると、チェルノブイリ事故以上の事象と言えるのでしょうか。

小出: 最終的な結末はわかりませんが、いま炉心が溶ける危機に直面している原発が1、2、3号機と3つあります。その出力を全部合計すると、200万キロワットを超えます。チェルノブイリの原発はちょうど100万キロワットの出力でした。今回はその2倍に相当する放射能と戦っているわけです。それが出てきてしまえば、チェルノブイリを超えてしまうわけです。

青木: ここから先は、ご覧になっている方にも冷静に考えていただきたいし、私もパニックを誘発したくはないですが、最悪のケースを想定する必要はあると思います。仮に原子炉が完全に「メルトダウン」した場合、首都圏への影響はどの程度あるのでしょうか。

小出: 風向きなどによると思います。西風がずっと吹いていれば、出てきた放射能は太平洋の方にいくので東京は助かります。しかし、現に今東京で放射能が検出されるように、風向きはころころ変わるわけです。すべての放射能が海に流れるわけではありません。東京にも当然届くかと思います。ただし、どのくらい届くかはわかりません。

青木: 放射線は放射能物質とは違いますよね。放射線は原発から離れれば離れるほど、弱くなると考えて良いのでしょうか。

小出: 放射線を放出する物質が、原発の中にある限りはそうです。

青木: それが、放射線物質として拡散してしまうとどうなるのでしょうか。

小出: 拡散して表に出てしまえば、拡散したもの自体が放射線を出すので、どこにいてもだめです。

青木: 風向きが東京に向いていれば、東京の辺りでも相当な汚染が広がる恐れがあるということでしょうか。

小出: たとえば、福島原発から東京までは200から250キロの距離があります。チェルノブイリ事故のときどうだったかというと、ソ連当局は30キロ圏内の住民を避難させて、無人地帯を作りました。しかし、チェルノブイリの原発から200~300キロ離れた彼方で、ものすごい汚染を発見しました。なぜかというと、放射能を含んだ雲が流れていき、その地域に雨が降ったからです。
みなさんご存じだと思いますが、井伏鱒二さんという小説家が「黒い雨」という小説を書きました。広島の原爆が落ちた時にきのこ雲で死の灰が舞い上がりましたが、その時に雨が降りました。普通の雨と違って黒く、町の白い土壁に黒い雨の筋が残るほどだったのですが、その雨に放射能が洗い落とされて混じっていたのですね。その雨に打たれた被爆者たちが、さらに被爆したことをテーマにした小説です。放射能の雲が流れてきたときに、どこで雨が降るかが決定的な問題になるわけです。

青木: その地域では、人体に直接影響のある汚染があったのでしょうか。

小出: 私はあったとは思いますが、放射線障害を診断するのは難しいのです。亡くなったり、髪の毛が抜ければわかりますが、なかなかわからないまま過ごしていたのだろうと思います。体の調子が悪いと思いながら普通に生活していて、3ヶ月後にわかったといいます。

青木: 現在原発の周辺20キロが退避地域になっていますが、なんとか現状で被害を抑えられた場合、この地域はどうなるのでしょうか。

小出: 正確には答えにくいですが、東京にも放射能が拡散されていることが観測されているので、原発周辺は東京以上に汚れていることでしょう。その汚れがどの程度かという問題で、人々が住めるかどうかの判断をする必要があります。粗い推測ですが、現時点での汚染であれば、住民は戻ることができると思います。しかし、今後さらに汚染が進むと、チェルノブイリのように封鎖しなければならなくなると思います。

青木: 現時点では、よく調べ除染すべきをすれば、住民が戻って生活をできる可能性があるということですね。ただし、これ以上悪化すれば、極端にいえば人が近づけないような状況にもなりかねないということですね。

小出: おっしゃる通りです。

出演者プロフィール

小出 裕章(こいで ・ひろあき)
京都大学原子炉実験所助教。1949年東京都生まれ。72年東北大学工学部原子核工学卒業。74年東北大学学研究科原子核工学科修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。著書に『放射能汚染の現実を超えて』、『隠される原子力 核の真実』、共著に『原子力と共存できるか』など。

青木 理(あおき・おさむ)
ジャーナリスト。1966年長野県生まれ。90年慶應義塾大学文学部卒業。同年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局、東京社会部、外信部、ソウル特派員などを経て06年退社。著書に『日本の公安警察』、『国策捜査』、『絞首刑』など。

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まさに事態は猶予ならない状況((1)炉心溶融による燃料棒落下で圧力容器解けること、(2)水蒸気爆発)が懸念されるにいたっています。到底、安心出来るような状況でないことがよくわかりました。

現場で作業されている方にただただ頭が下がるばかりです。

炉心冷却システム(ECCS)が一刻も早く回復することを祈るばかりです。

一般的に京大系の先生の方が真実に近く報道している様な気がする。


東大系の先生は官僚的な答弁・解説で、政権にヨイショしている様で「タイガイニシテクレ」と言いたくなる。


最近のNHKは家内も見たくないと言う。

この記事を読んで、真っ暗な気分になっていましたが、
11日の時点で制御棒が挿入された状態と、核分裂を起こしながら爆発炎上したチェルノブイリを比べて、2倍の放射能と戦っているという言説はあまりに乱暴で、無駄に不安をかき立てているとおもいました。
(おそらく分かり安く説明しようとしていらっしゃるのでしょうが、)

このジャーナルでの小出氏と青木氏との電話インタビューを読み、阿修羅での広瀬氏のメディア報道のありかたをあわせ読んでいると、原発事故に対する幼稚性と言うか現場からの遊離性を実感しないわけにはいかない。

本日のマスコミ報道を読み、見ていると、少しではあるが,真実の事故実態に対応した動きが出始めたようで歓迎したい。

東芝、日立が設計、現場技術者の大規模な派遣を決定したようである。大学の学者による理論による対策ではなく、現場に密着した解決方法が実行されそうな見通しが立ち始めた。

NHK夜7時半からの解説は、現場技術者をさげすみ、大学の学者を尊重する悪弊が出て,水をかければ解決するような無責任な解説していた京都大学の教授の起用しており、腹立たしく、怒りがこみ上げてきた。

アメリカも一度は断られたので援助を控えていたが、日本の政府と東電の対処を見過ごせないようで、450名の対策要員が派遣されることになったようである。

民主党の代表経験者の意見を聞いたり、野党にも内閣への参加を呼びかけているのは、正しい方向であり、全員野球の精神を強く期待したい。現時点は政党の事などは脇において、何が何でも国民の安心安全を確保してほしい。

福島原発震災により陸、大気、太平洋を今後、何年間、放射線で汚し続けるのであろう。想像もつかない。もはや取り返しがつかないことが起きている。

ドイツのシュピーゲルによるシミュレーション動画を見る度に汚染進行が悔やまれる。

原発は地球環境に優しいという電事連のTVや新聞広告を見ましたが、とんでもない、やはり真っ赤なウソとわかりました。

広瀬隆氏の説明が論理的に飛躍があり、現実離れしていると思いたい。

(1) http://www.youtube.com/watch?v=AjOMiQL6bQw

(2) http://www.youtube.com/watch?v=6GHXQYhKd98

(3) http://www.youtube.com/watch?v=HDFzptO4eEA


しかしながら、かなり現実的な話であり、論理の飛躍と思われるところは見当たらない。しかも、誰にも負けない安全を求める気持ちの強さが伝わってくる。

マスメディアの基本的な姿勢は、この分野においても「政治とカネ」と同様、真実に向き合おうとはしていない。

小出裕章氏は広瀬隆氏と同様の視点から眺めておられ、御用学者たちとは異なる立場から、率直に事態の推移をみておられる。

日本国を愛している者の一人として、不安な毎日を過ごしつつ、何とか最小限の災害に収束してくれることを祈るばかり。

菅さんが速やかに、今後の日本を指導するにふさわしい方に総理の立場を進んで譲ってくれることを心から願っている。

自衛官や消防官の危険な任務について、連日報道が入ります。電源復旧作業の作業員についての報道が少ないと思いました。電源復旧作業がもっとも危険な任務だと思うのですが、何人体制で何時間、どんな方法で、予想される被爆等の危険について、作業後の被爆量等です。5.6号機については電源が復旧したのでしょうか?津波の影響で冷却装置等が機能するかのチェックが必要と報道されてましたが、5.6号機は大丈夫だったのでしょうか?どうも電源復旧作業の作業員情報が意図的に小さく報道されているようで気になります。確に許容被爆量の数値をあげましたよね。それから作業員の待機・休憩用に船を用意したと聞きました。海上待機ということを聞くと、やはり作業員は言葉にするのがはばかられてしまうぐらい、かなり危険な任務をしているのではないでしょうか?報道はしっかりと、詳細をフォローしてください。

大変参考になりました。もう一つお聞きしたいのが、再臨界の可能性と、起こった場合の結果についてです。このインタビューでは溶融の話が中心でした。チェルノブイリとの比較では、チェルノブイリは運転中だったので今回とは比較にならないという話を聞きますが、小出さんの話ではさらに悪くなる可能性があるとのことです。もしお返事をもらえる可能性があれば、東電も可能性はゼロではないとした、再臨界についてお話いただけますか。

小出さんの話は、広島原爆の3倍だとか、チェルノブイリの2倍だとか、とても乱暴な比較をしていて、無責任に社会を煽っているように見えます。
運転中で、かつ格納庫もなかったチェルノブイリと単純にワット数だけで比較する意味は何でしょうか。
最悪の事態を考えることは大切ですが、科学者として発言の社会的影響力も考えるべきではないかと思います。

真実は汚染が少なくとも福島第1原発の周辺では30年以上消えないことです。これが原発から半径何キロまで続くかが問題です。10キロか20キロか30キロか、それとも200キロかです。
これは不安を駆りたてているのではなく、直視しなければならないこれからの真実です。
だからこそ、今こそ、福島第1原発に大量のコンクリートが必要です。

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神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

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ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
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ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

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-----<著書>-----

新刊!
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『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

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