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2011年2月27日

自由貿易を考えるシリーズ2
TPPは「社会的共通資本」を破壊する

宇沢弘文氏(東京大学名誉教授)
マル激トーク・オン・ディマンド
第515回(2011年02月26日)
自由貿易を考えるシリーズ2
TPPは「社会的共通資本」を破壊する

ゲスト:宇沢弘文氏(東京大学名誉教授)

プレビュー

 今週、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加に反対する超党派の国会議員らが、「TPPを考える国民会議」を設立した。代表世話人を務めるのは、東京大学名誉教授の宇沢弘文氏だ。「TPP参加で日本は本当に幸せになれるのか」を考えるシリーズの第二弾は、宇沢氏がTPPに反対する理由を聞いた。

 宇沢氏は、1970年代の著書「自動車の社会的費用」で、当時の日本の高度経済成長の牽引役だった自動車が社会に与えるコストの大きさを指摘するなど、「社会的共通資本(Social Common Capital)」の重要性を一貫して主張してきた。

 社会的共通資本とは、ゆたかな経済・すぐれた文化・人間的な魅力のある社会を持続的に維持する山、川、森林などの自然環境や、道路や鉄道など社会的なインフラ、教育や医療、ジャーナリズムなどの制度資本を指す。これまで経済学に組み込まれてこなかった自然や社会環境の価値を、共通財産として位置付ける考え方だ。

 宇沢氏は、TPPが謳う無条件の自由貿易は、各国が持つ固有の社会状況を無視して、全ての国を同一のルール上で競争させることを前提とするもので、これは社会的正義に反すると主張する。その上で、あらゆる貿易障壁を撤廃すれば全ての国が得る利益が増大するという自由貿易の基本的な考え方には、生産手段の完全な私有制などいくつもの前提条件があり、それは現実には存在しない反社会的な条件であることを忘れてはならないと言う。

 宇沢氏はまた、自由貿易の思想的背景となっている市場原理主義の危険性にも警鐘を鳴らす。市場原理主義の思想のもとでアメリカはベトナム戦争時、「限られた予算で多くのベトコンを殺す」ために一人のベトコンを殺すのに何ドルかかるかを数量化した「キル・レイシオ(kill ratio)」なる概念を導入し、これを最小化する政策を目指したことからもわかるように、市場原理主義はもっぱら効率だけを追求し、社会的共通資本の破壊という自由貿易が持つ外部性を一切無視する。それがTPPの源流にある間違った考え方だと宇沢氏は指摘する。
 さらに宇沢氏は社会的共通資本としての農村や農業の重要性を強調し、農業政策は個々の農家を対象にするのではなく、農村をコモンズ(社会的共通資本)の一つと位置付け、これを村落単位で守っていく必要があると言う。

 TPPを「第三の開国」と位置づける菅首相について宇沢氏は、「一国の総理として考えられないこと」と酷評する。それは宇沢氏が、第一の開国を、治外法権を認め関税自主権を放棄し、最恵国待遇をアメリカに与えたことでその後の日本を長きにわたって苦しめた日米修好通商条約の締結を、第二の開国を、敗戦からの経済復興のかたわらで、日米安保体制を通じて日本が「アメリカの僕」と化していく過程を指すと考えるからだ。

 激動の20世紀を生き、人間の心や自然環境に価値を見出す経済学によって社会問題を分析してきた宇沢氏に、自由貿易の問題点を神保哲生・宮台真司が聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
•なぜリスクの高い米原発計画に日本政府が融資するのか
•リビアは分断国家状態に
解説:水口章氏(敬愛大学教授)
•全面可視化のために法改正も視野に
枝野長官が部分可視化導入を受けて言及

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第512回(2011年02月05日)
自由貿易を考えるシリーズ
TPPに見る「自由貿易の罠」

ゲスト:中野剛志氏(京都大学大学院助教)

マル激トーク・オン・ディマンド 第503回(2010年12月04日)
TPPは農業へのショック療法となり得るのか
ゲスト:鈴木宣弘氏(東京大学大学院教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第502回(2010年11月27日)
検察改革はかくあるべし
ゲスト:指宿信氏(成城大学法学部教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第427回(2009年06月13日)
グリーン革命に乗り遅れる日本
ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

マル激トーク・オン・ディマンド 第372回(2008年05月17日)
日本が再生可能エネルギーを推進すべきこれだけの理由
ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

ニュース・コメンタリー (2010年11月06日)
菅政権はTPP参加を決断できるか

インタビューズ (2011年02月26日)
高橋洋一氏インタビュー

<ゲスト プロフィール>
宇沢 弘文(うざわ ひろふみ)東京大学名誉教授
1928年鳥取県生まれ。51年東京大学理学部数学科卒業。経済学博士。スタンフォード大学助教授、カリフォルニア大学助教授、シカゴ大学教授、東京大学経済学部助教授などを経て、69年同教授。89年退官。著書に『自動車の社会的費用』、『「成田」とは何か』、『経済学と人間の心』、『社会的共通資本』など。

2011年2月19日

伝説のジャーナリストの遺言
絶望の中にこそ希望がある

むのたけじ氏(ジャーナリスト)
マル激トーク・オン・ディマンド
第514回(2011年02月19日)
伝説のジャーナリストの遺言
絶望の中にこそ希望がある

ゲスト:むのたけじ氏(ジャーナリスト)

プレビュー

 人生最初の30年を戦争とともに生き、終戦日に戦争を正しく報じなかった責任をとり新聞社を退職した気骨のジャーナリストは、96歳となった今何を感じ、何を考えているのか。

 1915年、第一次世界大戦開戦の5ヶ月後に生まれたむのたけじ(本名・武野武治)氏は、二・二六事件の起きた1936年に現在の東京外語大学を卒業し、21歳で新聞記者となり、太平洋戦争の従軍取材を始めた。そして、1945年8月15日、記者としての戦争責任を取り、朝日新聞社を退社。以降、故郷の秋田県で週刊新聞「たいまつ」を創刊するなど、言論・執筆活動を今もなお続けている。

 75年間の日々を一貫してジャーナリストとして生きてきたむの氏は今、戦時中の新聞社の責任や、その後の日本のジャーナリズムを、そしてその後の日本社会の変化を、どう見ているのか。

 戦時中、良識ある記者は、自ら進んで事実の歪曲や虚偽の記事を書くことはしなかったとむの氏は話す。しかし、「もうこの戦争に勝つことはできない」と感じていても、それを書く勇気を持つことができず、大本営発表を翻す報道もできないまま、結果的に新聞社は戦争に加担した。また、戦後になっても、自らの報道を検証する気運は生まれなかった。むの氏は、その原因は戦前の歪んだ報道の原因が、検閲という制度だけにあるのではなく、多分に新聞社や記者自身の自己規制にあったからだと指摘する。戦争中の報道を検証することは、自らが行った自己規制の検証を意味することになるため、誰もそれをやりたがらないということだ。

 しかし、戦争を自ら総括できず、「他人まかせ」で済ませてしまった日本は、ジャーナリズムもそして社会全体も、戦後その問題を引きずり続けた。いかに物質的に豊かになっても、「他人まかせ」が染み付いた日本人の本質は変わらなかったと、笑いながら語るむの氏の目は厳しい。

 しかし、経済成長が止まり、他力本願だけでは生きていけない時代になった今、むの氏はむしろ絶望に中に希望を見いだしている。今、むの氏が出会う10代の中高生たちの多くは、権威や地位、年齢で相手を判断せず、当てにならないものは当てにせず、周りの友達を一番に大事にする生き方をしているからだ。お互いの違いを受け入れられる感受性を持ち、自立した心を持つ彼らに、待ち望んでいた新しい日本人が生まれたとむの氏は感じるという。むの氏が90年かけてようやくたどり着いた「希望は絶望の中にこそある」という哲学を、子供達は自然に感じ取っているのかもしれない。

 最近になってむの氏は、65年前のあの日、朝日新聞社を退社したことを悔やむようになったという。退社することで戦争責任を取ったつもりだったが、もしかすると社に残って戦争の検証記事を書くべきではなかったかという自責の念が、頭をもたげてきたのだそうだ。「反省するときは、その現場から逃げてはだめだ」とむの氏は話す。

 昭和の激動を生き抜き、96歳となった今もなお、自らを顧みることを続けるむの氏に、日本社会の今とジャーナリズムの現状、そしてこのような時代にいかに希望を見いだすかを、神保哲生、宮台真司が聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
・八百長情報提供問題続報
 捜査資料の目的外使用に歯止めはあるのか
・ベルルスコーニ首相が未成年買春で起訴
 イタリアに見る政治と司法の距離感とは
 解説:ピオ・デミリア氏(ジャーナリスト)

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第457回(2010年01月16日)
消えゆくマスメディアとその後にくるもの
ゲスト:佐々木俊尚氏(ジャーナリスト)

マル激トーク・オン・ディマンド 第456回(2010年01月06日)
新年映画特集
映画監督・是枝裕和がまだテレビにこだわる理由
ゲスト:是枝裕和氏(映画監督・テレビディレクター)

ニュース・コメンタリー (2011年02月12日)
八百長問題の死角
警察の情報提供は適法だったか

<ゲスト プロフィール>
むの たけじ(ジャーナリスト)
1915年秋田県生まれ。36年東京外国語学校(現東京外国語大学)スペイン語学科卒業。同年報知新聞社入社。栃木支局、中国特派員などを経て、40年朝日新聞社入社。ジャワ方面軍従軍、バタビヤ(現ジャカルタ)支局、東京本社社会部などを経て、45年8月退社。48年秋田県横手市で週刊新聞『たいまつ』創刊、78年休刊。休刊後も執筆、講演活動を続ける。著書に『詞集たいまつ』、『たいまつ十六年』、『戦争いらぬ、やれぬ世へ』、共著に『戦争絶滅へ、人間復活へ』など。

2011年2月13日

エジプト情勢現地報告・ムバラクは既に当事者能力を失っていた

神保哲生/宮台真司
ビデオニュース・ドットコム
ニュース・コメンタリー (2011年02月12日)
エジプト情勢現地報告
ムバラクは既に当事者能力を失っていた

現地報告:田中龍作氏(ジャーナリスト)
解説:池内恵氏(東京大学先端科学技術研究センター准教授)

 エジプト情勢は11日夜にムバラク大統領の辞任発表で、新たな局面に入ったが、その発表のさなか、渦中のムバラク氏は前日夜の会見で大統領職に留まる意思を表明した後、自ら開発を主導したシナイ半島の紅海に臨む高級リゾート地シャルムエルシェイクに家族とともに、静養のために向かっていたという。

 エジプト情勢に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの池内恵准教授は、11日夜のスレイマン副大統領によるムバラク辞任発表の前段階で、健康問題を抱えたムバラクは「一日中ボーっと過ごしている」状態で、既に自身の置かれた状況を把握することもできなくなっている可能性が高いと分析する。既に10日の段階で軍部はムバラク抜きで改革を進める決意を固めていたが、長年の独裁の結果、「自分の周囲をイエスマンで固めてしまったために、誰もムバラクにノーと言えない」と池内氏は解説する。

 一方、カイロ市内では11日の金曜礼拝を終えた夕刻から、前日の大統領続投宣言に怒った市民たちが街頭に結集を始めていた。

 カイロ市内で現地取材中のジャーナリストの田中龍作氏は、10日に一旦大統領辞任の報が流れた際、市民は一斉に喚起の声を上げたが、大統領自身が会見で続投を宣言すると、逆に怒りが頂点に達している様子で、金曜の夕方から市民が街頭に続々と結集を始めていると報告する。また、軍は一般市民には一切手出しはしておらず、軍と市民の間には良好な関係が保たれているという。

 遂に、独裁者として30年間君臨したムバラク大統領の辞任に至ったエジプトの大統領辞任発表の直前の情勢を田中、池内両氏に聞いた。

八百長問題の死角・警察の情報提供は適法だったか

神保哲生/宮台真司
ビデオニュース・ドットコム
ニュース・コメンタリー (2011年02月12日)
八百長問題の死角
警察の情報提供は適法だったか

 大相撲の八百長問題が連日ニュースを賑わせているが、騒動の発端となった携帯電話のメールを警察や文部科学省が保有していることが違法である疑いが強いことが、ビデオニュース・ドットコムの取材で分かった。

 今回の八百長問題は、力士同士が勝ち負けについて金銭のやりとりを含めて事前に打ち合わせていたと思われるメールが、押収された携帯電話から復元されて発覚した。しかし、そもそもその携帯電話は、野球賭博の捜査で警視庁が押収したもので、八百長は捜査の対象になっていない。つまり、警察は別の事件の捜査で押収した証拠を、裁判所の令状がないまま、文科省やマスコミに提供していることになる。

 捜査情報を文部科学省に提供したことについて、警察庁は、行政機関が一体となって職務を遂行するよう定めた国家行政組織法2条を基に行ったと説明し、中野寛成国家公安委員長も10日の記者会見で、公益性を考えて法適用を行っているため、情報提供に問題はなかったとの認識を明らかにしている。

 しかし、行政訴訟に詳しい清水勉弁護士は、この説明では政府は自らの違法性を認めているに等しいと指摘する。なぜならば、国家行政組織法は行政機関の組織や割り振りを定めたものに過ぎず、具体的に何かを行う権限を与える「授権法」ではないことは、法律家なら誰でも知っているからだという。

 また、清水氏は、そもそも警察が情報を他者に提供する権限の有無以前の問題として、令状で認められた対象とは異なる八百長を示すメールデータを保有していること自体が、違法だと指摘する。家宅捜査による押収や差し押えは、裁判所から令状を得たうえで、罪名にかかわるものを特定して押収しなければならないと、刑事訴訟法に明記されている。たとえ他の犯罪の証拠となるものがあっても、令状がなければ差し押さえることはできないし、そもそも相撲における八百長は違法行為ではない。

 野球賭博という違法行為の捜査のために力士の携帯電話を押収することが認められたが、警察が入手できる情報はその中で野球賭博に関わる通話記録やメールのみに限られ、それ以外の情報は警察は入手することも、他者に提供することも一切できないのが刑事訴訟法の常識だと清水氏は言う。

 相撲ファンならずとも、八百長自体は大きな問題だ。適切な対応を望みたい。しかし、
警察の捜査権の濫用の方が、はるかに市民社会にとっては注意を要する問題と言えるのではないか。しかし、八百長問題がこれだけ大きく取り上げられる中で、今回の警察の情報提供を問題視する声はほとんど聞こえてこない。神保哲生と宮台真司が議論した。

2011年2月 6日

TPPに見る「自由貿易の罠」

中野剛志氏(京都大学大学院助教)
マル激トーク・オン・ディマンド
第512回(2011年02月05日)
自由貿易を考えるシリーズ
TPPに見る「自由貿易の罠」

ゲスト:中野剛志氏(京都大学大学院助教)

プレビュー

 菅直人首相は政権の3本柱政策のひとつ「平成の開国」の目玉として、TPP(環太平洋経済連携協定)参加をあげている。これはアメリカ、オーストラリアなどの9カ国との間で関税などの貿易障壁をすべて撤廃する自由貿易協定だが、菅政権は6月までにこれに参加するかどうかを決定するとしている。TPPへの参加で、はたして日本は本当に幸せになれるのか。シリーズで考えていく。

 第一弾は経済産業省から京都大学大学院助教に出向中の中野剛志氏を招いた。中野氏は出向中とはいえTPP推進の先頭に立つ経産省の現役官僚でありながら、TPP批判の急先鋒。今日本がTPPに参加することは、最悪のタイミングで最悪の選択だと、これを厳しく批判している。

 中野氏の主張は明快だ。まず、TPPは9カ国といっても、経済規模で日米2カ国が参加国中9割のGDPを占めることから、実質日米二国間の自由貿易協定以外の何物でもないと指摘。菅首相はTPPへの参加によって「発展著しいアジア太平洋地域と共に成長の道を歩む」と言うが、そもそもその大前提が間違っているという。

 しかも、長引く不況と高い失業率で政権基盤が揺らいでいるアメリカのオバマ政権は、先月25日の一般教書演説でも、2014年までに輸出を倍増し、輸出を通じて雇用を生む方針を明確にしている。リーマンショック以来、金融で大きくつまずいたアメリカが、次に打ち出してきた窮余の策が、自由貿易協定を通じて、豊かな金融資産を抱える日本にアメリカ製品を売り込むことだったと中野氏は分析する。

 また、韓国がアメリカやEUと自由貿易協定を結んだ以上、日本もTPPでそれに続かなければ韓国に負けてしまうという論調も散見されるが、これも前提が間違っていると中野氏は言う。GDPの5割を外需に依存している韓国に対し、日本の外需依存度は17%に過ぎない。日本の輸出セクターではすでに現地生産が進み、関税が撤廃されたところで、日本からアメリカへの輸出が急激に増えるとは考えられない。いや、むしろ為替の方がはるかにインパクトが大きく、それに比べれば関税など誤差の範囲だと、中野氏は言う。つまり、日本にとって自由貿易とは、日本の国内市場を諸外国、とりわけアメリカに差し出す行為に他ならないということになる。

 菅首相は「平成の開国」と言うが、日本はすでに開国していると中野氏は言い、日本の平均関税が工業品、農業品ともに、国際標準と比べて高いわけではないことを指摘する。

 そして、中野氏がTPPが間違っていると主張する最大の理由は、自由貿易、つまり関税の撤廃が、デフレ状態にある日本にとっては最悪の影響を及ぼすことだ。

 グローバル化によって、輸出産業は収益を上げたが、労働分配率は減り、一人あたりの給与は下がり続けたことで、日本では依然として長期のデフレが続いている。TPPによって関税が下がる結果、日本により安い製品が海外から入るようになれば、デフレが更に悪化し、賃金が下がるため、国民はより苦しい生活を強いられることになる。

 要するに、今の日本にとってTPPは、百害あって一利なしと中野氏は言い切る。

 また、中野氏は自由貿易への信仰には根拠がないことを指摘する。国内経済が成長してはじめて、貿易が拡大するのであり、自由貿易が経済を成長させるのではないというのだ。2つの国がそれぞれ得意な商品に専念し、それを自由貿易で交換することが、結果的に2つの国のより大きな発展をもたらすとするリカードの比較優位論のモデルは、2つの国が完全雇用の状態であるなどいくつかの前提がある。中野氏は、世界中で失業者が増大する中で、その前提が崩れていることが議論されていないと指摘し、自由貿易原理主義的な考え方に疑問を呈する。

 欧米が「内向き」になって必死で自国の雇用や産業を守ろうとしているときに、「開国」を叫び、関税自主権を放棄しようとしている菅政権は、鴨がネギを背負って来たのも同然だと酷評する中野氏とともに、TPPの問題点と自由貿易の限界について、議論した。

今週のニュース・コメンタリー
•反政府デモが山場を迎えたエジプトの今後
•裁判員裁判で初の無罪が確定
 ただし検察の控訴断念の動機は不純?
•大相撲の八百長疑惑
 特異な報酬制度が八百長の温床に
•ウナギの天然卵発見は人類史の快挙 ただし資源管理が依然として課題

関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第503回(2010年12月04日)
TPPは農業へのショック療法となり得るのか
ゲスト:鈴木宣弘氏(東京大学大学院教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第502回(2010年11月27日)
検察改革はかくあるべし
ゲスト:指宿信氏(成城大学法学部教授)

マル激トーク・オン・ディマンド 第497回(2010年10月23日)
データで見る日本経済の本当の病状
ゲスト:藻谷浩介氏(日本政策投資銀行参事役)

マル激トーク・オン・ディマンド 第409回(2009年02月07日)
世界の魚を食い尽くす日本人の胃袋
ゲスト:井田徹治氏(共同通信科学部編集委員)

マル激トーク・オン・ディマンド 第402回(2008年12月13日)
WTOと日本の農業政策を再考する
ゲスト:山下一仁氏(経済産業研究所上席研究員)

<ゲスト プロフィール>
中野 剛志(なかの たけし)京都大学大学院工学研究科助教
1971年神奈川県生まれ。96年東京大学教養学部教養学科卒業。同年通商産業省(現経済産業省)入省。00~03年英エディンバラ大学大学院留学。05年同大学院より博士号(社会科学)取得。経産省産業構造課課長補佐などを経て、10年より現職(経済産業省より出向中)。著書に『自由貿易の罠 覚醒する保護主義』、『恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか』、共著に『成長なき時代の「国家」を構想する』など。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

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