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2011年3月28日

特別番組・あえて最悪のシナリオとその対処法を考える

マル激
マル激トーク・オン・ディマンド
第519回(2011年03月25日)
特別番組・あえて最悪のシナリオとその対処法を考える
出演:飯田哲也氏(NPO環境エネルギー政策研究所所長)、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)、矢ヶ崎克馬氏(琉球大学名誉教授)、松井英介氏(元岐阜大学医学部助教授)、青木理(ジャーナリスト)、宮台真司(社会学者、首都大学東京教授)、神保哲生(ビデオニュース・ドットコム代表)

無料放送

 福島第一原発の復旧に当たっていた作業員が被曝し、タービン建屋内の水から通常の1万倍の放射能が検出されるなどの事態を受けて、原子力安全・保安院は25日、ついに「原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」ことを認めた。実際には津波や相次ぐ爆発、海水注入や放水などの影響で、ほとんど全ての計器類が止まっているため、政府も東電も肝心の原子炉が現在どのような状態にあるのかを正確には把握できていないのが実情のようだ。

 大量の核燃料が入った原子炉が損傷を受け、しかもそこから核燃料が漏れ出している可能性がある。にもかかわらず、「確認ができないので不確かな情報は出せない」というのが政府・東電の一貫した態度だ。果たして本当にそれでいいのだろうか。しかも、燃料漏れが指摘される福島第一原発3号機は、プルトニウムを含むMOX燃料を使ったプルサーマル原子炉なのだ。

 不必要な不安を掻き立てることは避けなければならない。しかし、人体や環境に長期にわたり不可逆的かつ深刻な被害をもたらす原発事故は、予防原則の立場に立ち、常に「最悪の事態」を想定して対応する必要がある。

 そこで今週のマル激は、25日(金)21:00から4時間にわたる生放送で、ここまで確認された情報をもとに、現在の原子炉がどのような状態にあるのか、そこから想定し得る「最悪の事態」は何なのかを専門家らとともに検証した。後半は、「最悪の事態」にどう対応すべきかについて、放射線の専門家らに意見を聞いた。また、枝野官房長官の記者会見で、政府の考える「最悪の事態」についても問い、その返答についても議論した。

 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏の想定する「最悪の事態」は、原子炉が溶け落ちて(メルトダウン)水蒸気爆発を起こし、原子炉内の燃料から放射性物質がすべて環境中に放出される事態だ。「この最悪の事態を防ぐ手段は、原子炉、使用済み燃料プールの『冷却』だが、被曝環境での作業は大変な困難をともなう。冷却を循環的に行うポンプの回復ができるかどうかをまず注視したい。さらに、もしポンプの回復ができたとしても安定的に冷却される状態になるには少なくとも1ヶ月はかかる」と小出氏は見る。また、放射性ヨウ素、セシウムに加えて、作業員が被曝したタービン建屋の水からバリウム、ランタンなどの物質が検出されたことについて小出氏は、「燃料棒を覆う部分(ペレット)が一部溶けている状態であることを示しており、炉心の破壊が進んでいるのではないか」と危惧する。

 NPO環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が「一番現実的な最悪シナリオ」と考えるのは、爆発が起こらずとも、冷却作業を続ける間に、大気中、水中、土壌に長く放射能が漏れ続けるという事態だ。住民の避難や水道水、海産物の汚染が長期間続くことになる。飯田氏はこの「現実的な最悪シナリオ」に対して、「広範囲なリアルタイムモニタリングとシミュレーションを組み合わせる、つまり現実と予測をつき合わせたデータがなければ手の打ちようがないが、現時点では政府には司令塔が不在で、この作業が進んでいないのではないか」とみており、「被曝管理、放射能漏えい量の測定、現実的・技術的な広報」という3つを組み合わせた対策を早急に練る必要があると話す。

 25日に福島県入りし、今後現地での調査を行う琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏は、福島県や首都圏で水道水や野菜など体内に入るものから基準値を超える放射性物質が検出されたことについて、「体内に放射性物質が入ることで起きる「内部被曝」の危惧が高まった。今は怯えている段階ではなく、被曝は避けられないという意識を持ち、できる限りの手段で防御策をとることが必要だ」と話す。

 放射線医学の専門家で元岐阜大学医学部助教授の松井英介氏は、「外部被曝では、外部からの放射線は体を透過する。内部被爆では、尿などにより体外に放出されず体内にとどまった放射性物質が、繰り返しアルファ線・ベータ線を出し、繰り返し遺伝子を傷つける」と言う。

 「ただちに健康に影響はない」という説明は、皮膚がただれるなど急性症状にはならないと言っているのか、何を意味するのかの説明がない点が、われわれの不安の元になっているとしたうえで、内部被曝で重要なのは、急性の症状ではなく、遅れて発症する「晩発(ばんぱつ)障害」、もうひとつは「蓄積性」だと言う。水道水などから検出された放射性ヨウ素131は、体内では選択的に甲状腺に蓄積される。また、小さい子どもは特に影響を受けやすいため、成人男性とはまったく別の問題として考える必要があると話した。

 あえて想定する「最悪の事態」では何が起き、そしてわれわれはどのようにその事態に備え、対処していくことができるのか。ジャーナリストの青木理、神保哲生、社会学者の宮台真司が、専門家とともに議論した。

(今週の番組は特別編成のため、無料で放送いたします。また、ニュース・コメンタリーはお休みしましたので、予めご了承下さい。)


関連番組

特別番組 (2011年03月16日)
東北関東大震災

<出演者 プロフィール>
青木 理(あおき おさむ)ジャーナリスト
1966年長野県生まれ。90年慶應義塾大学文学部卒業。同年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局、東京社会部、外信部、ソウル特派員などを経て06年退社。著書に『日本の公安警察』、『国策捜査』、『絞首刑』など。

飯田 哲也(いいだ てつなり)NPO環境エネルギー政策研究所所長
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部原子核工学科卒業。同年神戸製鋼入社。電力中央研究所勤務を経て96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。00年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。92~06年日本総合研究所主任研究員を兼務。90~92年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、編著に『自然エネルギー市場』、共著に『日本版グリーン革命で雇用・経済を立て直す』など。

小出 裕章(こいで ひろあき)京都大学原子炉実験所助教
1949年東京都生まれ。72年東北大学工学部原子核工学卒業。74年東北大学学研究科原子核工学科修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。著書に『放射能汚染の現実を超えて』、『隠される原子力 核の真実』、共著に『原子力と共存できるか』など。

矢ヶ崎 克馬(やがさき かつま)琉球大学名誉教授
1943年東京都生まれ。67年名古屋工業大学計測工学科卒業。74年広島大学大学院理学研究科博士課程物性学専攻単位取得満期退学。理学博士。74年琉球大学理学部教授、09年退職。03年より、原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言。著書に『隠された被曝』など。

松井 英介(まつい えいすけ)元岐阜大学医学部助教授、岐阜環境医学研究所所長
1938年生まれ。64年岐阜県立医科大学卒業。岐阜大学医学部放射線科助教授を経て、01 年退任。

2011年3月21日

予言されていた"原発震災"・広瀬隆氏インタビュー

広瀬隆氏
インタビューズ

(2011年03月20日)

予言されていた"原発震災"
広瀬隆氏インタビュー

無料放送中

 枝野官房長官は、19日夕、地震で緊急停止した後、放射能漏れの危機的な状況に陥った福島第一原発1~3号機の原子炉について、海水注入により一定の安定状況にあると述べた。しかし、事態が終息に向かうかどうかはいまだ、まったくわからない状況が続いている。

 作家の広瀬隆氏は、80年代から原子力発電所の危険性を訴えてきた。昨年出版した『原子炉時限爆弾』では、「原発が地震によって制御不能に陥り、周辺に放射能を撒き散らす"原発震災"が起きる」と予測していた。

 広瀬氏は、火力発電と水力発電で日本の電気使用量はまかなえる、原発を停止した際の電力不足を心配するより、まず今は、原発の危険性をしっかりと考えてほしいと話し、たとえ福島原発の被害を最小限に食い止めることができたとしても、次の大地震で別の原発が事故を起こすと懸念する。

 19日昼現在、広瀬氏は福島第一原発の状況をどう見ているのか。また、今後どのような事態を想定し、放射線はわれわれにどのような影響を与える可能性があると考えているのか。そして、そもそも日本の原発はどのような危険性をはらんだものであるのか。政府、メディア、御用学者はほとんど事実を話していないと断じる広瀬氏に、神保哲生が聞いた。

<ゲスト プロフィール>
広瀬 隆(ひろせ たかし)作家
1943年東京都生まれ。66年早稲田大学理工学部卒業。メーカーの技術者を経て、執筆活動へ。スリーマイル島原子力発電所事故を機に、81年『原子力発電とはなにか そのわかりやすい説明』、同年『東京に原発を!』を出版。その他の著書に『危険な話』、『柩の列島』、『原子炉時限爆弾』など。


関連番組
特別番組 (2011年03月16日)
東北関東大震災

2011年3月18日

津波が奪った我が町
なぜ被害はここまで拡大したのか

青木理
スペシャルリポート
(2011年03月18日)

津波が奪った我が町
なぜ被害はここまで拡大したのか

無料放送中

 市街地の大半を津波によって破壊された岩手県陸前高田市。捜索作業が今も続くが、犠牲者の数は増え続けている。

 津波警報がありながらなぜこれだけ多くの犠牲者を防ぐことができなかったのか神保哲生が現地から報告する。

関連番組
特別番組 (2011年03月16日)
東北関東大震災

福島原発事故
京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー

青木理
インタビューズ

(2011年03月17日)

福島原発事故
京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー

無料放送中

 17日午前、福島第一原発2、3、4号機で白煙が確認された。自衛隊が空から放水するなど、冷却作業が続いている。
 福島原発事故の現状と今後想定される問題点について、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏に、ジャーナリストの青木理が聞いた。

青木: 東京電力福島第一原子力発電所の状況が深刻化しています。緊急性が高いニュースなので、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお話を伺おうと思います。小出さん、よろしくお願いします。
 まず、今最も懸念されているのは、「メルトダウン」がさらに進むことだと思います。今、一部炉心溶融が起きている。ただし、一般に言われている「メルトダウン」にはまだ達していないという認識でよろしいでしょうか。

小出: 私もそう思います。

青木: 「メルトダウン」が起きれば、どういう状況になるのでしょうか。

小出: 皆さん、原爆はご存知だと思います。広島に落とされた原爆で燃えたウランの量は800グラムでした。現在、私たちが使用している原子力発電所は日本に54基あり、平均して1基につき100万キロワットを発電します。100万キロワットの原発が1日稼動すると、ウランを3キロ燃やします。つまり、広島型原爆3~4発分のウランを燃やすわけです。それによって作られたエネルギーの3分の1だけを電気にして、3分の2は海に捨てるというのが原子力発電所という機械です。

青木: 海に捨てるというのは、発熱したものを熱量として捨てるということですか。


小出: そうです。1秒間に70トンの海水の温度を7度上げて、また海に戻すという、なんとも言葉に尽くせないほどの膨大な環境汚染をしながら発電する装置です。

青木: 今は、原子炉の燃料棒が冷やせない状態になり、その一部に溶融が起きているというわけですね。確か、スリーマイル島原発事故のときは燃料の45%くらいが溶けて下に落ちたと記憶しています。しかし、幸いにも底は抜けませんでした。福島原発では底が抜ける可能性があるのでしょうか。

小出: スリーマイル島の事故のときは、電気が使えました。ポンプも使えました。それでも事故になり、原子炉の半分近くが溶けてしまいました。しかし、最終的にはポンプを回すことで原子炉を冷やし、最悪の事態を免れたわけです。
 福島原発の場合は一切の電源がなく、ポンプも回らない状況です。消防のポンプ車を使って冷却水を回す方法を思いつき、一気に破局的な状況にいくのを食い止めているのが現状です。しかし、事態は日が経つにつれて悪化しています。

青木: 政府や東京電力は「まだ大丈夫」と言っています。それが嘘だとは言いませんが、事態はどんどん悪化しており、今後は最悪のことも考えなければならないと思います。いわゆる「メルトダウン」が起きると、格納容器に穴が開くのでしょうか。それとも爆発するのでしょうか。

小出: 色々な可能性が考えられます。原子炉の燃料が存在している場所を炉心と呼びます。炉心を包んでいるのは、鋼鉄の巨大な圧力容器です。燃料が溶けるか「メルトダウン」してしまうと、圧力容器の底に落ちます。その部分に水が残っていると、水蒸気爆発という現象が起きます。爆発の規模にもよりますが、もし大きいと圧力容器が壊れてしまうこともあります。
 原子炉圧力容器の外側には格納容器があります。原子炉圧力容器が水蒸気爆発で破壊される事態になれば、格納容器もたぶん壊れてしまいます。そうなると、放射能を閉じ込めるすべての容器が壊れてしまうことになってしまいます。

青木: 燃料が溶けることで床が抜ける可能性もあり、水がたまっている場合は水蒸気と反応して爆発を起こし、最悪の場合は格納容器も壊れてしまうということですね。

小出: 青木さんがおっしゃったように、水蒸気爆発をしなくても、「メルトダウン」した炉心が圧力容器の底を抜く可能性はあります。炉心は2800度にならないと溶けません。しかし、圧力容器は鋼鉄なので、1500度にもなれば溶けてしまいます。2800度の溶融体が溶けて下に落ちれば、もちろん圧力容器も溶けてしまいます。その外側の格納容器に水が残っていると、また水蒸気爆発をする可能性があるわけです。

青木: 経産省原子力安全・保安院は、今回の事故を国際原子力機関(IAEA)が定める8段階の国際原子力事象評価尺度で、「レベル4」としています。
しかし、フランスなどは上から2番目の「レベル6」だと言っています。スリーマイル島の事故は「レベル5」、チェルノブイリ事故は一番上の「レベル7」ですが、この原子力安全・保安院の「レベル4」という考えは論外なのでしょうか。

小出: 論外です。スリーマイル島の事故は越えています。

青木: 複数の原子炉が同時多発的に制御できなくなっている現状を見ると、チェルノブイリ事故以上の事象と言えるのでしょうか。

小出: 最終的な結末はわかりませんが、いま炉心が溶ける危機に直面している原発が1、2、3号機と3つあります。その出力を全部合計すると、200万キロワットを超えます。チェルノブイリの原発はちょうど100万キロワットの出力でした。今回はその2倍に相当する放射能と戦っているわけです。それが出てきてしまえば、チェルノブイリを超えてしまうわけです。

青木: ここから先は、ご覧になっている方にも冷静に考えていただきたいし、私もパニックを誘発したくはないですが、最悪のケースを想定する必要はあると思います。仮に原子炉が完全に「メルトダウン」した場合、首都圏への影響はどの程度あるのでしょうか。

小出: 風向きなどによると思います。西風がずっと吹いていれば、出てきた放射能は太平洋の方にいくので東京は助かります。しかし、現に今東京で放射能が検出されるように、風向きはころころ変わるわけです。すべての放射能が海に流れるわけではありません。東京にも当然届くかと思います。ただし、どのくらい届くかはわかりません。

青木: 放射線は放射能物質とは違いますよね。放射線は原発から離れれば離れるほど、弱くなると考えて良いのでしょうか。

小出: 放射線を放出する物質が、原発の中にある限りはそうです。

青木: それが、放射線物質として拡散してしまうとどうなるのでしょうか。

小出: 拡散して表に出てしまえば、拡散したもの自体が放射線を出すので、どこにいてもだめです。

青木: 風向きが東京に向いていれば、東京の辺りでも相当な汚染が広がる恐れがあるということでしょうか。

小出: たとえば、福島原発から東京までは200から250キロの距離があります。チェルノブイリ事故のときどうだったかというと、ソ連当局は30キロ圏内の住民を避難させて、無人地帯を作りました。しかし、チェルノブイリの原発から200~300キロ離れた彼方で、ものすごい汚染を発見しました。なぜかというと、放射能を含んだ雲が流れていき、その地域に雨が降ったからです。
みなさんご存じだと思いますが、井伏鱒二さんという小説家が「黒い雨」という小説を書きました。広島の原爆が落ちた時にきのこ雲で死の灰が舞い上がりましたが、その時に雨が降りました。普通の雨と違って黒く、町の白い土壁に黒い雨の筋が残るほどだったのですが、その雨に放射能が洗い落とされて混じっていたのですね。その雨に打たれた被爆者たちが、さらに被爆したことをテーマにした小説です。放射能の雲が流れてきたときに、どこで雨が降るかが決定的な問題になるわけです。

青木: その地域では、人体に直接影響のある汚染があったのでしょうか。

小出: 私はあったとは思いますが、放射線障害を診断するのは難しいのです。亡くなったり、髪の毛が抜ければわかりますが、なかなかわからないまま過ごしていたのだろうと思います。体の調子が悪いと思いながら普通に生活していて、3ヶ月後にわかったといいます。

青木: 現在原発の周辺20キロが退避地域になっていますが、なんとか現状で被害を抑えられた場合、この地域はどうなるのでしょうか。

小出: 正確には答えにくいですが、東京にも放射能が拡散されていることが観測されているので、原発周辺は東京以上に汚れていることでしょう。その汚れがどの程度かという問題で、人々が住めるかどうかの判断をする必要があります。粗い推測ですが、現時点での汚染であれば、住民は戻ることができると思います。しかし、今後さらに汚染が進むと、チェルノブイリのように封鎖しなければならなくなると思います。

青木: 現時点では、よく調べ除染すべきをすれば、住民が戻って生活をできる可能性があるということですね。ただし、これ以上悪化すれば、極端にいえば人が近づけないような状況にもなりかねないということですね。

小出: おっしゃる通りです。

出演者プロフィール

小出 裕章(こいで ・ひろあき)
京都大学原子炉実験所助教。1949年東京都生まれ。72年東北大学工学部原子核工学卒業。74年東北大学学研究科原子核工学科修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。著書に『放射能汚染の現実を超えて』、『隠される原子力 核の真実』、共著に『原子力と共存できるか』など。

青木 理(あおき・おさむ)
ジャーナリスト。1966年長野県生まれ。90年慶應義塾大学文学部卒業。同年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局、東京社会部、外信部、ソウル特派員などを経て06年退社。著書に『日本の公安警察』、『国策捜査』、『絞首刑』など。

2011年3月15日

緊急生放送
福島原発事故でわれわれが知っておくべきこと

伴英幸氏/飯田哲也氏
特別番組
(2011年03月15日)

緊急生放送 福島原発事故でわれわれが知っておくべきこと

ゲスト:伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)、電話解説:桑鶴良平氏(順天堂大学放射線科教授)

無料放送中

 東北地方三陸沖を震源とする大地震によって運転を停止した東京電力福島第一原発で、1号機に続き、3号機が水素爆発、2号機は燃料棒が一時完全露出、4号機では火災が発生するなど、事態は深刻の度合いを増している。

 政府は菅総理や枝野官房長官が相次いで会見し、漏れた放射能のレベルが人体に影響を及ぼすレベルまで上がっていることを認めているが、今、福島原発がどのくらい危険な状態にあるかについては、明言を避けている。

 いま、福島で何が起きているのか。

 事態の推移を横目で睨みつつ、少しでも現状を正確に把握するための一助となる情報を、ジャーナリストの青木理が識者らに聞いた。

2011年3月13日

被災地現地速報・未曾有の津波が残した傷跡

神保哲生の被災地現地報告
ニュース・コメンタリー
(2011年03月13日)

被災地現地速報
未曾有の津波が残した傷跡

無料放送中

 観測史上最大となるマグニチュード8.8の大地震に見舞われた被災地では、地震発生から一夜明けた12日、被害の状況が次第に明らかになってきた。地震発生から間もない被災地に入ったビデオニュース・ドットコム代表でビデオジャーナリストの神保哲生がそこで見たものは。

 今週のニュース・コメンタリーは、複数の集落が壊滅した福島県相馬市を取材した神保哲生の報告を青木理が聞いた。

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第197回(2005年01月11日)
神保レポート: スリランカ津波被害 現地報告

原発事故・なぜ炉心溶融は起きたか

伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)
ニュース・コメンタリー
(2011年03月13日)

原発事故・なぜ炉心溶融は起きたか

ゲスト:伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)

無料放送中

 東北地方三陸沖を震源とする大地震によって運転を停止した東京電力福島第一原発1号機は原子炉の温度が下がらず、炉心が溶融する重大な事故に発展した。
 枝野官房長官は12日午後9時の会見で放射性物質が大量に漏れ出す可能性は否定する一方で、付近20キロ圏の住民を避難させることを決定している。なぜこのような重大事故が起きたのか。放射能漏れの心配は本当にないのか。ジャーナリストの青木理が原子力問題に詳しい原子力資料情報室の伴英幸に話を聞いた。

<ゲスト プロフィール>
伴 英幸(ばん ひでゆき)NPO法人原子力資料情報室共同代表
1951年三重県生まれ。75年早稲田大学文学部卒業。生活協同組合、脱原発法制定運動事務局を経て、90年より原子力資料情報室勤務。95年同事務局長、98年より現職。著書に『原子力政策大綱批判―策定会議の現場から』など。

祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗

飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)
マル激トーク・オン・ディマンド
第517回(2011年03月12日)

祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗

ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

プレビュー

 中国電力は先月21日、上関原子力発電所(山口県)建設のための海面埋め立て工事を、1年3カ月ぶりに再開した。建設予定地の対岸に位置する祝島の漁協をはじめとする反対派住民や全国から集まった若者らは、海上にカヌーや漁船を出すなど抗議活動を行い、工事を強行する中国電の職員らと衝突、けが人も出た。緊迫する祝島にいま、何が起きているのか、飯田哲也氏と神保哲生の現地リポートを交えて、日本のエネルギー政策の問題点と世界の趨勢、なぜ民主党政権がエネルギー政策の転換に失敗したのかを議論した。

 10年前NGO環境エネルギー政策研究所を立ち上げ、一貫して日本のエネルギー政策の転換を求めている飯田哲也氏は、上関原発の建設について「他のあらゆる原発建設計画の中で最も非合理」で、「まったく無意味な原子力施設」と断じる。

 そもそも中国電は「電力余り」で、関西電力などに余剰電力を買い取ってもらっている状態だ。中国電は電力需要量は増えるという計画を根拠に、原発建設が必要と説明しているが、実際には販売電力の実績は年々減っている。今年末には「島根原発3号機」という巨大な原発が完成予定で、その電力ですらまるまる余る可能性がある。今後、中国地方の人口減少とともに電力需要、利益率が下がる中で、上関原発への投資は回収できるのかという根本的な疑問が残る。

 中国電がこのような非合理な経営をできるのは、電力会社が市場を地域独占しているからに他ならないが、飯田氏は各社がおのおのの独占を守るために「暗黙の助け合い」を行うなど事実上の談合組織のような調整を行っている、と明かす。

 中国電が原発建設を強行するもうひとつの理由は、他社に比べて石炭(火力)による発電の割合が高いことにある。CO2排出の比率を各社と横並びに合わせるという、真に馬鹿げた、本末転倒の論理だ。そもそも原発は、リスクをとれる東京電力や関西電力など規模の大きな会社が国の産業政策として進めてきた。弱小電力会社はコストの安い石炭を使わされてきた面がある。こういった産業政策のひずみを考慮せず、中国電が「CO2削減」に背中を押されてしまっている、と飯田氏は指摘する。

 民主党政権は、「2020年までにCO2を25%削減」、排出量取引、地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入を09年マニフェストに掲げた。しかし、この政策転換に失敗した原因について飯田氏は、経産大臣に適任者を登用できず、エネルギー族と呼ばれる旧民社党議員や経産省官僚にエネルギー政策の主導権を握られたとみる。

 世界の再生可能エネルギー利用の流れは一層加速している。投資額は年30~50%の割合で増加しており、ドイツでは政府機関などの複数の団体が「2050年までに自然エネルギーを100%にする」という目標を昨年相次いで出した。アメリカでは、原子力発電によるコストより、太陽光発電のコストが安くなったという研究結果も発表されている。

 祝島の住民は、飯田氏が代表を務める環境エネルギー政策研究所と「祝島自然エネルギー
100%プロジェクト」を立ち上げる。デンマークのサムソ島が10年かけて達成したといった先進例にならい、住民が使用するエネルギーをすべて再生可能エネルギーによってまかない、地域の自立を目指す取り組みだという。飯田氏は、原発しか選択肢がないという原発推進派の住民に、そうではない選択肢があるのだと気付いてもらうきっかけにしたい、と話す。

 祝島の漁民は漁業補償金の受け取りを拒み、中国電の原発建設に徹底抗戦する構えだ。地域主権の先行きはどうなるのか。地域からエネルギー政策の転換を試みる飯田氏に、神保哲生と宮台真司が聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
•原発事故・なぜ炉心溶融は起きたか
•神保哲生の被災地現地報告

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第427回(2009年06月13日)
グリーン革命に乗り遅れる日本
ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第337回(2007年09月14日)
なぜ地震大国の日本が原発なのか
ゲスト:田中三彦氏(元原子炉製造技術者)

マル激トーク・オン・ディマンド 第317回(2007年04月27日)
見えてきた原発政策の限界
ゲスト:伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)

マル激トーク・オン・ディマンド 第178回(2004年08月20日)
美浜原発事故を関電問題で終わらせていいのか
ゲスト:槌田敦 名城大学教授 (熱物理学・環境経済論)

<ゲスト プロフィール>
飯田 哲也(いいだ てつなり)環境エネルギー政策研究所所長
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部原子核工学科卒業。同年神戸製鋼入社。電力中央研究所勤務を経て96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。00年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。92~06年日本総合研究所主任研究員を兼務。90~92年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、編著に『自然エネルギー市場』、共著に『日本版グリーン革命で雇用・経済を立て直す』など。

2011年3月 7日

法務大臣、全面可視化が民主党の公約だったのではありませんか

江田五月氏(法務大臣)
マル激トーク・オン・ディマンド
第516回(2011年03月05日)

法務大臣、全面可視化が民主党の公約だったのではありませんか
ゲスト:江田五月氏(法務大臣)

プレビュー

 警察・検察の取り調べの模様を最初から最後まで録音・録画する「全面可視化」は、09年総選挙マニフェストに明記された民主党の公約だった。しかし、最高検察庁は2月23日、独自の案として特捜事件の「部分可視化」を発表し、3月18日から試験的に開始するという。

 そもそも民主党が打ち出した「全面可視化」は、代用監獄に最長で23日間も留め置かれたまま、弁護士の立ち会いも認められない密室の中で長時間に渡る取り調べを受け、抵抗する気力も失った状態で署名した供述調書や自白が、裁判の判決に決定的な影響を及ぼしている現行の刑事捜査の在り方が、冤罪の温床になっているとの問題意識の上に立ち、被疑者や被告人の人権を守ることに主眼が置かれたもののはずだった。

 更に、今回最高検が打ち出した「部分可視化」も、実は郵便不正事件に関連して厚労省の村木厚子元局長を、証拠を改ざんしてまで無理矢理犯罪者に仕立て上げようとした不祥事の反省の上に立った、検察改革の一環のはずだった。

 しかし、どの部分を録音・録画するかを現場検事の裁量で決定できる「部分可視化」では、検察にとって都合の悪い部分は録音・録画されない可能性が高く、これはむしろ改悪ではないかとの批判が根強い。

 その点を問われた江田法務大臣は、今回の部分可視化の試行は、内閣の決定事項を法務大臣が指揮権を発動して検察に命じたものではなく、あくまで検察が独自に決めたことなので、法務大臣としては当面はその運用状況を見守りたいとの立場を取る。そして、現在、法務省内に設置された可視化のための勉強会や、法務大臣の諮問機関の「検察の在り方検討会議」などからの報告や提案を待った上で、政権としての対応を決めたいとしている。

 しかし、同時に江田氏は、部分可視化では民主党が意図する被疑者の権利を守る面よりも、検察をより有利にするための検察側の証拠として使われる可能性が高いことは、重々認識しているとも語る。

 江田氏はまた、現行の「検面調書絶対主義、自白偏重主義は変えざるをえない」と語り、被疑者・被告人を糾問的に吊るし上げ、自供を取れれば有罪にできるという現在の刑事司法の構造を、客観的事実から犯罪を認定するような「物的証拠主義」に変えなければいけないとの考えを示した。

 笠間治雄検事総長が2月28日の記者会見で、取り調べの模様が全面的に記録されるようになると、捜査能力が制限される懸念があるため、もし全面可視化になる場合は捜査機関としては新たな「武器」、すなわちおとり捜査や司法取引といった新たな捜査権限が必要になると語っていることについて江田氏は、一定の理解を示しながらも、現時点では捜査権限の拡大について法務省内で議論は行われていないことを明らかにした。

 また、司法に民主的な制約を課すために、最高裁判事やその他の裁判所判事の任命権を持つ内閣が、裁判所の人事に政治的な判断を介在させるべきではないかとの問いに対して江田氏は、最高裁には色々なタイプの判事がいることが好ましいが、半世紀続いた自民党政権では同じような人が選ばれてきたとして、民主党政権では、多少世間がびっくりするような最高裁判事の選び方をしても良いのではないかの考えを、個人の意見として示した。

 一国の正義の規範となる刑事司法や検察のあり方が大きな曲がり角を迎える中、自ら元裁判官でもあり弁護士資格を持つ江田氏に、法務行政の最高責任者として検察及び刑事制度改革に賭ける思いの丈を聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
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警視庁公安部資料の拡散はいかにして起きたか
高木浩光氏(産業技術総合研究所主任研究員)インタビュー

プレスクラブ (2011年02月28日)
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<ゲスト プロフィール>
江田 五月(えだ さつき)法務大臣
1941年岡山県生まれ。65年司法試験合格。66年東京大学法学卒業。71年英国オックスフォード大学大学院法学部法律証書科修了。68年東京地裁判事補、千葉地裁判事補などを経て77年退官。同年社会市民連合代表に就任、参院初当選(全国区)。科学技術庁長官(細川内閣)、日本新党副代表などを経て、07年第27代参院議長に就任。11年1月より現職。弁護士。当選衆院4回・参院4回(岡山選挙区)。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

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ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

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-----<著書>-----

新刊!
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『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

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